当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。
なお、本項文中の将来に関する事項は、令和7年5月末現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 会社の経営の基本方針
当社グループは、当社を中核とした17社で構成されており、バス事業、建設業、清掃・警備業、不動産事業、観光・旅行事業など地域社会に密着した様々な事業を展開しております。
これらグループ各社が連帯・協調しながら、バス事業にあっては「安全輸送と旅客サービスの提供」、その他の事業においても「安全・安心な商品・サービスの提供」を通じて地域社会と共に歩み貢献する企業集団として、連携し発展を図ることを、グループ経営の基本方針としております。
(2) 目標とする経営指標
当社グループは、持続的な成長、発展のためには、収益基盤を一層強化し、着実に企業価値を向上させることが必要であると考えております。そのために、中長期的な総資産の効率的運用、収益性の向上(売上高営業利益率の向上)を目指しております。
(3) 中長期的な会社の経営戦略及び会社の対処すべき課題
当社グループを取り巻く経営環境は、令和2年に発生した“100年に一度のパンデミック”とも言われる新型コロナウイルスの世界的感染拡大を受け、その対策として行われた人々の行動抑制と、それに伴う社会・経済活動の停滞により、企業経営は大きな影響を被ることとなりました。また、人口減少が加速する中、バス利用者の減少とバス乗務員不足により、バス路線の廃止・減便を余儀なくされ、大変に難しく、厳しい状況が続いております。
コロナ禍を経て世の中が大きく変化し、今までのやり方では、持続可能なバス事業経営が難しいことが明白となり、経営の在り方を大きく見直し、『第二の創業』の位置付けで、この大きな変化に対応するため、「経営改革対策本部」を立ち上げ、取組みを進めていくことにしました。
私共が経験したことのない、社会の大きな変化に対し、民間事業者として自律した経営を目指すため、グループの保有する経営資源(ヒト、モノ、カネ、情報)の一層の活用と、DXを推進することによって、大胆に、思い切った経営改革を推し進め、揺るぎのない事業体質に再構築し、企業価値の向上及び創造に取り組んでまいります。
経営方針として、輸送の安全をはじめ、当社グループの全ての事業において「安全・安心な社会の実現」を最優先に、弛まぬ努力を重ね、事業の発展、躍進を遂げてまいります。
また、企業の責務として環境問題に取り組んでいくとともに、「地域社会との絆」を深めながら、お客さまや株主、お取引先の皆さま等へ感謝し、社会から信用される企業集団を目指します。
事業別の対処すべき課題は次のとおりであります。
旅客自動車運送事業においては、人口減少、少子高齢化のもと、バス需要が減少しているとともに、バス乗務員不足が深刻化し、バス路線の廃止・減便を繰り返し、民業として地域の公共交通を維持・持続できない事態であり、利用者にご不便や負担をおかけしております。
バス乗務員の確保・定着に知恵の限りを尽くし、あらゆる努力をしておりますが、人手不足を解消することが大変に難しい状況にもあります。
バス事業は地域社会にとってなくてはならない事業であります。
規制緩和以降、バス事業を取り巻く環境が大きく変化し、地域生活交通路線を担う主体は地方自治体、広域自治体であり、バス事業者は協力者の立場にあります。
バス乗務員不足等を抱える中、既存の当該路線への現実的な対応をしつつ、新たなバス需要の創造に注力するとともに、さらなる需要が見込まれる既存路線に対し、積極的に経営資源を投入していく方針であります。
乗っていただくお客さまに対する一番のサービスは、安全・安心なバスです。法令を遵守し、社員一丸となって、「人命尊重・安全最優先」を徹底してまいります。
建設業においては、深刻な人手不足や建設資材の高騰が続く厳しい経営環境におかれております。事業の根幹である人材の確保と育成を経営の最優先として推し進める一方、ICTの活用により業務の効率化を図るとともに、生産性向上と営業力強化に努めてまいります。
清掃業・警備業においては、深刻な人手不足が引き続き見込まれる中、働きやすい環境を整備するなど人手不足対策に取り組むとともに、ICTの活用により業務の効率化を推し進めてまいります。また、原価上昇分の適正な価格転嫁に取り組むとともに、新規物件に対する情報収集及び積極的な参入に努めてまいります。
不動産事業においては、グループ内で連携・強化を図り、新規賃貸契約の獲得や遊休不動産の有効活用につなげてまいります。
観光関連事業においては、各観光施設とも国内客の増加に加え、円安を背景にインバウンドが急増しコロナ禍前を大きく上回り、活況を呈しております。
