(1)会社の経営の基本方針
当社グループは、「安全で最適なサービス、公正な事業活動、変革への飽くなきチャレンジ、人間性の尊重」を重要な価値観と考え、海運業を母体とする総合物流企業グループとしてグローバルに事業を展開しています。また、人々の生活を支えるインフラとしての社会的使命を認識し、安全・安心な世界の物流を支えると同時に、脱炭素化・低炭素化の実現に向けた取組みなどを進めてまいります。当社グループが社会とともに持続的に発展していくためのサステナビリティ経営を強化し、事業戦略と組織横断の機能戦略を全社一体となって推進してまいります。
(2)中期的な会社の経営戦略
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響により、世界の人々の価値観や行動様式は大きく変わりました。カーボンニュートラルに向けた対応の加速など環境問題への取組みや、デジタル技術の活用などの従来からの課題も、その重要性が高まっています。
当社グループは、このような事業環境の変化に柔軟に対応し、サステナブルな成長を可能とするため、中長期の経営方針を策定しました。経営戦略として「自営事業の4本柱を磨き上げる」ことや「新たな事業領域への挑戦」など新たに5つの事業戦略を立てたことに加えて、サステナビリティ経営への取組みを強化することで、企業価値を向上させ、全てのステークホルダーに選ばれ続ける会社を目指します。また、企業価値向上のために設定した「安全・品質、環境・技術、ガバナンス、グループ経営、人材、財務体質、DX、業務効率化」による8つの全社横断テーマを梃子にして、事業戦略と、組織横断の機能戦略を全社一体となって推進してまいります。一方で、コロナ禍を巡る状況など、様々な不確実性が事業環境に大きな影響を及ぼすことから、経営計画自体も毎年見直していくローリングプランとしています。5年先の2025年、そして10年先の2030年を見据えた経営計画を立て、達成に向けた施策を年次で発表してまいります。
目標とする経営指標については、中期的・長期的な観点においてそれぞれ以下のとおり設定しました。
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2020年代半ば |
~2030年度 |
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経常利益 |
300億円 |
500億円 |
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自己資本 |
3,000億円 |
4,000億円 |
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自己資本比率 |
30%以上 |
40%以上 |
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ROE |
10%以上 |
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中期的な水準を2020年代半ばまでに達成すべく具体的な施策を実行し、進捗を見ながら策を練り、2030年度の目標達成へ向けて着実に取り組んでまいります。
(3)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
① 事業戦略
◆ 自営事業の4本柱を磨き上げる
ドライバルク、エネルギー資源、自動車船、物流・近海内航の4本柱を以下の取組みなどによって磨き上げます。
a 顧客への提案力強化
b 成長市場における拠点強化
c 船隊規模適正化の推進
d データ活用による安全・安心な高品質サービスの一層の向上
e 徹底した配船効率の追求
◆ 新たな事業領域への挑戦
当社の知見を生かし信頼できるパートナーと共同で以下のような成長分野に注力します。
a 再生可能エネルギー分野
b 新エネルギー輸送需要
c 小型LNG船輸送
d LNG供給船等周辺事業
e 脱炭素・低炭素関連技術の活用
f DXを活用した新たな価値の提供
◆ アジアを中心に海外展開を加速
a 成長市場のアジアを中心としたグローバルな事業展開の進展
b 当社グループのネットワーク活用、グローバルなパートナーとの協業
◆ コンテナ船事業は主要事業部門として株主の立場からOCEAN NETWORK EXPRESS PTE. LTD.
(以下、「ONE社」という。)へのサポートを継続
◆ 継続的な財務基盤の拡充
② サステナビリティ経営の推進
◆ 脱炭素とサステナビリティ経営への取組み
脱炭素・低炭素の目標を更に強力に推進させる社内組織を創設し、これらの具体的な目標を達成するための取組みを進めています。新たな社会インフラの整備の役割、顧客への付加価値、自社船舶燃料の代替を脱炭素・低炭素のポイントとして、これまでの安全・品質・環境の取組みに加えて、新技術の研究開発にも力を入れていきます。
◆ 環境マネジメント推進の取組み体制
サステナビリティ経営を促進していくため、2021年4月に、以下3つの部署を設立しました。社内の関係組織や関係会社と連携して、より多角的・体系的に事業活動を通じて環境保全を図りつつ、経済・社会の持続的な発展に貢献し、企業価値の向上に努めてまいります。
・サステナビリティ推進・IR・広報グループ
・GHG削減戦略グループ
・カーボンニュートラル推進グループ
これらのグループで協力して環境関連の取組みを推進し、また、既存の環境推進グループ、燃料グループ、及び先進技術グループとも連携をとり、取組みを強化して進めてまいります。
◆ カーボンニュートラル社会実現のための環境投資
脱炭素・低炭素に向けて、1,000億円規模の投資を予定しています。
環境関連の技術開発や船上の設備、低炭素に資する新事業、代替燃料焚き船舶の建造などが主な計画ですが、これに加えて、投資に対するインターナルカーボンプライシングを考慮した評価方法の運用開始により、低炭素投資の促進などの取組みも随時進めていきます。
◆ 当社サステナビリティ経営の具体的取組み
