当社を中心とする神奈川中央交通グループは、以下のとおり経営理念を掲げ、事業活動を通じて社会に貢献するとともに、関わり合うすべてのステークホルダーの発展と企業価値の向上を目指すことを経営の基本方針としております。
当社グループを取り巻く事業環境は、本格的な少子高齢社会を迎え、人口減少による国内マーケットの縮小が進んでおります。また、コロナ禍による新しい生活様式の定着は、当社グループのお客さまの行動や価値観を大きく変化させました。今後はデジタル技術の急速な進展により、新たなサービスが拡充していくとともに、カーボンニュートラルやSDGs(持続可能な開発目標)など、企業のサステナビリティへの取り組みが加速していくことが想定されます。
このような状況のもと、当社グループは、私たちの「ありたい姿」(「多様化するお客さまニーズに応え続けるために、時代の変化に柔軟に対応し、新たなサービスの創造に挑戦し続ける」)の実現に向けて、2030年度を最終年度とする長期ビジョン「Vision 2030 NEXT 神奈中~地域価値創造型企業にむけて~」を策定しました。
長期ビジョンでは、以下の3つの方針を掲げております。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。
当社グループでは、2021年に当社創立100周年を迎え、次の100年に向けた更なる成長とコロナ禍からの回復を基本方針に掲げ、「神奈中グループ中期経営計画(2021年度~2023年度)」を策定し、同中期経営計画期間を「体質変革期」として位置づけ、重点課題に取り組んでまいりました。旅客需要はコロナ禍前までは戻らないものの、費用構造改革および収益基盤の強化等の構造改革に注力した結果、目標として設定した2023年度の経営指標(売上高営業利益率6.0%以上、有利子負債/EBITDA倍率5.0倍以下)を達成いたしました。
今後は、2024年4月に策定しました「神奈中グループ中期経営計画(2024年度~2026年度)」を、長期ビジョンの実現に向けた「飛躍期」の第1ステージと位置づけ、以下の3つの重点課題と3つの重点戦略に取り組んでまいります。
財務健全性を確保しつつ、着実な利益成長と資本コストを意識した経営に取り組むため、以下の経営指標を目標値として定め、長期ビジョンの実現を目指してまいります。
なお、当社グループでは、経営理念の実現と持続的な企業価値の向上を図るため、将来への事業投資や財務の健全性の維持に努めるとともに、業績の動向を踏まえた安定的な配当を実施し株主還元の充実を図ることを資本政策の基本的な方針としております。
当社グループでは「持続可能な社会の実現」と「持続的な企業価値の向上」に向け、サステナビリティへの取り組みを推進していくために「サステナビリティ基本方針」を策定し、特定した5つのマテリアリティの課題解決に取り組んでおります。
当社グループのサステナビリティに関する考え方および取り組みは、次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において当社グループが判断したものであります。
(1)サステナビリティ全般に関する事項
〔ガバナンス〕
当社は、全社的な事業リスクやサステナビリティ、環境リスク等について検討し、取り組みを推進するため、取締役社長を委員長とするリスクマネジメント委員会を設置しております。さらに、下部機関の「リスク・コンプライアンス分科会」、「環境分科会」および「サステナビリティ分科会」において具体的取組み内容や目標を設定しております。各分科会は定期的に開催され、検討された重要な事項については、リスクマネジメント委員会および執行役員会へ報告を行うとともに、取締役会が監督を行っております。
サステナビリティに関連する当社グループのリスク及び機会については、サステナビリティ分科会が特定し、リスクマネジメント委員会で検討・モニタリングを行っております。リスク及び機会はSDGs等の国際的なガイドラインやバス沿線自治体の社会課題を参照し、事業環境を踏まえ当社グループが中長期的に取り組むべき課題として特定しております。また、特定したリスク及び機会は「ステークホルダーにとっての重要度」と「神奈中グループにとっての重要度」の2軸でマッピング・重要性評価を行い、マテリアリティとして整理しております。
当社グループは、サステナビリティへの取り組みを推進していくための指針として、以下の通り「サステナビリティ基本方針」を策定しております。
<神奈中グループ サステナビリティ基本方針>
また、マテリアリティ(重要課題)として「安全・安心の追求」「脱炭素社会への貢献」「地域社会との共創」「多様な人材が活躍できる職場づくり」「ガバナンスの充実」を特定し、次のとおり、各目標の達成に向けた取り組みを推進しております。
