第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

当社グループは、「我々は、地球的視野に立ちビジネスロジスティクスを介し『共有できる歓び』『共感し得る価値』『共生したる環境』を先進創造し、お客様・株主様・従業員と共に社会の繁栄に貢献する」ことを基本理念としております。この理念を信奉し、健全な事業活動を通して、お客様、株主様、地域の皆様に対し、企業責任を果たし、国家・地域社会の発展に寄与してまいります。

当連結会計年度のわが国経済は、好調に推移したインバウンド需要や、比較的良好な企業景況感を背景に改善傾向が見られました。しかしながら中国における景況感の悪化や国内での個人消費の低迷など、依然として先行きは不透明な状況となっております。物流業界におきましては、人手不足や人件費・エネルギー費用のコスト増加などの影響により厳しい経営環境が続いております。

当社グループは2023年4月より3か年計画である第13次中期経営計画を推進しており、2025年3月期はその2年目でありました。既存事業の強化に加えて、岩手県金ケ崎町、愛知県東海市、群馬県太田市、栃木県宇都宮市、インドネシア国などに倉庫を竣工させ、また、2024年4月に株式会社ミツバロジスティクス(株式会社ニッコン両毛へ商号変更)、5月に Supreme Auto Transport, LLC.、2025年3月には中央紙器工業株式会社のМ&Aを実施しました。最終年度である2026年3月期の計画達成に向けて着実に歩みを進めております。なお、当社グループの経営上の目標達成状況を判断するための客観的な指標は売上高、営業利益、営業利益率であります。

わが国においては労働人口が減少し、多様な働き方についての社会的解決が求められております。当社グループは、「自前主義・手の内管理」というユニークな戦略の下、自社保有のファシリティやドライバーを活用することで時間帯にかかわらず柔軟に業務が遂行できる点や長距離輸送の際の乗り継ぎ運行、荷役や荷待ち時間の短縮施策を展開し、また自社にて有するシステム開発能力の運用による効率化と省力化を推進させることにより、あらゆる課題に対処して参ります。

ESG経営につきましても、女性活躍やCO2の削減、水銀灯の全廃などに加え、人的資本経営の実践により、ワークライフバランスの重視と生産性の向上を進め、グループ全体の企業価値向上に努めて参ります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

 当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末において当社グループが判断したものであります。

 

(1) サステナビリティの基本的な考え方

 ニッコングループは、「グループ基本理念」「グループ行動指針」に基づき、物流事業を通じて新たなサービスを創出することで、持続可能な社会の実現、企業価値向上を図ってまいります。

 

(2) ガバナンス

 当社グループは、持続可能な社会の実現を最優先課題ととらえ、サステナビリティ経営に関する取組みを推進・強化するため、ESG活動を取締役が直接監督し、気候変動により生じる地球環境問題をはじめとした様々な社会問題に対し、ガバナンス体制を構築しております。

 具体的には、社外取締役を委員長とするサステナビリティ委員会を取締役会の諮問機関として設置し、ESG全般に係る執行状況を監督・指導する取締役会直轄の組織として機能しています。サステナビリティ委員会は四半期ごとに開催し、気候関連問題を含めたサステナビリティに係る事項について取締役会に報告するとともに、重要度の高いテーマについて取締役が出席する会議において多面的な議論を行い、取締役会からの指示の下、迅速な方針策定及びより実効性の高い活動に取り組んでおります。

 また、実行部隊であるESG推進室は、各部署及びグループ企業と連携を図り、気候変動対策を含むサステナビリティ戦略を検討・起案し、サステナビリティ委員会に提言、企業活動を通じて実践すべきテーマや重要課題を特定し、気候変動対策やダイバーシティ推進に向けた具体的な取組を推進しております。

 

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(3) 戦略

 当社が優先して取り組むべき重要課題として設定しております「マテリアリティ」の解決に向けて、サステナビリティ委員会で協議を重ね取締役会で決定した「サステナビリティ方針」に基づき、今後も様々な取組みを通じ、 サステナビリティ経営を実践してまいります。

 また、当社グループは、気候変動により生じるリスクと機会について特定し、リスクの軽減、機会の獲得に向けた取組みを推進しております。

 

