文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末時点において当社が判断したものです。
(1)会社の経営の基本方針
当社は、2021年4月1日より商船三井グループの企業理念、長期ビジョン、価値観・行動規範(MOL CHART)を以下の通り改定しました。今般、脱炭素化を始めとする環境意識の高まりや、企業として社会のサステナビリティに貢献することへの期待が高まるなか、輸送にとどまらない事業領域への拡大やそれに伴う価値観の変化を反映し、更なる成長を実現するために、社会における当社グループの存在意義を今一度確認するものです。加えて、この先10年を見据え、具体的に目指す姿についても、グループビジョンとして併せて改定することになりました。また、2015年に当社グループ社員が継承する価値観として制定した「MOL CHART」を「MOL CHART”S”」と改定しました。これまで「R(Reliability)」において「安全」に取り組んでまいりましたが、この度、「S(Safety)」として独立させ、安全の徹底に対する決意を新たにします。なお、「R(Reliability)」において信頼を得る対象を、ステークホルダーと再定義し、より社会的責任に注力します。
(2)優先的に対処すべき事業上及び財務上の対処すべき課題
当社は2017年度に経営計画「ローリングプラン」を導入して以来、相対的競争力NO.1事業の集合体を目指し、年度ごとの具体的な重点項目を設定しその実現に向けて取組んでまいりました。2020年度は、新型コロナウイルスの世界的な感染拡大の中、コロナ収束後までを見通したメガトレンド予測を実施の上、「守り」の面においては上半期に一歩踏み込んだ減船を行い、市況エクスポージャーの縮減や政策保有株式売却などの資産流動化に努めた一方、「攻め」の面では新規投資を厳選しながら海洋事業への重点投資を行うとともに、ばら積み船や自動車専用船事業では事業特性に応じた構造改革を実施しました。
新経営計画「ローリングプラン2021」では、依然コロナ禍の影響による荷動き低迷からの回復途上にある中で、2021年度を、回復のタイミングを見据えながら成長軌道復帰に向けて着実に基礎固めを行う年とします。また、環境問題を含む社会的な要請に応えつつ当社の10年先を意識したときに、当社が目下最優先で取り組むべきは環境戦略であると認識しています。新たなグループビジョン(「ローリングプラン2021」での目指す姿)に向けて、環境戦略を基軸とし、ポートフォリオ戦略・営業戦略と連関させながら、当社グループの成長戦略を推進します。
<2020年度(ローリングプラン2020)で掲げたことに対する達成状況>
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項目 |
RP2020で掲げたこと |
2020年度の達成状況 |
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守りの策の実行 |
エクスポージャー縮減 |
自動車船を中心に17隻の処分・実行 |
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影響把握 |
メガトレンド予測 |
2020年12月にメガトレンド予測第2弾を取り纏め(回復時期はやや早まる) |
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攻めの戦略 |
事業特性に応じた成長戦略・構造改革 |
不定期船:商船三井ドライバルク㈱の発足決定 自動車船:日産専用船㈱との一体化(効率性追求) ケミカル事業:組織、拠点統合による効率化 |
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ポートフォリオ 戦略 |
新規投資は厳選。20-22年度で計1,000億円のフリーCFを確保 |
約900億円新規投資を決定した一方、資産・事業のキャッシュ化を推進。計画通りフリーCF1,000億円を確保しながら、新規投資CF枠の上積みを検討中 |
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海洋事業への重点投資 |
既存事業への追加拠出も含め430億円の投資決定(上記900億円の内数) |
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営業戦略 |
デジタルと環境で顧客満足度向上 |
MOL Lighthouse※対象顧客の拡大 ※ドライバルク船顧客を対象とした情報提供プラットフォーム |
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環境戦略 |
環境・エミッションフリー事業の推進 |
LNG・風力分野への投資を継続 世界の潮流を受け環境ビジョン見直し中 |
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組織の力の 向上 |
既存組織に拘らないプロジェクト推進体制 |
プロジェクトチーム立ち上げ(計16チーム) |
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グループ全体の生産性向上 |
コーポレート業務の合理化実施 グループ会社の統合 |
<新経営計画(ローリングプラン2021)における主要なテーマ>
(1) 環境戦略
①2021-23年度の3年間で低・脱炭素分野に約2,000億円を投資。
②環境ビジョン2.0を2.1に改定し、取り組みを加速する。
・ネットゼロエミッション目標時期の前倒し(2050年までに)
・GHG削減ロードマップの策定
・インターナルカーボンプライシング導入
・グリーン代替燃料の導入、省エネ技術の取り入れ、効率運航深度化の推進
③ 「環境低負荷」「低炭素」事業の拡大
・LNG需要増の取り込み(LNG船・FSRU・発電船)
・洋上風力発電事業への参入
④環境負荷と低減効果を可視化するサービスの展開(顧客の「見たい」に応え、ストレスフリーを実現)
・顧客ニーズを先取りしたカーボンフットプリントの開示とそれを可能にする体制・データ整備
・GHG排出削減に寄与する運航効率の改善とその見える化
(2) 地域戦略
営業戦略の肝として、「地域戦略」を掲げ、当社全体戦略にマッチする潜在案件を複眼的に追求し、アジアを重点に輸送に留まらない大型案件をグループ総合力を発揮して獲得します。