<マテリアリティ(重要課題)>
※指標及び目標は(3)多様な人材が活躍できる職場づくりに記載しております。
〔指標及び目標〕
(2)気候変動に関する取り組み及び体制
〔ガバナンス〕
気候変動に係る基本方針や重要事項、リスクや機会などの検討、審議については、会社のリスクに関する具体的な施策について全社的な調整にあたる組織である「リスクマネジメント委員会」において行います。
当委員会において多角的な検討を行うとともに、重要な事項については取締役会に報告を行い、取締役会は各部門の事業運営の監督を適切に行います。
〔戦略〕
「気候変動」を中長期的なリスクの一つとして捉え、当社グループの旅客自動車事業、不動産事業におけるリスク及び機会について、1.5℃※シナリオ(移行シナリオ)及び4℃※シナリオ(物理シナリオ)を用いて分析を行いました。
なお、その他の当社グループが運営する事業に関しても、順次シナリオ分析を進めていきます。
(※)産業革命前と比較した今世紀末の世界の平均気温の上昇温度
≪気候変動に関する主なリスクと機会及び施策≫

(※1) 自社での燃料の使用等、直接的な排出
(※2) 自社が購入した電気・熱等エネルギーの使用に伴う間接的な排出
(※3) Greenhouse Gasの略称。温室効果ガス。
〔リスク管理〕
上記シナリオ分析を行った結果、リスク及び機会の発生可能性と影響度が大きいと考えられる事項について、継続的に「リスクマネジメント委員会」において確認していきます。
気候関連リスクの管理プロセスとして、「リスクマネジメント委員会」を通じて、当該リスクに関する分析、対策の立案と推進、進捗管理等を実践していきます。
なお、「リスクマネジメント委員会」で検討した内容のうち重要なものは、取締役会に報告し、全社的なリスク管理を行います。
〔指標及び目標〕
当社は、国が定める2050年度のカーボンニュートラル実現に向けて、グループ全体のCO2排出量削減の具体的な目標数値の設定及びロードマップを策定しました。
当社グループは、Scope1排出量の比率が高い事業特性を持つ旅客自動車事業を中核事業としておりますが、脱炭素社会へ貢献するため、CO2排出量削減に取り組みます。具体的には、ロードマップに示すCO2排出量削減策を実行し、当社グループ全体として2030年度に35%削減(2013年度比)、及び2050年度にカーボンニュートラルを目指します。
≪神奈中グループカーボンニュートラル達成に向けたロードマップ≫
(CO2排出量実績及び目標)

(単位:万t-CO2)
(主なCO2排出量削減策)

(※)Power Purchase Agreementの略。電気販売契約と直訳され、PPA事業者がサービス利用者の所有する敷地や屋根のスペースなどに太陽光パネルを設置する。そこで発電された電力をサービス利用者が使用し、電気料金をPPA事業者に支払う仕組み。
(3)多様な人材が活躍できる職場づくり
〔戦略〕
<基本方針>
当社グループ経営理念および行動指針のもと、地域社会の課題解決に取り組み、ステークホルダーとの共創を通じて新しい価値を創造し「持続可能な社会の実現」と「持続的な企業価値の向上」を目指すため、多様性の確保に向けた取り組みを推進しております。
<推進体制>
当社グループの人的資本経営を推進するため、取締役社長を委員長とした「人財戦略委員会」を設置するとともに、委員会の下部組織として、「人材育成」「社内環境」「健康経営推進」の3つの分科会を設置し、課題に沿った取り組みや目標を推進しております。なお、分科会で検討された事項については、委員会に上申し、重要な事項については執行役員会に報告し議論するとともに、必要に応じて取締役会へ報告を行うこととしております。主な取り組みは以下の通りです。
① 人材育成
バス事業を中心として、多様化するお客さまニーズに応え続けるため、先端技術を積極的に取り込み、新たなサービスの提供、生産性の向上など、新しい価値を創造する人材の採用・育成を進めています。
<主な取り組み>
② 社内環境整備
多様な人材が活躍する働きがいのある職場を目指し、人事部内プロジェクトチームを設置し、定期的な意見交換や研修会等を実施し、各部門と連携の上、ダイバーシティ&インクルージョンの取り組みを全社で横断的に推進しています。また、仕事と育児介護の両立を支援する取り組みについては、特に重要なテーマと認識し、様々な取り組みを進めています。
<主な取り組み>
③ 健康経営の推進
プロフェッショナルな技能を持つ社員に健康で長く活躍してもらうことの実現が、事業活動を推進する上での重要課題であることから、健康状態に起因する事故防止を目的とした健康管理の徹底に加えて、社員の心と身体の健康づくり支援を進めています。また、2024年3月には、社員のウエルビーイングの実現に向けた経営トップメッセージ「健康経営宣言」を発出しました。