大分類

中分類

特定された

リスク/機会

影響度

時間軸

影響

対応策

移行

リスク

政策・

法規制

低炭素車両への転換

EV、FCV等の低炭素車両の買い替えによる購入コストの増加

・共同輸送、フルトレ輸送など高効率輸送の推進

・モーダルシフトの運用

政策・法規制

炭素税導入

GHG排出に課される炭素税導入による支払いコストの増加

・低排出車両への代替

・再生可能エネルギーへの切替

技術

自動車メーカーによる低炭素大型車両の開発遅延

低炭素大型車両の普及の遅れにより、排出量削減計画の遅れ

・自動車メーカーの開発状況の情報収集

市場

顧客ニーズの変化

顧客の環境保全に関する意識の高まりに伴う、取引喪失、売上減少

・GHG排出量の可視化

・GHG排出量の計画的削減

評判

資金調達及び株価への影響

GHG排出削減の取組みが不十分と判断されることによる金融機関からの資金調達の困難及び投資家離れによる株価の下落

・情報開示の充実

・GHG排出量の計画的削減

物理

リスク

急性

自然災害の発生

気温上昇に伴う風水害の発生増加により、倉庫などの施設の損壊、委託貨物への損害により修繕コスト、損害賠償コストの増加。物流サービスの停止

・拠点の分散化

・BCP対応の推進

慢性

気温上昇

気温上昇に伴う労働環境悪化による生産性の低下。空調コストの増加

・DX推進による効率化、省人化

機会

資源・

効率

車両燃費向上による燃料コストの削減

EV、FCV等低燃費車両の導入による燃料コストの削減

・低排出車両への代替

市場

環境配慮型の新サービス導入

環境配慮サービスの開発・提供による新たな事業機会の創出

・環境負荷の小さい輸送モードへの移行

市場

EV、FCV等、新たな事業展開による取引拡大

EV、FCV関連事業へ新規市場開拓を実現することによる売上増加

・EV関連部品の取扱受託

・その他、環境配慮関連製品の保管・輸送業務受託

市場

温度管理需要の増加

低温度管理サービスの開発・提供による新たな事業機会の創出

・市場ニーズの把握

・定温倉庫棟設備の導入

 

 2023年4月1日から開始しています3か年計画である『第13次中期経営計画』において、「事業活動を通じ、人々が幸せを実感する豊かな社会の実現と持続的な発展に貢献する」を経営方針に掲げ、地球環境問題をはじめとした様々な社会課題に対し、リスクの軽減、機会の獲得を行い、ESG経営による企業価値向上に向け積極的に取り組んでまいります。

 

 また、当社グループにおける多様性の確保を含む人材の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針は『次世代物流の構築』を軸として取り組みを進めております。

 2022年12月に社長直轄の「HR(Human Resource)統括部」を発足し、当社グループ全体の人的資本経営に取り組む体制を整えました。

 物流業界は2024年問題を迎え、今まさに既存の物流から新たな物流への変革の時期にきており、この変革に遅れることなく対応することが必要であり、その中でも高度物流人材の投入は必須であります。

 こうした背景から、当社グループにおける多様性の確保を含む人材の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針を以下のとおり定めております。

 

1.安全最優先

 物流は、生活の根源である衣食住すべてを支える欠くことのできない機能であり、サステナブルなサービスを安定的に提供することが我々の使命です。その社会的使命において、物流サービスの根幹となる『安全』に関する事項は最も重要なテーマであり、全グループ会社において最優先で取り組んでおります。

 

2.次世代物流の構築

 当社は、若い世代へ物流の重要性を伝えていく次世代物流の発展にも注力しております。2021年から一橋大学『物流経営論』寄付講座を開講しております。一橋大学に加え、2025年2月には、一般財団法人海外産業人材育成協会の事業の一環でタイ国バンコクのモンクット王立工科大学で寄付講座を開講しました。講義や事業所見学を通じて物流業界の発展と今後の物流を担う次世代人材の育成に貢献しております。また、最新の物流を研究すべく外部物流研究機関への出向を行っております。

 

 

3.従業員の持続的成長への取組強化

 当社グループでは、誰もが仕事と個々のライフイベントを両立するための制度を利用でき、平等に教育・研修・評価を受け能力を伸ばしていく成長支援の施策・環境づくりに取り組んでおります。性別・国籍を問わず多様な人材を受け入れるとともに、様々な国の認証制度を取得推進し環境を整え、具体的に、かつ中長期的な視点で持続可能な人材構築体制を計画してまいります。

