第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)経営理念及び行動指針

当社グループは、経営理念と行動指針を以下のとおり定めています。

 

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(2)長期ビジョン

 当社グループでは、長期的な経営戦略として2022年5月に「2030丸運グループ長期ビジョン」を策定・発表しております。この長期ビジョンでは、当社グループの2030年のありたい姿を提示し、営業収益600億円以上、経常利益20億円以上を達成することを目標として、営業強化分野と次期成長分野にM&Aを含む総額120億円の積極投資を行っていくこととしております。

<2030丸運グループのありたい姿> ~事業の将来像~

  ◆ 貨物輸送とエネルギー輸送の両輪経営を継続し、高いコスト競争力と提案営業力を有する物流エキスパート企業となることを目指します。

  ◆ そのために、国内一般貨物を基盤として、素材の国内外一貫物流を強化すること、今後市場成長が見込まれるリサイクル物流分野、機工分野、食品流通分野及び潤滑油化成品等の危険物保管分野への積極的な投資を実行することにより成長を追求します。

  ◆ また、減少していく石油輸送については、安全を確保しつつ効率化を推進します。

 

(3)中期経営計画

長期ビジョンの実現に向けて、2023年度を初年度とする3ヵ年を対象とした第4次中期経営計画を策定しております。

中期経営計画策定後、国内では、地政学的な要因と円安によるインフレの進行、物流2024年問題に伴い一気に顕在化しているドライバー不足など、物流業界を取り巻く事業環境が厳しさを増しております。このような環境下、当社は、適正運賃・料金の収受についてコスト分析に基づく丁寧な説明・交渉を実施してまいりました。その結果、多くのお客様にご理解をたまわり、運賃・料金改定は大きく進展しました。

一方、中国経済の成長鈍化、米中貿易摩擦等に伴う貿易量の低迷は、当社の掲げる国内外一貫物流拡大の大きな阻害要因となっております。また、昨今の米国の関税政策をめぐる不確実性の増大は、お客様の稼働・荷動きを通じて当社の業容にも大きく影響する可能性があります。特に海外物流事業については、戦略の見直しを行い、生産財シフトに伴う設備輸送の強化などを図ってまいります。

第4次中期経営計画に掲げた基本方針ごとの対応状況は、以下のとおりです。

<基本方針1>長期ビジョン実現に向けた基礎固めと種まき

 基礎固め項目の一つである「提案営業力の強化」については、2024年4月に設置した営業開発部を中心に、新規顧客開拓と既存顧客の深耕を追求し、徐々に成果が出始めております。今後、更なる新規大型案件の獲得に努めてまいります。また、海外営業の強化について、ベトナムにおいて物流梱包事業を営むSAO NAM INTERNATIONAL SERVICE & TRADING JOINT STOCK COMPANY(以下、「SANCOPACK社」という。)と資本業務提携を実施しております。

 「コスト競争力の強化」については、複数の拠点でハンディターミナルの導入による効率化を進めたことに加え、デジタコデータの活用、自動点呼への対応など、更なるDX実装に向けて予算化を行い、2025年度での実施を目指してまいります。

 また、「次期成長分野拡大のための種まき」については、機工分野において永年の経験と優れた技能を保有する有限会社中村運輸機工の全株式を取得いたしました。今後も、M&Aや資本参加の更なる成案化に向け、積極的に活動を継続してまいります。

<基本方針2>2024年問題への適切な対応

 政府は、持続可能な物流の実現のため、改正物流関連二法を2025年4月1日付で施行しました。この法改正では、物流の効率化を促進するとともに、多重下請けの解消や実運送会社による適正運賃・料金の収受など、取引慣行の健全化に向けた規制を強化しております。これを受けて当社は、委託先との丁寧な運賃交渉及び管理システム改修等の必要な投資を行い、発注適正化のための取組みを強化しております。

 また、物流効率化の取組みにおいては、お客様と連携しながら、ドライバーの配送回数や配送業務の平準化を更に進めるとともに、リアルタイムの時間管理を強化するために、デジタコデータの活用システムを全車に導入してまいります。

 

(4)セグメント毎の課題及び対応

≪貨物輸送≫(持続可能な物流体制の維持強化及び更なる業容拡大)

