第2【事業の状況】

1【業績等の概要】

(1) 業績

 

前連結会計年度

(自 平成26年4月1日

至 平成27年3月31日)

当連結会計年度

(自 平成27年4月1日

至 平成28年3月31日)

増減額 /  増減率

売上高     (億円)

18,170

17,122

△1,048 /  △5.8%

営業利益    (億円)

172

23

△149 / △86.5%

経常利益    (億円)

513

362

△150 / △29.3%

親会社株主に帰属する
当期純損益   (億円)

423

△1,704

△2,128 /     - %

 

為替レート

\108.34/US$

\120.62/US$

\12.28/US$

船舶燃料油価格 ※

US$503/MT

US$265/MT

△US$238/MT

 

※平均補油価格

当期における世界経済は、米国やユーロ圏等の先進国では概ね緩やかな回復が続きましたが、インド等の一部を除き、新興国の多くは減速傾向を辿りました。米国では、昨年後半より一部減速の兆しも見られましたが、雇用や所得環境の改善を背景とした堅調な個人消費等に支えられ、期を通しては緩やかな回復基調を持続しました。欧州では、足元で輸出が弱含む傾向が見られるものの、堅調な個人消費や冬場の建設投資増加等を背景に、景気は緩やかな回復基調を辿りました。中国では、個人消費が比較的堅調な伸びを示しつつも、期初より続いた固定資産投資の鈍化や輸出の不振等により、景気減速傾向が続きました。わが国では、7-9月期に一旦プラス成長に転じたものの、輸出や個人消費の伸び悩み等により10-12月期には再びマイナス成長となり、景気回復の足踏み状態が続きました。

 

 海運市況のうち、ドライバルク船市況は、中国による鉄鉱石輸入の伸びの減退や石炭輸入の減少等により、低調に推移しました。夏場に一旦上昇したケープサイズ市況も、その後は中国の景気減速傾向と市況センチメントの悪化等から下落基調を辿り、冬場には全船型で記録的な低水準に下落しました。一方、原油船については、原油安による実需の伸びや中国における戦略備蓄需要の増加を背景に、季節的な変動を経つつも、当期の平均市況は前期の水準を上回りました。コンテナ船市況は、アジア発欧州・南米向けを中心とした荷動きの低迷と大型船の竣工等の影響により、各航路とも極めて低調に推移しました。

 

 当期の対ドル平均為替レートは、前期比\12.28/US$円安の\120.62/US$となりました。また、当期の船舶燃料油価格平均は、前期比US$238/MT下落しUS$265/MTとなりました。

 

 以上の結果、当期の業績につきましては、売上高1兆7,122億円、営業利益23億円、経常利益362億円となりました。親会社株主に帰属する当期純損益は、第4四半期連結会計期間において構造改革費用を計上したこと等により、△1,704億円となりました。

 

 セグメント毎の売上高、セグメント損益(経常損益)及び概況は次のとおりです。

上段が売上高(億円)、下段がセグメント損益(経常損益)(億円)

セグメントの名称

前連結会計年度

(自 平成26年4月1日

至 平成27年3月31日)

当連結会計年度

(自 平成27年4月1日

至 平成28年3月31日)

増減額 /  増減率

不定期専用船事業

8,578

8,391

△186 /  △2.2%

541

548

7 /    1.4%

コンテナ船事業

7,891

7,211

△679 /  △8.6%

△241

△298

△56 /     - %

フェリー・内航事業

563

498

△64 / △11.5%

44

44

△0 /  △0.8%

関連事業

1,481

1,269

△211 / △14.3%

109

101

△7 /  △6.9%

その他

142

133

△9 /  △6.3%

41

35

△6 / △15.2%

 (注)売上高にはセグメント間の内部売上高又は振替高が含まれております。

 

① 不定期専用船事業

<ドライバルク船>

ケープサイズ市況は、6月中頃まで平均5千ドル台/日と低調に推移しましたが、年初より解撤が進む中、遠距離ソースであるブラジル出し鉄鉱石出荷量も6月以降伸びたことから上昇に転じ、8月には2万ドル台/日まで回復しました。しかし、その後は中国の景気減速傾向が続いたことに加え、鉄鉱石等のコモディティ市況やFFA(運賃先物取引)の低迷を背景とするセンチメントの悪化もあり、通期平均では7千ドル台/日と厳しい市況環境となりました。パナマックス船型以下の中小型船についても、新造船の供給圧力が根強い中、中国の景気減速に伴う石炭輸入量の減少等もあり船腹余剰感が解消されず、市況は低調に推移しました。