<ポートフォリオ戦略・営業戦略における主な取り組み>
(1) 「ポートフォリオ戦略」
・ポートフォリオの継続的な見直し、入れ替え
・既存海運事業をキャッシュ・フロー貢献の視点から再評価
(2) 「営業戦略」
・LNG需要向け営業の連携(LNG船・FSRU・発電船)
・ワンストップ営業体制(商船三井ドライバルク)
・DXによる顧客の利便性向上(MOL Lighthouse※の販売促進など)
※ドライバルク船顧客を対象とした情報提供プラットフォーム
<ローリングプラン2021の定量目標(利益計画・財務計画・投資計画・株主還元策)>
(1)利益計画
利益計画については、第2 事業の状況 3「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」(7)「経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等の達成・進捗状況」をご参照ください。
(2)財務計画・投資計画
財務計画・投資計画については、第2 事業の状況 3「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」(7)「経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等の達成・進捗状況」をご参照ください。
(3)株主還元策
株主還元策については第4 提出会社の状況 3「配当政策」をご参照ください。
<サステナビリティ課題(マテリアリティ)への取組み>
当社は2019年4月に、当社の社会価値向上に向け事業活動を通じて優先的に取り組むべき社会課題として、サステナビリティ課題(マテリアリティ)を特定し、経営計画と密接に連動させて、解決へ向けた取り組みを推進しています。
また、2021年4月には、従来の「環境経営委員会」を「環境・サステナビリティ委員会」とし、サステナビリティ全般についての議論を行うとともに、社内の専門組織「環境・サステナビリティ戦略部」を新設し、サステナビリティ推進体制を強化しました。
2021年度においては、この体制のもと、サステナビリティ課題の一部見直しと取組推進のためのKPI(Key Performance Indicator)の設定を行うとともに、社会的懸念が高まっている環境問題への取り組みに関し、2020年6月にGHGの削減目標を掲げて策定した「環境ビジョン2.0」を「環境ビジョン2.1」へ改定し、その取り組みを加速していきます。
<当社のモーリシャス環境回復・社会貢献活動への取り組み>
2020年8月、当社がチャーターしていたばら積み貨物船がモーリシャス共和国で座礁による油濁を起こし、現場水域と地域の自然環境や、地域社会とその産業にも大きな影響を及ぼすこととなりました。
当社は、船主との間における用船契約において本船を利用していた関係者として、現地のニーズに沿った支援を通じ、環境回復や地域社会への貢献に注力して取り組んでおり、今後もこれを継続してまいります。
具体的には、事故直後より当社社員を現地に派遣し様々な現地支援活動を行うとともに、専門家等を現地に派遣し事故影響のアセスメントを行いながら、現地NGO、学術機関等への寄付を実施、自然回復活動・現地住民支援活動をサポートいたしました。
また当社が委託者となり、国内における公益信託基金、さらにモーリシャスにおいても支援基金を設立いたします。これら総額8億円規模の基金を通じ、現地での自然環境保護・回復活動及び、水産、文化・教育などの地域社会産業各分野への貢献活動を助成し、モーリシャス国民の健康的な生活及び持続可能な経済発展に努めます。
<コンプライアンス上の対処すべき課題>
当社グループは、2012年以降、完成自動車車両の海上輸送に関して各国競争法違反の疑いがあるとして、米国等海外の当局による調査の対象となっております。また、本件に関連して、当社グループに対し損害賠償及び対象行為の差止め等を求める集団訴訟がカナダ、英国及びチリにおいて提起されています。このような事態を厳粛に受け止め、当社グループでは独禁法をはじめとするコンプライアンス強化と再発防止に引き続き取り組んでまいります。
当社グループの主たる事業である海上輸送の分野において、世界各国の経済情勢やテロ・戦争その他の政治的、社会的な要因、自然現象・災害、及び伝染病、ストライキ、その他の要因による社会的混乱等により、予期せぬ事象が発生した場合には、関連の地域や市場において、事業に悪影響を及ぼす可能性があります。この他に当社グループの事業活動や業績、株価及び財務状況等において、悪影響を及ぼす可能性があると考えられる主なリスクには、次のようなものがあります。
当社はこれらのリスクに対し、経営会議の下部機関である投融資委員会や安全運航対策委員会等において関連するリスクの把握、分析及び評価を行い、その結果を取締役会及び経営会議における意思決定に反映させています。さらに、「トータルリスクコントロール」として、当社及び当社グループ会社が保有する資産について、その価値変動リスクを統計的に分析し、数値化したものを定期的に取締役会に報告しています。取締役会をはじめとする意思決定機関は報告されたリスク量を評価、分析した上で、投資判断を行い、当社グループの事業全体のリスクコントロールを図っています。
なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末時点において当社グループが判断したものです。
(1) 海運市況の変動
当社グループの主たる事業分野である海運事業の運賃・傭船市況は、世界各国の景気動向や商品市況、政治・社会的な要因及び自然現象・災害等の影響、海上荷動き量や船腹供給量等の増減を受けた船腹需給の不均衡等の影響により、大きく変動する可能性があります。当社グループは2021年3月末時点で、ドライバルク船、油送船、自動車船、LNG船、コンテナ船など約810隻の船舶を運航し、資源から製品まで様々な種類の貨物を運んでおります。貨物・船型ごとに需給があり、それぞれに市況が形成されておりますが、それらの市況には相関関係が高いものがある一方、経済環境によってはマイナスの相関が働いて相互に打ち消し合うものもあります。中長期契約を結ぶことができる船種であるか、どの程度の市況エクスポージャーを持つかも勘案しつつ、最適な事業ポートフォリオを組むことによって、リスクを軽減しながら、より高く安定的なリターンの追求に努めております。また、顧客との長年の信頼関係で築き上げた中長期契約により、安定した将来のキャッシュフローを堅実に積み上げ、運航コスト削減に努めることによって、海運市況変動による業績変動のリスク軽減に努めておりますが、当社想定を大きく超える大幅な市況下落は当社グループの損益に悪影響を及ぼします。
