当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)会社の経営の基本方針
1960年の創業以来「人の生活を大切にする」という基本理念を念頭におき、常に「顧客第一主義」、「現場第一主義」に基づく経営を行っています。
① お客様の立場に立って、真心を持ってお客様に接しご満足を頂くことを第一とします。
② 「現場第一主義」の考え方を徹底し、労使相互間の信頼関係と協力関係を重視します。
③ 社会性を重視し、社会のお役に立つ事業を行います。
以上の基本理念を着実に実行して、更なる生産性の向上を図り、地域No.1になることを目指しております。
(2)目標とする経営指標
当社グループは、高収益体質の実現、自己資本の効率化を追求した経営を重視しており、自己資本当期純利益率(ROE)10%以上の安定的な確保を目標としております。
(3)中長期的な会社の経営戦略
当社グループは、連結収益及び連結利益の増大を図り、更なる競争力・企業体質を強化するため以下の項目を重点的に推進してまいります。
① 地域密着のタクシー事業、バス事業並びに不動産事業をベースにして、他業種との業務提携等を進め、快適な生活環境を創造するLANS(ローカル・エリア・ネット・サービス)カンパニーの確立を目指してまいります。
② 今後のタクシー事業における事業拡大・エリア拡大については、必要に応じては需要の多い大都市圏・地方主要都市圏を中心にM&Aを実施するとともに、投資効率の向上を図るための事業所の統廃合や車両移動、既存事業所のスクラップアンドビルドにも取り組み、より地域に密着した営業戦略、小回りの利いたサービスの実施等、意思決定の迅速化と経営責任を明確にすることで、より強固な企業集団の構築を推進してまいります。
また、タクシー車両の電動化・脱炭素化に向けた取組み「全国タクシーEV化プロジェクト」を通じて、EVのタクシー利用に関するノウハウを蓄積し、グループ内外(全国での加盟ネットワーク)への展開により、地方部の交通課題解決、タクシー業界全体の脱炭素化へ寄与してまいります。
③ 不動産分譲事業においては、顧客ニーズに対応した好立地で快適な住環境を提供することに努めるとともに、安価で低所得者層にも手が届く戸建住宅の供給を推進してまいります。
④ 不動産再生事業においては、不動産金融事業との情報共有により、高収益物件の入手を行ってまいります。
⑤ 不動産金融事業においては、不動産担保融資等の担保付融資を中心に、与信基準の厳格運用により比較的低リスクな債権の比率を高め、収益力の向上を図ってまいります。
⑥ 国際事業部門では、以下の取組みを強化してまいります。
・ミャンマーにおいては、日系企業駐在員向けハイヤー業務。
・インドにおいては、日系企業駐在員向けハイヤー業務、観光送迎業務、自動車整備事業、不動産投資。
⑦ IT技術を活用することにより、顧客情報管理システムの充実と経費削減を推進してまいります。
⑧ 当社は、当社グループ会社の資金を一元管理するCMS(キャッシュ・マネジメント・システム)を導入しており、「企業内銀行」として余剰資金の把握とグループ会社間の資金貸借による資金効率の向上を図り、有利子負債の圧縮に努めてまいります。
⑨ 当社と国内に所在する当社の100%子会社は、グループ通算制度を適用しております。
⑩ 環境問題を経営課題の一つとして捉え、事業活動において積極的に環境保全の施策及び活動を推進してまいります。
(4)経営環境及び対処すべき課題
タクシー事業においては、感染症のまん延期以降も乗務員の雇用維持、採用活動に注力した結果、一定の稼働を確保しているものの、各種イベント開催、インバウンドの増加などで移動需要が大幅に上昇しているため、全事業所で取得した「働きやすい職場認証制度」認証の積極的PR、各就労支援施設や求人媒体への発信の強化を図り、若年層や女性乗務員の採用強化を進めつつ、中堅乗務員の人材確保、流出防止も含め、需要に対応してまいります。子育て支援サービスのエリア拡大、おでかけ乗合タクシー、各種便利屋タクシー等の拡充に加え、日本版ライドシェア等へも対応してまいります。迅速な配車対策として当社専用配車アプリ「モタク」やインバウンド対策として提携した他社配車アプリの活用、QRコード決済・電子マネー対応、多言語通訳サービスの活用、No.1タクシーネットワーク提携会社の拡大と全国予約センターのPR等により固定顧客の確保に努めてまいります。沖縄でのMaaS事業や九州MaaSへの参画、リモート配車、遠隔点呼によるDXの推進により、地域の交通課題の解決と地域経済の活性化に寄与することを目指します。一方で、運行管理者等の若手管理職の育成、乗務員への事故防止教育と併せ、マナーアップ等の指導を推進してまいります。なお、脱炭素社会への取り組みとして、「全国タクシーEV化プロジェクト」によるEVタクシーを順次導入することで、実証運行を継続しております。
バス事業においては、クレジットカード等のタッチ決済の導入により引続き乗客の利便性の向上を図るとともに、定期観光コースの見直し、バスガイドの情報発信による営業推進、重複路線の統廃合による効率化、省燃費運転の徹底による燃料費の削減、安全運転指導強化による事故件数の抑制、乗務員の確保に対応するため、養成乗務員の採用等を推進してまいります。なお、脱炭素社会への取り組みとして、沖縄県内初となるEV路線バス3台の運行を継続しており、公共交通の利便性の確保への取り組みとして、沖縄県内で自動運転バスの実証実験にも参画しております。
不動産分譲事業においては、資材及び建設会社の働き方改革に伴う労務費の高騰、国の指標に基づく省エネルギーへの取り組みとしてマンション計画に「ZEH-M Oriented」を採用するなど建築費が上昇した結果、購入主体である若年層や中間層にとって厳しい価格設定となっており、また中古市場とも競合するなど不安定な事業環境となっております。これらの状況を踏まえ、プロジェクト用地の仕入れについては、従来以上に厳格に行ってまいります。
不動産賃貸事業においては、引き続き主要都市での高収益物件・中古物件の獲得、商業施設の開発、賃貸アパート・マンションの新築計画の推進、既存ビルの入居率向上、家賃滞納者への早期対応、既存ビルの老朽化に伴う中期大規模修繕の計画立案・実施、住宅物件のリノベーションの実施並びに分譲事業部門、タクシー・バス事業部門やパーキング部門等と連携強化に努め、空き土地・空き家等の多岐にわたる情報を収集し活用してまいります。
不動産再生事業においては、不動産市場における流動性の変化に対応するため、中長期にわたり安定した情報収集を図るため、情報先とのリレーション強化及び裾野の拡大に努めております。また、安定した収入のため高収益物件の入手を図っておりますが、賃収による利回りのみならず資産価値等も検討の上、購入・売却による資産の入替も適時適切に対応してまいります。
不動産金融事業においては、不動産担保融資に特化しており、金利上昇局面にある中で、不動産市場、金融市場に与える影響を注視するとともに、世界経済や金融情勢の影響も受けやすく、一部で金利の上昇も見られるほか、不動産市場において地価や賃収物件の価格下落懸念等、今後の動向に注意する必要があります。このような環境の下、今後不動産市況の悪化により担保価値下落による貸倒リスクの抑制を重視し、与信基準の厳格運用を継続するとともに、良質な資産の積み上げを図ってまいります。また、金利上昇に関しては、資金管理を徹底し効率的な運用を図ってまいります。
当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取り組みは、次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
当社グループでは、地球環境・地域社会に及ぼす影響に配慮し、脱炭素化社会の実現に向けて「温室効果ガス削減」・「持続可能な環境保全」を推し進め、人権を尊重しながら、社会・企業統治を含め、各々の課題に積極的に取り組み、持続的な社会の実現と企業価値の向上を目指してまいります。
すべてのステークホルダーから選ばれるためのESG経営を徹底し、持続的な発展を目指すため、行動憲章に定められた条項に基づき、「安全・安心」「社会」「環境問題」「多様性の尊重」「ガバナンス」の観点から地域社会の重要課題に取り組み、社会から信頼される企業であり続けるために地域の持続的な発展に貢献し、地域社会を支える企業としての責任を果たしてまいります。
(1)ガバナンス
当社グループは、サステナビリティの取り組みを重要な経営課題の一つと捉え、この取り組みを能動的かつ着実に推進するため、代表取締役社長を委員長とする「サステナビリティ推進委員会」を設置しています。
当該委員会は、サステナビリティに関する方針の策定や重要課題の特定、重要課題に基づく目標設定とそれらの進捗管理、全社的なサステナビリティへの取り組みを推進し、定期的に取締役会へ報告・提言を行います。
委員会メンバーは、社内取締役、その他代表取締役社長が必要と認めた者により構成され、事務局機能は組織横断メンバーによるチームが担い、諸課題に対する具体的な取り組みを進めます。
(2)戦略
①人材育成方針・社内環境整備に関する方針
当社グループは、「人からの発想、すべての道は人に通ず」という理念のもと継続的な企業価値向上を目指し、地域に必要とされる企業として成長するために、人的資本経営の取り組みを進めています。
当社グループの人材の多様性の確保を含む人材育成方針、社内環境整備方針は以下のとおりです。
<人材育成方針>
人材育成方針については特に重要な課題と位置づけ、グループ一体となって全社で取り組んでいます。全ての社員が、個々の適性を発揮し、組織と社会に求められる人材の育成に(使命感を持って)引き続き努めてまいります。
<社内環境整備方針>
当社グループは、多様な人材がそれぞれの個性を生かし、能力を十分発揮できるように働きやすい職場環境の整備に取り組んでいます。具体的には、社員の衛生管理を対象とした衛生委員会開催のほか、社員の仕事と家庭を両立し、安心して働き続けられる職場を提供するため、所有施設内に企業内保育所を設置しています。
このような取り組みの結果、国土交通省の「働きやすい職場認証制度」の認証を取得、また、同省が女性ドライバーの新規就労・定着に取り組む事業者を支援・PRする「女性ドライバー応援企業」に認定されました。
