第2【事業の状況】

1【業績等の概要】

 (1) 業績

当連結会計年度におけるわが国経済は、雇用・所得環境の改善が続く中で、政府の経済対策や日銀の金融政策の効果もあり、緩やかな回復基調で推移しました。道内の経済においても、民間設備投資の減少はありましたが、観光の好調さが増していることもあり、緩やかな持ち直しが見られました

このような経営環境の中、当社グループは、地域社会に密着した事業を積極的に展開するとともに、経営効率を高め収支改善や経営体質の強化など、企業価値の向上に取り組んでまいりました

当連結会計年度の業績は、売上高は38,999百万円(前連結会計年度比4.0%増)、営業利益は1,858百万円(同7.4%増)、経常利益は2,014百万円(同7.3%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は1,357百万円(同20.5%増)となりました

 

事業別の業績は、次のとおりであります。

 

  ①  旅客自動車運送事業

乗合運送事業は、札幌市内線においては、輸送需要に適合したラッシュ時間帯の運行便数の見直しを行いました。また、都市間高速バスにおいては、利用客の要望に応え、一部札幌駅前へ始発地を変更するとともに、新千歳空港連絡バスにおいては、観光やビジネスの需要を取り込むため、札幌都心の運行経路の変更などを行いました。定期観光バスにおいては、外国人利用客が増加しました。これらのほか、本道を襲った台風の被害によるJR特急列車の運休による影響などもあり、都市間高速バスの利用者が増加し、増収となりました

貸切運送事業は、一車当たりの収入が増加しましたが、一方で受注が減少し、減収となりました

 

この結果、売上高は22,241百万円(前連結会計年度比1.8%増)、営業利益は971百万円(同0.5%増)となりました

 

  ②  建設業

建設業は、道内の公共投資が堅調に推移する一方、民間設備投資は前年を下回りましたが、受注の確保に努めたことにより、受注高、完成工事高とも増加しました

 

この結果、売上高は11,382百万円(前連結会計年度比1.7%増)、営業利益は534百万円(同45.3%増)となりました

 

③  清掃業・警備業

清掃業・警備業は、新規契約の獲得などにより増収となりました

 

この結果、売上高は3,185百万円(前連結会計年度比6.1%増)、営業利益は122百万円(同17.3%増)となりました

 

  ④  不動産事業

不動産事業は、新規賃貸契約の獲得などにより増収となりました

 

  この結果、売上高は871百万円(前連結会計年度比2.7%増)、修繕費などの費用の増加や収益物件の売却などもあり、営業利益は304百万円(同14.7%減)となりました。

 

⑤  観光事業

ニセコアンヌプリ国際スキー場は、アジア圏のスキー客が増加しました。小樽天狗山スキー場は、夏期のイベント開催やクルーズ船寄港の効果などにより、国内外の個人観光客が増加しました。ニセコ温泉郷「いこいの湯宿いろは」は、アジア圏を中心に外国人客の増加が見られました

 

この結果、売上高は1,000百万円(前連結会計年度比2.4%増)、「いこいの湯宿いろは」の収支改善計画の取り組み中でもあり、41百万円の営業損失(前連結会計年度は98百万円の営業損失)となりました

 

  ⑥  その他の事業

介護福祉事業は、平成28年4月、サービス付き高齢者向け住宅2棟目となる「マイラシーク南郷」を、札幌市内に開業しました。自動車教習所は、入校生が減少しました。旅行業は、団体旅行の取扱いが増加しました

 

この結果、売上高は4,113百万円(前連結会計年度比3.0%増)、介護福祉事業の開業時の費用もあり、8百万円の営業損失(前連結会計年度は104百万円の営業利益)となりました

 

(注) 売上高には、消費税等は含まれておりません。

 

(2)  キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末から350百万円減少し、7,724百万円(前連結会計年度比4.3%減)となりました。

当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況は、次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

