文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 会社の経営の基本方針
当社グループは『品質』、すなわち「安全で良質な輸送・サービス」をお客様に提供すると共に、「お客様の期待以上のサービスを創造することにより、豊かな社会の発展に貢献する。」という企業理念を掲げており、様々なお客様のニーズに対応したあらゆるサービスの質の向上を活動の基本としております。
また、物流業界における確固たるポジションを築くため、既存ビジネスの拡大とともに新規事業や新サービスを創出し、M&Aもひとつの選択肢として、新しい事業領域への展開を推し進めてまいります。持続的な成長・発展を通し、企業価値を増大させ、社会、お客様、株主の皆様から継続的に信頼を得られる企業グループになることを目指してまいります。
(2) 目標とする経営指標
グループ1,000億円の売上収益と5%以上の営業利益率の達成を中長期的な目標とし、さまざまな施策を展開し、目標達成に向け邁進してまいります。
(3) 当社グループが置かれている経営環境について
①市場環境
当社グループの主たる事業であります自動車関連事業は、消費税や自動車取得及び保有時などの関係諸税の税制に影響を受けやすい自動車販売市場の動向に連動しております。国内の新車市場は90年代の700万台をピークに、それ以降は停滞が続き、近年の新車販売台数は500万台前後を推移しております。人口減少などによる運転免許保有者の減少や自動車の所有形態が変化してくるなど、長期的に見れば市場は減少傾向にあります。
また、物流業界においては中長期的な原油価格の高騰リスクやSOx規制強化に伴う海上運賃上昇リスクに加え、コンプライアンスへの対応、日本国内における労働力不足、特に乗務員の不足への対応、さらには働き方改革関連法への対応など引き続き厳しい事業環境が続くものと考えております。
②当社グループの構造と主要なサービスの内容
当社グループは、当社及び子会社17社と共同支配企業7社で構成され、自動車関連事業、ヒューマンリソース事業、一般貨物事業を主たる業務としております。
自動車関連事業は、主に新車及び中古車の輸送、バイクの輸送、納車前整備や一般車検整備、リースアップ車や新車販売会社の下取り車の入札会運営、中古車オークション会場での検査業務を主とする構内作業及びそれらに付随する事業であります。ヒューマンリソース事業は、車両の運行管理事業やドライバーを中心とした人材派遣事業を行っております。一般貨物事業は、港湾荷役や倉庫事業に加え、一般消費財等の3PL事業を行っております。
グループの統一的な基本方針のもと、取締役会をはじめ各機関、各社が、相互に事業を組み合わせて、主として自動車のライフサイクルを支える総合物流事業としてのグループシナジー創出と効率化を推し進めております。
③競合他社との優位性
当社グループは、それぞれのセグメントで競合企業が存在いたします。主たる事業である自動車輸送事業においては、多数の車両輸送会社が存在いたしますが、長距離の輸送は対応できないことが多く、当社グループがもつ輸送の全国ネットワークが強みを発揮します。また、自動車輸送という特殊な荷物ゆえに参入障壁は比較的高いものとなっております。ヒューマンリソース事業においては、一般的な派遣事業の割合は少なく、車両の運行代行やドライバー派遣が主となっており、当社グループとのシナジーがより発揮しやすい構造となっています。また、一般貨物事業においても、参入障壁の高い港湾事業や独自性を活かせる3PL事業、CKD事業(Complete Knock Downに関連する輸送事業)を主としております。
④新型コロナウイルス感染症の影響
新型コロナウイルス感染症拡大の影響により、新車販売台数の低迷、車両輸送受託台数の減少、中古車輸出台数の減少、派遣事業での雇い止め等、当社グループの売上収益にも影響が及んでおります。また、景気先行きが不透明であることに起因し、将来的にも当社グループの業績に影響をあたえます。当社グループは、新型コロナウイルス感染症の影響が、2021年6月期の一定期間にわたり継続するものと想定しております。
自動車輸送事業においては、2021年6月期の一定期間にわたり、自動車メーカーの減産にともない、売上収益に一定の影響は与えると考えられますが、一方で中古車市場においては、密を避けるための移動手段として販売台数は堅調に推移するなど、売上収益を下支えする動きも見られます。ヒューマンリソース事業においては、雇止めなどの影響は一定額出てくると考えられますが、休校となっていた学校の再開などとともに運行代行事業においては持ち直しの動きが見られています。一般貨物事業においては、参入障壁の高い事業に関しては、新型コロナウイルス感染症の直接的な影響は受けづらくなっております。
(4) 対処すべき課題
① 輸送改革の推進
自動車生産工場や中古車オークション会場の所在する地域は、多くの商品車を輸送するための戦力を配置する重要な拠点となり、販売店までの新車輸送やオークション開催日前後の搬入搬出によって商品車が集中します。しかしながら、販売店からの復荷の有無によって積載率が変動したり、オークション開催日とそれ以外では繁閑差があるため、輸送情報の事前入手と計画的な配車により不経済な回送や運休が生じないように努めてまいります。
事業基盤の再構築の一環として地域ブロック化を完了させ、既存の輸送戦力を最大活用できる最適な配置を進めるとともに、新規輸送協力会社の開拓などにより輸送戦力の拡充を図ってまいります。また顧客エリアの開拓や料金体系の包括的な見直しを進め、収益向上につなげてまいります。
② 働き方改革の推進
少子高齢化の加速により、若年層の人口そのものが減少していることに加えて、若年層の運転免許保有率が減少しつつあり、また自動車整備士の資格取得を目指す若年層も減少しております。その結果として、乗務員や整備士が減少し、労働力が不足することで業務量や労働時間の超過が慢性化し、従業員の健康への被害や業務効率の悪化を招くことを避けなければなりません。
乗務員や整備士の採用を進め、法令順守に努めるとともに、総労働時間の短縮を推進するため、仕事の簡素化及び自動化、システム化によって負荷軽減に努めてまいります。業務プロセスをシンプルにすることや、アウトソースの併用によって、業務量の削減を図り、労働環境や諸条件の改善を進めてまいります。これにより、業界ダントツの魅力ある会社、働きがいのある職場をつくり上げることで、乗務員や整備士の採用と定着を促進します。
