当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりである。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものである。
(1)経営方針
当社グループは、運送事業を中核とした総合物流サービス業を目指し、広く地域社会に貢献し、公共の福祉に寄与することを使命としている。当社グループの提供するサービスが、顧客に信頼され、産業活動の発展に寄与し、株主、取引先、従業員等すべての人々の期待に応えることを経営理念としている。
(2)経営戦略等
当社グループは、主力の特別積合せ貨物運送を中心として、拠点網を通じた物流効率化と輸送品質の向上を図り、多様化する需要に対応した輸送システムの構築に努めている。また、3PL事業など付加価値の高い物流形態を積極的に提案するとともに、倉庫事業の強化、静脈物流の拡充などあらゆるニーズにお応えすることにより、顧客のパートナーとして信頼していただけるよう、サービスの充実と業績の向上に取り組んでいる。
物流効率化については、ITによる積載率の改善、JRコンテナの活用を含めた輸送モードの多角化推進、共同集配の拡充などに努めるとともに、ドライバーの待機時間短縮、老朽施設の改修など働きやすい環境の整備にも取り組んでいる。
今後とも輸送力の強化、高品質化に注力しつつ、付加価値の高いサービスの提供を行い、社業の発展と企業価値の向上に努める所存である。
(3)経営環境
当社グループを取り巻く経営環境は、国際情勢に起因するサプライチェーン逼迫からの緩和やインバウンド関連の需要増加に伴い、国内景気の持ち直しが期待されるものの、諸物価の高騰が原材料から食料品をはじめ広範囲に広がっており、予断を許さない状況が続いている。
物流業界においても、国内輸送需要は製造関連を中心に依然として低調に推移している。また、燃料価格の高止まりに加え、車両関係費、外注費など輸送コストの上昇やドライバー不足への懸念ともあいまって厳しい経営環境が続いており、先行きは不透明である。
(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
国内輸送量は依然として減少傾向にあり、燃料価格、資材、外注費の高騰をはじめ慢性的な労働力不足、従業員の高齢化、ドライバーの時間外労働・拘束時間の規制等大変厳しい状況が続いている。今後も同業他社との共同輸配送を拡充するなど、輸送効率の改善を進め、付加価値の高い3PL事業、倉庫事業の強化にも努めていく必要がある。
また、気候変動に対する取り組みとして、低公害車両の導入、エコドライブの推進、鉄道コンテナの活用、PPAによる太陽光発電設備の導入を進めるとともに、人的資本・多様性への取り組みとして、女性管理職の育成・登用、男性育児休業の取得しやすい環境づくりに取り組んでいく。
(5)経営上の目標の達成状況を判断するための指標等
当社グループは、収益の拡大・業務の効率化等を通じて経営基盤の強化を図るため、売上高経常利益率を重要な指標としてその向上に取り組んでいる。
当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりである。
当社グループは主としてトラックによる貨物輸送を担う企業グループであり、事業活動により生じる環境への負荷を低減し、サステナブルな社会構築に向けた取り組みを行うことが最重要課題の一つであることを認識し、ステークホルダーの皆様とともに、輸送サービスによる様々な業種のサプライチェーンへの貢献と持続可能な社会の形成を目指し、下記「サステナビリティ基本方針」を定めている。
[サステナビリティ基本方針]
・お客様に高い品質とサービスを提供します。
・基本的人権と公正・適正な取引を尊重し、事業に関わるすべての人たちが活躍し、働き甲斐のある事業活動を推
進します。
・事業活動のあらゆる面で環境に関する法令を遵守し、省エネルギー・省資源等自らの事業活動によって生じる
直接的な環境負荷の低減に取り組みます。
・地域社会との密接な連携と協調のもとに、防災対策、災害復興支援活動等の社会貢献活動を行います。
サステナビリティへの取り組みにあたっては、以下の社内体制とする。
(1)ガバナンス
当社グループは、2023年に気候変動を含むサステナビリティ全般に関する事項について検討する機関として「サステナビリティ推進会議」(年2回開催)を設置した。サステナビリティ推進会議は代表取締役社長が議長を務め、本社役員及び部長・室長にて構成している。
サステナビリティ推進会議では、気候変動などの環境課題・人的資本・多様性、その他サステナビリティに関する事項を審議し、関連するリスクの識別・評価についてはリスク管理委員会と連携して対応する。重要案件については取締役会へ報告し、承認を得ることとしている。
取締役会は、サステナビリティを経営上の重要な戦略として、サステナビリティ推進会議が決定する事項の進捗等について監督を行うこととしている。
■気候変動を含むサステナビリティ全般に関するガバナンスおよびリスク管理体制図
(2)リスク管理
当社グループの事業活動に重要な影響を及ぼす可能性のあるリスク(事業リスク)については、リスク管理委員会において評価・管理を行っている。