<主な取り組み>
〔指標及び目標〕
(注)当社の取り組みが当社グループに属する全ての企業において行われてはいないことから、連結グループにおける主要な事業を営む会社単体(当社)の指標および目標の開示をしております。
当社グループは、公共性の高い旅客自動車事業をはじめとして、不動産事業、自動車販売事業、その他の事業を展開しておりますが、特にグループの業績に重大な影響を及ぼす可能性があると考えられるリスクについては、以下のようなものがあります。
当社グループといたしましては、これらのリスクを認識したうえで、その発生の抑制、回避および発生した場合の対応に努めてまいります。
なお、各事項中における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において判断したものであります。また、以下のリスクは、当社グループにおける事業等のすべてのリスクを網羅したものではありませんのでご留意願います。
当連結会計年度におけるわが国経済は、雇用・所得環境が改善する中で個人消費が緩やかに増加し、持ち直しの動きが見られました。一方、資源価格高騰に伴う物価上昇や円安の進行など先行きは依然として不透明な状況が続いております。
このような状況のもと、当社グループ各社は、各部門において積極的な営業施策を図るとともに、経営の効率化に努めた結果、当期における売上高は、117,067百万円(前期比12.7%増)、営業利益は7,516百万円(前期比73.8%増)、経常利益は7,747百万円(前期比57.8%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は、3,262百万円(前期比183.9%増)となりました。
セグメントの業績の概況は、次のとおりであります。
なお、当連結会計年度より、従来の報告セグメントである「一般旅客自動車運送事業」を「旅客自動車事業」に名称変更しております。また、当該セグメントに含まれる「乗合事業」「貸切事業」および「乗用事業」を「乗合バス事業」「貸切バス事業」および「タクシー事業」にそれぞれ変更しております。この変更がセグメント情報に与える影響はありません。
(旅客自動車事業)
乗合バス事業においては、商業施設「ジ アウトレット湘南平塚」の開業に伴い、4月に平塚駅北口および本厚木駅南口~ツインシティ大神間を結ぶ新系統の運行を開始し新たな需要に対応いたしました。また、子育て世代応援の取り組みとして小児IC運賃の一律50円を開始したことや、7月に当社全路線(当社横浜市均一運賃区間等を除く)にて運賃改定を実施するとともに、通学定期券の割引率引き上げを行うなど、利用促進を図ったことにより増収となりました。
タクシー事業においては、神奈中タクシー㈱にて新型コロナウイルス感染症が感染症法上「5類」へ引き下げられたことで、夜間を中心に旅客需要の回復が見られたことや、11月に運賃改定を実施したことにより増収となりました。
貸切バス事業においては、神奈中観光㈱にて旅行需要の回復に伴い旅行エージェントからの受注が増加したことなどにより増収となりました。
以上の結果、旅客自動車事業全体の売上高は54,967百万円(前期比11.6%増)、営業利益は3,027百万円(前期比377.6%増)となりました。
(不動産事業)
賃貸事業においては、前期に賃貸を開始した「神中本藤沢物流センター」や「アドベル明石町ビル」が通期寄与したことなどにより増収となりました。
分譲事業においては、デベロッパーとのマンション分譲共同事業による藤沢市羽鳥の「プレミスト湘南辻堂」が前期に完売し、販売戸数が減少したことにより減収となりました。
以上の結果、不動産事業全体の売上高は6,130百万円(前期比3.8%増)、営業利益は2,570百万円(前期比2.8%増)となりました。
(自動車販売事業)
商用車販売事業においては、神奈川三菱ふそう自動車販売㈱にてトラック・バスの販売台数が増加したことに加え、既存のお客さまに対する車検や点検等メンテナンスの営業活動に努め、車両整備が増加したことにより増収となりました。
輸入車販売事業においては、神奈中相模ヤナセ㈱にて高価格帯の新車販売台数が増加するとともに、中古車の販売も好調に推移したことにより増収となりました。
以上の結果、自動車販売事業全体の売上高は37,387百万円(前期比28.8%増)、営業利益は1,176百万円(前期比62.6%増)となりました。
(その他の事業)
流通事業においては、㈱神奈中商事にてバス運賃箱等の部品販売が増加したことなどにより増収となりました。
商用車架装事業においては、横浜車輌工業㈱にて半導体不足の解消に伴いメーカーの生産台数が回復し、受注が増加したことなどにより増収となりました。