このような市況環境下、ドライバルク船部門は、鉄鋼原料船、木材チップ船、電力炭船等の長期固定型運賃契約により一定の利益を確保したことに加え、運航効率改善やコスト削減にも引き続き努めたものの、前期比で損益は大幅に悪化し、当期において損失を計上しました。

 

<油送船・LNG船>

原油船市況は、原油安による実需の伸びや中国における戦略備蓄需要の増加により海上輸送需要が活発となり、7月末まで高水準で推移しました。その後夏場の不需要期の影響等により一旦下落したものの、10月以降、冬場の需要期を迎えたことで再び上昇しました。この結果、当期の平均市況は前期の水準を上回りました。石油製品船市況は、原油安や中東における製油所の生産拡張に加え、北米ドライブシーズンにおけるガソリン需要増加等により船腹需給が引き締まり、夏場までは堅調に推移しました。秋口以降、アジア域の一部製油所が冬場の生産に備えた定期修繕に入ったこと、ナイジェリアの輸入補助金削減に伴う石油製品輸入の減少、暖冬による灯油需要の減退といった理由により、市況は軟化しましたが、通期平均では前期を上回る水準で推移しました。

このような市況環境下、油送船部門は、プール運航による運航効率改善やコスト削減にも継続して努めた結果、前期比で大幅な増益となりました。

LNG船市況は、新規プロジェクトの立ち上がりにより海上荷動きが微増となったものの、依然として新造船の供給圧力が強く、総じて低調に推移しました。このような市況下においても、LNG船部門では長期輸送契約による安定収益を引き続き確保し、前期比で増益となりました。

 

<自動車船>

自動車船部門については、好調な経済が続く米国向けの完成車輸送が堅調に推移しました。一方、原油価格下落等により経済不振に陥った一部資源国・新興国向けの輸送が落ち込んだ結果、トレードパターンの変化に対応した運航効率改善に取り組んだものの、前期比で減益となりました。

② コンテナ船事業

北米航路においては、アジアからの荷動きに関しては総じて堅調に推移したものの、船腹供給の増により需給バランスが緩み、運賃市況は西岸、東岸向けとも大きく下落しました。欧州航路においては、アジアからの荷動きが大きく低迷、減便による供給スペースの削減に努めたものの需給ギャップは縮まらず、運賃市況は期を通して記録的な安値水準にて推移しました。南米航路においては、アジアから南米東岸向けの荷動きがブラジルの景気後退等により急減、運賃市況は欧州向け同様記録的な安値水準にて推移しました。アジア域内航路においても荷動きは伸び悩み、運賃市況は低迷しました。このような事業環境下、各航路において様々な合理化策を実施し運航コスト及び供給スペースの削減に努めましたが、前期比で損失が拡大しました。

 

③ フェリー・内航事業

 フェリー事業においては、商船三井フェリー㈱の大洗~苫小牧航路就航船が、昨年7月末に発生した車輛甲板火災事故からの復旧工事の為休航していた影響で、旅客及び貨物輸送量が減少しました。その他の航路については、旅客、貨物輸送量共に堅調に推移しました。内航事業においては、在庫調整が続いていることなどの影響で鋼材の輸送量が軟調に推移しました。その結果、フェリー・内航事業全体では、前期比では減収となったものの、燃料油価格の低下等にも支えられ、前期とほぼ同水準の利益を確保しました。

 

④ 関連事業

 客船事業では、にっぽん丸において堅調な集客を続け、損益を改善させました。不動産事業においては、首都圏を中心に堅調な賃貸オフィスマーケットに支えられ、当社グループの不動産事業の中核であるダイビル㈱は安定的な売上を維持しましたが、昨年3月に竣工した新ダイビルに関する一時費用の増加等により、前期比で減益となりました。燃料油価格下落により商社事業の売上が減少、また、一部の土木事業において採算が悪化した一方、曳船等の業績は総じて堅調に推移しました。これらの結果、関連事業セグメント全体では前期比で減益となりました。

 

⑤ その他

 主にコストセンターであるその他の事業には、船舶運航業、船舶管理業、貸船業、金融業、造船業などがありますが、前期比では減益となりました。

 

(2) キャッシュ・フロー

  当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ306億円増加し、1,594億円となりました。

当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

  営業活動によって得られた資金は2,091億円(前年同期比1,166億円の収入増)となりました。これは主に税金等調整前当期純損失が1,543億円となった一方、減価償却費が927億円、構造改革費用が1,792億円、売上債権の減少額が474億円となったことによるものであります

