第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

  当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

(1)経営方針

 当社グループは、物流を通じて豊かで快適な社会の実現を社会的使命と考え、総合物流企業として研究と創造を大切にし、ネットワークの整備、効率化によるコスト削減、事業領域の拡大によるサービスの差別化推進のため、「和」の精神に基づく全員参加の経営、創造的経営の推進を基本方針としております。

「経営理念」

 一、私達は、お客様に満足されるサービスを提供し、お客様と共に繁栄します。

 一、私達は、和の精神を大切にし、社員の生活向上を目指します。

 一、私達は、研究と創造に努め、自己改革に挑戦します。

 一、私達は、物流を通じて社会の発展に貢献します。

 

(2)経営戦略等

 当社を取り巻く事業環境につきましては、新型コロナウイルス感染症からの社会経済活動の正常化が本格的に進みましたが、原材料や燃料価格の高止まり、国内外の貨物輸送量の停滞、トラックドライバーをはじめとする労働力不足やコストの増加等、依然として厳しい状況が続いております。

 そのような環境のもと、当社グループは、2022年4月より新たな「中期経営計画」をスタートさせております。その中で、以下の4項目を骨子とし、ステークホルダーの皆様にとって魅力のある企業となるべく、柔軟で強固な営業基盤の確立、グループ総合力の進化に積極的に取り組んでまいります。

〔骨子〕

 1.社会的責任

 2.グループ体制強化

 3.収益力向上

 4.持続的成長と企業価値向上

 

ⅰ.新規業務の獲得に注力し、業容の拡大を図ってまいります。

 ①当社グループは引き続き、グループ会社間の営業体制と連携を強化し、新規営業活動の積極的な推進と収益力を強化する業務の効率化や採算性の向上に努めてまいります。また、M&Aの推進、先端技術の導入等、積極的に取り組んでまいります。

 ②国際部門につきましては、引続き、株式会社ペガサスグローバルエクスプレスとニュースターライン株式会社を核として国際宅配便とフォワーディングの二本柱に加え、EC事業にも注力し、国内外一体となって国際事業の拡大を図ってまいります。

 

ⅱ.品質管理体制については、品質安全管理室を中心に社内の管理強化を図ってまいります。

 ①導入より29年が経過した社内QC活動『ダッシュ21』や『5S運動』の推進により、更なる作業効率の向上、品質の向上を図ってまいります。

 ②品質安全管理室長を専任役員とし、交通事故・労働災害の防止も含め、更なる管理強化を図ってまいります。

 

 

ⅲ.環境問題については、物流を通じて社会の発展に貢献するという経営理念のもと、生活に密接した物資を輸送するという大切な使命を果たしながら、2050年カーボンニュートラルの実現を目指していきたいと考えております。

 ①改正省エネ法に基づき地球温暖化を防止する取り組みを強化いたします。

 ②グリーン経営の認証取得をしており、環境CSRを果たしてまいります。

 ③エコドライブ運動の実施強化をいたします。

 ④グリーン・エコプロジェクトへの参加を通じ、環境負荷低減に取り組んでおります。

 ⑤環境負荷の低減を目指してEV(電気自動車)5台を導入し、実用性について検証を行っております。

 

ⅳ.安全問題については、「安全と生命はすべてに優先する」の理念のもと「交通事故」や「労働災害」の発生防止に対し、積極的に取り組んでおります。

 ①運輸安全マネジメントの実施を強化いたします。

 ②安全性優良事業所(Gマーク)の新規取得・継続更新を推進いたします。(全38事業所中、36事業所で認定)

 ③セーフティアドバイザー制度の充実を図り、スキルアップ研修の開催を行っていきます。

 ④安全設備の導入推進、システム構築を行っていきます。

 ⑤労災事故防止に向けたリスクアセスメント手法の定着を推進してまいります。

 ⑥アルコールチェック管理体制の継続強化を図ってまいります。

 ⑦運行管理体制のインフラ設備のため、IT点呼の導入を進めてまいります。

 ⑧自社教育研修所を活用し、事故・災害の発生を予防するための各種研修会や講習会を開催し、カンダグループの従業員に安全意識についての啓蒙活動を行っております。

 