 

 当社では以下の5項目を重点課題として捉えており、それぞれに対する具体的取組は下記項目に記載のとおりであります。

① 次世代物流の構築

・新サービスの開発を行うための研究開発部門の新設

・新技術開発への参画や導入を行うための研究機関や大学との連携

② 次世代人材育成と後継者計画

・物流業界の発展と今後の物流を担う次世代人材の育成に貢献することを目的とした一橋大学での寄付講座開講

・経営者及び幹部の育成を目的としたニッコン経営スクールの実施

・海外事業会社の次期幹部候補社員を国内グループ会社で育成する制度の企画・検討

・全世界のニッコングループ若手および中堅社員がグループ会社での実務研修を行うトレーニー制度の実施

③ 多様な人材の雇用促進

・高度物流人材とグローバル人材の積極的な採用

・外国人技能実習生の受け入れ推進

・障がい者の受け入れ推進

・女性社員の積極的な採用

④ 人材確保に向けた環境整備

・ホワイトカラーエグゼンプション制度導入の企画・検討

・働きやすい職場認証制度、健康経営優良法人認証制度、えるぼし認定、ホワイト物流推進等の国の認証制度の取得促進

⑤ 人的資本の拡充

・人材基盤の確立を行うため国内外のグループ会社において教育・育成体制の充実

・従業員エンゲージメントの向上を図るため、タレントマネジメントとスキルアッププランの見える化

 

 

(4)リスク管理

① 気候関連のリスクを特定・評価するプロセス

 監督機関でありますサステナビリティ委員会は、実行部隊であるESG推進室に対し、気候関連リスク及び機会の特定、評価を指示し報告を受けます。ESG推進室は、主要子会社8社と構成するESGワーキンググループにてディスカッションを重ね、社会課題のリストアップを行い、当社グループの事業活動との関連及びステークホルダーからの期待の把握、優先順位づけを実施することで、気候関連リスク及び機会を特定、評価の実施を行います。

 

② 気候関連のリスクを管理するプロセス

 ESG推進室は、気候変動リスクを含めたESGに関する全社グループ戦略の立案を担い、グループ企業全体に周知し推進するとともに、取組状況をサステナビリティ委員会に報告します。サステナビリティ委員会は、原則として四半期に1回を目途に定期的に開催するほか、必要に応じて臨時に開催することとしており、取締役会への報告及び提案を行うとともに各部門への指導を行っています。

 

 

(5)指標及び目標

 当社グループは、サステナビリティ委員会指導の下、ESG推進室が起案し取締役会にて決議している指標として、温室効果ガス(Scope1・Scope2)排出量や水銀灯に関する削減目標を設定しており、2025年3月期の実績は下記の通りです。業務量増加のなか、フルトレ輸送やモーダルシフトの拡大、ハイブリッド車や小型EV車など環境配慮車の導入や太陽光パネルの設置などに順次取り組んでおります。今後も引き続き、輸送の効率化等による使用エネルギー量の削減や、クリーンエネルギーへの切替えなどを推進し、2030年度目標として掲げている30%削減に向けて、商用車の小型車新車販売を2030 年までに電動車20~30%とする政府目標や、当社の主流である大型車の技術開発の動向、供給インフラの整備状況等を踏まえながら具体化し、その先の2050年カーボンニュートラル達成を目指してまいります。

 また、女性活躍につきましては、従業員に占める女性比率に加え、役職者比率、管理職比率目標を新たに設置し、引き続き女性が働きやすい職場・活躍できる職場の構築を進め、採用に繋げてまいります。

 

 《CO2排出量(Scope1+2)》

 

2023年3月期

2024年3月期

2025年3月期

2026年3月期

 

2030年度

2050年度

実績

(基準年)

実績

実績

目標

 

目標

目標

CO2排出量削減率

▲1.3%

▲6.0%

▲3.7%

 

▲30%

▲100%

CO2排出量(t)

180,048

177,732

169,313

173,340

 

126,034

0

 

※2023年4月以降にグループ入りをした会社を加算した場合

 

