(1)会社の経営の基本方針
当社は2022年5月9日より、当社グループの目指す姿として「企業理念」、「ビジョン」及び「大事にする価値観」を以下のとおり掲げています。
<企業理念>
~グローバルに信頼される
~
海運業を主軸とする物流企業として、人々の豊かな暮らしに貢献します。
<ビジョン>
全てのステークホルダーから信頼されるパートナーとして、グローバル社会のインフラを支えることで持続的成長と企業価値向上を目指します。
<大事にする価値観>
・お客様を第一に考えた安全で最適なサービスの提供
・たゆまない課題解決への姿勢
・専門性を追求した川崎汽船ならではの価値の提供
・変革への飽くなきチャレンジ
・地球環境と持続可能な社会への貢献
・多様な価値観の受容による人間性の尊重と公正な事業活動
当社は、海運業を主軸とする物流において、自社と社会の低炭素・脱炭素化の推進を通じて企業価値向上を図り、その実現のための新たな成長機会を追求していくことを基本方針としています。
(2)中期的な会社の経営戦略
事業環境が大きく変化しているなか、当社グループは2022年5月9日に2022年度から2026年度までの5か年の中期経営計画を公表しました。当社グループならではの強みである専門機能を磨き上げ、2050年に向けた自社と社会の低炭素・脱炭素化の実現と、収益成長を両立させるための長期経営ビジョンを達成していくため、足元の5年間で実行する施策を中期経営計画において明確化しました。船隊の代替燃料船への移行と並行してエネルギーインフラの転換を進めると同時に、この事業機会を確実に捉え、収益性と成長性を高めていくためにも、経営資源の集中と顧客とのパートナーシップの強化により企業価値の持続的な向上につなげてまいります。その実現のため、事業戦略の実行、事業基盤の構築及び資本政策の明確化に取り組みます。
企業価値向上への取組みを定量的に管理していくための経営指標及び目標はそれぞれ以下のとおりです。
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経営指標 |
2026年度目標 |
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ROE |
10%以上 |
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ROIC |
6.0~7.0% |
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収支 |
経常利益1,400億円 (収支目標については経営指標による目標値も踏まえて順調に進捗しており、成長実績を踏まえ、中期経営計画の目標である経常利益1,400億円の前倒し達成を視野に入れて取り組む) |
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最適資本構成 |
当社グループとしての資本効率の最適化と戦略的な資金調達が可能となる財務の健全性を両立 |
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株主還元方針 |
中期経営計画期間で下限4,000億円から最大5,000億円規模としていた株主還元累計金額を、営業キャッシュ・フロー上振れに伴い、下限5,000億円以上とする (最適資本を意識したキャッシュアロケーションにより資本効率と財務健全性を両立し、成長のための投資を行ったうえで積極的な株主還元を行い、企業価値向上を進める) |
(3)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
・事業戦略
当社グループは、2022年5月に公表した5か年の中期経営計画にて定めた、海運業を主軸とした当社グループの強みを生かしたポートフォリオ戦略に基づき事業毎の役割を明確化し、各事業の特性に応じたメリハリのある資源配分により事業の収益性を強化し企業価値の更なる向上に努めます。
「成長を牽引する役割の事業」である鉄鋼原料、自動車船、LNG輸送船事業へは、環境対応を機会として成長を実現し全社収益の柱となることを目的とし、経営資源を集中的に配分して事業成長を実現します。
「スムーズなエネルギー転換をサポートし新たな事業機会を担う役割の事業」である電力炭、大型油槽船、LPG船事業では、事業リスクの最小化を図りながらも、新エネルギー輸送需要への対応を推進します。
「稼ぐ力の磨き上げで貢献する役割の事業」であるバルクキャリア、近海内航、港湾・物流事業では、市況耐性を高め、安定収益確保に努め、シナジーを追求した事業戦略を進めます。
「株主として事業を支え収益基盤を安定させる役割の事業」では、コンテナ船事業を当社の重要な主要事業の一つととらえ、持分法適用関連会社であるOCEAN NETWORK EXPRESS PTE. LTD.(以下、「ONE社」という。)の持続的な成長と発展のために、株主としての支援強化を目的とし、継続的な人的支援と経営ガバナンスへの関与を通じた企業価値の最大化を目指します。
「新規事業領域」では、液化CO2輸送事業や洋上風力発電支援船事業など、グループ会社間の専門領域を磨き上げ、シナジーを追求し、当社グループの強みを生かせる事業領域の拡張を目指します。
・事業基盤
事業戦略を実現するための強固な事業基盤を構築します。当社グループの提供価値の源泉である、人材・組織とそれらを支えるシステム・技術に投資することで、当社グループならではの技術や専門性を磨き上げ、組織的な営業力を通じて顧客のニーズに合致した付加価値を提供します。また、今後の成長を実現するうえで不可欠である環境・技術開発と安全・船舶品質管理については、継続的な取組みと、グローバル拠点の強化によるサポート体制と組織の確立により、対応を更に強化します。
・資本政策
最適資本を意識したキャッシュアロケーションにより資本効率と財務健全性を両立し、成長のための投資を行ったうえで積極的な株主還元を行い、企業価値向上を進めます。投資には、好況の時は抑制的に、市況が悪い時には戦略的に臨み、投資規律を保つことで市況耐性の一層の強化も図っていきます。株主還元は2022年度までに2,500億円を実施し、残りの中期経営計画期間(2023年度から2026年度)における基礎配当を1株当たり120円とし、2023年度においては1株当たり80円の追加配当により、1株当たり200円の配当を予定しています。これに加えて、残りの中期経営計画期間において1,100億円規模の追加的な株主還元を予定しており、そのうち、最低500億円を2023年度に実施する予定です。また、経営管理の更なる高度化により、事業毎の資本コスト及びキャッシュ・フローを意識した経営管理の導入及び事業投資マネジメント導入による投資規律の維持・強化により、資本効率を最適化し、企業価値の更なる向上を目指します。
なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末時点において当社グループが判断したものです。
(1)基本的な考え方
当社は創業以来、海運を主軸とする物流企業として国際的な社会インフラを担ってきましたが、人々の生活や経済を支えるライフラインとしての使命を果たしてゆくには、経営にサステナビリティ(環境・社会・経済の持続可能性)を重視する視点が欠かせません。急速に変化する環境の中で事業の持続的な発展により企業価値を向上させてゆくには、気候変動問題やSDGsなどに代表されるグローバル社会の要請やお客さまのニーズの変化に応える経営戦略を、機動的に打ち出す必要があります。 当社グループが大事にする価値観のひとつである「地球環境と持続可能な社会への貢献」を体現すべく、サステナビリティへの主体的な取り組みを通じて、社会課題の解決に貢献しつつ、成長機会の追求と企業価値の向上に取り組んでまいります。
(2)サステナビリティ全般に関するガバナンス
グローバルな価値観や行動の変容が加速し、地球温暖化による環境負荷の低減に対する意識が高まるなか、当社グループは、サステナビリティ経営を中長期的な企業価値向上の実現に向けた重要課題の一つとしてとらえ、取締役会において継続的に取り組んでいます。
サステナビリティに重点を置いた経営を強化するため、「サステナビリティ経営推進委員会」及び「GHG削減戦略委員会」を設置し、気候変動をはじめとするサステナビリティのリスクと機会に対する全社的な方針や取り組みについて討議しています。
「サステナビリティ経営推進委員会」は、社長執行役員を委員長とし、当社グループのサステナビリティ経営の推進体制の審議・策定を通じて、企業価値向上を図っています。
「サステナビリティ経営推進委員会」の下部組織である「環境専門委員会」は、「川崎汽船グループ環境憲章」及び国際標準化機構(ISO)の規格に則って構築された「環境マネジメントシステム(EMS)」を機能的に運用するとともに、その他の環境に関わる活動を推進しています。
もう一つの下部組織である「サステナビリティ専門委員会」は、安全運航技術・経済運航技術・次世代燃料対応を含む環境技術の開発、低炭素・脱炭素事業への取り組み、DX対応、社会課題への対応及びガバナンス・コンプライアンスの一層の強化を通じて、当社グループの事業の持続性と企業価値向上に寄与する経営を推進しています。
「GHG削減戦略委員会」は、各種環境対応が急務ななか、当社グループの燃料転換を主体としたGHG削減戦略を策定するとともに、総合的な対応戦略、機器選定等の技術対応・円滑な運用準備などの方針を策定し、実施を統括しています。具体的には、下部組織として「CII・2030年環境目標対応プロジェクトチーム」「次世代代替燃料推進プロジェクトチーム」「安全環境支援技術プロジェクトチーム」の3つのプロジェクトチームを置き、喫緊の課題であるEEXI(Energy Efficiency Existing Ship Index、既存の大型外航船の燃費性能規制)やCII(Carbon Intensity Indicator、燃費実績の格付制度)への組織的対応を強化するほか、LNG燃料焚き船・LNG燃料供給事業への取り組み加速と次世代燃料や新技術の検討、環境規制への技術面も含めた対応方針の策定を担っています。
(3)サステナビリティ全般に関するリスク管理
当社はサステナビリティ関連のリスク及び機会を識別し、評価し、及び管理するための過程の一環として、必要に応じてマテリアリティ(サステナビリティ重要課題)の見直しを行っています。
2022年度の見直しでは、新たに5分野、12項目のマテリアリティを特定しました。従来のマテリアリティは、ISO26000やOECD多国籍企業行動指針など、主としてCSR(企業の社会的責任)に関連する各種ガイダンスを参考に、2014年に特定されたものですが、その後の経営環境や社会情勢の変化を踏まえ、見直しを行ったものです。
今回の見直しに際しては、各社会課題について、従来のCSRの視点に加え、事業戦略との整合性や価値創造の観点なども加味して、「自社にとっての重要性」(ビジネス視点での重要性)と「社会にとっての重要性」(ステークホルダー視点での重要性)という2軸から、当社の企業価値への影響度をリスクと機会の観点より分析・評価しました。
(4)マテリアリティ
2022年度に特定されたマテリアリティ12項目は、当社が中期経営計画で掲げる機能戦略の4本柱である「安全・品質」「環境・技術」「デジタライゼーション推進」「人材」と、それらの土台としての「経営基盤」の5分野に分類して整理されています。当社グループはマテリアリティを、中期経営計画に基づいて企業理念やビジョンを実現するために取り組むべき重要課題と位置付けています。
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分野 |
社会課題解決へのアクション =マテリアリティ |
基本方針 |
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経営基盤 |
人権の尊重 |
グループの事業活動に関わる全てのステークホルダーの人権尊重に向けた取り組みを推進する。 |
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コーポレートガバナンスの強化 |
企業の社会的責任を果たし、株主等ステークホルダーの負託に応え、持続的に成長していくために、グループ全体に企業倫理を徹底しつつ、有機的かつ効果的なガバナンスの仕組みを構築し、収益・財務体質の強化と相まって企業価値を高めるよう継続して努力していく。 |
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コンプライアンスの推進・強化 |
国内外の法令や社会規範を遵守し、公正、透明、自由な競争及び適正な取引を行う。 |
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安全・品質 |
安全運航の推進 |
海運業を営む上で、安全運航の確立・維持は不変の使命であり、「安全で最適なサービスの提供」を通じて、安全運航による社会への貢献を果たす。 |
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環境・技術 |
自社の低炭素化・脱炭素化 |
