第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

(1)会社の経営の基本方針

当社は2022年5月9日より、当社グループの目指す姿として「企業理念」、「ビジョン」及び「大事にする価値観」を以下のとおり掲げています。

<企業理念>

~グローバルに信頼される 0102010_001.png

海運業を主軸とする物流企業として、人々の豊かな暮らしに貢献します。

<ビジョン>

全てのステークホルダーから信頼されるパートナーとして、グローバル社会のインフラを支えることで持続的成長と企業価値向上を目指します。

<大事にする価値観>

 ・お客様を第一に考えた安全で最適なサービスの提供

 ・たゆまない課題解決への姿勢

 ・専門性を追求した川崎汽船ならではの価値の提供

 ・変革への飽くなきチャレンジ

 ・地球環境と持続可能な社会への貢献

 ・多様な価値観の受容による人間性の尊重と公正な事業活動

 

当社は、海運業を主軸とする物流において、自社と社会の低炭素・脱炭素化の推進を通じて企業価値向上を図り、その実現のための新たな成長機会を追求していくことを基本方針としています。

 

(2)中期的な会社の経営戦略

事業環境が大きく変化しているなか、当社グループは2022年度から2026年度までの5か年の中期経営計画を公表しました。当社グループならではの強みである専門機能を磨き上げ、2050年に向けた自社と社会の低炭素・脱炭素化の実現と、収益成長を両立させるための長期経営ビジョンを達成していくため、足元の5年間で実行する施策を中期経営計画において明確化しました。船隊の代替燃料船への移行と並行してエネルギーインフラの転換を進めると同時に、この事業機会を確実に捉え、収益性と成長性を高めていくためにも、経営資源の集中と顧客とのパートナーシップの強化により企業価値の持続的な向上につなげてまいります。その実現のため、事業戦略の実行、事業基盤の構築及び資本政策の明確化に取り組みます。

 

企業価値向上への取組みを定量的に管理していくための経営指標及び目標をそれぞれ以下のとおり設定しました。

経営指標

目標

ROE

10%以上

収支

2026年度に経常利益1,400億円(自営事業とコンテナ船事業の収益力をバランス)

最適資本構成

当社グループとしての資本効率の最適化と戦略的な資金調達が可能となる財務の健全性を両立

株主還元方針

中期経営計画期間で4,000億円から5,000億円規模(最適資本構成を常に意識し、企業価値向上に必要な投資及び財務の健全性を確保のうえ、適正資本を超える部分についてはキャッシュフローも踏まえて、積極的に自己株式取得を含めた株主還元を進めます。)

 

(3)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

<中期経営計画>

①  事業環境の変化と未来を見据えてファインチューンした「企業理念」、「ビジョン」及び「大事にする価値観」

事業環境の変化がもたらす当社グループへの影響の大きさと重要さを考慮したうえで、当社グループが目指す姿を再確認し、「企業理念」、「ビジョン」及び「大事にする価値観」を見直しました。

当社グループの事業領域は、海運業を主軸とする物流であることを再確認し、その事業領域において自社と社会の低炭素・脱炭素化の推進を通じた企業価値向上を図り、その実現のために成長を牽引する役割を担う事業に経営資源を集中し、低炭素・脱炭素化に向けた活動をともにできる顧客と成長機会を追求していく企業でありたいという方向性を明確化しました。

 

②  環境を梃子にした成長のための長期経営ビジョンの策定

ポートフォリオ経営の強化や低炭素・脱炭素化に向けた活動を通じて実現したい長期経営ビジョンを策定しました。

“川崎汽船グループならでは”の強みである専門機能を磨き上げ、自社と社会の低炭素・脱炭素化への貢献と収益成長を両立させるため、成長を牽引する役割を担う事業に経営資源を集中させ、自営事業とコンテナ船事業の2本柱で市況耐性の高い企業として持続的な成長を目指します。投資にあたっては資本コストをより意識し適切な資本政策をもって実施してまいります。

 

③  事業ポートフォリオ戦略による経営資源の集中

事業ポートフォリオの新しい枠組みにより事業の役割を類型化し、各事業の役割に応じた戦略的方向性を明確化しました。

自社と社会の低炭素・脱炭素化を機会として「成長を牽引する役割を担う事業」には経営資源を集中的に配分して事業成長を実現します。「スムーズなエネルギー転換をサポートし新たな事業機会を担う役割の事業」では、事業リスクの最小化を図りながらも、代替燃料需要への対応を推進します。「稼ぐ力の磨き上げで貢献する役割の事業」では、他事業とのシナジーを追求するとともに、バルクキャリアにおいては契約期間に応じた船舶保有とすることでライトアセット化を進めるなど、対象事業の市況耐性を高め、安定収益を確保します。これら3つのポートフォリオについては、戦略的な事業資産の入れ替えを継続的に検討します。

「株主として事業を支え収益基盤を安定させる役割の事業」では、継続的な人的支援と経営ガバナンスへの関与を通じた企業価値の最大化を目指します。「新規事業領域」では、当社グループのシナジーを追求し、当社の強みを生かせる事業領域を拡張してまいります。

 

④  組織・人材計画をベースに機能戦略による当社グループならではの技術・専門性の磨き上げにより事業戦略を実現する事業基盤の構築

事業戦略を実現するための強固な事業基盤を構築します。当社グループの提供価値の源泉である、人材・組織とそれらを支えるシステム・技術に投資することで、専門・技術部門の連携による組織力の強化を行い、持続的成長を目指します。また、今後の成長を実現するうえで不可欠である環境・技術開発と安全・船舶品質管理については、継続的な取組みと、グローバル拠点の強化によるサポート体制と組織の確立により、対応をさらに強化してまいります。