②サステナビリティへの取組
当社グループでは、「EVタクシー・EVバス等の環境対応車の導入」や「ZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)仕様のマンション・住宅の開発」など、脱炭素社会の実現に向けた取り組みを積極的に推進しています。2025年3月期においては、以前より課題と認識していた「取組成果の可視化」に向け、当社グループ全体におけるCO₂排出量(Scope1及びScope2)を初めて数値化し、基準年度比での排出動向を把握しました。
今後は、グループの中でも特にCO₂排出量の多いタクシー・バス事業を中心に、気候変動に関連するリスク及び機会を中長期的視点から特定・分析し、中長期の排出削減戦略の策定と、具体的な対応策の実行を進めてまいります。
(3)リスク管理
サステナビリティ推進委員会は、当社グループのサステナビリティに係るリスク及び機会を識別し、事業活動に大きく影響を及ぼすことが想定される項目については、重要なリスク及び機会として特定し、対応方針とともに取締役会あて報告を行うこととしています。
(4)指標及び目標
①人的資本・多様性にかかる取組
当社グループの人的資本・多様性にかかる行動計画の目標および実績は以下のとおりです。
なお、当社グループでは、当社およびグループ会社ごとに具体的な取り組みが既に行われていますが、業種・サービスや就業形態がそれぞれ異なるため、指標および目標について連結会社での記載が困難であります。したがって、指標に関する目標および実績は当社の数値(目標2については本社のみ)を記載しています。
(当連結会計年度:2024年度末まで)
第一交通産業株式会社 行動計画(次世代法・女性活躍推進法 一体型)
目標1:2024年度末までに、女性役職者の人数を2019年度(30人)比1.5倍にする。
<対策>2020年4月~2025年3月
・女性社員のキャリア形成を支援し、ライフイベントを越えて活躍し続けることが出来るよう支援する。
・研修等を通じて、男女ともにキャリア形成を目指すことを重視するマネジメント意識を向上させる。
目標2:月平均残業時間数を10時間以内にする。
<対策>2020年4月~2025年3月
・業務の効率化、人員の適正化を図り、所定時間外労働を削減する。
・RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)等による業務の自動化を図り、労働者の負担を減らしていく。
目標3:職場と家庭の両方において男女がともに貢献できる職場風土づくりを行う。
<対策>2020年4月~2025年3月
・介護及び子の中学校始期までの短時間勤務制度や時差出勤制度や育児時間の制度につき、社員へ周知を図り、利用促進を図る。
・時間単位、半日単位等の有給休暇取得につき、社内研修やイントラネット上で社内周知を図り、働きやすい環境整備を実施する。
・男性社員の育児休暇取得を促進する為の取組を検討する。
実績(当連結会計年度)
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指標 |
目標 |
実績(当連結会計年度) |
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目標1 |
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2019年度(30人)比1.5倍 |
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目標2 |
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目標3については、各種制度について社員への周知、利用促進を図った結果、育児短時間勤務者が増加(2019年度:3名→2024年度:16名)するなど、男女がともに貢献できる組織風土の醸成が進んでいます。
(2025年度以降)
第一交通産業株式会社 行動計画(次世代法・女性活躍推進法 一体型)
目標1:2027年度末までに、女性管理職比率を2024年度(3.8%)比1.5倍にする。
<対策>2025年4月~2028年3月
・女性社員のキャリア形成を支援し、ライフイベントを越えて活躍し続けることが出来るよう支援する。
・研修等を通じて、男女ともにキャリア形成を目指すことを重視するマネジメント意識を向上させる。
目標2:月平均時間外労働時間数10時間以内を維持する。
<対策>2025年4月~2028年3月
・毎月各部署の時間外労働時間数を共有し、意識醸成を図る。
・RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)等による業務の効率化を推進し、労働者の負担を減らしていく。
目標3:男女ともに育児に関する休業・休暇を取得しやすい環境を整備する。
<対策>2025年4月~2028年3月
・法定を超えている内容(中学入学始期までの子の看護等休暇、育児短時間勤務、時差出勤制度等)を含めた制度について社員へ周知を図り、利用を促す。
・管理職に向けて既存制度を周知し、取得しやすい環境作りを図る。
②サステナビリティへの取組
前述の(2)戦略②サステナビリティへの取組に記載のとおり、当社グループでは2024年度に初めてCO₂排出量(Scope1及びScope2)を全社ベースで数値化いたしました(下表参照)。
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指標 |
2013年度実績 (基準年度) |
2023年度実績 |
2024年度実績 |
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CO2排出量(Scope1+2)(t-CO2) |
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CO2削減量(2013年度比)(t-CO2) |
- |
△53,665 |
△57,662 |
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CO2削減率(2013年度比) |
- |
△35% |
△37% |
環境対応車への代替を積極的に進めた結果、2024年度のCO₂排出量は、基準年度である2013年度比で約57,662トン、削減率約37%の削減を達成しています。
なお、タクシー専用車両であるトヨタ・コンフォート(LPG)をジャパンタクシー(LPGハイブリッド)に代替した場合、CO₂排出量は約50%削減され、EVタクシーに代替した場合は約3分の1まで削減されることが確認されています。
現在、サステナビリティ推進委員会を中心に、温室効果ガス排出量の削減目標などの策定を進めております。これらの指標及び目標は、今後の開示の中で順次明示してまいります。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであり、また、すべてを網羅するものではありません。
1.売上高及び売上総利益の変動について
(1)タクシー事業
タクシー業界においては、2009年10月1日付で施行された「特定地域における一般乗用旅客自動車運送事業の適正化及び活性化に関する特別措置法」による各地域の協議会において、適正台数に向けた需給調整のための減車・休車数の自主目標等が諮られており、当社グループの特定地域では、2011年4月から2013年3月末までに10%~20%程度の自主減車・休車を実施し、更に2017年8月から、特別措置法改正後指定された特定地域において、一部車両を減車しております(ナンバープレート返納による営業方法制限による車両を含む)。コロナ禍を経て、リモートワークが増え、企業の大人数での飲食の機会が減少する等、社会のライフスタイルが多様化するとともに、売上原価のうち燃料のLPG等の石油関連商品の価格は、投機マネーの動向や為替動向、海外の政局混乱にも大きく左右され収益を大きく圧迫する要因であり、注視していく必要があります。
当社グループといたしましては、お客様に満足頂くサービスの向上に努め増収を図るとともに、スケールメリットを生かして資材等の調達費抑制等の経費削減により利益の確保に努めてまいりますが、上記の要因及び感染症の再拡大及び感染予防による外出自粛などにより、売上高及び売上総利益に影響を及ぼす可能性があります。
(2)バス事業
貸切バス部門は、2016年1月15日に発生した軽井沢スキーバス事故(乗客13人、乗員2名死亡)、及び2022年10月13日に発生した静岡観光バス横転事故(ふじあざみライン・乗客1名死亡)を受け、再発防止を目的とした法令改正等により「道路交通法」が一層厳格化されております。当社グループでは、改正内容に的確に対するため、機動的な人員配置及び設備投資を行ってまいります。また、(公社)日本バス協会が推進する「貸切バス安全評価認定制度」においては、既に三ツ星認定を取得している㈱琉球バス交通に加え、他の事業所でも取得を目指した取り組みを進めており、これらの活動を通じて更なる「安全・安心なバスの見える化」に努め、お客様に提供してまいります。当社グループでは、お客様の利便性や多様なニーズにお応えするため、今後も路線バスを中心とした車両の更新を計画しており、乗務員教育による接客・サービスの向上、IC乗車券(OKICA)の活用、効率的なバス路線の見直し、省燃費運転の徹底並びに観光バス顧客の獲得に向けた積極的な営業活動を推進してまいります。しかしながら、景気の低迷、車両更新に伴う減価償却費及びリース料の増加、更に国際情勢等による軽油等石油関連商品の価格変動が生じた場合には、売上高及び売上総利益に影響を及ぼす可能性があります。
(3)不動産分譲事業
当社グループの不動産分譲事業につきましては、分譲物件の選別、差別化により顧客志向の商品供給を行っておりますが、以下のような業績変動要因があります。
①経済情勢
不動産分譲事業は数年にわたる事業であり、景気や経済情勢に大きく左右されるため、マンション市況の変動により、販売価格の改定を実施した場合や「棚卸資産の評価に関する会計基準」を適用した場合、販売用不動産において評価損を計上する場合があります。当社グループとしては、常に景気、金利、需要動向に目を配り、各プロジェクトの企画・工事費管理・販売計画を行うことに努めておりますが、資材及び働き方改革に伴う労務費の高騰などによる建築費の上昇や、上記の要因等により売上高及び売上総利益に影響を及ぼす可能性があります。
②分譲マンションの引渡しの時期
不動産分譲事業においては、売上は売買契約成立時ではなく、物件の顧客への引渡しをもって計上され、かつ利益率は、個別プロジェクト毎、立地、地域等により乖離があります。このため、当社グループとしては、プロジェクトの利益率については社内規程を設け、立案時に個別に判断することにしております。また引渡し時期については、年間を通じ竣工時期を平準化することに努めておりますが、お客様のニーズに合わせた竣工時期を選定するなかで、各プロジェクトの完成・引渡しは下半期に偏って行われていることから、各連結会計年度及び上半期の売上高・売上総利益において不動産分譲事業の業績判断の際には留意する必要があります。
なお、住宅設備等の製造、納期遅延、その他天災等により建設工事の中断、予想し得ない事態による工事期間の遅延といった不測の事態により、引渡し時期が遅延する場合、売上高及び売上総利益は著しく変動する可能性があります。
(参考)不動産分譲事業(マンション)の上半期・下半期別売上高 (単位:百万円)
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上 半 期 |
下 半 期 |
通 期 |
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前連結会計年度 |
8,134 |
17,446 |
25,581 |
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当連結会計年度 |
8,017 |
11,409 |
19,427 |
(注) 不動産分譲事業(マンション)の契約及び販売実績については、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」をご参照下さい。
(4)不動産賃貸事業
不動産賃貸事業においては、主として都市部における飲食ビルを所有し賃貸業務を行っておりますが、原材料価格・人件費の高騰、人手不足の影響など、賃料の支払いが困難なテナントの増加や退店の増加が予想され、不動産賃貸事業の売上高及び売上総利益に少なからず影響を及ぼす可能性があります。また、「固定資産の減損に係る会計基準」等を適用した場合、固定資産において減損損失を計上する場合があります。
(5)不動産再生事業
不動産再生事業においては、幅広い不動産情報を集約のうえ吟味し、当社独自に付加価値を高めた不動産再生物件として販売しておりますが、不動産市場における流動性が著しく低下した場合、保有する不動産の売却が長期化したり、計画していた価格で売却できなくなる可能性があります。また、不動産市場において環境が悪化した場合、テナントの退去等、家賃収入の減少や不動産価格の下落により、不動産再生事業の売上高及び売上総利益に影響を及ぼす可能性があります。なお、「棚卸資産の評価に関する会計基準」を適用した場合、販売用不動産において評価損を計上する場合があります。
(6)不動産金融事業
不動産金融事業においては、不動産担保融資に特化しており不動産金融市場や不動産市場の影響を受けやすい状況にあります。不動産市場において環境が悪化した場合、担保不動産の価格下落による貸倒リスクの高まりや、資金需要の低迷、コロナ禍における金利減免要請や貸出先の破綻により、売上高及び売上総利益に影響を及ぼす可能性があります。
また、営業貸付金等の必要資金は主に金融機関からの借入金で賄っており、今後金融環境に大幅な変化が生じた場合に、急激な金利上昇による調達コストの増加や、資金調達が困難になる恐れがあり、売上高及び売上総利益に影響を及ぼす可能性があります。
2.法的規制について
(1)タクシー事業
①規制緩和から再規制へ
タクシー事業は、「道路運送法」による一般乗用旅客自動車運送事業の免許を得て、その業務を行うためには国土交通大臣の許可が必要であり、「道路運送法」のほか「道路運送法施行規則」、「旅客自動車運送事業等運輸規則」の規制を受けております。
2002年2月の道路運送法の改正及びその後の一部改正により、タクシー事業への新規参入及び車両の増減車の簡易化及び運賃料金の設定緩和といった規制緩和がなされ、タクシー業界においては増車及び運賃の割引による過当競争により、違法駐車の増加、事故率の上昇、マナーの低下、乗務員の賃金の低下等を招くことになりました。以上により、2009年10月から3年間の時限立法として「特定地域における一般乗用旅客自動車運送事業の適正化及び活性化に関する特別措置法」が施行(2012年10月に更に3年間延長)され、供給過剰として特定地域に指定された地域では、新規参入や増車などが抑制されると同時に、運賃の多様化が是正されることとなり、業界では自主減車を行いました。2014年1月から「特定地域における一般乗用旅客自動車運送事業の適正化及び活性化に関する特別措置法等の一部を改正する法律」が施行され、新規参入や増車の抑制及び運賃の多様化の是正が継続されております。当社グループにおいては、安全な輸送と快適なサービスにより、お客様に選ばれるタクシー会社としてあり続けることを基本として、顧客ニーズの喚起により増収を図ってまいります。しかし、業界自体の更なる過当競争により売上高及び売上総利益に影響を及ぼす可能性があります。
②運輸局による指導・行政処分について
タクシー事業の所轄官庁は国土交通省・運輸局ですが、同局ではタクシー事業者が公共輸送機関として適正に運営を行うよう、同局の監査を通じてタクシー事業者全てに対して指導が行われております。2002年の規制緩和策と連動して、同局の監査によって指摘された不備事項については、その程度に応じて行政処分の対象となり、新規事業展開の禁止・営業停止等厳格化の傾向にあり、処分基準が見直し実施されております。道路交通法、国土交通省令等で、駐停車違反に伴う運転者の反則金の未払いは車両の使用者(会社)へも処分が及び、事業経営者に対する輸送の安全確保義務の明確化に運輸安全マネジメントが導入され、安全情報の公表、指導監督及び200両以上のタクシー事業者にあっては安全管理規程の作成届出・安全統括管理者の選任届出が義務付けられております。
飲酒運転や交通事故を撲滅する目的で、運行管理者による乗務員の管理状況(点呼の実施)、整備管理者による車両管理の徹底(日常、定期点検)、後部座席シートベルトの着用義務化、点呼時の運転者の酒気帯び確認にアルコール検知器使用、さらに2018年6月から点呼時に睡眠不足の有無の確認を義務付けられております。
また、2013年9月17日付「一般乗用旅客自動車運送事業者に対する行政処分等の基準について」の改正により、運行管理者が全く不在の場合、勤務時間及び乗務時間に係る基準が著しく遵守されていない場合、全運転者に対して全く点呼を行っていない場合などには、即時事業停止になるという厳しい内容になっております。
当社グループにおきましては、引続き管理体制の強化により、運輸局等の指導・是正措置に迅速に対応し、円滑に事業を運営することに努めてまいりますが、今後不測の事態等による行政処分により売上高及び売上総利益に影響を及ぼす可能性があります。
(2)バス事業
バス事業は、「道路運送法」に基づく一般貸切旅客自動車運送事業及び一般乗合旅客自動車運送事業の免許を取得し、バス事業の営業を行っており、その業務を行うためには国土交通大臣の許可が必要であり、「道路運送法」のほか「道路運送法施行規則」及び「旅客自動車運送事業等運輸規則」の規制を受けております。
タクシー事業と同様に運輸局等の監査によって指摘された不備事項については、その程度に応じて行政処分の対象となり、新規事業展開の禁止・営業停止等厳格化の傾向にあります。事業経営者に対する輸送の安全確保義務の明確化に伴う運輸安全マネジメント制度では、安全情報の公表、指導監督及び全ての貸切バス事業者、貸切委託運行の許可を得ている全ての乗合バス事業者並びに200両以上所有している乗合バス事業者にあっては安全管理規程の作成届出・安全統括管理者の選任届出が義務付けられております。
また、国土交通省は、貸切バスの安全性向上を図る取り組みの一環として、安全及び労働環境改善コストを反映した合理的な運賃制度を2014年4月より実施し、下限額以下の運賃での運行は、運行違反として行政処分の対象となります。2023年10月には貸切バスの安全性向上対策の為、制度改正の公布があり、2024年4月1日より輸送の安全に係る書面及び記録の保存期間の延長、録音・録画による点呼記録の保存義務付け、アルコール検知器使用時の写真撮影の義務付け、デジタル式運行記録計使用の義務付け、安全取組の公表内容の拡充等の改正が施行されています。
当社グループにおきましては、当連結会計年度末までにおいて業績に重要な影響を及ぼす行政処分はなく、引続き管理体制の強化により、運輸局等の指導・是正措置に迅速に対応し、円滑に事業を運営することに努めてまいりますが、今後不測の事態等による行政処分により、売上高及び売上総利益に影響を及ぼす可能性があります。
(3)不動産分譲事業
不動産分譲事業は、「国土利用計画法」、「宅地建物取引業法」、「建築基準法」、「改正省エネ法」、「改正建築士法」及び「住宅品質確保促進法」等により規制を受けております。また、「住宅瑕疵担保履行法」に対応して、当社グループは住宅保証機構株式会社を窓口として保険加入しております。当社グループにおきましては、当連結会計年度末までにおいて業績に重要な影響を受けた行政処分はなく、引続き管理体制の強化並びに新たな法的規制の動向に注力し、迅速な対応に努めてまいりますが、今後これらの規制の強化又は新たな法的規制に伴い、売上高及び売上総利益に影響を及ぼす可能性があります。
(4)不動産再生事業
不動産再生事業は、「宅地建物取引業法」等により規制を受けております。当社グループにおきましては、当連結会計年度末までにおいて業績に重要な影響を受けた行政処分はなく、引続き管理体制の強化並びに新たな法的規制の動向に注力し、迅速な対応に努めてまいりますが、今後これらの規制の強化又は新たな法的規制に伴い、売上高及び売上総利益に影響を及ぼす可能性があります。