 当部門においては、持続可能な物流体制の維持強化を重要な課題として認識しております。

 そのため、適正運賃・料金の収受によるドライバーの待遇改善に努めるとともに、採用活動を強化してまいります。

 また、提案営業力の強化のため司令塔として設置した営業開発部や、稼働を開始している営業情報システムにより迅速な情報共有を進め、素材関連の国内外一貫物流業務の獲得に努めてまいります。さらに、機工事業、通運事業といった当社の強みのある分野においてタイムリーな物流提案を行うことにより、更なる業容拡大を目指してまいります。

 

≪エネルギー輸送≫(石油輸送事業の徹底効率化とドライバーの確保、潤滑油・化成品事業の輸送・保管の強化)

 当部門においては、ドライバーの確保が喫緊の課題と認識しております。慢性的なドライバー不足に対しては、待遇改善を図るとともに、ホームページやSNS等を活用し採用活動を強化することで、お客様のサプライチェーンの維持に貢献してまいります。

 石油輸送事業については、引き続き、適正運賃・料金の収受に向けてお客様の理解を得ながら進めるとともに、事業のコスト競争力を強化し、エネルギーの安定供給に貢献してまいります。

 潤滑油・化成品事業については、培ってきた知見や設備の活用により新規案件の獲得に取り組むとともに、需要拡大が見込める関東地区において、危険物保管にかかる事業拡大に取り組んでまいります。

 

≪海外物流≫(国内外一貫物流の獲得及びベトナム事業の拡大)

 当部門においては、低調な推移が続く中国経済の影響を受け、国内外の輸出入の取扱が伸び悩む状態が続いております。また、昨今の米国の関税政策等により海外物流事業は総じて不確実性が増しております。このような環境の中で、事業を維持し、拡大に繋げる戦略の見直しが重要課題と認識しております。

 当社の掲げる海外から日本国内に向けた設備に関する一貫物流については、一層の提案営業を展開し、新規の業務獲得に繋げてまいります。

 また、ベトナム事業においては、資本提携を実施した現地の物流梱包事業会社であるSANCOPACK社とのシナジー効果を高めることで、梱包から保管、通関、仕向地での輸送・開梱の一連の業務を一貫して行えるワンストップ物流サービスの提供が可能になります。このサービスを通じて、ベトナム事業のさらなる拡大を目指してまいります。

 

≪テクノサポート≫(受託業務の安全・品質の向上による事業の維持継続)

 当部門においては、お客様の安全・安定操業を継続してサポートしていくことが、重要な課題と認識しております。

 そのためには、安定操業の為の人員確保と財源となる料金改定に注力し、作業効率向上に繋がる設備や労働環境の整備に投資してまいります。

 また、石油需要の縮小が見込まれる中で、お客様の環境・安全・品質活動に対する適切なサポートを継続し業務規模を維持してまいります。

 

(5)ESG経営

当社グループは、サステナブルな社会を支える総合物流企業として持続的な成長と企業価値向上を図るため、2021年度からESG経営を推進しております。具体的には「運輸安全の向上」「労働安全衛生の向上」「脱炭素社会の形成」「環境負荷の軽減」「ダイバーシティの推進」「コンプライアンスの徹底」を最優先課題(マテリアリティ)に設定し、グループ全社で取り組んでおります。特に、人手不足が社会全体の課題である中、「ダイバーシティの推進」においては、エンゲージメントサーベイやワークショップによる現状把握のもと、エンゲージメントの向上や多様な人財が能力を最大限発揮できる職場環境の構築に取り組み、引き続き人財の確保・定着に努めてまいります。これらの活動を通じて事業の持続的な成長を目指すとともに、持続可能な社会の発展に貢献してまいります。

 

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取り組みは、次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

<サステナビリティ全般>

(1)ガバナンス

 当社グループでは、サステナビリティに関する18項目の重要課題を抽出し、その中で最優先課題(マテリアリティ)を、脱炭素社会の形成、環境負荷の低減、運輸安全の向上、労働安全衛生の向上、ダイバーシティの推進、コンプライアンスの徹底の6項目に特定しました。