税金等調整前当期純利益1,998百万円に減価償却費等を加減した結果、得られた資金は3,456百万円(前連結会計年度比7.8%減)となりました

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

有形固定資産の取得による支出が4,238百万円あったこと等により、使用した資金は3,656百万円(前連結会計年度比85.9%増)となりました。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

配当金の支払額が145百万円あったこと等により、使用した資金は150百万円(前連結会計年度比11.4%減)となりました。

 

2【生産、受注及び販売の状況】

 当社グループは、旅客自動車運送事業等の役務の提供を主体とする事業を行っているため、生産、受注の状況については記載を省略し、販売の状況については「1 業績等の概要」に記載しております。

3【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

本項文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在(平成29年3月31日)において当社グループが判断したものであります。

 

 (1) 会社の経営の基本方針

当社グループは、当社を中核とした16社で構成されており、バス事業、建設業、清掃・警備業、不動産事業、観光・旅行事業など地域社会に密着した様々な事業を展開しております。

これらグループ各社が連帯・協調しながら、バス事業にあっては「安全輸送と旅客サービスの提供」、その他の事業にあっては「安全・安心な商品・サービスの提供」を通じて地域社会に貢献し、企業集団としての発展を図ることを経営の基本方針としております。

 

 (2) 目標とする経営指標

当社グループは、持続的な成長、発展のためには、収益基盤を一層強化し、着実に企業価値を向上させることが必要であると考えております。そのために、中長期的な総資産の効率的運用、収益性の向上を目指しております。

 

 (3) 中長期的な会社の経営戦略及び会社の対処すべき課題

当社グループを取り巻く経営環境は、不安定な原油価格、英国のEU離脱問題の影響に加え、米国の今後の経済政策に関する不確実性の高まりなどにより、道内・外の景気の先行きは不透明であり、さらに中・長期にわたり、少子高齢化、人口減少が進む中、あらゆる分野において「雇用の維持・確保」「事業の在り方」等、社会経済構造の変化の対応が迫られており、引き続き厳しい状況が続いていくとともに、「第4次産業革命」と言われる情報通信技術の飛躍的な発展により、国民生活の仕組みが急速に変化する中で、今後の事業経営に様々な影響を与えることが考えられます

 

このような情勢のもと、当社グループは、バス事業にあっては「安全輸送と旅客サービスの提供」、その他の事業にあっては「安全・安心な商品・サービスの提供」を通じて地域社会に貢献する企業集団として、グループの経営資源(ヒト、モノ、カネ、情報)を有効活用し、グループの総合力と挑戦心・スピード感を持って経営にあたるとともに、企業倫理活動を徹底し、地域社会から信頼されるよう弛まぬ努力を重ねてまいります

 

また、当社グループは、地域の一員として信頼される事業活動を行ううえで、地球環境問題に対する温暖化対策の取り組みを、企業の社会的責務であると考えております。引き続き長年取り組んでおります燃料節約運転の推進などにより、CO2排出量の削減に取り組むとともに、「人と環境にやさしいバス」の利用を促進するPR活動を幅広く展開いたします

 

 事業別の対処すべき課題は、次のとおりであります。

 

 

 旅客自動車運送事業においては、平成28年1月に長野県軽井沢町の国道において発生した貸切ツアーバスの転落事故を受け、国は「安全・安心な貸切バスの運行を実現するための総合的な対策」を取りまとめ、平成28年12月に道路運送法が改正されました。今後改めて順法精神の徹底と安全最優先の経営がバス業界全体に求められております。こうした事態に、当社グループにおいても法令を順守し、危機感を持って、社員一丸となって安全・安心なバス輸送サービスの提供に取り組んでまいります。

乗合運送事業では、「交通政策基本法」により地域公共交通の維持・確保は、地方自治体自らがまちづくりの中で担うことになりました。「民から公」への転換が図られました。今後は、民間企業として、地域公共交通であるバス事業が担う役割を果たしてまいります

