第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)経営方針・経営戦略等

 海運業は、さまざまな物資や人の輸送を通じて世界中の国々と地域を結び、人々の暮らしを豊かにするという使命を担っており、経済のグローバル化に伴い、その役割はますます重要なものとなりました。こうした認識のもと、当社グループは、以下のグループ企業理念を掲げ、誠実で良質な海上輸送サービスをお客様に提供できるよう、創意工夫を重ねています。

 

〔基本理念〕

 NSユナイテッド海運グループは、誠実で良質な海上輸送サービスの提供を通じて社会の発展に貢献します。

 

〔経営理念〕

 1(信用・信頼)

   信用・信頼される堅実な経営を実践し、グループ全体の企業価値を高めます。

 2(安全運航・環境保全)

   常に船舶の安全運航に努めるとともに、船舶運航技術の向上に向け日々研鑽を積むことにより、海洋をはじめ

  とする地球環境保全の一翼を担います。

 3(お客様への即応・自己変革)

   お客様の要請に即応しつつ自らも変革に努め、さらなる進歩を目指して挑戦します。

 4(人を育て活かす)

   人を育て活かし、働く喜びを実感できる活力溢れるグループを築きます。

 

 当社はこの理念の具現化を目指し、鉄鋼原料をはじめとする資源・エネルギー・製品などの海上輸送分野における創立以来の長年の伝統と、2010年の合併後の構造改革や船隊整備による経営基盤の強化により、内外航に亘る専門性と総合力を兼ね備えた海運会社としてさらに大きな安心と信頼を獲得して参りました。持続可能な社会の実現に向けた機運がますます高まっているなか、2020年に策定した中期経営計画「FORWARD 2030 ~Driving U forward over the next decade~」ではESGの取り組みを中核に据え、その実践を通じて事業環境の変化に適応し収益性と社会性を兼ね備えた企業を目指します。

 

(2)経営環境、優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題、目標とする経営指標

 次期の事業環境は、ゼロコロナ政策により停滞していた中国経済の回復による海上荷動きの増加が期待されます。また、環境対応船の不透明感や船価の高止まりによる新造船発注の抑制に加え、2023年からEEXI(Energy Efficiency Existing Ship Index)やCII(Carbon Intensity Indicator)など環境規制の適用が開始され、減速航海や燃費性能の低い老齢船の退出を促すことで、船腹供給が抑制され市況を下支えすることが予想されます。しかしながら、世界的なインフレの長期化や各国の急速な金融引き締めによる経済活動の下押しが海上荷動きに影響を与えることが懸念されることから、当社ではかかる事業上のリスクに対し細心の注意を払い、事業運営を行って参ります。
 また、10年後を見据えて策定した中期経営計画「FORWARD 2030 ~Driving U forward over the next decade~」では、「ブランド力の向上」「サステナブルな事業構造の構築」「レジリエントな経営基盤の確立」の3つを重点戦略として、以下のような取り組みを進めています。今年度は中期経営計画の最終年度となりますが、次期中期経営計画につながるように一層取り組みを強化して参ります。

 

《中期経営計画の取組状況》

① ブランド力の向上

 2021年に策定した「サステナビリティ基本方針」のもと、ESG経営の推進を強化しております。取り組みの一つとして、気候変動への対応や市場動向・金融情勢など事業環境の変化を見据え、社員のエンゲージメントを高めその力を最大限に発揮する組織作りを目的に人事制度の見直しを実施するとともに、引き続き人材育成と職場環境改善に努め、内部リソースの強化を進めています。また、2023年1月には「NSユナイテッド海運グループ人権方針」と「腐敗防止基本方針」を策定しました。人権の尊重および社会倫理に適合した行動の実践は、グローバルに事業を展開する企業として果たすべき社会的責任であるという事業運営の方針を明確化しています。今後もこれまで築き上げてきたUブランドの向上に向けて、安全運航と環境保全への取り組みを強化するほか、先進技術の導入や人への投資促進、ガバナンスの強化など、ESGの取り組みを進めて参ります。

 

② サステナブルな事業構造の構築

 当社では、気候変動への対応を経営の最重要課題であると位置づけ、2050年までのカーボンニュートラルを目指し様々な取り組みを推進中です。

 外航部門では、国立研究開発法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)による「グリーンイノベーション基金事業」に採択されているアンモニア燃料船の共同プロジェクトにおいて、2022年11月に一般財団法人 日本海事協会(Class NK)より、アンモニア燃料船の基本設計承認を取得しました。本船の基本設計が「既存の燃料で航行する船舶と同等の安全性を担保することが可能」と評価されたことは、アンモニア燃料船を社会実装していくうえで重要なステップとなります。また、2022年9月に国内初となる外航船向けバイオディーゼル燃料の補油を行い、太平洋上で試験航行を実施しました。2022年12月にもバイオディーゼル燃料による試験航行を行い、当社における実績は累計で3隻となりました。バイオディーゼル燃料は既存の舶用エンジンで使用可能であり、汎用性の高い低炭素燃料とされています。

 内航部門では、内航貨物船として国内初となる、天然ガス専焼エンジンとリチウムイオンバッテリーを組み合わせたハイブリッド推進システム船の竣工を2024年に予定しています。

 これら次世代燃料船の取り組みに加え、低炭素社会に向けた輸送ニーズに応えるべく、アンモニア輸送などの事業化に向けた活動も進めております。当社では、今後も将来のゼロエミッション燃料の実装化に向けた検討や準備に取り組み、収益性と社会性を兼ね備えた企業を目指し尽力して参ります。

 

③ レジリエント(強靭)な経営基盤の確立

 外部環境の不確実性が高まる中、投資につきましては、投資リターンとともに社会性を追求する方針のもと、資本コスト(WACC)を勘案した投資基準に基づく収益性評価に加え、インターナル・カーボンプライシング(ICP)を導入するなど社会性の観点からも投資の妥当性を判断しております。財務戦略としては、当社合併以来、安定して積み上げた利益により構築された堅固な財務基盤を一層強化すべく、有利子負債の削減を進めて参りました。また、当社は株主への利益還元を経営上重要な施策の一つとして位置づけ、年間配当性向を「連結業績ベースの概ね30%」とする方針をとっております。次世代燃料船の建造など将来の成長に必要な内部留保金を確保しつつ、安定配当の継続的な実施により、株主をはじめステークホルダーの皆様にとって魅力的な事業会社になることを目指して参ります。

 

《中期経営目標(2023年度)》

 中期経営計画「FORWARD 2030」では最終年度である2023年度達成を目指して以下の目標を掲げておりましたが、2021年度に続き、2022年度もこれを達成することができました。

   営業利益: 100億円以上

   ROE目標: 10.0%超

   ネットD/Eレシオ目標: 1.0倍以下

 

《株主還元策》

 当社は、株主に対する利益の還元を経営上重要な施策の一つとして位置づけ、将来における安定的な企業成長と経営環境の変化に対応するために必要な内部留保資金を確保しつつ、経営成績に応じた利益還元として、連結業績に対する配当性向は概ね30%と掲げております。次世代燃料船の建造など将来の成長に必要な内部留保資金を確保しつつ、安定配当の継続的な実施により、株主をはじめステークホルダーの皆様にとって魅力的な事業会社になることを目指して参ります。当事業年度(2023年3月期)については「第4 提出会社の状況 3 配当政策」をご参照ください。

 

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

 文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

 当社のサステナビリティに関する基本的な考え方

 

 当社は2021年度にサステナビリティ基本方針を策定し、自社にとり、またステークホルダーにとって優先的に取り組むべきサステナビリティ上の重要な経営課題として以下の6つのマテリアリティを特定してESG課題解決に継続的に取り組んでおります。なお、各マテリアリティのリスクやマイナスの影響を抑止することにとどまらず、環境と社会にプラスの影響となるよう、リスクを機会に、当社独自の事業活動を通じて環境価値・社会価値との両立・統合を図ってまいります。

 

<サステナビリティ重要課題(マテリアリティ)>

・最優先である安全運航の徹底

・環境保全・気候変動への取り組み強化

・輸送品質向上による顧客満足の向上

・人材の育成・評価、D&I、人権

・技術、イノベーション、DX

・健全なガバナンス、BCP

 

 なお、2021年10月のサステナビリティ基本方針策定に際して、当社と社会のあるべき関わり方を整理し、従業員による討議と取締役会における議論を踏まえて、当社グループのパーパスとして「海上物流で、共に世界の今をつくる責任、未来へとつなぐ責任を果たす」を策定いたしました。

 詳細は、当社ホームページにて開示しております。

  サステナビリティ基本方針

  https://www.nsuship.co.jp/sustainability/manage/policy/

 

(1) ガバナンス

サステナビリティ経営に向け、当社では社長執行役員と取締役執行役員ならびに常務執行役員および主要グループ会社の社長で構成されるESG総合委員会が中心となり、傘下の各委員会と連携しながら、取締役会の監督の下、ESGに関するさまざまな課題解決に取り組んでいます。

こうした推進体制により、今後もESGへの取り組みを企業の持続性を支える基盤として認識し、収益性と社会性を兼ね備えた会社になることを目指していきます。

 

 

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a. ESG総合委員会

 ESG総合委員会は、取締役会の監督の下でサステナビリティ基本方針に従って、長期的な成長にとって重要な柱である「環境・社会・企業統治」に関する課題について協議・決定を行う機関として毎年定期的に開催しております。当委員会はESG活動方針を協議・決定し、ESGの観点から傘下の各委員会へ方向性を指示するほか、NS UNITED REPORT(当社グループ統合報告書)の編集についての承認を行っております。

 

b. IR委員会

 株主・機関投資家等への適時適切な情報開示を通じて、適正な株価形成、企業イメージ向上、安定株主作り等を図ることを目的として、各年度の活動計画の策定や、当社より提供する情報の検討、NS UNITED REPORT等の作成とその内容の充実に向けての活動を行っております。

 

c. 安全運航・環境保全推進委員会

 海難事故及び環境汚染の予防及び対応を目的として、年度目標、行動内容、手段、タイムスケジュール等についての進捗状況のレビューおよび評価を行っております。環境問題は年間を通して当委員会から執行役員会に報告が行われ、そのアウトプットを次年度の計画に反映しております。

 

d. 防災対策委員会

 災害の予防及び発生時の対応・早期復旧を目的として、防災用品の整備や消防・防災関連法令に基づく点検等の各種取り組み、防火・防災訓練計画の立案・実施、事業継続対策(BCP)についての検討を行っております。

 

e. DX推進委員会

 社員のエンゲージメント向上と社内のトランスフォーメーションを目的として、オフィスと船上における先端情報技術の導入・活用の推進、および業務改善や働き方、人事・評価制度の改革についての検討を行っております。

 

f. 内部統制・コンプライアンス委員会

 当社グループの内部統制及びコンプライアンスの推進を目的として、会社全体の内部統制システムの整備・運用状況の確認や、各部門における法令および規程遵守状況の把握・評価を行っております。また、法令および規程遵守のための定期的な講習会の実施やマニュアルの作成・配布等、社員に対する教育体制を整備・充実し、法令・規程違反の防止策等の必要な措置を講じております。

 

 

(2) リスク管理

 サステナビリティ重要課題(マテリアリティ)におけるリスクと機会については、ESG総合委員会が傘下の各委員会におけるESG活動を定期的にモニタリングし、評価・管理を行っております。ESG関連リスクの対応状況については、取締役会にも報告し、当社グループ全体のリスク管理体制の中で、対策・改善を推進しております。

 なお、当社グループにおけるリスクマネジメントの取組みについては「3 事業等のリスク」にも記載しております。

 

(3) 戦略

 当社では中期経営計画のタイトル「FORWARD 2030」が示すとおり、まず2030年のありたい姿を「収益性と社会性を兼ね備えた企業」と定め、ESG経営を実践するためのサステナビリティ重要課題(マテリアリティ)として、「安全運航」「環境保全」「お客様満足度」「技術イノベーション」「人材確保・育成」「コーポレート・ガバナンス」の6つを選定しました。外部環境の変化を考慮しつつ、課題ごとにリスクと機会を整理し取り組んでおります。

 

マテリアリティ

リスク

機会

主要な取り組み

安全運航

・事故に伴う

 信用力の低下

・安全輸送を重視する

 お客さまの信頼獲得

・SAKURA BRIGHTが日本水先人連合会より

 「ベストクオリティシップ2021」受賞

・NSU MILESTONEが7年連続無事故・無災害・

 無疾病を達成

環境保全

・化石燃料輸送

 需要の減少

・環境規制の

 強化による

 事業への影響

・サプライチェーンの環境

 負荷低減を重視するお客

 さまの信頼獲得

・再生可能エネルギーの利用

 拡大などによる事業機会の

 増加

・ESG総合委員会発足、環境保全推進グループ

 設立

・サステナビリティ基本方針策定、パーパス

 設定

・アンモニア燃料船プロジェクトがグリーン

 イノベーション基金事業に採択

・バイオディーゼル燃料による試験航行実施

お客様満足度

・サービス品質

 の低下に伴う

 貨物輸送

 シェア縮小

・安定収益基盤

 が損なわれる

 リスク

・顧客の脱炭素化ニーズへ

 の貢献、情報提供による

 差別化

・Uブランド向上がもたらす

 新規顧客・商圏の拡大

・国内外顧客に向け次世代燃料船、省エネ船に

 関連した情報提供、提案営業の強化

技術イノベー

ション

・技術革新の

 対応遅れに

 よる事業機会

 の喪失

・新技術の台頭

 に伴う既存

 船腹の陳腐化

・先進技術活用による輸送の

 最適化と競争力強化

・高度IT化に伴う輸送

 サービスの環境性能の向上

・帆を利用した風力による低燃費技術の共同

 研究を発表

・LNG専燃エンジン+バッテリハイブリッド

 推進システム船建造合意(内航)