(注)最優先課題(マテリアリティ)特定プロセスの詳細は、丸運グループホームページをご覧ください。

 また、特定した課題に取り組むため、環境委員会、安全委員会、人権・人財委員会、社会貢献委員会の4委員会を設置しています。各委員会では、各方針案の策定や実行計画及び長期目標の確認と検討等を行っています。

 さらに、代表取締役社長を議長とする「丸運グループESG推進会議」を設置しています。本会議は社外取締役や関係会社社長含む役員等をメンバーとし、各委員会活動の方針承認、総括を行い、グループ全体のサステナビリティに関する取り組みを推進しています。

(注)ESG推進体制の詳細は、丸運グループホームページをご覧ください。

 

(2)戦略

 第2[事業の状況]「1[経営方針、経営環境及び対処すべき課題等](5)ESG経営」に記載しています。

 

(3)リスク管理

 当社グループでは、サステナビリティに関するリスク及び機会について、リスクマネジメント委員会が評価し、取締役会に報告しています。

 

(4)指標及び目標

 上記「<サステナビリティ全般>(1)ガバナンス」と「<サステナビリティ全般>(3)リスク管理」の枠組みを通じて、重要と判断した項目である気候変動及び人的資本の指標及び目標は、「<気候変動>(4)指標及び目標」及び「<人的資本>(3)指標及び目標」に記載しています。

◆ 脱炭素社会の形成

  2030年度のCO排出量を2019年度比20%以上削減する。

◆ 環境負荷の低減

  トラック、タンクローリー輸送と比較しCO排出量の少ない鉄道輸送及び内航船輸送を推進する。

◆ 運輸安全の向上

  重大事故件数 年間ゼロ件を達成する。

◆ 労働安全衛生の向上

  労働災害件数 年間ゼロ件を達成する。

◆ ダイバーシティの推進

  女性採用比率50%以上を維持する。

  女性管理職割合を10%以上に向上させる。

  障がい者法定雇用率2.5%を維持・向上させる。

◆ コンプライアンスの徹底

  コンプライアンス研修をより充実させることにより丸運グループ役員・従業員のコンプライアンス意識を徹底

  する。

 

<気候変動>

(1)ガバナンス

 気候変動に関する課題は、リスクマネジメント委員会を設置し、委員会内で識別したリスク・機会を、リスクマネジメント委員会の委員長である代表取締役社長が経営会議及び取締役会に報告します。取締役会は、気候変動に関するリスク・機会について報告(年1回以上)を受け、監督をします。

(注)気候変動に関する詳細は、丸運ホームページをご覧ください。

 

(2)戦略

①シナリオ分析

 当社グループは、短期・中期・長期の時間的観点を踏まえ、TCFD提言に基づき、気候変動に関するリスク・機会の把握を目的にシナリオ分析を行いました。シナリオ分析では、国際エネルギー機関 (IEA) 等の科学的根拠に基づき1.5℃シナリオと4℃シナリオを定義し、2030年(移行リスク)と2050年(物理リスク)時点で事業に影響を及ぼす可能性がある気候関連のリスクと機会の重要性を評価しました。

 

②リスク・機会の特定及び評価

 当社グループを対象に気候変動に関する移行・物理リスクを精査し、事業への影響度を定性的に評価しました。移行リスクでは政策・法規制から市場の変化まで、物理リスクでは急性リスクと慢性リスクについて検討を行いました。気候変動に関する様々なリスク・機会のうち、当社事業への影響があるものを記載しています。

 

③リスク・機会一覧

 影響度をもとに、重要度が高い気候変動に関するリスク・機会を特定しました。

大:当社への影響が非常に大きい

中:当社への影響はあるが限定的

小:当社への影響はほとんどない

 

 

区分

事業に及ぼす影響

時間軸

影響度

対応策

1.5℃

4℃

移行

リスク

 

