(1)会社の経営の基本方針
当社グループは、4つの強み「高い技術力、高いレベルの輸送品質、グローバルな事業展開、変革を支える人材と多様性」を原動力にさまざまな資本を活用し、世界の人々の豊かな暮らしに貢献する物流・貿易の基幹インフラとして、安全・安心な海上輸送及び物流サービスを提供することによって、ステークホルダーの皆さまに価値ある存在であり続けることを目指しています。さまざまな産業分野における強固な信頼関係で結ばれた顧客基盤を活かし、海運業を母体とする総合物流企業グループとしてグローバルに事業を展開しています。
(2)中期的な会社の経営戦略
当社グループは、2017年4月に中期経営計画「『飛躍への再生』
Value for our Next Century」を策定し、「ポートフォリオ戦略転換」、「経営管理の高度化と機能別戦略の強化」、「ESGの取組み」を3つの重要課題に掲げ、グループ一丸となって取り組んでまいりました。計画初年度である2017年度では、3期ぶりに営業、経常及び当期の全段階での黒字化を達成しましたが、2018年度は当社持分法適用会社であるOCEAN NETWORK EXPRESS社(以下、「ONE社」という。)を含むコンテナ船事業で収益が大幅に悪化しました。当社創立100周年の2019年度は、2018年度に実施した構造改革効果の現出や自動車船事業における航路改変、配船効率改善や運賃修復が進んだこと、エネルギー資源セグメントを中心とした安定契約の積上げが功を奏したこと、またONE社については、貨物ポートフォリオの改善、配船効率化による収支改善により黒字化を達成し、当社グループの営業、経常及び当期純利益の全段階での黒字化を達成しました。2020年度については、引続き重要課題への取組みを継続してまいりますが、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)による当社グループの事業環境へ及ぼす影響が不透明であることも踏まえ、そのダメージコントロールへ注力するとともに、安全運航を維持し、本船乗組員及び全グループ役職員の安全を第一とし、社会インフラとして安定した物流サービスを継続的に提供するための施策を実施してまいります。
また、業績への影響最小化を最優先事項として、2020年度を初年度とする新中期経営計画は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)による事業環境の変容を見極めながら、慎重に策定を進めてまいります。
(3)会社の対処すべき課題
① 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)対応
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の今後の広がり方や収束時期に関しては不確実性が高く、先行きの情勢を見極めることが困難な状況となっていることから、2020年度業績予想については、現在未定とさせて頂いています。社会インフラとして安定した物流サービスを継続的に提供するため、以下の想定される影響への施策を着実に実施してまいります。
◆ 外部環境認識及び当社グループの事業への主な影響
現時点で当社グループの事業に影響を与える可能性のある外部環境としては、グローバル経済活動の鈍化と景気の後退が想定されます。そしてこれに伴う原材料、完成品を中心とする海上荷動き及び輸送需要の鈍化による海運市況の低迷が考えられます。このような状況により、見通しを立てることは困難ですが、業績への影響を慎重に見極め、合理的な予測を随時実施のうえ、柔軟な施策を実施いたします。
◆ 2020年度の業績影響への対応
2020年度の業績影響を最小限に止めるべく、以下の施策を着実に実施してまいります。
a 貨物減少に応じた船隊縮減、配船合理化・停船・係船による運航費削減
一時的な需要減退への対処として、船隊の縮減を実施し、運航費の低減を徹底します。
b 十分な手元流動性確保
コミットメントライン活用も含めて十分な手元資金の流動性を確保しています。
c 自己資本対策
船舶や不動産などの処分を進め、自己資本の拡充を図ります。
d 全面的な投資計画見直し
当社の強みを生かして、今後の成長分野に注力します。
◆ 安全運航・高品質サービス維持への対応
安全運航を維持し、本船乗組員及び全グループ役職員の安全を第一とし、社会インフラとして安定した物流サービスを継続的に提供するため、以下の対策を中心に着実に進めています。
<海上> 船内の安全確保と安全運航維持のための措置
・対策マニュアルに基づく船内感染予防の徹底、防護服など必要物資の供給
・乗組員の安全確保と順次交代
各国ロックダウンによる移動制限により、乗組員交代に支障が出ているため、関係国・機関に働きかけ、早期改善を目指します。
・乗組員及び待機船員への手厚いケアの実施による、安全確保とモチベーション維持
<陸上> 世界規模での在宅勤務徹底による通常事業継続
・在宅勤務環境の整備
大きな混乱もなく、現状通常業務を継続できています。
② 事業環境の変化に対する当社グループの経営課題
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染拡大による事業環境の変化も踏まえ、以下の課題への取組みを強化してまいります。
◆ 当社の強みの徹底的強化による競争力確保
◆ 市況影響の受けにくい事業ポートフォリオの構築
◆ 技術革新、ビジネスモデル変革による成長性の実現
③ 経営管理の高度化の推進
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染拡大により、海上荷動き及び輸送需要の鈍化による海運市況の低迷など、海運業及び当社グループの事業環境が今後大きく変化する可能性がある中で、引続きポートフォリオ戦略転換を支える体制整備として、事業リスク・リターン管理による定量評価の運用の継続的な取組みを進めてまいります。