地球規模での気候変動対策を国際社会全体で強化すべき課題として捉え、「2050年GHG排出ネットゼロへの挑戦」を宣言。また、持続的成長と企業価値向上に向けて、自社・社会のスムーズなエネルギー転換にコミットし、低炭素・脱炭素社会の実現に向けた活動を推進する。 |
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社会の低炭素化・脱炭素化支援 |
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自社からの海洋・大気への環境影響の限りないゼロ化 |
「安全で最適なサービスの提供」を通じて、安全運航による社会への貢献を果たすことは、海洋・大気への環境影響低減への貢献でもあり、油濁事故ゼロのための取り組みを推進し、船舶運航における環境影響の低減に努める。 |
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イノベーションの促進 |
安全・環境・品質に磨きをかけ、お客さまや社会に対して新たな価値を提供すべく、新技術の追求と、検討・実証から実装に向けた対応強化の両軸での取り組みを通じて、当社のコアバリューを磨き上げ、競争力の強化を図る。 |
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デジタライゼーション推進 |
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DX対応の強化 |
DX基盤の整備とデジタル技術を活用した「顧客提供価値の向上」と、安全・環境・品質のコアバリューを磨き上げる「運航支援」により、当社サービスの付加価値を向上させるとともに、ビジネストランスフォーメーションに発展させることで新たな価値を創造し、それによって築かれた競争優位性により顧客との関係を深化させ、企業価値の向上を図る。 |
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人材 |
ダイバーシティ& インクルージョンの促進 |
多様性を「競争力の源泉」と位置づけ、国籍、大学、学部、性別、職種(事務系・技術系)を問わない一括採用・キャリア採用を実施するほか、職場におけるジェンダーバランスの強化に向けた行動計画を策定するなど、多様性のさらなる促進に取り組む。 |
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労働環境の整備・ 健康経営の促進 |
グループ従業員の人格、個性及び多様性を尊重し、安全で働きやすい職場環境の整備・向上を図り、ゆとりと豊かさを実現する。 |
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人材の確保・育成 |
多様な価値観の受容をベースに人材の量的・質的な確保に努め、社員一人ひとりが自らの能力を高め、成果を上げることができるよう育成する。 |
(5)主な取り組み
①気候変動への対応「TCFDフレームワークに基づく情報開示」
a)考え方
当社グループは、2020年6月にこれまでの「“K” LINE 環境ビジョン2050」を振り返り、気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)が提言するシナリオ分析の結果を踏まえ、取り組むべき課題及び目標の一部を改訂しました。更に2021年11月には地球規模での気候変動対策を国際社会全体で強化すべき課題として捉え、より高い目標である「2050年GHG排出ネットゼロへの挑戦」を宣言しました。また、2022年5月公表の中期経営計画における長期ビジョンとして、持続的成長と企業価値向上に向けて、自社・社会のスムーズなエネルギー転換にコミットし、低炭素・脱炭素社会の実現に向けた活動を推進しています。
b)ガバナンス
※「
c)リスクと機会
パリ協定では世界の平均気温上昇を産業革命前と比較して、2℃より十分低く抑え、1.5℃に抑える努力を追求する長期目標が掲げられています。
パリ協定の精神に則り、国際海運においても、海事分野に関する国連の専門機関「国際海事機関(IMO)」により目標や対策が定められており、当社もIMOの方針に沿った形で事業活動に伴うGHG排出削減に取り組んでいますが、GHG排出削減対策の効果が十分に出ず、物理的リスクが激増する世界を迎える可能性もあります(4℃上昇シナリオ)。当社グループはこうした状況にも適応できるレジリエンスを発揮し、事業運営を続けなければなりません。そこで、「2℃未満シナリオ」と「4℃上昇シナリオ」の二つのシナリオについて、事業への影響をマイナス面(リスク)とプラス面(機会)の両面から整理し、行うべきことを導き出しました。
d)指標と目標
2030年に向けては、これまで「“K” LINE 環境ビジョン2050」で掲げてきた中期マイルストーンの目標達成に向けて、アクションプランを着実に推進していきます。
2050年に向けては、GHG排出量ネットゼロに挑戦し、自社の脱炭素化に一層取り組むだけでなく、社会の脱炭素化の支援も推進し、「人々の豊かな暮らしに貢献する」ことを目指していきます。
「2030年中期マイルストーン」
・自社の低炭素化:CO2排出効率 2008年比50%改善
・社会の低炭素化支援:社会の低炭素化に向けた新しいエネルギー輸送・供給の推進
「2050年目標」
・自社の脱炭素化:GHG排出量ネットゼロに挑戦
・社会の脱炭素化支援:社会の脱炭素化を支える新エネルギー輸送・供給の担い手に
e)戦略と取り組み
2050年GHG排出ネットゼロに挑戦する過程において、まずは2030年中期マイルストーン達成に向けた取り組みとして、自社の脱炭素化・低炭素化という観点から、LNG燃料船、LPG燃料船、アンモニア/水素燃料等ゼロエミッションの新燃料船への転換を進めていきます。また自動カイトシステム「Seawing(風力推進)」や統合船舶運航・性能管理システム「K-IMS」などの活用によるCO2排出削減の取り組みも推進していきます。
当社グループの気候変動に対する具体的な取り組みにつきましては、当社ウェブサイトをご参照ください。
「サステナビリティ」>「環境」>「気候変動への対応」>「戦略と取り組み」
https://www.kline.co.jp/ja/sustainability/environment/climate_change.html#005
f)温室効果ガス排出実績