(2) 為替レートの変動
当社グループの事業では、売上のうち、米ドル建ての海上運賃収入が多くを占めております。費用についても、船舶資本費、燃料費、海外における荷役費・一般管理費等、米ドル・現地通貨建ての費用があります。費用のドル化を進めるとともに、通貨ヘッジ取引を行い、米ドルの為替レート変動による悪影響を最小限に止める努力をしておりますが、外貨建て収入が費用を上回っていることにより、他の通貨に対する円高(特に米ドルに対する円高)は当社グループの損益に悪影響を及ぼします。また、海外子会社が保有する船舶資産やそれにかかわる負債等、外貨建てのものを有するため、円建ての連結貸借対照表においては、換算時の為替レートにより、元の現地通貨における市場価値が変わらなかったとしても、計上する換算価値が影響を受ける可能性があります。
(3) 船舶燃料油価格の変動
当社グループの事業では、船舶運航のための燃料の調達が不可欠なものとなっております。燃料費については、燃料ヘッジ取引により調達コストの平準化・削減に努めておりますが、その上昇は当社業績へ悪影響を及ぼします。船舶燃料油の市場価格は概ね原油価格に連動しており、世界の景気動向、産油地域をはじめとする地域情勢、米国を中心とする在庫水準、投機資金の流入等により影響を受ける可能性があります。また、今後SOx(硫黄酸化物)やCO2の排出量を抑制する環境規制の強化・拡大に伴い、環境負荷の低い良質な燃料の使用、追加設備の船舶搭載が求められ、燃料油コストや船舶コストの上昇が予想されます。当社グループは顧客の理解を得ながら運賃等への反映を行っていきますが、全てのコスト上昇を反映できない場合には、燃料油価格の変動等で当社グループの業績が影響を受ける可能性があります。
(4) 金利の変動
当社グループの事業では、船舶等の新設や更新のために、継続的な設備投資を行っております。有利子負債の削減に努めておりますが、運転資金及び設備資金は主として外部借入れにて行っております。固定金利での借入れや金利スワップ取引により金利の固定化を進めておりますが、変動金利で調達している資金については、金利の変動の影響を受けます。また、金利の変動により、将来の資金調達コストが影響を受ける可能性があります。
(5) 公的規制
当社グループの主たる事業分野である外航海運業では、設備の安全性や船舶の安全運航のために、国際機関及び各国政府の法令、船級協会の規則等様々な公的規制を受けております。また、その他の事業分野も含め、事業を展開する各国において、事業、投資の許可をはじめ、運送、通商、独占禁止、租税、為替規制、環境、各種安全確保等の法規制の適用を受けております。これらの規制を遵守するためにはコストが発生しており、また、これらの規制が変更された場合、若しくは新たな規制等が導入された場合には、新たなコストが発生する可能性があります。加えて、当社グループは、これらの規制の遵守体制を構築し、運用状況について情報収集を行っておりますが、関係当局による調査の対象となることや、その調査の結果によっては処分や処罰を受けることがあります。それらにより、当社グループの活動が制限される可能性や、事業及び業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
(6) 気候変動リスク
国連気候変動枠組条約第21回締約国会議(COP21)においてパリ協定が採択、各国で批准されたのを機に、気候変動や地球温暖化の原因とされる温室効果ガス(GHG)の削減を目的とした取り組みが世界的に進められております。今後、地球温暖化対策として規制の強化等により、これらに関連する対策費用が増加した場合や、特定地域における法令又は規制を遵守することが困難になった場合には、当該地域における当社グループの事業運営が影響を受ける可能性があります。
船舶は世界中の海上を移動するため、一国だけで対処することができない問題が多く、国際的な取り組みが不可欠であるため、国際海運におけるGHG排出目標は国際海事機関(IMO)において決定されました。
当社グループは気候変動リスクの重要性を認識し、2020年6月にIMO目標の達成へ向けたコミットメントをより明確化した「商船三井グループ 環境ビジョン2.0」を制定しましたが、加速する世の中の動きを踏まえ、2021年度には「環境ビジョン2.1」にアップデートします。環境ビジョン2.1では、ネットゼロエミッション目標時期の前倒し(2050年まで)、インターナルカーボンプライシング導入、クリーン代替燃料の導入、省エネ技術の導入、及び効率運航の深度化を通じて、ネットゼロを可能にするビジネスモデル構築、低・脱炭素事業の拡大に取り組みます。しかしながら、これらの取り組みでも気候変動リスクを完全に回避することは困難であり、地球温暖化対策として規制の強化等により、当社グループの業績及び財務状況が影響を受ける可能性があります。
(7) 取引先との関係
当社グループが船舶を調達するにあたっては、自らが保有するほか第三者からの傭船による場合があります。また船舶の投入先については、特に鉄鋼原料船、油送船、LNG船部門等において、顧客との中長期契約に基づく安定利益の積み上げを重視しております。それらの取引先の経営状態の悪化や船舶を投入予定のプロジェクトの遅延等により、契約の全部または一部が履行されない場合、業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社グループの顧客は、製造業、小売業、エネルギー関連等多岐にわたっております。これら取引先の開発、生産、販売計画等の動向により、当社グループの事業及び業績が影響を受ける可能性があります。
(8) 投資計画の進捗に関わる影響
当社グループは、競争優位を保ち、リターンをより確かなものにするべく、海洋事業を中心として当社グループが強みを持つ分野に経営資源を重点的に投入しておりますが、投資先の関係国の政治情勢、経済状況、自然災害、関係国政府の方針変更・規制・制裁、パートナーの動向、技術的課題、投資相手先の信用リスク等によって、投資が想定通りに進捗せず、投下資金の回収不能、撤退の場合に追加損失が発生するリスク、及び計画した利益が上がらないなどのリスクを負っております。