当社独自の 事業評価指標である「"K" VaCS」(株主資本コストを意識した経済的付加価値を示す収益指標)及び「"K" RIC」(資本コストを意識した企業価値向上を図る効率性指標) を活用し、事業ポートフォリオ内での課題、問題のより明確な捕捉と、自己資本、経営資源の観点から持続的成長に向けた「選択と集中」戦略の明確化に繋がっており、より投下資本、事業リスク・リターンレベルを意識した事業経営を部門レベルまで落とし込み、リスク量と投下資本コントロールなどの具体的な施策を推進してまいります。
(注)1. 「“K” VaCS」 = “K” LINE Value after Cost of Shareholders’equity
株主資本コストを意識した当社独自の経済的付加価値を示す収益指標
2. 「“K” RIC」 = “K” LINE Return on Invested Capital
資本コストを意識した企業価値向上を図る当社独自の効率性指標
④ ESGの取組み推進
上記のようなグループ価値を高める戦略実施に際して最も重要となるガバナンス体制の整備に関して、当社はユニット統括制の導入による業務執行責任体制のより一層の強化や取締役会の実効性評価を進めることなどに取り組んできました。2020年1月からのSOx規制強化においては、規制を遵守しながら本船運航を止めず、経済的影響を最小化する方針のもと対応を進めてきましたが、運航上の大きなトラブルもなく、当初の計画通りに移行が無事完了しました。環境面では、2016年から4年連続でCDP気候変動Aリストに選定され、またPanama Green Shipping Award 2019を受賞するなど、当社の積極的な環境活動が評価されています。
また、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染拡大による、当社グループの安全且つ高品質なサービスへの影響を改めて見直し、危機管理対策の向上として、本船の安全運航継続の徹底、当社グループの従業員における安全な事業継続を念頭とした、環境・安全・ガバナンス体制整備に引き続き尽力してまいります。
◆ 環境対策とCSR
当社グループは重大海難事故ゼロの維持を命題として、『統合船舶運航・性能管理システム“K-IMS”』の開発・導入やエネルギーマネジメントシステムの構築等により、世界トップクラスの安全運航の維持に取り組んでいます。
また、当社グループは事業活動が地球環境に負荷を与えることを自覚し、それを最小限にするべく、環境憲章にその決意を掲げ、これに基づく環境マネジメントシステムにより、具体的な環境保全活動並びに数値目標を定め、その達成状況を基に改善を図っていくなど、環境保全のためのさまざまな取組みを行っています。例えば、省エネ型荷役機器導入や燃料節減によるCO2排出量削減、運航船のバラスト水管理のための処理装置の搭載、SOxスクラバーの搭載や低硫黄燃料使用によるSOx排出量削減、NOx排出低減のための排ガス再循環装置搭載などの環境保全対策を実施しています。これらの取組みが評価され、2019年にはCDP2019気候変動で4年連続Aリストに選定され、また『サプライヤー・エンゲージメント・リーダー・ボード』にも選定されました。また、事業以外でも会社遊休地を利用した里山保全活動など環境保護活動を積極的に実施しています。
2015年3月に様々な環境問題に取り組むべく環境指針『“K”LINE 環境ビジョン2050』を策定しましたが、5年の歳月が経過し改めて当社の環境における重要課題と目標を見直し、2020年に新たな『“K”LINE 環境ビジョン2050』を公表いたしました。今回の環境ビジョンでは、当社が2018年10月に賛同表明している気候変動タスクフォース(TCFD)提言に基づいたシナリオ分析(気候関連リスク・機会を抽出し、そこから財務上の影響の把握を行う)を盛り込み、その内容を踏まえ「脱炭素化」及び「環境影響の限りないゼロ化」をテーマに重要課題・目標の再設定を行っています。
「脱炭素化」に向けては、①LNG燃料焚き自動車船の導入、②LNG燃料供給の事業化、③技術研究組合 CO2 フリー水素サプライチェーン推進機構(HySTRA)への参画など取組みを進めているものもございますが、更なる「脱炭素化」への取組みを一層進めてまいります。
また、SBTイニシアチブ(Science Based Target Initiative)の認証を取得している「2030年までにCO2排出量25%削減(2011年比)」達成を測る指標として、国内外主要連結グループ会社の燃料消費や電気使用量などの環境負荷データを、環境データ集計システムを通じて収集・集計し、当社ホームページに掲載しています。2019年において当社グループの事業に伴う温室効果ガスの排出量は、スコープ1(化石燃料の使用に伴う直接的な排出)10,325,224トン、スコープ2(供給を受けた電力等による間接的な排出)26,220トン、スコープ3(スコープ1・2を除くその他の間接的排出)1,304,803トンという結果となりました。今後も、グループ全体の環境負荷を把握すると同時に、グループ各社での自主的な取組みを促し、必要に応じて追加施策を実施すべく、環境パフォーマンスの見える化に取り組んでまいります。更に、年間の実績データは、第三者機関によるデータ精査と認証を受けた上で社外へ開示しステークホルダーからの評価を次の施策に活かしながら、継続的な改善を図ってまいります。