2022年において当社グループの事業に伴う温室効果ガスの排出量(GHG Protocolによる算定・報告の基準による)は、スコープ1(化石燃料の使用に伴う直接的な排出)6,649,847トン、スコープ2(供給を受けた電力等による間接的な排出)10,472トン、スコープ3(スコープ1・2を除くその他の間接的排出)4,506,111トン、バイオ燃料使用に伴う温室効果ガスの排出量は348トンという結果となりました。
②人的資本多様性
a)人材育成方針・社内環境整備方針
当社グループでは、グループ全体で遵守される行動規範である「グループ企業行動憲章」を制定しており、そこに掲げる「人権の尊重」のなかで、国の内外を問わず人権を尊重するとともに、グループ従業員の人格、個性及び多様性を尊重し、安全で働きやすい職場環境の整備向上を図り、ゆとりと豊かさを実現することを謳っています。また、当社では、「川崎汽船企業行動憲章実行要点」において、国籍、性別、宗教または社会的身分等を理由とする雇用や処遇の差別を排除し、機会の均等を図ると定めており、管理職及び一般従業員における多様性の確保を図っています。当社グループは、世界20か国以上に現地法人や関係会社を持ち、多様性に富んだ従業員で構成されています。日本の本社においても、国籍や性別などを問わない採用や登用を行っており、ウェブサイトでは、人材育成方針、社内環境整備方針、人材マネジメントの基本方針に加えて、人事制度一般に関するデータや女性の管理職に関する目標も開示しています。外国人・中途採用者については、当社グループの経営戦略に沿った採用・登用のなかで、人材の多様性を促進していきます。
b)指標と目標
全ての社員が働き甲斐をもっていきいきと働ける企業となることを目指し、また仕事と家庭を両立しながら、誰もが個々の能力を十分に発揮できる雇用環境の整備を行うため、女性活躍推進及び次世代育成支援のための行動計画(計画期間:2022年4月1日~2025年3月31日)で以下の当社目標を設定して取り組んでいます。
① 計画期間末迄に管理職における当社の女性社員比率を15%とする。
② 男性社員の育児のための当社の休暇・休業取得率を20%以上とする。
c)目標の進捗状況
「
なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末時点において当社グループが判断したものです。
当社グループは国際的な事業展開を行っており、政治的・社会的な要因や自然現象により予期せぬ事象が発生した場合には、関連の地域や市場において事業に悪影響を及ぼす可能性があります。主たる事業である海上輸送の分野においては、荷動き・海運市況は、世界各国の景気動向、商品市況、船腹の需給バランス、競合関係など、様々な要因の影響を受け、その変化は当社グループの営業活動、経営成績に影響を及ぼす可能性があります。特に、わが国及び主要な貿易国(地域)である北米、欧州、中国等の税制、経済政策の変更、あるいは自国保護貿易政策などの発動は、国際間の輸送量の減少や運賃市況の下落を招き、当社グループの財政状態・経営成績に悪影響を与える可能性があります。
このほかに当社グループの事業活動において、悪影響を及ぼす可能性があると考えられる主なリスクには、次のようなものがあります。
① 為替レートの変動
当社グループの事業売上においては米ドル建て収入の比率が大きく、為替レートにより円換算後の価値が影響を受ける可能性があります。当社グループは、費用のドル化や為替予約などにより、為替レートの変動による悪影響を最小限に止める努力をしていますが、米ドルに対する円高は当社グループの財政状態・経営成績に悪影響を与える可能性があります。
② 燃料油価格の変動
燃料費は当社グループの船舶運航コストの中で大きなウェイトを占めています。燃料油価格は、原油の需給バランス、OPECや産油国の動向、産油国の政情や産油能力の変動など当社グループが関与できない要因により影響され、その予想は極めて困難といえます。また、環境規制の拡大・強化に伴い、環境負荷の低い良質な燃料の使用が求められ、結果として価格が割高な燃料を調達せざるを得ない可能性があります。当社グループは、不安定な価格変動の影響を回避するため一部先物取引による価格固定化を行っていますが、著しく、かつ持続的な燃料油価格の高騰は当社グループの事業コストを押し上げ、財政状態・経営成績に悪影響を与える可能性があります。
③ 金利の変動
当社グループは、継続的に船舶の建造等の設備投資を行っています。これらの設備投資には自己資金及び金融機関借入を充当しており、適切に有利子負債をコントロールしています。また、事業運営に係わる運転資金調達を行っています。
資金調達に際しては、一定の規模を固定金利で借り入れ、また船舶・設備投資資金の借入れの一部を対象とした金利固定化スワップを実施していますが、将来の金利動向によっては資金調達コストの上昇による影響を受け、当社グループの財政状態・経営成績に悪影響を与える可能性があります。
④ 公的規制
海運事業は、一般的に船舶の運航、登録、建造、環境保全に係わる様々な国際条約、各国・地域の事業許可や租税に係る法・規制による影響を受けます。今後、新たな法・規制が制定され、当社グループの事業展開を制限し、事業コストを増加させ、結果として当社グループの財政状態・経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。当社グループの運航船舶は、現行の法・規制に従い管理・運航され、かつ適正な船舶保険が付保されていますが、関連法・規制の変更が行われる可能性はあり、また新たな法・規制への対応に費用が発生する可能性があります。
当社グループは、自動車、車両系建設機械等の貨物の輸送に関するカルテルの可能性に関連して、海外の競争当局による調査の対象になっています。また、一部の国において当社グループを含む複数の事業者に対し本件に関する損害賠償請求訴訟が提起されています。
⑤ 重大な事故・環境破壊・紛争等
当社グループは、安全運航の徹底、環境保全を最優先課題として、当社グループの安全運航水準と危機管理体制の維持強化を図っています。
安全運航については、社長執行役員を委員長とする安全運航推進委員会を定期的に開催し、安全運航に関わる全ての案件について、あらゆる視点に基づいた検討と取組みを行っています。更に緊急時の事故対応をまとめた「事故対応マニュアル」を策定し、定期的な事故対応演習により継続的改善を図っています。しかしながら、不測の事故、とりわけ油濁その他環境汚染に繋がる重大事故等が発生し、環境汚染を引き起こした場合、当社グループの財政状態・経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。また、海賊被害、政情不安・武力紛争地域での運航、船舶へのテロ行為リスクの増大は、当社グループの船舶に重大な損害を与え、また船員の生命を危険にさらすなど、当社グループ船舶の安全運航、航海計画管理、海上輸送事業全般に悪影響を与える可能性があります。
