(1)業績
当期におけるわが国経済は、緩やかな回復基調で推移しました。タイトな労働需給環境を背景とした雇用所得の改善に伴う個人消費の回復および輸出を中心とした好調な企業業績を背景に設備投資が堅調に推移したこと等が原動力となりました。
物流業界においては、国内貨物輸送量の低迷に加えて、原油価格の上昇による燃料費の負担増、長きにわたる運賃の低迷およびドライバー不足などの構造的課題から引き続き厳しい経営環境が継続しています。
このような厳しい経営環境の下、当社グループは、既存事業の競争力向上および新規事業領域の追求などが重点テーマである中期経営計画の着実な実践により、持続的な成長を通じて企業価値の更なる向上に取り組んでいます。
これらの結果、営業収益は、前年の流通貨物における合弁事業からの撤退や、石油輸送における国内石油製品需要の減少等の要因により、前年同期比1.7%減の471億17百万円となりました。
経常利益は、不採算であった合弁事業からの撤退による改善はあったものの、貨物輸送におけるトラック輸送の減少、石油輸送における輸送量の減少等により、前年同期比7.2%減の9億78百万円となりました。また、親会社株主に帰属する当期純利益は、前年の合弁解消による関係会社株式売却益の反転等により前年同期比42.0%減の5億72百万円となりました。
セグメント別の業績概況は次のとおりであります。
《貨物輸送》
当部門の貨物取扱量は、船舶利用輸送における関東から九州向けの増加やトラック貨物輸送における栃木物流センター第2倉庫の早期竣工影響による増加はあったものの、一部既存顧客の契約解除や入札不調等により減少しました。
これらの結果、営業収益は前年同期比1.3%減の235億5百万円となり、経常利益は前年同期比9.6%減の6億55百万円となりました。
《潤滑油・化成品》
潤滑油部門の取扱量は、引き続き国内需要が底堅かったことから堅調に推移(前年同期比102.2%)しました。また、化成品部門についても、トルエン等の国内需要の減少傾向が継続しているものの、関西地区における既存顧客の入札案件を落札したことおよび既存顧客の構内業務拡大案件を獲得したこと等から、同じく堅調に推移(同102.5%)しました。
これらの結果、営業収益は潤滑油部門において前年同期比5.0%増、化成品部門においても同5.1%の増となり、事業部全体では同5.0%増の47億91百万円となりました。
経常利益では、取扱量の増に加え自社施設の高稼働を維持させたこと等から、前年同期比30.5%増の1億64百万円となりました。
《流通貨物》
当部門の貨物取扱量は、平成28年4月から立ち上げた神奈川流通センターにおいては、冷凍通販業務、医療系センター前センター業務、コンビニエンスストア(CVS)向けフローズン・チルド流通加工業務、低温野菜保管業務を新規に獲得したことで堅調に推移しました。しかしながら、合弁事業である丸運トワード物流㈱からの撤退(平成27年11月末)に加え、輸入野菜および国産野菜の流通において、両者とも自然災害の影響により収穫量が減少し取扱量が伸び悩んだことから大幅に減少しました。
これらの結果、営業収益は前年同期比59.1%減の6億54百万円となりました。
一方、経常損失では、同合弁事業からの撤退による赤字解消もあり前年同期比70百万円改善の4百万円となりました。
《国際貨物》
当部門の輸出入に係る貨物取扱量は、国内からの重量品貨物輸送量が大幅に増加し、また海外事業では、中国国内の取扱量が丸運物流(天津)有限公司を当期から連結対象範囲に含めたことおよび中国の既存事業全般が堅調に推移したことから増加しました。
これらの結果、営業収益は部門全体として前年同期比11.1%増の59億7百万円となりました。
経常利益は、丸運物流(天津)有限公司の事業基盤構築の初期投資などのコスト負担の影響もあり、前年同期比26.1%減の30百万円となりました。
《石油輸送》
当部門の取扱量は、国内石油製品需要の減少の影響により、前年同期比1.6%減少となりました。
営業収益は、輸送量の減少の影響により、前年同期比2.7%減の122億13百万円となり、経常利益についても前年同期比22.0%減の1億95百万円となりました。
(2)キャッシュ・フロー
当期末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前期末に比べ3億34百万円減少し、15億50百万円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は16億36百万円となり、前期に比べ5億24百万円減少しました。この主な要因は、税金等調整前当期純利益が1億42百万円減少したこと、年度末における営業収益が増加したことに伴う売上債権の増加及び法人税等の支払額が減少したことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は16億71百万円となり、前期に比べ4億円増加しました。この主な要因は、栃木物流センター第2倉庫の建設費及び車両等の固定資産の取得による支出をしたことによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果使用した資金は6億2百万円となり、前期に比べ3億32百万円減少しました。この主な要因は、借入金返済の減少によるものであります。
(1)営業実績
① 営業収益
当連結会計年度の営業実績をセグメントごとに示すと次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 平成28年4月1日 至 平成29年3月31日) |
|
|
営業収益(百万円) |
前年同期比(%) |
|
|
貨物輸送 |
23,505 |
98.7 |
|
潤滑油・化成品 |
