当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)経営方針
当社グループは、経営の基本方針を「CSRの追求」において事業活動を進めておりますが、中でも「株主満足度の向上」は優先事項と受けとめ、その実現のため、高い成長力、高い収益力を備えた活力ある企業造りを目指しています。
特に営業拠点の展開が成長の鍵を握るものと考え、人口移動の多い地域である関東地区を中心に、人口密度が高く将来の市場性が見込める地区にも拠点を設置し引越需要の確保を目指しております。
引越サービスの向上、技術開発提供による他社との差別化により高品質のサービスを行いお客様の満足を得られるようにいたします。
このために、当社が認証取得しているISO9001を中心に、全従業員参加による改善活動を行い関連法規・法令遵守及び引越技術の向上を図ります。
また、ディスクロージャー体制の推進に努め、個人株主向けIR活動の強化を図り、一人でも多くの投資家から当社グループの理解を得られるよう、ひいては「地域社会から信頼される企業」となるよう努力いたします。
(2)経営戦略等
引越業は車両と運転手さえ確保できれば、比較的簡単に参入できます。そのため、常に同業他社との価格競争が絶えませんが、当社は受付から引越作業まであらゆるシーンで品質の向上を図ってまいりました。
現在、全都道府県に拠点展開をすることでネットワーク網を充実させ、法人企業及びインターネットからの受付を拡充し、販売チャネルの多極化を図るとともに、引越に付随する業務(家電販売、ハウスクリーニング、カタログによる通信販売、リサイクル品の取扱等)についても関連子会社とのシナジー効果により更なるサービスの拡充を図っております。また、車載の運行管理システムを用い、各運転手の運転技術を数値化することにより安全輸送の確立を図っております。
今後もこのような取り組みを継続して実行することにより、品質の向上に努め、売上、作業件数共に他社の追随を許さないオンリーワン企業を目指します。
(3)目標とする経営指標
当社グループは資本効率を高め収益性の高い事業展開を目指すという観点から、経営指標としては自己資本利益率(ROE)8%を超える水準を維持することを目標としております。
(4)経営環境
引越業界におきましては、新設住宅着工戸数と移動者数は横ばいで推移しており厳しい状況が続いております。
(5)会社の対処すべき課題
当社グループの主たる事業である引越業界においては、トラック運転手の労働時間の規制が強化されるいわゆる「2024年問題」を大きな課題と認識しております。
これからの企業には人を確保する力、そして定着させる力が求められることから、当社が人材確保、育成することで、「2024年問題」を長期的には大きなチャンスと捉えて対応して参ります。
またその他の具体的な戦略としまして、価値の訴求をキーに五つの指針を出し、以下の事項を重点課題として取り組んで参ります。
(a)共創の経営
増加する単身引越ニーズに対応するため、引き続きパートナー企業との提携を進めて参ります。また、研修実施と評価制度を導入することにより、品質・技術水準をさらに高め、より多くのお客様へまごころ品質をお届けして参ります。
(b)人材活用
人材成長が企業価値向上に直結し、サービスレベルの維持・拡大には従業員の働きがいの向上が重要だと捉えております。エンゲージメントサーベイの結果は、徐々に改善されておりますが、引続き改善に向けた取り組みを行います。特に改善希望の多いIT設備環境を改善して参ります。
(c)生産性向上
生産性向上に向け、事務職の適正な人材配置やリスキリングを推奨しております。
DXの推進で引続きデジタルソリューションを導入活用することで事務職一人当たりの生産性向上を図って参ります。
(d)シェア拡大
当社の戦略上、市場規模の大きな関東のシェアアップは最も重要であると考えております。よって関東での人材活躍戦略を推進することで更なるシェアアップを考えております。また新たなチャネルとして大型移転のみならずオフィス移転を獲得して参ります。
(e)グループ戦略
新生活応援グループとして、「暮らしの中にもっと"SAKAI"を!」をキャッチフレーズに引越を基軸とした顧客接点の維持を図って参ります。特にシナジーが活かされる電気工事、リユース、クリーンサービスを3本柱として推進して参ります。またM&Aについても積極的に検討していきます。
当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりです。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。
1.サステナビリティ全般
当社は創業以来「まごころこめておつきあい」をモットーに地域社会への貢献を第一に考えてまいりました。
この考えに基づき、「新生活応援グループ」として、当社が考える企業の社会的責任、「よりよいサービスを提供し、社会に貢献する」を実践するため、近年、重要視されているサステナビリティ課題の取り組みを強化し持続可能な社会の実現に貢献してまいります。
このような状況のもと、当社は2023年8月にサステナビリティを巡る諸課題に対する取組の推進機能強化と情報開示を目的として「サステナビリティ委員会」を新設しました。