(3)経営環境

 今後の見通しにつきましては、物価上昇や円安傾向が継続していることから個人消費の盛り上がりに期待ができず、景気の先行きは依然不透明な状況が続くものと思われます。

 2025年3月期の通期の業績は、連結営業収益52,000百万円、連結営業利益3,470百万円、連結経常利益3,550百万円、親会社株主に帰属する当期純利益2,280百万円を見込んでおります。

 

(4)優先的に対処すべき事業上および財務上の課題

 これらの経営環境の中で当社グループは引続き、新規業務の獲得、グループ会社間の連携強化、収益性の向上に取り組むほか、M&Aや物流DⅩの推進に積極的に取り組んでまいります。また、恒常的になりつつあるトラックドライバーをはじめとした人材不足を補うべく、採用活動を積極的に行うとともに、次世代の幹部候補育成に向けた教育を強化してまいります。また燃料価格や各種調達コストの上昇を含めた適正運賃の確保や更なる効率化等、利益の向上に向けた取り組みを継続してまいります。

 

(5)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

 目標指標につきましては、2025年3月期を最終年度とする3カ年の中期経営計画を推進しております。この中期経営計画では、連結営業収益52,000百万円、連結経常利益3,350百万円、自己資本当期純利益率(ROE)8.9%を目標として取り組んでまいります。

 

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

当社グループのサステナビリティに関する考え方や取り組みは、以下のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)SDGsへの取組

当グループは中期経営計画において、SDGs17の目標における「③すべての人に健康と福祉を」「⑦エネルギーをみんなにそしてクリーンに」「⑧働きがいも経済成長も」「⑨産業と技術革新の基盤をつくろう」の4つのGOALを注力項目として設定し、誰一人取り残さないサステナブルな社会の実現に貢献することを目指しています。

 

(2)重要なサステナビリティ項目

 当グループにおける重要なサステナビリティ項目は以下のとおりであります。

 

気候変動

①ガバナンス

物流事業者がエッセンシャルワーカーとして社会に認知されている一方、物流行為自体がCO2の排出を通じ気候変動の大きな要因となることから、当グループは気候変動や環境問題への積極的な取り組みは事業を継続して発展させるための前提であり最優先する課題と考えます。また、環境も含めた公共財を使い事業を営んでいることを強く意識し、社長直轄のCSRレポート検討会でその取り組み状況を定期的にレビューする体制をとっております。

②戦略

CO2排出量を減らし、地球温暖化防止を図るため、東京都トラック協会が立ち上げた「グリーンエコプロジェクト」に参加しています。この中で、車輌ごとに収集した燃費からデータベースを構築し、継続的なエコドライブ活動の推進・支援を行い、CO2排出量の削減や燃費向上に伴うコスト削減、事故防止等に向けた取り組みを展開していきます。

また、デジタルタコグラフなどを活用してエコドライブに取り組むとともに、エコカーの導入、次世代型車輌の研究も継続的に行っていきます。

③リスク管理

当グループの創業時の重点事業であった出版物の共同輸配送サービスに始まり、現在に至るまで車輌を使った医薬品や加工食品などの輸送を行っておりますが、自動車が排出するCO2の削減は業界をあげての重要課題であり、この対応の遅れにより当事業が社会より認知されなくなるリスクがあると考え、その活動実績はCSRレポートとして検討のうえ対外的に公表しております。

④指標及び目標

CO2排出量(実績)

年度

2019

2020

2021

2022

2023

CO2排出量(トン)

15,164

14,224

14,182

15,054

14,347

(注)当社の年間燃料消費量をもとに環境省が公表する燃料の使用に関するCO2排出係数により算出しております。

 