当社は創業以来、海運を中核とする総合物流企業として国際的な社会インフラを担ってきましたが、人々の生活や経済を支えるライフラインとしての使命を果たすには、経営にサステナビリティ(環境・社会・経済の持続可能性)を重視する視点が欠かせません。そこで、2020年度はサステナビリティ推進体制の強化に向けた種々の取組みを実施しました。
まず、サステナビリティを経営に組み込む、という会社としての意思を明確に表明するために、2020年4月に国連グローバル・コンパクトに署名し、参加企業として登録されました。
また、同じく2020年4月には、安全運航・環境対応を含めた高品質物流サービスの強化を推進し、競争力を更に強化することを目的とした社長執行役員直下の部門横断組織として、「安全環境支援技術プロジェクトチーム」と「代替燃料プロジェクトチーム」を組成しました。
更に、サステナビリティ経営の更なる推進・強化を目的として、2021年4月以降の部署の新設・改編及び委員会組織の改編を決定しました。
具体的には、まず、サステナビリティ推進の実務を担う部署として、「サステナビリティ推進・IR・広報グループ」、「GHG削減戦略グループ」及び「カーボンニュートラル推進グループ」を新設しました。「サステナビリティ推進・IR・広報グループ」は、従来のCSR・IR・広報機能を統合し、サステナビリティ経営の推進主体として、社内外のステークホルダーとのコミュニケーションを促進します。「GHG削減戦略グループ」は、次世代環境船舶戦略を技術面で統括することを目的として設置されたもので、アンモニア、水素といった新燃料対応、電気推進(EV)、CCS(二酸化炭素回収・貯留)やメタネーションといったGHG 削減技術の研究・実現に取り組むとともに、実用段階にあるLNG 燃料船の導入を推進します。「カーボンニュートラル推進グループ」は、洋上風力を含む再生エネルギー関連事業、二酸化炭素回収・利用・貯留(CCUS)事業、燃料転換(LNG バリューチェーン)事業、排出権取引など、カーボンニュートラル事業を推進します。これらの新設組織と、既存の「環境推進グループ」、「燃料グループ」及び「先進技術グループ」を合わせ、新たな推進体制のもとでサステナビリティの取組みを強化してまいります。
また、サステナビリティを司るガバナンス体制として、社長執行役員を委員長とする「サステナビリティ経営推進委員会」を、従来の「社会・環境委員会」を発展的に改組する形で発足させることとしました。更に、その下部組織として、従来の「CSR専門委員会」を「サステナビリティ専門委員会」に改組し、既存の「環境専門委員会」と合わせ、企業価値向上に資する方向性を討議し、内外への発信施策を策定する体制を整備することになりました。併せて、2020年4月に組成された「代替燃料プロジェクトチーム」については、加速度を付けた取組みとするために、「代替燃料プロジェクト委員会」に改組することも決定しました。
◆ 安全・環境・品質の取組み
当社グループは重大海難事故ゼロの維持を命題として、『統合船舶運航・性能管理システム“K-IMS”』の開発・導入やエネルギーマネジメントシステムの構築等により、世界トップクラスの安全運航の維持に取り組んでいます。
また、当社グループは事業活動が地球環境に負荷を与えることを自覚し、それを最小限にするべく、環境憲章にその決意を掲げ、これに基づく環境マネジメントシステムにより、具体的な環境保全活動並びに数値目標を定め、その達成状況を基に改善を図っていくなど、環境保全のための様々な取組みを行っています。例えば、省エネ型荷役機器導入や燃料節減によるCO2排出量削減、運航船のバラスト水管理のための処理装置の搭載、SOxスクラバーの搭載や低硫黄燃料使用によるSOx排出量削減、NOx排出低減のための排ガス再循環装置搭載などの環境保全対策を実施しています。これらの取組みが評価され、2020年にはCDP2020気候変動で5年連続Aリストに選定され、また『サプライヤー・エンゲージメント・リーダー・ボード』にも3年連続で選定されました。また、事業以外でも当社遊休地を利用した里山保全活動など環境保護活動を積極的に実施しています。
2015年3月に様々な環境問題に取り組むべく環境指針『“K”LINE 環境ビジョン2050』を策定しましたが、5年の歳月が経過し改めて当社の環境における重要課題と目標を見直し、2020年に新たな『“K”LINE 環境ビジョン2050』を公表いたしました。
新たな環境ビジョンではシナリオ分析の結果を踏まえて取り組むべき課題及び目標の一部を見直すとともに、目標を「脱炭素化」、「環境影響の限りないゼロ化」の2軸で再整理しました。特に「脱炭素化」に向けては、①次世代型環境対応LNG燃料焚き自動車専用船“CENTURY HIGHWAY GREEN”の竣工、②LNG燃料供給事業の開始、③風力を利用した自動カイトシステム“Seawing”の実装化など取組みを進めているものもございますが、更なる「脱炭素化」への取組みを一層進めてまいります。
また、SBTイニシアチブ(Science Based Target Initiative)の認証を取得している「2030年までにCO2排出量25%削減(2011年比)」達成を測る指標として、国内外主要連結グループ会社の燃料消費や電気使用量などの環境負荷データを、環境データ集計システムを通じて収集・集計し、当社ホームページに掲載しています。2020年において当社グループの事業に伴う温室効果ガスの排出量は、スコープ1(化石燃料の使用に伴う直接的な排出)9,202,613トン、スコープ2(供給を受けた電力等による間接的な排出)21,780トン、スコープ3(スコープ1・2を除くその他の間接的排出)1,219,525トンという結果となりました。今後も、グループ全体の環境負荷を把握すると同時に、グループ各社での自主的な取組みを促し、必要に応じて追加施策を実施すべく、環境パフォーマンスの見える化に取り組んでまいります。更に、年間の実績データは、第三者機関によるデータ精査と認証を受けた上で社外へ開示しステークホルダーからの評価を次の施策に生かしながら、継続的な改善を図ってまいります。
また、2017年6月に当社グループ全体で環境マネジメントを推進するための体制「DRIVE GREEN NETWORK(DGN)」を構築し、運用を開始いたしました。これは、当社グループ全体で日常業務の中に環境の課題を見出し取り組むことで、グループ全体として持続可能な社会の実現を目指しています。DGNは段階的に当社グループ全体への導入を進めており、2020年には大部分の国内外グループ会社の加入が完了いたしました。