当社グループの主たる事業である引越事業においては、輸送に貨物自動車を多く使用するため、その貨物自動車が排出するCO2が地球環境に影響を与えるものと認識しております。そのためCO2排出量の削減等の取り組みを通じて、持続可能な社会の実現に貢献することが必要と考えております。また当社を含めた物流業界では、トラック運転手の労働時間の規制が強化される2024年問題により、ドライバー不足や作業員不足が懸念されています。当社は2024年問題を見据えて自社でドライバーを育成する体制を構築し、管理者の育成支援や働く環境の整備に取り組んでおります。
運送業にとってCO2削減等、気候変動への取組みが重要であること、引越は人材がいなければ成り立たない仕事であることを踏まえ、当社は「気候変動」及び「人的資本」の課題について優先的に取り組んでおります。
今後も、当社はサステナビリティ委員会において、課題をESGの側面から整理し、目標の策定を通じて当社グループ内のサステナビリティ推進および実行につなげるとともに、具体的な取組の情報開示に努めてまいります。
なお、気候変動に係わるリスク及び収益機会が自社の事業活動や収益等に与える影響については、当社グループ全体として非常に重要な課題の一つとして認識しており、TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース(Task Force on Climate-related Financial Disclosures))の枠組みに基づいた情報開示に努めております。
(1)ガバナンス
当社はサステナビリティの視点から当社の長期的な発展を見据えた議論を実施するため、サステナビリティに関するガバナンスの強化を目指し、取締役及び取締役会にサステナビリティに関する事項を報告・提言する機関として「サステナビリティ委員会」を2023年8月に設置し、当事業年度においては2024年3月に開催しました。今後、サステナビリティ委員会は原則として年2回開催する予定です。
サステナビリティ委員会の委員長は代表取締役社長が務め、気候変動を含むサステナビリティに関する課題が事業に与える影響について評価を行い、識別したリスク及び機会への対応方針や取組状況について審議し、重要な内容については取締役会へ必要に応じて報告または付議します。サステナビリティ委員会は、重要な課題に沿って設定した「気候変動分科会」及び「人的資本経営分科会」で構成されており、課題解決に向けた議論を行っています。
気候変動分科会は本社管理部門の総務部、管理部及び経理本部が中心となって、事業活動における環境負荷の可視化、気候変動に関するシナリオ分析、リスク及び機会の分析を行っております。人的資本経営分科会は、人事部及びダイバーシティ推進担当の実務担当者で構成されており、経営戦略実現のために解決すべき人材課題を識別し、優先付けを行いながら、人材施策に対する目標設定と進捗のモニタリングを実施する役割を果たしています。各分科会は課題や進捗状況の管理を行い、サステナビリティ委員会を通じて必要に応じ適宜、取締役及び取締役会に報告、提言することとしております。経営者はその報告、提言を受け必要な施策の実施及び監督を行っております。
(2)リスク管理
当社のサステナビリティに関するリスク管理については、サステナビリティに関するリスク・機会を各分科会で検討し、サステナビリティ委員会での審議を経て、重要なリスク・機会については取締役会に報告、取締役会にて協議しリスク・機会を管理しています。各分科会では想定される具体的なリスク・機会の特定を行い、影響度と発生可能性をもとにリスク・機会の重要性を評価した上で、重要性に応じて各リスク・機会の対応策を協議し、指標及び目標の設定を通じてリスク・機会を管理しております。
リスク管理の枠組みの中で、気候変動分科会は気候変動の影響に関して、事業に係るエネルギー使用量、CO2排出量などを取りまとめ、1.5℃シナリオ及び4.0℃シナリオの環境下での気候変動に係るリスクと機会の洗い出しを行います。
また、人的資本経営分科会では、人材戦略におけるKPIより人材育成、エンゲージメント、健康維持・増進等のリスクと機会の洗い出しを行っております。
なお、サステナビリティに関連するリスクについてもその他の事業上のリスクと同等に取り扱われております。ガバナンス体制につきましては、前頁の図をご参照下さい。
2.気候変動
① 戦略
事業活動に影響を与えるリスク・機会の定性評価および優先度が高いリスクの定量評価を実施し、気温が1.5℃上昇することを想定したシナリオと4.0℃上昇することを想定したシナリオを用いてリスクの軽減ないし機会の獲得にむけた対応策を検討しております。対象年度については、2030年度としております。
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シナリオ |
1.5℃上昇 |
4℃上昇 |
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世界観 |
1.5℃シナリオは、Net Zero Emissions by 2050 Scenario (NZE) (国際エネルギー機関(IEA))を参照し、2050年までに正味ゼロエミッションを達成するという世界を想定しています。気温上昇への対策として、法規制が強化されるとともに技術革新が進み、炭素税や設備投資等の費用増加が懸念されます。一方、収益の拡大と輸送効率化という機会獲得につながる側面があると考えております。 |
4℃シナリオは、SSP5-8.5(Intergovernmental Panel on Climate Change(IPCC))を参照し、化石燃料依存型の下で気候政策をしない世界を想定しています。4℃シナリオにおける気温上昇という変化は、燃料調達コストの増加や熱中症リスクをはじめとする慢性的な気温上昇による労働効率の低下が懸念されます。一方、海面上昇による被害想定地域からの移転の可能性による収益機会を認識しております。 |
