第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中における将来に関する事項は、当事業年度末現在において、当社が判断したものであります。

(1) 会社の経営の基本方針

当社は中規模の物流会社として、自社の特徴を生かしながら顧客ニーズに対応したサービスを提供し、かつ、社員が安全で活き活きと働ける会社となることを目標とし、経営方針としております。当社はこの方針のもと、今後も配送方法や保管方法に係る顧客ニーズの変化に柔軟に対応しながら長期的安定的に良質な物流サービスを供給できる企業を目指し、企業価値の向上に努めてまいります。

 

(2) 目標とする経営指標

当社は、長期安定的な事業継続と成長、利益の確保を目標としており、全社と各事業の営業収益及び営業利益を重要な経営指標としております。

 

(3) 中長期的な会社の経営戦略

物流業をサービス業の一部と捉え、総合サービス業を目指す具体的な取組みは以下の通りであります。

① 地域密着型戦略の充実

② 物流センター運営等、一貫物流システムの提案、実施

③ 組み合わせ、共同物流の推進

④ 調達物流、温度帯物流、産業廃棄物リサイクル事業の推進

⑤ 引越、工場・事務所移転、店舗出店など機械・什器据付等の特殊技術サービスの拡大

⑥ 提携による広域化、新サービス開発

⑦ 安全と環境保全活動の推進

 

(4) 会社の対処すべき課題

当社は中規模の物流会社として、お客様のニーズに応えられるように自社の特徴を生かす市場を開発し、安全で社員が活き活き働ける会社を目指しております。2024年の時間外労働上限規制適用を受け、更なる管理精度の向上を行う中で社員が安心して働ける労働条件づくりを推進し、社員の定着率向上と新たな人員の確保が最重要課題と考えております。

その為の施策として、お客様に適正な料金に改定していただくとともに、配送曜日、時間帯の変更、待機時間の短縮など組み合わせることによる効率化を当社とお客様と配送先で協力して考え、全体で品質を高めてゆく努力を継続していきます。また、人員を確保するための対応策として全産業並みの水準とは隔たりがありますが賃上げを実施しました。募集媒体を変更し、高卒者の採用、中型、大型免許を取得するための費用を会社が負担する制度や福利厚生の見直しを実施しております。これまで取り組んできた安全教育のより一層の充実をはかり、お客様に安心してご利用いただける質の高いサービスの提供に努めてまいります。

 

2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】

当社のサステナビリティに関する考え方及び取組は次のとおりであります。

 

(1)ガバナンス

当社の経営理念である「社会とお客様のニーズに積極的に応え、企業の発展と社員の豊かさを追求する。」は、当社の存在意義を規定した最も重要な価値観であり、全ての経営活動の指針としております。ガバナンス体制は取締役会で検討し、当該ガバナンス体制を確保するために、内部監査室において、ガバナンス体制の管理・実施状況を確認し、取締役会において関連する事項を定期的に議論をしております。法令を遵守し、経営方針や経営計画の策定など安全を含む全ての経営の意思決定を経営理念と経営基本方針を基とし、組織と社員の考え方・行動の原則としていく事で、社会の持続可能な発展へ貢献して参ります。

 

 

(2)戦略

経営基本方針
① 教育立社

当社は社員の教育によって経営理念の達成を目指しています。その教育は、知識や技術の向上のみを目的に能力開発を行うのではなく、社会的な存在としての自覚や、人の役に立ち、自分の主体性を発揮できるよう、人間性を高めるものを目指し、様々な機会、場所を活かして行っております。

② 門戸開放

当社は入社時の職種や学歴、性別、国籍等に関係なく、その人が会社の経営理念を実現してゆくのに必要とする人格・能力を有すればふさわしい役割につけてゆきます。

③ 自力実行

人間も企業も、自分一人で成り立つものではなく、多くの人、社会、自然に生かされ存在しています。その中で少しでも他者の役に立ち、また自分の主体的な意志を発揮してゆくことが存続し続ける為の自力実行と捉えております。

 

環境方針
① 基本理念

当社は、安全を重んじ環境に配慮をする経営を目指すため、経営理念、経営基本方針を基本理念として信頼関係を築き、環境保全の活動を継続的に推進し、社会に貢献します。

② 基本方針

・社員教育を通じ、職場と社会環境の改善を目指します。

・社内活動を通じ、環境保全を推進し、地球温暖化防止に努めます。

・エコドライブ推進、社用車のハイブリッド化、再生エネルギーの活用等を行い二酸化炭素排出量の削減に努めます。

・3R活動を通じ、廃棄物の低減を目指します。職場の無駄を無くし、コストの削減をします。

 