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー

  投資活動によって支出された資金は266億円(前年同期比1,324億円の支出減)となりました。これは主に船舶を中心とした有形及び無形固定資産の取得による支出が1,238億円、長期貸付による支出が329億円となった一方、有形及び無形固定資産の売却による収入が692億円、長期貸付金の回収による収入が493億円となったことによるものであります

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

  財務活動によって支出された資金は1,487億円(前年同期は65億円の収入)となりました。これは主に長期借入金の返済による支出が1,525億円、短期借入金の純減額が400億円、社債の償還による支出が156億円となった一方、長期借入れによる収入が808億円となったことによるものであります

2【生産、受注及び販売の状況】

 当社グループ(当社及び連結子会社。以下同じ。)は「第1 企業の概況 3.事業の内容」に記載したとおり、5つの事業区分からなり、提供するサービス内容も、多種多様であります。従って、受注の形態、内容も各社毎に異なっているため、それらをセグメント毎に金額、数量で示しておりません。

(1) セグメントの売上高

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 平成27年4月1日

至 平成28年3月31日)

金額(百万円)

前年同期比(%)

不定期専用船事業

839,143

97.8

コンテナ船事業

721,134

91.4

フェリー・内航事業

49,806

88.5

関連事業

126,978

85.7

その他

13,308

93.7

      計

1,750,372

93.8

     調整額

(38,150)

     合 計

1,712,222

94.2

(注)記載金額には消費税等は含まれておりません。

 

(2) 前事業年度及び当事業年度の営業実績(提出会社)

  部門別営業収益及び構成比

部門

前事業年度

(自 平成26年4月1日

至 平成27年3月31日)

当事業年度

(自 平成27年4月1日

至 平成28年3月31日)

金額(百万円)

構成比(%)

金額(百万円)

構成比(%)

海運業

 

 

 

 

不定期専用船部門

466,600

36.5

429,751

35.8

油送船/LNG船部門

137,466

10.8

160,663

13.4

定期船部門

663,491

52.0

601,853

50.1

その他

7,309

0.6

7,139

0.6

その他事業

1,101

0.1

1,111

0.1

1,275,969

100.0

1,200,518

100.0

(注)記載金額には消費税等は含まれておりません。

 

3【対処すべき課題】

当社は平成26年4月に開始した3ヵ年中期経営計画「STEER FOR 2020」(以下、SF2020)に基づき①事業ポートフォリオの変革、②事業モデルの変革、③事業領域の変革の3つの変革を進めてきました。しかしながら、原油安・資源価格安・中国経済の成長鈍化といった外部環境の大幅な変化により平成27年度の利益計画を達成することが極めて困難となったため、平成28年1月末に構造改革を実行することを決定しました。

平成28年度はSF2020に代えて単年度経営計画として以下の施策を実行してまいります。

 

①構造改革の完遂

SF2020では長期契約に基づく安定利益を積み上げる一方、市況のエクスポージャー(傭船マーケットでのフリー運航ビジネス)の縮減を図ってきましたが、ドライバルク船市況とコンテナ船運賃市況が歴史的低水準で推移し、当社の業績に大きく影響しました。

これを受け、構造改革として、ドライバルク船事業については中小型バルカーに関するビジネスモデルの抜本的な見直しとケープサイズバルカーの船隊規模縮小を、コンテナ船事業については事業資産の減損等を決定しました。平成28年度は余剰船腹の早期売船及び早期返船を確実に実行してまいります。

 

②今後の成長戦略の基盤構築

中期的な環境の変化に合わせたビジネスモデルの創出に向けて、将来へ向けた事業の種蒔きを行い、成長軌道に復帰するための基盤構築に取り組みます。

また、事業の成長性や競争力の観点から、各セグメントにおいて必要に応じて他社との提携、M&A、撤退・売却を含めた再編を行い、事業ポートフォリオの最適化を図ってまいります。

 

(1)営業力の強化

・新設した「ドライバルク営業本部」「エネルギー輸送営業本部」をはじめとして、部門間の連携を強化し、顧客ニーズに的確に対応する。

・アジア・中東・大洋州地域を中心に成長分野の事業機会を地域ごとに捉え、総代表や国代表を活用し、グループの総合力を活かした活動を展開する。

 