2023年3月期

2024年3月期

2025年3月期

2026年3月期

 

2030年度

2050年度

実績

(基準年)

実績

実績

目標

 

目標

目標

CO2排出量削減率

▲1.3%

4.4%

 

▲100%

CO2排出量(t)

180,048

177,732

187,955

 

0

 

 

 《水銀灯削減》                           (本)

 

2023年3月期

2024年3月期

2025年3月期

2026年3月期

実績

実績

実績

計画

水銀灯個数

5,250

3,131

1,058

0

削減計画数

▲2,119

▲2,073

▲1,058

 

 また、人的資本に関する指標及び目標は以下のとおりです。

 

 《女性従業員比率》

 

2023年3月期

2024年3月期

2025年3月期

2026年3月期

実績

実績

実績

計画

従業員全体に占める女性の割合

国内

18.4%

18.6%

19.0%

22.2%

海外

38.4%

36.2%

35.9%

39.4%

合計

23.9%

23.3%

23.4%

26.5%

役職者全体に占める女性の割合

国内

9.9%

11.7%

13.1%

17.2%

海外

35.1%

40.8%

33.6%

41.3%

合計

17.9%

20.9%

19.9%

25.5%

管理職全体に占める女性の割合

国内

1.4%

2.0%

2.9%

7.7%

海外

20.1%

21.2%

24.7%

25.0%

合計

7.6%

8.4%

9.9%

13.2%

 

 

3【事業等のリスク】

 当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性のあるリスクには以下のようなものがあります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

(1)燃料費の変動について

当社グループにおいて使用する輸送用車両の燃料費は、原油価格や為替相場の変動により影響を受けております。当社グループはこれらのコスト増が生じた場合、顧客企業との協議により適正な料金の収受を図ってまいりますが、急激な燃料価格の上昇や適正な料金の収受ができないような場合、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

(2)法的規制等について

当社グループの営む事業について、運送事業の一部(貨物自動車運送事業、貨物利用運送事業)につきましては、「自動車から排出される窒素酸化物の特定地域における総量の削減等に関する特別措置法(自動車NOx・PM法)」や「生活環境確保条例」等の規制を受けております。

これらの法規制等への対応については、車両の代替及び排出ガス低減装置の取付けを効果的、効率的に行うことによりコストへの影響を最小限にとどめております。しかしながら、今後規制の内容の変更等が生じた場合、更なるコストの発生が考えられます。

(3)重大事故の発生可能性について

当社グループにおきましては、順法精神に則り社会的責任を最優先に営業活動を行っておりますが、万一重大な交通事故等が発生してしまった場合、社会及び顧客の信用が低下するとともに、事業所の営業停止、事業許可の取り消し等の行政処分を受ける可能性があります。

(4)固定資産の減損について

当社グループにおきましては、倉庫事業、梱包事業及びテスト事業を中心に多額の固定資産を所有しておりますが、経営環境の変化や収益性の低下などにより投資額の回収が見込めなくなった場合には減損損失の計上が必要となり、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

(5)自然災害等について

当社グループが事業を展開する地域において、地震や風水害等により輸送経路が遮断された場合や事業所設備が毀損した場合、停電の発生によりシステム停止等の事態が生じた場合、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

(6)顧客企業の動向について

当社グループにおきましては、連結売上高のうち自動車業界向けが50%超を占めており、主要な顧客企業における生産調整や物流需要等の減少が生じた場合は、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

(7)M&Aについて

当社グループでは、今後の事業領域の拡大又は必要な機能の取得、拡充のためM&Aをその選択肢の一つとしております。M&Aの実施に当たっては、対象会社の財務内容や契約関係等についてデューデリジェンスを行い、取得価額の妥当性やリスク等について十分に検討したうえで決定しておりますが、買収後の事業環境や競合状況の変化等により当初想定したとおりに事業計画が進まない場合は、対象会社の株式取得価額やのれんの減損が発生し、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

(8)人材の確保・育成について

国内では人口減少や少子高齢化により労働人口の減少が進んでおり、人手不足感が強まっております。加えて物流業界におきましては、自動車運転業務の時間外労働時間の上限規制が適用されることによる影響、いわゆる2024年問題への対応も課題となっております。当社グループは、多様な人材の雇用促進や就業環境の改善等により人材の確保に努めるとともに、研修制度の充実等により人材育成を進めておりますが、事業の維持、拡大に必要な人材の確保が出来なかった場合は、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