 

⑤  当社における最適な資本政策の整理と、それを実行するための経営管理の高度化

最適資本構成に基づき、中長期的な事業環境変化をとらえた成長投資、資本効率の最適化、財務基盤の維持・向上、及び株主還元に対する資源配分を戦略的に実行します。基礎配当に加え、追加配当・自己株式取得を機動的に実施することで株主価値の向上に努めます。また、経営管理の更なる高度化及び事業投資マネジメント導入による投資規律の維持・強化により、財務基盤の安定と最適化を進めてまいります。

 

<サステナビリティ経営の推進>

◆  当社サステナビリティ経営の具体的取組み

当社は創業以来、海運を中核とする総合物流企業として国際的な社会インフラを担ってきましたが、人々の生活や経済を支えるライフラインとしての使命を果たすには、経営にサステナビリティ(環境・社会・経済の持続可能性)を重視する視点が欠かせません。そこで、2021年度はサステナビリティ経営の更なる推進・強化に向け、種々の取組みを実施しました。

まず、サステナビリティ推進の実務を担う部署として、「サステナビリティ推進・IR・広報グループ」「GHG削減戦略グループ」「カーボンニュートラル推進グループ」を新設しました。

「サステナビリティ推進・IR・広報グループ」は、従来のCSR・IR・広報機能を統合し、サステナビリティ経営の推進主体として、社内外のステークホルダーとのコミュニケーションを促進することを目的としています。2022年4月には、当社グループの環境マネジメントの実務を担っていた「環境推進グループ」と統合し、新たに「サステナビリティ・環境経営推進・IR・広報グループ」として、E(環境)、S(社会)、G(ガバナンス)の機能を一つのグループに集約し、サステナビリティ経営の更なる強化を図っています。

「GHG削減戦略グループ」は、次世代環境船舶戦略を技術面で統括することを目的として設置され、アンモニア、水素といった新燃料対応、電気推進(EV)、CCS(二酸化炭素回収・貯留)やメタネーションといったGHG 削減技術の研究・実現に取り組むとともに、実用段階にあるLNG 燃料船の導入を推進しています。

「カーボンニュートラル推進グループ」は、洋上風力を含む再生エネルギー関連事業、二酸化炭素回収・利用・貯留(CCUS)事業、燃料転換(LNG バリューチェーン)事業、排出権取引など、カーボンニュートラル事業を推進しています。

また、サステナビリティを司るガバナンス体制として、社長執行役員を委員長とする「サステナビリティ経営推進委員会」を、従来の「社会・環境委員会」を発展的に改組する形で発足させました。更に、その下部組織として、従来の「CSR専門委員会」を「サステナビリティ専門委員会」に改組し、既存の「環境専門委員会」と合わせ、企業価値向上に資する方向性を討議し、内外への発信施策を策定する体制を整備しました。

一方、2021年10月には、従来の「代替燃料プロジェクト委員会」と「環境・技術委員会」の機能を統合し、新たに「GHG削減戦略委員会」を設置しました。「GHG削減戦略委員会」には、下部組織として「CII・2030年環境目標対応プロジェクトチーム」「次世代代替燃料推進プロジェクトチーム」「安全環境支援技術プロジェクトチーム」の3つのプロジェクトチームを置き、次世代燃料や新技術の検討、環境規制への技術面も含めた組織的な対応方針の策定を担っています。

 

◆  安全・環境・品質の取組み

当社グループは重大海難事故ゼロの維持を命題として、『統合船舶運航・性能管理システム“K-IMS”』の開発・導入やエネルギーマネジメントシステムの構築等により、世界トップクラスの安全運航の維持に取り組んでいます。

また、当社グループは事業活動が地球環境に負荷を与えることを自覚し、それを最小限にするべく、環境憲章にその決意を掲げ、これに基づく環境マネジメントシステムにより、具体的な環境保全活動並びに数値目標を定め、その達成状況を基に改善を図っていくなど、環境保全のための様々な取組みを行っています。例えば、省エネ型荷役機器導入や燃料節減によるCO2排出量削減、運航船のバラスト水管理のための処理装置の搭載、SOxスクラバーの搭載や低硫黄燃料使用によるSOx排出量削減、NOx排出低減のための排ガス再循環装置搭載などの環境保全対策を実施しています。これらの取組みが評価され、2021年にはCDP2021気候変動で6年連続Aリストに選定され、また『サプライヤー・エンゲージメント・リーダー・ボード』にも4年連続で選定されました。また事業以外でも、海岸清掃活動など環境保護活動を積極的に実施しています。

2015年3月には、2050年に向けた環境に関する長期方針「“K”LINE 環境ビジョン2050」を定め、2020年6月には「“K” LINE 環境ビジョン2050」改訂版を発表しました。ここではシナリオ分析の結果を踏まえて取り組むべき課題及び目標の一部を見直すとともに、目標を「脱炭素化」「環境影響の限りないゼロ化」の2軸で再整理し、新たに2050年のゴールと2030年中期マイルストーンを設定しました。更に、2021年11月には、同長期方針の2050年目標を改定し、「2050年GHG排出ネットゼロへの挑戦」というより高い目標に引き上げ、更なる挑戦を行うことを表明しています。