貸切運送事業では、安全に係わるコストを反映した新運賃・料金制度に基づき、適正な運賃・料金を収受し、安定した事業基盤の確立を目指してまいります。また、「貸切バス事業者安全性評価認定制度」(セーフティバス)の最高ランクである三つ星の認定を受けたバス各社を中心として、引き続き安全性をセールスポイントとして積極的に世間にPRし、他と差別化した営業活動を展開してまいります

 

建設業は、受注競争の激化、建設資材の高騰、技能労働者の不足が引き続き見込まれる厳しい環境のもとで、営業力・技術力の強化、また施工品質の向上を図ることで、顧客の信頼確保と優良案件の受注獲得を目指すとともに、原価管理の徹底により採算性の向上を図ってまいります

 

 清掃業・警備業は、競争の激化や人手不足が引き続き見込まれる中、人材の確保・育成を図り生産性を向上させるとともに、新規物件を獲得するための積極的な営業活動、関係団体や顧客からの情報収集と提案力の強化、原価管理の徹底などを推進し、経営基盤の強化を図ってまいります。

 

 不動産事業は、新規賃貸契約の獲得や遊休不動産の有効活用により、安定収益を確保してまいります。

 

観光事業は、ニセコアンヌプリ国際スキー場では、ニセコ地区の他のスキー場と連携・協力しながら、国内外のスキー客や観光客をニセコアンヌプリ地区へ誘致するためのプロモーション活動を強化してまいります。夏期シーズンにおいてはイベント開催など活性化を図ります。また、平成27年6月にリニューアルし、収支改善の途上にあるニセコ温泉郷「いこいの湯宿いろは」は、インターネットからの情報発信を強化し、利用客の増加を図ります。さらに、ニセコ地区において年々増加する外国人客の受入れ体制をより一層整備・充実し、集客に努めてまいります

 

 その他の事業においては、飲食業は、品質やサービスを向上させ他店との差別化を図ってまいります。介護福祉事業は、長年培ってきた「中央バスグループの安全・安心」ブランドを守りながら、入居者へ質の高いサービスを提供してまいります。自動車教習所は、平成29年度には新たな教習事業も加えて、全車種教習の優位性を活かした事業展開を図ってまいります。

 

4【事業等のリスク】

 当社グループの事業等に関するリスクについて、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性があると考えられる主な事項を記載しております。また、必ずしもそのようなリスク要因に該当しない事項についても、投資者の投資判断上、重要であると考えられる事項については、投資者に対する積極的な情報開示の観点から以下に記載しております。本項文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在(平成29年3月31日)において当社グループが判断したものであり、当社グループは、これらのリスク発生の可能性を認識した上で、発生の回避及び発生した場合の対応に努める所存であります。

① 安全管理について

 旅客自動車運送事業においては、安全輸送が経営の根幹かつ社会的使命であり、運行管理体制の確立や乗務員の労務管理、健康管理、教育等を徹底することにより事故防止に万全を期しております。しかしながら万一、不測の重大事故等が発生した場合は社会的信用の失墜を招くとともに、車両の使用停止、事業計画の一定期間停止等の処分対象となり、業績に大きな影響を与える可能性があります。

 

② 補助金及び事業の公共性について

 路線単位の収支状況等に基づき、国や地方自治体から補助金を受けておりますが、国及び地方自治体の財政状況等の変化により補助制度が改廃される可能性があります。乗合運送事業は公共性が高く社会的責務も大きいことから、補助金削減により直ちに路線から撤退することは容易ではなく、このような場合、業績に影響を与える可能性があります。

 

③ 燃料油価格の変動について

 車両燃料につきましては、環境を念頭においた燃料節約運動を推進するなど、節減に努めておりますが、今後の海外情勢等により燃料油価格が変動した場合、その価格の動向は業績に重大な影響を与える可能性があります。

 

④ 利用者の減少について

 少子高齢化や札幌圏を除く道内での過疎化等により、バス利用者の減少が続いております。今後も輸送需要の減少傾向は続くと予想され、業績に影響を与える可能性があります。

 