(2)環境の変化に合わせたビジネスモデルの創出

・海運部門を事業の基盤としつつ、ロジスティクス事業・ターミナル事業等の海運関連部門及び不動産事業へ経営資源を重点投入する。

・当社グループの提供するサービスの付加価値向上に向け、ITと環境技術を顧客ニーズに結び付けたサービスの開発を推進する。

 

なお、当社グループは、完成自動車車両の海上輸送に関して各国競争法違反の疑いがあるとして、米国、欧州その他海外の当局による調査の対象となっております。また、本件に関連して、当社グループに対し損害賠償及び対象行為の差止め等を求める集団訴訟が米国等において提起されています。このような事態を厳粛に受け止め、当社グループでは独禁法をはじめとするコンプライアンス強化と再発防止に引き続き取り組んでまいります。

4【事業等のリスク】

当社グループの主たる事業である海上輸送の分野において、世界各国の経済情勢やテロ・戦争その他の政治的、社会的な要因、自然現象・災害、及び伝染病、ストライキ、その他の要因による社会的混乱等により、予期せぬ事象が発生した場合には、関連の地域や市場において、事業に悪影響を及ぼす可能性があります。

この他に当社グループの事業活動や業績、株価及び財務状況等において、悪影響を及ぼす可能性があると考えられる主なリスクには、次のようなものがあります。

 

(1) 海運市況の変動

当社グループの主たる事業分野である海運業の運賃・傭船市況は、世界各国の景気動向や商品市況、政治・社会的な要因及び自然現象・災害等の影響、海上荷動き量や船腹供給量等の増減を受けた船腹需給の不均衡等の影響により、大きく変動する可能性があります。当社グループは、海運市況の変動リスク耐性を高めるため中長期契約等の安定利益の確保及び運航コスト削減に努めておりますが、大幅な市況下落は当社グループの損益に悪影響を及ぼします。

 

(2) 為替レートの変動

当社グループの事業では、売上のうち、米ドル建ての海上運賃収入が多くを占めております。費用についても、船舶資本費、燃料費、海外における荷役費・一般管理費等、米ドル・現地通貨建ての費用があります。費用のドル化を進めるとともに、通貨ヘッジ取引を行い、米ドルの為替レート変動による悪影響を最小限に止める努力をしておりますが、外貨建て収入が費用を上回っていることにより、他の通貨に対する円高(特に米ドルに対する円高)は当社グループの損益に悪影響を及ぼします。また、海外子会社が保有する船舶資産やそれにかかわる負債等、外貨建てのものを有するため、円建ての連結貸借対照表においては、換算時の為替レートにより、元の現地通貨における市場価値が変わらなかったとしても、計上する換算価値が影響を受ける可能性があります。

 

(3) 船舶燃料油価格の変動

当社グループの事業では、船舶運航のための燃料の調達が不可欠なものとなっております。燃料費については、燃料ヘッジ取引により調達コストの平準化・削減に努めておりますが、その上昇は当社業績へ悪影響を及ぼします。船舶燃料油の市場価格は概ね原油価格に連動しており、世界の景気動向、産油地域の情勢、米国を中心とする在庫水準、投機資金の流入等により影響を受ける可能性があります。

 

(4) 金利の変動

  当社グループの事業では、船舶等の新設や更新のために、継続的な設備投資を行っております。有利子負債の削減に努めていますが、運転資金及び設備資金は主として外部借入れにて行っております。固定金利での借入れや金利スワップ取引により金利の固定化を進めていますが、変動金利で調達している資金については、金利の変動の影響を受けます。また、金利の変動により、将来の資金調達コストが影響を受ける可能性があります。

 

(5) 公的規制

  当社グループの主たる事業分野である外航海運業では、設備の安全性や船舶の安全運航のために、国際機関及び各国政府の法令、船級協会の規則等様々な公的規制を受けております。また、その他の事業分野も含め、事業を展開する各国において、事業・投資の許可をはじめ、運送、通商、独占禁止、租税、為替規制、環境、各種安全確保等の法規制の適用を受けております。これらの規制を遵守するためコスト増加となる可能性があり、当社グループの活動が制限され、事業及び業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(6) 取引先との関係

当社グループが船舶を調達するにあたっては、自らが保有するほか第三者からの傭船による場合があります。また船舶の投入先については、特に鉄鋼原料船、油送船、LNG船部門等において、顧客との中長期契約に基づく安定利益の積み上げを重視しております。それらの取引先の経営状態の悪化や船舶を投入予定のプロジェクトの遅延等により、契約の全部または一部が履行されない場合、業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