(5)不動産金融事業
①貸金業登録について
不動産金融事業においては「貸金業法」第3条に基づき、福岡財務支局の貸金業登録を受け、3年ごとに更新登録を行っております(登録番号 福岡財務支局長 [10]第00128号)。この貸金業者登録により各種の業務規制と、規制に違反した場合の行政処分(業務停止、貸金業登録の取り消し等)並びに罰則等の措置が設けられております。また、監督官庁である金融庁が定める「貸金業者向けの総合的な監督指針」の適用も受けており、貸金業法による行動指針が定められております。
当社グループにおいては、「貸金業法」及び「貸金業者向けの総合的な監督指針」の遵守を徹底しており、当連結会計年度末までにおいて、法令に抵触する事実はなく、引続き管理体制の強化に努めてまいりますが、今後何らかの要因により法令に抵触した場合、業務の全部又は一部の停止が命ぜられ、又は登録が取消され、売上高及び売上総利益に影響を及ぼす可能性があります。
②貸出金利について
貸付上限金利は2010年6月18日より改正「貸金業法」が完全施行となり、「利息制限法」に規定する金利(貸付元本により年15%~20%)を上限とすることとなりました。当社グループの場合、貸出元本が1百万円を超えるため年15%の金利が上限となります。当社グループでは15%以下での貸付を行っておりますが、今後更なる上限金利の引き下げが行われた場合、売上高及び売上総利益に影響を及ぼす可能性があります。
(6)情報管理について
当社グループでは、タクシーチケットやポイントカード等の発行を中心として、各事業部門において大量の顧客情報を取り扱っております。
「個人情報の保護に関する法律」の施行に伴い、個人情報保護方針及び個人情報保護規程を制定し、顧客情報の保護に努めております。当連結会計年度末までにおいて情報流出問題は発生しておりませんが、予期せぬ事態により情報が流出する可能性は皆無ではなく、顧客情報の流出等の事故発生が、法的責任及び社会的責任を課せられ、信用力の低下により売上高及び売上総利益に影響を及ぼす可能性があります。
3.有利子負債への依存について
当社グループは、主に不動産事業における分譲用地や賃貸物件の取得等、不動産金融事業における営業貸付金等、タクシー事業におけるM&Aや営業所用地の取得等の資金調達において、主として金融機関からの借入金で賄っているため、有利子負債への依存が高い傾向にあります。
従って、販売用不動産の回転期間の短縮化、CMS(キャッシュ・マネジメント・システム)による資金効率の向上等により有利子負債の縮減に努めておりますが、業容の拡大や経済市況の変化によって分譲用地・賃貸物件の取得が重なり、有利子負債が増加する可能性があります。
なお、その調達形態につきましては、個別事業採算や金融情勢及び金利動向を考慮しながら資金調達を図っており、特に短期借入金の機動的活用や、金利上昇リスクを想定して長期固定金利による調達に傾注しております。その結果、不動産金融事業を除く当社グループにおいては、借入金に占める短期借入金の比率が2025年3月期は7.3%と低シェアに留まるとともに、長期借入金に占める固定金利の比率が2025年3月期は20.9%となっております。調達コスト面において金融費用の縮減に努めるとともに、金利上昇局面での費用抑制に備えておりますが、有利子負債の増加や急激な金利上昇によっては当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
4.タクシー・バス事業の人材確保と稼働率について
タクシー・バス業界においては、乗務員の平均勤続年数が短く、退職率も高い傾向にあります。これは主に業界で慢性的に2種免許・大型2種免許保有者が不足しており、転職しやすい環境であり、感染症まん延期に高年齢の乗務員が離職したこと等が起因となり、こうした乗務員の確保状況は、稼働率に多大な影響を及ぼしております。
当社グループにおきましては、従来からの乗務員不足を解消し、稼働率を維持するために、採用活動の強化、養成費の支出、寮・借上げ社宅・託児所の確保といった経費の増加が予想されます。また、乗務員紹介サポーター制度を設け、若年層の採用促進を目的としたイメージアップCMの放映、「働きやすい職場認証制度」の認証取得、「女性ドライバー応援企業」の認定、女性会議(女子会)開催による女性乗務員の採用に注力するとともに、マスターズの会開催による中堅乗務員の採用、運転体験会の実施など、多様な施策に取り組んでおります。さらに、各種キャンペーンや法人営業等による需要の喚起にも努めておりますが、今後、乗務員を安定的に確保できない状態が継続した場合には、稼働率の低下により、売上高及び売上総利益に影響を及ぼす可能性があります。
5.タクシー・バス事業での時間外労働の上限規制適用について
労働基準法の改正による時間外労働の上限規制が、一部の業種については、適用が猶予されていましたが、その猶予期間が終了し、2024年4月1日からタクシー・バス事業にも時間外労働の上限規制の適用が開始されました。
タクシー・バスの乗務員は、公共交通機関として生活交通を支える重要な役割を担っております。一方で、著しく長時間の待機が生じる場合もあり、事業者による労働環境改善の取り組みにより、労働時間は徐々に短縮されつつあるものの、依然として他産業と比べて労働時間が長い状況にあります。
また、2024年4月からは「改善基準告示」に基づき、労働時間と休憩時間を含めた拘束時間、勤務時間のインターバルとなる休息時間、運転時間(※バス乗務員のみ)といった規制も新たに適用させております。
当社グループにおきましては、勤務時間の適正管理に向けて各種システムを導入するとともに、勤務シフトの工夫を図るなどして、お客様に満足頂けるサービスの維持に努めてまいります。しかしながら、これらの規制対応に伴う勤務シフトの変更が稼働率の低下を招いた場合、売上高及び売上総利益に影響を及ぼす可能性があります。
6.いわゆる日本版ライドシェアについて
2024年3月29日、国土交通省から「自家用車活用事業」(いわゆる日本版ライドシェア。以下「本制度」)の制度を創設し、ライドシェアを限定的に解禁するための新たな通達が発出されました。
本制度は、道路運送法78条3号に基づき、タクシー事業者の管理の下で地域の自家用車や一般ドライバーによって有償で運送サービスを提供することを可能とする制度です。
本制度の概要と留意点は以下のとおりです。
・事業の実施主体である法人タクシー事業者が運輸支局宛てに申請が必要
・大前提として、本制度は、タクシーの不足を補おうとするものであるため、実施可能な地域・時間帯は、タクシーが不足する地域・時間帯に限られ、国土交通省が指定する
・事業者はタクシー事業(一般乗用旅客自動車運送事業)認可を受けていること
・使用する自家用車数については、各営業所のタクシー車両数の範囲内である
・アプリ配車及び事前確定運賃並びにアプリ内で電子決済すること など
本制度は、2023年12月にデジタル行財政改革会議において決定された「デジタル行財政改革会議の中間とりまとめ」を踏まえて創設されており、現在も規制改革推進会議・地域産業活性化ワーキング・グループにて、タクシー事業者以外の者がライドシェア事業を行うことを位置付ける法律制度について継続議論されており、2025年5月28日付で、バス・鉄道事業者がタクシー事業の許可を受ける又はタクシー事業者とパートナーシップを組む等により試験的な運行を行い、安全性などを確認したうえで制度改正などの必要な措置を講じると答申が決定され、今後の動向を注視する必要があります。
当社グループといたしましては、営業エリア内の当該地域においては参画するとともに、乗務員採用活動及び2種免許保有乗務員の養成を継続することで、タクシー不足の緩和に努めてまいりますが、全面解禁となり海外ライドシェア事業者やアプリ事業者等にも単独で営業認可が与えられた場合、売上高及び売上総利益に影響を及ぼす可能性があります。
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社並びに持分法適用子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
①財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度における我が国経済は、経済活動の緩やかな回復基調が続いているものの、世界的な情勢不安、円安の進行等に伴う原材料価格上昇、物価高騰の影響による実質賃金の減少など、個人消費は持ち直しに足踏みがみられます。
このような状況のもと、当連結会計年度の経営成績は、タクシー・バス事業で移動需要の順調な回復及び運賃改定による増収となったものの、不動産分譲事業における分譲マンションの新規竣工物件の反動減を主要因として売上高は99,459百万円(前連結会計年度比1.2%減)となり、不動産分譲事業・バス事業で増益となったものの、タクシー事業において需要の増加に対応するため乗務員採用強化や乗務員教育などの人的投資を進めたこと等により営業利益は3,045百万円(同0.3%減)、経常利益は4,010百万円(同0.0%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は、前連結会計年度に計上した特別損失の反動減により1,756百万円(同91.0%増)となりました。
また、当連結会計年度より、従来の「金融事業」を「不動産金融事業」に名称変更しております。この報告セグメントの名称変更がセグメント情報に与える影響はありません。
セグメントの業績は、次のとおりであります。
(タクシー事業)
タクシー業界においては、都市部や観光地における訪日外国人(インバウンド)等の急増や、高齢者を中心に乗務員の離職増によるタクシーの局地的な供給不足が生じ、政府主導での日本版ライドシェアの導入エリアが順次拡大しています。
当社グループにおいては、引き続き「ママサポートタクシー」(78地域、累計登録者数539千人、利用回数はのべ1,271千回、うち陣痛時利用43千回)、「子どもサポートタクシー」、「No.1タクシーネットワーク」(提携及び商流サービス利用を含め845社)など、サービス展開を全国の営業所にて推進しております。路線バス廃止や交通不便地区での移動困難者の外出を支援する「乗合タクシー」(74市町村306路線)、「救援事業・便利屋タクシー」、「お墓参りサポートタクシー」、低濃度オゾン発生装置の全車搭載など、他社との差別化を図っております。また、脱炭素社会への取り組み「全国タクシーEV化プロジェクト」において、全国で持続可能な環境配慮型タクシー事業の実現を推進しております。乗務員募集・採用では国土交通省「女性ドライバー応援企業」、「働きやすい職場認証制度」のPRと女性乗務員向け「女性会議」、キャリア乗務員向け「マスターズの会」、若年層向け「ミラドラの会」の開催や、事業所内保育所や近隣保育施設との業務提携、タクシー運転体験会の実施、インターネット、ホームページ、テレビCM等の活用により女性乗務員や若年層の採用を進めることで、若返り及び定着を図っております。(括弧内の数値はいずれも2025年3月31日現在)
売上高は利用者の需要回復と運賃改定の進展により51,793百万円(前連結会計年度比2.8%増)となりましたが、需要の増加に対応するため乗務員採用強化や乗務員教育などの人的投資を進めたこと、GX投資を進めたこと、燃料価格の高騰、車両のEV化等により、セグメント損失は2,320百万円(前連結会計年度はセグメント損失850百万円)となりました。
(バス事業)
バス業界においては、国内観光客及び訪日外国人の団体旅行の利用増加と、運賃改定の効果もあり増収傾向となっております。
当社グループの沖縄県内の路線バス部門では、5市町村9路線でのコミュニティバスの運行、各種実証実験や需要に応じた新規路線の運行、交通系ICカード「OKICA」の運用、「沖縄スマートシフトプロジェクト」ではMaaSアプリ「my route」内でバス1日乗車券やデジタルチケットを販売、一部路線ではクレジットカード系のタッチ決済を導入、運賃箱の新紙幣・新硬貨への対応開始、「那覇バスターミナル」ではデジタル多言語案内板等による利用者の利便性向上に努めております。なお、脱炭素社会への取り組みとしては、EV路線バス3台を那覇市内線で運行、運転手不足対策として沖縄県豊見城市ほか4社で包括連携協定を締結し、沖縄県内初となる生活路線での自動運転EVバスの実証運行を実施しております。
一方で、沖縄県内の貸切バス部門においては、バスガイド等で構成する音楽ユニット「うたばす」による営業活動に取り組むとともに、動画配信サイトでは沖縄のバス旅行の魅力を配信、繁忙期の運転手・バスガイド不足には、グループ会社や協力会社からの出向受け入れにより対応しております。また、渋滞対策・公共交通利用促進として「沖縄県わったーバス利用促進乗車体験」実証事業への協力、子供向け仕事体験イベントへの出展、「ミニフェスタ」「マスターズの会」ではバスの運転体験会も開催、国土交通省「働きやすい職場認証制度」認証取得のPRなど、乗務員等の採用にも注力しております。
バス事業全体では、16年ぶりの運賃改定、沖縄県を中心に団体旅行やインバウンド需要の回復、イベント開催などで輸送人員が増加したこともあり、売上高は7,255百万円(前連結会計年度比10.8%増)となり、セグメント利益は448百万円(前連結会計年度はセグメント損失271百万円)と改善しました。
(不動産分譲事業)
不動産分譲事業では、一部の物件で、実際のモデルルームを360°見ることができるVRモデルルームの設置、オンラインシステムを利用した商談、不動産売買契約時の電子化等にも対応し、お客様のニーズに合った営業活動を行っております。
このような状況の下、「グランドパレス」シリーズを中心としたマンション販売におきましては、北九州において「門司港レトロ ザ・マークス」(66戸)、「門司オーシャンテラス」(39戸)、ほか九州エリアにおいて2棟(119戸)、山口において「防府タワー」(74戸)、滋賀において「近江八幡」(97戸)、愛知において4社共同事業である「MMキャンバス南大高」(192戸)、千葉において3社共同事業である「船橋ミッドガーデン」(112戸)ほか1棟(70戸)、埼玉において東武鉄道との共同事業「南桜井」(146戸)の合計10棟915戸を新規販売するとともに、北九州において「小倉砂津」ほか2棟の3棟(182戸)、福岡において「博多グロウサイド」(104戸)、千葉において「鎌ケ谷」(70戸)、その他エリアで3棟(351戸)の合計8棟707戸の新規竣工を含め完成在庫の販売及び引渡しにより、売上高は19,427百万円(前連結会計年度比24.1%減)となりました。
戸建住宅におきましては、「暮らしを潤す高品質な土地付住宅」をテーマにした第一ホーム㈱の「ユニエクセラン」シリーズを、北九州において「行橋行事Ⅳ」(14区画)のほか4団地(10区画)、福岡において「ふくつテラス」(19区画)のほか6団地(18区画)を新規販売するとともに、完成在庫の販売により、売上高は2,195百万円(前連結会計年度比10.5%減)となりました。
以上により、不動産分譲事業全体の売上高は、マンションプロジェクト用地の売却等その他3,799百万円を加えた結果25,421百万円(前連結会計年度比13.1%減)となりましたが、セグメント利益では2,629百万円(同64.8%増)となりました。
(不動産賃貸事業)
不動産賃貸業界においては、企業のリモートワークの定着やフリーアドレス化に伴うオフィスの縮小傾向と、原材料価格・人件費等の高騰に伴う飲食店の減少が懸念されています。
当社グループでは、九州沖縄・中国・四国・近畿・北陸・関東・東北・北海道の16道府県で、飲食ビルを中心に商業施設・オフィスビル・マンション・倉庫・駐車場等2,069戸の賃貸及び管理を行っております。飲食ビルテナントへの取組みとして、九州地区で当社グループタクシーとテナント内で利用が出来る「共通クーポン券」の販売を引き続き実施し、飲食ビルの利用客増加、既存テナントの囲い込み及び新規入居の推進を図っております。今後も継続して営業支援に取り組むとともに、タクシー事業の拠点となる主要地域においてシナジー効果と営業エリアの拡大、パーキング事業との連携強化を進めることで、収益力の高い賃貸物件の購入を積極的に行い、賃料収入の向上に努めてまいります。
売上高につきましては、オフィス・飲食ビル等で高入居率を維持しているものの、大型商業施設(津イオン)の一時退店等の影響により4,866百万円(前連結会計年度比6.8%減)、セグメント利益は2,333百万円(同6.9%減)となりました。
(不動産再生事業)
当社グループにおける不動産再生事業は、幅広い不動産情報を集約のうえ吟味し、当社独自に付加価値を高めた不動産再生物件として販売しており、不動産市況や経済動向を見極めながら、積極的に展開しております。
売上高につきましては、東京都新宿区の不動産売却、沖縄県那覇市の再開発に向けた土地売却等を行った結果4,330百万円(前連結会計年度比6.0%増)、セグメント利益は766百万円(同27.3%増)となりました。
(不動産金融事業)
当社グループにおける不動産金融事業は不動産担保融資に特化しており、先行きの不透明感はあるものの、目先の堅調な不動産市場動向に支えられ、良質資産の積み上げに努めておりますが、前連結会計年度末以降の大口回収や貸出審査の厳格化等により、不動産担保ローンの融資残高は11,976百万円(前連結会計年度末比101百万円減)となりました。
売上高につきましては、前連結会計年度に開設した大阪支店の不動産担保融資の新規貸付が寄与し、受取手数料が増加した結果1,059百万円(前連結会計年度比6.5%増)、セグメント利益は528百万円(同16.4%減)となりました。
(その他事業)
その他事業は、自動車の点検・整備、LPGの販売、パーキング事業、マンション管理、船舶事業、介護事業のほか多岐にわたる事業を展開しております。
既存事業の充実に注力した結果、売上高は4,732百万円(前連結会計年度比11.2%増)となりましたが、セグメント損失は1,141百万円(前連結会計年度はセグメント損失992百万円)となりました。
(当連結会計年度の財政状態の状況)
総資産は、前連結会計年度末に比べ8,006百万円増加し、189,702百万円となりました。主な増加は、販売用不動産5,516百万円及び仕掛販売用不動産4,094百万円、主な減少は、現金及び預金4,182百万円であります。
負債は、前連結会計年度末に比べ7,173百万円増加し、146,147百万円となりました。主な増加は、短期借入金6,000百万円及び支払手形及び営業未払金2,482百万円であります。
純資産は、前連結会計年度末に比べ833百万円増加し、43,555百万円となりました。主な増加は、親会社株主に帰属する当期純利益1,756百万円、主な減少は、剰余金の配当851百万円であります。
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、財務活動によるキャッシュ・フローが3,900百万円の獲得があったものの、投資活動によるキャッシュ・フローが4,512百万円及び営業活動によるキャッシュ・フローが3,756百万円の支出により、前連結会計年度末に比べ4,368百万円減少し、10,404百万円となっております。
各キャッシュ・フローの状況は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果使用した資金は3,756百万円(前連結会計年度は3,830百万円の獲得)となりました。これは主に、減価償却費3,438百万円及び税金等調整前当期純利益3,160百万円による資金の増加があったものの、棚卸資産の増加による資金の減少10,153百万円によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は4,512百万円(前連結会計年度は4,677百万円の使用)となりました。これは主に、事業用資産の車両、土地・建物の取得を中心とした有形及び無形固定資産の取得による支出4,696百万円によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果獲得した資金は3,900百万円(前連結会計年度は49百万円の獲得)となりました。これは主に、長期借入金の返済による支出22,019百万円があったものの、長期借入れによる収入21,108百万円及び短期借入金の増加による資金の増加6,328百万円によるものであります。