⑤ 労働力不足について

 当社グループは、主要事業である旅客自動車運送事業をはじめとし労働集約型の事業が多く、社員採用において困難な状況が続き、労働力が不足することは、今後の事業展開に支障をきたす恐れがあり、業績に影響を与える可能性があります。

 

⑥ 貸切運送事業における特定旅行会社からの受注について

 貸切運送事業は、大部分を特定の旅行会社からの受注に依存しており、旅行会社の経営状態等に何らかの変化が生じた場合、利用客確保に大きな影響を与える可能性があります。

 

⑦ 建設市場の動向について

 建設業は、国及び地方自治体の公共工事予算の減少や、景気低迷による民間設備投資の減少によって、熾烈な受注競争が繰り広げられ、業績に大きな影響を与える可能性があります。

 

⑧ 不動産事業のリスクについて

 不動産事業は、景気動向、企業業績、需給動向の影響を受けやすい傾向があります。景気低迷等によるテナントの退去や競争激化による賃料等契約条件の引き下げの動きが生じ、業績に影響を与える可能性があります。

 

⑨ その他の事業におけるリスクについて

 観光事業は、スキー場における雪不足や悪天候、夏期営業期間においても悪天候等により来客数が減少すると、業績に影響を与える可能性があります。

 宿泊施設、飲食施設等では、衛生管理及び設備の保守管理に万全を期しておりますが、万一、飲食施設での食中毒や宿泊施設での火災等、不測の事態が発生した場合、業績に影響を与える可能性があります。

 

⑩ 地震等の自然災害について

 当社グループは、多数の営業拠点を保有して事業展開しておりますが、大規模地震やその他の自然災害発生時には、当社グループの各事業において被害が生じ、業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑪ 法的規制について

 当社グループは、道路運送法、道路交通法、エネルギーの使用の合理化に関する法律(省エネ法)、建設業法、公衆浴場法、食品衛生法等様々な法令や規則等の適用を受けており、法令遵守を徹底し事業活動を行っておりますが、これらの法令や規則の変更等があった場合、業績に大きな影響を与える可能性があります。

 

⑫ 業績の季節的変動

 観光事業は、スキー場の営業が冬期間中心であるため、第4四半期の売上高が他の四半期に比べて高くなる季節的変動があります。

5【経営上の重要な契約等】

 該当事項はありません。

6【研究開発活動】

 該当事項はありません。

7【財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 重要な会計方針及び見積り

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に準拠して作成しております。この連結財務諸表作成に際し、経営者は決算日における資産・負債の報告数値及び報告期間における収入・費用の報告数値に影響を与える様々な要因・仮定に対し、過去の実績等を勘案し合理的に判断して見積りを行っております。実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。

なお、個々の「重要な会計方針及び見積り」については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載のとおりであります。

 

(2) 当連結会計年度の経営成績の分析

経営成績の分析につきましては、「第2 事業の状況 1 業績等の概要 (1)業績」に記載のとおりであります。

 

(3) 当連結会計年度末の財政状態の分析

 資産合計は40,845百万円(前連結会計年度比1.1%増)となりました。これは、受取手形及び売掛金が704百万円増加したこと等によるものであります。

 負債合計は11,020百万円(前連結会計年度比7.9%減)となりました。これは、設備関係支払手形が1,113百万円減少したこと等によるものであります。

 純資産合計は29,824百万円(前連結会計年度比4.9%増)となりました。これは、利益剰余金が1,212百万円増加したこと等によるものであります。

 

(4) 当連結会計年度のキャッシュ・フローの分析

キャッシュ・フローの分析につきましては、「第2 事業の状況 1 業績等の概要 (2)キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

 

(5) 経営成績に重要な影響を与える要因

 経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「第2 事業の状況 4 事業等のリスク」に記載のとおりであります。

 

(6) 戦略的現状と見通し

 戦略的現状と見通しにつきましては、「第2 事業の状況 3 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおりであります。