当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)経営方針
当社グループは、
「物流の未来を見つめ、物流に関わるすべての事業の創造に挑戦します」
「お客様の期待に応えて信頼を築き、豊かな社会の創造に貢献します」
「社員の創意を活かし、仕事の喜びと心豊かな生活の創造を目指します」
を基本理念としております。
この理念に基づき、当社グループの総力を結集して品質の高い物流サービスを提供し、株主の皆様をはじめとしたステークホルダーの皆様の期待に応えて、企業価値を高める努力を続けてまいります。また、コンプライアンスの徹底とコーポレート・ガバナンスの強化に努め、経営品質を高めて社会の発展に貢献することを目指してまいります。
2024年3月期を初年度とする3ヶ年の中期経営計画(以下、「中期経営計画2025」)におきましては、「New Challenge」を基本方針としております。この方針の下、常に改善意識を持って新たな挑戦を行い、「環境変化に適応した強固な体制づくり」「適切な利益を安定確保できる収益構造の確立」「社会課題解決への貢献」を実現することにより、経済的価値および社会的価値を高め、信頼される企業グループとして成長を目指してまいります。
(2)経営戦略等
当社グループは、上記(1)の方針を踏まえ、「収益力の向上」「強固な物流サービスの構築」「サステナビリティの推進」「人財力の強化」「グループ経営基盤の強化」をテーマとし、それぞれに重点施策を定め、取り組みを進めております。
① 収益力の向上
・安定利益を確保できる収益構造の構築
・営業強化による得意先との取引範囲の拡大
・インドシナ半島地域における物流事業の拡大
② 強固な物流サービスの構築
・安全および品質の追求による現場力の強化
・物流DX推進による生産性の向上
・持続的に物流サービスを提供できる体制の整備
③ サステナビリティの推進
・サステナビリティ推進体制の構築
・SDGsを踏まえた重要課題への取り組み強化
・環境や社会への負荷低減につながる事業活動の推進
④ 人財力の強化
・リーダー人財、プロフェッショナル人財等の育成
・多様な人財が活躍できる組織、人事制度づくりの推進
・エンゲージメントの向上
⑤ グループ経営基盤の強化
・最適なグループ体制の検討
・リスクマネジメントの強化
・新基幹システムの活用によるグループ経営管理および業務効率化の推進
(3)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループは、営業収益の拡大および安定した営業利益の確保により、競争力ある収益性の高い事業展開が図れるものと考えております。この観点から、中期経営計画の策定にあたっては、目標とする指標に「営業収益」「営業利益」「売上高営業利益率」を採用し、最終年度に数値目標を設定しております。
現行の「中期経営計画2025」におきましては、最終年度となる2026年3月期に営業収益710億円、営業利益18億円、売上高営業利益率2.5%の達成を目指しております。
(4)経営環境および優先的に対処すべき課題
今後の経済の見通しにつきましては、インバウンド需要の増加に加えて、各種政策や賃上げの効果により国内需要が高まることが期待されており、景気は緩やかな回復基調で推移する見通しであります。しかしながら、実質賃金がプラスに転換するには時間を要する見込みであるほか、中国経済の先行きや不安定な国際情勢への懸念もあり、依然として見極めの難しい状況が続くことが想定されます。
当社グループが属する物流業界につきましては、荷動きが伸び悩む状況にあって、各種コストの上昇が経営を圧迫しており、厳しい事業環境が続くことが見込まれております。そのような状況の中で、時間外労働の上限規制がトラックドライバーに適用されることに起因して生じる2024年問題への対応が喫緊の課題となっており、持続可能な物流の実現に向けて商慣行や業界構造を変革し、物流を効率化することが求められております。また、自然災害の頻発化・激甚化、人口の減少等を背景に、サステナビリティの観点から地球環境の保全や社会課題に対する取り組みの重要度が一段と高まっております。
このように事業環境が大きく変化する状況において、今後も成長を続けていくためには、従来の延長線上の取り組みに留まらず、常に新たな挑戦を行い様々な課題を克服していく必要があると考えております。