③営業の状況
<販売実績>
前連結会計年度と当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
前連結会計年度 (自 2023年4月1日 至 2024年3月31日) |
当連結会計年度 (自 2024年4月1日 至 2025年3月31日) |
|
タクシー事業(百万円) |
50,362 |
51,793 |
|
バス事業(百万円) |
6,548 |
7,255 |
|
不動産分譲事業(百万円) |
29,242 |
25,421 |
|
不動産賃貸事業(百万円) |
5,221 |
4,866 |
|
不動産再生事業(百万円) |
4,084 |
4,330 |
|
不動産金融事業(百万円) |
995 |
1,059 |
|
報告セグメント計(百万円) |
96,454 |
94,727 |
|
その他事業(百万円) |
4,257 |
4,732 |
|
合計(百万円) |
100,711 |
99,459 |
(注)セグメント間の取引については相殺消去しております。
(タクシー事業)
a.タクシー事業営業実績
|
項 目 |
前連結会計年度 |
当連結会計年度 |
|
期末在籍車両数(注1) |
8,201 台 |
7,711 台 |
|
稼働率(普通車)(注2) |
68.2 % |
66.5 % |
|
走行キロ |
276,180 千㎞ |
276,292 千㎞ |
|
運送収入 |
50,362 百万円 |
51,793 百万円 |
|
走行1km当たり運送収入 |
182 円 35 銭 |
187 円 46 銭 |
(注)1.タクシー特措法に基づく特定地域内で稼働が出来ない休車を、前連結会計年度の期末在籍車両数に1台、当連結会計年度の期末在籍車両数に1台、それぞれ含んでおります。
2.稼働率は普通車を掲載しており、コロナ対策特例休車等を控除して掲載しております。
b.燃料の入手量及び使用量
|
項 目 |
前連結会計年度 |
当連結会計年度 |
||
|
入手量 |
使用量 |
入手量 |
使用量 |
|
|
LPG(キロリットル) |
34,634 |
34,634 |
31,891 |
31,891 |
c.燃料の価格の推移
|
項 目 |
2023年 6月 |
2023年 9月 |
2023年 12月 |
2024年 3月 |
2024年 6月 |
2024年 9月 |
2024年 12月 |
2025年 3月 |
|
LPG(円/リットル) |
73.5 |
66.6 |
82.0 |
83.4 |
83.0 |
81.3 |
83.2 |
85.3 |
(注)価格は実際購入価格の3ヵ月平均であり、消費税等は含まれておりません。
(バス事業)
営業実績
|
項 目 |
前連結会計年度 |
当連結会計年度 |
|
期末在籍車両数 |
673 台 |
669 台 |
|
稼働率 |
55.4 % |
55.2 % |
|
走行キロ |
21,398 千㎞ |
19,887 千㎞ |
|
運送収入 |
6,548 百万円 |
7,255 百万円 |
|
走行1km当たり運送収入 |
306 円 03 銭 |
364 円 81 銭 |
(不動産分譲事業)
a.売上高の内訳
[前連結会計年度]
|
項 目 |
販売数量 (戸) |
金 額 (百万円) |
|
|
マンション |
|
|
|
|
グランドパレス 大淀河畔 |
(宮崎県宮崎市) |
130 |
4,071 |
|
グランドパレス 下到津 |
(北九州市小倉北区) |
91 |
2,778 |
|
グランドパレス 門司大里ヒルズ |
(北九州市門司区) |
79 |
2,374 |
|
グランドパレス 長田 |
(大阪府東大阪市) |
56 |
1,945 |
|
グランドパレス 泉大津東雲 |
(大阪府泉大津市) |
58 |
1,927 |
|
グランドパレス 草津 |
(滋賀県草津市) |
41 |
1,730 |
|
アーバンパレス 西新サウス |
(福岡市早良区) |
39 |
1,637 |
|
グランドパレス かんまちタワーレジデンス |
(鹿児島県鹿児島市) |
42 |
1,445 |
|
その他 |
|
357 |
7,671 |
|
マンション計 |
893 |
25,581 |
|
|
戸建住宅 |
70 |
2,453 |
|
|
その他 |
- |
1,207 |
|
|
合 計 |
963 |
29,242 |
|
(注)共同事業における金額は、全体の金額を当社持分比率で按分した金額を計上しております。
[当連結会計年度]
|
項 目 |
販売数量 (戸) |
金 額 (百万円) |
|
|
マンション |
|
|
|
|
グランドパレス 小倉砂津 |
(北九州市小倉北区) |
72 |
2,754 |
|
グランドパレス 城野タワー |
(北九州市小倉南区) |
70 |
2,121 |
|
アーバンパレス 博多グロウサイド |
(福岡市博多区) |
43 |
1,782 |
|
アーバンパレス 鎌ケ谷 |
(千葉県鎌ケ谷市) |
37 |
1,770 |
|
グランドパレス 草津 |
(滋賀県草津市) |
42 |
1,701 |
|
グランドパレス 長田 |
(大阪府東大阪市) |
38 |
1,333 |
|
アーバンパレス 諫早駅 |
(長崎県諫早市) |
36 |
1,109 |
|
グランドパレス 小倉片野 |
(北九州市小倉北区) |
39 |
1,086 |
|
その他 |
|
239 |
5,767 |
|
マンション計 |
616 |
19,427 |
|
|
戸建住宅 |
73 |
2,195 |
|
|
その他 |
- |
3,799 |
|
|
合 計 |
689 |
25,421 |
|
(注)共同事業における金額は、全体の金額を当社持分比率で按分した金額を計上しております。
b.分譲住宅の契約実績
|
項 目 |
期首契約残高 |
期中契約高 |
期末契約残高 |
|||
|
数 量 (戸) |
金 額 (百万円) |
数 量 (戸) |
金 額 (百万円) |
数 量 (戸) |
金 額 (百万円) |
|
|
〔前連結会計年度〕 |
|
|
|
|
|
|
|
マンション |
405 |
12,777 |
827 |
24,121 |
339 |
11,317 |
|
戸建住宅 |
11 |
428 |
71 |
2,383 |
12 |
357 |
|
その他(注2) |
- |
1,055 |
- |
△1,055 |
- |
- |
|
〔当連結会計年度〕 |
|
|
|
|
|
|
|
マンション |
339 |
11,317 |
715 |
22,950 |
438 |
14,841 |
|
戸建住宅 |
12 |
357 |
67 |
2,035 |
6 |
198 |
|
その他(注2) |
- |
- |
- |
- |
- |
- |
(注)1.共同事業における金額は、全体の金額を当社持分比率で按分した金額を計上しております。
2.マンション等の1棟売りは、その他に含めて計上しています。
(不動産賃貸事業)
営業実績
|
項 目 |
前連結会計年度 |
当連結会計年度 |
|
金額(百万円) |
金額(百万円) |
|
|
店舗 |
3,897 |
3,511 |
|
住居 |
635 |
643 |
|
オフィス |
588 |
611 |
|
その他 |
98 |
98 |
|
合 計 |
5,221 |
4,866 |
(不動産再生事業)
売上高の内訳
|
項 目 |
前連結会計年度 |
当連結会計年度 |
|
金額(百万円) |
金額(百万円) |
|
|
不動産再生 |
3,600 |
3,831 |
|
その他 |
483 |
499 |
|
合 計 |
4,084 |
4,330 |
(不動産金融事業)
売上高の内訳
[前連結会計年度]
|
項 目 |
金 額 (百万円) |
(参考)期末融資残高 (百万円) |
|
不動産担保ローン |
993 |
12,078 |
|
その他 |
1 |
- |
|
合 計 |
995 |
12,078 |
[当連結会計年度]
|
項 目 |
金 額 (百万円) |
(参考)期末融資残高 (百万円) |
|
不動産担保ローン |
1,056 |
11,976 |
|
その他 |
3 |
- |
|
合 計 |
1,059 |
11,976 |
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループ(当社及び連結子会社並びに持分法適用子会社)が判断したものであります。
1.当連結会計年度の経営成績についての分析
当連結会計年度におけるわが国経済は、経済活動の緩やかな回復基調が続いているものの、世界的な情勢不安、円安の進行等に伴う原材料価格上昇、物価高騰の影響による実質賃金の減少など、個人消費は持ち直しに足踏みがみられましたが、当社グループのタクシー・バス事業においては、公共交通機関として必要な人員を確保しつつ、お客様を第一として、需要動向を踏まえ事業を運営してまいりました。
経営成績は、移動需要の順調な回復及び運賃改定によりタクシー事業において1,430百万円の増収、バス事業で706百万円の増収となったものの、不動産分譲事業における分譲マンションの新規竣工物件の反動減で3,820百万円の減収を主要因として売上高は99,459百万円(前連結会計年度比1.2%減)となり、不動産分譲事業で1,033百万円、バス事業で720百万円それぞれ増益となったものの、タクシー事業において需要の増加に対応するため乗務員採用強化や乗務員教育などの人的投資を進めたこと等により1,470百万円の減益により営業利益は3,045百万円(同0.3%減)、経常利益は4,010百万円(同0.0%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は、前連結会計年度に特別損失に計上した不動産賃貸事業での契約途中解除に伴う商業施設の取壊しによる固定資産除売却損の反動減により1,756百万円(同91.0%増)となりました。