①財政状態及び経営成績の状況

当社グループは当連結会計年度において、岩手県金ケ崎町、栃木県宇都宮市、群馬県太田市、愛知県東海市、インドネシア国に倉庫を竣工、米国の四輪輸送会社や群馬県の物流会社、また愛知県の包装材の製造販売会社をМ&Aにより子会社化するなど、積極的な設備投資や営業活動を行ってきました。

この結果、当連結会計年度における売上高は、2,478億90百万円(前年同期比11.5%増)となりました。営業利益は増収効果等により、231億55百万円(前年同期比9.0%増)となりました。経常利益は、為替差損の発生影響もあり、239億69百万円(前年同期比0.4%増)となりました。親会社株主に帰属する当期純利益につきましては、165億50百万円(前年同期比0.4%減)となりました。

セグメントごとの経営成績は次のとおりであります。

運送事業

業務量の回復や、米国のSupreme Auto Transport, LLC. を連結子会社化したことなどにより売上高は1,179億63百万円(前年同期比17.5%増)となりました。営業利益は63億14百万円(前年同期比13.1%増)となりました。

 

倉庫事業

国内外で継続的に行ってきた倉庫の新増設等の効果により保管取扱量が増加した結果、売上高は408億81百万円(前年同期比5.2%増)となりました。営業利益は、人件費や減価償却費の増加などがありましたが、85億58百万円(前年同期比2.8%増)となりました。

 

梱包事業

業務量の増加により売上高は573億64百万円(前年同期比6.6%増)となりました。営業利益は、業務の効率化や増収効果により42億48百万円(前年同期比28.0%増)となりました。

 

テスト事業

業務量の増加により売上高は241億52百万円(前年同期比5.6%増)となりました。営業利益は業務の効率化や増収効果により39億89百万円(前年同期比19.8%増)となりました。

 

 

②キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は359億37百万円となり、前連結会計年度末に比べ68億59百万円減少しました。

当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動の結果得られた資金は276億42百万円となり、前連結会計年度に比べ34億64百万円減少しました。これは主に増加要因として税金等調整前当期純利益が5億5百万円、減価償却費の増加に伴うキャッシュ・フローが24億43百万円それぞれ増加した一方、その他の負債の増減額に伴うキャッシュ・フローが33億16百万円、仕入債務の増減額に伴うキャッシュ・フローが34億49百万円それぞれ減少したことによるものであります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動の結果支出した資金は539億78百万円となり、前連結会計年度に比べ支出が296億38百万円増加となりました。これは主にМ&Aによる子会社株式の取得による支出が267億29百万円発生したことに加え、有形固定資産の取得による支出が31億71百万円増加したことによるものであります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動の結果獲得した資金は190億76百万円となり、前連結会計年度に比べ収支が234億85百万円増加しました。これは主に、転換社債型新株予約権付社債の発行による収入が221億10百万円、借入による収入が94億12百万円増加した一方で、自己株式の取得による支出が60億円、配当金の支払いによる支出が15億35百万円増加したことによるものであります。

 

③販売の実績

当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2024年4月1日 至 2025年3月31日)

金額(百万円)

構成比(%)

前年同期比(%)

運送事業

117,963

47.6

117.5

倉庫事業

40,881

16.5

105.2

梱包事業

57,364

23.1

106.6

テスト事業

24,152

9.7

105.6

その他事業

7,527

3.0

118.2

合計

247,890

100.0

111.5

(注)1 セグメント間の取引については、相殺消去しております。

2 最近2連結会計年度における主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は、次のとおりであります。

相手先

前連結会計年度

(自 2023年4月1日

  至 2024年3月31日)

当連結会計年度

(自 2024年4月1日

  至 2025年3月31日)

金額(百万円)

割合(%)

金額(百万円)

割合(%)

本田技研工業㈱

37,368

16.8

40,995

16.5

 

 

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

 

①当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

当社グループの当連結会計年度の経営成績等は、以下のとおりであります。

a.財政状態

(資産の部)