以上のことを踏まえ、当社グループは、2023年度を初年度とする3ヶ年の中期経営計画において定めたテーマの実現を目標として、取り組みを進めております。これにより経済的価値および社会的価値を高め、信頼される企業グループとして成長を目指してまいります。
国内におきましては、新設拠点の早期安定稼働に注力するとともに、新規得意先の獲得による営業基盤の強化を図り、収益力を高めてまいります。また、2024年問題を踏まえ、物流DXの推進による効率化や収益構造の見直しを進め、得意先ニーズに応え続けられる強固な輸送体制の構築に取り組んでまいります。
海外におきましては、タイ新倉庫の全面稼働に向けて営業開発を推進し、収益の確保を図ってまいります。また、進出から30周年を迎えるベトナムにつきましては、物流や旅客運送をはじめとする既存事業の強化に加えて、事業領域の拡大も志向しながら営業活動を展開し、同国における一層の成長を目指してまいります。さらに、インドシナ半島地域における輸送網の拡充を図り、需要の拡大が見込まれる国際陸上輸送サービスを強化してまいります。
これらの施策に加えて、体制面といたしましては、環境変化に適応できる強い人財および組織づくりに取り組んでまいります。また、安全・品質の追求、リスクマネジメントの強化、基幹システムの刷新による経営の効率化を進めてまいります。加えて、サステナブル経営を推進し、サステナビリティに関する重要項目に事業活動を通じて取り組むことにより、社会課題の解決に貢献してまいります。
(1)サステナビリティ全般
当社グループは、物流価値の創造による持続可能な社会の実現をめざしています。その実現に向けて、多様性のある創意にあふれた人財・組織づくりを行うとともに、持続可能なサプライチェーンの強化に取り組んでおります。
そのため、「人財価値の向上」「取引先との協働」「環境への配慮」「リスク管理の強化」の4つをマテリアリティに掲げ、社員と家族、取引先、地域社会など全てのステークホルダーを尊重するとともに、地球環境問題に関しては、カーボンニュートラルに向けた取り組みや、生物多様性への配慮など環境負荷ならびにリスクの低減を意識した事業を推進することにより、よりよい未来の創造に貢献してまいります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
①サステナビリティ推進体制とガバナンスについて
当社グループは、2023年度にCSR本部を新設し、新たにサステナビリティ推進部を設けました。また、当社グループにおける「中期経営計画2025」の重点施策となっているサステナビリティの推進を実現するために、CSR本部長を委員長とする「サステナビリティ推進委員会」を立ち上げ、その活動の一環として、「サステナビリティ基本方針」「人財方針」「情報セキュリティ方針」を新たに定めました。
当委員会では、サステナビリティに関わる課題への対応やリスク管理を行い、重要な事項は取締役会へ付議・報告することで経営の実効性を確保しております。
サステナビリティ推進体制(ガバナンス)
②リスク管理
当社グループでは、サステナビリティ推進委員会においてサステナビリティに関連するリスクの管理を行っております。当委員会では、マテリアリティに基づくテーマごとの分科会を開催し、リスクの特定や低減に取り組んでおります。
(2)気候変動への対応
当社グループでは、気候変動への対応を重要な経営課題として捉えております。そのため、マテリアリティの一つに「環境への配慮」を掲げ、温室効果ガス排出量削減と大気汚染物質の削減の目標を定めております。この取り組みをより具体化するために、2023年度はScope1、Scope2の排出量を算定し、現状把握を行いました。2024年度はScope3の排出量算定によりホットスポットを特定し、課題解決に向けた施策を実施します。
当社グループはこれらの活動を通じて、2050年のカーボンニュートラルに向けて取り組んでまいります。
(3)人的資本・多様性の考え方
①戦略
当社グループは、物流価値の創造を通じて社会に貢献することを使命とし、「日本一信頼される企業グループ」を目指しております。その実現のためには、あらゆる活動の根幹であり競争力の源泉である「人財」の力を高めることが重要と考えております。
「中期経営計画2025」においては、基本戦略の一つとして「人財力の強化」を掲げ、その中で多様化するニーズに的確に応えられる人財の育成強化や、エンゲージメントの向上に取り組んでおります。社員一人ひとりが個性や能力を活かして会社と共に成長できる組織を目指し、また、社員が互いの多様性を尊重し合い、安心して意欲的に仕事にチャレンジできる、働きがいと誇りを持てる会社を目指して活動しております。