◆ コーポレートガバナンス体制の強化
グループ価値を高める戦略実施に際して最も重要となるガバナンス体制の整備に関して、当社はユニット統括制の導入による業務執行責任体制のより一層の明確化・強化や重要方針の決定に向けた取締役会モニタリング体制の強化等を実行してきました。リスクマネジメントでは、危機管理委員会とその下部組織(コンプライアンス委員会・安全運航推進委員会・経営リスク委員会・災害対策委員会)がグループのリスク管理にあたり、重要な投資については、投資委員会がその審議にあたる体制としています。
(4)コンプライアンスの徹底
当社は、公正取引委員会による立入検査を受けて以降、外部専門家の協力を得て、各種コンプライアンス強化策を策定・実施していますが、これらの強化策を今後もより一層推進することにより、再発の防止に努めてまいります。
なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末時点において当社グループが判断したものです。
当社グループは国際的な事業展開を行っており、政治的・社会的な要因や自然現象により予期せぬ事象が発生した場合には、関連の地域や市場において事業に悪影響を及ぼす可能性があります。主たる事業である海上輸送の分野においては、荷動き・海運市況は、世界各国の景気動向、商品市況、船腹の需給バランス、競合関係など、様々な要因の影響を受け、その変化は当社グループの営業活動、経営成績に影響を及ぼす可能性があります。特に、わが国及び主要な貿易国(地域)である北米、欧州、中国等の税制、経済政策の変更、あるいは自国保護貿易政策などの発動は、国際間の輸送量の減少や運賃市況の下落を招き、当社グループの財政状態・経営成績に悪影響を与える可能性があります。
このほかに当社グループの事業活動において、悪影響を及ぼす可能性があると考えられる主なリスクには、次のようなものがあります。
① 為替レートの変動
当社グループの事業売上においては米ドル建て収入の比率が大きく、為替レートにより円換算後の価値が影響を受ける可能性があります。当社グループは、費用のドル化や為替予約などにより、為替レートの変動による悪影響を最小限に止める努力をしていますが、米ドルに対する円高は当社グループの財政状態・経営成績に悪影響を与える可能性があります。
② 燃料油価格の変動
燃料費は当社グループの船舶運航コストの中で大きなウェイトを占めています。燃料油価格は、原油の需給バランス、OPECや産油国の動向、産油国の政情や産油能力の変動など当社グループが関与できない要因により影響され、その予想は極めて困難といえます。また、環境規制の拡大・強化に伴い、環境負荷の低い良質な燃料の使用が求められ、結果として価格が割高な燃料を調達せざるを得ない可能性があります。当社グループは、不安定な価格変動の影響を回避するため一部先物取引による価格固定化を行っていますが、著しく、かつ持続的な燃料油価格の高騰は当社グループの事業コストを押し上げ、財政状態・経営成績に悪影響を与える可能性があります。
③ 金利の変動
当社グループは、継続的に船舶の建造等の設備投資を行っています。当社グループは可能な限り自己資金を投入しているほか、オフバランス化による有利子負債の削減を図っていますが、金融機関からの借入れに依存する割合も少なくありません。また、事業運営に係わる運転資金調達を行っています。
資金調達に際しては、一定の規模を固定金利で借り入れ、また船舶・設備投資資金の借入れの一部を対象とした金利固定化スワップを実施していますが、将来の金利動向によっては資金調達コストの上昇による影響を受け、当社グループの財政状態・経営成績に悪影響を与える可能性があります。
④ 公的規制
海運事業は、一般的に船舶の運航、登録、建造、環境保全に係わる様々な国際条約、各国・地域の事業許可や租税に係る法・規制による影響を受けます。今後、新たな法・規制が制定され、当社グループの事業展開を制限し、事業コストを増加させ、結果として当社グループの財政状態・経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。当社グループの運航船舶は、現行の法・規制に従い管理・運航され、かつ適正な船舶保険が付保されていますが、関連法・規制の変更が行われる可能性はあり、また新たな法・規制への対応に費用が発生する可能性があります。
当社グループは、自動車、車両系建設機械等の貨物の輸送に関するカルテルの可能性に関連して、海外の競争当局による調査の対象になっています。また、一部の国において当社グループを含む複数の事業者に対し本件に関する集団訴訟が提起されています。
⑤ 重大な事故・環境破壊・紛争等
当社グループは、安全運航の徹底、環境保全を最優先課題として、当社グループの安全運航水準と危機管理体制の維持強化を図っています。環境保全については、当社グループの事業活動が地球環境に負荷を与えることを自覚し、それを最小限にするべく、環境憲章を掲げています。環境憲章に沿って、環境への取組みを確実に推進するために、社長を委員長とする社会・環境委員会を設置して、推進体制の審議・策定をしています。また、2015年3月には“K”LINE 環境ビジョン2050 『青い海を明日へつなぐ』を策定し、創立100周年(2019年)に向かって定めたマイルストーンの多くを達成しました。2020年6月には激変する世界を見渡し、2050年のゴールの一部を見直すとともに、2030年に向けた新たなマイルストーンを設定した改訂版を策定しています。
安全運航については、社長を委員長とする安全運航推進委員会を定期的に開催し、安全運航に関わる全ての案件について、あらゆる視点に基づいた検討と取組みを行っています。更に緊急時の事故対応をまとめた「事故対応マニュアル」を策定し、定期的な事故対応演習により継続的改善を図っています。しかしながら、不測の事故、とりわけ油濁その他環境汚染に繋がる重大事故等が発生し、環境汚染を引き起こした場合、当社グループの財政状態・経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。また、海賊被害、政情不安・武力紛争地域での運航、船舶へのテロ行為リスクの増大は、当社グループの船舶に重大な損害を与え、また船員の生命を危険にさらすなど、当社グループ船舶の安全運航、航海計画管理、海上輸送事業全般に悪影響を与える可能性があります。