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気候関連リスクと機会 |
財務影響 |
対応方針 |
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移 行 リ ス ク |
カーボンプライシングメカニズムによる費用の増加 |
中 |
エコカーの導入、輸送効率化 |
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燃料調達コストの増加 |
低 |
エコカーの導入、輸送効率化 |
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脱炭素に向けた設備投資によるコストの増加 |
中 |
環境配慮型トラックの情報収集と実証実験を行い、導入の可否を検討 |
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物 理 リ ス ク |
集中豪雨、洪水など天災の増加 |
大 |
BCPの整備と従業員の安否確認システムを活用することにより、事業への影響を最小限に抑える。 |
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猛暑日の増加 |
低 |
熱中症対策として機能性の高い制服の採用や、有効なツールの導入 |
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機 会 |
輸送効率化 |
中 |
エコカーの導入、配車計画の最適化 |
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電力効率化 |
中 |
太陽光発電などの再生エネルギーの利用やLED電気への切り替え |
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消費者の嗜好の移り変わり |
中 |
リユース事業の拡大によるエコに関心のある顧客を引き付ける取組の実施 |
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※定量的な観点に基づく財務影響度を算定し、大、中、低の三段階で評価しています。
財務影響度については、当社の営業利益の10%以上を「大」、営業利益の5%以上を「中」、営業利益の5%未満を「低」としております。
② 指標及び目標
当社は、気候変動の指標としてGHG排出量(温室効果ガス排出量)の算定を行っております。2023年度におけるScope1(自社での直接排出)、Scope2(他社から供給されたエネルギーの間接排出)、Scope3(Scope1 、Scope2以外の間接排出)の実績は下記のとおりです。
GHG排出量実績
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Scope |
カテゴリ |
2023年度(t-CO2) |
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Scope1 |
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Scope2 |
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Scope3 |
1.購入した製品・サービス |
109,498 |
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2.資本財 |
7,130 |
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3.Scope1、2に含まれない燃料及びエネルギー活動 |
7,281 |
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4.輸送、配送(上流) |
37,258 |
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※Scope1及びScope2は、国内法対応として温室効果ガス排出量の算定・報告・公表制度(SHK法)に基づく算定を基礎として、国際的な算定方法として利用されているGHGプロトコルの双方に対応する形で算定を実施しています。
※Scope3は、サプライチェーンを通じた温室効果ガス排出量算定に関する基本ガイドライン(環境省)に基づき算定しております。また株式会社サカイ引越センター(単体)の事業においての特に関連性と重要性が認められるカテゴリ1,2,3,4に絞って算定していますが、今後集計対象範囲を拡大する予定です。なお、カテゴリ10.販売した製品の加工、11.販売した製品の使用、14.フランチャイズは当社単体では非該当のため算定しておりません。
GHG排出量の削減目標
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項目 |
対象 |
2023年度実績 |
2030年目標 |
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GHG排出量(t-CO2) |
Scope1 |
44,394 |
10%削減(2020年度比) |
※当社グループの事業活動を通じて排出されるGHG排出削減を推進するためにScope1を対象に定量的な目標を設定しています。また、Scope2及びScope3については、サプライチェーン全体を通じてGHG排出削減に向けた体制の整備に努めてまいります。
※いずれの数値も当社グループのうち気候変動がもたらす財務的影響及び環境・社会への影響が重要と考えられる株式会社サカイ引越センター(単体)を集計対象とした数値であり、今後集計対象範囲を拡大する予定です。
3.人的資本、多様性に関する取組み
①ありたい組織像・人物像
運送業を取り巻く環境として、人手不足や燃料費高騰、時間外労働の短縮等の課題があり、人材を確保する力、そして定着させる力が求められます。
当社は人材を価値創造、競争優位の源泉と位置づけ、「社員の健康=企業成長とし全員が主役の組織」「皆が安全、安心し、働き甲斐の高い組織」を目指します。
また、「仕事を通じて自己成長し、公私ともに充実している人物」「社是に基づいて、お客様満足追求に向けて、主体的思考から創造性を発揮し、社会貢献を自己成長の場と出来る人物」の育成をしてまいります。
② 戦略
1.ホスピタリティマインドの醸成を重視した人材育成
当社の高品質な引越サービスのブランドを定着させ、経営戦略を実現するためにはホスピタリティマインドを持ち合わせた人材を育成する必要があります。
高いホスピタリティマインドを持ち合わせた人材の育成にあたっては、「まごころこめておつきあい」をキーワードに毎月17日を「まごころの日」とし、地域の清掃活動を行い、創業者が大事にしていたホスピタリティマインドを伝達し醸成しております。その結果として、大型移転や富裕層向け住宅など多様な形態の引越案件を優位な受注につなげてまいります。
また、「学び方改革」として自律参加型教育プログラムを年間で100名実施し、外部研修として三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社主催「マネジメントリーダー育成塾」や「グロービス・マネジメント・スクール」など従業員が必要とする知識やスキルを自ら学ぶ環境を整備してまいります。また、株式会社SchooのE‐Learningを導入しコンテンツを拡充し学びたい人が学びたいときに学習できる環境を作り、従業員が自律的に学ぶ環境づくりを推進することで、自己成長を実現できる環境を構築します。
2.多様な人材確保(女性活躍・採用の多様性)
引越事業の業務が労働市場において会社ブランドを向上させるためには、女性が活躍できる会社であることが不可欠であります。期末日現在の男女比率は男性87%、女性13%となっており男性が活躍する環境となっているため、男女ともに全社員が活躍できる雇用環境の整備を行います。環境整備をするにあたり、現在女性の管理職の割合が6.7%と男性に比べて低い傾向がみられます。この課題に対応すべく、女性店長の育成や女性管理職育成研修、職場の設備環境整備等を実施しております。
また、採用の多様性として労働人口の減少に対応するために採用の多様性を図ることを目的として、新卒採用だけではなくリファラル採用や中途採用を強化してまいります。
3. 従業員の働きがい、意欲を向上させる職場環境づくり(従業員エンゲージメント向上)
お客様に安定的に質の高いサービスを提供するためには、現在の従業員の仕事に対する意欲や、リテンションに関する課題を解決していく必要性があります。なかでも、従業員満足度は重要な課題と考えています。
エンゲージメントサーベイの実施結果により、「組織風土」「設備環境」「制度待遇」にて従業員とのギャップが発生していることが判明いたしました。お客様に安定的に質の高いサービスを提供するためには、可視化された問題点を解消していくことが必要と考え、エンゲージメントサーベイの結果を踏まえた社内環境整備に取り組んでおります。
「組織風土」では、階層間の意思疎通をより向上させることを目的に、1on1ミーティングなどのコミュニケーションの機会を増やしています。「設備環境」におきましては、通信環境が脆弱な店舗の通信環境の改善やパソコンスペックの向上を実施しました。「制度待遇」におきましては、ベースアップを含めた給与制度の改善や評価制度の見直しを進めています。
また、従業員の資産形成及び経営参画意識向上のため、従業員持株会制度への加入を奨励しております。定期的な制度の周知及び加入者に毎月の拠出金の10%(上限1,000円/月)を奨励金として支給することにより従業員持株会への加入を推進し、エンゲージメント向上に努めます。
4.従業員の健康・安全
お客様に「まごころ」のこもった質の高いサービスを提供するためには、従業員一人一人が心身ともに健康で業務に従事してもらうことが重要であります。そのためには、従業員の日常生活を起因とする傷病等を減少させることが必要であることから、心身共に健康で働くことができる環境を作り上げてまいります。
当社では社員の健康を企業の成長力と捉え、社員の健康保持・増進活動に取り組むことで、健康第一の健全な経営に努めております。そのため、当社の健康管理に対する取り組みとして健康管理のための施策強化と健康増進イベントの開催を実施することで社員の健康向上を目指しております。
③ 指標及び目標
当社グループの人的資本課題の解決を推進するために、以下の目標を設定しています。
1.ホスピタリティマインドの醸成を重視した人材育成
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項目 |
2024年3月期(実績) |