情報サービス事業においては、㈱神奈中情報システムにてドライブレコーダなどバス車載器の販売が増加したことなどにより増収となりました。
レジャー・スポーツ事業においては、㈱神奈中スポーツデザインにて4月に学童施設「ASHITA∞キッズ神奈中本厚木」を開業し会員獲得に努めましたが、不採算店舗を閉店したことなどにより減収となりました。
飲食・娯楽事業においては、前期に営業譲受した「ドトールコーヒーショップ」の8店舗が通期寄与したことなどにより増収となりました。
ホテル事業においては、室料を改定したことにより宿泊部門は増収となりましたが、料飲部門において前期末にピザ店2店舗を閉店したことによりホテル事業全体では減収となりました。
以上の結果、その他の事業全体の売上高は29,385百万円(前期比5.4%増)、営業利益は954百万円(前期比39.4%増)となりました。
②財政状態
(資産の部)
流動資産は、分譲土地建物の取得による商品及び製品の増加などにより、前連結会計年度末に比べて4,869百万円増加し、30,075百万円となりました。
また、固定資産は、減価償却により減少しましたが、投資有価証券の時価評価額が増加したことなどにより、前連結会計年度末に比べて3,752百万円増加し、129,115百万円となりました。
この結果、当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末に比べて8,622百万円増加し、159,191百万円となりました。
(負債・純資産の部)
負債は、借入金やリース債務の返済が進んだものの、支払手形及び買掛金が増加したことなどにより、前連結会計年度末に比べて2,229百万円増加し、99,918百万円となりました。なお、借入金、社債及びリース債務残高は、前連結会計年度末に比べて2,805百万円減少し、56,338百万円となりました。
また、純資産は、その他有価証券評価差額金や利益剰余金が増加したことなどにより、前連結会計年度末に比べて6,392百万円増加し、59,272百万円となりました。
なお、自己資本比率は、前連結会計年度末と比べて2.0ポイント増加し、34.0%となりました。
当連結会計年度における現金及び現金同等物の期末残高は、前連結会計年度末に比べて547百万円増加し、3,169百万円となりました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とその要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益5,009百万円に、減価償却費などを加減した結果、9,671百万円の資金収入となりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは、固定資産の取得による支出6,110百万円などにより、5,792百万円の資金支出となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは、借入金の返済による支出などにより、3,331百万円の資金支出となりました。
④生産、受注及び販売の実績
当社グループは、その主要な事業である旅客自動車事業をはじめ、受注生産の形態をとらないものが多く、セグメントごとに生産規模および受注規模を金額あるいは数量で示すことはしておりません。
なお、販売の状況につきましては、「(1) 経営成績等の状況の概要」におけるセグメントの経営成績に関連付けて示しております。
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。
この連結財務諸表の作成にあたって、過去の実績や状況を勘案し合理的と考えられるさまざまな要因に基づき、決算日における資産・負債の報告数値および報告期間における収入・費用の報告数値に影響を与える見積り、判断および仮定設定を行っておりますが、実際の結果は見積り特有の不確実性により、これらの見積りと異なる場合があります。
当社の重要な会計方針のうち、連結財務諸表の作成において当社の重要な見積り、判断および仮定設定に大きな影響を及ぼすものは以下のとおりです。
(投資の減損)
当社グループでは、時価のある有価証券について個々の銘柄ごとに有価証券の期末時価が取得価額に比べ50%以上下落し、かつ、その下落が一時的でない場合は回復可能性がないと判断して減損処理を行っております。また、期末時価が取得価額に比べ30%以上50%未満下落した場合につきましては、対象銘柄の過去3年間の毎月末の時価の平均値が、30%以上の下落率の場合は回復可能性がないと判断して減損処理を行っております。
(固定資産の減損)