③ 自動車周辺事業の拡大
車両輸送事業に依存しない事業ポートフォリオを構築するため、名義変更や登録代行、車両保管、整備、板金、塗装、オークション、中古車輸出などの既存周辺事業の再構築を進め、新規需要の発掘による新規事業や新サービスを創出してまいります。また、M&Aや業種を問わないアライアンスの推進による新しい事業領域への展開によって、当社グループの成長を推し進め、事業基盤をさらに強固なものとしてまいります。
④ 車両輸送以外の業務の拡大
ヒューマンリソース事業においては、さまざまな送迎に関わる企業のアウトソース需要を獲得し、戦略的な営業活動及び営業体制の強化により、積極的に地方都市への展開を行っております。従来の「ドライバー」を軸とした人材の確保、教育、社会への供給、サービスの提供に加えて、中長期的には、空港、福祉、介護、国際人材といった分野への事業展開を取り組んでまいります。
一般貨物事業においては、港湾荷役事業、運輸事業、倉庫事業などがあり、お客様の要望を的確に捉えて事業の拡大を進めております。グループ内での協業を推進し、グループ内のインフラやリソースの最大活用を進めてまいります。
⑤ 海外事業の拡大
当社グループが自動車関連事業で長年培ってきたサービス技術、ノウハウを海外の成長市場で展開しております。
中国では、2004年の創業以来、順調に事業を拡大し収益を上げておりますが、一部の自動車メーカーに売上高の大半を依存しており、3年毎に行われる入札により業績が左右されることに留意する必要があります。
アセアン諸国では、タンチョンインターナショナルリミテッドと相互に協力し事業展開を進めております。
海外事業におけるビジネスパートナーとの連携強化を図るとともに新規顧客の開拓によって事業規模を拡大してまいります。
⑥ その他
新型コロナウイルス感染症拡大の影響により、新車販売台数の低迷、車両輸送受託台数の減少、中古車輸出台数の減少、派遣事業での雇い止め等、当社グループの売上収益にも影響が及んでおります。また、景気先行きが不透明であることに起因し、将来的にも当社グループの業績に影響をあたえます。
当社グループは、新型コロナウイルス感染症の影響が、2021年6月期の一定期間にわたり継続するものと想定しております。
当社グループの事業等に係るリスク要因になる可能性のある重要事項は以下のようなものがあります。なお、文中における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において当社が判断したものでありますが、以下の記載は当社グループの事業等及び当社株式への投資に係るリスクを全て網羅するものではありません。
①主要顧客への売上依存度について(リスク顕在化の可能性:小、経営成績等の状況に与える影響:大)
当社グループの主要顧客は、日産自動車株式会社であり、同社向けの売上実績は下表のとおりとなっています。日産自動車株式会社への売上依存度は、継続的に高い率となっているため、同社との取引状況に何らかの変更があった場合には、当社グループの業績に悪影響を与える可能性があります。
|
|
2019年6月期 |
2020年6月期 |
||
|
相手先 |
金額 |
総売上に |
金額 |
総売上に |
|
日産自動車株式会社 |
13,775 |
15.3% |
11,854 |
13.2% |
|
日産自動車グループ(注) |
19,495 |
21.6% |
17,553 |
19.6% |
(注)日産自動車グループの販売実績は、日産自動車株式会社、株式会社オーテックジャパン、及び全国の日産自動車販売会社への売上実績を合計したものであります。
日産自動車株式会社とは、車両輸送作業や新車点検整備作業等の個別の業務ごとに締結された「車両運送委託契約書」や「請負基本契約書」等の契約を締結していることに加えて、日産自動車株式会社より「Nomination Letter」に署名をいただいており、2023年3月末まで継続されることが基本合意されております。これまで日産自動車株式会社が提示した目標を達成しており、今後も業務品質の維持向上につとめることによって契約の更新を続けてまいる所存です。
しかし、諸事情により日産自動車株式会社との取引が継続できなくなった場合は、当社グループの業績に悪影響を与える可能性があります。
当事業リスクに対する対応策としては、輸送システムの連携などを推進することで、日産自動車株式会社との関係強化に努めてまいります。
②特有の法的規制に係るもの
a. 貨物自動車運送事業法等の規制について(リスク顕在化の可能性:小、経営成績等の状況に与える影響:大)
当社グループの主要な事業活動である車両輸送サービスの前提は、一般貨物運送事業者としての貨物自動車運送事業法第3条に基づく一般貨物自動車運送事業認可(関東運輸局長(関自貨2)第1992号ほか)と、貨物運送利用事業者としての貨物利用運送事業法第20条に基づく第二種貨物利用運送事業許可(総合政策局複合貨物流通課長(国総貨複第6号の4-25))であり、当社グループの有している許認可の有効期限は無期限であります。
これらの法律では、事業経営者に対する許可、事業許可の基準、禁止行為、運送約款の作成と認可、過労運転防止を中心とする輸送の安全、事業用自動車の運行と安全確保のための運行管理者選任と資格試験、監督官庁の事業改善命令、さらに名義利用の禁止・事業譲渡及び譲受け並びに事業休止廃止などの許認可等について細目にわたり規定されており、貨物自動車運送事業法第33条及び貨物利用運送事業法第33条には、許認可の取消事由が定められています。現時点において、当社グループはこれらの許認可の取消の事由に該当する事実はないと認識しています。
当社グループの主要な事業活動の継続には前述のとおり一般貨物自動車運送事業認可及び第二種貨物利用運送事業許可が必要ですが、今後、法令違反等によりこれらの許認可が剥奪された場合には、主たる事業の一部あるいは全部を行うことができず、当社グループの業績に悪影響を与える可能性があります。
また、今後、貨物自動車運送事業法や貨物利用運送事業法の内容変更等が行われた場合には、新たなコストが発生し、当社グループの業績に悪影響を与える可能性があります。
b. 排気ガスの抑制に関する諸規制について(リスク顕在化の可能性:中、経営成績等の状況に与える影響:小)
当社グループの営む事業のうち自動車関連事業及び一般貨物事業につきまして、2002年10月1日から「自動車から排出される窒素酸化物及び粒子状物質の特定地域における総量の削減等に関する特別措置法」(自動車Nox・PM法)が施行され、また、2003年10月1日から東京都の「都民の健康と安全を確保する環境に関する条例」をはじめとするディーゼル車の走行規制条例が、首都圏で施行されたのを皮切りに、全国へ拡大されております。当社グループといたしましては、各種規制に対して、新車代替又は排ガス対策装置を装着することを進めておりますが、今後、規制の内容の強化等が行われた場合には、更なるコストが発生し、当社グループの業績に悪影響を与える可能性があります。
c. 道路交通法の規制について(リスク顕在化の可能性:小、経営成績等の状況に与える影響:中)
当社グループの輸送業務については、道路交通法を遵守し、人命を尊重し交通安全に最善を尽くしております。しかし、重大な交通事故を起こしてしまった場合には、当社グループの信頼が失われ、当社グループの業績に悪影響を与える可能性があります。
d. 道路法の車両制限令の規制について(リスク顕在化の可能性:小、経営成績等の状況に与える影響:中)
当社グループの車両運搬用のセミトレーラにつきましては、道路法の車両制限令により全長の制限及び積載車両の長さや高さ、過積載等の制限が定められております。車両運搬用セミトレーラは、本来商品車(輸送依頼を受けた車両)を6~7台積載できることを前提に製造されておりますが、最近は商品車のサイズが大型化したことに伴い、積載時にセミトレーラのサイズに収まらず、はみ出してしまう可能性があります。
当社グループでは、各物流拠点での配車時において、制限値を超えないように小型車を混載させ、積載時に調整を行っております。しかし、小型車の混載が困難な新車輸送に関しましては、積載台数を減らさざるをえない場合もあります。今後も、適正な輸送料金への改定の交渉に取り組みますが、規制の内容の変更等が行われ、輸送効率の低下に伴うコスト増分を輸送料金に反映できない場合には、当社グループの業績に悪影響を与える可能性があります。
e. 労働基準法等の規制について(リスク顕在化の可能性:小、経営成績等の状況に与える影響:中)
乗務員の時間外勤務や連続運転については、「労働基準法」、「自動車運転者の労働時間等の改善の基準」等に基づいた労務管理が必要となります。昨今の労働行政の動きをみると、長時間労働に対する監督官庁による指導・監督の強化、施行が決定している労働安全衛生法改正による従業員のメンタルヘルスチェックの義務化など従業員へのよりきめ細やかな労務管理と安全配慮を企業側に求めるものとなっています。現在、法令等に抵触する事実はないものと認識しておりますが、今後の規制強化や法適応の動向によっては、コストの増加が懸念され、当社グループの業績に悪影響を与える可能性があります。
f. 派遣法等の改正について(リスク顕在化の可能性:小、経営成績等の状況に与える影響:小)
「労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律(以下、労働者派遣法)」は2012年の改正に続き、改正時の附帯決議等により2015年にも一部改正されました。改正においては、雇用安定措置の義務化、個人単位及び事業所単位の期間制限等が織り込まれています。派遣先企業では、アウトソーシングや直接雇用への切り替えなどの動きも見られ、派遣業界の競争は更に厳しさを増すものと考えられます。これまでも労働・雇用環境の変化に応じて労働者派遣法は改正されており、今後の改正などにより事業環境が変化した場合には、ヒューマンリソース事業において派遣事業を展開している当社グループの業績に悪影響を与える可能性があります。
当法的規制に係る事業リスクの対応策につきましては、関係部署に対する、貨物自動車運送事業法や労働基準法などの法令順守指導・教育に努めると同時に、その他の法的規制につきましては、情報の早期収集と迅速な対応ならびに情報開示に努めてまいります。また、監査部による特別監査などを通じてコンプライアンス遵守意識を高めてまいります。
③燃料価格の上昇について(リスク顕在化の可能性:大、経営成績等の状況に与える影響:小)
軽油、ガソリン等の燃料価格が大きく上昇し、輸送コストの増加を企業努力により吸収するか、もしくは輸送料金(燃料サーチャージを含む)に反映ができない場合には、当社グループの業績に悪影響を与える可能性があります。当事業リスクに対する対応策としては、車両輸送事業における売上高の約30%を占める新車輸送に関しては、リスクヘッジのために荷主と燃料サーチャージの取り決めをしており、燃料価格は別建ての運賃となっております。他方、中古車輸送に関しては、現時点で荷主とは燃料サーチャージの取り決めをできておりませんが、取引金額の大きい荷主とは今後交渉を進めていくことを検討しております。
④人材の確保について(リスク顕在化の可能性:中、経営成績等の状況に与える影響:小)
人材確保・育成を経営上の重要項目として取り組んでおりますが、少子高齢化の進行に伴う人材不足及び景気回復に伴う人件費の高騰などにより必要な人材の確保ができない場合には、当社グループの業績に悪影響を与える可能性があります。特に自動車関連事業における車両輸送事業やヒューマンリソース事業における送迎事業や派遣事業を担っている「自動車運転の職業」は有効求人倍率が高止まりしていることから、人件費高騰のリスクを抱えております。当事業リスクに対する対応策としては、数年前から乗務職の新卒を採用し始めるなど、乗務職確保と高齢化に歯止めをかける施策を行っております。
⑤自然災害等の大規模災害による被害(リスク顕在化の可能性:小、経営成績等の状況に与える影響:大)
地震、噴火、津波、台風等の自然災害や火災等の事故及び通信ネットワークを含む情報システムの停止等により、当社グループの事業活動が停止するような被害を受けた場合には、当社グループの業績に重要な悪影響を与える可能性があります。当事業リスクに対する対応策としては、車両輸送における物流拠点(CSセンター)においては、日本全国32箇所に亘って展開しているため、どこか特定のエリアや拠点が壊滅的な打撃を受けたとしても、近隣の拠点でバックアップができる体制を構築しております。