環境保全については、当社グループの事業活動が地球環境に負荷を与えることを自覚し、それを最小限にするべく、環境憲章を掲げています。環境憲章に沿って、環境への取組みを確実に推進するために、社長執行役員を委員長とするサステナビリティ経営推進委員会を設置して、推進体制の審議・策定をしています。(詳細につきましては、「第2事業の状況 2サステナビリティに関する考え方及び取組」をご参照ください。)
⑥ 競争環境等
当社グループは、国際的な海運市場の中で事業展開を行っており、有力な国内外の海運企業グループとの競合関係の中では、他企業との各事業分野への経営資源の配分の度合い及びコスト・技術面等の競争力の差によって、当社グループの業界での地位や経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。
競争環境の厳しいコンテナ船事業においては、他の海運企業とのアライアンスに参加することでサービスの競争力の維持・向上を図っていますが、一方で、アライアンスメンバーの一方的離脱など当社グループが関与し得ない事象は、当社グループの営業活動、財政状態・経営成績に悪影響を与える可能性があります。
⑦ 自然災害の発生
自然災害発生時の事業継続は、社会の機能の一端を担い社会に責任を負う当社グループの責務であるとともに、当社グループの存在意義に係わる重大な事項です。首都圏直下型大地震が発生した場合には、多くの建物、交通、ライフラインに甚大な影響が及ぶことが想定され、また新型インフルエンザ等対策特別措置法に準ずる感染症が発生し、世界的大流行(パンデミック)となった場合には、多くの人々の健康に重大な影響が及ぶことが懸念されます。また、これらの自然災害又はその二次災害に伴う風評被害が広がることが懸念されます。当社グループではこの2つの災害を想定した事業継続計画(BCP)を策定し、自然災害の発生時には、この計画を適用又は応用することで可能な限りの事業継続を目指していますが、当社グループ事業全般に対し少なからず悪影響を与える可能性があります。
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)(以下、「新型コロナウイルス感染症」という。)に関する一連の対応を振り返り、感染症パンデミックに備えた行動手引書の作成を完了していますが、新たなコロナ変異株の発生、新たな感染症の発現など予期せぬ事態により当社の事業運営に影響を及ぼす可能性があります。
⑧ 取引先の契約不履行
当社グループは、サービスを提供あるいは享受する取引先の選定においては、その信頼性を可能な限り調査していますが、将来において取引先の財政状態の悪化などにより、契約条項の一部又は全部が履行不可能となる可能性があります。その結果、当社グループの財政状態・経営成績に悪影響を与える可能性があります。
⑨ 投資計画の未達成
当社グループは、船隊整備のために必要な投資を計画していますが、今後の海運市況や公的規制等の動向によって計画が想定どおりに進捗しない場合、造船契約を新造船の納入前に解約するなどにより、当社グループの財政状態・経営成績に悪影響を与える可能性があります。また、これらの新造船の納入時点において貨物輸送への需要が想定を下回る場合、当社グループの財政状態・経営成績に悪影響を与える可能性があります。
⑩ 船舶の売却等による損失
当社グループは、市況に応じた柔軟な船隊整備に努めていますが、実際の船腹需給バランスの悪化、船舶の技術革新による陳腐化や傭船市況の動向に伴い、保有する船舶を売却し、また傭船する船舶の傭船契約を中途解約する場合があります。この結果、当社グループの財政状態・経営成績に悪影響を与える可能性があります。
⑪ 固定資産の減損損失
当社グループが保有する船舶等の固定資産について、収益性の低下により投資額の回収が見込めなくなる可能性があります。その結果、減損損失を認識するに至った場合には、当社グループの財政状態・経営成績に悪影響を与える可能性があります。また、当社グループは有価証券の評価基準及び評価方法として、その他有価証券のうち市場価格のない株式等以外のものについては決算期末日の市場価格等に基づく時価法を採用しています。その結果、株式市況の変動による時価の下落が当社グループの財政状態・経営成績に悪影響を与える可能性があります。
⑫ 繰延税金資産の取崩し
当社グループは、将来の課税所得の見積りに基づいて、繰延税金資産の回収可能性を評価しています。収益力の低下により充分な課税所得が将来確保されないとの判断に至った場合、繰延税金資産を取り崩して税金費用を計上することとなり、当社グループの財政状態・経営成績に悪影響を与える可能性があります。
⑬ 傭船契約損失引当金
当社グループは、当社又は連結子会社が借船したコンテナ船を傭船者に定期貸船しています。貸船料は傭船市況の変動に一定の影響を受けるため、貸船料が借船料を下回るリスクがあります。当社グループは、貸船料が借船料を下回る契約から生じる可能性のある将来の損失に充てるため、入手可能な情報に基づき、合理的に見積ることができるものについて会計上の引当を行っていますが(「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項 ハ 重要な引当金の計上基準」参照)、当社グループの傭船契約への対応方針や傭船市況の動向によっては追加の引当金の計上が必要となり、当社グループの財政状態・経営成績に悪影響を与える可能性があります。
⑭ 情報セキュリティ対策
当社グループは、世界の経済活動を支える物流インフラとして、安全・安心な海上輸送及び物流サービスを提供するため、情報セキュリティの確保と向上へ対策を講じています。昨今のサイバー攻撃は、多種多様化を極め、局所的な対応や製品導入のみでは万全の防御が果たせず、不正アクセスによる情報の漏洩、ウイルス感染によるシステム停止等が発生した場合には、当社グループの営業活動、財政状況・経営成績に悪影響を与える可能性があります。当社グループでは、情報セキュリティ対策として、1つの施策に依らずセキュリティ対策を多層化することで、攻撃を未然に防ぎ、セキュリティ事案発生時には早急に異常発生を「検知」し、影響を最小限に止めるための「対応」「復旧」 の強化を図っています。また、情報の保護を目的とする「情報管理」、サイバー攻撃に対するシステム・ネットワークの防御を中心とする「サイバーセキュリティ」、そしてオフィス・ターミナル等のファシリティにおける不正アクセスを予防する「物理セキュリティ」の3つの視点より情報セキュリティ対策を講じています。特に、海事サイバーリスクマネジメントへの取組みとしては、当社グループの船舶管理会社と当社船舶に対して、一般財団法人日本海事協会からサイバーセキュリティーマネジメントシステム(CSMS)の認証を取得し、その他船舶での認証取得を進めています。「安全」は海上輸送を主軸とする当社グループの事業の根幹を成すものであり、サイバーリスクへの対応を強化することで、より安全で最適な輸送サービスを提供してまいります。更に、技術的な対策に加え、グループ役職員における情報セキュリティとセキュリティファーストの文化醸成への意識向上のために、セキュリティ教育や啓蒙活動を実施しています。
なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。また、ここに記載するものが当社グループの全てのリスクではありません。
世界経済は、中国のゼロコロナ政策解除など新型コロナウイルス感染症の影響から回復しつつありますが、ロシア・ウクライナ情勢の影響によるエネルギー資源価格の上昇などによるインフレ圧力や、米中対立を中心とした世界経済の分断による影響の懸念が継続しています。一方、国内経済は、新型コロナウイルス感染症による活動制限の緩和を背景に、緩やかな成長となりました。海運市況は、一時的な貨物需要の落ち込みによりコンテナ市況が軟化しましたが、自動車船事業をはじめとして、ドライバルク事業、エネルギー資源輸送事業などで貨物需要が安定して推移したことにより、安定的な市況を保ちました。このような事業環境のなか、当社は2022年5月に、2022年度から5か年の中期経営計画を発表しました。低炭素・脱炭素社会の実現に貢献する事業領域への挑戦を事業機会として成長戦略を策定し、ポートフォリオ戦略に基づき、成長の牽引役となる3つの事業に対して経営資源を集中的に配分、また、当社グループの重要な事業部門であるコンテナ船事業については、株主として当社持分法適用関連会社であるONE社の持続的な成長と発展のために支援を強化してまいります。そのうえで最適資本構成を目指し、バランスのとれた成長投資と株主還元を軸としたキャッシュアロケーションも進めてまいります。これらの取組みを通じて、環境負荷を軽減し、持続可能な社会の実現に向けて、企業価値を継続的に向上させることで、全てのステークホルダーに信頼され続ける会社を目指してまいります。
自営事業では構造改革の完遂による船隊適正化、効率的な運航・配船の実施継続による運航コストの削減、顧客密着の営業体制強化による中長期契約の新規獲得、グループ内事業とのシナジー創出に向けた取組み継続などにより、前期に引き続き全てのセグメントで黒字となりました。また、ONE社の業績は、上半期において市況が高水準で推移した一方、米国の金利引き上げなどによる消費の減退と季節要因が重なり、下半期以降は一時的な貨物需要の落ち込みにより市況は軟化しました。当社は、中期経営計画に則った企業価値向上へ向けた取組みによる効果及び市況・荷況などの外的要因から、自営事業を中心として収益が改善しました。また、営業・財務キャッシュ・フロー双方で得たキャッシュを企業価値向上に必要な事業投資に配分したうえでの、積極的な株主還元を実施しました。
これらの結果、当期の連結売上高は9,426億円、営業利益は788億円、経常利益は6,908億円、親会社株主に帰属する当期純利益は6,949億円となりました。
なお、ONE社の業績好調などにより、持分法による投資利益として6,277億円を計上しました。うち、ONE社からの持分法による投資利益計上額は累計期間6,206億円、当第4四半期連結会計期間においては536億円となります。
経営計画の主な内容は「第2 事業の状況 1経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (2)中期的な会社の経営戦略、(3)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題」をご参照ください。
事業環境が大きく変化しているなか、当社グループは2022年度から2026年度までの5か年の中期経営計画を公表しました。当社グループならではの強みである専門機能を磨き上げ、2050年に向けた自社と社会の低炭素・脱炭素化の実現と、収益成長を両立させるための長期経営ビジョンを達成していくため、中期経営計画で策定した施策を実行しています。
業績等の概要
(1)業績
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(単位:億円) |
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前連結会計年度 (2022年3月期) |
当連結会計年度 (2023年3月期) |
増減額 (増減率) |
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|
売上高 |
7,569 |
9,426 |
1,856 |
(24.5%) |
|
営業利益 |
176 |
788 |
611 |
(346.4%) |
|
経常利益 |
6,575 |
6,908 |
333 |
(5.1%) |
|
親会社株主に帰属する当期純利益 |
6,424 |
6,949 |
524 |
(8.2%) |
為替レートと燃料油価格が経常利益に与えた影響は以下のとおりです。
|
|
前連結会計年度 |
当連結会計年度 |
増減額 |
影響額 |
|
|
為替レート(円/US$) |
112 |
135 |
23 |
717 |
億円 |
|
燃料油価格(US$/MT) |
551 |
769 |
218 |
△12 |
億円 |
<為替の推移(円/US$)> <消費燃料油価格の推移(US$/MT)>

(注)為替・消費燃料油価格(平均補油価格)とも、当社社内値です。
また、当連結会計年度の事業セグメントごとの業績は、次のとおりです。
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(単位:億円) |
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前連結会計年度 (自 2021年4月1日 至 2022年3月31日) |
当連結会計年度 (自 2022年4月1日 至 2023年3月31日) |
増減額 (増減率) |
|
|
ドライバルク |
売上高 |
2,764 |
3,122 |
357 |
(12.9%) |
|
セグメント損益 |
237 |
216 |
△21 |
(△9.0%) |
|
|
エネルギー 資源 |