当社グループは、旅客自動車事業および不動産事業を中心に多くの固定資産を保有しております。これらの固定資産の回収可能価額については、将来キャッシュ・フロー、割引率、正味売却価額など多くの前提条件に基づき算出しているため、当初見込んだ収益が得られなかった場合、または算出の前提条件が変更された場合には、損失が発生する可能性があります。
(繰延税金資産)
当社グループは、繰延税金資産について実現可能性が高いと考えられる金額へ減額するために評価性引当額を計上しております。評価性引当額は将来年度の課税所得の見込額等を考慮して計上しますが、将来の業績変動により課税所得の見込額が減少又は増加した場合には、評価性引当額の追加計上又は取崩が必要となる場合があります。
(退職給付費用)
従業員の退職給付に備えるため、当連結会計年度末における退職給付債務および年金資産の見込額に基づき計上しております。当社グループの採用した見込額は妥当なものと考えておりますが、実績との差異または見込額自体の変更により、退職給付の費用および債務に影響を与える可能性があります。
②当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識および分析・検討内容
(売上高および営業損益)
売上高は、旅客自動車事業において、新型コロナウイルス感染症の5類移行による旅客需要の改善や運賃改定効果が寄与したことに加え、自動車販売事業において、半導体の供給不足解消によりメーカーの生産が回復し、トラックを中心に新車販売台数が増加したことなどにより、前連結会計年度に比べ13,201百万円増加し、117,067百万円(前期比12.7%増)となりました。
営業利益は、旅客自動車事業において、乗務員の待遇改善を実施し人件費が増加したものの、上記増収などにより、前連結会計年度に比べ3,192百万円増加し、7,516百万円(前期比73.8%増)となりました。
なお、セグメントごとの売上高および営業利益については、前掲の「(1) 経営成績等の状況の概要 ① 経営成績の状況」に記載のとおりであります。
(営業外損益および経常損益)
営業外収益は、新型コロナウイルス感染症関連の助成金収入が減少したことなどにより、前連結会計年度に比べ256百万円減少し、744百万円となりました。
営業外費用は、金融費用が増加したことなどにより、前連結会計年度に比べ98百万円増加し、512百万円となりました。
この結果、経常利益は7,747百万円(前期比57.8%増)となりました。
(特別損益および親会社株主に帰属する当期純損益)
特別利益は、投資有価証券売却益が減少したことなどにより、前連結会計年度に比べ277百万円減少し、169百万円となりました。
特別損失は、バス営業所や賃貸施設の建替工事に伴う固定資産除却損が増加したことなどにより、前連結会計年度に比べ479百万円増加し、2,907百万円となりました。
この結果、親会社株主に帰属する当期純利益は3,262百万円(前期比183.9%増)となりました。
③資本の財源及び資金の流動性についての分析
(資金調達)
当社グループの資金調達は、社債および市中金融機関からの借入金のほか、㈱日本政策投資銀行からの借入金など、市場環境や金利動向を総合的に勘案しながら決定しております。
なお、当社グループでは資金効率向上のため、キャッシュ・マネジメント・システム(CMS)を導入しております。
(資金の流動性)
当社グループは旅客自動車事業を中心に日々の収入金があることから、必要な流動性資金は十分に確保しており、これらの資金をCMSにより集中管理することでグループ内において有効に活用しております。
なお、当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は、前掲の「(1)経営成績等の状況の概要 ③ キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
(3)目標とする指標の進捗状況
当社グループでは、持続可能な経営を実現するために、中期経営計画(2021年度~2023年度)の3ヵ年を「体質変革期」と位置付け、厳しい経営環境下においても利益を創出できるように構造改革に取り組み、2023年度を目安に売上高営業利益率および有利子負債/EBITDA倍率を感染症拡大前の水準に回復させることを目指してまいりました。
当連結会計年度においては、旅客自動車事業における旅客需要の改善や運賃改定の実施などにより営業利益が計画を上回りました。その結果、当連結会計年度における売上高営業利益率は6.4%、有利子負債/EBITDA倍率は4.4倍となりました。
当連結会計年度における実績と当初業績予想数値については以下の通りであります。
該当事項はありません。
該当事項はありません。