「ニセコアンヌプリ国際スキー場」は、インバウンドの集客策を積極的に実施するとともに、併設するニセコ温泉郷「いこいの湯宿いろは」も含めた観光事業の一体運営により、課題である「観光の通年化」に向け、地元との連携を強化するなど夏場の集客に向けた取組みを強化してまいります。
「小樽天狗山ロープウェイ・スキー場」は、SNS等の活用による情報発信を強化するとともに、映画のロケ地となったことによる知名度を活かして集客に努め、またワイン&カフェレストラン「小樽バイン」は、本年4月に店内を改装してリニューアルオープンし、観光客のみならず地元のお客さまのさらなる集客を図り、地域に愛されるレストランを目指してまいります。
「砂川ハイウェイオアシス館」は、空知を代表する観光施設として、地域(地方自治体・生産者)との連携を図るほか、SNSを活用した積極的な情報発信を行い、利用拡大に注力してまいります。旅行業は、魅力ある観光ツアー創りとその発信に努めてまいります。
その他の事業においては、介護福祉事業は、ICTの活用等により業務の効率化を図るとともに、質の高いサービスの提供と入居者の確保に努めてまいります。自動車教習所は、全車種教習に加え、北海道労働局認定の技能講習や、国土交通省認定の適性診断と運行管理者の指導講習が全て1箇所で受けられる優位性を活かし、他校との差別化を図り、競争力を高めてまいります。
持続可能な社会の実現に向けて、環境問題は切り離せない問題であることから、当社は、環境保護への取組を進めております。
人的資本についても、人材育成や、雇用確保に努めるほか、労働環境の整備や働き方改革を進めております。
なお、文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において当社グループが判断したものであります。
また、連結グループにおける記載が困難であるため、連結グループにおいて主要な事業を営む提出会社単体の記載としております。
(1) 環境保護への取組について
① ガバナンス
当社では社長を委員長とし、取締役、執行役員、部長及び労働組合幹部で構成する環境委員会を設置し、年間活動計画に基づき、バス燃料、電気、ガス、水道などのエネルギー使用量を把握し、脱炭素に向けた企業活動を進めます。
② 戦略
当社は、地域の一員として信頼される事業活動を行ううえで、環境保護活動に取り組むことが企業の社会的義務と考えております。環境保護活動を推進するため社員の環境保護活動への参加意識を高め、企業理念や環境関連法令を踏まえ、積極的な取組を行い、地球環境にやさしい乗り物として、バスの魅力向上に努めます。
③ リスク管理
(地球温暖化・大気汚染対策)
環境保全に対する公共交通機関の責任は非常に大きく、地球温暖化防止に関しては、省エネ運転を強力に推進、大気汚染防止に関しては点検整備の更なる徹底などを骨格とした大気汚染物質削減の対策を実践します。
(土壌・水質汚染対策)
有害物質による土壌汚染が発生した場合、その汚染された土壌を直接摂取したり、汚染された土壌から有害物質が溶け出した地下水を飲用すること等により人の健康に影響を及ぼすおそれがあります。給油施設での油漏洩防止、地下タンク及び油水分離槽の定期点検の実施等による土壌・水質汚染防止対策を実践します。
(廃棄物の排出抑制)
廃棄物の発生抑制や製品・部品としての再利用、循環資源の利用を促進します。これにより、天然資源の消費量や廃棄物発生量を減少させ、廃棄物に起因する温室効果ガスの排出削減に取り組みます。
(資源の有効利用)
限りある地球上の資源を有効活用するため、製品の購入に際しては、その必要性を十分に考慮し、品質や価格だけでなく環境負荷ができるだけ小さい製品を、環境負荷の低減に努める事業者から優先して購入します。
(騒音対策と施設周辺の環境整備)
騒音対策は地域環境の保全にとって大きな課題であり、省エネ運転によるバス運行時の騒音の抑制や整備工場等から発生する騒音の低減の工夫に取り組みます。また、職場内外の整理、緑化等環境整備に取り組みます。
④ 指標及び目標
当社は、地球温暖化対策計画(令和3年10月22日閣議決定)において運輸部門の目標となっている、温室効果ガスを令和12年度において平成25年度比35%削減することを、中長期の目標としております。
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基準年度 平成25年度 |
令和5年度 |
削減率 |
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温室効果ガスの排出の量 |
(万t-CO2) |
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△26% |
(注) 情報の集約に時間を要することから、令和5年度の数値を記載しております。
(2) 人的資本への取組について
① 戦略