また、2017年6月に当社グループ全体で環境マネジメントを推進するための体制「DRIVE GREEN NETWORK(DGN)」を構築し、運用を開始いたしました。これは、当社グループ全体で日常業務の中に環境の課題を見出し取り組むことで、グループ全体として持続可能な社会の実現を目指しています。DGNは段階的に当社グループ全体への導入を目指しており、2019年にはphase 3と位置づけ、コンテナ船事業の統合により展開が遅れていた海外関係会社の加入を推進いたしました。今後も更なる加入推進を進めてまいります。
◆ コーポレートガバナンスの強化
グループ価値を高める戦略実施に際して最も重要となるガバナンス体制の整備に関して、当社はユニット統括制の導入による業務執行責任体制のより一層の明確化・強化や重要方針の決定に向けた取締役会モニタリング体制の強化等を実行してきました。リスクマネジメントでは、危機管理委員会とその下部組織(コンプライアンス委員会・安全運航推進委員会・経営リスク委員会・災害対策委員会)がグループのリスク管理にあたり、重要な投資については、投資委員会がその審議にあたる体制としています。
(4)コンプライアンスの徹底
当社は、公正取引委員会による立入検査を受けて以降、外部専門家の協力を得て、各種コンプライアンス強化策を策定・実施していますが、これらの強化策を今後もより一層推進することにより、再発の防止に努めてまいります。
なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末時点において当社グループが判断したものです。
当社グループは国際的な事業展開を行っており、政治的・社会的な要因や自然現象により予期せぬ事象が発生した場合には、関連の地域や市場において事業に悪影響を及ぼす可能性があります。主たる事業である海上輸送の分野においては、荷動き・海運市況は、世界各国の景気動向、商品市況、船腹の需給バランス、競合関係など、様々な要因の影響を受け、その変化は当社グループの営業活動、経営成績に影響を及ぼす可能性があります。特に、わが国及び主要な貿易国(地域)である北米、欧州、中国等の税制、経済政策の変更、あるいは自国保護貿易政策などの発動は、国際間の輸送量の減少や運賃市況の下落を招き、当社グループの財政状態・経営成績に悪影響を与える可能性があります。
このほかに当社グループの事業活動において、悪影響を及ぼす可能性があると考えられる主なリスクには、次のようなものがあります。
① 為替レートの変動
当社グループの事業売上においては米ドル建て収入の比率が大きく、為替レートにより円換算後の価値が影響を受ける可能性があります。当社グループは、費用のドル化や為替予約などにより、為替レートの変動による悪影響を最小限に止める努力をしていますが、米ドルに対する円高は当社グループの財政状態・経営成績に悪影響を与える可能性があります。
② 燃料油価格の変動
燃料費は当社グループの船舶運航コストの中で大きなウェイトを占めています。燃料油価格は、原油の需給バランス、OPECや産油国の動向、産油国の政情や産油能力の変動など当社グループが関与できない要因により影響され、その予想は極めて困難といえます。また、環境規制の拡大・強化に伴い、環境負荷の低い良質な燃料の使用が求められ、結果として価格が割高な燃料を調達せざるを得ない可能性があります。当社グループは、不安定な価格変動の影響を回避するため一部先物取引による価格固定化を行っていますが、著しく、かつ持続的な燃料油価格の高騰は当社グループの事業コストを押し上げ、財政状態・経営成績に悪影響を与える可能性があります。
③ 金利の変動
当社グループは、継続的に船舶の建造等の設備投資を行っています。当社グループは可能な限り自己資金を投入しているほか、オフバランス化による有利子負債の削減を図っていますが、金融機関からの借入れに依存する割合も少なくありません。また、事業運営に係わる運転資金調達を行っています。
資金調達に際しては、一定の規模を固定金利で借り入れ、また船舶・設備投資資金の借入れの一部を対象とした金利固定化スワップを実施していますが、将来の金利動向によっては資金調達コストの上昇による影響を受け、当社グループの財政状態・経営成績に悪影響を与える可能性があります。
④ 公的規制
海運事業は、一般的に船舶の運航、登録、建造、環境保全に係わる様々な国際条約、各国・地域の事業許可や租税に係る法・規制による影響を受けます。今後、新たな法・規制が制定され、当社グループの事業展開を制限し、事業コストを増加させ、結果として当社グループの財政状態・経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。当社グループの運航船舶は、現行の法・規制に従い管理・運航され、かつ適正な船舶保険が付保されていますが、関連法・規制の変更が行われる可能性はあり、また新たな法・規制への対応に費用が発生する可能性があります。
当社グループは、自動車、車両系建設機械等の貨物の輸送に関するカルテルの可能性に関連して、海外の競争法当局による調査の対象になっています。また、一部の国において当社グループを含む複数の事業者に対し本件に関する集団訴訟が提起されています。
⑤ 重大な事故・環境破壊・紛争等
当社グループは、安全運航の徹底、環境保全を最優先課題として、当社グループの安全運航水準と危機管理体制の維持強化を図っています。
環境保全については、当社グループの事業活動が地球環境に負荷を与えることを自覚し、それを最小限にするべく、環境憲章を掲げています。環境憲章に沿って、環境への取組みを確実に推進するために、社長を委員長とする社会・環境委員会を設置して、推進体制の審議・策定をしています。また、2015年3月には“K”LINE 環境ビジョン2050 『青い海を明日へつなぐ』を策定し、全社一丸となっての長期取組み方針を定めました。