気候変動リスクについては、事業リスクとともにリスク管理委員会の総合的なリスク管理プロセスに組み入れられており、サステナビリティ推進会議において、リスク管理委員会と情報連携しつつ、気候変動リスクの識別および重要度評価・絞込みを行い、重要な案件については取締役会に報告することとしている。
なお、リスク管理委員会は内部監査部門を含んでおり、事業リスク等の識別・評価に加え、コンプライアンスの確保、リスク管理体制の構築・運用が有効であることを確認している。
(3)戦略
① 気候変動に対する取組
当社グループは、気候変動に関するリスクと機会を分析するために、「気候変動対策が進み将来の気温上昇が2℃に抑制された世界」と「気候変動対策が停滞し将来の気温上昇が4℃に達してしまう世界」の2つの将来世界をシナリオとして設定し、洗い出した各リスクと機会について当社グループへ想定される影響とその影響度を評価した。
今回洗い出しと評価を行ったリスクと機会については、当社グループのリスクマネジメント体制に則りモニタリングを継続的に実施し、適宜再評価を行っていく。
■リスク・機会の特定および影響度の評価
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リスク・機会の種類 |
ドライバー |
当社グループへ想定影響 |
影響度 |
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移 行 リ ス ク |
政策・法規制 |
炭素価格の導入 |
・炭素価格分(排出枠購入、炭素税)を価格転嫁できない場合利益減 ・炭素税による仕入品値上げ分を価格転嫁できない場合利益減 |
大 |
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排出量報告制度の強化 |
・取引先への報告作業の増加による対応コストの増加 |
小 |
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テクノロジー |
EVやFCVなど環境配慮型車両の技術進歩・普及 |
・小型・中型トラックのEV・FCVへの車両代替および充電・充填設備に関わるコスト増 |
大 |
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|
市場 |
顧客が低排出企業を選定 |
・GHG排出量を減少できないことにより、顧客が流出 |
大 |
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|
エネルギーの調達コストの増加 |
・再生可能エネルギーの発電コストが低減されない場合、再生可能エネルギーへの代替に伴うエネルギー調達コストの増加 |
小 |
||
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評判 |
ステークホルダーが環境対応に対する外部評価を重視 |
・サステナビリティへの対応が不十分な場合格付けが低下し、投融資による資金調達が困難になる ・環境対応の遅れが企業の評判を低下させサービスの利用・採用活動に影響を与える |
小~中 |
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物 理 リ ス ク |
急性リスク |
豪雨、台風、洪水などの気象災害の発生および過酷さの増加 |
・当社の施設・拠点が被災し、休業してしまうことによる売上高減少および、復旧コストの増加 ・顧客、協力会社の被災によって売上が減少 ・被災した道路インフラ回避のための輸送コストが増加 |
大 |
|
熱帯性感染症の流行 |
・感染被害増加により、集荷・配達、運行に欠便発生およびその対策としての外注コストが増加 ・顧客内感染の発生による減産によって、出荷量が減少し売上高が減少 |
小 |
||
|
慢性リスク |
平均気温の上昇 |
・平均気温上昇により、追加空調設備導入、および温度管理に係るエネルギーコストの増加 ・熱中症被害増加により、集荷・配達、運行に欠便発生およびその対策としての外注コストが増加 |
中~大 |
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|
・当該農産物・海産物に関連する顧客からの出荷が消失し、売上高が減少 |
小 |
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海面の上昇 |
・自社拠点、協力会社拠点の浸水により業務継続が難しくなり売上高が減少 |
大 |
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機 会 |
資源の効率性 |
より効率的な輸送手段の推進 |
・デジタルを用いた積載率、ルート最適化などの物流効率化によりエネルギー使用量、人件費の削減 |
小 |
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・共同配送・モーダルシフトなど輸送手段の多様化によるエネルギー使用量、人件費の削減 |
中 |
|||
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・EV車両・FCV車両の導入により化石燃料の調達コスト削減 |
中 |
|||