法規制

炭素税導入に伴う、電力価格や燃料価格等高騰による、コスト増加

中期

・環境規制動向のモニタリング

・再生可能エネルギーの導入

・環境対応車両(EV・HV/LNG等)の導入

・鉄道や船舶等へのモーダルシフトの推進

・エコドライブの推進

・倉庫の大型化による拠点集約

・最適立地への配置を通じた物流効率化

廃棄物(保管容器等)の削減要請、リサイクル素材使用要請に伴うコスト増加

中期

・3R(リデュース、リユース、リサイク

 ル)の推進

技術

水素、EVトラック等の低GHG燃料を用いた技術の導入によって生じるコスト増加

中期~

長期

・環境対応車両の導入

脱炭素や環境負荷の低いサービスを重視する顧客ニーズに応えられないことによる、売上減少

中期

・脱炭素や環境負荷低減に向けた設備投資

市場

石油需要低下による、売上減少

中期~

長期

・石油国内需要の減少に合わせた効率化

評判

環境対策や十分な情報開示を行わないことによる、株主や投資家からの評判・企業価値の低下

短期~

中期

・ステークホルダーとの対話の充実

・ESG経営の推進

物理

リスク

物理

(急性)

大雨、洪水、台風等の異常気象による、サプライチェーン(原料調達・配送等)の寸断、配送遅延

中期~

長期

・リスク・危機管理体制の構築

・BCP対応

・定期的な施設の点検・補修

物理

(慢性)

気温上昇に伴う、労働環境悪化、生産性低下

長期

・労働環境の整備

・健康促進の取り組み

 

 

区分

事業に及ぼす影響

時間軸

影響度

1.5℃

4℃

機会

製品・

サービス

脱炭素への積極的な取り組み姿勢による、事業機会の創出、取引先の拡大

中期

サーキュラーエコノミーの拡大による、プラスチックを中心としたリサイクル物流(静脈物流)の売上増加

中期

環境配慮商品の需要増に伴う、非鉄需要の増大による売上増加

中期

再生可能エネルギーの普及に伴う、太陽光発電所向け電力ケーブルや送配電線網増強による売上増加

短期~中期

レジリエンス

脱炭素への積極的な取り組み姿勢に伴う、評判・企業価値の向上

中期

 

(3)リスク管理

 気候変動に関するリスクは、リスクマネジメント委員会が評価・選定します。選定されたリスクは、リスクマ

ネジメント委員会より経営会議及び取締役会に報告します。取締役会は、気候変動に関するリスク・機会について

報告(年1回以上)を受け、監督をします。

 

(4)指標及び目標

 当社グループでは、2030年度の長期目標として、CO₂排出量(Scope1及びScope2)2019年度比20%以上削減を目標にしています。

 具体的には、環境対応車両の導入、エコドライブの推進、再生可能エネルギーの導入等について、年度目標を設定し、その実現に向けて取り組んでいます。

 

実績値

2019年度

2020年度

2021年度

2022年度

2023年度

2024年度

39,190t-CO₂

38,434t-CO₂

38,377t-CO₂

36,881t-CO₂

35,855t-CO₂

34,977t-CO₂

長期目標

2030年度

削減率

31,351t-CO₂

2019年度比20%

(注)環境省「温室効果ガス排出量算定・報告・公表制度」で定められた算定方法及び排出係数により算定

 

<人的資本>

(1)ガバナンス

 人的資本に関する課題は、「人権・人財委員会」の中で、方針案の策定や実行計画及び長期目標の確認等を行っています。

 また、代表取締役社長を議長とする「丸運グループESG推進会議」を設置し、当社の社外取締役や関係会社社長含む役員等をメンバーとして、委員会の方針の承認、活動目標の設定、そして現状の把握と課題解決に向けた議論を行っています。

 

(2)戦略

 当社グループでは、人材の多様性の確保を含む人材の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針を、丸運コーポレートガバナンス・ガイドラインにおいて以下のとおり定めております。

①人材育成方針

 年度別人材開発計画に基づき、「OJT教育」、「Off-JT教育」(階層別教育・ビジネススキル教育)による教育を実施するとともに、数年毎のジョブローテーションにより様々な業務を経験させることで、多様な人材を育成する。

 年度毎の教育計画に基づき、階層別教育のほか、ビジネス・ヒューマンスキル教育、その他教育についても実施している。

 階層別教育は、新卒社員から役員までを対象とし、10コース程度を設置し、ビジネス・ヒューマンスキル教育およびその他教育は、指名型および応募型にてマネジメントおよびビジネススキル等をテーマに10講座程度を設置している。