売上高 |
897 |
1,002 |
104 |
(11.7%) |
|
セグメント損益 |
47 |
98 |
50 |
(106.6%) |
|
|
製品物流 |
売上高 |
3,801 |
5,197 |
1,395 |
(36.7%) |
|
セグメント損益 |
6,408 |
6,700 |
292 |
(4.6%) |
|
|
その他 |
売上高 |
105 |
103 |
△2 |
(△2.5%) |
|
セグメント損益 |
△1 |
8 |
9 |
(-) |
|
① ドライバルクセグメント
[ドライバルク事業]
大型船市況は、期首には新型コロナウイルス感染症対策に伴う港湾の混雑による滞船の影響で船腹供給が引き締まったことにより高水準で推移しました。期央から年末にかけては、こうした影響の緩和に加えて中国のゼロコロナ政策による内需減退に起因した中国向け輸送需要減少により市況は軟化しました。期末にかけては、同政策終了後の景気刺激策による鉄鋼需要回復への期待感から、市況は上昇しました。
中・小型船市況は、期首にはインド向け石炭輸送や欧州向け鋼材輸送需要等の減少に加え、中国における滞船緩和の影響を受け軟化しました。期央から年末にかけては、中国向け穀物輸送需要増加と石炭輸送需要減少により市況は上下しましたが、年始以降は大型船同様に上昇しました。
このような状況下、ドライバルクセグメントでは、市況エクスポージャーを適切に管理すると同時に運航コストの削減及び配船効率向上に努めました。
以上の結果、ドライバルクセグメント全体では、前期比で増収となるも減益となりました。
② エネルギー資源セグメント
[液化天然ガス輸送船事業・電力事業・油槽船事業・海洋事業]
LNG船、電力炭船、大型原油船、LPG船、ドリルシップ(海洋掘削船)及びFPSO(浮体式石油・ガス生産貯蔵積出設備)は中長期の傭船契約のもとで順調に稼働し、安定的に収益に貢献しました。
以上の結果、エネルギー資源セグメント全体では、前期比で増収増益となりました。
③ 製品物流セグメント
[自動車船事業]
世界自動車販売市場は、半導体及び自動車部品の供給不足、ロシア・ウクライナ情勢の長期化などにより、一部で生産・出荷への影響があったものの、新型コロナウイルス感染症の影響からの回復基調が継続しました。また、運賃修復及び運航効率の改善に継続的に取り組みました。
[物流事業]
国内物流・港湾事業では、北米西岸貨物減少により国内コンテナターミナル取扱量は減少となり、前期を下回りました。曳船事業では作業数が堅調に推移しました。倉庫事業の取扱量は継続して堅調に推移しました。国際物流事業では、フォワーディング事業において、海上及び航空貨物輸送需要の減少傾向が継続しました。完成車物流事業では、豪州向け自動車需要増加に伴い、陸送取扱台数及び保管台数が前年比で増加しました。
[近海・内航事業]
近海事業では、ロシア・ウクライナ情勢により石炭輸送量は前期を下回りましたが、鋼材やバイオマス燃料需要が堅調に推移したことにより、全体的な市況は好調に推移しました。内航事業では、貨物輸送量は前期と同水準となりましたが、乗用車・旅客の輸送量は新型コロナウイルス感染症に伴う行動制限解除により回復基調が継続しました。
[コンテナ船事業]
当社持分法適用関連会社であるONE社の業績は、上半期は高水準の運賃市況により好調に推移しました。下半期はサプライチェーンの正常化による船腹供給量の回復と輸送需要の減退により短期運賃市況は下落したものの、通期では前年に引き続き好調な業績となりました。
以上の結果、製品物流セグメント全体では、前期比で増収増益となりました。
なお、ONE社は米国時間2023年3月28日に、同社を含むコンソーシアムによるAtlas Corp.社の株式取得を完了しました。
④ その他
その他には、船舶管理業、旅行代理店業及び不動産賃貸・管理業等が含まれており、当期業績は前期比で減収となるも黒字に転換しました。
(2)キャッシュ・フロー
当連結会計年度末における現金及び現金同等物は3,468億円となり、前連結会計年度末より1,025億円増加しました。各キャッシュ・フローの状況は次のとおりです。
営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益等により、当連結会計年度は4,560億円のプラス(前連結会計年度は2,264億円のプラス)となりました。
投資活動によるキャッシュ・フローは、船舶を中心とする固定資産の取得等により、当連結会計年度は467億円のマイナス(前連結会計年度は58億円のマイナス)となりました。
財務活動によるキャッシュ・フローは、長期借入金の返済、自己株式の取得及び配当金の支払い等により、当連結会計年度は3,007億円のマイナス(前連結会計年度は1,160億円のマイナス)となりました。
生産、受注及び販売の状況
当社グループは、海運業を中核とする海運事業グループであり、ドライバルク事業、エネルギー資源事業、製品物流事業を行っています。この他、船舶管理業、旅行代理店業及び不動産賃貸・管理業等を展開しています。従って、生産、受注を行っておらず、セグメントごとに生産規模及び受注規模を金額あるいは数量で示すことはしていません。
セグメント別売上高(外部顧客に対する売上高)
セグメント別売上高(外部顧客に対する売上高)の実績は、下記のとおりです。
|
セグメントの名称 |
前連結会計年度 (自 2021年4月1日 至 2022年3月31日) |
当連結会計年度 (自 2022年4月1日 至 2023年3月31日) |
||
|
金額(百万円) |
比率(%) |
金額(百万円) |
比率(%) |
|
|
ドライバルク |
276,478 |
36.5 |
312,267 |
33.1 |
|
エネルギー資源 |
89,726 |
11.9 |
100,225 |
10.6 |
|
製品物流 |
380,196 |
50.2 |
519,794 |
55.1 |
|
その他 |
10,580 |
1.4 |
10,318 |
1.1 |
|
合計 |
756,983 |
100.0 |
942,606 |
100.0 |
当社(川崎汽船㈱)の営業収益実績(参考)
提出会社のセグメント別営業収益の実績は、下記のとおりです。
|
区分 |
前事業年度 (自 2021年4月1日 至 2022年3月31日) |
当事業年度 (自 2022年4月1日 至 2023年3月31日) |
||
|
金額(百万円) |
比率(%) |
金額(百万円) |
比率(%) |
|
|
(ドライバルク) |
260,456 |
47.2 |
294,273 |
40.5 |
|
(エネルギー資源) |