4,791 |
105.0 |
|
流通貨物 |
654 |
40.9 |
|
国際貨物 |
5,907 |
111.1 |
|
石油輸送 |
12,213 |
97.3 |
|
報告セグメント計 |
47,073 |
98.4 |
|
その他 |
43 |
65.0 |
|
合計 |
47,117 |
98.3 |
(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。
2.その他の事業は、損害保険代理業・事務代行業等であります。
3.営業収益には、消費税等は含まれておりません。
② 主要顧客別販売実績
|
相手先 |
前連結会計年度 (自 平成27年4月1日 至 平成28年3月31日) |
当連結会計年度 (自 平成28年4月1日 至 平成29年3月31日) |
||
|
金額(百万円) |
営業収益に対する割合(%) |
金額(百万円) |
営業収益に対する割合(%) |
|
|
JXエネルギー株式会社 |
13,568 |
28.31 |
13,324 |
28.28 |
|
合計 |
13,568 |
28.31 |
13,324 |
28.28 |
(注)1.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
2.JXエネルギー株式会社は、平成29年4月1日に社名をJXTGエネルギー株式会社に変更しております。
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)経営方針
当社グループは、お客様の変化に対応し信頼を獲得するために、安全品質の向上に取り組み、全国ネットワークと多様な輸送手段を持つ総合物流企業集団として、お客様とともに成長・発展することを目指しております。
(2)経営環境
わが国経済は、世界経済の回復基調を背景とした堅調な輸出、東京オリンピック・パラリンピック関連など首都圏での建設需要および人手不足対策としての合理化・省力化投資を中心とした設備投資などにより緩やかに回復するものと見込まれます。しかしながら、海外経済は、英国のEU離脱交渉の本格化や欧州各国での選挙など経済・政治両面の不透明感による下押しリスクに加えて、トランプ政権の政策運営により不確実性が高まるリスクもあることから注視が必要であります。
物流業界は、国内市場の貨物総量低迷、長年にわたる低運賃体系および構造的なドライバー不足など厳しい経営環境に加えて、Eコマース市場の成長など物流サービスに対する顧客ニーズ変化への対応と労働環境の改善および物流施設の安全対策などが喫緊の経営課題となっています。
このような厳しい経営環境から、物流業界において、業務提携、M&Aおよび運賃改定交渉などの動きが加速することが見込まれます。
(3)事業上の対処すべき課題
当社グループは、経営環境の変化に迅速に対応すべく、新たに平成29年度を初年度とする3ヶ年の中期経営計画を策定するとともに、当社グループの10年後の目指す姿を示した「長期経営ビジョン」および当社グループの業務・意識変革を目的とする「丸運イノベーション」を策定しました。この結果、「丸運グループ経営理念」の下、丸運グループの経営計画体系を整備しました。
当社グループは、長期経営ビジョンで表明している『私たちは、今後10年間に毎年2%以上の成長を続け、組織そして個人も、ともに20%以上パワーアップした姿に進化しています』の実現に向けて、丸運イノベーションの4方向アプローチ(Business Innovation、Mind Innovation、Cost Innovation、System Innovation)を丸運グループ全体に展開し、更なる飛躍への礎を構築することに努めます。
その結果、中期経営計画の最終年度(平成31年度)において、営業収益530億円、経常利益16億円、売上高経常利益率3%を目標とします。
セグメント別の課題は、以下のとおりです。
≪貨物輸送≫
当部門においては、顧客の物流ソリューションを解決する提案営業力の強化により、既存顧客の深耕と新規顧客の獲得を図るとともに、鉄道利用運送の促進、共同配送ネットワークの充実および店所の収益力向上による既存事業の生産性向上に努めます。
また、首都圏地区の拠点能力の拡充および関西地区の物流拠点再編などの課題については、迅速に対応し、物流拠点能力の競争力の向上に努めます。
≪潤滑油・化成品≫
当部門においては、危険物・毒劇物輸出入一貫物流体制および顧客の物流業務の一括請負業務の更なる強化に取り組み、また既存顧客に対する提案力を一層向上させることにより、既存取引の深耕とともに新たなニーズを開拓し、業容の拡大に努めます。
≪流通貨物≫
当部門においては、首都圏に流通加工拠点を構築しCVSおよび総合スーパーマーケットに対応可能な事業の整備に取り組みます。新座流通センターにおいては、生鮮野菜の流通加工業務の深化を進めて収益力の強化に努めます。
また、昨年度開業した神奈川流通センターは、CVS向けスイーツ流通加工を中心に事業基盤を確立することに努めます。
≪国際貨物≫
当部門においては、貨物輸送事業部および潤滑油・化成品事業部との連携による内外一貫物流体制の充実により、広くお客様へのシームレス物流を提供できるよう、物流サービス機能の高度化に努めます。
中国市場では、華南地区における物流事業を強化するため、丸運国際貨運代理(上海)有限公司が広東省沸山市に分公司を設立し、平成28年11月から営業を開始しました。今後は、丸運安科迅物流(常州)有限公司および丸運物流(天津)有限公司とも連携を図ることで、中国の物流ネットワークの強化に努めます。
また、経済成長に伴い物流ニーズが拡大している東南アジア市場へ進出することにより、当社グループの海外事業の多角化に努めます。
≪石油輸送≫