 

②社内環境整備方針

 ワークライフバランスを重視した柔軟な勤務体系を整備し、従業員満足度を向上させることで、多様な人材を確保する。

 ESGにおける最優先課題として特定しているダイバーシティの推進については、ESG推進会議に人権・人財委員会を設置して取り組んでいる。

 

(3)指標及び目標

 当社グループでは、「上記(2)戦略」において記載した方針を実現するための諸施策は上記「丸運グループESG推進会議」の「人権・人財委員会」において推進しております。本委員会ではダイバーシティの推進において次の指標を用いております。当該指標に関する目標及び実績は、次のとおりであります。

指 標

目標(2030年度

2022年度実績

2023年度実績

2024年度実績

女性採用比率

50%以上の維持

42.9%

50.0%

52.9%

女性管理職割合

10%以上に向上

2.7%

4.6%

4.7%

障がい者雇用率

2.5%(法定雇用率)の維持・向上

2.9%

2.8%

3.4%

(注)いずれも丸運単体の数値(グループ会社においては、シニア社員の活用や現業作業における女性採用の推進な

  ど、各社の実態に即した目標を設定し取り組んでおります)

 

3【事業等のリスク】

(1)当社グループのリスクマネジメント体制

 当社グループでは、2025年4月1日に新たに「丸運グループリスクマネジメント基本方針」を制定し、下図のプロセスによるリスクマネジメントを開始しました。すなわち、代表取締役社長を委員長とし、執行役員・取締役を委員とするリスクマネジメント委員会が、リスクアセスメントによって洗い出されたリスクを評価し、重点対応リスクの選定と対応方針を決定し、経営会議に報告(答申)します。経営会議は、予算や中期経営計画に重点対応リスクの対応策を織込み、担当部署を決めて、その実行を指示します。リスクマネジメント委員会は対応策の実行のモニタリングを行い、リスク全体の再評価と新たな重点対応リスク・対応方針を決定します。経営企画部は、リスクマネジメント委員会の事務局としてこのサイクルを回し、当社グループのリスクマネジメントの実効性の向上を図っております。

 

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 リスクの評価においては、当社経営に与える影響度と発生頻度のそれぞれの最大を5点として評価し、重点対応リスクは、影響度と発生頻度の合計点数が6以上のものの中から、足元の経営環境におけるリスク増大傾向と対応の喫緊性などを考慮して選定することといたしました。

 

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(2)重点対応リスク

 上記のプロセスによって、2025年5月に選定された重点対応リスクとその対応方針は、以下のとおりです。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

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4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

①財政状態及び経営成績の状況

 当連結会計年度のわが国の経済は、物価の高止まりや米国の政策変動による懸念があったものの、好調なインバウンド需要の継続、賃上げの効果などにより、個人消費は緩やかに回復しました。さらに、脱炭素化に向けた取り組みや、人手不足対応などを背景としたデジタル化などの進展に伴い、企業の設備投資は拡大傾向が続き、景気は回復基調となりました。

 物流業界においては、ウクライナ侵攻等地政学的な要因と円安によるインフレの進行、燃料費の高騰や深刻な人手不足など、業界を取り巻く環境は依然として厳しい状況が続いております。貨物輸送数量は、個人消費の回復基調を受け消費関連貨物は堅調に推移し、前年同期比プラスの荷動きとなりましたが、生産関連貨物は、鉄鋼、化学工業品及び石油製品等が減少し、加えて、鉱工業生産も低調に推移したことから、前年同期比マイナスの荷動きとなりました。さらに、建設関連貨物も、大規模土木工事や住宅投資が引き続き低迷していることから大幅に減少し、国内の貨物総輸送数量は、前年同期を下回る状況で推移しました。

 このような経営環境の中、当社グループは、長期的な企業価値の向上を目指した「2030丸運グループ長期ビジョン」の実現に向けて、2023年度を初年度とする第4次中期経営計画を策定し、適正運賃・料金の収受及び提案営業力とコスト競争力の強化に取り組んでいます。

この結果、当連結会計年度の財政状態及び経営成績は以下のとおりとなりました。

 