特に「脱炭素化」に向けては、①次世代型環境対応LNG燃料焚き自動車専用船“CENTURY HIGHWAY GREEN”の竣工、②LNG燃料供給事業の開始、③風力を利用した自動カイトシステム“Seawing”の実装化など取組みを進めているものもございますが、更なる「脱炭素化」への取組みを一層進めてまいります。

また、SBTイニシアチブ(Science Based Target Initiative)の認証を取得している「2030年までにCO2排出量25%削減(2011年比)」達成を測る指標として、国内外主要連結グループ会社の燃料消費や電気使用量などの環境負荷データを、環境データ集計システムを通じて収集・集計し、当社ホームページに掲載しています。2021年において当社グループの事業に伴う温室効果ガスの排出量は、スコープ1(化石燃料の使用に伴う直接的な排出)6,583,464トン、スコープ2(供給を受けた電力等による間接的な排出)13,515トン、スコープ3(スコープ1・2を除くその他の間接的排出)4,566,051トンという結果となりました。今後も、グループ全体の環境負荷を把握すると同時に、グループ各社での自主的な取組みを促し、必要に応じて追加施策を実施すべく、環境パフォーマンスの見える化に取り組んでまいります。更に、年間の実績データは、第三者機関によるデータ精査と認証を受けたうえで社外へ開示しステークホルダーからの評価を次の施策に生かしながら、継続的な改善を図ってまいります。

また、2017年6月に当社グループ全体で環境マネジメントを推進するための体制「DRIVE GREEN NETWORK(DGN)」を構築し、運用を開始いたしました。これは、当社グループ全体で日常業務の中に環境の課題を見出し取り組むことで、グループ全体として持続可能な社会の実現を目指しています。DGNは段階的に当社グループ全体への導入を進めており、2020年には大部分の国内外グループ会社の加入が完了いたしました。

 

◆  コーポレートガバナンス体制の強化

グループ価値を高める戦略実施に際して最も重要となるガバナンス体制の整備に関して、当社はユニット統括制の導入による業務執行責任体制の一層の明確化や、社外取締役増員による重要方針の決定に向けた取締役会モニタリング体制の強化、女性取締役登用による多様性の向上等を推進してきました。リスクマネジメントでは、危機管理委員会とその下部組織(コンプライアンス委員会・安全運航推進委員会・経営リスク委員会・災害対策委員会)がグループのリスク管理にあたり、重要な投資については、投資委員会がその審議にあたる体制としています。

 

(4)コンプライアンスの徹底

当社は、公正取引委員会による立入検査を受けて以降、外部専門家の協力を得て、各種コンプライアンス強化策を策定・実施していますが、これらの強化策を今後もより一層推進することにより、再発の防止に努めてまいります。

 

なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末時点において当社グループが判断したものです。

 

2【事業等のリスク】

 当社グループは国際的な事業展開を行っており、政治的・社会的な要因や自然現象により予期せぬ事象が発生した場合には、関連の地域や市場において事業に悪影響を及ぼす可能性があります。主たる事業である海上輸送の分野においては、荷動き・海運市況は、世界各国の景気動向、商品市況、船腹の需給バランス、競合関係など、様々な要因の影響を受け、その変化は当社グループの営業活動、経営成績に影響を及ぼす可能性があります。特に、わが国及び主要な貿易国(地域)である北米、欧州、中国等の税制、経済政策の変更、あるいは自国保護貿易政策などの発動は、国際間の輸送量の減少や運賃市況の下落を招き、当社グループの財政状態・経営成績に悪影響を与える可能性があります。

 

 このほかに当社グループの事業活動において、悪影響を及ぼす可能性があると考えられる主なリスクには、次のようなものがあります。

 

① 為替レートの変動

当社グループの事業売上においては米ドル建て収入の比率が大きく、為替レートにより円換算後の価値が影響を受ける可能性があります。当社グループは、費用のドル化や為替予約などにより、為替レートの変動による悪影響を最小限に止める努力をしていますが、米ドルに対する円高は当社グループの財政状態・経営成績に悪影響を与える可能性があります。

 

② 燃料油価格の変動

燃料費は当社グループの船舶運航コストの中で大きなウェイトを占めています。燃料油価格は、原油の需給バランス、OPECや産油国の動向、産油国の政情や産油能力の変動など当社グループが関与できない要因により影響され、その予想は極めて困難といえます。また、環境規制の拡大・強化に伴い、環境負荷の低い良質な燃料の使用が求められ、結果として価格が割高な燃料を調達せざるを得ない可能性があります。当社グループは、不安定な価格変動の影響を回避するため一部先物取引による価格固定化を行っていますが、著しく、かつ持続的な燃料油価格の高騰は当社グループの事業コストを押し上げ、財政状態・経営成績に悪影響を与える可能性があります。

 

③ 金利の変動

当社グループは、継続的に船舶の建造等の設備投資を行っています。当社グループは可能な限り自己資金を投入しているほか、オフバランス化による有利子負債の削減を図っていますが、金融機関からの借入れに依存する割合も少なくありません。また、事業運営に係わる運転資金調達を行っています。

資金調達に際しては、一定の規模を固定金利で借り入れ、また船舶・設備投資資金の借入れの一部を対象とした金利固定化スワップを実施していますが、将来の金利動向によっては資金調達コストの上昇による影響を受け、当社グループの財政状態・経営成績に悪影響を与える可能性があります。