船舶投資等は新造船の発注から竣工までには数年の年月を要します。その間の輸送需要の変化で業績が影響を受ける可能性があります。建造中の事故等に伴う納入遅延の可能性や、造船所の経営難など造船所自体に関わる要因によっても影響を受ける可能性があります。
新規の投資決定にあたっては、投資の意義・目的を明確にした上で、投資のリスクの可能性・規模を認識・測定し、事業特性を踏まえて決定した投下資金に対する利回りが期待収益率を上回っているか否かを評価し、選別を行っております。しかしながら、このような投資評価の段階での案件の選別を厳格に行っておりますが、期待する利益が上がらないというリスクを完全に回避することは困難であり、事業環境の変化や案件からの撤退等に伴い、当社の業績及び財務状況が影響を受ける可能性があります。また、融資においては、融資先の財務状況等を定期的にモニタリングして回収懸念の早期把握や軽減を図っておりますが、融資先の信用リスクの悪化に伴う貸倒引当金の計上等により、当社グループの業績及び財務状況が影響を受ける可能性があります。
(9) 船舶の運航
当社グループは、「安全運航と海洋・地球環境の保全」を経営理念に掲げ、独自の「MOL安全管理制度」を確立し、船員教育や訓練システムを充実させて事故を起こさないよう万全の体制をとっております。しかしながら、常時約810隻(短期傭船等を含む)の船舶を世界中で運航しており、万一洋上で不慮の事故、特に油濁事故及びそれに起因する海洋汚染等が起こった場合は事業及び業績に悪影響を及ぼす可能性があります。また、当社グループは運航する船舶への海賊・テロ行為について対策を講じておりますが、万一襲撃を受けた場合は事業及び業績に悪影響を及ぼす可能性があります。当社は、2020年7月にばら積み貨物船WAKASHIO(長鋪汽船株式会社の子会社から当社がチャーター)がモーリシャス島沖で座礁し、燃料油が流出した事故を踏まえ、現場である本船側のみならず、当社陸上側からの支援体制、船主、船舶管理会社の管理体制を見直しました。また、再発防止策の取り組みにおいては、推定原因に対して、安全意識の不足に対する再発防止、安全航海に必要な規程の確認不足及び履行不十分に対する再発防止、運航品質の強化、及びハードウェア対応の4項目を軸に、総額約5億円相当をこれら再発防止策に投じます。当社、船舶、および船主を含む関係先と着実にこれら再発防止策を実行する体制を共に築き、サプライチェーン全体における安全品質水準の一層の向上に向けて継続的に取り組みます。
(10) 自然現象・災害、及び伝染病に関するリスク
地震等の災害や感染症の流行により、当社グループの運航船・事業所・設備や社員に被害が発生し、事業活動に支障が生じる可能性があります。
当社グループでは、災害や感染症の流行に際して、運航船と役職員の安全を最優先に確保し、事業の中核である「海上運送サービス」の提供継続と、万が一それが中断した場合に早期復旧を図ることを目的に、事業継続計画(BCP)を策定しております。この事業継続計画では、船舶の安全運航維持に関わる業務、運送契約、傭船契約の履行、財務手当て、要員確保等の実施に向けて対応組織、権限等を整備し、具体的な実施手順をマニュアル化しております。また、以前から災害等を想定した本社・社外での訓練等を定期的に実施し、そこで明確になった課題に対処することで、より実効性を高めております。しかし、これによっても災害等による被害を完全に回避できるわけではなく、被害発生時に当社グループの業績が影響を受ける可能性があります。
<新型コロナウイルス感染拡大による影響>
新型コロナウイルスの感染拡大リスクに対して、当社は2020年2月3日に対策本部を立ち上げ、如何なる状況にあっても、当社の社会的使命である輸送インフラとしての役割を、物資の安定的な輸送継続を通じて果たすべく、次の3点を最重要課題と掲げ、対応してきました。
①当社運航船の安全運航、安定輸送の徹底
②顧客・取引先等と当社役職員の安全確保・感染拡大の防止
③感染拡大リスクの長期化を想定した上での事業継続体制の構築
なお、当社は2020年3月9日に本社・全支店を全面的な在宅勤務に移行させ、感染拡大状況にあわせて在宅勤務比率を調整し、当社役職員の安全確保、及び感染拡大防止に努めています。
(11) 情報システム事故等による影響
当社グループの事業及び業務は、情報システムに大きく依存しており、重大ICTインシデント(ICTシステム障害、サイバー攻撃、自然災害、オペレーションミス等を起因として発生または発生の可能性があるセキュリティ・プライバシーの侵害及び当社グループの信頼低下等)が発生した場合には、当社グループの事業が大きな影響を受ける可能性があります。当社グループでは「重大ICTインシデント対策本部規程」及び「重大ICTインシデント対応ガイドライン」において、グループ共通のインシデントレベルの判断基準、インシデントレベルに応じた対応方針を定めております。重大なICTインシデントが発生した場合には、対策本部が設置され、ステークホルダー(株主、顧客、メディアなど)への報告・説明、技術的・法的対応等を速やかに組織的に実施し、当社グループの利益、ブランド、信用を著しく損なう事態の発生を防ぐ体制としております。
(12) 船舶等の売却等における影響
当社グループは、海運市況の動向や船舶の技術革新による陳腐化、又は公的規制の変更等による使用制限等により、保有する船舶を売却する場合や傭船する船舶の傭船契約を中途解約する場合があります。また、海運市況の悪化に伴い、保有する船舶の固定資産の収益性が低下し、減損損失を計上する可能性があります。その結果として、当社グループの業績及び財務状況が影響を受ける可能性があります。
(13) 投資有価証券における評価損の影響
当社グループは、投資有価証券のうち時価のあるものについて、期末最終営業日の市場価格による時価評価を行っております。その結果、株式市況の変動等により投資有価証券評価損を計上し、当社グループの業績及び財務状況が影響を受ける可能性があります。
(14) 繰延税金資産の回収可能性
当社グループは、将来の課税所得の見積りに基づいて繰延税金資産の回収可能性を評価しております。その見積額が減少し、将来において繰延税金資産の一部又は全部が回収できないと判断した場合、あるいは税制変更等による税率の変更があった場合、繰延税金資産を取崩し、税金費用を計上することとなり、当社グループの業績及び財務状況が影響を受ける可能性があります。なお、当社及び一部の連結子会社は、2020年度から連結納税制度を適用しております。
なお、上記は当社グループの事業その他に関し、予想される主なリスクを具体的に例示したものであり、ここに
