第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1) 経営方針

 当社グループは、「成長」「信頼・貢献」「やりがい」の経営理念のもと、社会インフラとしての物流ネットワークの提供により持続的な社会の実現に貢献するとともに、国内市場において強力な存在感を持つ総合物流企業へ成長することを目指しております。

(ロジネットジャパン経営理念)

1.成長〜時代を見据えた改革を実行し、いつまでも力強く成長し続けます。

2.信頼・貢献〜総合的な物流ネットワークにより、優れたサービスを提供することで

社会に貢献しお客様の信頼にお応えします。

3.やりがい〜社員のやりがいを引き出し、魅力ある企業グループをつくります。

 

(2) 経営戦略等

 当社グループは、2022年度から2024年度までの3年間を対象期間とする「中期経営計画2022」に取り組んでおります。この中期経営計画においては、2030年度までに連結売上高1,000億円を実現するという長期ビジョンを掲げ、前中期経営計画における課題を踏まえたうえで、社会情勢の変化による経営環境への対応や、ガバナンス体制のさらなる強化、本格的なIR活動の展開、環境リスクへの対応を加えた計画としております。

 

(新商品の開発への取組み)

①「DDロジ」

 「DDロジ」は、ダイレクト(DIRECT) デリバリー(DELIVERY) ロジスティクスの略で、1パレット単位で発注された荷物を、環境配慮型紙パレットを利用し、最終納品先にダイレクトにお届けすることで中間の倉庫入出庫・保管・積み替え・パレットの管理が不要となり、物流コストの削減や配送頻度減による人材不足の解消につながる規格定型輸送サービス商品です。「DDロジ」は、軽量かつリサイクル可能な紙パレットで大量輸送が可能な点から、物流業界が抱える人手不足問題の解消はもとより、企業が取り組むべき最重要課題のひとつであるCO2排出量の削減など、環境にも配慮した新たな輸送商品です。1パレット単位のダイレクト輸送により、商品在庫の縮減、商品廃棄ロスの削減を図り、また、物流情報の一元管理により出荷から納品まで効率的な輸送体制を構築することで、物流業界に改革をおこすことができる輸送サービスです。

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②「さくらボックス」

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(人財投資への取組み)

 

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(中期経営計画2022 基本方針)

経営方針

売上目標 800億円(2025年3月期)

北海道・本州の売上比率を25:75へ拡大する

ガバナンス体制のさらなる強化

本格的なIRの展開

 

投資方針

売上高に応じた車両投資・IT投資の実施

 

人員計画・組織計画方針

生産性拡大に伴う処遇水準の見直し

業務拡大に併せた優秀な人材確保・適正配置

IT化推進による更なる事務効率化・グループ組織スリム化

 

環境経営方針

ESGリスクへの対応

自社輸送能力の強化と効率的な管理体制の構築

 

 「中期経営計画2022」における2025年3月期経営指標の目標

 

2025年3月期目標

売上高

800億円

営業利益

52億円

経常利益

52億円

売上高経常利益率

6.5%

自己資本比率

52.0%

配当性向

20%以上

ROE

12%以上

ROIC

8%以上

 

(3) 経営環境、対処すべき課題等

わが国経済は、政府の総合経済対策や実質賃金の上昇などにより、緩やかな回復基調が期待されるものの、不安定な国際情勢による資源価格の上昇や、円安の継続が懸念されるなど、引き続き不透明な状況が続くものと予想され、物流業界においても、燃料価格の高止まりや、さらなる輸送資材の高騰、2024年問題による影響など解決すべき課題が山積しており、依然として楽観視できない状況となっております。

こうした中、「中期経営計画2022」の最終年度である2025年3月期は、2023年度に引き続き、人財投資を強化する方針とし、2023年度に行った内容と同等レベルの処遇改善をさらに行うことを決定いたしました。2023年度より行っている人財投資は「中期経営計画2022」策定時から社会情勢が大きく変化したことを踏まえて、基本方針では盛り込んでいなかった内容を追加したものであり、大きな投資になりますが、当社グループの長期ビジョンの達成及びさらなる事業拡大への先行投資と位置づけております。