・省エネデバイス導入や燃費削減のための運航

 サポートシステムの研究

人材確保・育成

・日本における

 少子高齢化に

 伴う船員不足

・適切な対応

 をしない場合

 の事業継続

 リスク

・働き方改革による労働

 生産性の向上と競争力強化

・事業環境の変化への対応力

 強化

・フレックス勤務制度、在宅勤務制度を導入

・リモート検船による安全意識の向上・船員

 教育

コーポレート・ガバナンス

・ガバナンス

 機能不全に

 伴う事業継続

 リスク

・法令違反に

 よる信用失墜

・安定的な成長基盤の確立

・東京証券取引所プライム市場に移行

・社外取締役を4名選任、そのうち東京証券

 取引所が定める独立役員を当社取締役会の

 1/3以上となる3名としガバナンス体制を

 強化

 

 

a. 気候変動による影響の分析

 気候変動という長期的かつ不確実性の高い事象に関するリスク・機会を特定し、それらが当社グループにおよぼし得る影響について主観を排除した議論を行うために、TCFD提言に沿ったシナリオ分析を行いました。

 シナリオ分析においては、不確実な将来に対してグループ全体のレジリエンスを確認するため、「世界の平均気温上昇を産業革命以前に比べて2℃より十分低く保つとともに、1.5℃に抑える努力を追求する」というパリ協定目標の達成を見据えた「2℃未満シナリオ」と、長期目標でもある2050年CO2排出ネットゼロ/カーボンニュートラルの達成を想定した「1.5℃シナリオ」、および世界的に気候変動対策が十分に進展しない場合を想定した「3℃シナリオ」について検討しております。

 各シナリオで想定したそれぞれの将来の事業環境の変化、および特定したリスクと機会は次のとおりです。

 

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なお、詳細は当社ホームページにて開示しております。

  TCFD提言に基づく情報開示

  https://www.nsuship.co.jp/sustainability/environment/tcfd/

 

b. 人材の多様性の確保を含む人材育成方針及び社内環境整備方針

 当社では、持続可能な社会の実現に貢献するためには、多様な個性を活かすとともに、人材へ積極的に投資することにより、さまざまな事業環境の変化に対応し、誇りや意欲を持ちながら会社の成長を支える人材を育成することが重要であると考えております。

 こうした方針の実現に向けて、人材育成等の従来の施策に加え、人事制度の整備、働き方改革への取り組みを通じ、働きがいのある会社、活力ある組織づくりを目指しております。

 

イ 人材の基本的な考え方

 当社では、事務系・技術系従業員ともに基本的に長期雇用を前提として、男女雇用機会均等法に則り、能力と適性を基準に採用し、当社の研修体系の中で育成しております。

 従業員総数に占める女性比率は緩やかながら上昇傾向にあります。現時点では管理職に就く女性はおりませんが、直近3年間の新卒総合職採用人数のうち女性の比率は3割強を占めております。さまざまなライフイベントに際して、就業継続しやすい環境づくりは重要な課題であり、IT技術の活用による業務効率化、情報共有の円滑化などの有効手段を組み合わせることで対処しております。

 外国人乗組員については、職員・部員の各種教育訓練を充実させるとともに、昇格支援システムによって幹部職員の内部育成に努め、長期在籍者を優遇するなど、当社グループ管理船への定着率向上を図っております。さらに優秀な人材を発掘・育成すべく奨学金制度を設けております。

 従業員の定年は60歳としておりますが、1年間の有期契約で最長65歳まで再雇用する「定年再雇用制度」を設けております。今後も社会の要請でもある雇用延長について検討して参ります。

 

ロ 人材育成

 当社は「人を育て活かす」ことを経営理念の一つとして掲げております。具体的には、従業員一人ひとりが外航海運業のプロフェッショナルに育つよう、日々の業務遂行を通じて行うOJT(On the Job Training)を軸として、新入社員研修、海運実務講座、船舶代理店研修、乗船研修、海外実務研修、階層別研修、役職研修など、階層や必要に応じ、さまざまな研修の機会を提供しております。

 技術職は入社後3~4年間の海上勤務の後、3~5年間隔で陸上職、海上職の転籍を繰り返すことにより、海上職の乗船実務経験と陸上勤務での管理業務経験を通して、主体性と幅広い視野を持った海技者を育成しております。外国人乗組員には、本社で策定する研修・教育プログラムに沿って、フィリピン・ベトナムなど採用地の研修担当と連携のうえ、法定の訓練に加え昇格から個人の技能向上に資する研修・訓練などをしております。

 

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ハ 人事制度

 本人の能力・意欲・業績などの考課結果を進級・昇格に適正に反映する人事制度を2001年度に導入し、社員の現状把握と将来に向けた能力開発および公正な処遇に努めてきました。

 それから20年が経過し、環境・DX技術の進化やサステナビリティへの意識の高まりなど事業環境の変化があり、持続性・成長性の高い領域への戦略投資と、それを実行する人材マネジメント体制の確立が急務となっていることから、現在、人事制度の見直しを行っております。

 変化を前向きに捉えられる心理的安全のある職場で、挑戦が称賛され、長く安心して働ける環境づくりを目指して参ります。

 

(4) 指標及び目標

a. GHG排出削減に関する指標及び目標

<中期目標>

・2030年までに輸送単位(トン・マイル)当たりのCO2排出量を2019年比20%削減する。

2020年に策定した中期経営計画「FORWARD 2030」において、環境保全への取り組み強化を重要課題と明示し、環境目標(中期目標)を設定しました。

<長期目標>

・2050年までにカーボンニュートラル実現を目指す。

脱炭素社会に向けた日本政府および日本船主協会の目標を支持し、サプライチェーンを通じた社会全体のカーボンニュートラルの実現を目指し、2050年ネットゼロに挑戦します。

 

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b. D&I及び働き方についての行動指針

 ESGのうち社会より強い要請のある人材の多様性の確保について、当社の姿勢をより明確に示すため、ダイバーシティ&インクルージョン(D&I)行動指針・計画を策定しました。指針に基づき、以下のような具体的な取り組みの継続・強化を図ります。

 なお、本指針は当社単体の指針であり、以下の目標及び実績は当社グループ全体のものではありません。

 

イ 女性の活躍推進

<目標>

・管理職の女性社員数を、現在のゼロから2025年度に最低でも1人登用、2人以上を目指す(2022年4月時点で社内在籍総合職14人)。2030年には最低でも3人とし、5人以上を目指す。

<具体的な取り組み>

①女性採用の拡大

・キャリア採用を含め女性の採用拡大に一層取り組む

・準総合職、一般職からの総合職への乗り入れを推進

②離職防止対策

・ライフイベントによる離職を防止するための制度整備

・育児介護休業制度やテレワーク(自宅以外も含む)の拡充など

・女性のキャリア形成を支援する研修、セミナーの実施

③管理職登用に資する配置、育成施策

・ライフイベントを見越した前倒しの育成(海外研修など)