当社は、社員一人ひとりの成長を支援し、安心して長く活躍できる環境を整備することで、企業価値の向上を目指しております。この目標達成のため、『人材の育成』と『社内環境整備』の両面から具体的な施策を推進しております。
『人材の育成』に関しては、社員が高い専門性と倫理観を兼ね備え、変化に対応できる人材へと成長できるよう、当社は継続的な人材育成に取り組んでおります。具体的には、職種や階層に応じたOJT(On-the-Job Training)に加え、Off-JT(Off-the-Job Training)による教育プログラムを設定し、知識やスキルの習得を支援しております。また、安全教育を定期的に実施し、安全に対する意識向上と事故防止に努めております。
『社内環境整備』に関しては、社員が安心して意欲的に働けるよう、当社は「人材の確保と定着」「働きやすい職場環境の整備」「社員の健康維持・増進」の観点から環境整備を推進しております。
「人材の確保と定着」については、優秀な人材の確保と長期的な定着を目指し、処遇改善としてベースアップや初任給、若年層の基本給の引き上げ等を実施しております。採用活動の強化にも注力しており、バス乗務員については、グループの中央バス自動車学校と連携したバス運転体験会の実施や、道内外での就職イベントへの参加といった採用手法を積極的に導入しております。整備員については、地域限定社員や未経験者の採用を推進して入社しやすい環境を整備するとともに、新卒採用に向けた学校訪問を強化しております。さらに、一度退職した社員が再び当社で活躍できる再入社制度(キャリアリターン制度)を導入しております。バス乗務員を目指す方には大型二種免許取得支援制度や養成乗務員制度を設けて資格取得を支援し、整備員を目指す学生には企業奨学金制度を提供して経済的な支援とキャリア形成をサポートしております。
「働きやすい職場環境の整備」については、社員が安心して働き続けられるよう、職場環境の改善にも取り組んでおります。社員をハラスメントから守るため、カスタマーハラスメントに対する基本方針を策定し、具体的な対応策を講じております。また、職場環境の改善や、休日増加や1日の所定労働時間の短縮など、長時間労働の是正を進め、ワークライフバランスの実現を推進しております。仕事と育児・介護の両立支援においては、出産・育児に関する休暇制度や職場復帰支援制度、育児休業中の社員との面談を通じてスムーズな職場復帰をサポートしております。加えて、時短勤務制度、在宅勤務・テレワーク制度など、社員の多様な働き方を支援する柔軟な制度を導入しており、これらの制度は、社員がいつでも必要な情報を確認できるよう専用のWEBサイトで公開しております。
「社員の健康維持・増進」については、社員が心身ともに健康に働くことができるよう、健康管理体制の強化を進めております。具体的には、健康管理システムの導入、メンタルヘルス相談窓口の設置、ストレスチェック体制の強化を通じて、社員の健康状態の把握とケアに努めております。さらに、生活習慣病及び人間ドックの受診費用に対する個人負担を軽減し、受診率の向上を図ることで、社員の疾病の早期発見・早期治療を支援しております。
② 指標及び目標
具体的な計画と、その実績及び進捗状況等は下記のとおりであります。
(a) 女性活躍推進法に基づく行動計画
(計画期間 令和3年4月1日~令和8年3月31日)
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計画 |
実績、進捗状況等 |
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乗務員の女性応募者数を現状から20%増加させる。 |
令和6年3月期では応募がありませんでしたが、令和7年3月期では5名の応募があり、2名が現在バス乗務員として活躍しております。引き続き応募者数を増加させるべく、当社で活躍している女性乗務員の働く様子をホームページに掲載するなど、PR活動の強化や女性休憩室の環境整備を進めるなど取り組んでまいります。 |
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整備員の女性応募数を1名以上とする。 |
現時点で女性からの応募はありませんが、引き続き採用に向け取り組んでまいります。 |
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女性総合職事務員が配置されていなかった部門に、新たに女性総合職事務員を配置する。 |
女性総合職事務員が配置されたことがない部門に順次配置しております。 |
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在宅、テレワークの利用者を1名以上とする。 |