記載されたものが当社グループのすべてのリスクではありません。また、将来の予測等に関する記述は、現時点で入手された情報に基づき合理的と判断した予想であり、潜在的なリスクや不確実性その他の要因が内包されております。従い、実際の業績は、見通しと異なる結果となる可能性があります。
(1) 経営成績
|
|
前連結会計年度 (自 2019年4月1日 至 2020年3月31日) |
当連結会計年度 (自 2020年4月1日 至 2021年3月31日) |
増減額 / 増減率 |
|
売上高 (億円) |
11,554 |
9,914 |
△1,639 / △14.2% |
|
営業損益 (億円) |
237 |
△53 |
△290 / -% |
|
経常損益 (億円) |
550 |
1,336 |
785 / 142.5% |
|
親会社株主に帰属する |
326 |
900 |
574 / 176.0% |
|
為替レート |
¥109.28/US$ |
¥105.95/US$ |
△¥3.33/US$ |
|
船舶燃料油価格 ※ |
US$467/MT |
US$355/MT |
△US$112/MT |
※平均補油価格(全油種)
当期の対ドル平均為替レートは、前期比¥3.33/US$円高の¥105.95/US$となりました。また、当期の船舶燃料油価格平均は、前期比US$112/MT下落しUS$355/MTとなりました。
当期の業績につきましては、売上高9,914億円、営業損益△53億円、経常損益1,336億円、親会社株主に帰属する当期純損益は900億円となりました。なお、当社持分法適用会社OCEAN NETWORK EXPRESS PTE. LTD.(以下「ONE社」)の損益改善などにより、営業外収益で持分法による投資利益として1,329億円を計上いたしました。うち、同社からの持分法による投資利益計上額は1,195億円となります。
売上高は、新型コロナウイルスの感染拡大に起因する自動車船事業における完成車輸送台数の大幅な減少やドライバルク船市況の下落等の要因があり、前年同期比1,639億円減収の9,914億円となりました。
経常損益は、輸送需要の停滞が顕在化した事業があった一方、エネルギー輸送事業を中心とした安定的な利益の確保に加えて、コンテナ船事業では、当社持分法適用会社ONE社においてスポット賃率が前年同期を上回るレベルで推移し、大幅な増益を達成したことから、前年同期比785億円増益の1,336億円となりました。ドライバルク船事業は、ケープサイズ、パナマックス共に総じて市況環境は回復基調で推移したものの、当社連結子会社MOL BRIDGE FINANCE S.A.社において、持分法適用関連会社GEARBULK HOLDING AGに対する貸付金について貸倒引当金繰入額を計上したため、前年同期比163億円損益悪化の△42億円となりました。エネルギー輸送事業では、油送船事業における安定的な長期契約の履行や春先の市況高騰をとらえた有利契約の獲得に加え、LNG船・海洋事業において新規竣工・稼働があり安定収益を積み増し、前年同期比43億円増益の297億円となりました。製品輸送事業では、自動車船事業において、世界的な完成車減産の影響を受けて損益悪化となった一方、上述のコンテナ船事業の増益が寄与し、前年同期比959億円増益の1,026億円となりました。
また、船隊の若返りと競争力を高めるための船舶売却等により、特別利益を186億円計上しました。一方で、海洋事業におけるFSRUに関する減損損失や、各事業における不採算船の処分、並びに石油製品船事業のシンガポール拠点への集約や自動車船事業における日産専用船(株)との組織合理化等に関する事業再編関連損失等、特別損失を501億円計上しました。結果として、親会社株主に帰属する当期純利益は、前年同期比574億円増益の900億円となりました。
セグメント毎の売上高及びセグメント損益(経常損益)、それらの対前期比較及び概況は以下の通りです。
上段が売上高(億円)、下段がセグメント損益(経常損益)(億円)
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セグメントの名称 |
前連結会計年度 (自 2019年4月1日 至 2020年3月31日) |
当連結会計年度 (自 2020年4月1日 至 2021年3月31日) |
増減額/増減率 |
|
|
ドライバルク船事業 |
2,771 |
2,221 |
△549 / △19.8% |
|
|
120 |
△42 |
△163 / -% |
||
|
エネルギー輸送事業 |
2,982 |
2,875 |
△106 / △3.6% |
|
|
254 |
297 |
43 / 17.1% |
||
|
製品輸送事業 |
4,768 |
3,964 |
△804 / △16.9% |
|
|
67 |
1,026 |
959 / 1,423.8% |
||
|
|
うち、コンテナ船事業 |
2,276 |
2,205 |
△70 / △3.1% |
|
41 |
1,171 |
1,129 / 2,746.2% |
||
|
関連事業 |
1,220 |
981 |
△239 / △19.6% |
|
|
123 |
94 |
△28 / △23.5% |
||
|
その他 |
227 |
225 |
△2 / △0.9% |
|
|
34 |
26 |
△7 / △23.0% |
||
(注)売上高にはセグメント間の内部売上高又は振替高が含まれております。
① ドライバルク船事業
ケープサイズの上半期の市況は、中国の需要回復及び運賃先物上昇による相乗効果で改善し、全般的に底堅く推移しました。下半期は、旺盛な中国の原料需要に加え日韓欧等の需要も回復したことで、秋口に再度上昇したものの、以後は下落基調で推移しました。12月半ばには中国揚地での滞船増加を背景に堅調となる場面があり、また3月上旬からは好調なパナマックス市況が波及し上昇基調の時期もありました。パナマックスの上半期の市況は、旺盛な南米出しの穀物の輸送需要に支えられ、夏場にかけて上昇した後は中国向け石炭輸送需要の減少により低調に推移しました。下半期は、北米穀物等の輸送需要に下支えされ、年明け以降では堅調な中国向けの石炭需要と天候不順により南米穀物の収穫時期が遅れ積地で滞船が生じるとの観測、さらに代替として北米穀物の需要が高まったことから船腹需給が引き締まり急騰し、高値圏で推移しました。