エコカー保有台数

目標:総保有台数(852台)の10%(85台)(2024/3月)

年度

2019

2020

2021

2022

2023

保有台数(台)

35

45

60

64

50

 

人材の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針

当社が抱える課題として管理者層の不足により複数の事業所を兼務する状況が発生しており、きめ細かな運営管理に問題を残しています。これを解消すべく当社グループでの研修を強化しており、2024年度の教育研修への投資として34,232千円(昨年36,150千円)を組み、すべての対象者に参加を求めております。また、それ以外に専門的知識習得及び自己啓発としての通信教育受講を推進しています。これらを通じて管理職を増強し、複数の事業所を兼務する状態の解消にむけて取り組みます。

 

 

3【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績およびキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであり、当社株式への投資に関するすべてのリスクを網羅するものではありません。

 

(1)燃料費等の原価管理リスク

 当社グループにおける事業の推進に伴い、トラック等の輸送車輌や重機および物流機器を使用しており、それらに係る燃料費は原油価格や為替相場の動向により変動し、価格の高騰や為替リスクを伴います。そのため、使用する車輌については環境対応車の導入を検討するなど、リスクの抑制に努めております。しかしながら、急激な燃料価格等の上昇が生じた場合や当該費用の増加分を回収するに相当する販売価格の見直し等が困難な場合には、当社グループの事業、財政状態および経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

(2)配送工程におけるトラブルリスク

 一般貨物自動車運送事業では、依頼主となる顧客(法人・個人)が指定する場所から荷物を集荷し、同様に指定された場所へ荷物を配送し、納品することが主たる事業内容となります。このため、集荷から納品までの工程において、当該荷物の集荷漏れや破損、紛失、または指定先への不着や誤配送および遅延等が生じた場合には、顧客からの信用を損なう可能性があります。

 当社グループでは、トラブル発生を抑制するため、過去のトラブルをもとに発生可能性の要因をマニュアル化し、配送センターやドライバーへの周知徹底に努めておりますが、リスク回避が計画通りにならずトラブルが頻発し、また、当該トラブルによる顧客からの損害賠償請求等があった場合には、当社グループの事業、財政状態および経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

(3)不正リスク

 当社グループは、日本国内においては関東圏を中心に全国と海外にもサービス拠点を置き、事業展開しております。グループ各社は、互いに資本的および人的な関係を維持しつつ、地域の特性を生かしながら事業の推進に努めております。物理的な距離を置いていることもあり、適正な責任と権限を与え、事実上の運営はグループ各社に委任しております。そのため、当社グループ共通の規程や基準、マニュアル等を整備し、また、監査役による監査と内部監査との連携を通じてグループ各社間における牽制機能を強化しております。しかしながら、監視体制が不十分などのため、当社グループの役員および従業員、関係者等の故意、過失による不正等が発生または発覚し、その被害が多大なものとなる場合には、当社グループの社会的信用が失墜し、事業の継続が困難となるとともに、当社グループの事業、財政状態および経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

(4)重大事故等の発生におけるリスク

 当社グループは、関東圏を中心に全国で事業拠点を有し、貨物自動車運送を主たる事業としてロジスティクスや産業廃棄物処理などの関連事業を展開しております。国土交通省が主導する様々な施策への取り組みなど、事故の未然防止や安全確保に対する評価の目は一層厳しくなり、運輸事業者の社会的責任が求められております。

 当社グループは、安全確保の施策として、ドライバーの技術教育の強化と運行管理者やセーフティアドバイザーへの教育を実施するなど事故防止に努めておりますが、万が一、重大事故等が発生した場合には行政処分もしくは事業停止命令等を受けることが考えられ、社会的信用が失墜し、事業の継続が困難となるとともに、当社グループの事業、財政状態および経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(5)情報漏洩に関するリスク