当連結会計年度末における流動資産は870億15百万円となり、前連結会計年度末に比べ9億65百万円減少しました。これは主に現金及び預金が70億63百万円減少した一方、受取手形及び売掛金が44億69百万円、その他が9億52百万円、電子記録債権が3億55百万円それぞれ増加したことによるものであります。固定資産は3,417億44百万円となり、前連結会計年度末に比べ412億79百万円増加しました。これは主に、栃木県宇都宮市、岩手県金ケ崎町、愛知県東海市における倉庫の竣工、三重県鈴鹿市、タイ国での倉庫建設工事の進行及び連結子会社の増加により有形固定資産が180億98百万円、М&Aによって顧客関連資産が134億95百万円、のれんが121億65百万円それぞれ増加した一方、投資有価証券が時価評価により49億58百万円減少したことによるものです。

この結果、総資産は4,287億59百万円となり、前連結会計年度末に比べ403億13百万円増加しました。

 

(負債の部)

当連結会計年度における流動負債は766億41百万円となり、前連結会計年度末に比べ172億75百万円増加しました。これは主に短期借入金が184億41百万円、未払法人税等が7億76百万円、賞与引当金が4億26百万円それぞれ増加した一方、電子記録債務が30億37百万円減少したことによります。固定負債は1,024億39百万円となり、前連結会計年度末に比べ198億4百万円増加しました。これは主に転換社債型新株予約権付社債が221億5百万円増加した一方、繰延税金負債が17億58百万円減少したことによるものであります。

この結果、負債合計は1,790億80百万円となり、前連結会計年度末に比べ370億79百万円増加しました。

 

(純資産の部)

当連結会計年度末における純資産は2,496億79百万円となり、前連結会計年度末に比べ32億34百万円増加しました。これは主に利益剰余金が97億12百万円、非支配株主持分が75億53百万円増加した一方、減少要因として自己株式が99億21百万円増加し、その他有価証券評価差額金が51億45百万円減少したことによるものであります。

この結果、自己資本比率は56.4%(前連結会計年度末は63.3%)となりました。

 

b.経営成績

(売上高)

当連結会計年度における売上高は2,478億90百万円(前年同期比11.5%増)となりました。貨物取扱量の回復と、新増築した倉庫の稼働開始による貨物取扱量の増加が寄与しました。セグメント別の売上高につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」に記載しております。

 

(営業利益)

当連結会計年度における営業利益は231億55百万円(前年同期比9.0%増)となりました。売上高の増加に伴い堅調に推移しました。セグメント別の営業利益につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」に記載しております。

 

(経常利益)

当連結会計年度における営業外収益は28億59百万円となり、前連結会計年度に比べ1億38百万円減少しました。これは主に受取配当金が3億18百万円増加した一方で受取補償金が3億92百万円減少したことによるものであります。営業外費用は20億45百万円となり、前連結会計年度に比べ16億86百万円増加しました。これは主に為替レートが円高に振れたことにより、為替差損12億53百万円を計上したことによるものであります。

この結果、経常利益は239億69百万円(前年同期比0.4%増)となりました。

 

(親会社株主に帰属する当期純利益)

当連結会計年度における特別損失は18百万円となり、前連結会計年度に比べ4億14百万円減少しました。これは主に固定資産除却損が2億1百万円、退職給付制度改定損が1億7百万円が減少したことによるものです。

この結果、親会社株主に帰属する当期純利益は165億50百万円(前期比0.4%減)となりました。

 

c.キャッシュ・フローの分析

当連結会計年度のキャッシュ・フローの分析につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載しております。

 

d.資本の財源及び資金の流動性についての分析

当社グループの事業活動における資金需要としては、事業を行うための費用や一般管理費などの営業費用としての運転資金、主に倉庫、作業所及び事業用車両等の固定資産購入のための設備資金及びМ&A資金があります。

当社グループでは、運転資金につきましては内部資金のほか必要に応じてコマーシャルペーパーや金融機関からの借入金で賄い、設備資金につきましては内部資金のほか必要に応じて固定金利の普通社債及び金融機関からの借入金で賄うことを基本としております。また、М&A資金については、いったんつなぎ資金として金融機関からの短期借入金でまかない、その後普通社債等の長期資金へ置き換える方法で対応しております。当連結会計年度末における普通社債の残高は500億円、転換社債型新株予約権付社債の残高は221億5百万円、借入金の残高は462億9百万円であります。