一方で、木材チップ船とオープンハッチ船においては、中国向け製紙原料とパルプの輸送需要に回復は見られたものの、全般的に低調な荷動きと市況の影響を受けました。また、当社連結子会社MOL BRIDGE FINANCE S.A.社において、持分法適用関連会社GEARBULK HOLDING AGに対する貸付金について貸倒引当金を計上したため、ドライバルク船事業全体では、前年同期比で大幅な損益悪化となりました。
② エネルギー輸送事業
<油送船>
原油船市況は、原油安を受けた洋上備蓄需要の高まりにより春には歴史的高値を記録しましたが、その後は備蓄需要解消や協調減産の継続により荷動きが回復せず、下落基調が続きました。石油製品船市況は、原油船同様に春に高値を記録した後、製油所稼働率の低下から荷動きが低迷したため、夏場にかけて下落基調となり、その後も低調に推移しました。このような市況環境下において、安定的な長期契約の履行に加え、市況の歴史的高値をとらえて有利契約を獲得したこと等により、油送船部門全体としては前年同期比で大幅な増益を達成しました。
<LNG船・海洋事業>
LNG船部門においては、新たにLNG船4隻及びLNG燃料供給船1隻の契約が開始した他、既存の長期貸船契約を主体に安定的な利益を確保し、前年同期比で増益となりました。海洋事業部門においては、FPSO事業で既存プロジェクトが順調に稼働し黒字を計上しましたが、FSRU事業では1隻を従来契約完了後に次の長期契約まで短期契約に投入した結果、前年同期比で損益悪化となりました。
③ 製品輸送事業
<コンテナ船>
コンテナ船は、当社持分法適用会社ONE社において、北米航路を中心に巣ごもり需要を背景とした夏場以降の旺盛な荷動きがあった一方、労働者不足に伴う港湾混雑の発生やアジアにおけるコンテナ不足など様々な理由で供給面の制約があったことにより、スポット賃率は前年同期を大幅に上回るレベルで推移しました。また燃料油価格が総じて安値圏を維持したこともあり、前年同期比で大幅な増益となりました。
<自動車船>
完成車の輸送台数は、新型コロナウイルスの流行による世界的な完成車減産の影響を受けて、第3四半期以降回復したものの、前年同期比では大きく減少しました。解撤や返船を含む船腹供給量の調整、停船による費用削減等、業績への影響を最小限に留める対策に取り組みましたが、前年同期比で大幅な損益悪化となりました。
<フェリー・内航RORO船>
フェリー・内航RORO船については、新型コロナウイルスの影響により旅客が大幅に落ち込みました。フェリー船内やターミナルでの感染症対策を強化するなど、ウィズ・コロナの施策を進め、政府のGo Toトラベル事業を追い風に一時回復が見られましたが、年初以降の感染の再拡大に伴い、総じて低調に推移しました。一方、荷動きは航路により濃淡はあるものの足元では回復基調にありますが、全般的には前期を下回る状況が継続した結果、損益は前年同期比で悪化しました。
④ 関連事業
不動産事業においては、当社グループの不動産事業の中核であるダイビル(株)による、新規物件取得が寄与し、前年同期比で増益となりました。客船事業は11月から運航再開となりましたが、新型コロナウイルス感染拡大のため多くのクルーズ運航中止を余儀なくされ、前年同期比で大幅な損益悪化となりました。曳船事業も作業対象船の入出港減少により、前年同期比で減益となりました。また旅行事業においても海外渡航需要の減少によって前年同期比で損益悪化となりました。その他の商社等の業績は概ね堅調に推移しましたが、関連事業セグメント全体では前年同期比で減益となりました。
⑤ その他
主にコストセンターであるその他の事業には、船舶運航業、船舶管理業、貸船業、金融業などがありますが、前年同期比で減益となりました。
(2) 生産、受注及び販売の実績
当社グループ(当社及び連結子会社。以下同じ。)は「第1 企業の概況 3 事業の内容」に記載したとおり、5つの事業区分からなり、提供するサービス内容も、多種多様であります。従って、受注の形態、内容も各社毎に異なっているため、それらをセグメント毎に金額、数量で示しておりません。
セグメントの売上高
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セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2020年4月1日 至 2021年3月31日) |
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金額(百万円) |
前年同期比(%) |
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ドライバルク船事業 |
222,175 |
80.2 |
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エネルギー輸送事業 |
287,589 |
96.4 |
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製品輸送事業 |
396,469 |
83.1 |
|
|
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うち、コンテナ船事業 |
220,583 |
96.9 |
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関連事業 |
98,126 |
80.4 |
|
|
その他 |
22,577 |
99.1 |
|
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計 |
1,026,938 |
85.8 |
|
|
調整額 |
(35,512) |
- |
|
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合 計 |
991,426 |
85.8 |
|
(注)記載金額には消費税等は含まれておりません。
(3) 財政状態
当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末に比べ31億円減少し、2兆955億円となりました。これは投資有価証券等が増加した一方、船舶、建設仮勘定等が減少したことによるものです。
負債は、前連結会計年度末に比べ610億円減少し、1兆3,964億円となりました。これは長期借入金、短期社債等が減少したことによるものです。