 

④ 公的規制

海運事業は、一般的に船舶の運航、登録、建造、環境保全に係わる様々な国際条約、各国・地域の事業許可や租税に係る法・規制による影響を受けます。今後、新たな法・規制が制定され、当社グループの事業展開を制限し、事業コストを増加させ、結果として当社グループの財政状態・経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。当社グループの運航船舶は、現行の法・規制に従い管理・運航され、かつ適正な船舶保険が付保されていますが、関連法・規制の変更が行われる可能性はあり、また新たな法・規制への対応に費用が発生する可能性があります。

当社グループは、自動車、車両系建設機械等の貨物の輸送に関するカルテルの可能性に関連して、海外の競争当局による調査の対象になっています。また、一部の国において当社グループを含む複数の事業者に対し本件に関する集団訴訟が提起されています。

⑤ 重大な事故・環境破壊・紛争等

当社グループは、安全運航の徹底、環境保全を最優先課題として、当社グループの安全運航水準と危機管理体制の維持強化を図っています。

環境保全については、当社グループの事業活動が地球環境に負荷を与えることを自覚し、それを最小限にするべく、環境憲章を掲げています。環境憲章に沿って、環境への取組みを確実に推進するために、社長執行役員を委員長とする社会・環境委員会を設置して、推進体制の審議・策定をしています。また2021年11月には気候変動対策に対する取組みを強化するため、2020年6月に改訂版を公表した環境に関わる長期指針「“K”LINE 環境ビジョン2050 ~青い海を明日へつなぐ~」の一部を見直し、新たな2050年目標として「GHG(温室効果ガス)排出ネットゼロに挑戦する」ことを定めました。世界の気候変動対策への強化は喫緊の課題となっており、各国政府や産業界において、2050年GHG排出実質ゼロを目指そうという動きが一段と加速しています。そのような中で、当社グループも「2050年GHG排出ネットゼロ」という、より高い目標に挑戦してまいります。なお、「“K”LINE 環境ビジョン2050」改訂版で定めた2030年に向けてのアクションプランについては、これまでどおり着実に進めていきます。

安全運航については、社長執行役員を委員長とする安全運航推進委員会を定期的に開催し、安全運航に関わる全ての案件について、あらゆる視点に基づいた検討と取組みを行っています。更に緊急時の事故対応をまとめた「事故対応マニュアル」を策定し、定期的な事故対応演習により継続的改善を図っています。しかしながら、不測の事故、とりわけ油濁その他環境汚染に繋がる重大事故等が発生し、環境汚染を引き起こした場合、当社グループの財政状態・経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。また、海賊被害、政情不安・武力紛争地域での運航、船舶へのテロ行為リスクの増大は、当社グループの船舶に重大な損害を与え、また船員の生命を危険にさらすなど、当社グループ船舶の安全運航、航海計画管理、海上輸送事業全般に悪影響を与える可能性があります。

 

⑥ 競争環境等

当社グループは、国際的な海運市場の中で事業展開を行っており、有力な国内外の海運企業グループとの競合関係の中では、他企業との各事業分野への経営資源の配分の度合い及びコスト・技術面等の競争力の差によって、当社グループの業界での地位や経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。

競争環境の厳しいコンテナ船事業においては、他の海運企業とのアライアンスに参加することでサービスの競争力の維持・向上を図っていますが、一方で、アライアンスメンバーの一方的離脱など当社グループが関与し得ない事象は、当社グループの営業活動、財政状態・経営成績に悪影響を与える可能性があります。

 

⑦ 自然災害の発生

自然災害発生時の事業継続は、社会の機能の一端を担い社会に責任を負う当社グループの責務であるとともに、当社グループの存在意義に係わる重大な事項です。首都圏直下型大地震が発生した場合には、多くの建物、交通、ライフラインに甚大な影響が及ぶことが想定され、また新型インフルエンザ等対策特別措置法に準ずる感染症が発生し、世界的大流行(パンデミック)となった場合には、多くの人々の健康に重大な影響が及ぶことが懸念されます。また、これらの自然災害又はその二次災害に伴う風評被害が広がることが懸念されます。当社グループではこの2つの災害を想定した事業継続計画(BCP)を策定し、自然災害の発生時には、この計画を適用又は応用することで可能な限りの事業継続を目指していますが、当社グループ事業全般に対し少なからず悪影響を与える可能性があります。

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に関する一連の対応を振り返り、将来の弱毒性ウイルスによるパンデミックに備えた行動手引書の整備等を進めていますが、変異株の発生、新型種の発現など予期せぬ事態により当社の事業運営に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑧ 取引先の契約不履行

当社グループは、サービスを提供あるいは享受する取引先の選定においては、その信頼性を可能な限り調査していますが、将来において取引先の財政状態の悪化などにより、契約条項の一部又は全部が履行不可能となる可能性があります。その結果、当社グループの財政状態・経営成績に悪影響を与える可能性があります。

 

⑨ 投資計画の未達成

当社グループは、船隊整備のために必要な投資を計画していますが、今後の海運市況や公的規制等の動向によって計画が想定どおりに進捗しない場合、造船契約を新造船の納入前に解約するなどにより、当社グループの財政状態・経営成績に悪影響を与える可能性があります。また、これらの新造船の納入時点において貨物輸送への需要が想定を下回る場合、当社グループの財政状態・経営成績に悪影響を与える可能性があります。

 

⑩ 船舶の売却等による損失

当社グループは、市況に応じた柔軟な船隊整備に努めていますが、実際の船腹需給バランスの悪化、船舶の技術革新による陳腐化や傭船市況の動向に伴い、保有する船舶を売却し、また傭船する船舶の傭船契約を中途解約する場合があります。この結果、当社グループの財政状態・経営成績に悪影響を与える可能性があります。

 

⑪ 固定資産の減損損失

当社グループが保有する船舶等の固定資産について、収益性の低下により投資額の回収が見込めなくなる可能性があります。その結果、減損損失を認識するに至った場合には、当社グループの財政状態・経営成績に悪影響を与える可能性があります。また、当社グループは有価証券の評価基準及び評価方法として、投資有価証券のうちの時価のあるものについては期末日の市場価格等に基づく時価法を採用しています。その結果、株式市況の変動による時価の下落が当社グループの財政状態・経営成績に悪影響を与える可能性があります。

 

⑫ 繰延税金資産の取崩し

当社グループは、将来の課税所得の見積りに基づいて、繰延税金資産の回収可能性を評価しています。収益力の低下により充分な課税所得が将来確保されないとの判断に至った場合、繰延税金資産を取り崩して税金費用を計上することとなり、当社グループの財政状態・経営成績に悪影響を与える可能性があります。

 

⑬ 傭船契約損失引当金

当社グループは、当社又は連結子会社が借船したコンテナ船を傭船者に定期貸船しています。貸船料は傭船市況の変動に一定の影響を受けるため、貸船料が借船料を下回るリスクがあります。当社グループは、貸船料が借船料を下回る契約から生じる可能性のある将来の損失に充てるため、入手可能な情報に基づき、合理的に見積ることができるものについて会計上の引当を行っていますが(「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項 ハ 重要な引当金の計上基準」参照)、当社グループの傭船契約への対応方針や傭船市況の動向によっては追加の引当金の計上が必要となり、当社グループの財政状態・経営成績に悪影響を与える可能性があります。

 

⑭ 情報セキュリティ対策

当社グループは、世界の経済活動を支える物流インフラとして、安全・安心な海上輸送及び物流サービスを提供するため、情報セキュリティの確保と向上へ対策を講じています。昨今のサイバー攻撃は、多種多様化を極め、局所的な対応や製品導入のみでは万全の防御が果たせず、不正アクセスによる情報の漏洩、ウイルス感染によるシステム停止等が発生した場合には、当社グループの営業活動、財政状況・経営成績に悪影響を与える可能性があります。当社グループでは、情報セキュリティ対策として、1つの施策に依らずセキュリティ対策を多層化することで、攻撃を未然に防ぎ、セキュリティ事案発生時には早急に異常発生を「検知」し、影響を最小限に止めるための「対応」「復旧」 の強化を図っています。また、情報の保護を目的とする「情報管理」、サイバー攻撃に対するシステム・ネットワークの防御を中心とする「サイバーセキュリティ」、そしてオフィス・ターミナル等のファシリティにおける不正アクセスを予防する「物理セキュリティ」の3つの視点より情報セキュリティ対策を講じています。特に、海事サイバーリスクマネジメントへの取組みとしては、当社グループの船舶管理会社と当社船舶に対して、一般財団法人日本海事協会からサイバーセキュリティーマネジメントシステム(CSMS)の認証を取得し、その他船舶での認証取得を進めています。「安全」は海上輸送を主軸とする当社グループの事業の根幹を成すものであり、サイバーリスクへの対応を強化することで、より安全で最適な輸送サービスを提供してまいります。更に、技術的な対策に加え、グループ役職員における情報セキュリティとセキュリティファーストの文化醸成への意識向上のために、セキュリティ教育や啓蒙活動を実施しています。

 

 なお、文中における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(2022年6月23日)現在において当社グループが判断したものです。また、ここに記載するものが当社グループの全てのリスクではありません。

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

世界経済は、オミクロン株など新型コロナウイルス感染症(COVID-19)再拡大がみられたものの、前年度からの回復による反動もあり、通年では高い成長率となりました。国内経済は、相次ぐ緊急事態宣言の発令により回復が遅れていましたが、ワクチン接種の進展とそれに伴う活動制限の緩和を背景に個人消費の回復が明確化し、プラス成長となりました。このような事業環境のもとで当社は、2021年5月にローリングプランでの経営計画を発表し、自営事業4本柱の磨き上げ、アジアを中心としたグローバル展開の加速、新たな事業領域への挑戦、コンテナ船の事業の競争力向上、継続的な財務基盤の拡充に取り組んでまいりました。また2021年11月には、気候変動対策に対する取組みを強化するため、環境に関わる長期指針「“K”LINE 環境ビジョン2050」の一部を見直し、新たな2050年目標として「GHG(温室効果ガス)排出ネットゼロに挑戦する」という高い目標を定め、安全・環境・品質への取組みも積極的に進めてまいりました。

自営事業では船隊規模適正化の継続推進、安定収支を重視した投資の厳選、徹底した配船効率追求、顧客への提案力強化を通じた収益成長などにより、全セグメントでの黒字化を達成しました。また、当社の持分法適用関連会社であるOCEAN NETWORK EXPRESS PTE. LTD.(以下、「ONE社」という。)の業績が、旺盛な貨物需要に対応した機動的なオペレーションと高水準で推移した運賃市況などにより、大きく改善しました。これらの企業価値向上へ向けた取組みと、市況などに起因する収益の改善により、2030年の目標であった自己資本拡充と不採算船・事業からの撤退による構造改革を前倒しで達成しています。