育児との両立を目的とした在宅・テレワークは多くの社員が利用しております。 |
(b) 次世代育成支援対策推進法に基づく一般事業主行動計画
(計画期間 令和4年4月1日~令和9年3月31日)
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計画 |
実績、進捗状況等 |
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女性の育休取得率を75%以上、男性の育児休業取得者を1名以上にするとともに、配偶者出産時の休暇取得奨励を継続する。 |
令和7年3月期では女性の育休取得率は100%(対象者1名)でした。男性の育児休業取得者は3名となっております。 |
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社員が利用できる仕事と育児の両立支援制度についての周知を行う事により、制度の有効活用を図る。 |
制度の有効活用を図るため、仕事と育児の両立支援として、相談窓口の設置、妊娠等の申し出があった社員への育児休業制度の説明と取得意向の確認を実施しております。また、これらの制度は社員専用WEBサイトでいつでも確認が可能となっております。 |
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地域の子供たちの健全育成を図るとともに、公共交通機関に対する理解を深めてもらうため、職場体験見学を受け入れる。 |
地域社会の一員として社会貢献活動に取り組んでおり、主に小学生を対象にした乗車マナー教室や職場体験学習を各地域で実施しております。 |
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地域の学生に就労体験ができる機会を提供するため、インターンシップの受け入れを継続して実施する。 |
インターンシップを受け入れ、働くことへの理解を深める場を設けながら、意見交換等を行いました。 |
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 労働力不足
当社グループは、主要事業である旅客自動車運送事業をはじめとし労働集約型の事業が多く、社員採用において困難な状況が続き、労働力が不足することは需要に応じた供給が困難となり、今後の事業展開に支障をきたし、業績に大きな影響を与える可能性があります。
(リスクに対する対応策)
当社においては、不採算路線を中心とした路線の減便、廃止を実施しております。また、ベースアップや初任給、若年層の基本給引上げなど賃金面の処遇改善や、大型二種免許取得支援制度の導入、再入社制度(キャリアリターン制度)や養成乗務員制度の導入のほか、バスの運転体験会や個別説明会を開催するなど入社しやすい環境づくりを推進するとともに、定年延長、休日数増加、労働時間短縮などの在籍社員の定着向上に向けた処遇改善の実施や、車両整備用機器の更新、新設による整備作業の省力化、効率化などにより、女性活躍を含めた働き方改革、ワークライフバランスの実現を推進しております。
グループ各社においても定年延長や休日数増加など女性活躍を含めた働き方改革を推進し、「中央バスグループ採用サイト」によりグループ全体として、地域に根差した様々な分野での事業を展開していることを広く周知するとともに、各社の採用情報や地域の情報などについて一元的かつ効果的に発信し、人材確保に繋げております。
(2) 重大事故等の発生
① 旅客自動車運送事業においては、安全輸送が経営の根幹かつ社会的使命であります。しかしながら、道路を運行している特性上、重大事故の可能性は常にあります。万一、不測の重大事故等が発生した場合は社会的信用の失墜を招くとともに、車両の使用停止、事業計画の一定期間停止等の処分対象となり、業績に大きな影響を与える可能性があります。
(リスクに対する対応策)
イ 安全輸送に関する安全方針の策定
運輸安全マネジメント制度に基づき、当社では安全方針を定め、「人命尊重・安全最優先」の理念のもと、安全管理体制の構築、輸送の安全性の向上に取り組んでおります。
毎年「輸送の安全に関する目標」を策定し、計画、実行、評価、改善のPDCAサイクルを活用しながら、目標達成に向け更なる安全意識の向上に努めております。
ロ 重大事故等への対応
車両火災等不測の事故が発生した場合に備え、全バス乗務員に対し年3回以上の車両火災対応訓練を実施する等、重大事故想定訓練を実施しております。
また、輸送安全管理委員会の開催、部長集合指導教育の実施及び社内通知の出状などにより、営業所長を含め、現場社員に対し非常事態発生時の対応手順の周知徹底を図っております。
ハ 安全教育