純資産は、前連結会計年度末に比べ579億円増加し、6,991億円となりました。これは主に利益剰余金が増加したことによるものです。
以上の結果、自己資本比率は前連結会計年度末に比べ、3.1ポイント上昇し、27.6%となりました。
(4) キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べて、188億円減少し、834億円となりました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況は、次のとおりです。
営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益が1,003億円、持分法による投資損益が△1,329億円、減価償却費が857億円となったこと等から、988億円(前年同期1,007億円)となりました。
投資活動によるキャッシュ・フローは、主にエネルギー輸送事業の船舶を中心とする固定資産の取得及び売却等により△546億円(前年同期△1,072億円)となりました。
財務活動によるキャッシュ・フローは、長期借入金の返済による支出等により△617億円(前年同期△7億円)となりました。
(5) 財務戦略
当社グループは2021年4月に策定した経営計画「ローリングプラン2021」において、財務目標はネットギアリングレシオ1.0倍とし、2027年度までの達成を目指します。2021~2023年度の3年間でフリーキャッシュ・フロー1,000億円を創出し、財務体質の改善・ネットギアリングレシオの引き下げを図ります。
① 資金調達の方針
当社は事業活動を支える資金調達に際して、調達の安定性と低コストを重視しております。
また、金利変動リスクや為替変動リスク等の市場リスクを把握し、過度に市場リスクに晒されないように金利固定化比率や借入通貨構成を金利スワップや通貨スワップ等の手法も利用しながら、リスクを許容範囲に収めるようにしております。
② 資金調達の多様性
当社は調達の安定性と低コスト調達を実現するために、調達方法の多様化や調達期間の分散を進めております。
運転資金並びに船隊整備に必要な設備資金は、直接・間接調達に加え、従来より船主からの傭船といった手法も活用し、有利子負債を過度に増加させることなく、低コストかつ安定的な船腹の整備を行っております。
直接調達については、2021年4月に劣後特約付社債を500億円発行しました。また、2021年3月末の国内普通社債発行残高は860億円となっております。2018年8月及び9月に資金使途を環境関連プロジェクトに限定したグリーンボンドを機関投資家向け(期間5年、50億円)及び個人投資家向け(期間5年、50億円)に発行しました。また、2019年7月に資金使途をSDGs全般に拡大したサステナビリティボンドを機関投資家向け(期間4年・6年、夫々50億円)及び個人投資家向け(期間6年、100億円)に発行しました。このようなESG債や個人投資家向け社債については、環境や社会に貢献したいという投資家のニーズを形にする機会を提供するとともに、新たな投資家層を拡大する手段として引き続き活用を図ります。円滑な直接調達を進めるため、当社は国内2社及び海外1社の格付機関から格付を取得しており、2021年3月末時点の発行体格付は格付投資情報センター(R&I)「BBB」、日本格付研究所(JCR)「A-」、ムーディーズ(Moody's)「Ba2」となっております。また、短期債格付(CP格付)についてはR&I/JCRより「a-2」/「J-1」を取得しております。
当社は500億円の社債発行登録や1,000億円のCP発行枠を設定しているほか、政府系や内外金融機関との幅広い取引関係をベースとする銀行借入により、運転資金需要や設備資金需要にも迅速に対応できるものと考えております。
③ 資金需要
当社グループの運転資金需要のうち主なものは、ドライバルク船事業、エネルギー輸送事業、及び製品輸送事業運営に関する海運業費用です。この中には燃料費・港費・貨物費等の運航費、船員費・船舶修繕費等の船費及び借船料などが含まれます。このほか物流事業の運営に関わる労務費等の役務原価、各事業についての人件費・情報処理費用・その他物件費等の一般管理費があります。
また、設備資金需要は注力分野である海洋事業やLNG船への投資やそれ以外の船舶・物流設備・不動産等への投資があり、当連結会計年度中に1,073億円の設備投資を実施しました。また、「ローリングプラン2021」においては、低・脱炭素案件への環境投資を含め設備投資約4,500億円を2021~2023年の3年間で予定しておりますが、営業キャッシュ・フローを着実に積み上げるとともに、資産・事業などの売却・キャッシュ化を進めることでフリーキャッシュ・フロー1,000億円を確保する見込みです。確保したキャッシュ・フローについては、財務体質の改善に優先的に充当し、ネットギアリングレシオの引き下げを図ります。当面の間は、連結配当性向20%を目安として業績に連動した配当を行い、経営課題として配当性向の向上にも取り組む方針です。
④ グループ資金の効率化
当社及び主要子会社間でキャッシュマネージメントサービス(CMS)を導入しており、グループ内の資金効率化を図ることにより、外部借入の削減に努めております。
(6) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づいて作成されております。その作成にあたっては、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要とします。経営者はこれらの見積りについて過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、見積り特有の不確実性があるため、実際の結果は、これらの見積りと異なる場合があります。
詳細については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項 (連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)並びに2 財務諸表等(1)財務諸表 注記事項 (重要な会計方針) 」に記載しておりますが、次の重要な会計方針が連結財務諸表作成における重要な見積りの判断に大きな影響を及ぼすと考えております。また、当連結会計年度の連結財務諸表に計上した金額が会計上の見積りによるもののうち、翌連結会計年度の連結財務諸表に重要な影響を及ぼすリスクがある項目は、第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)に記載のとおりであります。