当部門においては、国内石油製品市場の縮小基調に変化はなく、また、石油元売企業の経営統合により市場構造の大きな変化が見込まれておりますが、顧客からの信頼の基盤である安全品質の向上を重要課題として取り組みます。加えて、構造的ドライバー不足の環境下ではありますが、営業基盤の強化により新規顧客との取引拡大に努めます。
①特定の取引先への依存
当社グループは、特定の取引先に対する売上が大きなウェイトを占めており、当該取引先や取引先が属する業界の景況に左右される場合もあり、当社グループの業績や財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、新規顧客の開拓や荷主の業種の多様化に努め、収益の安定化を図っております。
②危険物輸送
当社グループの主力事業の一つである液体輸送事業は、危険物・高圧ガス・劇毒物等を取り扱うため、保管や輸送上のトラブルが発生した場合、一般貨物輸送と比較して被害額が甚大となり、当社グループの社会的信用をはじめ業績や財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、石油、潤滑油・化成品輸送に関する安全教育や研修を積極的に行うとともに、交通ルール、作業マニュアルの遵守と車両、装備の保守・点検など具体的実施内容について、各年度毎の安全管理方針に掲げ、輸送上のトラブル防止に万全を期しております。
③燃油価格の上昇
当社グループの事業の中心である一般貨物輸送は、国内貨物輸送量の減少、新規業者の参入、顧客企業の物流費削減の動き等により、常に厳しい競争を余儀なくされております。このような中にあって、原油価格の上昇に伴い燃油単価が上昇するが、これを運賃に適正に転嫁できない場合には、当社グループの業績や財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、国内物流拠点の整備・拡充と国際複合一貫輸送の推進により、付加価値の高いサービスを提供し、収益を確保していくこととしております。
④法的規制及び環境・安全問題
当社グループは、貨物自動車運送事業法、道路運送法、倉庫業法等の法律に基づく許認可事業を営んでおります。特に貨物自動車運送事業法等の法令違反があった場合、行政処分等により営業活動に支障をきたすこともあり、また、環境・安全対策などの法的規制が強化された場合、コストアップの要因となります。このような場合、当社グループの業績や財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、物流企業としての公共性、社会的責任を認識し、社長を委員長とするコンプライアンス委員会を設置して法令遵守の徹底を図っております。
⑤顧客情報の管理
当社グループは、物流事業を行っており、これらの事業の特性上多くの顧客情報を取り扱っております。この顧客情報の取り扱いについては、社内教育等を通じて情報管理に最大限の努力をしておりますが、情報の外部漏洩が生じた場合、社会的信頼の喪失や損害賠償請求の発生等、当社グループの業績や財務状態に影響を及ぼす可能性があります。
特記すべき事項はありません。
特記すべき事項はありません。
(1)重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている企業会計の基準に基づき作成しております。この連結財務諸表の作成に関する重要な会計方針については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載のとおりであります。当社グループは、連結財務諸表を作成するに当たり、退職給付に係る負債、税効果会計、貸倒引当金の計上等において、過去の実績等を勘案するなど合理的な見積り・判断を行っておりますが、見積り特有の不確実性があるため、実際の結果はこれらの見積りと異なる場合があります。
(2)財政状態の分析
当期末の総資産は370億52百万円となり、前期末に比べ1億50百万円増加しました。
この主な要因は、債権流動化の減額や対前年に比べ期末時直近の営業収益が増加したことなどによる営業未収入金の増加6億12百万円及び栃木物流センター第2倉庫の営業開始に伴う資産計上等の有形固定資産の増加3億43百万円、その建築代金の支払いや借入金の返済に伴う現金及び預金の減少3億29百万円、貸付金の返済を受けたことによる短期貸付金の減少1億80百万円及び非連結子会社1社を連結の範囲に含めたこと等による投資有価証券の減少1億59百万円によるものであります。
負債合計は163億85百万円となり、前期末に比べ3億55百万円減少しました。この主な要因は、有利子負債の圧縮に努めた結果、長期・短期借入金が3億74百万円減少したことによるものであります。
純資産合計は206億66百万円となり、前期末に比べ5億5百万円増加しました。この主な要因は、親会社株主に帰属する当期純利益5億72百万円計上したこと、配当金の支払による減少2億31百万円、有価証券評価差額金の増加2億48百万円や非連結子会社1社を連結の範囲に含めたため、為替換算調整勘定が1億14百万円減少したことによるものであります。この結果、自己資本比率は前期末の54.5%から55.6%となりました。
(3)経営成績の分析
経営成績の分析については、「第2 事業の状況 1 業績等の概要 (1)業績」に記載しています。
(4)資本の財源及び資金の流動性についての分析
当連結会計年度における連結ベースの現金及び現金同等物は、前連結会計年度に比べ3億34百万円減少し、15億50百万円となりました。
キャッシュ・フローの詳細につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 ④連結キャッシュ・フロー計算書」をご参照ください。