お客様に安全・安心なバスを提供できるよう運転技能や接遇サービスの向上を目的とした安全教育を実施しております。当社グループの中央バス自動車学校での研修も活用し、新規採用時から隔年で勤続年数別に継続して実施、乗務員の高齢化への対応として60歳以上の乗務員を対象に適齢乗務員研修を行うなど、長年にわたり乗務員の安全運転やサービスの習熟度向上を図っております。
二 安全運行を支える整備
バス運行の拠点となる営業所では、日々の運行管理を徹底し、輸送の安全性の向上に努めております。また、運輸局指定整備工場(民間車検場)が3ヶ所あり当社グループの車両に関わる整備を手がけております。さらに各営業所にも認証工場が併設され、所属車両の点検整備に万全の体制を整えております。
ホ 事故防止・安全対策
(a) 交差点右左折時における歩行者等への安全確認を確実に実施し事故を防止するため、横断歩道手前等での一旦停止(または最徐行)に取り組んでおります。バス後部にステッカーを掲出し、取り組みをお知らせしております。
(b) バス走行中の車内移動による転倒事故防止を目的として、バス車内床面に注意喚起ステッカーを貼付、また、平成28年より導入を進めている液晶運賃表示器OBCビジョンでも映像表示し、お客様が視認しやすい呼びかけを行っております。
へ 乗務員コンテスト
平成28年から、乗務員の士気向上と、輸送の安全確保、顧客満足度(CS)の向上を目的とした乗務員コンテストを開催、運転操作・接遇・車両点検の実施状況を確認し、今後の改善につなげております。
平成30年からはグループバス会社も参加し、選抜された乗務員が集い、日頃培った技能を披露し、安全・安心の意識を高める良い機会となっております。
② 建設業においては、施行の安全を経営の最優先としておりますが、予期しない重大事故や労働災害が発生した場合には、社会的信用の失墜を招くとともに、工事の遅延や、指名停止の処分などにより、業績に大きな影響を与える可能性があります。
(リスクに対する対応策)
安全パトロールや安全教育の実施により施行の安全を徹底するとともに、適切な工事保険の付保により、リスクの低減に努めてまいります。
(3) 新型コロナウイルス感染症等による影響
令和5年5月8日から感染症法上5類の疾病へと移行した新型コロナウイルスについては、法律に基づく様々な制限が撤廃されましたがウイルスが無くなったわけではなく、他の感染症も含め今後も感染が拡大することが十分に考えられます。
当社グループは、主要事業である旅客自動車運送事業を始めとし、労働集約型の事業が多く、社内で感染が拡大すると、事業の維持に支障が生じ、業績に大きな影響を与える可能性があります。
(リスクに対する対応策)
旅客自動車運送事業においては、感染防止対策として、バス車内の換気、バス車両のウイルス抗菌加工を実施しております。またインフルエンザ等も含め感染症の拡大が見られる際には、マスク着用等により感染拡大防止に努めてまいります。
(4) 旅客自動車運送事業における補助金
路線単位の収支状況等に基づき、国や地方自治体から補助金を受けておりますが、国及び地方自治体の財政状況等の変化により補助制度が改廃される可能性があります。補助金削減により直ちに路線から撤退できない場合、業績に大きな影響を与える可能性があります。
(リスクに対する対応策)
関係する地域や自治体との協議を進め、不採算路線対策を実施してまいります。
(5) 燃料の価格の変動
車両燃料につきましては、今後の海外情勢等により燃料油価格が変動した場合、その価格の動向は業績に大きな影響を与える可能性があります。
(リスクに対する対応策)
環境を念頭においた燃料節約運動を推進するとともに、他の費用を節減すること等で対応してまいります。
(6) 利用者の減少
少子高齢化や札幌圏を除く道内での過疎化等により、バス利用者の減少が続いております。今後も輸送需要の減少傾向は続くと予想され、業績に大きな影響を与える可能性があります。
(リスクに対する対応策)
需要に応じた供給体制を構築してまいります。
(7) 火災、地震等の自然災害
当社グループは、多数の営業拠点を保有して事業展開しておりますが、火災のほか大規模地震やその他の自然災害等の発生時には、当社グループの各事業において被害が生じ、業績に大きな影響を与える可能性があります。
(リスクに対する対応策)
各事業別に大規模地震等に対応する事業継続計画を作成、検証し、必要な見直しを実施しております。
また、グループ各社及び当社の各営業所等では大規模災害の発生による被害の影響を最小限にとどめるとともに、業務の早期復旧を図ることを目的とする防災マニュアルを作成、検証し、必要な見直しを実施しております。なお、防災設備の整備・点検には万全を期しております。
(8) 法的規制
当社グループは、道路運送法、道路交通法、エネルギーの使用の合理化に関する法律(省エネ法)、建設業法、公衆浴場法、食品衛生法等様々な法令や規則等の適用を受けており、事業活動を行っております。これらの法令や規則に違反した場合、またはこれらの法令や規則の変更等があった場合、当社グループの事業活動が制限されるほか、法令・規制等を遵守する費用が発生するなど、業績に大きな影響を与える可能性があります。