 当社グループの事業上の都合から、個人、法人を問わず荷主や配送先の顧客情報、取引先企業の担当者情報、さらには、当社グループの事業を推進する役員、従業員および臨時雇用者など多数の個人情報を有しております。そのため、個人情報保護の観点から関連情報にはアクセス制限を設け、情報端末の施錠管理やパスワード管理を徹底しております。また、情報セキュリティマネジメント(ISMS/ISO27001)の認証を取得しており、情報セキュリティに関する指導、教育にも努めており、社内での監査などにより情報に対する機密意識を啓蒙し、全社的な情報セキュリティリスク防止の意識向上に努めております。しかしながら、外部からのサイバー攻撃、不正アクセスやコンピューターウイルス等の発生、当社グループの管理上のミスによるシステムトラブルなどにより、情報漏洩や損失等が生じた場合には、当社グループの社会的信用が失墜し、損害賠償請求の発生等によって、事業の継続が困難となるとともに、当社グループの事業、財政状態および経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

(6)自然災害等の発生による事業停止リスク

 当社グループにおける事業は、輸送車輌や物流センター、倉庫などの大型施設を主たるサービスインフラとしており、荷物を正確に集配送するための情報管理についてはITによる統制を構築しております。そのため、電気供給等については非常時における確保などの対応に努めておりますが、大規模な自然災害が発生し、輸送経路の遮断や設備の崩壊、電力供給の停止等があった場合には、事業の継続が困難となるとともに、当社グループの事業、財政状態および経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

(7)業績の変動リスク

 貨物自動車運送事業では、輸送量や荷量が増加する年末年始や企業の移転、個人の転居等に伴う季節的な時期において需要が増加する傾向にあります。そのため、当該時期における人材や資材等の確保が必要となり、期初の計画に備えております。また、それに伴う営業収益および営業利益の増加を見込んでおり、当社グループの季節要因として経営成績に影響を与える傾向にあります。しかしながら、経済や業界の動向、取引先の業況による景気変動などにより、季節要因等の影響を受けずに計画通り進捗しない場合には、四半期ベースの営業成績に大きな変動を与えることが考えられ、当社グループの事業、財政状態および経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

(8)重要な許認可等における法令違反リスク

 当社グループの事業を推進していく上で重要な許認可等があり、関係法令等の遵守に努めておりますが、万が一、法令違反等が発生し、許認可等の停止または取り消し等が生じた場合には、事業の継続が困難となるとともに、当社グループの事業、財政状態および経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

許認可事業

法律

監督官庁

許認可等の内容

有効期限

許認可等の

取消事由

貨物自動車運送事業

貨物自動車運送事業法

国土交通省

許可

なし

同法第33条

産業廃棄物収集運搬業

廃棄物処理法

環境省

許可

5年

同法第14条

(9)人材育成および確保に伴うリスク

 近年においては、ネット通販市場の拡大により物流および配送の需要が増加し、また、利用顧客のニーズが多様化し、当社グループに対する取引先企業等からのサービス要求が高度化しております。そのためには、各業務に精通する優秀な人材の確保が求められ、その採用活動と教育および研修制度の整備が重要であると考えております。特に、輸送車輌等のドライバーにつきましては、時間外労働時間の上限規制の導入いわゆる2024年問題等もあり、待遇改善や条件の見直しなどが急務となっております。一方では、季節要因等による業務の閑散に対応する人員配置のコントロールが必要であります。

 当社グループでは、今後益々多様化するであろう働き方改革に着眼し、人事制度や報酬体系の見直しや健全な労働環境の維持・向上に努めるとともに、専門的な知識を有する人材の育成を図っております。しかしながら、業界動向や雇用環境などの影響を受け、計画通りに人材の育成および確保ができなかった場合には、事業の継続が困難となるとともに、当社グループの事業、財政状態および経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(10)資本および事業提携に伴うリスク