当社グループの顧客は、製造業、小売業、エネルギー関連等多岐にわたっております。これら取引先の開発、生産、販売計画等の動向により、当社グループの事業及び業績が影響を受ける可能性があります。

 

(7) 船舶の運航

  当社グループは、「安全運航と海洋・地球環境の保全」を企業理念に掲げ、独自の「MOL安全管理制度」を確立し、船員教育や訓練システムを充実させて事故を起さないよう万全の体制をとっております。しかしながら、常時約900隻(短期傭船等を含む)の船舶を世界中に運航しており、万一洋上で不慮の事故、特に油濁事故及びそれに起因する海洋汚染が起こった場合は事業及び業績に悪影響を及ぼす可能性があります。また、当社グループは運航する船舶への海賊・テロ行為について対策を講じておりますが、万一襲撃を受けた場合は事業及び業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(8) 繰延税金資産の回収可能性

当社グループは、将来の課税所得の見積りに基づいて繰延税金資産の回収可能性を評価しております。その見積額が減少し、将来において繰延税金資産の一部又は全部が回収できないと判断した場合、或いは税制変更等による税率の変更があった場合、繰延税金資産を取崩し、税金費用を計上することとなり、当社グループの業績及び財務状況が影響を受ける可能性があります。

 

(9) 投資有価証券における評価損の影響

当社グループは、投資有価証券のうち時価のあるものについて、期末最終営業日の市場価格による時価評価を行っております。その結果、株式市況の変動等により投資有価証券評価損を計上し、当社グループの業績及び財務状況が影響を受ける可能性があります。

 

(10) 船舶等の売却等における影響

当社グループは、海運市況の動向や船舶の技術革新による陳腐化、又は公的規制の変更等による使用制限等により、保有する船舶を売却する場合や傭船する船舶の傭船契約を中途解約する場合があります。また、海運市況の悪化に伴い、保有する船舶の固定資産の収益性が低下し、減損損失を計上する可能性があります。その結果として、当社グループの業績及び財務状況が影響を受ける可能性があります。

 

 なお、上記は当社グループの事業その他に関し、予想される主なリスクを具体的に例示したものであり、ここに

記載されたものが当社グループのすべてのリスクではありません。また、将来の予測等に関する記述は、現時点で入手された情報に基づき合理的と判断した予想であり、潜在的なリスクや不確実性その他の要因が内包されております。従い、実際の業績は、見通しと異なる結果となる可能性があります。

5【経営上の重要な契約等】

当社は平成28年3月31日開催の取締役会において、構造改革の個別対策の実施と、それに伴う1,792億円の特別損失の計上を確定しました。

個別対策の内容及び実施時期は以下のとおりです。個別対策の一部は平成28年4月以降に実施致しますが、損失引当金を当連結会計年度の第4四半期に計上しております。

 

<ドライバルク船事業>

個別対策

実施時期

特別損失

MOLBC社(注)による定期傭船契約の早期解約

平成28年4月以降

404億円

MOLBC社(注)から当社への定期傭船契約の譲渡

平成28年4月以降

305億円

ケープサイズバルカーの売船

平成28年4月以降

369億円

ケープサイズバルカーの定期傭船契約の早期解約

平成28年3月

94億円

(注)当社連結子会社MOL BULK CARRIERS PTE. LTD.

 

<コンテナ船事業>

コンテナ船事業の減損等

平成28年3月

606億円

コンテナ船の売船

平成28年5月

12億円

 

合計

1,792億円

 

 

6【研究開発活動】

当社グループの研究開発は、主に船舶を対象に、以下の3点を基本方針としています。

1.環境保全・省エネルギーの技術で、経済性との両立が期待できるもの

2.安全性・信頼性の向上に寄与するもの

3.新しい輸送技術・輸送システムに関するもの

具体的には、「船舶」、「コンテナ・物流」、「新輸送技術」、「その他」の4分野について、主に当社技術部及び海上安全部の各部門がそれぞれの研究開発テーマに取り組んでおります。

近年は省エネ・環境対策技術の開発に特に力を入れております。当連結会計年度における主たる研究開発としては、次世代貨物船構想の展開、改良型省エネ装置の開発、排ガス煤塵除去装置の開発、船舶バラスト水処理装置の開発、パワープラントの燃焼状態改善による燃費向上の研究、燃料油性状の評価手法の研究などが挙げられます。