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2027年3月期(目標) |
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100名 |
※プログラム内容一部抜粋 2024年6月時点
マネジメントリーダー育成塾、グロービス・マネジメント・スクール、Schoo(E-Learning)
2.多様な人材確保
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項目 |
2024年3月期(実績) |
|
2027年3月期(目標) |
|
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60名 |
|
|
|
|
600名 |
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|
20名 |
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|
5.0% |
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女性管理職比率※ |
6.7% |
7.0% |
12.0% |
※社内規定(職務の内容が従業員(部下)を管理する業務である者)による女性管理職比率を指標としています。
3. 従業員の働きがい、意欲を向上させる職場環境づくり
|
項目 |
2024年3月期(実績) |
2025年3月期(翌期目標) |
2027年3月期(目標) |
|
エンゲージメントスコア※ |
BB |
BBB |
A |
|
従業員持株会加入率 |
74.0% |
75.0% |
80.0% |
※リンクアンドモチベーションによるエンゲージメントサーベイを、年2回、匿名方式によりインターネット上で実施・集計しています。
※最上位AAA~最下位DDの11段階で評価されCCCランクが平均値となります。
※従業員持株会加入率は従業員持株会に加入資格のある正社員及び嘱託社員を集計しています。
4.従業員の健康・安全
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項目 |
2024年3月期(実績) |
|
2027年3月期(目標) |
|
|
|
|
80名 |
※健康保険法に基づく傷病手当金受給者数を集計しています。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)業界に対する法的規制
当社グループの主たる事業である引越事業においては、「貨物自動車運送事業法」、「貨物利用運送事業法」及び「自動車NOx・PM法」等による法的規制を受けております。
そのため、社員教育の徹底、コンプライアンス体制の整備など管理体制の構築等を重要課題とし、法令遵守の体制を整備しておりますが、法令の改正や新たな法的規制、環境問題への関心の高まりによる環境規制等により、営業活動に制限が加わった場合、売上高の減少や規制対応費用が発生し、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
(2)引越需要の変動
引越需要は季節により大幅な変動が見られますが、一方、月末や週末に集中するという傾向があります。この需要の偏在は、当社グループにとって人員や車両の配置を狂わせ、車両の稼働にも悪影響を及ぼすこととなっております。この需要の偏在を平準化させ仕事量を継続的、安定的に確保するため、当社グループでは従来から積極的に広告宣伝活動を行い、また法人営業活動の強化を行うことにより、閑散期及び閑散日の需要の喚起、顧客の発掘を行っております。
しかし、この引越需要の変動は、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
(3)労働力の確保と支社の開設
労働集約産業である引越運送業務は多数の労働力を必要としておりますが、少子高齢化の社会的傾向から今後、若年層の人材確保が更に困難になる恐れがあります。
当社グループといたしましては、省力機械の導入や作業形態の見直し等、限られた労働力の有効活用を図っておりますが、絶対数の不足から有能な労働力が確保できない場合は、支社の開設に支障が生じ、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
(4)家族構成の変化と引越荷物の小口化
引越業界においては、核家族化の進行とライフスタイルの変化により引越荷物が小口化する傾向があります。
引越単価は、サービス内容、運送距離、価格競争等により左右されますが、引越荷物の小口化が引越単価の下落に結びつき、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
(5)顧客情報の保護
当社グループは、個人情報取扱事業者として、業務遂行上様々なタイミングで顧客情報に接しております。当社グループが取り扱う個人情報には、新たな生活をスタートさせる新居の情報等も含まれている為、細心の注意を払い情報管理を行っております。
しかし、管理やシステムの不備等により顧客情報の漏洩等を惹起した場合は、その損害に対する賠償の責任を負うのみに留まらず、顧客からの信用の失墜につながり、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
(6)引越事業への依存度
当社グループは、売上高に占める引越事業の割合が8割以上を占めているため、引越事業の業績が当社グループの業績に大きな影響を与えます。