 当社グループでは、事業拡大および企業価値向上のために資本的および人的関係を伴う提携が有効であると考え、積極的に行っております。特に、候補となり得る対象企業の財政状態や取引先および特別利害関係者等については詳細なデューデリジェンスを実施し、提携に伴うシナジーの創出と投資価値の妥当性について十分に検討した上で実行しております。しかしながら、デューデリジェンス実施時に見込んだ成果や当社グループ化によるシナジーが計画通りに進捗せず、また、認識できなかった債務や減損等が生じ、当社グループの事業、財政状態および経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

(11)輸送および物流システムの障害に伴うリスク

 当社グループの事業においては、輸配送やドライバーの配車、配送ルート、ロジスティクスなど物流システムを総合的にコントロールするため、IT統制およびその有効活用が重要であると認識しております。そのため、株式会社ケイ・コム、株式会社ソフトエイジをグループ会社として有し、システム開発および保守・運用を担っております。

 これまでにシステム上の重大なトラブル等は発生しておりませんが、将来において外部からの不正アクセスやハッキングおよびウイルス感染等を起因としたシステム障害等により、当社グループの業務に影響が生じる可能性があります。リスク回避に向けた運用に努めてはいるものの、万が一トラブルが発生し、業務が一時停止するなど、または運用再開までにかかる時間を要し、顧客からの損害賠償請求等により多額の費用が生じた場合には、当社グループの事業、財政状態および経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

(12)コンプライアンスに関するリスク

 当社グループは、取り巻く事業環境に伴う法規制や会社諸規程等に基づく企業倫理を遵守し、企業理念の実現と企業文化の形成に努めております。しかしながら、役員および従業員の認識にずれが生じ、また、管理不備による不正や違反行為等による業務の一時停止、行政指導や処分等が生じた場合には、当社グループの事業、財政状態および経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 当社グループでは、グループ会社を含む全役員を集め、役員としての心得、ハラスメント、インサイダー等の研修を実施しております。また、管理職全体会議や職制毎の集合研修時にも、コンプライアンスの重要性についての研修を実施しております。

(13)設備投資等のリスク

 当社グループは、事業上の特性から物量や取扱高の増加などに伴い、物流拠点を整備する必要があります。車輌運搬具や機械装置については、定期的なメンテナンスにより安全性を高め、計画的に設備投資を行っております。しかしながら、計画した通りの物量や取扱高が見込めず、設備にかかる投資効果が得られない場合には、保有資産にかかる減損損失や減価償却等が利益に影響を与える可能性があり、当社グループの事業、財政状態および経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

(14)訴訟等に関するリスク

 当社グループにおいて事業上のトラブルや問題が生じた場合、これらに起因する取引先等からの損害賠償請求や訴訟の提起を受ける可能性があります。そのため、事業運営においては、自然災害を含む障害や当社グループの瑕疵に関わらず訴訟等のリスク回避に努めております。しかしながら、訴訟内容によっては、当社グループの社会的信用が失墜し、損害賠償請求の発生等によって、事業の継続が困難となるとともに、当社グループの事業、財政状態および経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

(15)海外の事業展開のリスク

 当社グループは、アジア圏を中心に国際宅配便やフォワーディングなど、海外拠点における事業を積極的に展開しております。そのため、各地域の法規制や事業環境および経済情勢、また、為替や輸送運賃の急激な変動等の影響を受けた場合には、当社グループの事業、財政状態および経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

(16)新たな感染症による事業停止リスク

 当社グループは、日本国内においては関東圏を中心に全国と海外にサービス拠点を置き、事業展開しております。新型コロナウイルスを含む新たな感染症拡大のようなパンデミック等により異常事態が当社の想定をはるかに超える規模で発生した場合には、当社グループの事業、財政状態および経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

 当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

① 経営成績の状況

 当連結会計年度におけるわが国経済は、コロナ禍明け後の経済活動の正常化が進み、個人消費の持ち直しの動きや円安によるインバウンド需要等により緩やかな回復基調となりました。しかしながら、食品や電気料金など生活必需品の値上げを含む物価高に加えて、国外ではウクライナ情勢の長期化、緊迫する中東情勢、中国経済の不確実性が大きく、依然として先行きの不透明な状況で推移しております。