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エネルギー |
再生可能エネルギーが普及 |
・PPA型太陽光発電の導入により、施設で使用する設備電力消費に係るエネルギー調達コスト削減 |
中 |
|
|
リスク・機会の種類 |
ドライバー |
当社グループへ想定影響 |
影響度 |
|
|
機 会 |
製品・サービス |
環境配慮型の新しい製品・サービスの需要が上がる |
・GHG排出を抑制する輸送手段を選択することで、環境への配慮を重視する荷主からの信頼を得て収益確保 |
中 |
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市場 |
環境配慮経営が投資家からの信用獲得につながる |
・環境に配慮した経営を推進することで更なる投融資を拡大 |
小 |
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レジリエンス |
気候リスクに対して、ビジネス機能の維持が求められる |
・災害に備えた拠点の整備を行うことで、災害時の輸送機能維持能力での差別化によって顧客増加 |
中 |
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※影響度…(小)1億円未満、(中)1億円~5億円未満、(大)5億円以上
② 人的資本・多様性に対する取組
イ.人材の確保と育成
当社は、「サステナビリティ基本方針」のもとに、拠点網を通じた物流効率化と輸送品質の向上を図りつつ、主力の特別積合事業を中心として3PL事業、倉庫事業、静脈物流の拡充など、あらゆるニーズにお応えすることにより、顧客のパートナーとして信頼いただけるよう、サービスと企業価値の向上に取り組んでいる。その事業基盤を維持・強化していくためには、人的資本としての多様な人材の確保が前提となる。そのため当社は採用部門を増強し、職種に応じた人材を幅広く募集するとともに、女性や中途採用者の育成・管理職登用を積極的に進めている。
従業員教育においては、入社前研修、入社後のフォロー研修、ドライバー研修など、職種ごとに教育を実施するとともに、リーダー研修、管理職研修などキャリアに応じた教育を行い、知識とスキルの向上を図っている。また、営業支援ツールやコミュニケーションシートにより、上司と従業員間の情報共有を図るとともに、従業員個々の課題や将来に向けての考え方を把握し、自律的なキャリア形成を推進している。
ロ.健康経営
当社は、全従業員の健康がすべての基盤であるとの認識のもと、健康第一の職場風土の醸成、豊かな社会実現のための自律的な健康保持増進活動を心掛け、また一人ひとりが健康で意欲的に働きいつまでも元気で生活することが出来ることが重要と考え、「健康経営宣言」を制定している。
(4)指標と目標
① 気候変動に対する取組
当社グループは、トラック輸送サービスを担う企業グループとして事業活動が気候変動に及ぼす影響を把握するために、CO₂排出量の算定を行った。カーボンニュートラルに貢献できるよう、今後も継続的にCO₂排出量の算定を行い環境に配慮した施策を積極的に行っていくことで事業活動における環境負荷の低減に努めていく所存である。
■CO₂排出量データ
CO₂排出量の算定対象範囲は、当社グループ売上高の90%以上を占める貨物運送業(6社)とした。
(単位:t-CO₂)
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2019年度 |
2023年度 |
2024年度 |
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Scope1 |
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Scope2 |
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Scope1+2 計 |
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■CO₂削減目標
当社グループにおけるCO₂排出量は7割を大型トラックが占めている。経済産業省では、2030年以降でFC大型トラックの普及が示されているため、2030年までには大型トラックのFC化以外の対策を進めながら、20%削減達成(2019年度対比)を目指していき、2030年以降は大型トラックのFC化を進めることで、2050年にカーボンニュートラルの達成を目指していく所存である。
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2030年度目標 |
2050年度目標 |
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Scope1 |
20%削減(2019年度比) |
カーボンニュートラル |
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Scope2 |
■気候変動に関する取組
当社グループでは、設定した排出削減目標を達成するため、以下取り組みを推進及び検討している。よりCO₂排出量の少ない取り組みについて検討を行いながら、持続可能な社会に貢献していく所存である。