⑥ 競争環境等
当社グループは、国際的な海運市場の中で事業展開を行っており、有力な国内外の海運企業グループとの競合関係の中では、他企業との各事業分野への経営資源の配分の度合い及びコスト・技術面等の競争力の差によって、当社グループの業界での地位や経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。
競争環境の厳しいコンテナ船事業においては、他の海運企業とのアライアンスに参加することでサービスの競争力の維持・向上を図っていますが、一方で、アライアンスメンバーの一方的離脱など当社グループが関与し得ない事象は、当社グループの営業活動、財政状態・経営成績に悪影響を与える可能性があります。
⑦ 自然災害の発生
自然災害発生時の事業継続は、社会の機能の一端を担い社会に責任を負う当社グループの責務であるとともに、当社グループの存在意義に係わる重大な事項です。首都圏直下型大地震が発生した場合には、多くの建物、交通、ライフラインに甚大な影響が及ぶことが想定され、また新型インフルエンザ等対策特別措置法に準ずる感染症が発生し、世界的大流行(パンデミック)となった場合には、多くの人々の健康に重大な影響が及ぶことが懸念されます。また、これらの自然災害又はその二次災害に伴う風評被害が広がることが懸念されます。当社グループではこの2つの災害を想定した事業継続計画(BCP)を策定し、自然災害の発生時には、この計画を適用又は応用することで可能な限りの事業継続を目指していますが、当社グループ事業全般に対し少なからず悪影響を与える可能性があります。
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に関する一連の対応を振り返り、将来の弱毒性ウイルスによるパンデミックに備えた行動手引書の整備等を進めておりますが、変異株の発生、新型種の発現など予期せぬ事態により当社の事業運営に影響を及ぼす可能性があります。
⑧ 取引先の契約不履行
当社グループは、サービスを提供あるいは享受する取引先の選定においては、その信頼性を可能な限り調査していますが、将来において取引先の財政状態の悪化などにより、契約条項の一部又は全部が履行不可能となる可能性があります。その結果、当社グループの財政状態・経営成績に悪影響を与える可能性があります。
⑨ 投資計画の未達成
当社グループは、船隊整備のために必要な投資を計画していますが、今後の海運市況や公的規制等の動向によって計画が想定どおりに進捗しない場合、造船契約を新造船の納入前に解約するなどにより、当社グループの財政状態・経営成績に悪影響を与える可能性があります。また、これらの新造船の納入時点において貨物輸送への需要が想定を下回る場合、当社グループの財政状態・経営成績に悪影響を与える可能性があります。
⑩ 船舶の売却等による損失
当社グループは、市況に応じた柔軟な船隊整備に努めていますが、実際の船腹需給バランスの悪化、船舶の技術革新による陳腐化や傭船市況の動向に伴い、保有する船舶を売却し、また傭船する船舶の傭船契約を中途解約する場合があります。この結果、当社グループの財政状態・経営成績に悪影響を与える可能性があります。
⑪ 固定資産の減損損失
当社グループが保有する船舶等の固定資産について、収益性の低下により投資額の回収が見込めなくなる可能性があります。その結果、減損損失を認識するに至った場合には、当社グループの財政状態・経営成績に悪影響を与える可能性があります。また、当社グループは有価証券の評価基準及び評価方法として、投資有価証券のうちの時価のあるものについては期末日の市場価格等に基づく時価法を採用しています。その結果、株式市況の変動による時価の下落が当社グループの財政状態・経営成績に悪影響を与える可能性があります。
⑫ 繰延税金資産の取崩し
当社グループは、将来の課税所得の見積りに基づいて、繰延税金資産の回収可能性を評価しています。収益力の低下により充分な課税所得が将来確保されないとの判断に至った場合、繰延税金資産を取り崩して税金費用を計上することとなり、当社グループの財政状態・経営成績に悪影響を与える可能性があります。
⑬ 傭船契約損失引当金
当社グループは、当社又は連結子会社が借船したコンテナ船を傭船者に定期貸船しています。貸船料は傭船市況の変動に一定の影響を受けるため、貸船料が借船料を下回るリスクがあります。当社グループは、貸船料が借船料を下回る契約から生じる可能性のある将来の損失に充てるため、入手可能な情報に基づき、合理的に見積もることができるものについて会計上の引当を行っていますが(「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項 ハ 重要な引当金の計上基準」参照)、当社グループの傭船契約への対応方針や傭船市況の動向によっては追加の引当金の計上が必要となり、当社グループの財政状態・経営成績に悪影響を与える可能性があります。
⑭ 情報セキュリティ対策
当社グループは、世界の経済活動を支える物流インフラとして、安全・安心な海上輸送及び物流サービスを提供するため、情報セキュリティの確保と向上へ対策を講じています。昨今のサイバー攻撃は、多種多様化を極め、局所的な対応や製品導入のみでは万全の防御が果たせず、不正アクセスによる情報の漏洩、ウィルス感染によるシステム停止等が発生した場合には、当社グループの営業活動、財政状況・経営成績に悪影響を与える可能性があります。当社グループでは、情報セキュリティ対策として、1つの施策に依らずセキュリティ対策を多層化することで、攻撃を未然に防ぎ、セキュリティ事案発生時には早急に異常発生を「検知」し、影響を最小限に止める為の「対応」「復旧」 の強化を図っています。また、情報の保護を目的とする「情報管理」、サイバー攻撃に対するシステム・ネットワークの防御を中心とする「サイバーセキュリティ」、そしてオフィス・ターミナル等のファシリティにおける不正アクセスを予防する「物理セキュリティ」の3つの視点より情報セキュリティ対策を講じています。特に、海事サイバーリスクマネジメントへの取組みとしては、当社グループの船舶管理会社と当社船舶に対して、一般財団法人日本海事協会からサイバーセキュリティーマネジメントシステム(CSMS)の認証を取得し、その他船舶での認証取得を進めています。「安全」は海上輸送を主軸とする当社グループの事業の根幹を成すものであり、サイバーリスクへの対応を強化することで、より安全で最適な輸送サービスを提供してまいります。更に、グループ役職員における情報セキュリティへの意識向上のために、セキュリティ教育も実施しています。