 このような経済環境の中、物流業界におきましては、国内における貨物量は引き続き低調に推移し、国際貨物の荷動きは全体的に停滞し、電気代をはじめエネルギー価格の負担も懸念されます。また、2024年4月から適用された自動車運転業務における時間外労働時間の上限規制(2024年問題)に向けた対応も課題となっております。

 当社グループにおきましては、国内部門では、前々期から前期にかけて獲得した新規営業や既存取引の業容拡大、M&A等の要因に加え、これまで行なった燃料価格や各種調達コストの上昇を踏まえた適正運賃の確保が進んだことから、前年同期比増収増益となる一方、国際部門では、全体的な荷動きの停滞に加え、前期までみられた需要逼迫による特需的な要因の解消が継続していることから、前年同期比減収減益となっております。

 以上の結果、当連結会計年度の営業収益は、51,123百万円(前年同期比1.0%減)となり、営業利益は3,432百万円(前年同期比25.7%増)、経常利益は3,531百万円(前年同期比26.0%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は2,273百万円(前年同期比28.1%増)となりました。

 セグメントごとの経営成績は次のとおりであります。

 貨物自動車運送事業

  貨物自動車運送事業につきましては、コロナ禍明け後の経済活動の正常化が進む中で、貨物輸送量は低調に推移しておりますが、これまで獲得してきた新規営業や既存の取引が拡大をみせたこともあり、貨物自動車運送事業収入は38,622百万円(前年同期比4.6%増)となり、セグメント利益は各種コスト増を踏まえた適正運賃の確保が進んだことから2,699百万円(前年同期比45.6%増)となりました。

 国際物流事業

  国際物流事業につきましては、これまでの特需的な需給逼迫による要因は解消が継続しており、全体的な荷動きの停滞もあることから、国際物流事業収入は10,629百万円(前年同期比17.7%減)となり、セグメント利益は1,113百万円(前年同期比5.9%減)となりました。

 不動産賃貸事業

  不動産賃貸事業につきましては、不動産賃貸事業収入は886百万円(前年同期比0.6%減)となり、セグメント利益は551百万円(前年同期比3.0%減)となりました。

 その他事業

  リース業、コンピュータソフト開発保守業、保険代理店業、部品販売業、太陽光発電業、清掃業、事務代行業を中心としたその他事業収入は1,009百万円(前年同期比13.1%増)となり、セグメント利益は140百万円(前年同期比61.6%増)となりました。

 

 

② キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、投資活動の結果使用した資金3,139百万円を、営業活動の結果得られた資金4,575百万円と財務活動の結果得られた資金610百万円でまかなったことにより前連結会計年度末に比べ2,050百万円増加し8,260百万円となりました各キャッシュ・フローの状況と主な要因は次のとおりであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動の結果得られた資金は、4,575百万円(前年同期比27.7%増)となりました。これは主に税金等調整前当期純利益3,499百万円、減価償却費1,643百万円、支払手形及び営業未払金の増加141百万円、法人税等の支払額1,100百万円によるものであります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動の結果使用した資金は、3,139百万円(前年同期比151.3%増)となりました。これは主に、差入保証金の返還による収入1,678百万円、有形固定資産の取得による支出4,662百万円、無形固定資産の取得による支出121百万円によるものであります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動の結果得られた資金は、610百万円(前連結会計年度は1,401百万円の使用)となりました。これは主に長期借入金による収入2,400百万円、長期借入金の返済による支出1,033百万円、リース債務の返済による支出291百万円、配当金の支払額386百万円によるものであります。

 

③ 生産、受注および販売の実績

 当社グループの事業は受注生産形態をとっていないため、生産規模および受注規模を金額あるいは数量で示すことはしておりません。
 このため生産、受注および販売の実績については、「(1)経営成績等の状況の概要 ①経営成績の状況」における各セグメント業績に関連付けて示しております。