⑥保有資産の価格下落に関するリスク(リスク顕在化の可能性:中、経営成績等の状況に与える影響:中)
当社グループが保有している営業債権及びその他の債権(12,607百万円)、棚卸資産(511百万円)、有形固定資産(17,146百万円)、のれん及び無形資産(2,626百万円)について、収益性の低下などによって、評価損の計上や減損処理を行うこととなった場合、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当事業リスクに対する対応策としては、営業債権については、顧客ごとの与信管理の徹底と情報管理の迅速性を重視すること、棚卸資産に関しては、見込み発注の縮小化と在庫管理を徹底すること、有形固定資産及びのれん・無形資産に関しては、投資前より事業収益性の見極め精度を向上させ、投資後は損益管理を徹底し、収益性低下が認められた場合は、早急にリカバリープランを導入することでリスクの顕在を縮小化してまいります。
⑦新型コロナウイルス感染症に関するリスク
新型コロナウイルス感染症の拡大に起因する当社グループへの影響は広範囲に及ぶことが想定され、上述の「①主要顧客への売上依存度について」、「⑥保有資産の価値下落に関するリスク」の事業リスクを誘発する可能性があります。当事業リスクは、当連結会計年度末日現在において既に顕在化しており、その影響度につきましては今後の環境動向に注視して見極めていく方針ですが、現時点では新型コロナウイルス感染症の影響が、2021年6月期の一定期間にわたり継続するものと想定しております。上記の各事業リスクについては、前述のとおり対応を行っていく予定ですが、それと同時にWeb会議の実施等による業務における密の解消や在宅勤務の実施など、感染症拡大防止に向けた各種取り組みを実施しております。
(1) 経営成績等の状況の概要
① 業績
当連結会計年度におけるわが国経済は、第2四半期連結累計期間まで緩やかな回復基調が続き、堅調な雇用と所得環境を受けて個人消費も改善しておりましたが、第3四半期連結累計期間以降は新型コロナウイルス感染症拡大の影響を受け、景気の下押し圧力が強い状況であり、かつ個人消費も弱い動きを見せており、先行き不透明な状況にあります。
国内の自動車市場におきましても、新車販売台数合計は前連結会計年度(以下、前年同期という)比で87.8%(日本自動車工業会統計データ)と減少いたしました。第1四半期連結会計期間は消費税増税前の駆け込み需要が発生したことに伴い前年同四半期連結会計期間比108.1%と増加したことに対して、第2四半期連結会計期間は駆け込み需要の反動や自然災害の影響により前年同四半期連結会計期間比83.7%と大幅な減少に転じ、第3四半期連結会計期間は新型車発売の効果があったものの増税による消費意欲減退の継続に加えて新型コロナウイルス感染症拡大の影響が出始めたことにより前年同四半期連結会計期間比89.8%と二桁減が続いた後、第4四半期連結会計期間は日本政府の緊急事態宣言発令による外出自粛及び消費抑制のため、前年同四半期連結会計期間比68.2%まで落ち込みました。中古車登録台数でも同様の動きが見られましたが、こちらは前年同期比で98.0%と微減に留まっております。
新型コロナウイルス感染症の影響が顕著であった第4四半期連結会計期間において、新車販売台数の不振を受けて車両輸送及び納車前整備点検の受託台数が落ち込んだことに加えて、中古車輸出事業の主力輸出先であるマレーシアにおいて、ロックダウンが発令された影響で輸出台数が抑制されました。またヒューマンリソース事業でも派遣先における雇い止めの影響を受けております。
それらの結果、当社グループの業績は、売上収益895億1百万円(前年同期比99.2%)、営業利益36億75百万円(前年同期比111.2%)となりました。また、税引前利益は36億79百万円(前年同期比111.7%)となり、親会社の所有者に帰属する当期利益は23億74百万円(前年同期比143.2%)となりました。
|
〔自動車の国内流通に関連する台数〕 |
単位:台 |
|||
|
国内 |
2018年7月~2019年6月 |
2019年7月~2020年6月 |
前年比 |
|
|
新車 |
|
|
|
|
|
国内メーカー |
*1 |
4,986,398 |
4,384,762 |
87.9% |
|
(うち日産自動車) |
*1 |
(592,778) |
(491,866) |
(83.0%) |
|
海外メーカー |
*2 |
306.612 |
264,809 |
86.4% |
|
新車販売台数合計 |
|
5,293,010 |
4,649,571 |
87.8% |
|
中古車登録台数 |
|
|
|
|
|
登録車 |
*3 |
3,831,487 |
3,746,472 |
97.8% |
|
軽自動車 |
*4 |
3,123,533 |
3,067,767 |
98.2% |
|
中古車登録台数合計 |
|
6,955,020 |
6,814,239 |
98.0% |
|
永久抹消登録台数 |
*3 |
227,682 |
229,924 |
101.0% |
|
輸出 |
2018年7月~2019年6月 |
2019年7月~2020年6月 |
前年比 |
|
|
国内メーカー新車 |
*1 |
4,841,404 |
4,034,610 |
83.3% |
|
中古車(登録車) |
*5 |
1,462,583 |
1,439,123 |
98.4% |
*1 日本自動車工業会統計より算出 *2 日本自動車輸入組合統計より算出 *3 日本自動車販売協会連合会統計より算出
*4 全国軽自動車協会連合会統計より算出 *5 日本自動車販売協会連合会統計の輸出抹消登録台数より試算
|
〔燃料小売価格〕 |
単位:円/L |
|||
|
全国平均 |
|
2018年7月~2019年6月 |
2019年7月~2020年6月 |
前年比 |
|
軽油 |
*6 |
129.9 |
126.5 |
97.4% |
|
レギュラーガソリン |
*6 |
150.0 |
146.1 |
97.4% |
*6 資源エネルギー庁統計より算出 (当社が輸送に使用する燃料は主に軽油)