なお、文中における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(2021年6月23日)現在において当社グループが判断したものです。また、ここに記載するものが当社グループの全てのリスクではありません。
世界経済は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)拡大、それに伴う行動制限や外出自粛の動きを受け、リーマン・ショックを上回る戦後最大のマイナス成長となりました。国内経済も、緊急事態宣言の発令により外出・出勤の抑制や飲食店等の営業自粛によって経済活動が急激に落ち込みました。このような事業環境のもとで当社は、8月に経営計画を策定し、ドライバルク船・自動車船を中心とした船隊規模適正化や投資の厳選、流動性の確保と、海外ターミナルなどの資産売却による自己資本拡充などによるダメージコントロールに注力してまいりました。これと同時にポストコロナの外部環境認識を踏まえた成長戦略と、GHG(温室効果ガス)削減、更なるLNG燃料船の発注やLNG供給船の取組みなどの安全・環境・品質への取組みも積極的に進めてまいりました。
また、当社持分法適用会社であるONE社の業績が、旺盛な需要に対応した機動的なオペレーションによる効果と高水準で推移した運賃市況などにより、大きく改善しました。これらの取組みと市況などに起因する収益の改善により、2020年代半ばの目標であった自己資本拡充を大幅に前倒しで達成しています。
これらの結果、当期の連結売上高は6,254億86百万円(前期比1,097億98百万円の減少)、営業損失は212億86百万円(前期は68億40百万円の営業利益)、経常利益は894億98百万円(前期比820億90百万円の増加)、親会社株主に帰属する当期純利益は1,086億95百万円(前期比1,034億26百万円の増加)となりました。
なお、ONE社の業績好調などにより、持分法による投資利益として1,181億65百万円を計上しました。うち、ONE社からの持分法による投資利益計上額は累計期間1,192億71百万円、当第4四半期連結会計期間においては673億25百万円となります。
経営計画の主な内容は「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (2)中期的な会社の経営戦略、(3)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題」をご参照ください。
経営計画では、「自営事業の4本柱を磨き上げる」ことや「新たな事業領域への挑戦」など新たに5つの事業戦略を立てています。事業戦略に加えてサステナビリティ経営への取組みを強化することで、企業価値を向上させ、全てのステークホルダーに選ばれ続ける会社を目指してまいります。
業績等の概要
(1)業績
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(単位:百万円) |
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前連結会計年度 (2020年3月期) |
当連結会計年度 (2021年3月期) |
増減額 (増減率) |
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売上高 |
735,284 |
625,486 |
△109,798 |
(△14.9%) |
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営業利益又は営業損失(△) |
6,840 |
△21,286 |
△28,126 |
(-) |
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経常利益 |
7,407 |
89,498 |
82,090 |
(1,108.2%) |
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親会社株主に帰属する当期純利益 |
5,269 |
108,695 |
103,426 |
(1,962.8%) |
為替レートと燃料油価格が経常利益に与えた影響は以下のとおりです。
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前連結会計年度 |
当連結会計年度 |
増減額 |
影響額 |
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為替レート |
¥109/US$ |
¥106/US$ |
△¥3/US$ |
△7.1億円 |
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燃料油価格 |
US$467/MT |
US$363/MT |
△US$104/MT |
△6.1億円 |
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(注)為替・消費燃料油価格(平均補油価格)とも、当社社内値です。
また、当連結会計年度の事業セグメントごとの業績は、次のとおりです。
(単位:百万円)
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前連結会計年度 (自 2019年4月1日 至 2020年3月31日) |