69,288 |
12.6 |
82,478 |
11.4 |
|
(製品物流) |
221,575 |
40.2 |
349,463 |
48.1 |
|
海運業収益 |
551,320 |
100.0 |
726,215 |
100.0 |
|
(その他) |
52 |
0.0 |
50 |
0.0 |
|
その他事業収益 |
52 |
0.0 |
50 |
0.0 |
|
合計 |
551,372 |
100.0 |
726,266 |
100.0 |
経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析
(1)重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されています。この連結財務諸表の作成にあたり、見積りが必要な事項につきましては、一定の会計基準の範囲内にて合理的な基準に基づき、会計上の見積りを行っています。
詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載のとおりです。
(2)当連結会計年度の経営成績の分析
① 売上高
売上高は前年度に比べ24.5%増収の9,426億円となりました。報告セグメント別では、ドライバルクセグメントは、前年度に比べ、12.9%増収の3,122億円となりました。エネルギー資源セグメントは、前年度に比べ、11.7%増収の1,002億円となり、製品物流セグメントは、前年度に比べ、36.7%増収の5,197億円となりました。その他の区分は、2.5%減収となりました。
② 売上原価、販売費及び一般管理費
売上原価は、前年度の6,816億円から1,182億円増加し、7,998億円(前年度比17.4%増)となりました。営業収入に対する売上原価の比率は5.2ポイント減少して84.9%となりました。販売費及び一般管理費は61億円増加し、638億円(前年度比10.7%増)となりました。
③ 営業利益
売上総利益の増加により、前年度の176億円の営業利益に対し788億円の営業利益となりました。
④ 営業外収益(費用)
6,277億円の持分法による投資利益(前年度は6,409億円の持分法による投資利益)を計上したことが主な要因となり、営業外損益は6,119億円の利益(前年度は6,398億円の利益)となりました。
⑤ 税金等調整前当期純利益
固定資産売却益などにより特別利益は47億円となりました。また、独占禁止法関連損失引当金繰入額などにより特別損失は27億円となりました。これらの結果、税金等調整前当期純利益は6,928億円(前年度は6,590億円の税金等調整前当期純利益)となりました。
⑥ 法人税等
法人税等は、主として法人税等調整額の減少により、前年度の124億円から185億円減少し△61億円となりました。
⑦ 非支配株主に帰属する当期純利益
非支配株主に帰属する当期純利益は、川崎近海汽船㈱などの非支配株主に帰属する当期純利益が減少し、前年度の42億円から1億円減少し、40億円となりました。
⑧ 親会社株主に帰属する当期純利益
親会社株主に帰属する当期純利益は、前年度の6,424億円に対し、6,949億円となりました。1株当たり当期純利益は、前年度の2,295.85円(株式分割後基準)に対し、2,571.02円となりました。
(注)2022年10月1日付で普通株式1株につき3株の割合で株式分割を行っています。
(3)資本の財源及び資金の流動性についての分析
① キャッシュ・フローの状況
「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 業績等の概要 (2) キャッシュ・フロー」をご参照ください。
② 資金需要
当社グループの運転資金需要のうち主なものは、当社グループのドライバルク事業や自動車船事業の運営に関わる海運業費用です。この中には港費・貨物費・燃料費などの運航費、船員費・船舶修繕費などの船費及び借船料などが含まれます。このほか物流事業の運営に関わる労務費等の役務原価、各事業についての人件費・情報処理費用・その他物件費等の一般管理費があります。また、設備資金需要としては船舶投資や物流設備・ターミナル設備等への投資があります。当連結会計年度中に718億円の設備投資を実施しました。
③ 財務政策
当社グループの事業維持・拡大を支える低コストで安定的な資金の確保を重視しています。長期の資金需要に対しては金融機関からの長期借入金を中心に、社債発行、新株発行により調達しています。短期的な運転資金を銀行借入、コマーシャルペーパー(CP)発行等により調達し、一時的な余資は安定性・流動性の高い金融資産で運用しています。また、キャッシュマネージメントシステム等を利用して、国内・海外グループ会社の余剰資金を有効活用しています。
流動性の確保としまして、CP発行枠600億円に加え、国内金融機関と約1,400億円の複数年のコミットメントラインを設定し、緊急の資金需要に備えています。
当社は日本格付研究所(JCR)から格付を取得しており、2023年3月31日現在の発行体格付は、「A-」となっています。また、短期債格付(CP格付)については「J-1」を取得しています。
(4)財政状態
当連結会計年度末の資産合計は、前年度末比4,776億円増加し2兆526億円となりました。流動資産は、有価証券の増加等により、前年度末比1,038億円増加し5,348億円となりました。
固定資産は前年度末比3,738億円増加し1兆5,177億円となりました。固定資産のうち有形固定資産は、船舶の減少等により、前年度末比98億円減少し3,721億円となりました。投資その他の資産は、投資有価証券の増加等により、前年度末比3,834億円増加し1兆1,417億円となりました。
当連結会計年度末の負債合計は、前年度末比841億円減少し5,059億円となりました。短期借入金及び長期借入金の減少等により、流動負債は1,853億円となり、固定負債は3,205億円となりました。
当連結会計年度末の純資産合計は、前年度末比5,617億円増加し、1兆5,466億円となりました。純資産のうち株主資本は、主に利益剰余金が5,256億円増加したことにより、1兆4,007億円となりました。その他の包括利益累計額は、為替換算調整勘定が増加したことを主な要因として、前年度末比944億円増加し1,146億円となりました。
該当事項はありません。
当社グループは、輸送技術の革新、安全輸送の徹底及び環境保全等に関する研究開発に取り組んでおり、他社と共同による船舶の省エネ化・環境対策に資する技術の高度化研究を通じ、省エネ・環境対策技術の保有を目指しています。
なお、当連結会計年度の研究開発費の総額は