事業別セグメントの成績
《自動車関連事業》
主幹事業である車両輸送事業は、2019年8月中旬より三菱自動車工業株式会社の完成車輸送を開始したことに加えて、大手中古車専業者に対して積極的な営業活動を展開したことにより売上収益拡大に努めましたが、日産自動車株式会社の販売減少に伴い同社向けの売上収益が減少したことに加えて、第4四半期連結会計期間における新車販売台数減少の影響を受けて車両輸送受託台数も落ち込んだことから、減収となりました。また中古車輸出事業は第4四半期連結会計期間にマレーシアでロックダウンが発令されたことから輸出台数が抑制されましたが、第3四半期連結累計期間まで同国向けが好調に推移した結果、増収となりました。これらの結果、自動車関連事業全体では減収となりました。
車両輸送事業における地域ブロック化の完了を機に協力会社を含めた輸送体制の再編を加速させ、計画的な配車の実現や全国物流網の最適運営を目指すとともに、コスト管理の徹底に取り組んでおります。一方、働きがいのある会社作りと総労働時間の削減に向けた働き方改革の取り組み推進、ドライバー不足に対応するための労務費と採用費用の増加、輸送機材の増車と老朽化対応による車両費の増加という経営課題がある中で、2019年1月より輸送料金改定を実施したことに加えて、実際の耐用年数に合わせるべく輸送機材の減価償却期間を見直したことや燃料費単価が前年同期より下落したことなどにより、自動車関連事業全体は増益となりました。
これらの結果、自動車関連事業全体の売上収益は646億75百万円(前年同期比98.3%)、セグメント利益は54億26百万円(前年同期比110.9%)となりました。
《ヒューマンリソース事業》
景気の回復に伴い労働需給が逼迫している中で、大都市部における採用難と人件費高騰は深刻化していることから、当社グループは大都市部からの地域シフトと地域毎の営業体制強化を推進し、商品ポートフォリオを戦略的かつ継続的に見直してまいりました。第4四半期連結会計期間に雇い止めの影響を受けたものの、第3四半期連結累計期間まで既存事業である送迎請負とドライバー派遣が堅調に推移したことに加え、新規参入した空港ビジネスが売上増加に寄与したことから増収となりました。さらに昨年発生した一過性の求人広告費用がなくなったことに加えて、価格戦略の見直しが奏功して増益となりました。
これらの結果、ヒューマンリソース事業全体の売上収益は186億3百万円(前年同期比100.4%)、セグメント利益は6億50百万円(前年同期比207.6%)となりました。
《一般貨物事業》
運輸・倉庫事業は、第4四半期連結会計期間に一部顧客で荷量が減少したものの、住宅設備関係を取り扱っている顧客において、消費税増税の駆け込み需要があったことから増収となりましたが、港湾荷役事業は、石炭と自動車関連の荷役が減少したことによって減収となりました。一方で、CKD事業が立ち上がっており、売上増加に寄与していることから、一般貨物事業全体は増収となりました。
運輸・倉庫事業は増収に伴い増益となりましたが、港湾荷役事業は減収によって減益となりました。また、CKD事業は立ち上げに関わる費用が引き続き発生しており、一般貨物事業全体では大幅に減益となりました。
これらの結果、一般貨物事業全体の売上収益は62億22百万円(前年同期比104.9%)、セグメント損失は1億88百万円(前年同期は1億50百万円のセグメント利益)となりました。
なお、上記セグメント別損益に含まれていない全社費用(当社の管理部門に係る費用)等は「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 5.セグメント情報」に記載のとおり「調整額」の項目として計上しており、22億12百万円となります。
② 財政状態
当連結会計年度末における資産合計は前連結会計年度末に比べ49億60百万円(12.5%)増加し、445億14百万円となりました。
当連結会計年度末における負債合計は前連結会計年度末に比べ31億38百万円(19.0%)増加し、196億20百万円となりました。
当連結会計年度末における資本合計は前連結会計年度末に比べ18億21百万円(7.9%)増加し、248億94百万円となりました。
③ キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、前連結会計年度末に比べ13億13百万円増加し、47億79百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は、65億38百万円(前連結会計年度は10億33百万円の収入)となりました。
主な資金増加要因は、非資金支出である減価償却費及び償却費43億94百万円、当期利益23億87百万円であり、主な資金減少要因は、法人所得税の支払額12億55百万円、営業債務の減少額6億2百万円であります。
なお、前連結会計年度との比較では、IFRS第16号「リース」の適用等により減価償却費及び償却費が増加しております。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は、20億67百万円(前連結会計年度は24億2百万円の支出)となりました。
支出の主な内訳は、有形固定資産及び投資不動産の取得による支出18億89百万円であります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果使用した資金は、31億57百万円(前連結会計年度は4億38百万円の支出)となりました。
支出の主な内訳は、リース負債の返済による支出32億9百万円、配当金の支払額5億93百万円、長期借入金の返済による支出1億54百万円であります。
なお、前連結会計年度との比較では、IFRS第16号「リース」の適用等によりリース負債の返済による支出(前連結会計年度はファイナンス・リース債務の支払)が増加しております。
④ 生産、受注及び販売の実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
なお、当社グループの取り扱う主要な商品は車両輸送を中心としたサービスであるため、生産及び受注の状況は記載を省略しております。
|
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2019年7月1日 至 2020年6月30日) |