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取り組み |
概要 |
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低公害車両への切り替え |
・EVトラック・EV車の導入 ・2050年に向け、FCV大型トラック等の技術発展を鑑みた車両導入計画の作成 |
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積載率向上 |
・積載率向上に資するシステムの導入 |
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燃費向上 |
・エコドライブの推進 ・ルート最適化に資するシステムの導入 |
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モーダルシフト |
・鉄道、船舶への輸送切り替え |
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省エネの促進 |
・LEDへの切り替え |
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再生可能エネルギーへの切り替え |
・PPAによる太陽光発電設備の導入 ・再生可能エネルギー由来電力の購入 |
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カーボンクレジットの購入 |
・目標に対し不足しているCO₂削減量のカーボンクレジットを購入 |
② 人的資本・多様性に対する取組
当社は、多様な人材の育成とともに従業員のワーク・ライフ・バランスに配慮した社内体制の整備を目指し、以下の指標と目標を設定している。
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イ. |
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目標 : |
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実績 : 2025年3月期 |
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2024年3月期 2.6% |
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ロ. |
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目標 : |
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実績 : 2025年3月期 |
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2024年3月期 10.5% |
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ハ. |
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目標 : |
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実績 : 2025年3月期 |
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2024年3月期 9日 |
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりである。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものである。
(1)法的規制等について
当社グループは、主に貨物自動車運送事業法及び貨物利用運送事業法などの法令を遵守して営業活動を行っている。また、近年環境問題への関心が高まるなか、当社グループは低公害車の導入やエコドライブの徹底等、環境対策を自主的に進めている。しかし、将来において、現在予期し得ない法的規制や或いは現在の規制が一層強化される可能性がある。
これらの法的規制等を遵守できなかった場合、当社グループの事業活動が制限される可能性があり、財政状態及び経営成績に悪影響を及ぼす可能性がある。
(2)重大事故等について
当社グループは、公道を使用して車両による営業活動を行っていることから、従業員教育等を通じて交通安全・事故防止対策に万全な体制をとり、人命の尊重を最優先として努めているが、重大な不慮の事故を発生させた場合、損害賠償等により当社グループの財政状態及び経営成績に重大な影響を及ぼす可能性がある。
(3)人材の確保や育成について
当社グループは、主に貨物自動車による運送事業を行っているため、労働集約型の事業が多く、労働力としての質の高い人材の確保・育成が必要である。「働き方改革」の推進、労働環境の改善による社員の定着に努めているが、時間外労働の上限規制等により、十分な人材の確保・育成が出来なかった場合、当社グループの財政状態及び経営成績に重大な影響を及ぼす可能性がある。