安全運航については、社長を委員長とする安全運航推進委員会を定期的に開催し、安全運航に関わるすべての案件について、あらゆる視点に基づいた検討と取組みを行っています。更に緊急時の事故対応をまとめた「事故対応マニュアル」を策定し、定期的な事故対応演習により継続的改善を図っています。しかしながら、不測の事故、とりわけ油濁その他環境汚染に繋がる重大事故等が発生し、環境汚染を引き起こした場合、当社グループの財政状態・経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。また、海賊被害、政情不安・武力紛争地域での運航、船舶へのテロ行為リスクの増大は、当社グループの船舶に重大な損害を与え、また船員の生命を危険にさらすなど、当社グループ船舶の安全運航、航海計画管理、海上輸送事業全般に悪影響を与える可能性があります。
⑥ 競争環境等
当社グループは、国際的な海運市場の中で事業展開を行っており、有力な国内外の海運企業グループとの競合関係の中では、他企業との各事業分野への経営資源の配分の度合い及びコスト・技術面等の競争力の差によって、当社グループの業界での地位や経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。
競争環境の厳しいコンテナ船事業においては、他の海運企業とのアライアンスに参加することでサービスの競争力の維持・向上を図っていますが、一方で、アライアンスメンバーの一方的離脱など当社グループが関与し得ない事象は、当社グループの営業活動、財政状態、経営成績に悪影響を与える可能性があります。
⑦ 自然災害の発生
自然災害発生時の事業継続は、社会の機能の一端を担い社会に責任を負う当社グループの責務であるとともに、当社グループの存在意義に係わる重大な事項です。首都圏直下型大地震が発生した場合には、多くの建物、交通、ライフラインに甚大な影響が及ぶことが想定され、また新型インフルエンザ等対策特別措置法に準ずる感染症が発生し、世界的大流行(パンデミック)となった場合には、多くの人々の健康に重大な影響が及ぶことが懸念されます。また、これらの自然災害またはその二次災害に伴う風評被害が広がることが懸念されます。当社グループではこの2つの災害を想定した事業継続計画(BCP)を策定し、自然災害の発生時には、この計画を適用または応用することで可能な限りの事業継続を目指していますが、当社グループの事業全般に対し少なからず悪影響を与える可能性があります。
現在の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)拡大に際しては、この計画を応用する形で事業継続のための対策を実施しています。
なお、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響に関する詳細については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表(2 財務諸表等 (1) 財務諸表) 注記事項 (追加情報)」に記載のとおりです。
⑧ 取引先の契約不履行
当社グループは、サービスを提供あるいは享受する取引先の選定においては、その信頼性を可能な限り調査していますが、将来において取引先の財政状態の悪化などにより、契約条項の一部または全部が履行不可能となる可能性があります。その結果、当社グループの財政状態・経営成績に悪影響を与える可能性があります。
⑨ 投資計画の未達成
当社グループは、船隊整備のために必要な投資を計画していますが、今後の海運市況や公的規制等の動向によって計画が想定どおりに進捗しない場合、造船契約を新造船の納入前に解約するなどにより、当社グループの財政状態・経営成績に悪影響を与える可能性があります。また、これらの新造船の納入時点において貨物輸送への需要が想定を下回る場合、当社グループの財政状態・経営成績に悪影響を与える可能性があります。
⑩ 船舶の売却等による損失
当社グループは、市況に応じた柔軟な船隊整備に努めていますが、実際の船腹需給バランスの悪化、船舶の技術革新による陳腐化や傭船市況の動向に伴い、保有する船舶を売却し、また傭船する船舶の傭船契約を中途解約する場合があります。この結果、当社グループの財政状態・経営成績に悪影響を与える可能性があります。
⑪ 固定資産の減損損失
当社グループが保有する船舶等の固定資産について、収益性の低下により投資額の回収が見込めなくなる可能性があります。その結果、減損損失を認識するに至った場合には、当社グループの財政状態・経営成績に悪影響を与える可能性があります。また、当社グループは有価証券の評価基準及び評価方法として、投資有価証券のうちの時価のあるものについては期末日の市場価格等に基づく時価法を採用しています。その結果、株式市況の変動による時価の下落が当社グループの財政状態・経営成績に悪影響を与える可能性があります。
⑫ 繰延税金資産の取崩し
当社グループは、将来の課税所得の見積りに基づいて、繰延税金資産の回収可能性を評価しています。収益力の低下により充分な課税所得が将来確保されないとの判断に至った場合、繰延税金資産を取り崩して税金費用を計上することとなり、当社グループの財政状態・経営成績に悪影響を与える可能性があります。
⑬ 傭船契約損失引当金
当社グループは、当社又は連結子会社が借船したコンテナ船を傭船者に定期貸船しています。貸船料は傭船市況の変動に一定の影響を受けるため、貸船料が借船料を下回るリスクがあります。当社グループは、貸船料が借船料を下回る契約から生じる可能性のある将来の損失に充てるため、入手可能な情報に基づき、合理的に見積もることができるものについて会計上の引当を行っていますが(「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項 ハ 重要な引当金の計上基準参照)、当社グループの傭船契約への対応方針や傭船市況の動向によっては追加の引当金の計上が必要となり、当社グループの財政状態・経営成績に悪影響を与える可能性があります。