前年同期比(%) |
|
自動車関連事業(百万円) |
64,675 |
98.3 |
|
ヒューマンリソース事業(百万円) |
18,603 |
100.4 |
|
一般貨物事業(百万円) |
6,222 |
104.9 |
|
合計(百万円) |
89,501 |
99.2 |
(注)1.セグメント間の取引については、相殺消去しております。
2.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
|
相手先 |
前連結会計年度 (自 2018年7月1日 至 2019年6月30日) |
当連結会計年度 (自 2019年7月1日 至 2020年6月30日) |
||
|
金額(百万円) |
割合(%) |
金額(百万円) |
割合(%) |
|
|
日産自動車株式会社 |
13,775 |
15.3 |
11,854 |
13.2 |
3.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、「連結財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規則」第93条の規定によりIFRSに準拠して作成しております。この連結財務諸表の作成にあたって、見積りが必要な事項につきましては、合理的な基準に基づき会計上の見積りを行っております。なお、詳細につきましては、「② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容 f.重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定」に記載のとおりであります。
② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
a.経営成績等
1)財政状態
(資産)
流動資産は、前連結会計年度末に比べ9百万円(0.1%)増加し、181億87百万円となりました。
これは主に、営業債権及びその他の債権が6億74百万円減少したものの、現金及び現金同等物が13億13百万円増加したことによります。
非流動資産は、前連結会計年度末に比べ49億50百万円(23.2%)増加し、263億27百万円となりました。
これは主に、その他の金融資産が1億41百万円減少したものの、有形固定資産が使用権資産の増加などにより52億14百万円増加したことによります。
これらの結果資産合計は、前連結会計年度末に比べ49億60百万円(12.5%)増加し、445億14百万円となりました。
(負債)
流動負債は、前連結会計年度末に比べ20億11百万円(16.0%)増加し、145億72百万円となりました。
これは主に、営業債務及びその他の債務が11億円減少したものの、借入金が7億45百万円増加したこと、またその他の金融負債がリース負債の増加などにより21億26百万円増加したことなどによります。
非流動負債は、前連結会計年度末に比べ11億27百万円(28.8%)増加し、50億48百万円となりました。
これは主に、その他の金融負債がリース負債の増加などにより16億29百万円増加したことなどによります。
これらの結果負債合計は、前連結会計年度末に比べ31億38百万円(19.0%)増加し、196億20百万円となりました。
(資本)
資本は、前連結会計年度末に比べ18億21百万円(7.9%)増加し、248億94百万円となりました。
これは主に、利益剰余金が当期利益の計上などにより19億36百万円増加したことによります。
2)経営成績
(売上収益)
売上収益は前連結会計年度に比べて7億26百万円減少し、895億1百万円となりました。自動車関連事業において、車両輸送事業では2019年8月中旬より三菱自動車工業株式会社の完成車輸送を開始したことに加えて、大手中古車専業者向けに積極的に営業活動を展開したことで受託台数が増加いたしましたが、新型コロナウイルス感染症の影響で全方位的に受託台数が下落したことから3億10百万円の減収となりました。自動車周辺事業は主に日産自動車株式会社向けの納車前整備点検の受託台数が下落したことで、9億50百万円の減収となりました。中古車輸出事業は新型コロナウイルス感染症の影響が顕在化するまではマレーシア向けが好調であったことから1億70百万円の増収となりました。ヒューマンリソース事業において、送迎事業は通年契約が中心であり、堅調に推移したことから76百万円の増収となりました。一般貨物事業において、運輸・倉庫事業は消費税増税前の駆け込み需要により荷量が増えたことから30百万円の増収となりました。港湾荷役事業は九州電力向けの石炭荷役が減少したことと、自動車関連の荷役が減少したことから、80百万円の減収となりました。CKD事業は2019年3月から本格的に稼働しておりますが、売上収益が通年寄与したことから3億30百万円の増収となりました。
新型コロナウイルス感染症拡大の影響により、新車販売台数の低迷、車両輸送受託台数の減少、中古車輸出台数の減少、派遣事業での雇い止め等、当社グループの売上収益にも影響が及んでおります。また、景気先行きが不透明であることに起因し、将来的にも当社グループの業績に影響をあたえます。当社グループは、新型コロナウイルス感染症の影響が、2021年6月期の一定期間にわたり継続するものと想定しております。
(売上原価、売上総利益)
売上原価は、車両輸送事業において、輸送ブロック会社の損益が改善したことに加えて燃料費単価が下落したことや輸送機材の減価償却期間を延長したことなどから、前連結会計年度に比べて9億98百万円減少し771億円となりました。この結果、売上総利益は前連結会計年度に比べて2億72百万円増加し124億1百万円となりました。
(販売費及び一般管理費、その他の収益、その他の費用、営業利益)
販売費及び一般管理費は前連結会計年度に比べて1億96百万円減少し91億6百万円、その他の収益は前連結会計年度に比べて1億30百万円減少し4億75百万円、その他の費用は前連結会計年度に比べて31百万円減少し、95百万円となりました。この結果、営業利益は前連結会計年度に比べて3億70百万円増加し36億75百万円となりました。