当連結会計年度 (自 2020年4月1日 至 2021年3月31日) |
増減額 (増減率) |
||
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ドライバルク |
売上高 |
233,781 |
181,983 |
△51,798 |
(△22.2%) |
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セグメント損益 |
4,089 |
△9,136 |
△13,226 |
(-) |
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エネルギー 資源 |
売上高 |
84,676 |
77,641 |
△7,034 |
(△8.3%) |
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セグメント損益 |
9,921 |
1,071 |
△8,849 |
(△89.2%) |
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製品物流 |
売上高 |
384,508 |
339,667 |
△44,840 |
(△11.7%) |
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セグメント損益 |
△2,933 |
104,545 |
107,479 |
(-) |
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その他 |
売上高 |
32,318 |
26,193 |
△6,124 |
(△19.0%) |
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セグメント損益 |
1,732 |
1,084 |
△648 |
(△37.4%) |
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① ドライバルクセグメント
[ドライバルク事業]
大型船市況は、期初には新型コロナウイルス感染症(COVID-19)拡大による経済活動の停滞と、産地の天候不順による出荷の減少が重なり市況が著しく低迷しましたが、期央には中国向け貨物の輸送需要回復に伴い上昇する場面も見られました。下半期には主要国の経済活動の回復、中国の活発な粗鋼生産により振れ幅を伴いながらも市況は概ね堅調に推移しました。
中・小型船市況は、期初には新型コロナウイルス感染症(COVID-19)拡大により世界的に荷動きが停滞しましたが、中国の経済活動再開、ブラジル出し中国向け穀物の堅調な輸送需要等により、期央にかけて回復しました。下半期には米国出し中国向けの活発な穀物輸送に加え、中国の寒波による石炭輸入需要の高まりなどにより、中・小型船の船腹供給が引き締まり、市況は堅調に推移しました。
以上の結果、ドライバルクセグメント全体では、運航コストの削減や船隊規模適正化の実施、運賃先物取引(FFA)を利用した市況変動リスクのヘッジなどに努めましたが、特に上半期での市況低迷による影響により、前期比で減収となり、損失を計上しました。
② エネルギー資源セグメント
[油槽船事業・電力炭船事業]
大型原油船、LPG船及び電力炭船は中長期の傭船契約のもとで順調に稼働し、安定的に収益に貢献しました。
[液化天然ガス輸送船事業・海洋資源開発事業]
LNG船及びFPSO(浮体式石油・ガス生産貯蔵積出設備)は中長期の傭船契約のもとで順調に稼働し、安定的に収益に貢献しました。
ドリルシップ(海洋掘削船)については、期中は中長期の傭船契約のもと順調に稼働し収益に貢献したものの、2022年の現行傭船契約満了後の市況予想を踏まえた結果、最終的に損失となりました。
オフショア支援船においては、上半期は油価下落の影響により海洋資源開発が停滞し市況が悪化、下半期の油価回復後も、市況低迷が継続しました。
以上の結果、エネルギー資源セグメント全体では、前期比で減収減益となりました。
③ 製品物流セグメント
[自動車船事業]
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)拡大の影響で、世界的な販売の低迷、各国工場での生産停止などにより、上半期は海上輸送需要が減少しました。下半期の輸送需要は回復しました。また、停船やサービスの一時的な見直し、船隊規模適正化によるコスト削減などの対応を実施したものの、前期比で減収となり、損失を計上しました。
[物流事業]
国内物流事業は、世界的なコンテナ海上輸送の需要増加によりコンテナターミナルの取扱量は回復しました。曳船事業では引き続き鋼材や製紙原料の需要減退により作業が減少しました。倉庫事業は継続して堅調に推移しました。
国際物流事業は、海上輸送の混雑による海上貨物から航空貨物へのシフトにより、航空フォワーディング事業の荷動きが改善しました。eコマース関連貨物の荷動きについては、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)拡大の影響による巣ごもり需要を受け引き続き堅調に推移しました。
[近海・内航事業]
近海事業は、鋼材輸送では、上半期は鉄鋼メーカーの減産の影響もあり、鉄鋼製品の出荷量が減少しましたが、下半期は需要が大幅に回復し、当期輸送量は前期並みとなりました。木材輸送では、輸入合板の輸送量は需要低迷により、前期を下回ったものの、再生可能エネルギーとして需要が増加しているバイオマス発電用燃料の輸送量は前期を大幅に上回りました。バルク輸送では、主要貨物であるロシア炭の国内需要が減少したことなどにより輸送量は前期を大幅に下回りました。
内航事業は、定期船輸送では、製紙関連や自動車関連の主要貨物が減少するなか、食品貨物などの取り込みを図りましたが、輸送量は前期を下回りました。フェリー事業では、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)拡大の影響から旅客と乗用車の輸送量が前期を大幅に下回りました。不定期船輸送では、貨物輸送需要の減退により、石灰石・石炭の各専用船や一般貨物船ともに稼働は前期を下回りました。