これらの人財投資と合わせて、適正料金の収受を強力に推進するとともに、2023年4月より販売を開始した新輸送商品「DDロジ」の拡販をはじめ、既存荷主の新規案件の掘り起こし、九州エリアをはじめとした取り扱いエリアの拡大により営業収益目標の達成を目指すとともに、引き続き内製化による自社輸送能力の強化とIT化効率化により業務改善効果を創出することで、収益力の強化を実現してまいります。

 

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

 当社は国連が提唱する「持続可能な開発目標(SDGs)」に賛同し、SDGs宣言を発表しております。SDGs宣言の内容は以下の通りです。

 

能力を最大限発揮できる職場環境へ

当社は、『人財』こそ重要な経営資源という基本方針に則り、「ダイバーシティ&インクルージョン」を実践すべく、「働き方改革」、「人財教育」、「健康経営」を推進し、社員が自主自立のチャレンジ精神を持ち働きがいを感じる企業を目指してまいります。
(具体的な取り組み)

・「ホワイト物流」推進運動への参画

・女性管理職の積極的な登用

・ICT活用による業務効率化

・階層別研修の実施

・出産、育児、介護休暇制度

・奨学金返済支援制度

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愛され信頼される企業であるために

当社は、北海道に本社を置く総合物流企業として、これからもお客様や地域とともに発展していけるよう様々な事業活動を通じて、北海道の地域活性化への貢献を進めてまいります。
(具体的な取り組み)

・全国を結ぶ物流ネットワークの構築

・大学との連携事業

・ロジネットジャパンチャリティコンサートの開催

・ミネラルウォーター事業による地域資源の活用

・地域拠点における地元人材の積極採用

・社会貢献基金による育英事業と福祉助成事業

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徹底した輸送品質向上への取り組み

当社は、社会から信頼される企業となるため法令順守を徹底し、「安全、迅速、確実」に荷物をお届けするという運送事業の公的使命を果たすべく、日々、安全と輸送品質の確保にたゆまぬ尽力をしてまいります。

(具体的な取り組み)

・「安全・輸送品質確保方針」の策定

・運行管理、品質管理委員会を通じたPDCAサイクルによる改善チェック

・BCPの策定

・商品特性に合わせた荷扱い、運搬方法のマニュアル化

・安全性優良事業所認定(Gマーク)の取得

・デジタコによる安全項目の監視、ドライバーの安全大会実施

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環境配慮への取り組み

当社は、カーボンニュートラル・気候変動への対応が企業責務であると捉え、気候変動への緩和と適応、自然環境保護に対するあらゆる取り組みへの推進を加速させ、地球環境の保全に積極的に取り組んでまいります。
(具体的な取り組み)

・長距離幹線輸送サービス「R&R」をはじめとした輸送効率化の実現とモーダルシフトの推進

・各拠点における設備の省エネ推進と再エネ活用

・環境対応車の導入促進、デジタコによるエコドライブの監視

・廃棄物分別の徹底とリサイクルの推進

・ICT活用によるペーパーレス化への取組

 

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 また、当社は環境に配慮した取り組みとして、新輸送商品「DDロジ」を開発し、2023年4月より販売を開始いたしました。この商品は環境配慮型紙パレットを利用し、最終納品先にダイレクトにお届けをすることで、中間の倉庫入出庫・保管・積み替えが不要となり、配送頻度減による人材不足の解消、CO2の大幅削減などSDGsの方針に沿った新しい輸送サービスとなっております。さらに、段ボール素材のボックスに家財を入れ、荷造梱包と集荷の作業分離を行う単身引越向けの新ツール「さくらボックス」を開発するなど、環境に配慮した輸送サービスの提供に取り組んでおります。

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(1)ガバナンス

 当社グループのサステナビリティに関するガバナンスはコーポレート・ガバナンスに組み込まれており、主に取締役会、グループ経営会議、内部統制委員会等によって検証・決定しております。詳細は、「第4 提出会社の状況 4 コーポレート・ガバナンスの状況等(1)コーポレート・ガバナンスの概要 ②企業統治の体制の概要及び当該体制を採用する理由」に記載の通りであります。

 