(4)顧客情報の流出について
当社グループは、多くの顧客情報を取り扱っている。特にハート産直便や引越等は顧客の個人情報を記載した伝票を利用しており、多様な顧客情報を取り扱っている。当社グループには顧客情報に対する守秘義務があり、管理の徹底に努めているが、万一情報が外部に漏洩した場合、当社グループの社会的信用の低下を招くだけでなく、損害賠償請求等が発生する。これらの事象が発生した場合、当社グループの財政状態及び経営成績に重大な影響を及ぼす可能性がある。
(5)自然災害等について
当社グループは、公道を使用して車両による商品の輸送が主な業務である。地球温暖化による異常気象や、地震・台風等の自然災害による車両・設備等の被害、輸送経路の遮断による物流の停滞等により、当社グループの財政状態及び経営成績に重大な影響を及ぼす可能性がある。
(6)コストの上昇について
当社グループは、事業を行うにあたり多量の燃料を使用している。原油価格の変動により、燃料費が大幅に高騰することによる輸送コストの上昇、また事業活動上必要な資金の一部は金融機関から調達しているため、金利の急騰による資金調達コストの上昇があった場合、当社グループの財政状態及び経営成績に重大な影響を及ぼす可能性がある。
(7)減損会計に係るリスクについて
当社グループは、事業用固定資産を保有している。これらの資産について、収益性の低下や、時価の下落に伴う資産価値の低下があった場合、当社グループの財政状態及び経営成績に重大な影響を及ぼす可能性がある。
(8)市場リスクについて
当社グループは、金融機関、荷主や連帯関係にある同業他社の株式を保有しているため、株式市場の価格変動リスクを負っている。将来において、現在予期し得ない相場変動があった場合、当社グループの財政状態及び経営成績に重大な影響を及ぼす可能性がある。
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりである。
①財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度における我が国経済は、輸出や設備投資の増加により緩やかな回復基調で推移した。加えて2024年の春季労使交渉では、大手企業を中心に高い賃上げが実現したが、物価上昇により実質賃金は停滞し、景気回復を実感できる状況には至っていない。
世界経済は長期化するロシアのウクライナ侵攻、混迷を深める中東情勢、先行きの読めない米国のトランプ政権等、不透明で不安定要素が山積している。
運輸業界においても、国内輸送量に回復の兆しが見られず、燃料価格をはじめ諸物価の上昇が続くなど厳しい状況が続いた。
このような経済環境下、当社グループは当年の目標を「人材の確保と適正運賃の収受」と定めた。学校訪問・説明会、オープンカンパニー、各種募集媒体の利用、従業員紹介制度の活用等により採用活動をさらに強化するとともに、積極営業による物量の確保に努め、適正運賃・諸料金の収受交渉を継続的に行い、増収に努めてきた。また、2月から北陸方面の配送を同業他社に委託し、山陰方面の配送を受託するなど、輸送の効率化を進めてきた。
イ.財政状態
当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度末に比べ9億6千3百万円増加し、473億8千8百万円となった。
当連結会計年度末の負債合計は、前連結会計年度末に比べ7千8百万円増加し、239億8千4百万円となった。
当連結会計年度末の純資産合計は、前連結会計年度末に比べ8億8千5百万円増加し、234億4百万円となった。
ロ.経営成績
当連結会計年度の営業収益は383億4千6百万円(前連結会計年度比1.7%増)となり、営業利益は9億7百万円(前連結会計年度比41.7%増)、経常利益は12億1千1百万円(前連結会計年度比31.0%増)となった。また、親会社株主に帰属する当期純利益は9億5千7百万円(前連結会計年度比15億3千7百万円の減益、前連結会計年度は広島主管支店の移転に伴う旧広島主管支店等の譲渡による固定資産売却益を計上)となった。
セグメントごとの経営成績は次のとおりである。
(貨物運送関連)
貨物運送関連については、適正運賃・料金の収受に積極的取り組んだこと等により、営業収益は363億1千7百万円(前連結会計年度比1.6%増)となり、営業利益は7億4千4百万円(前連結会計年度比50.5%増)となった。
(石油製品販売)
石油製品販売については、商品販売量の減少などにより、営業収益は10億7千3百万円(前連結会計年度比4.0%減)となり、営業利益は8百万円(前連結会計年度比5百万円の増益)となった。
(その他)
その他については、自動車用品販売、フォークリフト販売及び一般労働者派遣等を含んでおり、営業収益は9億5千5百万円(前連結会計年度比14.1%増)となり、営業利益は1億3千万円(前連結会計年度比9.4%増)となった。