 

e.経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

当社グループは、2023年4月1日から3か年の中期経営計画「第13次中期経営計画(Challenge13)」をスタートさせました。

2年目である当連結会計年度におきましては、売上高2,500億円、営業利益240億円、営業利益率9.6%を掲げておりました。設備投資の継続や積極的にМ&Aを展開するなど施策を打ちましたが、М&Aに係るイニシャルコストの発生等もあり、売上高は2,478億90百万円、営業利益は231億55百万円、営業利益率は9.3%となり、いずれの指標も中期経営計画2年目の目標には未達となりました。

なお、中期経営計画最終年度の2026年3月期の目標は売上高2,800億円、営業利益280億円、営業利益率10.0%、自己資本当期純利益率(ROE)8.0%を目標としております。

 

 

②重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果とは異なる可能性があります。

連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは以下のとおりであります。

 

a.減損会計における将来キャッシュ・フロー

「第5 経理の状況 1連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。

 

b.退職給付債務の算定

当社グループには、確定給付制度を採用している会社が存在します。確定給付制度の退職給付債務及び関連する勤務費用は、数理計算上の仮定を用いて退職給付見込額を見積り、割り引くことにより算定しております。数理計算上の仮定には、割引率、期待運用収益率等の様々な計算基礎があります。

当該見積り及び当該仮定について、将来の不確実な経済条件の変動等により見直しが必要となった場合、翌連結会計年度以降の連結財務諸表において認識する退職給付に係る負債及び退職給付費用の金額に重要な影響を与える可能性があります。

退職給付債務及び退職給付費用の算定において、主要な仮定の変化が当連結会計年度末の退職給付債務及び退職給付費用に与える感応度は以下のとおりであります。マイナス(△)は退職給付債務の減少を、プラスは退職給付債務の増加を表しております。感応度分析は分析の対象となる数理計算上の仮定以外のすべての数理計算上の仮定が一定であることを前提としております。

当連結会計年度末(2025年3月31日)

 

数理計算上の仮定の変化

退職給付債務に与える影響(百万円)

割引率

0.5%の上昇

△756

0.5%の低下

722

 

数理計算上の仮定の変化

退職給付費用に与える影響(百万円)

期待運用収益率

0.5%の上昇

△58

0.5%の低下

58

なお、当連結会計年度末の退職給付債務の算定に用いた主要な数理計算上の仮定は「第5 経理の状況 1連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項 (退職給付関係)(8)数理計算上の計算基礎に関する事項」に記載のとおりであります。

 

 

5【重要な契約等】

当社は、Farallon Capital Asia (HK) Limited(以下「Farallon」といいます。)との間で、株主による議決権の行使に制限を定める旨の合意及び株主が当社との間で定めた株式保有割合を超えて当社の株式を保有することを制限する旨の合意を含む契約(以下「本契約」といいます。)を締結しました。

 

(1) 本契約の概要

①本契約を締結した年月日

2025年5月16日

 

②本契約の相手方の氏名又は名称及び住所

名称

Farallon Capital Asia (HK) Limited

住所

Two International Financial Centre, Suite 5701

8 Finance Street, Central, Hong Kong

注: Farallon によれば、Farallon の関係会社である Farallon Capital Management, L.L.C.が、当社の株式を実質的に保有しているとのことです。

 

③合意の内容

本契約において、当社は、以下の内容を含む合意をしております。

 

ア 株主による議決権の行使に制限を定める旨の合意

当社が、2025年6月27日開催予定の当社の第84回定時株主総会(以下「本株主総会」といいます。)において、会社提案として合意された内容の取締役(監査等委員である取締役を除く。)選任議案を上程し、また、取締役(監査等委員である取締役を除く。)の報酬限度額の増額に係る議案を上程すること、並びに、Farallon が、(ⅰ)Farallon、Farallon Capital Management, L.L.C.、Farallon Capital Japan LLC 及びこれらのグループ会社、(ⅱ)(ⅰ)に定める者が管理、運営又は助言を行うファンド又はその他の者、並びに(ⅲ)(ⅰ)又は(ⅱ)に定める者が実質的に支配する会社又はその他の者(以下、(ⅰ)乃至(ⅲ)に定める者を「Farallon 関係者」と総称します。)をして、本株主総会において、上記各議案について賛成の議決権を行使させること。