また技術研究所では、世界各地で補油された燃料油や船内で使用される機器潤滑油の性状を継続的に分析することで、低質油や潤滑油劣化に起因する機関事故の防止に成果を上げております。

当連結会計年度の研究開発費の総額は166百万円となっております。

 

7【財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 財務戦略

①資金調達の方針

当社は事業活動を支える資金調達に際して、調達の安定性と低コストを重視しております

また、金利変動リスクや為替変動リスク等の市場リスクを把握し、過度に市場リスクに晒されないように金利固定化比率や借入通貨構成を金利スワップや通貨スワップ等の手法も利用しながら、リスクを許容範囲に収めるようにしております。

 

資金調達の多様性

当社は調達の安定性と低コスト調達を実現するために、調達方法の多様化や調達期間の分散を進めております。

運転資金並びに船隊整備に必要な設備資金は、直接・間接調達に加え、従来より船主からの傭船といった手法も活用し、有利子負債を過度に増加させることなく、低コストかつ安定的な船腹の整備を行っております。

直接調達については、2015年度に新規の社債発行は行いませんでしたが、2016年3月末の国内普通社債発行残高は1,245億円、ユーロ米ドル建取得条項付転換社債型新株予約権社債発行残高は5億米ドルとなっております。円滑な直接調達を進めるため、当社は国内2社及び海外1社の格付機関から格付を取得しており、2016年6月21日現在の発行体格付は格付投資情報センター(R&I)「BBB」、日本格付研究所(JCR)「A-」、ムーディーズ(Moody's)「Ba1」となっております。また、短期債格付(CP格付)についてはR&I/JCRより
「a-2」/「J-1」を取得しております。

当社は1,000億円の社債発行登録や1,000億円のCP発行枠を設定しているほか、政府系や内外金融機関との幅広い取引関係をベースとする銀行借入により、運転資金需要や設備資金需要にも迅速に対応できるものと考えております。

更に、安定的な経常運転資金枠の確保・緊急時の流動性補完を目的に国内金融機関から730億円のコミットメントラインを設定しており、資金の流動性確保に努めております。

 

グループ資金の効率化

当社及び主要子会社間でキャッシュマネージメントサービス(CMS)を導入しており、グループ内の資金効率化を図ることにより、外部借入の削減に努めております。

 

(2) 損益状況

 売上高は、主にコンテナ船やドライバルク船における市況悪化等により、前連結会計年度に比べ1,048億円減収の1兆7,122億円となりました。

 経常利益は、円安と燃料油価格安による押し上げ効果や油送船部門の増益等があったものの、コンテナ船やドライバルク船における市況悪化の影響等がそれらを上回り、前連結会計年度に比べ150億円減益の362億円となりました。不定期専用船事業は、ドライバルク船の市況悪化や自動車船部門における一部資源国・新興国向け輸送量の減少等があったものの、油送船部門が好調な市況を享受しつつプール運航による運航効率改善等にも努め大幅な増益を達成、また、LNG船部門においても安定収益を引き続き確保し増益となった結果、前連結会計年度に比べ7億円増益の548億となりました。コンテナ船事業は、各航路において様々な合理化策を実施し、運航コスト及び供給スペースの削減に努めたものの、アジア発欧州・南米向けを中心とした荷動きの低迷と大型船の竣工等の影響により市況が極めて低調に推移した結果、前連結会計年度に比べ56億円損失が拡大し、298億円の赤字となりました。

 親会社株主に帰属する当期純損益は1,704億円の損失となりました。経常利益が150億円の減益となった他、当連結会計年度においてドライバルク船及びコンテナ船事業に係る構造改革費用や、第一中央汽船㈱の民事再生手続開始申立てに伴う関係会社株式評価損を計上したこと等により、前連結会計年度に比べ2,128億円の損益悪化となりました。

 

(3) 財政状態

当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末に比べ4,044億円減少し、2兆2,195億円となりました。これは主に船舶及び投資有価証券が減少したことによるものです。

負債は、前連結会計年度末に比べ1,589億円減少し、1兆5,726億円となりました。これは主に短期借入金及び社債が減少したことによるものです。

純資産は、前連結会計年度末に比べ2,455億円減少し、6,469億円となりました。これは主に利益剰余金が減少したことによるものです。

以上の結果、自己資本比率は前連結会計年度末に比べ、5.4%低下し、24.4%となりました。

 

(4) キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの状況につきましては、「1.業績等の概要 (2)キャッシュ・フロー」に記載のとおりであります。