これらの結果、当期の連結売上高は7,569億83百万円(前期比1,314億96百万円の増加)、営業利益は176億63百万円(前期は212億86百万円の営業損失)、経常利益は6,575億4百万円(前期比5,680億6百万円の増加)、親会社株主に帰属する当期純利益は6,424億24百万円(前期比5,337億28百万円の増加)となりました。

なお、ONE社の業績好調などにより、持分法による投資利益として6,409億92百万円を計上しました。うち、ONE社からの持分法による投資利益計上額は累計期間6,353億78百万円、当第4四半期連結会計期間においては2,203億3百万円となります。

 

経営計画の主な内容は「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (2)中期的な会社の経営戦略、(3)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題」をご参照ください。

事業環境が大きく変化しているなか、当社グループは2022年度から2026年度までの5か年の中期経営計画を公表しました。当社グループならではの強みである専門機能を磨き上げ、2050年に向けた自社と社会の低炭素・脱炭素化の実現と、収益成長を両立させるための長期経営ビジョンを達成していくため、足元の5年間で実行する施策を中期経営計画において明確化しました。

 

なお、当連結会計年度より、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を適用しています。

詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(会計方針の変更)」に記載のとおりです。

 

業績等の概要

(1)業績

(単位:百万円)

 

 

前連結会計年度

(2021年3月期)

当連結会計年度

(2022年3月期)

増減額 (増減率)

売上高

625,486

756,983

131,496

(21.0%)

営業利益又は営業損失(△)

△21,286

17,663

38,949

( - )

経常利益

89,498

657,504

568,006

(634.7%)

親会社株主に帰属する当期純利益

108,695

642,424

533,728

(491.0%)

 

 

為替レートと燃料油価格が経常利益に与えた影響は以下のとおりです。

 

 

前連結会計年度

当連結会計年度

増減額

影響額

為替レート

¥106/US$

¥112/US$

¥6/US$

23.5億円

燃料油価格

US$363/MT

US$551/MT

US$188/MT

△3.2億円

 

           <為替の推移(¥/US$)>          <消費燃料油価格の推移(US$/MT)>

0102010_002.png0102010_003.png

(注)為替・消費燃料油価格(平均補油価格)とも、当社社内値です。

 

また、当連結会計年度の事業セグメントごとの業績は、次のとおりです。

                                          (単位:百万円)

 

前連結会計年度

(自 2020年4月1日

  至 2021年3月31日)

当連結会計年度

(自 2021年4月1日

  至 2022年3月31日)

増減額 (増減率)

ドライバルク

売上高

181,983

276,478

94,495

(51.9%)

セグメント損益

△9,136

23,744

32,881

(-)

エネルギー

資源

売上高

77,641

89,726

12,085

(15.6%)

セグメント損益

1,071

4,766

3,695

(344.9%)

製品物流

売上高

339,667

380,196

40,528

(11.9%)

セグメント損益

104,545

640,814

536,269

(513.0%)

その他

売上高

26,193

10,580

△15,612

(△59.6%)

セグメント損益

1,084

△106

△1,191

(-)

 

① ドライバルクセグメント

 

[ドライバルク事業]

大型船市況は、上半期は中国をはじめとした各国において輸送需要が堅調に推移し、期央にかけて各国の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)拡大防止に伴う検疫体制の強化や極東での滞船増加により、船腹需給が引き締まり、総じて高水準で推移しました。下半期には、中国の粗鋼生産抑制や鉄鉱石及び石炭の主要産地における荒天による出荷減少の影響を受け市況が軟化したものの、年間を通じ振れ幅を伴いながら概ね堅調に推移しました。

中・小型船市況は、上半期は中国の経済活動再開、ブラジル出し中国向け穀物の堅調な輸送需要等に加えて石炭、マイナーバルクなどの輸送需要が増加し、滞船の影響も受け、期央にかけ上昇しました。下半期は滞船の緩和やインドネシア炭の輸出禁止による混乱に伴い軟化しましたが、ロシア・ウクライナ情勢の影響により穀物が代替地から積み出されるなどの輸送パターンの変化を受け期末に再度上昇しました。

このような状況下、ドライバルクセグメントでは、市況エクスポージャーを適切に管理すると同時に運航コストの削減や配船効率向上に努めました。

 

以上の結果、ドライバルクセグメント全体では、前期比で増収となり、黒字に転換しました。

 

0102010_004.png

 

② エネルギー資源セグメント

 

[油槽船事業・電力事業]

大型原油船、LPG船及び電力炭船は中長期の傭船契約のもとで順調に稼働し、安定的に収益に貢献しました。

 

[液化天然ガス輸送船事業・海洋事業]

LNG船、ドリルシップ(海洋掘削船)及びFPSO(浮体式石油・ガス生産貯蔵積出設備)は中長期の傭船契約のもとで順調に稼働し、安定的に収益に貢献しました。

オフショア支援船事業においては、油価は回復したものの、市況低迷が継続しました。

 

以上の結果、エネルギー資源セグメント全体では、前期比で増収増益となりました。

 

0102010_005.png

 

③ 製品物流セグメント

 

[自動車船事業]