(2)リスク管理

 当社グループは、経営成績及び財政状態に重要な影響を及ぼす可能性のあるリスクを事業環境に係るリスクと事業運営に係るリスクに識別しており、サステナビリティに関するリスクについて、同様に識別しております。詳細は、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載の通りであります。また、リスク管理体制については、「(1)ガバナンス」に記載の通りであります。

 

(3)人財の育成及び社内環境整備方針

 当社グループは「中期経営計画2022」基本方針において、「生産性拡大に伴う処遇水準の見直し」及び「業務拡大に併せた優秀な人材確保・適正配置」を掲げ、人財の育成・確保及び社内環境の整備に取り組んでいます。多様な社員が自主・自立のチャレンジ精神を持ち、働きがいを持って活躍するための人財教育と、社員が安心して仕事に集中し能力を最大限発揮できる職場環境づくりを進めています。

 

①人財育成

 当社グループでは、階層別研修の実施や職務内容に応じた資格取得を奨励し、自主・自立のチャレンジ精神を持った人財の育成に取り組んでいます。特に新入社員に対しては、1年以内の複数回の研修を実施し、キャリア構築の基盤を固めることを重視しています。また、社員個人の成長や円滑な業務遂行に向けて、各種資格取得者に対し受験費用や教材費等の補助を実施しています。

 

 

<新入社員から入社3年目までの研修体系>

入社年数

実施研修

主な研修プログラム

1年目

・新入社員研修

・新入社員上期フォローアップ研修

・新入社員下期フォローアップ研修

・実務基礎、コンプライアンス、コミュニケーション

・管理実務、現場見学、業務改善

・現業実務、思考力トレーニング、役員講話

2年目

・若手社員研修(2年目)

・コンプライアンス、業務改善、コミュニケーションスキル

3年目

・若手社員研修(3年目)

・コンプライアンス、輸送実務、業務改善

 

②女性活躍推進

 当社グループでは、男性女性に関わらず活躍できる取り組みとして、女性管理職の積極的な登用を進めています。「管理職に占める女性従業員の割合」の実績(当社)は29.4%ですが、うち49歳以下では女性従業員の割合が比較的高くなっています。

[ 合計人数 ] 管理職51名中、女性従業員15名(29.4%)

[うち49歳以下] 管理職24名中、女性従業員11名(45.8%)

 

③処遇水準の見直し

 当社グループは当連結会計年度を「人財投資の年」とし、当社において、新卒初任給の増額と在籍社員給与の段階的引き上げ、グループ各社においても賃金水準の引き上げを実施しており、翌連結会計年度も当連結会計年度と同等レベルの処遇改善の実施を予定しております。また、社員一人ひとりが性別や年齢に関係なく、いかんなく能力を発揮し、業績や生産性向上などへの成果に応じて、賞与や人事登用で報いる賃金体系としており、60歳以降の社員についても、60歳到達前の賃金水準を維持できる賃金体系を導入しています。

 

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(注)2023年度までは諸手当を含む。2024年度から諸手当を含まない。

 

④職場環境整備

 当社グループは年齢や性別に関係なく、社員各々の能力を最大限発揮できる闊達な企業風土であり、「能力を最大限発揮できる職場環境づくり」のため、社員が安心して仕事に取り組めるよう、独自の福利厚生制度を導入しています。

 

制度

内容

育児休業期間中の給与支給

育児休業前の給与(手取収入満額相当)を支給する制度。安心して育児休業を取得し、職場復帰に向けて環境を整えることを目的としています。

事業所内保育施設の設置

「さくらスマイル保育園」を設置(札幌市)しています。グループ社員だけではなく地域の一般のみなさまも利用が可能です。

奨学金全額返済支援制度

月々の奨学金返済額について、金額・年数に制限を設けず、完済するまでの全額を「奨学金返済手当」として給与で支給する制度で、社員は会社への返済が不要です。

育児短時間勤務

子の対象年齢を「小学校3年を終了するまで(育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律上は3歳まで)」とし、仕事と育児の両立に向けて、働き方を柔軟に選択できるようにしています。