<人財の育成および社内環境整備に関する方針>
企業を取り巻く環境がめまぐるしく変化する中で、当社グループは企業価値を高め、持続的な成長を目指すために「サステナビリティ基本方針」を制定し、これを受けて「人財方針」を策定しました。これに基づき、以下の5つの指針を柱として様々な取り組みを行っております。
1.学ぶ機会の提供
事業活動を通じてステークホルダーの期待に応え、社会に貢献できるよう、役員およびすべての
社員に対して、学び、成長する機会を積極的に提供します。
2.キャリア形成の支援
一人ひとりの個性を尊重し、中長期的な視野でのキャリア形成を支援します。
3.学び続ける組織風土の醸成
自ら研鑽し、互いに学び合う組織風土を醸成します。
4.多様な意見の尊重
社員が互いの価値観や考え方を尊重しあい、自由に意見を出しあえる組織風土を醸成します。
5.社内環境の整備
年齢、性別、性的指向や性自認、国籍、障がいの有無、採用・雇用形態の違い等にかかわらず、
一人ひとりの社員にとって働きやすい職場環境と、公正な処遇・制度を構築します。
②指標および目標
当社グループは、女性活躍推進法に基づく一般事業主行動計画において、「採用人数に占める女性社員の割合20%以上」を目標としております。当連結会計年度の実績としましては、当社における採用人数に占める女性社員の割合は20.5%であります。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が当社グループの財政状態、経営成績およびキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)特定得意先との営業契約について
当社グループが営業契約を締結している得意先の中で、営業収益に占める割合が10%を超える大口得意先グループがあります。その契約期間は1年間で、双方より申し出のない場合は1年間の自動延長となっております。当社グループは、得意先の期待に応えるため品質の高い物流サービスを提供し、強固な信頼関係の構築および維持に努めておりますが、予期せぬ事象等により契約解消となった場合は、当社の業績等に多大な影響を与える可能性があります。
(2)法的規制等について
当社グループは、貨物自動車運送事業、センター事業、アセット事業を主要な事業としております。これらの事業を営むにあたっては、貨物自動車運送事業法や倉庫業法などの許認可をはじめ、安全や環境に関する各種法的規制を受けております。そのため、各種法令の改正や新たな法令の制定があった場合には、それらに対応するための費用負担が生ずる可能性があります。また、当社グループは、法令順守に努めておりますが、何らかの事由により各種法令に違反した事実が認められた場合には、事業の停止や許可の取り消しなどの罰則を受ける場合があります。したがって、これらの事象が発生した際には当社グループの経営成績および財政状態等に影響を及ぼす可能性があります。
(3)重大事故について
当社グループは、法令順守と安全最優先を原則とした安全方針を掲げ、安全研修の強化、事故撲滅運動の実施、事故防止対策などに取り組んでおりますが、万一重大な交通事故または労災事故を発生させ、得意先の信頼および社会的信用の低下、事業許可取消し等の行政処分、被害者からの損害賠償請求等を受けた場合には、当社グループの経営成績および財政状態等に影響を及ぼす可能性があります。
(4)自然災害等について
当社グループは、大地震や風水害などの天災地変による大規模災害の発生に備え、事業継続計画書(BCP)を策定し、事業の中断を早期に復旧させるための方針、体制、手順を定めるなどの対策を講じておりますが、事業活動の停止および社会インフラの大規模な損壊や機能低下などにつながる様な予想を超える事態が発生した場合には、当社グループの経営成績および財政状態等に影響を及ぼす可能性があります。
(5)人財の確保・育成および労務費について
当社グループは、ドライバーや商品管理士など多様な人財を雇用し事業を営んでおります。人手不足が深刻化する中、貨物自動車運送事業およびセンター事業においては、従来から労働集約型産業の側面が強いことに加えて、物流ニーズの多様化・高度化への対応などから一定割合の労働力を要する環境にあります。当社グループは、定期採用や中途採用により人財確保を図るとともに、人財育成の強化、労働環境の整備等により定着率の向上に努めておりますが、これらの取り組みが不十分であった場合には適正なサービスの提供ができない事態となる可能性があります。また、人財の確保や育成を進める一方で、自動化や省人化を推進し作業生産性の向上を図ること等により労務費の抑制に努めておりますが、今後の法改正や労働需給の動向等により労務費が上昇した場合には、当社グループの経営成績および財政状態等に影響を及ぼす可能性があります。