世界自動車販売市場は、半導体及び自動車部品の供給不足並びにロシア・ウクライナ情勢により、一部で生産・出荷への影響があったものの、前年度の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響からの回復基調が継続しました。燃料単価上昇の継続による影響を受けたものの、輸送需要は回復しました。

 

[物流事業]

国内物流・港湾事業では、国内コンテナターミナルの取扱量は前期比で増加しました。曳船事業では作業数が堅調に推移しました。倉庫事業は継続して堅調に推移しました。

国際物流事業では、航空フォワーディング事業の荷動きが改善しました。完成車物流事業では、在庫保管サービスの取扱量は低調に推移しました。

 

[近海・内航事業]

近海事業では、鋼材・木材の輸送需要は、堅調に推移しましたが、バルク輸送では、当期の輸送量は前期を下回り、近海船全体では、当期の輸送量は前期を下回りました。

内航事業では、フェリー輸送の市況は堅調に推移し、輸送量は前期を上回りました。定期船輸送では、木材製品・食品貨物などの取り込みを図り、輸送量は前期を上回りました。不定期船輸送では、石灰石・石炭の各専用船は安定した稼働となり、一般貨物船では国産材の需要増により、輸送量は前期を上回りました。

 

[コンテナ船事業]

当社持分法適用関連会社であるONE社は、サプライチェーンの混乱と旺盛な荷動きにより輸送需給がひっ迫するなか、全航路において運賃が高水準で推移したことにより、業績は前期比で大幅な改善となりました。

 

以上の結果、製品物流セグメント全体では、前期比で増収増益となりました。

 

④ その他

 

その他には、船舶管理業、旅行代理店業及び不動産賃貸・管理業等が含まれており、当期業績は前期比で減収となり、損失を計上しました。

 

(2)キャッシュ・フロー

当連結会計年度末における現金及び現金同等物は2,443億16百万円となり、前連結会計年度末より1,143億15百万円増加しました。各キャッシュ・フローの状況は次のとおりです。

営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益等により、当連結会計年度は2,264億60百万円のプラス(前連結会計年度は333億97百万円のプラス)となりました。

投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産の取得による支出等により、当連結会計年度は58億48百万円のマイナス(前連結会計年度は169億87百万円のプラス)となりました。

財務活動によるキャッシュ・フローは、長期借入金返済等に係る支出等により、当連結会計年度は1,160億1百万円のマイナス(前連結会計年度は348億45百万円のマイナス)となりました。

 

生産、受注及び販売の状況

 

 当社グループは、海運業を中核とする海運事業グループであり、ドライバルク事業、エネルギー資源事業、製品物流事業を行っています。この他、船舶管理業、旅行代理店業及び不動産賃貸・管理業等を展開しています。従って、生産、受注を行っておらず、セグメントごとに生産規模及び受注規模を金額あるいは数量で示すことはしていません。

 

セグメント別売上高(外部顧客に対する売上高)

 セグメント別売上高(外部顧客に対する売上高)の実績は、下記のとおりです。

セグメントの名称

前連結会計年度

(自 2020年4月1日

   至 2021年3月31日)

当連結会計年度

(自 2021年4月1日

   至 2022年3月31日)

金額(百万円)

比率(%)

金額(百万円)

比率(%)

ドライバルク

181,983

29.1

276,478

36.5

エネルギー資源

77,641

12.4

89,726

11.9

製品物流

339,667

54.3

380,196

50.2

その他

26,193

4.2

10,580

1.4

合計

625,486

100.0

756,983

100.0

 

当社(川崎汽船㈱)の営業収益実績(参考)

 提出会社のセグメント別営業収益の実績は、下記のとおりです。

区分

前事業年度

(自 2020年4月1日

   至 2021年3月31日)

当事業年度

(自 2021年4月1日

   至 2022年3月31日)

金額(百万円)

比率(%)

金額(百万円)

比率(%)

(ドライバルク)

172,345

43.2

260,456

47.2

(エネルギー資源)

56,961

14.3

69,288

12.6

(製品物流)

169,895

42.5

221,575

40.2

海運業収益

399,202

100.0

551,320

100.0

(その他)

52

0.0

52

0.0

その他事業収益

52

0.0

52

0.0

合計

399,255

100.0

551,372

100.0

 

経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析

 

(1)重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されています。この連結財務諸表の作成にあたり、見積りが必要な事項につきましては、一定の会計基準の範囲内にて合理的な基準に基づき、会計上の見積りを行っています。

詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載のとおりです。

 

(2)当連結会計年度の経営成績の分析

① 売上高

売上高は前年度に比べ21.0%増収の7,569億83百万円となりました。報告セグメント別では、ドライバルクセグメントは、前年度に比べ、51.9%増収の2,764億78百万円となりました。エネルギー資源セグメントは、前年度に比べ、15.6%増収の897億26百万円となり、製品物流セグメントは、前年度に比べ、11.9%増収の3,801億96百万円となりました。

その他セグメントは、59.6%減収となりました。

 

② 売上原価、販売費及び一般管理費

売上原価は、前年度の5,900億46百万円から915億59百万円増加し、6,816億5百万円(前年度比15.5%増)となりました。営業収入に対する売上原価の比率は4.3ポイント減少して90.0%となりました。販売費及び一般管理費は9億87百万円増加し、577億14百万円(前年度比1.7%増)となりました。

③ 営業利益

売上総利益の増加により、前年度の212億86百万円の営業損失に対し176億63百万円の営業利益となりました。

④ 営業外収益(費用)