転勤者帰省旅費補助制度

転勤により実家のあるエリアを離れて生活する社員や社員の同居家族が、実家に帰省する費用を、年2回まで全額支給する制度です。

一時帰省往復交通費支給制度

単身赴任者の一時帰省、または配偶者が単身赴任先に赴く際の往復交通費を年6回まで全額支給する制度です。

厚生資金貸付制度

自動車等の購入費用や教育資金等を会社が社員に対して、低利で融資する社内貸付制度です。

従業員持株会制度

毎月の給与や賞与の一定額から当社株式を購入する制度で、会社が購入費用の一部を奨励金として補助しています。

 

以上の処遇水準の見直しや職場環境整備などの「人材投資」を進めた結果、近年の新卒社員の入社後3年以内の離職率は産業別平均(厚生労働省調査)より低位に推移しています。

 

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(注)当社は4月入社の新卒社員、厚生労働省調査は同年3月の新規大卒者)

 

(4)人財の育成及び社内環境整備方針に関する指標ならびに目標及び実績

①運行管理者数

 当社グループでは、事業用車両の安全運行を確保するため、社員の運行管理者資格の取得を計画的に進めており、特に新入社員には入社後早期の資格取得を奨励しています。

 

2023年度実績

2024年度目標

(名)

資格保有人数

452

470

 

②女性従業員の育児休業取得後の復職率

 当社グループでは、育児休業期間中の給与支給や育児短時間勤務の利用を子が小学校3年生まで認めるなど、社員の育児支援を積極的にサポートしており、育児休業取得後の復職率100%維持に取り組んでいます。

 

2023年度実績

2024年度以降の目標(%)

復職率

100.0

100.0

 

 

3【事業等のリスク】

当社グループの経営成績及び財政状態に重大な影響を及ぼす可能性のあるリスクには以下のようなものがあります。なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1) 事業環境に係るリスク

① 業者間競争の激化

国内企業の国内での生産量の減少及び生産拠点の海外シフト等の要因で国内貨物の輸送需要は減少を続けているため、業者間競争はますます熾烈化しています。このような状況のなか、当社グループは質の高い輸送サービスの開発、提供により他社と差別化するよう努めておりますが、今後、さらに業者間競争が激化し、顧客企業からの収受料金の低下が進む場合には、当社グループの業績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 

② 法規制

当社グループは、主として貨物自動車運送事業法及び貨物利用運送事業法に基づき事業を行っており、付帯業務を含めて関連する法令による規制を受けております。当社グループは、コンプライアンス経営を標榜し、全役職員に法令等の遵守を徹底するために、規程の整備及び周知徹底を図っております。現状、許認可等が取消しとなる事由等は発生しておりませんが、今後、許認可等の取消しや事業停止等の処分を受けた場合には、当社グループの業績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

また、法令改正により営業活動等の一部が制限された場合、営業収益の減少及び営業費用の増加等により、当社グループの業績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 

主要な許認可等の概要は以下のとおりであります。

許認可等の名称

法律名

監督官庁

有効期限

取消事由

一般貨物自動車運送事業

貨物自動車運送事業法

国土交通省

なし

同法第33条

第一種貨物利用運送事業

貨物利用運送事業法

国土交通省

なし

同法第16条

第二種貨物利用運送事業

貨物利用運送事業法

国土交通省

なし

同法第33条

倉庫業

倉庫業法

国土交通省

なし

同法第21条

 

③ 自然災害及び異常気象の発生

気候変動によりもたらされる自然災害は近年その規模や頻度を増しています。当社グループは、顧客企業の運送ニーズに応えるために、トラック、鉄道、船舶等、多岐にわたる輸送手段を有しておりますが、震災をはじめ大雪、集中豪雨等の自然災害による輸送障害が発生した場合、代替手段による輸送を実施したとしても、営業収益が減少し、当社グループの業績及び財政状況に影響を与える可能性があります。

また、当社グループの輸送する商品には、一次産品、飲料水等、輸送需要が天候に左右されるものを含んでおり、冷夏、少雨等の異常気象が発生した場合、当社グループの営業収益が減少し、当社グループの業績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 

④ 原油価格の高騰

当社グループは貨物自動車運送事業を展開しており、原油価格の上昇により、燃油費、船舶利用費、航空利用費等の運送原価が増加する可能性があります。当社グループ各社がそれぞれの立場で費用削減に取り組みますが、これら費用増の相当分を収受料金に転嫁できない場合、当社グループの業績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 