営業利益率は5%の目標に対して4.1%となりました。輸送ブロック会社の損益改善を進め、また輸送機材の減価償却期間を実態に合わせて延長することなどで、営業利益率向上に努めてまいりましたが、CKD事業の立ち上げに関わる費用が残存したことなどから、目標未達となりました。さらに2021年6月期も新型コロナウイルス感染症の影響が残存することから、営業利益率の業績予想は4.4%としております。
(金融収益、金融費用、持分法による投資損益、税引前利益)
金融収益は前連結会計年度に比べて3百万円増加し17百万円、金融費用は前連結会計年度に比べて12百万円増加し69百万円、持分法による投資損益は前連結会計年度に比べて23百万円増加し56百万円となりました。この結果、税引前利益は前連結会計年度に比べて3億85百万円増加し36億79百万円となりました。
(法人所得税費用、親会社の所有者に帰属する当期利益)
法人所得税費用は前連結会計年度に比べて3億38百万円減少し12億92百万円となりました。非支配持分は前連結会計年度に比べて7百万円増加し12百万円となりました。これらの結果、親会社の所有者に帰属する当期利益は前連結会計年度に比べて7億16百万円増加し23億74百万円となりました。
b.経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
2015年度から2017年度にかけて三ヶ年計画を立案して、三つの成長戦略(車両輸送事業に伴う周辺事業の拡大、人材事業・一般貨物事業の拡大、アセアン事業の推進)と二つの事業基盤の再構築(輸送体制の地域ブロック化の推進、グループシナジーの創出)を掲げて推進してまいりました。三つの成長戦略に関しては、2016年12月に高栄運輸株式会社(現 株式会社ゼロ・プラスBHS)を買収してバイク輸送事業への本格参入、2017年6月に株式会社Aリリーフを商号変更して、空港ビジネスにおける人材派遣事業への新規参入、苅田港海陸運送株式会社にてバイオマス発電の燃料荷役事業への参入決定、日本とタイにおけるCKD事業への新規参入など、種蒔きとその成果が現れてまいりました。
二つの事業基盤の再構築に関しては、まず車両輸送事業において、2015年10月に株式会社ゼロ・プラス九州を商号変更・再編したことを皮切りに輸送体制の地域ブロック化を推進して、2016年7月には株式会社ゼロ・プラス関東を商号変更・再編いたしました。また、2017年4月に株式会社ゼロ・プラス西日本を設立し、10月に株式会社ゼロ・プラス中部を商号変更・再編しました。同時に協力会社6社の事業譲受を行い、11月には株式会社HIZロジスティクスを子会社化して、12月に株式会社ゼロ・プラス東日本と商号変更・再編したことで地域ブロック化が完了いたしました。結果としてゼロ、輸送子会社7社、協力会社6社の合計14社を全国5つのブロックへ再編いたしました。グループシナジーの創出については、類似事業の集約、グループ内インフラの共有化、グループ内における株式会社ジャパン・リリーフの人材リソース利用促進、グループ一丸となった新規事業の開拓を進めてまいりました。
また、2018年度から2020年度にかけて新たな三ヶ年計画を立案して、自動車業界の変化、アセアンの経済成長と訪日外国人の増加、少子高齢化に伴う労働力不足に対応すべく、異業種の自動車業界参入や次世代モビリティを見据えた新規事業の開拓、株式会社ジャパン・リリーフにおける人材事業の拡大、タンチョングループと協業した海外事業の拡大に努めると同時に、物流拠点や輸送戦力の最適化をはじめとする地域ブロック化の効果最大化、グループシナジー創出と効率化の推進をしてまいります。
さらに、車両輸送事業において、積年の課題となっている乗務員の不足と高齢化、輸送機材の老朽化、繁閑差解消への取り組みも進め、働き方改革として総労働時間の管理や労働諸条件の改善を図ってまいります。
2018年度には、株式会社メルカリやKeePer技研株式会社との業務提携を実施して、異業種とのアライアンスを推進しており、また三菱自動車工業株式会社の完成車輸送を全面的に受託することが決定するなど事業領域の拡大を進めております。
c.キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
1)財務戦略の基本的な考え方
当社グループは、今後予想される様々な経営環境の変化に対応し、持続的な成長に伴うリスクに見合った資本水準と負債・資本構成の維持を基本方針としております。安定した財務体質のもと、企業価値の向上のための成長投資と利益還元を両立してまいります。
当社グループの重点戦略として掲げている三つの成長戦略(車両輸送事業に伴う周辺事業の拡大、人材事業・一般貨物事業の拡大、アセアン事業の推進)と二つの事業基盤の再構築(輸送体制の地域ブロック化の推進、グループシナジーの創出)のための投資など、当社グループの成長、企業価値の向上に必要な資金及び経常の運転資金を効率的に確保しております。さらに、グループ会社との間ではCMS(キャッシュ・マネジメント・システム)を導入しており、グループ各社における余剰資金の有効活用に努めております。
2)財務基盤の安定
当社グループの持続的な成長を支え、景気変動の影響にも耐えうるには「財務基盤の安定維持」が前提となります。当社グループのキャッシュ創出力は堅調に推移し、財務基盤は安定しております。今後も、D/Eレシオを0.5倍程度に抑制し、自己資本比率を50%程度に保つことで、当社グループの財務安定性を確保してまいります。
3)安定的な利益還元
当社グループは株主の皆様に対する「安定的な利益還元」を経営方針の一つとし、基本的1株当たり当期利益が80円超の場合の配当性向を25%と設定しております。
4)資金調達
当社グループは現在、自己資金及び金融機関の借入れ等により資金調達することとしています。運転資金について借入れによる資金調達を行う場合、CMSでのグループ内調達を優先的に考え、不足する場合などには、一年以内の短期借入金で各連結会社が外部金融機関より調達することとしております。
生産設備などの長期資金も、CMSでのグループ内調達を先ず考慮し、必要に応じて外部金融機関より長期借入金で調達しております。当社グループは、健全な財務状況、営業活動によりキャッシュ・フローを生み出す能力、金融機関との当座貸越契約などにより必要資金の確保と緊急時の流動性を確保してまいります。