また、当連結会計年度より、従来の「金融事業」を「不動産金融事業」に名称変更しております。この報告セグメントの名称変更がセグメント情報に与える影響はありません。
(1)売上高及びセグメント利益等
①タクシー事業
当社グループの中核事業であるタクシー業界では、高齢乗務員の退職に伴う乗務員の人材確保・育成など継続的な課題に加え、配車アプリの開発・シェア争いと同時に事業活性化に取り組むとともに、改正タクシー特措法に基づく需給バランスの改善や地域公共交通の再構築など、多様化する利用者ニーズへの対応が期待されており、路線バスの廃止や交通空白地域の住民の移動手段の確保として、地方自治体との乗合タクシーの運行連携も増加しております。また、最近では都市部や観光地における訪日外国人(インバウンド)等の急増や、局地的なタクシー供給不足が生じ、政府主導での日本版ライドシェアの導入エリアが順次拡大しています。
このような環境の下、当社グループにおきましては、配車センターによるGPSを活用した車両の配置管理、関係先・取引先からの紹介営業の推進、乗務員と配車司令室の接客マナーの向上、乗務員制服の着用、優良乗務員とハイグレード車両を組み合わせたプレミアムタクシーの導入など選ばれるタクシーとなるべく取り組みに努めております。また、「安全運転は最高のサービス」との基本に立ち「交通事故0への挑戦」を掲げ、乗務員の安全意識の改革や視聴覚・予防研修にも努めるとともに、乗務員の若返り及び定着に注力してまいりました。
利便性の向上と他社との差別化については、車内多言語通訳サービス、電子マネー・交通系ICカード・クレジットカードの共用決済端末により、キャッシュレス決済の利用者を取り込むとともに、QRコード決済を全国のタクシー車両に導入することにより、中国系の「ALIPAY」「WeChatPay」対応、キャンペーン等で利用者が拡大した「PayPay」「auPAY」「d払い」等にも対応しております。効率的でスピーディーな配車とデータ収集を可能とする高機能デジタル無線の導入、タクシー自動配車アプリ「モタク」、訪日外国人向けで開始した配車アプリ「DiDi」「Uber」等とも連携しております。国内の出張者・旅行者向けには、営業エリア34都道府県のスケールメリットを活かした「全国タクシー予約センター」と当社グループの空白地帯では「No.1タクシーネットワーク」提携会社(2025年3月31日現在845社)とタクシーチケットの相互利用により、利用者の利便性向上と営業拡販に注力しております。
また、全国的に拡大した「ママサポートタクシー」は、助産師から講習を受けた乗務員が「おもいやりの心」で対応することで、妊産婦や子育て中の女性に好評を博しており、「子どもサポートタクシー」も、子育てシッター養成講座を受講した乗務員がお子様の送迎を行うため、ご要望の多いエリアに順次拡大しております。路線バス廃止地区や交通不便地区での乗合タクシーの運行や「65歳以上運転免許証返納者割引」(お出かけ支援サービス)、お墓参りを代行する「お墓参りサポートタクシー」は高齢者のニーズや高齢者事故の防止にも寄与しております。乗務員募集・採用では、大阪府内や北九州市内で託児所(企業主導型保育施設)の運営や営業所近隣の保育施設との提携、全営業所で認定を受けた「女性ドライバー応援企業」のPR、「女性会議」(女子会)の開催、若年層の採用優遇制度「夢チャレ」、WEBサイトやテレビ等でのイメージアップCMの放映などにより、女性乗務員や若年層の採用を進めることで若返り及び定着を図るとともに、新たに中堅・ベテラン層によるタクシー業務内容・魅力等を深掘り発信する「マスターズの会」を開始し、他社との共同求人サイト「WAY」も運営しております。
当連結会計年度においても、観光地や大都市圏、イベント時を除くと利用者の本格的な回復には至っていないものの、緩やかな回復は継続し、全国的に運賃改定が進んでいることから売上高は51,793百万円(前連結会計年度比2.8%増)となり、需要の増加に対応するため乗務員採用強化や乗務員教育などの人的投資を進めたこと、車両のEV化等GX投資を進めたこと、燃料価格の高騰により、セグメント損失は2,320百万円(前連結会計年度はセグメント損失850百万円)となりました。
当社グループといたしましては、お客様に満足頂くサービスの向上を目指し、タクシーチケットの相互利用を主体とした「No.1タクシーネットワーク」の加盟社増加による利便性の向上、不動産賃貸事業及び不動産分譲事業のお取引先や住宅購入者の囲い込み、九州地区では飲食ビルテナントとの共通クーポン券を販売、スケールメリットを生かしたタクシー車両の効率配置を行うことなどで、同業他社との差別化を図ってまいります。
また、当社グループでは自動車修理工場(北九州・福岡・宮崎・沖縄・広島・大阪・京都・名古屋・仙台・札幌)及びLPGスタンド(北九州・東京・千葉)の事業を行うことにより、常にタクシー車両メンテナンスのコストとLPG供給のコストの把握に努め、その他の地域においては、地元の自動車修理工場とタクシー車両のメンテナンス契約並びに大手石油商社等の斡旋による地元のLPGスタンドとの代行充填契約を行うことで、修繕費・燃料費の節減を図ってまいります。他にも、EV、ハイブリッド車、LPGハイブリッド車、水素燃料電池車を導入するなど、燃料費節減や環境配慮の取組みを推進しております。なお、その他の経費については、当社グループのスケールメリットを生かして、自動車任意保険の加入に際しては、支払保険料割引の有利なグループフリート契約を行うほか、消耗品等の仕入を一括購入することで市価より安く入手するなど、常に経費の節減を図ってまいります。
②バス事業
当社グループにおいては、観光バス事業を福岡市・北九州市・沖縄県那覇市・山口県光市・島根県益田市・広島市・堺市等、路線バス事業を沖縄県那覇市等で行っております。沖縄県内の路線バス部門では、催事に合わせたフリー乗車券や企画乗車券、モノレールとの共通1日乗車券のほか、高齢者向け割引定期券、日曜・祝日ファミリー割引制度、スクールバス、コミュニティバスの運行、バスロケーションシステムの運用により利用者の利便性の向上に繋げております。沖縄本島交通系ICカード「OKICA」は、定期券方式にも対応しております。那覇バスターミナルでは、新設備の待合室、デジタル多言語案内板等で、通勤利用者や外国人観光客の利便性を向上しております。沖縄県内の観光バス部門においては、外国人観光客に対応した観光案内パンフレットやホームページを活用した定期観光コースの紹介、定期観光バス4台に、8カ国語自動音声ガイドを導入するなどインバウンド対応を強化、バスガイド・乗務員で構成する三線ユニット「うたばす」による団体旅行者向けライブ活動で話題作りやリピーター客の創出を図るなど、県内外の利用者から高い評価を頂き、大手旅行社とのパッケージツアーも設定しております。
また、燃料費の削減のための省燃費運動の一環として、自社内の安全・教育センターに導入したインターネット適性診断システム「ナスバネット」の活用や教習車により、燃費向上と事故件数の削減に加え、利用者にやさしい安全運転にも努めるとともに、脱炭素社会への取り組みとしては、EV路線バス3台を那覇市内線で運行、運転手不足対策として沖縄県豊見城市ほか4社で包括連携協定を締結し、沖縄県内初となる生活路線での自動運転EVバスの実証運行を実施しました。
バス事業の売上高につきましては、16年ぶりの運賃改定、沖縄県を中心に団体旅行やインバウンド需要の回復、イベント開催などで輸送人員が増加したこともあり、売上高は7,255百万円(前連結会計年度比10.8%増)となり、セグメント利益は448百万円(前連結会計年度はセグメント損失271百万円)と改善しました。
観光バス事業においては、保有台数の多い沖縄地区と全国各地の観光バス事業やタクシー事業との連携を強め、大手旅行代理店と情報交換を積極的に行うこと等により、顧客獲得を図ってまいります。なお、個人旅行の需要に応える観光バス及びタクシーの提供や、当社グループのお客様の要望にお応えする商品の販売を行うことにより、他事業とのシナジー効果を図るとともに、感染症収束後の外国人観光客の受入れ体制の強化など新規顧客の獲得に積極的な営業展開を図ってまいります。
③不動産分譲事業
当社グループのマンション分譲事業における当連結会計年度における新規竣工物件は、北九州市で3棟(182戸)、福岡市で1棟(104戸)、長崎県諫早市で1棟(84戸)、大阪府堺市で1棟(70戸)、名古屋市で共同事業1棟(192戸)、千葉県鎌ケ谷市で1棟(70戸)の合計8棟707戸となり、売上計上できる完成在庫の販売引渡しは、共同事業を含め616戸(前連結会計年度比277戸減)となった結果、売上高は19,427百万円(前連結会計年度比24.1%減)となりました。
当連結会計年度においては単独物件(グランドパレス・アーバンパレス)のほか、共同事業を含めて九州・関西・東海・関東で厳選した新規供給を行った結果、北九州において「門司港レトロ ザ・マークス」(66戸)、「門司オーシャンテラス」(39戸)、宮崎において「柳丸新城」(47戸)、鹿児島において「上之園タワー」(72戸)、山口において「防府タワー」(74戸)、滋賀において「近江八幡」(97戸)、愛知において4社共同事業である「MMキャンバス南大高」(192戸)、千葉において3社共同事業である「船橋ミッドガーデン」(112戸)ほか1棟(70戸)、埼玉において東武鉄道との共同事業「南桜井」(146戸)の合計10棟915戸を新規販売し、当連結会計年度の契約件数は715戸(前連結会計年度比112戸減)となりました。
戸建住宅部門におきましても、第一ホーム㈱が「暮らしを潤す高品質な土地付住宅」をテーマにした「ユニエクセラン」シリーズを北九州・福岡の両都市圏において供給しており、北九州において「行橋行事Ⅳ」(14区画)のほか4団地(10区画)、福岡において「ふくつテラス」(19区画)のほか6団地(18区画)を新規販売するとともに、完成在庫の販売に取り組んだ結果、契約件数は67戸(前連結会計年度比4戸減)となり、販売戸数は73戸(前連結会計年度比3戸増)、売上高は2,195百万円(前連結会計年度比10.5%減)となりました。