(6)外部委託について
当社グループの貨物自動車運送事業は、運送の一部を外部の協力会社等に委託しております。また、センター事業においても、物流3PL事業者として倉庫内作業を外部の協力会社に委託する場合があります。当社グループは、これらの協力会社等との連携を強化し強固な信頼関係の構築に努めておりますが、需給状況や時季により委託費が上昇した場合には、当社グループの経営成績および財政状態等に影響を及ぼす可能性があります。
(7)施設等の稼働率について
当社グループのアセット事業は、倉庫保管および不動産賃貸を中心に展開しております。その施設、設備につきましては自社保有または賃借にて営業しており、これらの費用は固定費となっております。当社グループは、営業活動を推進し一定水準の稼働率維持に努めておりますが、景気変動、得意先の荷動き動向により稼働率が低下した場合には、当社グループの経営成績および財政状態等に影響を及ぼす可能性があります。
(8)燃料価格の動向について
当社グループは、貨物自動車運送事業を展開しております。そのため、燃料価格の上昇により運送費用が増加する可能性があります。当社グループは、運送の効率化、エコドライブの推進、自家用給油設備の導入などの自助努力に加え、得意先に対して料金改定交渉を行うなど、価格変動に伴う影響の低減に努めておりますが、その費用増加相当分を運賃に転嫁できない場合には、当社グループの経営成績および財政状態等に影響を及ぼす可能性があります。
(9)為替レートの変動について
当社グループの海外売上高比率は、2023年3月期13.7%、2024年3月期13.3%であります。換算時の為替レートにより、現地通貨における価値が変わらないとしても、円換算後の価値に影響を及ぼす可能性があります。
(10)与信リスクについて
当社グループは債権管理委員会を定期的に開催し、売上債権の回収状況の把握や適正な与信限度額の設定を行っておりますが、今後の社会情勢、景気の動向ならびに企業収益状況の変化等により、売上債権回収が悪化した場合には、当社グループの経営成績および財政状態等に影響を及ぼす可能性があります。
(11)経済動向について
当社グループが事業活動を行う主要な市場である日本、ベトナム、タイ、ラオス、ミャンマー、カンボジア、および中華圏の経済環境の動向につきましては、グループ各社との月次会議等により情報を収集し状況把握に努めておりますが、不測の事態が発生し経済環境が急激に変化した場合には、当社グループの経営成績および財政状態等に影響を及ぼす可能性があります。
(12)減損会計について
当社グループは、所有する土地や建物、リース資産等を事業用不動産・倉庫設備として使用しておりますが、土地の時価下落、事業環境の変化による収益性の低下に伴い、固定資産の減損に係る会計基準および適用指針を適用し減損処理を行った場合には、当社グループの経営成績および財政状態等に影響を及ぼす可能性があります。
(13)株価の下落について
当社グループは、中長期的な経済合理性や取引先との総合的な関係の維持・強化の観点から、事業の円滑な推進を図るため必要と判断する日本企業の株式を保有しております。保有の意義が薄れたと考えられる株式については、できる限り速やかに処分・縮減をしていく方針でありますが、これらの株式が日本経済の停滞等によって急激に下落し、保有株式の評価損が発生した場合には、当社グループの経営成績および財政状態等に影響を及ぼす可能性があります。
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社および持分法適用関連会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
①財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度におけるわが国経済は、社会経済活動の正常化が進んだことに加え、為替が歴史的な円安水準となったことからインバウンド需要が増加し、企業業績にも改善が見られるなど、景気は緩やかな回復基調で推移いたしました。しかしながら、物価上昇の影響や中国経済停滞への懸念もあり、依然として先行きは不透明な状況が続きました。