なお、文中における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(2020年6月23日)現在において当社グループが判断したものです。また、ここに記載するものが当社グループのすべてのリスクではありません。
世界経済は、米中貿易摩擦の激化、英国のEU離脱法案の成立など地政学的な不透明感、中国及び新興国における景気減速に加え、2020年に入り新型コロナウイルス感染症(COVID-19)拡大の影響による消費・製造の低迷により、世界各国の経済活動が大きく制限され、非常に厳しい状況となりました。このような事業環境のもとで当社は、現中期経営計画「『飛躍への再生』
Value for our Next Century」の最終年度を迎え、昨年度末にコンテナ船及び中小型ドライバルク船の高コスト船の傭船解約を実施、構造改革効果が着実に現出しました。
自動車船事業では大幅な航路改編と運賃修復の取組みが功を奏し、黒字回復を達成し、エネルギー資源セグメントを中心に安定収益の積上げが進みました。
また、当社持分法適用会社であるONE社も、ONE社として初めて自らのマーケティングポリシーのもとで契約更改に臨んだ結果、業績は大幅に改善し黒字化を達成しました。
これらの結果、当期の連結売上高は7,352億84百万円(前期比1,014億46百万円の減少)、営業利益は68億40百万円(前期は247億36百万円の営業損失)、経常利益は74億7百万円(前期は489億33百万円の経常損失)、親会社株主に帰属する当期純利益は52億69百万円(前期は1,111億88百万円の親会社株主に帰属する当期純損失)となりました。
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の今後の広がり方や収束時期に関しては不確実性が高く、先行きの情勢を見極めることが困難な状況となっていることから、2020年度業績予想については、現在未定とさせて頂いています。
業績等の概要
(1)業績
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(単位:百万円) |
|
|
前連結会計年度 (2019年3月期) |
当連結会計年度 (2020年3月期) |
増減額 (増減率) |
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売上高 |
836,731 |
735,284 |
△101,446 |
(△12.1%) |
|
営業利益又は営業損失(△) |
△24,736 |
6,840 |
31,576 |
(-) |
|
経常利益又は経常損失(△) |
△48,933 |
7,407 |
56,341 |
(-) |
|
親会社株主に帰属する当期純利益又は 親会社株主に帰属する当期純損失(△) |
△111,188 |
5,269 |
116,457 |
(-) |
当連結会計年度(2019年4月1日から2020年3月31日まで)における世界経済は、米中を中心とした貿易摩擦の激化、保護貿易主義の高まりを受けての経済成長減速懸念や、英国によるEU離脱法案が成立するなど地政学的な不透明感、中国及び新興・途上国における景気減速に加え、2020年に入り新型コロナウイルス感染症(COVID-19)拡大の影響による消費・製造の低迷などもあり、世界各国の経済活動が大きく制限され始めるなど、非常に厳しい状況となりました。
国内経済は、上期は消費税率引き上げ前に一定の駆け込み需要があった反面、下期は消費税率引き上げによる消費の落ち込み、台風による影響の他、2020年に入ってからの新型コロナウイルス感染症(COVID-19)拡大の影響もあり、消費減退などによる景気後退となりました。
一方で海運業を取りまく事業環境は、ドライバルクセグメントにおいては、大型船市況は昨年度ブラジルで発生したダム決壊事故が当期首に波及し低迷しましたが、ブラジルの鉄鉱石供給力が回復することに伴い回復基調をたどりました。中・小型船市況は、上期は堅調に推移し、下期は軟化傾向が見られたものの、大型船市況回復の好影響に牽引された形で堅調に推移しました。エネルギー資源セグメントにおいては、全般的に中長期の傭船契約を中心とした事業展開のもとで順調に稼働し、安定的に収益に貢献しました。製品物流セグメントにおいては、自動車船事業において一部不採算航路の休止・改編を含む合理化等を実施し、収支改善の取組みを強化しました。コンテナ船事業においては、当社持分法適用会社であるONE社において航路改編や合理化等による収支改善に向けた取組みを行いました。2020年に入り新型コロナウイルス感染症(COVID-19)拡大に伴い、製品物流を中心とした貨物量の減退が発生するなどの影響は出たものの、上記取組みの結果、当年度の業績では黒字化を達成いたしました。
なお、為替レートと燃料油価格が経常利益に与えた影響は以下のとおりです。
|
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前連結会計年度 |
当連結会計年度 |
増減額 |
影響額 |
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為替レート |
¥111/US$ |
¥109/US$ |
¥△2/US$ |
△9.8億円 |
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燃料油価格 |
US$450/MT |
US$467/MT |
US$17/MT |
0.1億円 |
<為替の推移(¥/US$)> <消費燃料油価格の推移(US$/MT)>

(注)為替・消費燃料油価格(平均補油価格)とも、当社社内値です。
また、当連結会計年度の事業セグメントごとの業績は、次のとおりです。
(単位:百万円)
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|
前連結会計年度 (自 2018年4月1日 至 2019年3月31日) |
当連結会計年度 (自 2019年4月1日 至 2020年3月31日) |
増減額 (増減率) |
||
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ドライバルク |
売上高 |
273,826 |
233,781 |
△40,044 |
(△14.6%) |
|
セグメント損益 |
4,441 |
4,089 |
△351 |
(△7.9%) |
|
|
エネルギー 資源 |
売上高 |
88,701 |
84,676 |
△4,024 |
(△4.5%) |
|
セグメント損益 |
2,491 |
9,921 |
7,429 |
(298.2%) |
|
|
製品物流 |
売上高 |
441,028 |
384,508 |
△56,520 |
(△12.8%) |
|
セグメント損益 |
△49,196 |
△2,933 |
46,263 |
( - ) |
|
|
その他 |
売上高 |
33,175 |
32,318 |
△857 |
(△2.6%) |
|
セグメント損益 |
1,124 |
1,732 |
607 |
(54.0%) |
|
① ドライバルクセグメント
[ドライバルク事業]
大型船市況は、前期末にブラジルで発生したダム決壊事故の影響が当期首にまで波及し低迷しましたが、ブラジル出し鉄鉱石の供給力回復に伴い、上期は回復基調をたどりました。中・小型船市況は、大型船市況回復に牽引されたことに加え、南米出し穀物輸送需要が強く、上期は堅調に推移しました。
下期に入ると、大型船はブラジルからの鉄鉱石出荷量の減少、中・小型船は南米出し穀物や中国向け一般炭の荷動き鈍化による影響を受けるなか、期末にかけて新型コロナウイルス感染症(COVID-19)拡大による輸送需要縮小の影響を全船型で受け、市況は軟調に推移しました。
このような状況のなか、運航コストの削減・配船の効率化に努めましたが、環境規制対応装置の設置工事による船舶不稼働もあり、ドライバルクセグメント全体では前期比で減収減益となりました。
② エネルギー資源セグメント
[油槽船事業・電力炭船事業]
大型原油船、LPG船、電力炭船ともに、中長期の傭船契約のもとで順調に稼働し、安定的に収益に貢献しました。
[液化天然ガス輸送船事業・海洋資源開発事業]
LNG船、ドリルシップ(海洋掘削船)及びFPSO(浮体式石油・ガス生産貯蔵積出設備)は中長期の傭船契約を中心とした事業展開のもとで順調に稼働し、安定的に収益に貢献しました。
オフショア支援船においても、船腹の需給バランスが改善し、市況が回復しました。
以上の結果、エネルギー資源セグメント全体では前期比で減収となるも、増益となりました。
③ 製品物流セグメント
[自動車船事業]
当社自動車船事業の輸送台数は、極東出し航路においては安定した荷動きを維持しているものの、三国間等における一部不採算航路の休止・改編を含む合理化により全体では前期比で減少しました。
一方で、運航効率の改善、運賃修復、船隊規模の最適化等、収支改善の取組みにより、前期比で減収となりましたが、黒字に転換しました。
[物流事業]
国内物流事業は、期末にかけて新型コロナウイルス感染症(COVID-19)拡大の影響による貨物量減少に伴い、曳船、航空・海上貨物輸送で影響が生じたものの、倉庫事業は堅調に推移しました。
一方で、国際物流事業においては、航空貨物輸送におけるアジア域内及び欧米向けの取扱量が前期に比べ減少傾向となったことにより、物流事業全体では前期比で減収減益となりました。
[近海・内航事業]
近海事業は、鋼材やバイオマス燃料を中心に輸送量が堅調に推移した一方、木材や石炭の輸送量は、前期を下回りました。内航事業は、定期船で運航効率の改善を実施したことでスケジュールが安定し輸送量が増加しました。フェリー事業は、大型連休中の利用が増加したことなどを背景に堅調に推移しましたが、期末にかけて新型コロナウイルス感染症(COVID-19)拡大の影響を受けたことで、前期並みの輸送量となりました。
この結果、近海・内航事業全体では輸送量が前期をやや下回り、減収減益となりました。
[コンテナ船事業]
当社持分法適用会社であるONE社の業績は、上期は積高・消席率の回復、貨物ポートフォリオ改善、航路改編・合理化による運航費削減をはじめとした収支改善の取組みを実施しました。
下期は新型コロナウイルス感染症(COVID-19)を発端として中国旧正月明けから荷動きの低迷が見られましたが、ONE社では需要に合わせた柔軟な減便を実施するなどの収益改善に向けた取組みを行ったことにより、前期比で減収となりましたが、損失は縮小しました。
以上の結果、製品物流セグメント全体では、前期比で減収となるも、損失は縮小しました。
④ その他
その他には、船舶管理業、旅行代理店業、不動産賃貸・管理業等が含まれており、当期の業績は前期比で減収となるも、増益となりました。
(2)キャッシュ・フロー
当連結会計年度末における現金及び現金同等物は1,119億33百万円となり、前連結会計年度末より261億7百万円減少しました。各キャッシュ・フローの状況は次のとおりです。