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ8億9千4百万円増加し、当連結会計年度末には64億4千5百万円となった。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は、次のとおりである。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は、25億9千2百万円(前連結会計年度は19億6千4百万円の獲得)となった。これは主に、税金等調整前当期純利益14億4千7百万円、減価償却費17億5百万円の計上があったことなどによるものである。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は、18億2百万円(前連結会計年度は1百万円の使用)となった。これは主に、有形固定資産の取得による支出が21億6千9百万円であったことなどによるものである。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果得られた資金は、1億4百万円(前連結会計年度は25億3千9百万円の使用)となった。これは主に、長期借入金の返済による支出が27億3百万円であったものの、長期借入れによる収入が30億5千2百万円であったことなどによるものである。
③営業実績
イ.営業実績
当連結会計年度の営業実績をセグメントごとに示すと、次のとおりである。
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セグメントの名称 |
当連結会計年度(千円) (2024年4月1日から2025年3月31日まで) |
前年同期比(%) |
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貨物運送関連 |
36,317,845 |
101.6 |
|
石油製品販売 |
1,073,293 |
96.0 |
|
報告セグメント計 |
37,391,139 |
101.5 |
|
その他 |
955,439 |
114.1 |
|
合計 |
38,346,578 |
101.7 |
(注)セグメント間の取引については相殺消去している。
ロ.地区別営業収益
|
区分 |
当連結会計年度(千円) (2024年4月1日から2025年3月31日まで) |
前年同期比(%) |
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関東地区 |
3,874,598 |
102.8 |
|
中部地区 |
2,602,117 |
103.5 |
|
北陸地区 |
331,231 |
81.8 |
|
近畿地区 |
9,303,123 |
102.1 |
|
中国地区 |
19,785,177 |
101.3 |
|
四国地区 |
838,904 |
104.1 |
|
九州地区 |
1,611,425 |
103.3 |
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合計 |
38,346,578 |
101.7 |
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりである。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものである。
①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
イ.財政状態の状況に関する認識及び分析・検討内容
当連結会計年度末の総資産は473億8千8百万円となり、前連結会計年度末に比べ9億6千3百万円の増加となった。これは、現金及び預金の増加等により流動資産が5億2千4百万円増加し、建物及び構築物(純額)の増加等により固定資産が4億3千8百万円増加したことによるものである。
負債については239億8千4百万円となり、前連結会計年度末に比べ7千8百万円の増加となった。これは、短期借入金の増加等により流動負債が22億7千1百万円増加し、長期借入金の減少等により固定負債が21億9千3百万円減少したことによるものである。なお、短期借入金の増加及び長期借入金の減少はシンジケートローンの返済期日が1年未満となったことで流動負債へ振替えたことによるものである。
純資産については234億4百万円となり、前連結会計年度末に比べ8億8千5百万円の増加となった。これは、主に利益剰余金の増加等によるものである。
ロ.経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
当社グループの経営成績は、当連結会計年度において営業収益は383億4千6百万円、経常利益は12億1千1百万円、親会社株主に帰属する当期純利益は9億5千7百万円となっており、前連結会計年度と比較して、営業収益、経常利益、親会社株主に帰属する当期純利益は、それぞれ6億5千3百万円の増収、2億8千6百万円の増益、15億3千7百万円の減益となっている。
これは当社グループが、貨物取扱量は微減であったが、適正運賃・料金の収受に積極的に取り組んだためである。(前連結会計年度は広島主管支店の移転に伴う旧広島主管支店等の譲渡による固定資産売却益を計上)
営業原価については当社グループの主要事業である貨物運送関連において、人手不足に加え2024年問題への対応のため外注費(傭車料)の増加があったことなどにより、前連結会計年度より3億6千1百万円増加し、356億8百万円となっている。
ハ.セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