④管理職への教育、職場理解の醸成

・管理職へ教育することを通じ、職場全体に女性が活躍しやすい風土を醸成

ロ 高齢者・障がい者雇用

<目標>

①高齢者雇用

・2021年4月の高年齢者雇用安定法改正において、70歳までの就業機会確保が努力義務となったことから、今後の義務化や社会動向も睨みつつ、まずは65歳定年制への移行に取り組む。

②障がい者雇用

・現在は障がい者雇用率を充足しているが、今後も法改正動向を注視し、法定雇用率を上回ることを目標として取り組む。

 

ハ 働き方改革

<目標>

・長時間労働の根絶※1(2020年度総労働時間:1,916時間→2025年度削減目標 1,850時間)、多様な休み方の追求

  ※1 2020年経団連労働時間等実態調査

  2019年平均1,987時間(製造業)、2,014時間(非製造業)

<具体的な取り組み>

①働き方

・「会社において」「長時間労働」することを前提とした働き方からの脱却

・部下の長時間労働を前提としない組織マネジメントを管理職が追求

・長時間労働を良しとする考課制度から成果重視の考課制度への改革

・業務改革、DX推進の加速

②休み方

・年次有給休暇と季節休暇を合わせて社員の平均取得日数を月1日以上とすることを目標に休暇計画等の施策を強化・継続※2

・男性社員の育児休業取得促進。配偶者が出産した男性社員全員に推奨する。

  ※2 現状の当社平均取得日数 年次有給休暇9.8日、季節休暇5.0日

  2020年厚労省就労条件総合調査 2019年平均9.2日(全産業従業員100-299人)、10.0日(運輸業、郵便業)

 

ニ ハラスメント防止

<目標>

・個人の意識・職場風土を改革し、ハラスメントに関する相談がしやすい環境をつくる

<具体的な取り組み>

・コンプライアンス相談窓口の制度拡充、外部相談窓口の起用

・内部統制・コンプライアンス周知月間を継続し、社員への教育・啓蒙を行う

・e-ラーニングの利用継続

・LGBTQへの適切な理解と受容について、階層別研修で教育を行う

 

ホ 健康の推進

<目標>

・健康診断受診:実施率の引き上げを図る

・胃がん検診受診:35歳以上の実施率引き上げを図る

・特定保健指導:対象者全員へ指導を実施

<具体的な取り組み>

①健康診断

・健康診断未受診者およびその上長に対し受診義務があることを通知し、受診率の引き上げを強化

②がん

・がんの早期発見・早期治療を図るよう、会社が定める胃がん検診、大腸がん検診の受診を強化

③脳心疾患

・生活習慣の改善を図る特定保健指導を強化

④メンタル疾患

・早期発見・早期対応の促進のため、本人・上司などから産業医および相談窓口へ相談する機会があることを全社員に周知・浸透させる

・メンタルヘルスチェックの継続

 

<参考> 人材データ(提出会社)

1. 社員の状況

 

2020年度

2021年度

2022年度

 

陸上職

海上職

陸上職

海上職

陸上職

海上職

 男女別社員数(人)

 (2023年3月31日現在)

男性

127

47

131

44

139

42

女性

35

3

36

4

45

6

男女合計

162

50

167

48

184

48

海陸合計

212

215

232

 男女別採用人数(人)

男性

6

6

8

4

3

5

女性

2

1

2

1

4

2

合計

8

7

10

5

7

7

 平均勤続年数(年)

 

15.7

11.4

15.1

12.0

14.7

10.2

 離職率(%)

 (年度退職者数/年度初社員数x100)

 

4.1

2.3

4.8

4.4

3.5

2.1

 勤続3年以内の離職数(人)

 

2

0

0

0

0

0

 従業員一人当たり月平均残業時間(時間)*

 

11:55

11:28

11:10

*東京本社勤務者月平均残業時間

 

2. 社員支援体制

 

2020年度

2021年度

2022年度

 有給休暇平均取得日数(日)*

8.6

9.3

9.8

 産前・産後休暇取得者数(人)

1

0

0

 育児休業制度利用者数(人)

合計

2

2

3

男性

1

1

3

女性

1

1

0

 育児休業復職率(%)

100

100

100

 ワーキングマザー人数(人)**

7

7

7

 介護休業取得率(%)

0

0

0

 介護休業制度利用者数(人)

0

0

0

 継続雇用制度利用者数(人)

2

6

7

*東京本社勤務者有給休暇平均取得日数

**年度末時点で児童のいる母親の人数

 

3. 社員の多様性

 

2020年度

2021年度

2022年度

 女性比率(%)

17.9

18.6

22.0

 女性管理職比率(%)

0

0

0

 障がい者雇用率(%)

0.7

2.0

1.9

 

4. 労働安全衛生

 

 

2020年度

2021年度

2022年度

 労災認定者数(人)

死亡

0

0

0

負傷

1

0

0

疾病

0

0

0

合計

1

0

0

 健康診断受診率(%)

 

88

88

87

 

3【事業等のリスク】

当社グループの事業活動や業績は、今後起こり得る様々な要因により影響を受ける可能性があります。

当社グループでは、本有価証券報告書「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載の通り、2020年度からスタートした中期経営計画「FORWARD 2030 ~Driving U forward over the next decade~」においてサステナビリティ重要課題(マテリアリティ)を特定し、それに対する重点戦略として「ブランド力の向上」「サステナブルな事業構造の構築」「レジリエント(強靭)な経営基盤の確立」の3項目に整理しました。以下、それぞれの重点戦略に沿って、主なリスク項目と対応策を記載いたします。

 

(1) ブランド力の向上

① 海難事故リスク

当社グループの主要事業である海運業においては、海難事故が発生した場合、人命・貨物・船舶等の損失・損傷リスクや、燃料油・積荷等流失による海洋汚染のリスクがあります。当社グループは海難事故を防止するために「安全管理マニュアル」や「品質管理マニュアル」を、また環境を保全するために「環境マネジメントマニュアル」を策定するとともに、乗組員の教育・研修を実施し、安全運航に努めております。また「海難及びその他の緊急事態対応に関する規程」、「緊急事態対応マニュアル」を策定し、海難事故を想定した緊急対応演習を行うなど万全な体制をとっております。さらに、万一、海難事故が起きた場合でも保険による損失対策を図っていますが、当社負担となる損失が一部発生することがあります。

安全運航に向けた当社船舶管理の具体的な取り組みとして、以下の施策を実施しております。

a.ニアミスレポートの活用
b.安全キャンペーン
c.管理船への訪船・検船による確認

2020年から当社船舶への新型コロナウィルス感染防止対策のため、通信機器を用いた遠隔監査・検船も実施していましたが、訪船を主体とした現場確認体制に復帰して参ります。

d.安全運航管理体制

当社の船舶管理は、主として海務技術、船員配乗・教育等を担当する部門と、主として船体・機関その他の搭載機器の保守管理を担当する部門が協働して、各船の安全運航管理、危機管理を確実に実施しており、これらの取り組みの実施状況は、社長を委員長とする「安全運航・環境保全推進委員会」を定期的に開催してレ