⑤ 仕入価格の上昇

当社グループは、総合物流企業として船舶・鉄道・航空等様々な輸送モードを使用しております。またトラック輸送に関しても協力先との連携によりネットワークを構築しております。これらの仕入・協力先に対しては、安定稼働に向けた関係強化や運用改善などを図っておりますが、当社グループの想定以上に仕入環境が悪化した場合、もしくは仕入れコストの増加分を収受料金に転嫁できない場合、当社グループの業績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 

(2)事業運営に係るリスク

① 顧客情報の流出

当社グループは、貨物運送、引越、旅行事業等を行っており、これら事業の特性上、個人情報を含め多くの顧客情報を取り扱っております。当社グループは「コンプライアンス規程」「個人情報保護規程」「情報セキュリティ規程」を制定し、全社員に対して社内教育を行うなど、顧客情報、個人情報の適正な管理に努めております。しかしながら、今後、当社グループの想定を超えるサイバー攻撃などにより、顧客情報等の流出が発生した場合、当社グループの業績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 

② 情報システム及び情報セキュリティの障害

当社グループでは、情報通信ネットワークの拡大と利便性の向上を背景に、グループ一体としてIT戦略の立案と実施を推進しております。万が一、当社の情報機器・システムに重大な障害が発生した場合には、当社グループの業績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 

③ 重大な交通事故・労災事故

当社グループは、貨物運送を中心に道路運送事業を行っております。事業活動にあたり、人命の尊重を最優先とした安全運転対策に努めておりますが、重大交通事故を発生させてしまった場合は、社会的信用が低下するとともに、重大交通事故を発生させた事業者として、事業所の営業停止や事業許可の取消し等が行われるような事態となった場合には、当社グループの業績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

また、社員等の労働安全を損なう重大な労災事故を発生させてしまった場合も、当社グループの業績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 

④ 環境規制

当社グループは、事業を行うにあたり多数の車両を使用しており、排出ガス規制等の環境関連法令の適用を受けております。気候変動による環境問題への関心が高まる中、当社グループは低公害車の導入やエコドライブの推進等、温室効果ガスの排出削減に向けた環境対策を自主的に進めておりますが、当社の想定を上回る環境規制が実施された場合、当社グループの業績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 

⑤ ドライバー不足

当社グループは、多数のトラック・軽貨物ドライバーを雇用しております。運送業界ではドライバー不足が慢性化している中、当社グループにおいてはドライバーの採用及び定着強化に向けた諸制度の充実化を進めたことにより、現在は適正な輸送体制が構築されておりますが、今後の事業展開において必要な自社ドライバーを確保できない場合、物流サービスの供給力が低下する可能性や、集配業務の他社委託が増加した場合には、これに伴う外部委託費用の増加等により、当社グループの業績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 

⑥大口取引先の取引変動

 当社グループは、地域別の将来を見据えた事業展開やEC事業の拡販など、魅力的なサービスの開発・提供をすすめることで、販売先の多様化に努めるとともに、大口取引先に対しては良好な信頼関係を構築してまいりました。現時点においては、大口取引先との関係は良好に推移しておりますが、予期せぬ事象による取引契約の変更、契約解消等が生じた場合には、当社グループの業績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 

⑦ 新たな感染症の流行

当社グループでは、物流は我が国の日常生活を維持するための重要な社会インフラであると認識し、物流事業を継続することが当社グループの重要課題であると捉えております。当社グループでは、新たな感染症が流行した場合、衛生管理の徹底や時差出勤・在宅勤務の拡大、ワクチン接種のための柔軟な就業時間の調整など、従業員の安全と健康を確保するための感染防止策を講じますが、感染症の流行により経済が停滞した場合や、当社グループの事業所において集中感染が確認され、物流が停止した場合は、当社グループの業績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

①財政状態の状況

当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末から4億7百万円減少し、350億41百万円となりました。この主な要因は、現金及び預金を借入金の減少に充当したものであります。