イ.財政状態

当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末に比べ19百万円増加し、369億5百万円となりました。

当連結会計年度末の負債合計は、前連結会計年度末に比べ6億70百万円減少し、112億11百万円となりました。

当連結会計年度末の純資産合計は、前連結会計年度末に比べ6億89百万円増加し、256億94百万円となりました。

 

ロ.経営成績

当連結会計年度の経営成績は、営業収益は前年同期比2.6%増の461億45百万円、営業利益は前年同期比148.6%増の12億66百万円、経常利益は前年同期比98.9%増の14億1百万円、親会社株主に帰属する当期純利益は前年同期比168.1%増の11億16百万円となりました。

 

セグメント別の経営成績は次のとおりであります。

 

《貨物輸送》

営業収益は前年同期比0.1%減の224億4百万円、経常利益は前年同期比4億52百万円増の5億17百万円となりました。

《エネルギー輸送》

営業収益は前年同期比4.6%増の163億35百万円、経常利益は前年同期比1億28百万円増の5億80百万円となりました。

《海外物流》

営業収益は前年同期比6.3%増の54億60百万円、経常損益は前年同期比41百万円増の24百万円の損失となりました。

《テクノサポート》

営業収益は前年同期比7.3%増の19億16百万円、経常利益は前年同期比94百万円増の1億43百万円となりました。

 

②キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ2億16百万円増加し、21億74百万円となりました。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度における営業活動による資金の収入は、前連結会計年度に比べ6億66百万円増加し、32億53百万円となりました。この主な要因は、税金等調整前当期純利益が増加したことによるものであります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度における投資活動による資金の支出は、前連結会計年度に比べ4億54百万円増加し、17億28百万円となりました。この主な要因は、車両等の固定資産の取得による支出が増加したことによるものであります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度における財務活動による資金の支出は、前連結会計年度に比べ1億66百万円減少し、12億96百万円となりました。この主な要因は、長期借入金の返済による支出が減少したことによるものであります。

 

③販売の実績

イ.営業収益

当連結会計年度の営業実績をセグメントごとに示すと次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2024年4月1日

至 2025年3月31日)

営業収益(百万円)

前年同期比(%)

 貨物輸送

22,404

99.9

 エネルギー輸送

16,335

104.6

 海外物流

5,460

106.3

 テクノサポート

1,916

107.3

報告セグメント計

46,116

102.6

 その他事業

28

107.6

合計

46,145

102.6

 (注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。

2.その他事業の区分は各報告セグメントに含まれていない事業セグメントであり、不動産賃貸業、損害保険代理業及び事務代行業等であります。

 

ロ.主要顧客別販売実績

相手先

前連結会計年度

(自 2023年4月1日

至 2024年3月31日)

当連結会計年度

(自 2024年4月1日

至 2025年3月31日)

金額(百万円)

営業収益に対する割合(%)

金額(百万円)

営業収益に対する割合(%)

ENEOS株式会社

14,344

31.88

14,958

32.42

合計

14,344

31.88

14,958

32.42

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

①重要な会計方針及び見積り

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている企業会計の基準に基づき作成しております。この連結財務諸表の作成に関する重要な会計方針については、第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)に記載のとおりであります。当社グループは、連結財務諸表を作成するに当たり、退職給付に係る負債、税効果会計、貸倒引当金の計上等において、過去の実績等を勘案するなど合理的な見積り・判断を行っておりますが、見積り特有の不確実性があるため、実際の結果はこれらの見積りと異なる場合があります。

 

 

②当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

イ.財政状態

《資産》

 当連結会計年度末における総資産は369億5百万円となり、前連結会計年度末に比べ19百万円増加しました。この主な要因は、現金及び預金の増加3億60百万円、有形固定資産の増加1億88百万円、無形固定資産の減少3億63百万円及び投資その他の資産の減少1億16百万円等によるものであります。

《負債》

 当連結会計年度末における負債は112億11百万円となり、前連結会計年度末に比べ6億70百万円減少しました。この主な要因は、短期借入金の減少7億50百万円、長期借入金の減少2億50百万円及び未払法人税等の増加3億8百万円等によるものであります。