当社グループが属する物流業界につきましては、全般的に輸送需要が弱く荷動きが伸び悩んだほか、人件費の上昇や燃料価格の高止まりによりコストが増加するなど、取り巻く環境は厳しいものでありました。さらに、人手不足や2024年問題への対応が喫緊の課題となっております。
このような状況の中、当社グループは、中期経営計画(2023年度から2025年度まで)においてテーマとした「環境変化に適応した強固な体制づくり」「適切な利益を安定確保できる収益構造の確立」「社会課題解決への貢献」に取り組んでまいりました。
国内におきましては、既存業務の効率化や得意先との価格交渉を進め、収益性の向上に取り組みました。また、新たに冷凍冷蔵機能を有する拠点「横浜港北センター」(神奈川県横浜市都筑区)を開設し、低温物流事業の拡大を図りました。さらに、貨物自動車運送事業における環境の変化を踏まえ、強固な輸送体制の構築を目的として、物流DXシステム事業などを展開するハコベル株式会社(東京都中央区)に資本参加いたしました。
海外におきましては、輸出入関連等の国際貨物を中心に荷動きが低調となる中で、得意先との取引深耕に努め、着実な利益の確保を図りました。また、タイ最大の国際貿易港であるレムチャバン港近郊に新倉庫を開設するなど、幅広い物流ニーズに対応できる拠点を整備いたしました。
社会課題解決への貢献に関しましては、「CSR本部」を新設し、サステナビリティに関する重要課題の明確化を図るとともに各種方針の策定を推進いたしました。
これらの取り組みにより、営業収益につきましては、国際貨物の減少やベトナムにおける荷動き鈍化の影響により海外事業が落ち込んだものの、国内において前連結会計年度に開設した拠点のアセット事業が拡大したこと、既存得意先との取引深耕により取扱量が増加したことなどから、増収となりました。営業利益につきましては、海外事業の減収に伴い利益が縮小したことに加えて、人件費の上昇や新基幹システム導入費用の計上により販売費及び一般管理費が増加したことなどから、減益となりました。経常利益につきましては、営業外収益においてトラックのエンジン認証不正問題に関する受取補償金を計上したこと、持分法による投資利益が拡大したことなどから、増益となりました。親会社株主に帰属する当期純利益につきましては、特別損失において減損損失の計上額が減少したことにより、税金等調整前当期純利益は増益となったものの、法人税等調整額が増加したことから、減益となりました。
その結果、当連結会計年度の営業収益は629億72百万円(前連結会計年度比0.8%増)、営業利益は10億17百万円(同2.3%減)、経常利益は9億95百万円(同0.2%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は4億99百万円(同4.6%減)となりました。
セグメント業績は、次のとおりであります。
貨物自動車運送事業
国内外ともに輸送需要が低調であったことに加えて、前連結会計年度に契約を終了した得意先もあり貨物輸送量が減少したこと、さらに運送コスト増加の影響を受けたことなどから、減収減益となりました。
その結果、営業収益は、249億81百万円(前連結会計年度比0.7%減)、セグメント利益は、18億61百万円(同1.0%減)となりました。
当事業の営業収益は、当社グループ営業収益全体の39.7%を占めております。
センター事業
営業拡大により食品や通販関連の取扱量が増加したこと、前連結会計年度に開設した拠点において、物流センター業務の作業効率が向上したことなどから、増収増益となりました。
その結果、営業収益は、143億21百万円(前連結会計年度比0.5%増)、セグメント利益は、2億99百万円(前連結会計年度はセグメント利益12百万円)となりました。
当事業の営業収益は、当社グループ営業収益全体の22.7%を占めております。
アセット事業
新たな拠点展開により保管面積が拡大したほか、荷動き低下に伴い保管貨物の在庫量が増加したこと、得意先との取引深耕や新規得意先の獲得が進んだことなどから、増収増益となりました。
その結果、営業収益は、169億66百万円(前連結会計年度比4.6%増)、セグメント利益は、10億49百万円(同11.7%増)となりました。
当事業の営業収益は、当社グループ営業収益全体の26.9%を占めております。
その他事業
輸出入関連事業において、国際貨物の取扱件数が減少したことに加えて、海上運賃の下落による影響を受けたこと、また前連結会計年度は大口の輸出案件を獲得していたことなどから、減収減益となりました。