新型コロナウイルス感染症の影響は、2021年6月末までの一定期間にわたり継続するシナリオを想定しております。当社グループは資金計画に基づき、投資時期の適切性を慎重に考慮するとともに、取引金融機関との当座貸越契約などにより十分な資金を確保することで、新型コロナウイルス感染症の影響を受ける期間においても適切に事業を遂行し、計画を実現できるものと考えております。
5)資金需要
当社グループの事業活動における運転資金需要の主なものは、当社グループの輸送事業に関わる車両費、外注費、販売費及び一般管理費等があります。また、当社グループの設備投資需要としましては、営業用車両投資と不動産投資に加え、販売、業務管理・情報処理用の無形資産投資等があります。
6)財務状況
当連結会計年度の財政状態は次のとおりです。
|
|
財務戦略の基本方針 |
経営指標 |
2019年6月期 実績 |
2020年6月期 実績 |
|
|
(a)財務基盤の安定維持 |
D/Eレシオ |
0.16倍 |
0.32倍 |
||
|
自己資本比率 |
58.3% |
55.9% |
|||
|
(b)収益を伴う成長 |
ROE |
7.3% |
9.9% |
||
|
(c)安定的な利益還元 |
配当性向 |
25.0% |
25.0% |
d.経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループは客観的な指標等について、グループ1,000億円の売上収益と5%以上の営業利益率の達成を中長期的な目標としており、2021年6月期には連結売上収益810億円、営業利益36億円、営業利益率4.4%を業績予想としております。当連結会計年度における連結売上収益は895億1百万円であり、営業利益36億75百万円、営業利益率4.1%となりました。引き続き、これらの指標の達成に向けて取り組んでまいります。
e.セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
当連結会計年度のセグメントごとの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容については「(1) 経営成績等の状況の概要 ①業績」に記載のとおりであります。
f.重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
1)有形固定資産、無形資産、使用権資産
当社グループでは、有形固定資産、無形資産及び使用権資産の簿価について、それが回収できなくなる可能性を示す兆候がある場合には、減損テストを実施しております。この判定は、事業用資産についてはグルーピングした各事業単位の将来キャッシュ・フローの見積りに基づいて行っております。経営者は将来キャッシュ・フロー及び回収可能価額の見積りは合理的であると考えておりますが、将来の予測不能な事業上の前提条件の変化によって見積りが変更されることにより、将来キャッシュ・フローや回収可能価額が減少し、減損損失が発生する可能性があります。
新型コロナウイルス感染症拡大による影響は、当社グループの事業活動にも大きな影響を及ぼしています。当社グループは新型コロナウイルス感染症の影響を将来キャッシュ・フロー及び回収可能価額の見積りに反映するにあたり、感染症の影響が2021年6月末までの一定期間にわたり継続するシナリオを想定しております。現在の状況及び入手可能な情報に基づき、合理的と考えられる見積り及び判断を行っておりますが、不確実性の極めて高い環境下にあり、新型コロナウイルス感染症の広がりや収束時期等の見積りには不確実性を伴うため、実際の結果はこれらの見積りと異なる場合があります。
2)貸倒引当金の計上
当社グループの貸倒引当金は、債権の貸倒による損失に備えるため、貸倒懸念債権等特定の債権については個別に回収可能性を勘案し、全期間の予想信用損失と等しい金額で貸倒引当金を認識しております。重大な金融要素を含んでいない営業債権については、信用リスクの当初認識時点からの著しい増加の有無にかかわらず、常に全期間の予想信用損失と等しい金額で貸倒引当金を認識しております。
個別に回収不能見込額を見積るにあたっては、債権を有する相手先の過去の回収実績や支払能力等を総合的に判断しております。
回収不能見込額の見積りには経営者が管理不能な不確実性が含まれており、予測不能な前提条件の変化等により債権の評価が変動する可能性があり、この場合、翌連結会計年度以降の連結財務諸表において貸倒引当金が増減する可能性があります。
また、新型コロナウイルス感染症の拡大による事業環境の悪化による売上債権の貸倒損失に備え、貸倒引当金を適切に見積っております。
(1)日産自動車との車両輸送取引等基本確認書
マネジメント・バイアウト(MBO)直前の2001年4月に、日産自動車と当社間で締結していた各種の契約書に基づく車両輸送等関連業務の取引をMBO後も継続する旨、両者間で確認書を締結いたしました。取引継続対象の主要契約書は次のとおりであります。
|
契約書名 |
契約日 |
業務 |
内容 |
|
車両運送委託契約書 |
1980年4月1日 |
新車輸送 |
日産自動車が販売会社に対し車両を売渡した後の完成車輸送業務 |
|
請負基本契約書 |
1979年10月1日 |
輸出車輸送 |
生産工場から輸出港までの完成車(輸出車)輸送業務 |
|
車両移動作業請負契約書 |
1970年10月1日 |
移動 |
日産自動車在庫車の指定先への移動等業務 |
|
請負基本契約書 |
1971年10月1日 |
構内作業 |
工場構内及び自動車保管場所における車両保管、設備管理、車両品質保持、在庫管理等の包括的業務 |
|
新車納車整備業務委託 |
1998年5月1日 |
新車納車整備 |
新車点検整備作業、洗車・磨き作業、オプション部品取付け作業、その他関連する業務 |
|
車両輸送委託契約書 |
1998年5月1日 |
新車納車整備完了車輸送 |
新車納車整備完了車の納整センターから販売会社までの車両輸送業務 |
(2)日産自動車との覚書
2003年2月から2020年3月まで、日産自動車株式会社との間で「戦略的パートナーシップについての覚書」を締結しておりましたが、2020年4月より内容を受け継ぐ形で「Nomination Letter」へ変更となりました。
特記すべきものはありません。