ビューされております。また、2022年4月には船員研修チームを新設し、船舶の安全管理及び船員教育の強化のため、業務の効率性と専門性の更なる向上に取り組んでおります。

e.IoTを利用した事故予防

各船の機関、航海、荷役データをIoTを利用して運転状態のモニタリングや不具合の兆候を察知することにより、事故予防に取り組んでいます。

 

② 公的規制及び環境保全

当社グループの主要事業である海運業では、設備の安全性や船舶の安全運航のために、国際機関及び各国政府の法令、船級協会の規則等の公的規制を受けております。当社グループでは、これらの規制が変更された場合に遵守するための費用が増加する可能性があり、遵守できなかった場合には事業活動が制限され、当社グループの業績及び財務状況が影響を受ける可能性があります。

当社グループはこれら安全運航に関する規制に適切に対処しております。

また、環境保全に関する規制の強化及び社会における重要性の高まりなどにより、その対策費用が増加した場合や当該法令または規制を遵守することが困難となった場合には、当社グループの業績及び財務状況が影響を受ける可能性があります。

当社グループは主に以下のような環境規制に対する対応を進めております。これらはいずれも国際連合の海事分野の専門機関である国際海事機関(IMO)が採択し国際条約として制定されているものです。

 

a.GHG(温室効果ガス:Greenhouse Gas)の排出規制について

当社グループはIMO規制に基づいて船舶のエネルギー効率管理計画を策定し船舶の減速運転や配船の工夫等によりGHG排出削減を推進するとともに、アンモニア等次世代燃料を燃料とする新造船の検討や帆船の研究も行っております。

また、当社グループは2020年度策定の中期経営計画「FORWARD 2030 ~Driving U forward over the next decade~」において、GHG削減についてはIMOの目標に沿って「輸送トン・マイル単位当たりのCO2排出量を2030年までに2019年比20%削減、2050年までに60%削減する」との目標を設定し、2022年度より、「2050年までのカーボンニュートラルを目指す」長期目標を加えて取り組みを継続して参ります。

 

b.船舶の排出ガスに含まれるNOx(窒素酸化物)の排出規制について

NOx排出規制は2000年以降に建造された船舶について、その建造年及び航行海域により規制が設定されており、当社グループでは規制対象となる船舶については全て認証された低NOx対応のディーゼルエンジンを搭載しております。

 

c.船舶の排出ガスに含まれるSOx(硫黄酸化物)の排出規制について

2020年以降は燃料中の硫黄分が0.5%以下の燃料を使用するよう規制されておりますが、当社グループは、SOx排出を抑制するため、規制に適合した硫黄分0.5%以下の燃料油を船舶に使用するほか、当社グループが所有する大型船舶を中心として、エンジンの排気ガスに含まれるSOxを除去する装置(SOxスクラバー)を搭載しております。

 

d.バラスト水管理条約への対応について

国際航海をする船舶のバラスト水中の海洋生物が船舶の運航に乗じて異国に移動し生態系を乱すことが問題となり、バラスト水処理に関する管理方法が定められ、2017年に施行されております。当社グループは条約の要求に従い運航船へのバラスト水処理装置の搭載を進めております。

 

当社グループは、上記の対応による費用増に関しては顧客の理解を得ながら運賃等への反映に努めております。

 

(2) サステナブルな事業構造の構築

① 海運市況変動リスク

当社グループの主要事業である海運業の運賃・用船料市況は、世界経済の動向、船腹の需給バランス等の影響を受け、常に変動しております。当社グループは、鉄鋼原料輸送を中心とした長期契約を志向して事業基盤の安定・強化を図っておりますが、市場ニーズに対応するため中短期契約で運航する船舶の比率が一定程度存在するため大幅な市況変動が大きな損失につながる恐れがあり、そのような状況の長期化はサステナブルな事業基盤を損なう可能性があります。
 当社グループは、今後も長期契約による事業基盤の安定・強化を図りつつ、適切な船隊ポートフォリオの構築、海外顧客向けビジネスの拡大、内航海運事業との総合力強化等により、市況変動に耐えられるよう不断の体質改善に努めて参ります。

 

② 為替変動リスク

当社グループの外航海運事業における商取引は、大部分が米ドルその他の外国通貨建てで行われております。

従って、当社グループの業績及び財務状況は外国為替の変動により影響を受けることがあります。当社グループは、為替予約等のヘッジ取引により常に変動する外国為替にかかるリスクの影響を一定程度まで低減する方針ですが、必ずしもこれを完全に回避できるものではなく、大幅な外国為替市場の変動により、影響を被ることがあります。

 

③ 金利変動リスク

当社グループは、船舶取得を中心とした設備投資のため、内部資金を充当する他、借入による資金調達を行っております。この借入による資金には変動金利で調達する部分もあり、当社グループでは金利情勢勘案の上、金利固定化等により、金利変動の影響を軽減するよう努めておりますが、将来の金利変動により資金調達コストが変動し、当社グループの業績及び財務状況が影響を受ける可能性があります。また、金利固定化により金利変動の影響を軽減することは、一方で市場金利下落の場合に、それにより生じ得た利益を逸失する可能性があります。また、金利固定化の期間中に条件の変更や対象設備の処分等により途中解約を余儀なくされた場合には、解約料を負担することがあります。

 

④ 燃料油価格変動リスク

当社グループで運航する船舶の燃料油価格は、原油市場の動向を反映して変動するため、当社グループの損益は燃料油価格の変動により影響を受けることがあります。当社グループでは燃料油価格調整条項がある輸送契約の締結や、購入価格が割安となる数量契約を推進することに加えて、購入燃料油の一部に対し、燃料油スワップ等による価格の固定化を行い、価格変動の影響を抑えるための対策をとっております。しかしながら、燃料油価格が急騰する局面では価格固定化を行わない部分につき、損失を被ることがあります。その一方、燃料油価格の下落局面においては、価格固定化を行った部分について、精算損が発生することがあります。

 

⑤ 資金調達に関するリスク

当社グループは、借入による資金調達を行っておりますが、金利等の市場環境や資金需給の影響を強く受けるため、これらの環境の変化及び当社グループの経営成績の悪化等により、資金調達に影響を受ける可能性があります。

当社グループは事業活動継続のため、一定程度の資金を確保するとともに金融機関とのコミットメントライン契約により資金調達の柔軟性を確保しております。

 

⑥ 投資計画の進捗に関するリスク

当社グループは、船隊整備のための投資計画を有しておりますが、今後の海運市況や金融情勢等によって、これらが計画どおりに進捗しない場合、当社グループの業績及び財務状況が影響を受ける可能性があります。