人材の育成及び社内環境整備に関する方針

社員は経営理念を自分たちの意志で実現してゆく主体として、一人ひとりが互いを尊重し協力し合える組織風土の醸成とのびのびと働ける職場環境の実現に向けて、社員表彰制度、社内研修(新年度講習会、物流フェスティバル等)、育児休暇の取得、有給休暇取得の推進等の充実に取り組み、明るく楽しい職場環境整備に取り組んでおります。また、交通事故防止・労災事故防止への取り組みは、事業継続に活かされるだけでなく、安全な社会への貢献につながると考え、年度安全目標(交通事故5件以内、労災事故1件以内)を掲げ、社員の育成に努めております。

当事業年度

人材育成に関する方針

社内環境整備に関する方針

外部研修参加者()

育休取得者()

障がい者雇用率()

年間有給取得平均日数()

男女賃金格差()

労働者女性比率()

正規労働者

全ての労働者

正規労働者

全ての労働者

7

3

2.9

8.1

67.9

48.6

15.9

54.6

 

 

(3)リスク管理

当社のような物流業者はトラックでの運行やフォークリフトの使用など、交通事故、労災事故等の機会を起因とした、人的リスクが高い業種であります。そのため、当該リスク管理のために、社内環境整備として、社長を委員長とする安全委員会を設置しております。当該委員会は、全社的な安全活動の推進機関として、取締役、管理職、運行管理者を含む事務職員、安全委員で構成し、安全活動に関する目標設定や情報交換や問題提起、事故防止活動の立案、実行方法の検討を中心議題として月に1度の会議を開催しております。又、定期的な社内監査の実施によるリスク管理体制を構築しております。

 

 

(4)指標及び目標

当社は多様性の確保の重要性を認識し、入社時の職種や学歴、性別、国籍等に関係なく、その人が会社の経営理念を実現してゆくのに必要とする人格・能力を有すればふさわしい役割に登用しており、過去には女性役員、女性管理職の登用実績もございます。

なお、人材の多様性確保を含む人材育成等に関する指標及び目標につきましては、現時点では「女性の管理職登用」、「育児休業取得率」等を念頭に、目標とする指標を検討中であります。

 

3 【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。

なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において判断したものであります。

(1) 公的規制について

当社は、総合サービス物流企業として、貨物自動車運送事業、倉庫業等に関する各種法令の規制の適用を受けています。利益の確保と社会的責任の遂行によって、はじめて企業の発展が可能になるとの基本的スタンスで遵法経営を推進していますが、近年のトラック排ガス対策など環境関連規制の適用が強化されており、これらの事象が一層強化されれば、当社の業績及び財政状態に影響が及ぶ可能性があります。

 

(2) 取引関係の大幅な変動について

当社は、企業物流の一括受託を主たる事業としており、顧客から物流業務を受託する際に、物流センター、荷役設備機器及び情報システム等について先行的に設備投資を実施することがあります。投資に際しては、綿密な事業収支計画を策定し、様々なリスクを予想し慎重に投資判断を行っておりますが、顧客の業績の急変や顧客との取引停止等により、投資資金の回収に支障が生じる可能性があります。従って、これらの事象は当社の将来の成長と収益性を低下させ、当社の業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(3) 燃料価格の変動について

当社は、トラック輸送事業を主体とすることから、物流事業遂行にあたり燃料(軽油)の使用が不可欠になっています。安定的かつ適正価格で供給を受けていますが、世界の原油情勢の変動により燃料費が大幅に高騰し、輸配送コストが上昇する可能性があります。

 

(4) 物流料金について

当社の主要な取扱品は、一般の食品や日用品を基盤としております。この業界は競争が激しくなっている中でも、販売価格を値上げし、利益を確保していくことは不可避となっております。当社は自社の強みを最大限に活かし、効率化に向けた運営体制の改革、安定した利益率の確保に努めてまいりますが、更なる業界内での競争の激化や長期化により、収益を圧迫する可能性があります。従って、これらの事象は当社の業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

当事業年度における当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

① 財政状態及び経営成績の状況

当事業年度におけるわが国の経済は、雇用・所得環境の改善やインバウンド需要の拡大を背景に、社会経済活動の正常化が進み、緩やかな回復基調で推移しているものの、原材料価格の高騰や為替変動による物価上昇のほか、国際的な情勢不安により、先行きは依然として不透明な状況で推移しました。

この結果、当事業年度の財政状態及び経営成績は以下のとおりとなりました。

 

 

a.財政状態

当事業年度末の資産合計は、前事業年度末に比べて88百万円減少し、96億53百万円となりました。

当事業年度末の負債合計は、前事業年度末に比べて3億43百万円減少し、30億28百万円となりました。

当事業年度末の純資産合計は、前事業年度末と比べて2億54百万円増加し、66億24百万円となりました。

b.経営成績

当事業年度の営業収益は77億58百万円(前年同期比1.1%増加)、営業利益は2億45百万円(前年同期比2.2%減少)、経常利益は2億59百万円(前年同期比2.9%減少)、当期純利益は3億5百万円(前年同期比199.1%増加)となりました。