(リスクに対する対応策)
法令遵守を徹底してまいります。法令遵守に関する対応策は下記の「(9) 法令の非遵守・不正行為」に記載のとおりであります。
(9) 法令の非遵守・不正行為
当社グループの役員及び社員等の故意、過失による法令違反は、当社グループの信用が失墜し、経営危機に陥るおそれがあるため、業績に大きな影響を与える可能性があります。
(リスクに対する対応策)
社長を委員長とし、取締役、執行役員、部長、及びグループ会社社長で構成する企業倫理並びに危機管理委員会を設置し、年間活動計画に基づき、企業倫理と危機管理に係る社内体制・社内規程等の整備及び運用状況の確認、社員への教育・啓発活動等を実施しております。
社員教育については、グループ統一社是「グループ五訓」のもと、各社員が「中央バスグループ企業倫理規範」を遵守し、高い倫理観を持って誠実に実行することとしており、また、日常の実践すべき事項として「社員心得 基本10ヶ条」を定め、あらゆる機会を通じて浸透させ徹底を図ることで、社員の更なる意識向上を目指しております。
また、取締役会の直属の部署である内部監査室が、内部監査計画に基づき、各部署及びグループ会社における法令・定款・社内規程の遵守状況及び輸送の安全確保を含む危機管理体制を監査し、その結果を取締役会、企業倫理並びに危機管理委員会などに報告しております。
(10) 個人情報の漏洩
当社グループは、グループ各社において、個人情報を保有し管理しておりますが、サイバー攻撃、コンピューターウイルス感染、人的ミス等によって個人情報が漏洩する問題が発生した場合、信用失墜や損害賠償請求などにより、業績に大きな影響を与える可能性があります。
(リスクに対する対応策)
当社グループは、保有する情報資産を個人情報保護法などの法令及び当社グループで制定する「情報セキュリティ基本規程」に基づき適切に管理、保護しております。また、情報セキュリティ教育を通じて、情報セキュリティの重要性を周知しております。
なお、サイバー攻撃やコンピューターウイルス感染に対応するため、サイバーセキュリティ対策を講じております。
(11) 建設業の業績変動
建設業は、深刻な人手不足や建設資材の高騰が続く厳しい経営環境の中で熾烈な受注競争が繰り広げられ、業績に大きな影響を与える可能性があります。
(リスクに対する対応策)
事業の根幹である人材の確保と育成を経営の最優先として推し進めるとともに、ICTの活用による生産性の向上と営業力の強化に努めてまいります。
(12) 観光関連事業における天候不順等
観光関連事業は、冬期営業期間のスキー場における雪不足や悪天候、夏期営業期間においても悪天候等により来客数が減少すると、業績に大きな影響を与える可能性があります。
(リスクに対する対応策)
施設の魅力を高める施策の実施や情報発信の強化による観光の通年化に取り組むとともに、天候に左右されない商品の拡充を図ってまいります。
(13) 不動産事業におけるテナント退去及び賃料引き下げ
不動産事業は、景気動向、企業業績、需給動向の影響を受けやすい傾向があります。景気低迷等によるテナントの退去や賃料等契約条件の引き下げの動きが生じ、業績に大きな影響を与える可能性があります。
(リスクに対する対応策)
契約に際しては、リスクを勘案した敷金を受領するとともに、原則、賃貸料を前受で受領しております。
(1) 経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態及び経営成績の状況
イ 財政状態
資産合計は39,514百万円(前連結会計年度比6.4%増)となりました。これは、現金及び預金が2,679百万円増加したこと、投資有価証券が1,424百万円減少したこと等によるものであります。
負債合計は9,913百万円(前連結会計年度比6.5%増)となりました。これは、固定負債のリース債務が776百万円増加したこと等によるものであります。
純資産合計は29,600百万円(前連結会計年度比6.3%増)となりました。これは、利益剰余金が2,146百万円増加したこと等によるものであります。
ロ 経営成績
当連結会計年度におけるわが国経済は、企業収益や雇用・所得環境が改善する中、緩やかに回復しました。道内の経済においては、個人消費が堅調に推移するとともに、観光需要が増加しました。
一方では、物価上昇や深刻な人手不足の状況が続くなど、依然として不透明な状況が続いております。