また、技術革新への対応が遅れることによる事業機会の喪失及び、新技術の台頭による既存船腹の陳腐化のリスクがあります。

当社グループは先進技術導入によりデータやデジタル技術を活用し、輸送の最適化と競争力強化並びに輸送サービスの環境性能を向上させるよう努めております。

 

⑦ 船舶の売却等にかかる損失に関するリスク

当社グループは、海運市況により、または船舶の技術革新による陳腐化や公的規制の変更等による使用制限等により、当社グループ保有の船舶を売却する場合があります。また、当社グループが用船する船舶の用船契約を中途解約する場合があります。その結果として、当社グループの業績及び財務状況が影響を受ける可能性があります。

 

⑧ 気候変動リスク

深刻化する気候変動回避のため、パリ協定やSDGs(持続可能な開発目標)をはじめとして、世界的にその原因物質とされるGHG排出量削減への取組みが推進され、企業にも積極的な対応が求められております。

当社グループは持続的な企業価値の向上を目的として2021年7月にTCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)提言に賛同を表明し、TCFD提言に基づく情報開示をHP上で行いました。気候変動に関する将来に向けたシナリオ分析を行う中で、GHG削減のために導入されるであろう政策や規制、燃料転換、新技術導入等による事業コストの増加、化石燃料輸送需要の減少、既存船舶の陳腐化、或いは対応の遅れによる事業機会の喪失といったリスクがあるものと認識しております。

当社グループは「2050年までのカーボンニュートラルを目指す」を目標に、今後もリスクへの対応能力の向上に努めてまいります。

 

(3) レジリエント(強靭)な経営基盤の確立

① 世界各地の政治・経済情勢等によるリスク

当社グループの事業活動は、日本を含むアジア、欧米その他の地域に及んでおり、各地域に於ける政治・経済状況等により影響を受ける可能性があり、具体的には以下のようなリスクがあります。これらの事象が発生した場合には、当社グループの業績及び財務状況が影響を受ける可能性があります。
a.不利な政治的または経済的要因
b.事業・投資許可、租税、為替管理、独占禁止、通商制限などの公的規制の影響

c.他社との合弁事業・提携事業の動向
d.戦争、暴動、テロ、海賊、伝染病、ストライキ、その他の要因による社会的混乱

ロシア・ウクライナ情勢の今後の動向によっては、サプライチェーンの変動や、景気後退により海上荷動きが鈍化し市況軟化等の影響を及ぼす可能性があり、当社としては市況の耐性を高めることに努めております。

当社グループは今後の海上輸送需要の推移を注視し、支配船腹との需給バランスを適切に保つよう注力いたします。

また、在宅勤務等による役職員の柔軟な勤務形態の継続、及び船舶乗組員の健康維持と適切な勤務ローテーションの維持による安全運航体制の継続を最優先に取り組んでおります。

e.地震、津波、台風等の自然災害

 

f.情報システム障害による安全運航や通常業務の阻害

当社グループは業務全般においてコンピュータシステム及びITネットワークを活用しております。サイバー攻撃、自然災害等に起因する重大なシステム障害が発生した場合には、経営成績及び財政状態等に影響を及ぼす可能性があります。当社グループでは、情報セキュリティー管理の重要性を十分認識し、ハード面・ソフト面のサイバー攻撃への対応強化やバックアップ体制の構築、「情報セキュリティー基本方針」等社内規程の整備、従業員に向けた教育の実施等の対策を継続的に行っております。

 

当社グループはこれらのリスクに対して内外からの情報収集等を通じてその予防・回避に努めるとともに、財務基盤の強化並びにBCP(事業継続計画)の整備により不測の事態に対応する体制の構築に努めております。

 

② 固定資産の減損損失計上に関するリスク

当社グループは、固定資産の減損に係る会計基準を適用しております。この基準の適用に伴い、事業環境や市場環境の変動によって保有する船舶等の固定資産について減損損失を計上する場合があり、当社グループの業績及び財務状況が影響を受ける可能性があります。

 

③ 投資有価証券評価損計上に関するリスク

当社グループは、投資有価証券のうち時価のあるものについては期末最終営業日の市場価格による時価評価を

行っており、株式市場の変動等により評価損を計上する可能性があります。この場合、当社グループの業績及び財務状況が影響を受ける可能性があります。

 

④ 繰延税金資産の回収可能性に関するリスク

当社グループは、将来の課税所得の見積りに基づいて繰延税金資産の回収可能性を評価しております。その見積額が減少し将来において繰延税金資産の一部または全部が実現できないと判断した場合、或いは税制の変更等に

よって実効税率が変動した場合、繰延税金資産の一部または全額を取崩し、税金費用を計上することとなり、当社グループの業績及び財務状況が影響を受ける可能性があります。

 

上記のうち、将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであり、また、当社グループのリスク要因は記載事項に限定されるものではありません。

なお、当社グループは、リスクの低減を図るために、本有価証券報告書「第4 提出会社の状況 4 コーポレート・ガバナンスの状況等」に記載の通りの企業統治体制及び内部統制システムの整備・運用を通じて、各機関及び関連部門が事業上のリスクの把握・評価を行った上で、定められた権限・責任に基づき業務を執行しております。

 

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績、及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況は次のとおりであります。

 

① 財政状態及び経営成績の状況

当期における世界経済は、資源エネルギー価格の高騰や、世界的に進行したインフレに対する各国の金融政策転換により、先行きの不透明感が強まりました。このような状況下、当社におきましては、長期契約による安定収益に加え、期中に進行した円安にも支えられ、前期に続き2期連続で最高益を達成することができました。

外航海運事業において、ドライバルク市況は、当期前半は堅調に推移したものの、ゼロコロナ政策による中国経済の停滞や、新型コロナウイルス感染症に対する港湾の検疫体制が緩和され滞船の解消につながったことを背景に、船腹需給が緩み、当期後半は各船型において下落基調となりました。VLGC(大型LPG運搬船)市況は、米国からのLPG輸出量増加等が船腹需給を引き締め、総じて高水準で推移しました。

内航海運事業につきましては、長引く半導体の供給不足による自動車生産の停滞や、火力発電所の稼働率低下が貨物輸送量の下押し要因となりました。

燃料油価格につきましては、当期の平均消費価格(全油種)は、トン当たり上期約705ドル、下期約605ドル、期中平均で約655ドルと、前期比で約155ドル上昇となりました。また対米ドル円相場は日米金利差を背景に円安が加速し、上期平均130円83銭、下期平均138円50銭、期中平均で134円67銭と前期比23円17銭の円安となりました。

このような事業環境の下で、当連結会計年度の財政状態及び経営成績は以下のとおりとなりました。

 

a.財政状態

当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末に比べ9億13百万円増加し2,757億84百万円となりました。