以上の結果、近海・内航事業では、前期を下回る輸送量になりました。
[港湾事業]
国内ターミナルでは、北米航路は荷動きが堅調に推移、下半期はアジア航路でも回復傾向となったことで、前期比で取扱量が増加しました。
海外ターミナルでは、北米西岸の自営ターミナルINTERNATIONAL TRANSPORTATION SERVICE, INC.(以下、「ITS社」という。)において、米国の巣ごもり需要によりアジア発北米向け荷動きが夏場以降急増し、コンテナ取扱量は好調に推移しました。更に2020年9月から新規ユーザーを誘致したことにより、黒字に転換しました。
なお、ITS社については、2020年12月に、Macquarie Infrastructure and Real Assetsが運営するインフラ投資ファンドであるMIP V BidCo, LLCへの譲渡が完了しました。
[コンテナ船事業]
ONE社は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)拡大の影響によるグローバルでの荷動き減少を受け機動的な配船見直しや運航効率の改善などの施策を実施したことで、上半期の積高は前年同期比で減少しましたが、業績は改善しました。第3四半期においては、北米航路を中心として運賃及び消席率が順調に推移すると同時に、医療関連貨物や消費財の需要が例年を上回る規模で回復したことにより、輸送スペースやコンテナの不足、ターミナルや内陸輸送の混雑などサプライチェーンの混乱が発生し、輸送需要が想定を超えてひっ迫する事態となりました。第4四半期においては、北米航路に加え、欧州航路をはじめとする全航路において需要がひっ迫したことで、ONE社では臨時船の投入やオペレーションの改善による混乱改善に向けた取組みを継続しながらも、短期市況の高騰を受けて運賃が高水準で推移したことで、業績は前期比で大幅な改善となりました。
以上の結果、製品物流セグメント全体では、前期比で減収となりましたが、黒字に転換しました。
④ その他
その他には、船舶管理業、旅行代理店業、及び不動産賃貸・管理業等が含まれており、当期業績は前期比で減収減益となりました。
(2)キャッシュ・フロー
当連結会計年度末における現金及び現金同等物は1,300億1百万円となり、前連結会計年度末より180億68百万円増加しました。各キャッシュ・フローの状況は次のとおりです。
営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益等により、当連結会計年度は333億97百万円のプラス(前連結会計年度は217億97百万円のマイナス)となりました。
投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産の売却による収入等により、当連結会計年度は169億87百万円のプラス(前連結会計年度は202億86百万円のマイナス)となりました。
財務活動によるキャッシュ・フローは、長期借入金返済等に係る支出等により、当連結会計年度は348億45百万円のマイナス(前連結会計年度は167億31百万円のプラス)となりました。
生産、受注及び販売の状況
当社グループは、海運業を中核とする海運事業グループであり、ドライバルク事業、エネルギー資源事業、製品物流事業を行っています。この他、船舶管理業、旅行代理店業及び不動産賃貸・管理業等を展開しています。従って、生産、受注を行っておらず、セグメントごとに生産規模及び受注規模を金額あるいは数量で示すことはしていません。
セグメント別売上高(外部顧客に対する売上高)
セグメント別売上高(外部顧客に対する売上高)の実績は、下記のとおりです。
|
セグメントの名称 |
前連結会計年度 (自 2019年4月1日 至 2020年3月31日) |
当連結会計年度 (自 2020年4月1日 至 2021年3月31日) |
||
|
金額(百万円) |
比率(%) |
金額(百万円) |
比率(%) |
|
|
ドライバルク |
233,781 |
31.8 |
181,983 |
29.1 |
|
エネルギー資源 |
84,676 |
11.5 |
77,641 |
12.4 |
|
製品物流 |
384,508 |
52.3 |
339,667 |
54.3 |
|
その他 |
32,318 |
4.4 |
26,193 |
4.2 |
|
合計 |
735,284 |
100.0 |
625,486 |
100.0 |
当社(川崎汽船㈱)の営業収益実績(参考)
提出会社のセグメント別営業収益の実績は、下記のとおりです。
|
区分 |
前事業年度 (自 2019年4月1日 至 2020年3月31日) |
当事業年度 (自 2020年4月1日 至 2021年3月31日) |
||
|
金額(百万円) |
比率(%) |
金額(百万円) |
比率(%) |
|
|
(ドライバルク) |
217,100 |
43.5 |
172,345 |
43.2 |
|
(エネルギー資源) |
66,808 |
13.4 |
56,961 |
14.3 |
|
(製品物流) |
214,938 |
43.1 |
169,895 |
42.5 |
|
海運業収益 |
498,847 |
100.0 |
399,202 |
100.0 |
|
(その他) |
53 |
0.0 |
52 |
0.0 |
|
その他事業収益 |
53 |
0.0 |
52 |
0.0 |
|
合計 |
498,901 |
100.0 |
399,255 |
100.0 |
経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析
(1)重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されています。この連結財務諸表の作成にあたり、見積りが必要な事項につきましては、一定の会計基準の範囲内にて合理的な基準に基づき、会計上の見積りを行っています。
詳細につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載のとおりです。