このような経営環境の中、当連結会計年度の業績は、売上高は35,990百万円(前連結会計年度比6.4%増)、営業利益は2,265百万円(同93.7%増)、経常利益は2,638百万円(同80.3%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は、投資有価証券売却益の計上などにより、2,262百万円(同140.4%増)となりました。
セグメント別の経営成績は、次のとおりであります。
(旅客自動車運送事業)
乗合運送事業は、札幌市内線などにおいて令和6年12月1日に運賃改定を実施したことや、新千歳空港連絡バスが好調に推移したことなどにより、増収となりました。
一方では、深刻な人員不足により令和6年4月1日及び12月1日のダイヤ改正において、札幌圏を中心に路線の廃止、減便などを実施しました。
貸切運送事業は、一般団体の受注が増加したことなどにより、増収となりました。
この結果、旅客自動車運送事業全体として、売上高は19,014百万円(前連結会計年度比2.4%増)、バス乗務員の人件費やバス燃料費、バス車両の減価償却費などの費用減少もあり、営業利益は848百万円(同242.4%増)となりました。
(建設業)
建設業は、道内の公共投資や民間設備投資が堅調に推移する中、完成工事高が増加しました。
この結果、売上高は10,576百万円(前連結会計年度比3.0%増)、営業利益は620百万円(同69.2%増)となりました。
(清掃業・警備業)
清掃業・警備業は、新規物件を受注したことなどにより、増収となりました。
この結果、売上高は3,506百万円(前連結会計年度比2.3%増)、外注費の増加などにより営業利益は116百万円(同1.5%減)となりました。
(不動産事業)
不動産事業は、新規賃貸契約の獲得などにより、増収となりました。
この結果、売上高は816百万円(前連結会計年度比5.3%増)、営業利益は310百万円(同4.4%増)となりました。
(観光関連事業)
ニセコアンヌプリ国際スキー場は、外国人利用客が増加する中、リフト料金を改定するとともに、レストランの夜間営業を強化しました。
小樽天狗山スキー場は、映画のロケ地となったことによる知名度向上やメディア露出効果に加え、クルーズ客船の小樽港への寄港回数が増加したこともあり、ロープウェイ利用客が増加しました。
ニセコ温泉郷「いこいの湯宿いろは」は、繁忙期の宿泊料金や日帰り入浴料金を改定しました。
砂川ハイウェイオアシス館は、イベントを開催するなど集客に努めました。ワイン&カフェレストラン「小樽バイン」は、レストランメニューをリニューアルするとともに、売店の取扱商品を拡充しました。また、旅行業は、町長がガイドを務める地域と連携したツアーなどを実施し、増収に努めました。
この結果、観光関連事業全体として、売上高は2,917百万円(前連結会計年度比19.1%増)、営業利益は462百万円(同152.1%増)となりました。
(その他の事業)
物品販売業は、商品の取扱いが増加しました。自動車教習所は、入校生が増加しました。介護福祉事業は、令和6年6月に、サービス付き高齢者向け住宅3棟目となる「マイラシーク手宮」を小樽市内に開業しました。
この結果、その他の事業全体として、売上高は2,635百万円(前連結会計年度比13.0%増)、介護福祉事業の開業時の費用もあり、営業利益は3百万円(前連結会計年度は25百万円の営業損失)となりました。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末から3,166百万円増加し、12,493百万円(前連結会計年度比33.9%増)となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況は、次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
税金等調整前当期純利益2,727百万円に減価償却費等を加減した結果、得られた資金は2,940百万円(前連結会計年度比12.6%減)となりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資有価証券の売却及び償還による収入2,174百万円、有形固定資産の取得による支出1,372百万円があったこと等により、得られた資金は727百万円(前連結会計年度は1,552百万円の資金の使用)となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
子会社の自己株式取得による支出が335百万円、配当金の支払額が115百万円あったこと等により、使用した資金は501百万円(前連結会計年度比318.0%増)となりました。
③ 生産、受注及び販売の実績
当社グループは、旅客自動車運送事業等の役務の提供を主体とする事業を行っているため、生産、受注の実績については記載を省略し、販売の実績については「(1) 経営成績等の状況の概要 ① 財政状態及び経営成績の状況」に記載しております。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