当連結会計年度末の負債合計は、前連結会計年度末に比べ183億3百万円減少し1,383億79百万円となりました。

当連結会計年度末の純資産合計は、前連結会計年度末に比べ192億16百万円増加し1,374億5百万円となりました。

 

b.経営成績

当連結会計年度の経営成績は、売上高2,508億25百万円(前年同期比28.0%増)、営業利益324億87百万円(前年同期比21.6%増)、経常利益334億44百万円(前年同期比25.7%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は276億3百万円(前年同期比17.0%増)となりました。

 

セグメントごとの経営成績は次のとおりであります。

 

<外航海運事業>

ケープ型撒積船(18万重量トン型)市況は、世界経済の回復への期待感から期初は堅調に推移し5月下旬には主要5航路平均用船料は3万ドル台後半に達しましたが、新型コロナウイルス感染症に対する検疫体制の緩和により、各港で船舶の停滞が解消され船腹供給が増加したことに加え、ゼロコロナ政策や不動産市況の低迷による中国経済の減速に伴い荷動きが鈍化したことで、夏場以降市況は軟調に転じました。さらに中国のゼロコロナ政策が解除された年明け以降も、主要鉄鉱石積地であるブラジルの雨期と重なり出荷が滞ったことで、市況は低迷を続ける結果となりました。このような状況下、当社では主要荷主の日本製鉄株式会社をはじめとする国内外顧客向け中長期輸送契約獲得により安定収益を確保するとともに、三国間配船の集荷に努めた結果、当初の計画を大幅に上回る収益を達成することができました。

パナマックス型撒積船(7~8万重量トン型)市況は、ロシア・ウクライナ情勢を背景に欧州向け石炭の輸送パターンが多様化したことによる輸送トンマイルの伸びや、インドの石炭輸入量が増加したことを受け、主要5航路平均用船料は5月に3万ドル超を記録しました。その後は、中国経済の減速による石炭・穀物の需要減に加え、南米の天候不良に起因した穀物出荷の遅れにより、船腹需給が緩んだことで2月に市況は7千ドル台まで下落しましたが、3月に入り穀物出荷が回復したことで上昇に転じました。このような状況下、当期後半の市況下落による影響を受けたものの、効率運航に努めたことで、当初の計画を大幅に上回る収益を達成することができました。

ハンディ型撒積船(2~6万重量トン型)市況は、当期前半は堅調に推移した一方、船腹需給を引き締めていた港湾の検疫体制強化という特殊要因の剥落、また世界的なインフレ拡大や中国のゼロコロナ政策により荷動きが鈍化したことで、軟調な推移となりました。このような状況下においても往航では主力貨物の一つである鋼材の荷動きが堅調に推移し、復航ではあらかじめ中長期契約の貨物を積極的に獲得していたことで安定収益を積み重ね、市況下落の影響を受けながらも当初の計画を大幅に上回る収益を達成することができました。

近海水域における小型船(1.6万重量トン型以下の船型)市況は、中国の経済活動の停滞により、主力の中国向け輸出鋼材の輸送量は前期比で減少となりました。また、当期後半には中国各港湾の滞船が解消され船腹需給が緩和されたことが市況下落要因となりました。このような状況下、高市況下で成約したバルク貨物輸送が収益を下支えするとともに、主に東南アジア向け鋼材とバルク貨物の往復航効率配船に努めたことで、当初の計画を大幅に上回る収益を達成することができました。

VLGC(大型LPG運搬船)は、全ての船舶が定期貸船契約に従事することにより安定収益を確保しておりますが、市況連動契約となっている一部の船舶についても、総じて市況が高水準で推移したことから、当初の計画を大幅に上回る収益を達成することができました。

以上の結果、外航海運事業全体としては、売上高は2,240億69百万円(前年同期比30.1%増)、セグメント利益(営業利益)300億82百万円(前期は249億35百万円のセグメント利益)と、前期に比べ増収増益となりました。

 

<内航海運事業>

ドライバルクにつきまして、鉄鋼関連貨物では、長引く半導体不足に伴う自動車生産停滞から鋼材の輸送量は当初の計画を下回った一方で、鉄鋼原料の輸送量は堅調に推移し当初の計画を上回りました。またセメント関連貨物は、堅調な専用船の稼働に支えられ輸送量は当初の計画を上回りましたが、電力関連貨物につきましては、火力発電所の稼働率低下等を背景に輸送量は当初の計画を下回りました。

タンカーにつきまして、LNG輸送では新規航路における海上輸送の本格化が輸送量増加に寄与した一方で、LPG輸送は国内需要の減退に伴い輸送量が伸び悩みました。このような状況下、効率配船に努めたことで当初の計画を上回る収益を達成することができました。

以上の結果、内航海運事業全体としては、売上高は267億56百万円(前年同期比12.8%増)、セグメント利益(営業利益)は24億27百万円(前期は17億72百万円のセグメント利益)と、前期に比べ増収増益となりました。

 

<その他>

特記すべき事項はありません。

 

② キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動によるキャッシュ・フローは、429億30百万円の収入(前年同期比100億49百万円の収入増)となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益及び減価償却費の計上等によるものです。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動によるキャッシュ・フローは、19億58百万円の支出(前年同期は1億39百万円の収入)となりました。これは主に、船舶の取得による支出59億50百万円と船舶の売却による収入40億4百万円があったことによるものです。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動によるキャッシュ・フローは、323億92百万円の支出(前年同期は299億15百万円の支出)となりました。これは主に、長期借入れによる収入と長期借入金の返済による支出の差引195億34百万円の支出によるものです。

 

 以上に現金及び現金同等物に係る換算差額を加味した現金及び現金同等物の当連結会計年度末残高は、前連結会計年度末と比較して90億49百万円増加し、402億64百万円となりました。

 

(参考)キャッシュ・フロー関連指標の推移

 

2020年3月期

2021年3月期

2022年3月期

2023年3月期

自己資本比率(%)

36.7

35.6

43.0

49.8

時価ベースの自己資本比率(%)

13.2

16.4

36.1

35.2

キャッシュ・フロー対有利子負債比率(年)

8.1

6.6

3.8

2.3

インタレスト・カバレッジ・レシオ(倍)

11.3

15.7

24.4

36.7

自己資本比率:自己資本/総資産

時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産

キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/キャッシュ・フロー

インタレスト・カバレッジ・レシオ:キャッシュ・フロー/利払い

(注1)いずれも連結ベースの財務数値により計算しております。

(注2)株式時価総額は自己株式を除く発行済株式数をベースに計算しております。

(注3)キャッシュ・フローは、営業キャッシュ・フローを利用しております。

(注4)有利子負債は連結貸借対照表に計上されている負債のうち利子を支払っている全ての負債を対象としております。

 

③ 生産、受注及び販売の実績

 当社グループ(当社及び連結子会社。以下同じ。)が営んでいる事業に「生産、受注」に該当する事項はありません。当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。

 

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2022年4月1日

至 2023年3月31日)

前年同期増減率(%)

外航海運事業(百万円)