そのため、予期せぬ事象により当社グループが競争力を喪失した場合や、同業者間の価格競争により想定を超える単価の下落等があった場合は、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
(7)災害等の発生
当社グループは、全国各地に支社展開を行っていることから、自然災害、火災等の発生により当社グループの事業拠点が被災した場合、災害等の規模によっては、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
(8)人材流出による事業ノウハウの社外流出
当社グループは、他社との差別化を図るため、人材育成に注力し様々なノウハウを蓄積してまいりましたが、これらのノウハウは法的な保護が難しい為、人材流出とともに外部へ流出した場合、当社グループの優位性が薄れることにより、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
(9)サイバー攻撃やコンピュータウイルス等の脅威
当社グループの業務においてITへの依存度が高まるにつれ、サイバー攻撃やコンピュータウイルス等の脅威も同様に高まってきております。
その対策には万全を期しておりますが、今後想定を超えるサイバー攻撃やコンピュータウイルスに感染した場合、一部コンピュータシステムの停止等により、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
(10)減損会計
当社グループにおいては減損会計の対象となる固定資産は金額的重要性が高く、今後の地価の変動や、各支社毎の業績推移如何では多額の減損処理が必要となる可能性があります。
(11)労働災害と重大事故について
引越事業は、車両の運転に加え、作業現場の条件により様々な作業が発生します。
そのため、車両の運転技術のみならず、作業技術についても安全を最優先に教育指導を行っておりますが、万が一重大事故を惹起した場合は、その損害に対する賠償の責任を負うとともに、事業の停止等の処分を受ける可能性があります。また、顧客からの信用の失墜にもつながり、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
(12)重要な訴訟によるリスク
当社グループは適正なコンプライアンスとガバナンス体制の構築に努め事業活動を行っていますが、事業活動に関して様々な形で訴訟等の対象となる可能性があり、その結果によっては当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
経営成績等の概要
(1)経営成績の状況
当連結会計年度における我が国の経済は、新型コロナウイルス感染症の感染症法における位置付けの変更に伴い、経済活動の正常化が進んだことで輸出や個人消費に持ち直しの動きがみられるなど、景気は緩やかに回復いたしました。
引越業界においては、新設住宅着工戸数や移動者数が横ばいで推移しており、厳しい状況が続いております。
この様な状況の下、当社グループは2024年問題への対応として自社でドライバーを育成する体制を構築したこと、また管理者の育成支援や働く環境の整備に取り組みました。第4四半期においては、全国的に法人需要が戻ってきたことや閏年による営業日数の増加と繁忙期である3月末が土日のため3月に売上が集中した結果、作業件数は832,293件(前年同期比1.1%増)となり、引越単価も前年同期比4.5%増と上昇したことにより引越事業は好調に推移しました。
また、当連結会計年度から株式会社新世紀サービス及び株式会社キッズドリームを連結の範囲に含めた結果、売上高は116,861百万円(前年同期比6.7%増)、営業利益12,744百万円(前年同期比7.6%増)、経常利益12,904百万円(前年同期比6.8%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は8,359百万円(前年同期比1.8%増)となりました。
セグメント別の経営成績は以下のとおりであります。
引越作業件数が好調に推移した影響で、各子会社で行っている引越付随事業も業績を伸ばしております。
電気工事事業においては引越事業の件数増加に伴い売上高、利益共に好調でした。
一方リユース事業においては株式会社キッズドリームを連結の範囲に含めたことにより、売上高は前年同期を上回りましたが、新規出店への先行投資の影響等により利益は前年同期を下回りました。
|
報告セグメント |
売上高(百万円) |
前期比(%) |
セグメント利益(百万円) |
前期比(%) |
|
引越事業 |
100,123 |
105.7 |
11,335 |
108.8 |
|
電気工事事業 |
4,599 |
107.0 |
662 |
112.9 |
|
クリーンサービス事業 |
5,263 |
99.2 |
495 |
81.2 |
|
リユース事業 |
6,213 |
135.3 |
21 |
15.7 |
|
その他 |
662 |
109.7 |
502 |
107.9 |
|
調整額 |
- |
- |
△114 |
- |
|
合 計 |
116,861 |
106.7 |
12,904 |
106.8 |
(注1)その他の区分は、報告セグメントに含まれないセグメントであり、不動産賃貸業等であります。
(注2)セグメント利益の調整額△114百万円はセグメント間取引消去等であります。
(注3)セグメント利益の合計は、連結財務諸表の経常利益と調整しております。