(2)当連結会計年度の経営成績の分析
① 売上高
売上高は前年度に比べ14.9%減収の6,254億86百万円となりました。報告セグメント別では、ドライバルクセグメントは、特に上半期での市況低迷による影響により、前年度に比べ、22.2%減収の1,819億83百万円となりました。エネルギー資源セグメントは、前年度に比べ、8.3%減収の776億41百万円となり、製品物流セグメントは、前年度に比べ、11.7%減収の3,396億67百万円となりました。
その他セグメントは、19.0%減収となりました。
② 売上原価、販売費及び一般管理費
売上原価は、前年度の6,713億87百万円から813億41百万円減少し、5,900億46百万円(前年度比12.1%減)となりました。営業収入に対する売上原価の比率は3.0ポイント増加して94.3%となりました。販売費及び一般管理費は3億30百万円減少し、567億26百万円(前年度比0.6%減)となりました。
③ 営業利益
売上総利益の減少により、前年度の68億40百万円の営業利益に対し212億86百万円の営業損失となりました。
④ 営業外収益(費用)
1,181億65百万円の持分法による投資利益(前年度は80億11百万円の持分法による投資利益)を計上したことが主な要因となり、営業外損益は1,107億84百万円の利益(前年度は5億67百万円の利益)となりました。
⑤ 税金等調整前当期純利益
関係会社株式売却益などにより特別利益は323億39百万円となりました。また減損損失などにより特別損失は79億82百万円となりました。これらの結果、税金等調整前当期純利益は1,138億54百万円(前年度は113億15百万円の税金等調整前当期純利益)となりました。
⑥ 法人税等
法人税等は、主として法人税、住民税及び事業税の減少により、前年度の31億11百万円から3億39百万円減少し27億72百万円となりました。
⑦ 非支配株主に帰属する当期純利益
非支配株主に帰属する当期純利益は、川崎近海汽船株式会社などの非支配株主に帰属する当期純利益が減少し、前年度の29億34百万円から5億48百万円減少し、23億86百万円となりました。
⑧ 親会社株主に帰属する当期純利益
親会社株主に帰属する当期純利益は、前年度の52億69百万円に対し、1,086億95百万円となりました。1株当たり当期純利益は、前年度の56.50円に対し、1,165.34円となりました。
(3)資本の財源及び資金の流動性についての分析
① キャッシュ・フローの状況
「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 業績等の概要 (2) キャッシュ・フロー」をご参照ください。
② 資金需要
当社グループの運転資金需要のうち主なものは、当社グループのドライバルク事業や自動車船事業の運営に関わる海運業費用です。この中には港費・貨物費・燃料費などの運航費、船員費・船舶修繕費などの船費及び借船料などが含まれます。このほか物流事業の運営に関わる労務費等の役務原価、各事業についての人件費・情報処理費用・その他物件費等の一般管理費があります。また、設備資金需要としては船舶投資や物流設備・ターミナル設備等への投資があります。当連結会計年度中に453億32百万円の設備投資を実施しました。
③ 財務政策
当社グループの事業維持・拡大を支える低コストで安定的な資金の確保を重視しています。長期の資金需要に対しては金融機関からの長期借入金を中心に、社債発行、新株発行により調達しています。短期的な運転資金を銀行借入、コマーシャルペーパー(CP)発行等により調達し、一時的な余資は安定性・流動性の高い金融資産で運用しています。また、キャッシュマネージメントシステム等を利用して、国内・海外グループ会社の余剰資金を有効活用しています。
流動性の確保としまして、CP発行枠600億円に加え、国内金融機関と800億円の複数年のコミットメントラインを設定し、緊急の資金需要に備えています。
当社は日本格付研究所(JCR)から格付を取得しており、2021年6月23日0時現在の発行体格付は、「BBB-」となっています。また、短期債格付(CP格付)については「J-2」を取得しています。
(4)財政状態
当連結会計年度末の資産合計は、前年度末比785億27百万円増加し9,746億8百万円となりました。流動資産は、現金及び預金の増加等により、前年度末比71億77百万円増加し2,662億10百万円となりました。
固定資産は前年度末比713億49百万円増加し7,083億98百万円となりました。固定資産のうち有形固定資産は、船舶の減少等により、前年度末比397億55百万円減少し3,913億34百万円となりました。投資その他の資産は、投資有価証券の増加等により、前年度末比1,118億83百万円増加し3,135億12百万円となりました。
当連結会計年度末の負債合計は、前年度末比374億0百万円減少し6,584億46百万円となりました。短期借入金が増加したものの、リース債務の減少等により、流動負債は2,615億29百万円となり、固定負債は3,969億16百万円となりました。
当連結会計年度末の純資産合計は、前年度末比1,159億28百万円増加し、3,161億62百万円となりました。純資産のうち株主資本は、主に利益剰余金が1,086億72百万円増加したことにより、2,181億3百万円となりました。その他の包括利益累計額は、その他有価証券評価差額金が38億11百万円増加したことを主な要因として、前年度末比78億46百万円増加し90百万円となりました。
当社は、2020年8月5日開催の取締役会において、連結子会社であるITS社の株式全てをMIP V BidCo, LLCへ譲渡することを決定し、2020年12月22日に譲渡が完了しました。詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 (企業結合等関係)」に記載のとおりです。
当社グループは、輸送技術の革新、安全輸送の徹底及び環境保全等に関する研究開発に取り組んでおり、他社と共同による船舶の省エネ化・環境対策に資する技術の高度化研究を通じ、省エネ・環境対策技術の保有を目指しています。
なお、当連結会計年度の研究開発費の総額は