224,069

30.1

内航海運事業(百万円)

26,756

12.8

 報告セグメント計(百万円)

250,825

28.0

その他(百万円)

250,825

28.0

 (注)1.セグメント間の取引については、相殺消去しております。

    2.前連結会計年度及び当連結会計年度における主な相手先の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対す

      る割合は次のとおりです。

 

 

相手先

前連結会計年度

(自 2021年4月1日

至 2022年3月31日)

当連結会計年度

(自 2022年4月1日

至 2023年3月31日)

金額(百万円)

比率(%)

金額(百万円)

比率(%)

日本製鉄㈱

90,111

42.0

118,267

45.4

 (注)上記の売上高には、商社等を経由したものが含まれております。

また、売上高には、賃積船の運賃が含まれております。

なお、上記以外に総売上高の10%以上を占める相手先はありません。

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

① 経営成績等

a. 財政状態

 当連結会計年度末における総資産は2,757億84百万円となり、前年度末比9億13百万円増加しました。このうち流動資産は主として現金及び預金の増加により141億57百万円増加しました。固定資産は主として船舶の減少により、132億44百万円減少しました。

 負債合計は前年度末に比べ、183億3百万円減少の1,383億79百万円となりました。このうち流動負債は主として短期借入金の増加により、18億76百万円増加しました。固定負債は主として長期借入金の減少により、201億79百万円減少しました。

 純資産合計は、親会社株主に帰属する当期純利益の計上と配当金の支払の差引による利益剰余金の増加、その他有価証券評価差額金の増加によるその他の包括利益累計額の増加等により、前連結会計年度末に比べ192億16百万円増加し、1,374億5百万円となりました。

 これらの結果、自己資本比率は前連結会計年度末の43.0%から当連結会計年度末は49.8%に増加しました。

 

b. 経営成績

 当連結会計年度の経営成績は、売上高2,508億25百万円(前年同期比28.0%増)、営業利益324億87百万円(前年同期比21.6%増)、経常利益334億44百万円(前年同期比25.7%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は276億3百万円(前年同期比17.0%増)と、前期に比べ増収増益となりました。

 なお、当社グループの事業構成は海上輸送業がほぼ全体を占めており、連結売上高に占める外航海運事業の割合は約9割、内航海運事業の割合は約1割となっております。

 セグメント別の経営成績については、「(1) 経営成績等の状況の概要 ① 財政状態及び経営成績の状況」に記載しております。

 

c. キャッシュ・フロー

 当連結会計年度のキャッシュ・フローの分析につきましては、「(1) 経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」に記載しております。

 

d. 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 当社グループの連結財務諸表は、一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しています。その作成には経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額並びに開示に影響を与える見積りを必要としています。経営者は、これらの見積りについて過去の実績等を勘案し合理的に判断していますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。

 

② 経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

 当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因として、為替・燃料油価格・海運市況などの外部要因が挙げられます。外航海運市況は、当期前半は堅調に推移したものの、ゼロコロナ政策による中国経済の停滞や、新型コロナウイルス感染症に対する港湾の検疫体制が緩和され滞船の解消につながったことを背景に、船腹需給が緩み、当期後半は各船型において下落基調となりました。当社におきましては、長期契約による安定収益に加え、期中に進行した円安にも支えられ、前期に続き2期連続で最高益を達成することができました。燃料油価格は高騰する局面もありましたが、運賃への転嫁やヘッジ対応により影響は限定的となりました。

 しかしながら、今後の地政学上のリスクや金融情勢などによっては事業環境が変化し、海上荷動きへの影響が懸念されます。当社ではかかる事業上のリスクに対し細心の注意を払い、事業運営を行って参ります。

 

③ 資本の財源及び資金の流動性

a. 資金需要

 当社グループの事業活動における運転資金需要の主なものは当社グループの外航海運事業と内航海運事業に関わる船費、借船料、運航費等と各事業についての一般管理費等があります。また、設備資金需要としては船舶投資に加え、情報処理システムのための無形固定資産投資等があります。

 当連結会計年度に実施した設備投資の総額は61億53百万円で、その主なものは船舶であります。また当連結会計年度末における船舶の新設に対する投資予定額は164億62百万円(既支払額37億59百万円を含む)であります。

 

b. 財務政策

 当社グループの事業活動の維持拡大に必要な資金を安定的に確保するため、事業計画に基づく資金需要、金利動向等の調達環境、既存借入金の償還時期等を考慮の上、内部資金の活用及び国内金融機関からの借入により安定性を重視した資金調達を行っております。

 当社グループの主要な事業資産である船舶の調達に当たっては、財政状態のバランスを図る観点から、船主からの用船も考慮に入れ、当社グループ全体の有利子負債を過度に増加させることなく、低コストかつ安定的な船隊の整備を行っております。当年度末の有利子負債残高は1,007億87百万円となりました。

 また突発的な資金需要に対しては迅速かつ確実に流動性資金を確保すべく、複数の国内金融機関と複数年にわたり総額90億円のコミットメントラインを設定しており、流動性を補完しております。

 

c. キャッシュ・フロー

 「(1) 経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」に記載しております。

 

④ 経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

 外航海運事業は、為替・燃料油価格・海運市況などの外部要因によって期間損益が左右されることに加え、他産業と比べて相対的に設備投資額が大きいという構造的な課題を抱えています。当社では、こうした業種特有の課題を強く意識した経営指標として、営業利益・ROE(株主資本利益率)・ネットD/Eレシオ(実質負債資本倍率)の3つに着目しています。営業利益は事業収益の規模感の、ROEは株主資本に対しての収益効率性の、ネットD/Eレシオは財務健全性の目安としています。2022年度は通期営業利益325億円、ROEは21.6%となりました。また2022年度末時点での

ネットD/Eレシオは0.44倍となり、2023年度の目標水準である営業利益100億円以上、ROE10%以上、ネットD/Eレシオ1.0倍以下を2021年度に続き達成することができました。引き続き上記に掲げた中期経営計画の目標の継続的な達成に向けてグループ一丸で不断の取り組みを重ねて参ります。

 

5【経営上の重要な契約等】

 該当事項はありません。

 

6【研究開発活動】

 当社グループでは、サステナブルな社会の発展に貢献すべく、サプライチェーンにおける海上輸送の温室効果ガス排出削減を目指しており、その一環としてバイオディーゼル燃料による船舶の航行に関する研究を推進しております。

 具体的には、バイオディーゼル燃料の原料の腐食環境調査、燃料分析を行い、2022年9月には、国内初となる外航船向けバイオディーゼル燃料の補油を行い、太平洋上で試験航行を実施しました。また、2022年12月にもバイオディーゼル燃料による試験航行を行い、当社における実績は累計で3隻となりました。バイオディーゼル燃料は既存の舶用エンジンで使用可能であり、補油のための既存のインフラを活用できる汎用性の高い低炭素燃料とされています。

 なお、当連結会計年度における研究開発費の総額は32百万円です。