《純資産》

 当連結会計年度末における純資産は256億94百万円となり、前連結会計年度末に比べ6億89百万円増加しました。この主な要因は、親会社株主に帰属する当期純利益を11億16百万円計上したことによる増加、配当金の支払による減少2億88百万円及びその他有価証券評価差額金の減少84百万円等によるものであります。この結果、自己資本比率は前連結会計年度末の67.1%から68.9%となりました。

 

ロ.経営成績

 当社グループの当連結会計年度の営業収益は、運賃・料金改定の効果により、前年同期比2.6%増の461億45百万円となりました。

 経常利益は、既存顧客の荷動きは減少したものの、運賃・料金改定による増益の影響が大きく、また前年同期に比べ物流拠点の大規模修繕費用が抑えられたことから、前年同期比6億96百万円増の14億1百万円となりました。また、親会社株主に帰属する当期純利益は、投資有価証券の売却等により、前年同期比7億円増の11億16百万円となりました。

 

 セグメント別の業績概況は次のとおりであります。

 

《貨物輸送》

 当部門においては、アルミ材輸送及び流通加工業務の取扱量減等による減収要因があったものの、運賃・料金改定の進展による収支改善及び鉄道コンテナ輸送業務での取扱量増等の増益要因に加えて、前年同期ほど物流拠点での大規模修繕費用が発生しなかったことにより減収増益となりました。

 これらの結果、営業収益は前年同期並みの224億4百万円、経常利益は前年同期比4億52百万円増の5億17百万円となりました。

 

《エネルギー輸送》

 当部門においては、石油輸送事業では石油製品の内需減の影響等により、輸送数量が前期比3.6%減少となりました。また、潤滑油・化成品事業では自動車関連向けの配送が低調に推移したことに加え、溶剤等の需要減により輸送数量が前期比5.9%減少となりました。

 収支につきましては、ドライバー等の待遇改善を目的とした賃金改定や協力会社への運賃支払増はあったものの、主要顧客の運賃・料金改定による営業収益増に伴い、増収増益となりました。

 これらの結果、営業収益は前年同期比4.6%増の163億35百万円、経常利益は前年同期比1億28百万円増の5億80百万円となりました。

 

《海外物流》

 当部門においては、海外事業では中国国内での日欧系自動車メーカーの販売不振により、主要顧客の輸送量が減少したものの、国際事業での航空貨物の取扱量増、半導体需要の回復に伴う輸出量増及び運賃・料金改定等により、増収増益となりました。

 これらの結果、営業収益は前年同期比6.3%増の54億60百万円、経常損益は前年同期比41百万円増の24百万円の損失となりました。

 

《テクノサポート》

 当部門においては、油槽所関連では業務受託料の見直しにより減収となったものの、製油所関連では構内作業及び緑化作業の受託料改定、並びに配送業務の取扱量増等により増収増益となりました。

 これらの結果、営業収益は前年同期比7.3%増の19億16百万円、経常利益は前年同期比94百万円増の1億43百万円となりました。

 

ハ.キャッシュ・フロー

当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

 

③資本の財源及び資金の流動性

 当社グループの運転資金需要のうち主なものは、労務費、燃油の購入費用、車両の維持保全費用、倉庫賃借料並びに販売費及び一般管理費等の営業費用であります。投資を目的とした資金需要は、主に車両購入及び倉庫建設等の設備投資によるものであります。当社グループは事業運営上必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としております。

 短期運転資金は自己資金及び金融機関からの短期借入を基本としており、設備投資や長期運転資金の調達につきましては、自己資金や金融機関からの長期借入を基本としております。また、グループの資金効率化を図るため、キャッシュ・マネジメント・システム(CMS)を導入しております。

 なお、当連結会計年度末における有利子負債(借入金)の残高は3億70百万円であり、現金及び現金同等物の残高は21億74百万円となっております。

 2026年3月期の設備投資額については、39億15百万円を計画しておりますが、現在の自己資本比率は68.9%と厚みを増しており、その資金の調達にあたっては問題がないと考えております。

 

5【重要な契約等】

 特記すべき事項はありません。

 

6【研究開発活動】

 特記すべき事項はありません。