当連結会計年度末の負債は、前連結会計年度末から12億27百万円減少し、152億26百万円となりました。この主な要因は、総資産の増減と同様に現金及び預金を借入金の減少に充当したものであります。

これらの結果、純資産から非支配株主持分を控除した後の自己資本比率は、前年同期の52.9%から2.9ポイント上昇し55.8%となりました。

 

②経営成績の状況

当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症による影響が緩和され、経済活動の正常化が進んだものの、不安定な国際情勢や円安を背景に、燃料価格の高止まりや輸送資材の仕入れ単価の高騰を中心にコスト負担が引き続き増加していることに加え、長期化する物価の上昇による消費の伸び悩みに起因する物量の減少により、依然として厳しい状況が続いております。

このような状況のもと、当社グループは2022年度から2024年度までの3年間を対象期間とする「中期経営計画2022」に基づき、2023年4月より販売を開始した新輸送商品「DDロジ」の展開をはじめ、さくらスマイル引越事業の拡販やEC事業の拡大、九州エリアをはじめとした取り扱いエリアの拡大や料金改定の取り組みにより営業収益目標の達成を目指すとともに、業務のIT化及び、車両適正配置など輸送体制の見直しによる生産性の向上に取り組んでまいりました。

また、当社グループ各社において、社員が能力を十分に発揮できるよう、職場環境、社内制度の整備に力を入れております。2018年度から3年かけて行った所定労働時間の1時間短縮や、2021年度より導入した会社が奨学金返済を引き受ける、奨学金返済支援制度などにより、社員が生活基盤を安定させ、業務に専念できる環境づくりを行ってきましたが、様々な物価が高騰する昨今の情勢や、2024年問題による人手不足が懸念される状況であることを踏まえ、「中期経営計画2022」の当初基本方針をさらに強化する内容として、2023年4月より、事業拡大を見据えたさらなる人財投資としてグループ人件費の約10%相当にあたる施策を計画し、優秀な人財確保のための大卒初任給引き上げ(約15%増)や、社員の経済的負担軽減及び採用強化のための大幅な処遇改善を行っております。中でも、ドライバーについては、安定した輸送体制を構築する目的で最大15%程度の処遇改善を行ってまいりました。これにより必要なドライバーは十分確保できていると判断しております。

 

当連結会計年度の連結業績は、以下の通りです。

 

前連結会計年度

当連結会計年度

増減

増減率

(%)

営業収益(百万円)

72,860

74,075

1,214

1.7

営業利益(百万円)

3,762

3,158

△603

△16.0

経常利益(百万円)

3,795

3,171

△623

△16.4

親会社株主に帰属する当期純利益(百万円)

2,555

1,943

△612

△24.0

 

当連結会計年度の営業収益は、物価上昇による消費マインドの低下などに起因する物量減の影響があったものの、大手取引先の取り扱い数量の増加や料金改定などにより、前年同期比12億14百万円増(+1.7%)の740億75百万円となりました。一方、営業利益は、増収による利益効果はあったものの、2023年4月より行っているグループ従業員の処遇改善による人件費の増加及び、その他既存取引先の物量減影響などにより、前年同期比6億3百万円減(△16.0%)の31億58百万円、経常利益は前年同期比6億23百万円減(△16.4%)の31億71百万円、親会社株主に帰属する当期純利益は前年同期比6億12百万円減(△24.0%)の19億43百万円となりました。

 

 

地域別セグメントの経営成績は次のとおりです。

 

<北海道地区>

 

前連結会計年度

当連結会計年度

増減

増減率

(%)

営業収益(百万円)

20,654

20,994

339

1.6

セグメント利益(百万円)

706

485

△221

△31.3

 

<東日本地区>

 

前連結会計年度

当連結会計年度

増減

増減率

(%)

営業収益(百万円)

34,204

33,260

△943

△2.8

セグメント利益(百万円)

2,179

1,727

△452

△20.7

 

<西日本地区>

 

前連結会計年度

当連結会計年度

増減

増減率

(%)

営業収益(百万円)

15,278

16,379

1,100

7.2

セグメント利益(百万円)

659

631

△28

△4.3

 