イ 財政状態
財政状態の分析につきましては、「(1) 経営成績等の状況の概要 ① 財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりであります。
ロ 経営成績
経営成績の分析につきましては、「(1) 経営成績等の状況の概要 ① 財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりであります。
ハ 経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載のとおりであります。
ニ キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
(キャッシュ・フロー)
キャッシュ・フローの分析につきましては、「(1) 経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
(資金需要)
当社グループの運転資金需要のうち主なものは、旅客自動車運送事業におけるバスの運行に係る人件費・バス燃料費のほか、建設業等における材料仕入、製造費、各事業についての販売費及び一般管理費等の営業費用であります。投資を目的とした資金需要は、輸送の安全の確保、輸送サービスの向上及び事業拡大のための設備投資等によるものであります。
(資金の流動性)
運転資金につきましては、自己資金を基本としており、一時的な資金調達につきましては、銀行借入(当座貸越契約)によっております。
(資金繰り等)
当社グループの現金及び現金同等物の期末残高は12,493百万円であり、当面の資金繰りに問題はないと考えております。
また、当社グループの当座貸越契約における極度額は12,870百万円であり、十分な資金調達枠を確保しております。なお、借入実行残高はありません。
ホ 経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループは、持続的な成長、発展のためには、収益基盤を一層強化し、着実に企業価値を向上させることが必要であると考えております。そのために、中長期的な総資産の効率的運用、収益性の向上(売上高営業利益率の向上)を目指しております。
ヘ セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
セグメントごとの経営成績の状況につきましては、「(1) 経営成績等の状況の概要 ① 財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりであります。
旅客自動車運送事業のセグメント資産は、有形固定資産の取得等により、13,129百万円(前連結会計年度比9.1%増)となりました。
建設業のセグメント資産は、現金及び預金の減少等により、4,448百万円(前連結会計年度比7.7%減)となりました。
清掃業・警備業のセグメント資産は、流動資産のその他の増加等により、1,394百万円(前連結会計年度比0.6%増)となりました。
不動産事業のセグメント資産は、有形固定資産の減価償却等により、5,730百万円(前連結会計年度比1.9%減)となりました。
観光関連事業のセグメント資産は、有形固定資産の取得等により、3,675百万円(前連結会計年度比26.3%増)となりました。
その他の事業のセグメント資産は、現金及び預金の増加等により、1,153百万円(前連結会計年度比19.4%増)となりました。
② 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に準拠して作成しております。重要な会計方針は「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載しております。この連結財務諸表作成に際し、経営者は決算日における資産・負債の報告数値及び報告期間における収入・費用の報告数値に影響を与える様々な要因・仮定に対し、過去の実績等を勘案し合理的に判断して見積りを行っております。実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。
連結財務諸表に与える影響が大きいと考えられる項目は以下の通りであります。
(繰延税金資産の回収可能性)
「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 重要な会計上の見積り」に記載のとおりであります。
(工事原価総額の見積り)
「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 重要な会計上の見積り」に記載のとおりであります。
該当事項はありません。
該当事項はありません。