営業活動によるキャッシュ・フローは、傭船解約に伴う支払額等により、当連結会計年度は217億97百万円のマイナス(前連結会計年度は68億8百万円のマイナス)となりました。
投資活動によるキャッシュ・フローは、船舶の取得による支出等により、当連結会計年度は202億86百万円のマイナス(前連結会計年度は354億93百万円のマイナス)となりました。
財務活動によるキャッシュ・フローは、長期借入れによる収入等により、当連結会計年度は167億31百万円のプラス(前連結会計年度は192億90百万円のプラス)となりました。
生産、受注及び販売の状況
当社グループは、海運業を中核とする海運事業グループであり、ドライバルク事業、エネルギー資源事業、製品物流事業を行っています。この他、船舶管理業、旅行代理店業及び不動産賃貸・管理業等を展開しています。従って、生産、受注を行っておらず、セグメントごとに生産規模及び受注規模を金額あるいは数量で示すことはしていません。
セグメント別売上高(外部顧客に対する売上高)
セグメント別売上高(外部顧客に対する売上高)の実績は、下記のとおりです。
|
セグメントの名称 |
前連結会計年度 (自 2018年4月1日 至 2019年3月31日) |
当連結会計年度 (自 2019年4月1日 至 2020年3月31日) |
||
|
金額(百万円) |
比率(%) |
金額(百万円) |
比率(%) |
|
|
ドライバルク |
273,826 |
32.7 |
233,781 |
31.8 |
|
エネルギー資源 |
88,701 |
10.6 |
84,676 |
11.5 |
|
製品物流 |
441,028 |
52.7 |
384,508 |
52.3 |
|
その他 |
33,175 |
4.0 |
32,318 |
4.4 |
|
合計 |
836,731 |
100.0 |
735,284 |
100.0 |
当社(川崎汽船㈱)の営業収益実績(参考)
提出会社のセグメント別営業収益の実績は、下記のとおりです。
|
区分 |
前事業年度 (自 2018年4月1日 至 2019年3月31日) |
当事業年度 (自 2019年4月1日 至 2020年3月31日) |
||
|
金額(百万円) |
比率(%) |
金額(百万円) |
比率(%) |
|
|
(ドライバルク) |
254,989 |
43.5 |
217,100 |
43.5 |
|
(エネルギー資源) |
71,047 |
12.1 |
66,808 |
13.4 |
|
(製品物流) |
260,037 |
44.3 |
214,938 |
43.1 |
|
海運業収益 |
586,073 |
99.9 |
498,847 |
100.0 |
|
(その他) |
334 |
0.1 |
53 |
0.0 |
|
その他事業収益 |
334 |
0.1 |
53 |
0.0 |
|
合計 |
586,408 |
100.0 |
498,901 |
100.0 |
経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析
(1)重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されています。この連結財務諸表の作成にあたり、見積りが必要な事項につきましては、一定の会計基準の範囲内にて合理的な基準に基づき、会計上の見積りを行っています。
詳細につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載のとおりです。
なお、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響に関する詳細については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表(2 財務諸表等 (1) 財務諸表) 注記事項 (追加情報)」に記載しています。
(2)当連結会計年度の経営成績の分析
① 売上高
売上高は前年度に比べ12.1%減収の7,352億84百万円となりました。報告セグメント別では、ドライバルクセグメントは、上期には大型船市況回復、中・小型船市況も堅調に推移しましたが、下期には全船型において市況は軟調に推移、また期末にかけて新型コロナウイルス感染症(COVID-19)拡大による輸送需要縮小の影響を受け、前年度に比べ、14.6%減収の2,337億81百万円となりました。
エネルギー資源セグメントは、油槽船事業・電力炭船事業では中長期の傭船契約のもとで順調に稼働し、液化天然ガス輸送船事業・海洋資源開発事業でも、中長期の傭船契約を中心とした事業展開のもとで順調に稼働しました。オフショア支援船においても、船腹の需給バランスが改善し、市況が回復しましたが、エネルギー資源セグメント全体では前年度に比べ4.5%減収の846億76百万円となりました。
製品物流セグメントは、自動車船事業では、三国間等における一部不採算航路の休止・改編を含む合理化により輸送台数が減少しました。物流事業では、国内物流事業は期末にかけて新型コロナウイルス感染症(COVID-19)拡大の影響により貨物量が減少し、国際物流事業では前年度に比べ航空貨物輸送の取扱量が減少しました。近海・内航事業では、近海事業において木材や石炭の輸送量は前年度より減少した一方、内航事業においては、輸送量が増加しました。コンテナ船事業では、ONE社は収支改善の取組みを実施しましたが、下期は新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響を受け、荷動きの低迷が見られました。製品物流セグメント全体では前年度に比べ12.8%減収の3,845億8百万円となりました。
その他セグメントは、2.6%減収となりました。
② 売上原価、販売費及び一般管理費