6,409億92百万円の持分法による投資利益(前年度は1,181億65百万円の持分法による投資利益)を計上したことが主な要因となり、営業外損益は6,398億40百万円の利益(前年度は1,107億84百万円の利益)となりました。

⑤ 税金等調整前当期純利益

固定資産売却益などにより特別利益は301億5百万円となりました。また、減損損失などにより特別損失は285億16百万円となりました。これらの結果、税金等調整前当期純利益は6,590億93百万円(前年度は1,138億54百万円の税金等調整前当期純利益)となりました。

⑥ 法人税等

法人税等は、主として法人税、住民税及び事業税の増加により、前年度の27億72百万円から96億87百万円増加し124億59百万円となりました。

 

⑦ 非支配株主に帰属する当期純利益

非支配株主に帰属する当期純利益は、川崎近海汽船株式会社などの非支配株主に帰属する当期純利益が増加し、前年度の23億86百万円から18億22百万円増加し、42億9百万円となりました。

⑧ 親会社株主に帰属する当期純利益

親会社株主に帰属する当期純利益は、前年度の1,086億95百万円に対し、6,424億24百万円となりました。1株当たり当期純利益は、前年度の1,165.34円に対し、6,887.54円となりました。

(3)資本の財源及び資金の流動性についての分析

① キャッシュ・フローの状況

「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 業績等の概要 (2) キャッシュ・フロー」をご参照ください。

② 資金需要

当社グループの運転資金需要のうち主なものは、当社グループのドライバルク事業や自動車船事業の運営に関わる海運業費用です。この中には港費・貨物費・燃料費などの運航費、船員費・船舶修繕費などの船費及び借船料などが含まれます。このほか物流事業の運営に関わる労務費等の役務原価、各事業についての人件費・情報処理費用・その他物件費等の一般管理費があります。また、設備資金需要としては船舶投資や物流設備・ターミナル設備等への投資があります。当連結会計年度中に434億42百万円の設備投資を実施しました。

 

③ 財務政策

当社グループの事業維持・拡大を支える低コストで安定的な資金の確保を重視しています。長期の資金需要に対しては金融機関からの長期借入金を中心に、社債発行、新株発行により調達しています。短期的な運転資金を銀行借入、コマーシャルペーパー(CP)発行等により調達し、一時的な余資は安定性・流動性の高い金融資産で運用しています。また、キャッシュマネージメントシステム等を利用して、国内・海外グループ会社の余剰資金を有効活用しています。

流動性の確保としまして、CP発行枠600億円に加え、国内金融機関と1,400億円の複数年のコミットメントラインを設定し、緊急の資金需要に備えています。

当社は日本格付研究所(JCR)から格付を取得しており、2022年6月23日0時現在の発行体格付は、「BBB」となっています。また、短期債格付(CP格付)については「J-2」を取得しています。

 

(4)財政状態

当連結会計年度末の資産合計は、前年度末比6,003億51百万円増加し1兆5,749億60百万円となりました。流動資産は、現金及び預金の増加等により、前年度末比1,648億79百万円増加し4,310億89百万円となりました。

固定資産は前年度末比4,354億72百万円増加し1兆1,438億70百万円となりました。固定資産のうち有形固定資産は、船舶の減少等により、前年度末比93億4百万円減少し3,820億29百万円となりました。投資その他の資産は、投資有価証券の増加等により、前年度末比4,448億14百万円増加し7,583億26百万円となりました。

当連結会計年度末の負債合計は、前年度末比683億68百万円減少し5,900億77百万円となりました。短期借入金及び長期借入金の減少等により、流動負債は2,515億38百万円となり、固定負債は3,385億38百万円となりました。

当連結会計年度末の純資産合計は、前年度末比6,687億20百万円増加し、9,848億82百万円となりました。純資産のうち株主資本は、主に利益剰余金が6,464億6百万円増加したことにより、8,644億24百万円となりました。その他の包括利益累計額は、為替換算調整勘定が増加したことを主な要因として、前年度末比201億19百万円増加し202億9百万円となりました。

 

4【経営上の重要な契約等】

(子会社株式の譲渡)

 当社は、従来から進めてきたポートフォリオ見直しの一環として、連結子会社であるCENTURY DISTRIBUTION SYSTEMS, INC.の当社保有株式全てを、Sun Capital Partners, Inc.が運営する投資ファンドに譲渡することを決定し、2021年6月1日に譲渡が完了しました。詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 (企業結合等関係)」に記載のとおりです。

 

(簡易株式交換による完全子会社化)

 当社は、2022年3月16日開催の取締役会決議に基づき、連結子会社である川崎近海汽船株式会社との間で、当社グループの経営資源の最適かつ効率的な活用と、両社間での事業戦略の一層の共有化及び両社の競争力の強化を目的として、同日に株式交換契約を締結し、2022年6月1日に株式交換を実施しました。詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 (2 財務諸表等 (1) 財務諸表)注記事項 (重要な後発事象)」に記載のとおりです。

 

5【研究開発活動】

 当社グループは、輸送技術の革新、安全輸送の徹底及び環境保全等に関する研究開発に取り組んでおり、他社と共同による船舶の省エネ化・環境対策に資する技術の高度化研究を通じ、省エネ・環境対策技術の保有を目指しています。

 なお、当連結会計年度の研究開発費の総額は224百万円であり、特定のセグメントに帰属しない全社費用として、報告セグメントには含まれていません。