以上により、不動産分譲事業全体の売上高は、マンションプロジェクト用地の売却等その他3,799百万円を加えた結果25,421百万円(前連結会計年度比13.1%減)となりましたが、セグメント利益では2,629百万円(同64.8%増)となりました。2026年3月期も、販売実績のある各都市圏に加え、タクシー事業を展開しているエリアでも生活利便性に重点をおいた供給に注力し、WEB環境を活用した「バーチャル・3Dモデルルーム」「オンライン商談」「不動産売買契約時の電子化」等も採用するなど、当社単独物件マンションを中心とした新規販売を予定しております。なお、戸建住宅部門の第一ホーム㈱では、住宅建築資材の分離発注により、リーズナブルな価格設定と地域風土を尊重した魅力ある団地の開発に取り組むことで、分譲部門の第2の柱として推進しております。
④不動産賃貸事業
不動産賃貸業界においては、主要都市の人気エリアでは地価及び人口増により賃料上昇や空室率の改善が見られますが、地方都市では中心地を除き高齢化及び人口減による厳しい状況が続き、二極化が進んでおり、今後は企業のリモートワークの定着やフリーアドレス化に伴うオフィスの縮小傾向と、原材料価格・人件費等の高騰に伴う飲食店の減少が懸念されています。
当社グループでは、「テナントとともに栄える。お客さまとともに栄える」をモットーにテナントから信頼される最良のサービスを提供するため、テナントビルへの防犯カメラの設置、北九州・福岡・大分・宮崎・鹿児島地区のビルテナント及びタクシー等で利用できる共通クーポン券を発行し、テナント利用の促進を図ることにより、同業他社との差別化を図っております。当連結会計年度では、オフィスビルの入居増加があったものの、三重県津市の大型商業施設(津イオン)の一時退店に伴う賃料収入の減少もあり、売上高は4,866百万円(前連結会計年度比6.8%減)、セグメント利益は2,333百万円(同6.9%減)となりました。
なお、当連結会計年度に松山市に飲食ビル2棟を新たに取得するとともに、北九州市・福岡市・大分市・宮崎市・宮崎県都城市・鹿児島市・広島市・兵庫県尼崎市・大阪市・横浜市・新潟市・仙台市・札幌市の中心街に飲食ビルを所有し、住居・事務所・店舗・倉庫等当社グループが所有する賃貸用不動産の賃貸業務及びオーナー(賃貸用不動産の所有者)からの賃貸経営の受託により、管理物件は16道府県で2,069戸となりました。
また、今後においてもタクシー事業の拠点地域を中心に積極的に収益不動産の仕入れ、賃料収入の向上に努めてまいります。
⑤不動産再生事業
当社グループの不動産再生事業は、主に九州・大阪・東京において、不動産担保融資に特化した不動産金融事業より集まる幅広い不動産情報に、当社独自に付加価値を高めマーケットにマッチした再生物件として販売しておりますが、当該収益不動産の立地環境や規模の大小により、販売するタイミングや引渡し時期によっては売上の計上に偏重をきたす傾向があります。
当連結会計年度では、東京都新宿区の不動産売却、沖縄県那覇市の再開発に向けた土地売却等を行った結果4,330百万円(前連結会計年度比6.0%増)、セグメント利益は766百万円(同27.3%増)となりました。
今後も、不動産担保融資等における独自のノウハウを活かして、不動産流動性の高まりを背景に投資用マンション用地の取得や首都圏、地方主要都市の開発用地の取得を進めてまいります。
⑥不動産金融事業
当社グループにおける不動産金融事業は不動産担保融資に特化しており、主に九州・大阪・東京を拠点として、先行きの不透明感はあるものの、目先の堅調な不動産市場動向に支えられ、良質資産の積み上げに努めておりますが、前連結会計年度末以降の大口回収や貸出審査の厳格化等により、不動産担保ローンの融資残高は11,976百万円(前連結会計年度末比101百万円減)となりました。
売上高につきましては、前連結会計年度に開設した大阪支店の不動産担保融資の新規貸付が寄与し、受取手数料が増加した結果1,059百万円(前連結会計年度比6.5%増)となりましたが、貸倒引当金の計上がありセグメント利益は528百万円(同16.4%減)となりました。
貸金業界を取り巻く経営環境は、2010年6月18日より改正「貸金業法」が完全施行となり、貸出上限金利の引下げや融資額の総量規制が実施されることとなったため、これにより収益力の低下、優良顧客獲得をめぐる競争が激化しております。当社グループといたしましては、法律改正の影響が比較的少ない不動産担保ローン部門において、新規顧客等の開拓による融資を積極的に図ることで不動産金融事業の融資残高におけるウェイトを高めてまいるとともに、与信基準の厳格運用を行ってまいります。なお、関連する法律改正や同業他社の訴訟判例を鑑みたリスク管理体制の強化並びにコンプライアンスの徹底にも取り組んでまいります。
⑦その他事業
当社グループのその他事業は、自動車の点検・整備、タクシー事業用LPGの販売、九州を中心として関西及び関東主要都市でのパーキング事業、不動産仲介事業、マンション管理事業、北九州市におけるゴルフ練習場事業、訪問介護、各種塗料販売、沖縄県での高速船運行等を行っており、売上高は4,732百万円(前連結会計年度比11.2%増)となりましたが、セグメント損失は1,141百万円(前連結会計年度はセグメント損失992百万円)となりました。なお、セグメント間内部売上高である子会社業務管理を含めた売上高は、9,766百万円(前連結会計年度は9,226百万円)となっております。
なお、当社グループの不動産分譲事業及び不動産賃貸事業は、タクシー事業を展開している主要都市を中心に事業活動を行っているため、分譲住宅の購入者や賃貸ビルのテナント様にも、チケット契約等により当社グループのタクシー・バスをご利用頂くほか、その他のグループ事業のご利用並びに商品の購入など、様々な情報の提供を頂くことによりシナジー効果を挙げております。今後も、地域毎に情報交換・連携を一層強くし、営業強化に努めてまいります。
(2)営業外損益及び特別損益
当連結会計年度における営業外損益につきましては、営業外収益は、主に補助金収入が81百万円減少したものの、その他の営業外収益が200百万円増加した結果、122百万円の増加となりました。営業外費用は、主に持分法による投資損失が73百万円、支払利息が39百万円増加した結果、111百万円の増加となりました。
また、当連結会計年度における特別損益につきましては、特別利益は、固定資産の取得に係る国庫補助金260百万円、固定資産売却益86百万円を計上した結果346百万円となり、特別損失は、主に減損損失438百万円、固定資産圧縮損260百万円、固定資産除売却損233百万円を計上した結果、1,196百万円となりました。
(3)法人税等(法人税等調整額を含む)
法人税等合計については、税金等調整前当期純利益が前連結会計年度に比し1,339百万円増加した結果、前連結会計年度の883百万円(税効果会計適用後の負担率48.5%)から当連結会計年度の1,384百万円(税効果会計適用後の負担率43.8%)となりました。
2.当連結会計年度末の財政状態についての分析
(1)流動資産
当連結会計年度末における流動資産の残高は、前連結会計年度末に比し7,238百万円増加し、93,188百万円となりました。これは、現金及び預金が4,182百万円減少したものの、販売用不動産が5,516百万円、仕掛販売用不動産が4,094百万円それぞれ増加したことが主な要因であります。
(2)固定資産
当連結会計年度末における固定資産の残高は、前連結会計年度末に比し768百万円増加し、96,514百万円となりました。これは、その他の無形固定資産が370百万円、土地が248百万円、リース資産が234百万円それぞれ増加したことが主な要因であります。
(3)流動負債
当連結会計年度末における流動負債の残高は、前連結会計年度末に比し7,406百万円増加し、59,906百万円となりました。これは、短期借入金が6,000百万円、支払手形及び営業未払金が2,482百万円それぞれ増加したことが主な要因であります。
(4)固定負債
当連結会計年度末における固定負債の残高は、前連結会計年度末に比し233百万円減少し、86,240百万円となりました。これは、長期借入金が584百万円減少したことが主な要因であります。
(5)純資産
当連結会計年度末における純資産の残高は、前連結会計年度末に比し833百万円増加し、43,555百万円となりました。これは、親会社株主に帰属する当期純利益を1,756百万円計上したことが主な要因であります。なお、自己資本比率は前連結会計年度末の23.5%から22.9%へ下降しております。
3.当社グループの資本の財源及び資金の流動性
当連結会計年度の運転資金及び資本的支出は、短期借入及び長期借入の実行により賄いました。詳細につきましては、「第一部 企業情報 第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」をご参照ください。なお、当連結会計年度末現在において支出が予定されている重要な資本的支出はありません。
当社グループといたしましては、タクシー・バスを中心とした交通事業の車両の代替、DX・GX推進、不動産賃貸事業の高収益率の賃貸ビルの取得、不動産再生事業の再生不動産の仕入れ及び不動産金融事業の営業貸付金の拡大については、今後も積極的な展開を行ってまいりますが、タクシー事業等の新規事業展開による用地等の取得については、状況に応じ賃貸物件を借りることも考慮し、不動産分譲事業においては、販売用不動産の回転期間の短縮化を図ってまいります。また、当社グループが営業活動により獲得した資金を有効に運用するため、CMS(キャッシュ・マネジメント・システム)を活用して資金効率の向上を図ること等により、有利子負債の削減に努めてまいります。
4.重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
詳細につきましては、「第一部 企業情報 第5 経理の状況 1連結財務諸表等(1)連結財務諸表「注記事項」(重要な会計上の見積り)及び2財務諸表等(1)財務諸表「注記事項」(重要な会計上の見積り)」に記載しております。
該当事項はありません。
該当事項はありません。