(貨物運送関連)
貨物運送関連については、適正運賃・料金の収受に積極的に取り組んだこと等により、営業収益は363億1千7百万円(前連結会計年度比1.6%増)となった。
セグメント利益は、7億4千4百万円(前連結会計年度比50.5%増)となった。
セグメント資産は、津山主管支店新築ならびに、豊川営業所の土地、建物の取得の計上などにより、392億8千8百万円(前連結会計年度比0.1%増)となった。
(石油製品販売)
石油製品販売については、商品販売量の減少などにより、営業収益は10億7千3百万円(前連結会計年度比4.0%減)となった。
セグメント利益は、8百万円(前連結会計年度比5百万円の増益)となった。
セグメント資産は、8億9千5百万円(前連結会計年度比8.5%減)となった。
(その他)
その他については、自動車用品販売、フォークリフト販売及び一般労働者派遣等を含んでおり、営業収益は9億5千5百万円(前連結会計年度比14.1%増)となった。
セグメント利益は、1億3千万円(前連結会計年度比9.4%増)となった。
セグメント資産は、8億6千4百万円(前連結会計年度比0.7%減)となった。
②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
イ.キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容
当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況の分析・検討内容については、「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりである。
ロ.資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当社グループの事業活動における運転資金需要のうち主なものは、外注費(傭車料)及び燃油費等の支払のほか、販売費及び一般管理費等の営業費用である。投資を目的とした資金需要は、主要な拠点の再整備、車両購入等の設備投資によるものである。
当社グループの事業活動上必要な流動性と資金調達の源泉を安定的に確保することを基本方針としている。
短期運転資金は、自己資金及び金融機関からの短期借入を基本とし、設備投資や長期運転資金の調達については、金融機関からの長期借入を基本としている。
なお、当連結会計年度末における借入金等の有利子負債の残高は141億3千7百万円となっている。
また、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は64億4千5百万円となっている。
③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠して作成している。この連結財務諸表の作成には経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要とする。経営者は、これらの見積りについて過去の実績等を勘案し合理的に判断しているが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合がある。
当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、第5「経理の状況」の連結財務諸表の「連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載しているが、特に次の重要な会計方針が連結財務諸表作成における重要な見積りの判断に大きな影響を及ぼすと考えている。
イ.貸倒引当金の計上基準
当社グループは、債権等の貸倒損失に備えるため、一般債権については貸倒実績率により、貸倒懸念債権等の債権については個別に回収可能性を勘案し、回収不能見込額を計上している。将来、荷主の財政状況が悪化し支払能力が低下した場合には、引当金の追加計上または貸倒損失が発生する可能性がある。
ロ.有価証券の減損処理
当社グループは、金融機関、荷主や連帯関係にある同業他社の株式を保有している。これらの株式は株式市場の価格変動リスクを負っているため、合理的な基準に基づいて有価証券の減損処理を行っている。また、非上場株式については財政状態の悪化などにより実質価額が著しく低下したとき減損処理を行っている。将来、株式市場や財政状態が悪化した場合には多額の有価証券評価損を計上する可能性がある。
ハ.繰延税金資産の回収可能性の評価
当社グループは、繰延税金資産の回収可能性を評価するに際して将来の課税所得を合理的に見積っている。繰延税金資産の回収可能性は将来の課税所得の見積りに依存するので、その見積額が減少した場合は繰延税金資産が減額され税金費用が計上される可能性がある。
ニ.固定資産の減損
当社グループは、管理会計上の区分、投資の意思決定を行う際の単位を基準とし、主として主管支店及び管下店所を1つの単位とし、また遊休資産については物件単位ごとにグルーピングを行っている。これらの資産グループについて、減損の兆候が認められた場合、当該資産グループに係る資産の帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失として計上する可能性がある。
特記事項なし。
特記事項なし。