   販売実績
   当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2023年4月1日

至 2024年3月31日)

前年同期比(%)

貨物自動車運送事業(百万円)

38,605

104.6

国際物流事業(百万円)

10,621

82.3

不動産賃貸事業(百万円)

886

99.4

報告セグメント計(百万円)

50,113

98.8

その他(百万円)

1,009

113.1

合計(百万円)

51,123

99.0

(注)1.セグメント間の内部売上高又は振替高は含めておりません。

   2.当連結会計年度における主な相手先の販売実績および総販売実績に対する割合は、当連結会計年度に販売実績の総販売実績に対する割合が100分の10以上の相手先がないため、記載を省略しております。

 

④ 財政状態の分析

(資産)

  当連結会計年度末における流動資産の残高は、19,386百万円(前連結会計年度末は16,427百万円)となり、2,958百万円増加しました。現金及び預金の増加2,050百万円、受託現金の増加744百万円、リース投資資産の減少162百万円が主な要因です。

  固定資産の残高は、27,342百万円(前連結会計年度末は25,878百万円)となり、1,463百万円増加しました。建物及び構築物(純額)の増加1,357百万円、土地の増加1,902百万円、投資有価証券の増加196百万円、リース資産(純額)の減少119百万円、繰延税金資産の減少138百万円、差入保証金の減少1,584百万円が主な要因です。

(負債)

  当連結会計年度末における流動負債の残高は、15,315百万円(前連結会計年度末は14,018百万円)となり、1,297百万円増加しました。支払手形及び営業未払金の増加138百万円、未払金の増加240百万円、受託現金の増加等による預り金の増加822百万円が主な要因です。

  固定負債の残高は、7,388百万円(前連結会計年度末は6,255百万円)となり、1,132百万円増加しました。長期借入金の増加1,437百万円、リース債務の減少340百万円が主な要因です。

(純資産)

  当連結会計年度末における純資産の残高は、24,025百万円(前連結会計年度末は22,033百万円)となり、1,992百万円増加しました。利益剰余金の増加1,968百万円、その他有価証券評価差額金の増加135百万円が主な要因です。

この結果、自己資本比率は0.7ポイント減少し、51.4%となりました。

 

⑤ キャッシュ・フローの状況の分析

 キャッシュ・フロー関連指標の推移は下記のとおりであります。

 

2020年3月期

2021年3月期

2022年3月期

2023年3月期

2024年3月期

自己資本比率(%)

44.6

46.8

49.8

52.1

51.4

時価ベースの自己資本比率(%)

19.6

27.2

28.5

29.9

39.0

債務償還年数(年)

2.9

2.5

2.1

2.0

1.8

インタレスト・カバレッジ・レシオ(倍)

41.4

55.4

65.6

71.8

82.1

※自己資本比率:自己資本/総資産

 時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産

 債務償還年数:有利子負債/営業キャッシュ・フロー

 インタレスト・カバレッジ・レシオ:営業キャッシュ・フロー/利払い

1.各指標は、いずれも連結ベースの財務数値により計算しております。

2.株式時価総額は、期末株価終値×期末発行済株式総数により計算しております。

3.営業キャッシュ・フローは連結キャッシュ・フロー計算書の営業活動によるキャッシュ・フローを使用しております。有利子負債は、連結貸借対照表に計上されている負債のうち利子を支払っている全ての負債を対象としております。また利払いについては、連結キャッシュ・フロー計算書の利息の支払額を使用しております。

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

  経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識および分析・検討内容は次のとおりであります。

  なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末日において判断したものであります。

 

① 重要な会計上の見積り

  当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。

  連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積りについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。

 

② 財政状態および経営成績の状況に関する認識および分析・検討内容

 ⅰ 財政状態に関する分析

   当連結会計年度の財政状態については、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ④ 財政状態の分析」に記載のとおりであります。