その結果、営業収益は、67億4百万円(前連結会計年度比1.9%減)、セグメント利益は、10億14百万円(同5.3%減)となりました。
当事業の営業収益は、当社グループ営業収益全体の10.7%を占めております。
財政状態の概況は、次のとおりであります。
(資産)
当連結会計年度末の流動資産は、前連結会計年度末に比べ、現金及び預金が2億63百万円増加したこと等により、149億52百万円(前連結会計年度末比2億25百万円増)となりました。固定資産は、投資有価証券が5億7百万円、退職給付に係る資産が8億35百万円増加したこと等により329億15百万円(前連結会計年度末比13億30百万円増)となりました。これらにより、総資産は478億68百万円(前連結会計年度末比15億55百万円増)となりました。
(負債)
流動負債は、1年内償還予定の社債が2億円増加したこと等により、171億3百万円(前連結会計年度末比3億83百万円増)となりました。固定負債は、社債が7億円、繰延税金負債が2億99百万円増加したものの、長期借入金が5億58百万円、リース債務が6億8百万円減少したこと等により158億56百万円(前連結会計年度末比22百万円減)となりました。これらにより、負債合計は329億59百万円(前連結会計年度末比3億61百万円増)となりました。
(純資産)
純資産は、利益剰余金が3億90百万円および退職給付に係る調整累計額が5億6百万円増加したこと等により、149億8百万円(前連結会計年度末比11億94百万円増)となり、自己資本比率は31.1%となりました。
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べて2億57百万円増加し、当連結会計年度末は33億97百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は、32億77百万円(前連結会計年度比12億52百万円増)となりました。これは主に税金等調整前当期純利益が9億34百万円および減価償却費が22億57百万円あったことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は、20億4百万円(前連結会計年度は28億42百万円の資金の減少)となりました。これは主に固定資産の取得による支出が16億63百万円および投資有価証券の取得による支出が3億6百万円あったことによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果減少した資金は、10億57百万円(前連結会計年度は6億95百万円の資金の増加)となりました。これは主に長期借入れによる収入が31億50百万円あったものの、長期借入金の返済による支出が39億46百万円あったことによるものであります。
③輸送・保管能力の状況
a.貨物自動車運送事業
輸送能力
|
2024年3月31日現在 |
|
区分 |
保有台数(台) |
前年同期比(%) |
積載トン数(t) |
前年同期比(%) |
|
普通車 |
351 |
99.2 |
2,908.9 |
100.3 |
|
小型車 |
376 |
96.9 |
449.1 |
97.0 |
|
特殊車 |
155 |
98.1 |
2,269.3 |
98.2 |
|
軽貨物 |
45 |
118.4 |
15.7 |
118.4 |
|
合計 |
927 |
98.8 |
5,643.1 |
99.2 |
b.アセット事業
保管能力
|
2024年3月31日現在 |
|
セグメントの名称 |
所有倉庫 |
借用倉庫 |
合計 |
||||
|
棟数(棟) |
面積(㎡) |
棟数(棟) |
面積(㎡) |
棟数(棟) |
面積(㎡) |
前年同期比 (%) |
|
|
アセット事業 |
25 |
122,909 |
101 |
1,074,601 |
126 |
1,197,511 |
101.3 |
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
①当連結会計年度の経営成績の状況に関する認識および分析・検討内容
当連結会計年度の経営成績につきましては、「3(1)経営成績等の状況の概要」に記載のとおりであります。
また、当連結会計年度を初年度とする「中期経営計画2025」(2023年度から2025年度まで)の重点施策「収益力の向上」「強固な物流サービスの構築」「サステナビリティの推進」「人財力の強化」「グループ経営基盤の強化」に関する取り組み状況は以下のとおりであります。