③キャッシュ・フローの状況

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度において、営業活動により獲得した資金は、34億53百万円(前年同期は50億3百万円の収入)となりました。主な要因は税金等調整前当期純利益30億68百万円によるものであります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度において、投資活動により支出した資金は、18億30百万円(前年同期は11億59百万円の支出)となりました。主な要因は、ニーズに合わせた専用車両の取得や車両の代替えの推進にともなう有形固定資産の取得による支出14億47百万円であります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度において、財務活動により支出した資金は、28億69百万円(前年同期は29億46百万円の支出)となりました。主な要因は、借入金の返済と自己株式の取得によるものであります。

 

以上の結果、現金及び現金同等物の期末残高は前期末から12億45百万円減少し、2億72百万円となりました。

 

④生産、受注及び販売の状況

1.当社グループは、物流事業を中核とするサービスの提供が主要な事業であるため、生産及び受注の状況については

  記載を省略しております。

 

2.当連結会計年度における地域セグメントごとの販売の状況は、次のとおりであります。

セグメントの名称

販売高(百万円)

前年同期比(%)

北海道

20,994

+1.6

東日本

33,260

△2.8

西日本

16,379

+7.2

その他

3,440

+26.3

合計

74,075

+1.7

   (注)セグメント間取引については、相殺消去しております。

 

3.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりでありま

  す。

相手先

前連結会計年度

(自 2022年4月1日

至 2023年3月31日

当連結会計年度

(自 2023年4月1日

至 2024年3月31日

金額(百万円)

割合(%)

金額(百万円)

割合(%)

アマゾンジャパン合同会社

15,538

21.3

17,988

24.3

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討結果は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

①重要な会計方針及び見積り

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたり、基礎となる見積り及び予測を過去の実績や状況に応じ合理的と判断される入手可能な情報により継続的に検証し、意思決定を行っております。そのため、実際の結果は見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。

なお、連結財務諸表の作成のための重要な会計基準等は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載のとおりであります。

 

②経営成績に重要な影響を与える要因

当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載のとおりであります。

 

③資本の財源、資金の流動性に係る情報

当社グループは、主として営業活動から得られるキャッシュ・フロー及び金融機関からの借入を資金の源泉としております。短期的な運転資金需要につきましては、営業活動から得られるキャッシュ・フロー及び金融機関からの短期借入金等により賄っております。設備投資などの長期的な資金需要につきましては、資金需要が発生した時点で、自己資金のほか、金融機関からの長期借入金等、金利コストの最小化を図れるような調達方法を検討し対応しております。また、当社グループにおいてCMS(キャッシュ・マネジメント・システム)を導入することにより、各社における余剰資金を当社へ集中し、一元管理を行うことで資金効率の向上を図っております。

 

④経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

当社グループの経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等につきましては、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおりであります。

 

(3) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたり、会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。

当社グループは、連結財務諸表を作成するにあたり、繰延税金資産の回収可能性、固定資産の減損、貸倒引当金、退職給付に係る負債、資産除去債務などに関して、過去の実績等を勘案し、合理的と考えられる見積り及び判断を行っておりますが、実際の結果は見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。このうち、当連結会計年度において、特に重要なものは次のとおりであります。

 

 

(固定資産の減損)

当社グループは全国で90ヵ所の支店及び営業所を展開しており、これらの支店及び営業所の有形固定資産として15,997百万円を保有しております。固定資産の減損においては、所在が同一の複数の連結子会社の支店及び営業所を束ねて一つの資産グループとしております。また営業損益の算定に当たっては外部荷主から収受した運送料を当該貨物の運送に関わった複数の支店及び営業所に配分しております。

営業損益の継続的なマイナスや市場価格の大幅下落等、減損の兆候が認められる資産グループについて、合理的な仮定に基づき将来キャッシュ・フローを見積り、当該資産グループの帳簿価額と比較して減損の認識を判定のうえ、回収不能と判断した場合には、当該資産グループの帳簿価額を回収可能額まで減額し、当該減少額を減損損失に計上しております。

 当連結会計年度において、これらの有形固定資産の減損認識判定を行った結果、全て回収可能であると判断いたしました。

 

5【経営上の重要な契約等】

 該当事項はありません。

 

 

6【研究開発活動】

特記すべき事項はありません。