 ⅱ 経営成績に関する分析

  (営業収益)

   営業収益は、新型コロナウイルス感染症からの社会経済活動の正常化が本格的に進む中、国内を中心とした貨物自動車運送事業においては、前期までに獲得した新規営業や既存の取引の業容拡大に加え、衛生品や宅食の荷量は減少傾向も小売店向けは回復傾向にあり増収となりました。また国際物流事業においては、全体的な荷動きは停滞し、前期までみられた需要逼迫による特需的な要因の解消が継続していることから減収となりました。

   以上の結果、当連結会計年度における連結営業収益は51,123百万円(前年同期比1.0%減)となりました。

  (営業利益)

   営業利益は、燃料価格や各種調達コストの上昇を踏まえた適正運賃の確保や経費削減の効果等により、当連結会計年度における連結営業利益は3,432百万円(前年同期比25.7%増)となりました。

  (経常利益)

   営業外収益は、受取補償金の増加等により187百万円となり前連結会計年度より12百万円増加しました。

   営業外費用は、保育園運営費用の減少等により88百万円となり、前連結会計年度から13百万円減少しました。

   以上の結果、当連結会計年度における連結経常利益は3,531百万円(前年同期比26.0%増)となりました。

  (親会社株主に帰属する当期純利益)

   特別利益は、固定資産売却益の減少等により22百万円となり、前連結会計年度より34百万円減少しました。

   特別損失は、当社グループにおいて固定資産の減損損失33百万円、為替換算調整勘定取崩損11百万円の計上等により53百万円となり、前連結会計年度より49百万円減少しました。

   法人税等は、1,226百万円となり、前連結会計年度より244百万円増加しました。

   以上の結果、当連結会計年度における親会社株主に帰属する当期純利益は2,273百万円(前年同期比28.1%増)となりました。

 

③ 経営成績に重要な影響を与える要因について

  当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載のとおりであります。

 

④ 戦略的現状と見通し

  経営戦略の現状と見通しについては、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおりであります。

  新規業務の獲得、グループ会社間の連携強化、収益性の向上に取り組むほか、M&Aや物流DXの推進に積極的に取り組んでまいります。恒常的になりつつあるトラックドライバーをはじめとした人材不足を補うべく、採用活動を積極的に行うとともに、次世代の幹部候補育成に向けた教育を強化してまいります。また、燃料価格や各種調達コストの上昇を含めた適正運賃の確保や更なる効率化等、利益の向上に向けた取り組みを継続してまいります。

  通期の業績予想につきましては、連結営業収益52,000百万円、連結営業利益3,470百万円、連結経常利益3,550百万円、親会社株主に帰属する当期純利益2,280百万円を見込んでおります。

 

⑤ 資本の財源および資金の流動性についての分析

  当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの状況につきましては、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

 (資金需要について)

  当連結会計年度において実施した設備投資の総額は4,881百万円であり、その主なものとして、貨物自動車運送事業におきましては、建物及び構築物の取得1,986百万円、土地の取得1,805百万円、機械装置及び車輌運搬具の取得373百万円、パソコン等の工具、器具及び備品の取得186百万円、ソフトウエアの取得52百万円等により、総額4,405百万円の設備投資を実施しております。

  国際物流事業におきましては、建物及び構築物の取得129百万円、ソフトウエアの取得50百万円、機械装置及び車輌運搬具の取得45百万円、パソコン等の工具、器具及び備品の取得12百万円等により、総額237百万円の設備投資を実施しております。設備投資資金は自己資金および借入金で賄っております。

  また、翌連結会計年度については、車輌の代替え、既存の機械・システム等の入替え等を見込んでおります。設備投資資金は自己資金および借入金で賄う予定であります。

 

⑥ 経営者の問題意識と今後の方針について

  経営者の問題意識と今後の方針につきましては、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおりであります。

 

 

5【経営上の重要な契約等】

 該当事項はありません。

6【研究開発活動】

 該当事項はありません。