・固定資産の減損
当社グループは、資産又は資産グループが使用されている事業の経営環境及び営業活動から生ずる損益等から減損の兆候判定を行っており、減損の兆候が識別された場合、減損損失の認識の判定を行い、必要に応じて回収可能価額まで減損処理を行うこととしております。将来の市況悪化等により減損の兆候及び認識の判定の前提となる事業計画等が修正される場合、減損処理を行う可能性があります。
・貸倒引当金
当社グループは、売上債権及び貸付金等の貸倒損失に備えて回収不能となる見積額を貸倒引当金として計上しております。将来、債務者の財政状況の悪化等の事情によってその支払能力が低下した場合には、引当金の追加計上又は貸倒損失が発生する可能性があります。
(7) 経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等の達成・進捗状況
当期は、前期末頃から続く新型コロナウイルスの感染拡大により、世界的な製造業の生産活動停止による大幅な荷動き停滞が顕在化し、当社事業においても、自動車船の他、フェリーRORO船・客船などがその影響を大きく受けました。一方、エネルギー輸送事業においては、長期契約を主体とする安定事業としてLNG船・FPSO事業が期初の見通し通りに推移したほか、油送船は原油価格低迷時の洋上備蓄需要により船腹需給が好転し、好業績をあげることができました。また製品輸送事業のうち、コンテナ船事業においても、Ocean Network Express(ONE)社が旺盛な輸送需要と堅調な運賃市況を背景に大幅な収益改善となりました。結果として、当社は全てのセグメントにおいて前年度を大きく上回り、経常利益1,336億円、親会社株主に帰属する当期純利益は901億円を達成しました。また、財務指標については、ROE 16.5%、ギアリングレシオ1.78倍(ネットギアリングレシオ1.63倍)となり、経営計画「ローリングプラン2020」で掲げている利益水準・財務指標の中期的目標を上回る結果となりました。
2021年度は、新型コロナウイルスの世界的な感染拡大による世界経済の大変動と環境問題による世界経済の組み換えを想定し、当社は新たな企業理念・グループビジョン・MOL CHARTSの下、経営計画「ローリングプラン2021」を策定の上、更なる飛躍のために成長軌道復帰に向けて着実に歩む年とします。経営計画の主な内容は第2 事業の状況 1 「経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」をご参照ください。なお、「ローリングプラン2021」で掲げる利益計画・財務計画・投資計画は以下の通りです。
<利益計画>
2017年度にローリング型経営計画を導入した際に掲げた、中期的な利益水準目標としての経常利益800~1,000億円は、2021年度~2023年度にかけて安定的に達成します。
(単位:億円)
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|
2020年度 (実績) |
2021年度 (見込) |
2022年度 (見込) |
2023年度 (見込) |
2027年度 (目標) |
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ドライバルク営業本部 |
△42 |
130 |
110 |
130 |
170 |
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エネルギー・海洋事業営業本部 |
297 |
260 |
300 |
390 |
520 |
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製品輸送営業本部 |
1,026 |
550 |
290 |
290 |
450 |
|
関連事業 |
94 |
100 |
130 |
130 |
200 |
|
その他、調整(消去・全社) |
△40 |
△40 |
△30 |
△40 |
△40 |
|
経常利益 合計 |
1,336 |
1,000 |
800 |
900 |
1,300 |
|
|
(実績) |
||||
|
ドル円 為替前提 |
105.95円/$ |
105円/$ |
100円/$ |
100円/$ |
100円/$ |
<財務計画・投資計画>
2027年度の利益目標として経常利益1,300億円、ROEは10~12%を安定的に維持することを目指します。また、財務目標はネットギアリングレシオ1.0倍とし、2027年度までの達成を目指します。2021~2023年度の3年間でフリーCF1,000億円を創出し、財務体質の改善・ネットギアリングレシオの引き下げを図ります。
なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末時点において当社グループが判断したものです。
当連結会計年度において、経営上の重要な契約等の決定又は締結等はありません。
当社グループの研究開発は、主に船舶を対象に、以下の3点を基本方針としております。
1.環境保全・省エネルギーの技術で、経済性との両立が期待できるもの
2.安全性・信頼性の向上に寄与するもの
3.新しい輸送技術・輸送システムに関するもの
上記3点に基づき、スマートシッピング推進部、技術部、海洋技術部、商船三井システムズ株式会社で構成される技術革新本部を中心に、海上安全部と各営業本部が連携して研究開発に取り組んでおります。
近年は、省エネ、環境技術と高度な安全運航を実現するための技術の開発に力を入れております。当連結会計年度における主たる研究開発は、AR/VRの活用、AIを活用した実海域性能推定技術の開発やICTを活用した船内環境見える化システムの構築などの「高度安全運航支援技術」に関する研究開発、帆主機従型風力推進船の開発、主機関の廃熱利用や船内機器の最適調和運転などの「環境負荷低減技術」に関する研究開発などが挙げられます。
また技術研究所では、世界各地で補油された燃料油や船内で使用される機器潤滑油の性状を継続的に分析することで、低質油や潤滑油劣化に起因する機関事故の防止に成果を上げております。
当連結会計年度の研究開発費の総額は
なお、研究開発活動については、特定のセグメントに関連付けられないため、セグメント別の記載は行っておりません。