(2)キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、前連結会計年度末に比べ2,158百万円増加し、27,732百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度の営業活動による資金は、9,581百万円の増加(前年同期の資金は10,179百万円の増加)となりました。
これは主として、税金等調整前当期純利益12,777百万円に対し、法人税等の支払額4,522百万円などの資金減少要因がありましたが、減価償却費1,445百万円などの資金増加要因があったことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度の投資活動による資金は、6,881百万円の減少(前年同期の資金は4,624百万円の減少)となりました。
これは主として、有形固定資産の取得による支出3,778百万円によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度の財務活動による資金は、1,279百万円の減少(前年同期の資金は2,787百万円の減少)となりました。
これは主として、長期借入金の返済による支出1,182百万円、配当金の支払額1,931百万円などがあったことによるものであります。
受注及び営業の実績
(1)受注実績
当社グループは、一般個人からの直接受注と法人からの受注による営業活動を行っております。
当連結会計年度における当社グループの受注実績を報告セグメント別に示すと、次のとおりであります。
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報告セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2023年4月1日 至 2024年3月31日) |
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受注件数 (件) |
前期比 (%) |
受注高 (百万円) |
前期比 (%) |
受注残件数 (件) |
前期比 (%) |
受注残高 (百万円) |
前期比 (%) |
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引越事業 |
831,943 |
101.0 |
100,003 |
104.4 |
94,879 |
99.6 |
14,737 |
99.5 |
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合計 |
831,943 |
101.0 |
100,003 |
104.4 |
94,879 |
99.6 |
14,737 |
99.5 |
(注)電気工事事業は提供するサービスの性格上、受注状況の記載になじまないため記載を省略しております。
(2)営業実績
当連結会計年度における当社グループの売上高及び引越作業件数の状況を報告セグメント別に示すと、次のとおりであります。
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報告セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2023年4月1日 至 2024年3月31日) |
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引越作業件数(件) |
前期比(%) |
金額(百万円) |
前期比(%) |
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引越事業 |
832,293 |
101.1 |
100,123 |
105.7 |
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電気工事事業 |
- |
- |
4,599 |
107.0 |
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クリーンサービス事業 |
- |
- |
5,263 |
99.2 |
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リユース事業 |
- |
- |
6,213 |
135.3 |
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報告セグメント計 |
832,293 |
101.1 |
116,199 |
106.7 |
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その他 |
- |
- |
662 |
109.7 |
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合計 |
832,293 |
101.1 |
116,861 |
106.7 |
(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。
2.報告セグメントのうち、電気工事事業及びクリーンサービス事業並びにリユース事業は引越作業件数はありません。また、その他は、不動産賃貸事業等のため引越作業件数はありません。
経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