(収益力の向上)
事業環境が変化する中で安定した物流サービスを提供していくため、適切な利益の確保に取り組んでおります。当連結会計年度におきましては、環境変化に見合った料金の収受に向けて、得意先との価格交渉に継続して取り組み、収益構造の改善を図りました。また、新設した「横浜港北センター」を中心に営業開発活動を推進し、新たな収益の創造に取り組みました。
(強固な物流サービスの構築)
慢性的な人手不足や2024年問題等の課題を踏まえ、物流ニーズに応え続けられる体制づくりを進めております。当連結会計年度におきましては、物流DXシステム事業等を展開するハコベル株式会社に出資し貨物運送における強固な協業体制を構築いたしました。また、物流現場の効率化に向けて、先端技術を活用した自動化・省人化設備を導入いたしました。安全面につきましては、リスクアセスメント活動や協力会社も含めた安全対策の推進により、現場力の強化を図りました。
(サステナビリティの推進)
基本理念に基づき、事業活動を通じて持続可能な社会の実現に貢献する取り組みを推進しております。当連結会計年度におきましては、CSR本部を設置するとともにサステナビリティ推進委員会を組成し、サステナブル経営の実践に向けて重要課題の特定および各種方針の策定に取り組みました。
(人財力の強化)
あらゆる活動の根幹であり競争力の源泉となる人財力の強化に取り組んでおります。当連結会計年度におきましては、多様なテーマの研修を実施し人財育成を推進したほか、従業員満足度調査の結果を踏まえた施策の実行によりエンゲージメント向上を図りました。
(グループ経営基盤の強化)
環境変化に適応していくため、強固かつ健全なグループ体制づくりに取り組んでおります。当連結会計年度におきましては、新基幹システムの構築および円滑な移行に向けた準備を進めました。また、策定したBCPの実効性を確保するため災害対策本部立ち上げ訓練を実施いたしました。
②資本の財源および資金の流動性
a.キャッシュ・フロー
当連結会計年度のキャッシュ・フローの分析につきましては、「(1)② キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりです。
b.契約債務
2024年3月31日現在の契約債務の概要は以下のとおりであります。
|
|
年度別要支払額(千円) |
||||
|
契約債務 |
合計 |
1年以内 |
1年超3年以内 |
3年超5年以内 |
5年超 |
|
短期借入金 |
5,603,560 |
5,603,560 |
- |
- |
- |
|
社債 |
900,000 |
200,000 |
400,000 |
300,000 |
- |
|
長期借入金 |
11,664,320 |
3,650,493 |
5,636,003 |
2,292,824 |
85,000 |
|
リース債務 |
5,061,051 |
1,098,318 |
1,951,351 |
1,348,643 |
662,738 |
上記の表において、連結貸借対照表の1年内返済予定の長期借入金は、長期借入金に含めております。
c.財務政策
当社グループは、運転資金につきましては、内部資金の活用および金融機関からの短期借入金により調達しております。また、設備資金につきましては、内部資金の活用および金融機関からの長期借入金を基本としておりますが、金利動向や市場環境などを考慮しつつ、必要な場合には社債などにより資金調達もおこなっております。2024年3月31日現在、長期借入金の残高は11,664,320千円、社債の残高は900,000千円であります。
③重要な会計上の見積りおよび当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益および費用の報告額に影響を及ぼす見積りおよび仮定を用いておりますが、これらの見積りおよび仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積りおよび仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項) 4.会計方針に関する事項」および「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。
該当事項はありません。
特記すべき事項はありません。