売上原価は、自動車船事業での航路の合理化及び運航効率の改善などにより、前年度の8,004億97百万円から1,291億10百万円減少し、6,713億87百万円(前年度比16.1%減)となりました。営業収入に対する売上原価の比率は4.4ポイント減少して91.3%となりました。販売費及び一般管理費は39億13百万円減少し、570億57百万円(前年度比6.4%減)となりました。
③ 営業利益
売上総利益の増加により、前年度の247億36百万円の営業損失に対し68億40百万円の営業利益となりました。
④ 営業外収益(費用)
80億11百万円の持分法による投資利益(前年度は188億75百万円の持分法による投資損失)を計上したことが主な要因となり、営業外損益は5億67百万円の利益(前年度は241億97百万円の損失)となりました。
⑤ 税金等調整前当期純利益
固定資産の売却などにより特別利益は102億3百万円となりました。また投資有価証券評価損や減損損失などにより特別損失は62億95百万円となりました。これらの結果、税金等調整前当期純利益は113億15百万円(前年度は994億22百万円の税金等調整前当期純損失)となりました。
⑥ 法人税等
法人税等は、主として提出会社における法人税等調整額の減少により、前年度の93億59百万円から62億48百万円減少し31億11百万円となりました。
⑦ 非支配株主に帰属する当期純利益
非支配株主に帰属する当期純利益は、主としてKLKGホールディングス㈱などの非支配株主に帰属する当期純利益が増加し、前年度の24億5百万円に対し、29億34百万円となりました。
⑧ 親会社株主に帰属する当期純利益
親会社株主に帰属する当期純利益は、前年度の1,111億88百万円の親会社株主に帰属する当期純損失に対し、52億69百万円の親会社株主に帰属する当期純利益となりました。1株当たり当期純利益は、前年度の1,192.08円の1株当たり当期純損失に対し、56.50円の1株当たり当期純利益となりました。
(3)資本の財源及び資金の流動性についての分析
① キャッシュ・フローの状況
「第2 事業の状況 業績等の概要 (2) キャッシュ・フロー」をご参照ください。
② 資金需要
当社グループの運転資金需要のうち主なものは、当社グループのドライバルク事業や自動車船事業の運営に関わる海運業費用です。この中には港費・貨物費・燃料費などの運航費、船員費・船舶修繕費などの船費及び借船料などが含まれます。このほか物流事業の運営に関わる労務費等の役務原価、各事業についての人件費・情報処理費用・その他物件費等の一般管理費があります。また、設備資金需要としては船舶投資や物流設備・ターミナル設備等への投資があります。当連結会計年度中に811億48百万円の設備投資を実施しました。
③ 財務政策
当社グループの事業維持・拡大を支える低コストで安定的な資金の確保を重視しています。長期の資金需要に対しては金融機関からの長期借入金を中心に、社債発行、新株発行により調達しています。短期的な運転資金を銀行借入、コマーシャルペーパー(CP)発行等により調達し、一時的な余資は安定性・流動性の高い金融資産で運用しています。また、キャッシュマネージメントシステム等を利用して、国内・海外グループ会社の余剰資金を有効活用しています。
流動性の確保としまして、CP発行枠600億円に加え、国内金融機関と800億円の複数年のコミットメントラインを設定し、緊急の資金需要に備えています。
当社は日本格付研究所(JCR)から格付を取得しており、2020年6月23日0時現在の発行体格付は、「BBB-」となっています。また、短期債格付(CP格付)については「J-2」を取得しています。
(4)財政状態
当連結会計年度末の資産合計は、前年度末比551億80百万円減少し8,960億81百万円となりました。流動資産は、現金及び預金の減少等により、前年度末比298億38百万円減少し2,590億32百万円となりました。
固定資産は前年度末比253億42百万円減少し6,370億48百万円となりました。固定資産のうち有形固定資産は、主に建設仮勘定の減少等により、前年度末比175億42百万円減少し4,310億89百万円となりました。投資その他の資産は、主に投資有価証券の減少等により、前年度末比77億52百万円減少し2,016億29百万円となりました。
当連結会計年度末の負債合計は、前年度末比741億81百万円減少し6,958億47百万円となりました。短期借入金が増加したものの、支払手形及び営業未払金の減少等により、流動負債は2,361億39百万円となり、固定負債は4,597億7百万円となりました。
当連結会計年度末の純資産合計は、前年度末比190億0百万円増加し、2,002億34百万円となりました。純資産のうち株主資本は、主に資本剰余金が123億39百万円増加したこと及び利益剰余金が53億57百万円増加したことにより、1,088億52百万円となりました。その他の包括利益累計額は、為替換算調整勘定が88億85百万円減少したことを主な要因として、前年度末比201億79百万円減少し△77億56百万となりました。
当社は、2018年3月20日に締結しました、コミットメントライン契約による資金調達を2020年4月20日に実行しました。詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表(2 財務諸表等 (1) 財務諸表) 注記事項 (重要な後発事象)」に記載のとおりです。
当社グループは、輸送技術の革新、安全輸送の徹底及び環境保全等に関する研究開発に取り組んでおり、他社と共同による船舶の省エネ化・環境対策に資する技術の高度化研究を通じ、省エネ・環境対策技術の保有を目指しています。
なお、当連結会計年度の研究開発費の総額は