 

イ 株主が当社との間で定めた株式保有割合を超えて当社の株式を保有することを制限する旨の合意

Farallon が、自ら又は Farallon 関係者をして、制限期間中(注)、名義の如何を問わず、当社の株券等(金融商品取引法第27条の23第1項に定める意味を有します。)を取得させないこと。

(注)「制限期間」とは、本契約締結日から当社の2026年3月期中間期決算公表日(以下「中間決算公表日」といいます。)又は Farallon から推薦された社外取締役候補者(以下「推薦候補者」といいます。)が当社の取締役を退任した日のいずれかのうち最も早い日までの間をいい、当社が設置する予定の社外取締役(推薦候補者を含む。)のみで構成される特別委員会(以下「本委員会」といいます。)が中間決算公表日までに本委員会の不動産保有・管理・運営方針の見直しに関する検討の結果及び取締役会に対する具体的提言の公表に向けた検討状況について一定の中間報告を公表した場合、当社及び Farallon は、制限期間を2025年12月31日又は推薦候補者が当社の取締役を退任した日のいずれかのうち最も早い日まで延長することについて誠実に協議することとされています(Farallon は、本委員会が実務上合理的な水準の検討を行っている限り、合意を拒絶、留保又は遅滞しないものとされています。)。

 

(2) 合意の目的

当社は、資本効率の改善及び取締役会の機能向上等の観点からスキルマトリクス並びに社外取締役比率の向上を含む取締役会構成の見直しを進めるなかで、本契約における合意は、取締役会が備えるスキルの一層強化並びに望ましい当社の取締役会の構成を実現することを目的としています。

加えて、当社は、2025年5月16日付で、当社グループの中長期的な企業価値の向上に向けた実効性を確保しつつ短期集中的に検討を行うため、社外取締役のみで構成される本委員会を設置し、資本市場の目線も踏まえて当社の不動産保有・管理・運営方針を含む企業価値向上策について議論・検証を行う方針であることを公表しております。本契約における合意は、本委員会における検討のための適切な枠組みを構築することを通じて、本委員会における議論・検証の実効性を確保することも目的としております。

 

(3) 取締役会における検討状況その他の当該提出会社における当該合意に係る意思決定に至る過程

当社は、以前より、多数の株主との間で対話を重ねるとともに外部の専門家の意見も踏まえながら、資本効率の改善及び取締役会の機能向上等の観点から、望ましい当社の取締役会の構成その他の企業価値向上に向けた検討体制について検討を重ねてまいりました。かかる対話及び検討を重ねるなかで、当社は、本株主総会に向けて更なるガバナンス体制の拡充を目指してスキルマトリクス並びに社外取締役比率の向上を含む取締役会構成の見直しを進め、新たな社外取締役候補者を選定して指名委員会における選任プロセスを進めておりました。そのようななか、今般、Farallon から当社の取締役会が備えるスキルの一層強化の観点から、社外取締役の候補者を別途推薦されたため、当該推薦候補者を含めて指名委員会による面談・協議等の選任プロセスを実施し、当社取締役会において指名委員会の意見を踏まえて議論を行った結果、推薦候補者1名を加えた取締役会構成が当社のガバナンス体制の一層の強化に資すると判断しました。さらに、推薦候補者1名を加えた社外取締役から構成される本委員会において、実効性を確保しつつ短期集中的に当社の企業価値向上のための施策を検討することが、当社グループの企業価値の向上に繋がるとの判断に至ったことから、2025年5月16日付で上記(1)③に記載の合意内容に関する本契約を締結することといたしました。

 

(4) 合意が当社の企業統治に及ぼす影響

本契約に従い、上記の取締役選任議案が本株主総会に上程されて可決された場合、合意の目的のとおり、当社の取締役会が備えるスキルは一層強化され、また、社外取締役が当社取締役会の過半数を占めることとなり、当社が以前より検討を重ねてきた資本効率の改善及び取締役会の機能向上等のガバナンス体制の強化に一層繋がるものと考えております。

 

 

6【研究開発活動】

該当事項はありません。