(1)重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたって経営者は決算日における資産・負債の報告数値、偶発債務の開示、各連結会計年度における収益・費用の報告数値に影響を与える見積りについて、過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は見積りの不確実性があるため、これらの見積りと異なる結果となる場合があります。
当社グループの連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち特に重要なものは以下の通りです。
固定資産の減損
固定資産の減損損失の認識に際して用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 重要な会計上の見積り」に記載のとおりであります。
(2)当連結会計年度の財政状態の分析
①流動資産
当連結会計年度末の流動資産は、前連結会計年度末と比較し5,920百万円(16.4%)増加の41,991百万円となりました。
これは、主として現金及び預金の増加(前連結会計年度末と比較し3,114百万円の増加)によるものであります。
②固定資産
当連結会計年度末の固定資産は、前連結会計年度末と比較し5,257百万円(7.1%)増加の78,820百万円となりました。
これは、主として土地の増加(前連結会計年度末と比較し3,084百万円の増加)、投資有価証券の増加(前連結会計年度末と比較し1,981百万円の増加)によるものであります。
③流動負債
当連結会計年度末の流動負債は、前連結会計年度末と比較し4,301百万円(18.8%)増加の27,199百万円となりました。
これは、主として短期借入金の増加(前連結会計年度末と比較し326百万円の増加)、買掛金の増加(前連結会計年度末と比較し1,275百万円の増加)、未払費用の増加(前連結会計年度末と比較し638百万円の増加)によるものであります。
④固定負債
当連結会計年度末の固定負債は、前連結会計年度末と比較し70百万円(1.6%)減少の4,300百万円となりました。
これは、主として固定負債その他に含まれる長期未払金の増加(前連結会計年度末と比較し557百万円の増加)があったものの、リース債務の減少(前連結会計年度末と比較し364百万円の減少)、長期借入金の減少(前連結会計年度末と比較し214百万円の減少)によるものであります。
⑤純資産
当連結会計年度末の純資産は、前連結会計年度末と比較し6,947百万円(8.4%)増加の89,312百万円となりました。
これは、主として利益剰余金の増加(前連結会計年度末と比較し6,654百万円の増加)によるものであります。
(3)当連結会計年度の経営成績の分析
①売上高
売上高は前年同期比6.7%増の116,861百万円となりました。
これは引越作業件数は前年同期比1.1%増加の832,293件となり、引越単価も前年同期比4.5%上昇したことによるものであります
②売上原価
労務費は29,524百万円(前年同期比1.9%増)となり、売上原価は71,980百万円(前年同期比6.7%増)となりました。
③販売費及び一般管理費
人件費は19,878百万円(前年同期比6.4%増)となり、販売費及び一般管理費は32,136百万円(前年同期比6.2%増)となりました。
④営業外損益
営業外収益については、受取利息及び配当金28百万円等を計上しております。
営業外費用については特に説明する事項はありません。
⑤特別損益
特別利益については、固定資産売却益66百万円を計上しております。
特別損失については、減損損失133百万円等を計上しております。
この結果、営業利益は12,744百万円となり、経常利益は12,904百万円となりました。また、親会社株主に帰属する当期純利益については、8,359百万円となりました。
なお、当社グループは、「第2[事業の状況] 1経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (3)目標とする経営指標」において自己資本利益率(ROE)8%を超える水準を維持することを目標としております。
当連結会計年度においては着実な経営努力の結果、作業件数の増加、引越単価の上昇による売上高が増加したものの、特別損失の増加等により9.7%と前期比0.6ポイントの下落となりました。また、当社単体においても9.2%と前期比0.2ポイントの下落となりました。
(4)経営成績に重要な影響を与える要因について
「第2[事業の状況] 3事業等のリスク」に記載のとおりであります。
(5)資本の財源及び資金の流動性についての分析
当社グループの資金状況は、「経営成績等の概要 (2)キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
(6)資金調達の方針について
運転資金については、原則として、手許資金(利益等の内部留保資金)で賄っております。夏季賞与、冬季賞与及び決算納税資金については、季節資金として考えております。これらの資金は、状況に応じ短期借入金で調達を行っております。設備資金については、設備投資計画に基づき、案件ごとに手許資金で賄えるか、不足するかの検討を経理部にて行います。基本的にはフリーキャッシュ・フローの範囲内での投資実行を方針としておりますが、万一不足が生じる場合は、長期借入金や社債にて調達を行い、場合によっては増資等による資金調達を行う可能性もあります。
該当事項はありません。
該当事項はありません。