 

② キャッシュ・フローの状況

当事業年度末における現金及び現金同等物は、前事業年度末に比べ91百万円増加24億33百万円となりました。

当事業年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動の結果得られた資金は4億1百万円(前年同期は得られた資金は4億44百万円)となりました。これは主に、役員退職慰労引当金の減少額が増加したこと等によるものです。 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動の結果使用した資金は52百万円(前年同期は使用した資金は1億14百万円)となりました。これは主に、有形固定資産取得による支出が減少したこと、無形固定資産取得による支出が減少したこと等によるものです。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動の結果使用した資金は2億57百万円(前年同期は使用した資金は2億65百万円)となりました。これは主に、割賦債務の返済による支出が減少したこと等によるものです。 

 

③ 生産、受注及び販売の実績

当社の営んでおります事業は、貨物運送事業、倉庫事業、その他事業であり、役務の提供を主体とする事業の性格上、生産及び受注の状況を事業部門別に示すことはしておりません。

また、販売の状況として事業別の営業実績を示せば次のとおりであります。

 

営業実績

事業別の営業収益の状況は財務諸表「注記事項(収益認識関係)1.顧客との契約から生じる収益を分解した情報」に記載しております。

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において判断したものであります。

 

① 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。

財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載しております。

 
② 当事業年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
a.財政状態の分析
(流動資産)

当事業年度末における流動資産の残高は、前事業年度末と比べて76百万円増加し37億22百万円となりました。これは現金及び預金が91百万円増加し、受取手形、電子記録債権及び営業未収入金は17百万円減少したことが主な要因であります。

(固定資産)

当事業年度末における固定資産の残高は、前事業年度末と比べて1億65百万円減少し59億30百万円となりました。これは有形固定資産が1億92百万円減少し、投資有価証券が36百万円増加したことが主な要因であります。

(流動負債)

当事業年度末における流動負債の残高は、前事業年度末と比べて20百万円減少し11億44百万円となりました。これは、未払法人税等が26百万円減少したこととが主な要因であります。

(固定負債)

当事業年度末における固定負債の残高は、前事業年度末と比べて3億23百万円減少し18億84百万円となりました。これは長期借入金が1億80百万円減少したことが主な要因であります。

(純資産)

当事業年度末における純資産の残高は、前事業年度末と比べて2億54百万円増加し66億24百万円となりました。これは利益剰余金が2億30百万円増加し、その他有価証券評価差額金が24百万円増加したことが主な要因であります。

 

b.経営成績の分析
(営業収益)

営業収益は、前事業年度と比べて82百万円増加し、77億58百万円(前年同期比1.1%増加)となりました。

(営業利益)

燃料費単価の高騰と外部への業務委託料が増加したこと等により営業利益は前事業年度と比べて5百万円減少し、2億45百万円(前年同期比2.2%減少)となりました。

(経常利益)

営業外収益は主に補助金収入が増加したことにより、前事業年度と比べて1百万円増加し、25百万円(前年同期比5.1%増加)となりました。また、営業外費用は主に支払利息が増加したこと、保険解約損が増加したことと等により、前事業年度と比べて3百万円増加し、11百万円(前年同期比43.8%増加)となりました。

この結果、経常利益は前事業年度と比べて7百万円減少し、2億59百万円(前年同期比2.9%減少)となりました。

 (当期純利益)

特別利益は主に役員退職慰労引当戻入額を計上したことにより、前事業年度と比べて1億37百万円増加し、1億47百万円(前年同期比1,366.0%増加)となりました。特別損失は主に減損損失を計上しなかった事より、前事業年度と比べて74百万円減少し、2百万円(前年同期比96.1%減少)となりました。法人税等(法人税、住民税及び事業税並びに法人税等調整額)は前事業年度と比べて0百万円増加し、98百万円(前年同期比0.3%増加)となりました。

この結果、当期純利益は前事業年度と比べて2億3百万円増加し、3億5百万円(前年同期比199.1%増加)となりました。

 

c.キャッシュ・フローの状況の分析

キャッシュ・フローの分析については、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析(1)経営成績等の状況の概要」に記載のとおりであります。

 

 ③ 資本の財源及び資金の流動性

当社の資本の財源及び資金の流動性については、自己資金及び金融機関の借入を基本としており、十分な手元流動性を確保しております。

 

 

5 【経営上の重要な契約等】

該当事項はありません。

 

6 【研究開発活動】

該当事項はありません。