〈経済環境〉
当連結会計年度における世界経済は、原油価格の下落と中国経済減速の2大要因に大きく影響を受けました。先進国では原油価格低下の恩恵を受け、回復基調に転じましたが、新興国では、中国経済減速のあおりを受け、資源価格安から通貨不安も発生し、減速しました。しかしながら、世界経済全体としてはかろうじて拡大基調を維持したと言えます。
米国では、連邦公開市場委員会(FOMC)が、2015年12月経済指標好転を背景に約10年ぶりに利上げに踏み切りましたが、2016年3月に開催された同委員会では、世界経済における減速感が強いことから、その後の利上げに慎重な姿勢となっています。またポピュリズムの蔓延している大統領選候補者選びが、今後の政治・経済に与える影響が大きなものになると懸念されています。
欧州経済は欧州中央銀行(ECB)が2016年3月デフレ懸念払拭のため、追加金融緩和策を発表しましたが、引き続く難民流入問題や、EU各国で発生しているテロの脅威等が欧州経済回復に重くのしかかっています。
中国経済は以前の勢いはありませんが、かろうじて6%台後半の成長率を保っています。ロシア・ブラジル等の資源国家は資源価格の低迷で財政が圧迫され、自国通貨の防衛に躍起になっている状況であり、景気は減速基調にあります。
一方、我が国経済は輸出・生産は上向いたものの、個人消費の落ち込みが大きく、GDPは2014年比+0.6%と低成長でした。起爆剤として日銀は2016年1月に日本で初めてマイナス金利政策の導入を発表しましたが、残念ながら現在のところその効果は現れていません。
〈外航海運業〉
このような状況のもと、為替は対ドル円レート120円前後で推移しましたが、2016年2月以降円高基調となっています。バンカー価格は原油価格の下落を受け、トン当たり300ドルから160ドルに急落しました。
大型タンカー市況は、2014年後半からの好況が続き、2015年の夏場に一旦下落したものの、秋以降は回復し、2015年末には中東/日本航路の運賃市況がワールドスケール(WS)80台後半となりました。原油安でトレードが活発化し、新造船の流入圧力を吸収、中国の石油備蓄を含む需要が底上げをしました。また、2016年3月積の市況はVLCC船型で中東/日本航路でWS95となり、2010年5月以来の最高値を記録しました。
バルカー市況は、全船型で記録的な安値を更新し、2016年2月にはバルチック海運指標も1986年7月以来およそ30年ぶりに過去最低記録を更新しました。老齢船のスクラップは増えましたが、引き続きの船腹過剰に加え、中国の景気後退を背景とする需要停滞が追い打ちをかけることになりました。また、国内外オペレーターの経営破綻や船主への傭船料減額要請が相次ぎ、オペレーターの信用問題も再燃しました。
自動車船市況は、円安およびガソリン価格の下落等の影響により、北米向船腹需要が2014年と同水準で堅調に推移したものの、中近東向けの建設機器、自動車販売が伸びず、日本出しは減少傾向となり、ロシア向けも2014年比4割と減少し、新興国への輸送は減少しました。7,000台積ポストパナマックス型や、鉄道車両などの背高重量貨物にも対応できる新造船が次々と竣工し船型の大型化が進む一方、既存の4,000-5,000台積の中型船の需要が減り、傭船マーケットで余剰感が出ています。
このような状況下、当連結会計年度の外航海運業部門は、前連結会計年度に売却した船舶の稼働減の影響はあったものの、ドル建て傭船料の円安基調による増加に加え、当連結会計年度に投入した新造船の稼働により、売上高は22,438百万円(前年同期比7.7%増)となり、船舶コストの減少もあり、外航海運業利益は2,874百万円(前年同期比117.9%増)となりました。なお、船隊近代化の一環として、当連結会計年度に連結子会社において新造船バルカー3隻、チップ船1隻を投入した一方で、タンカー、バルカー各1隻を売船し、その売却益873百万円を特別利益に計上しました。また、一部船舶の収益性の低下等による減損損失3,753百万円を特別損失に計上しています。
〈ホテル関連事業〉
ホテル関連事業部門においては、宴会部門で2014年に引き続き上半期は厳しい市場環境が続きましたが、年度末が近づくにつれて僅かながら持ち直しの基調も見えてきました。国内外からの観光客の動きも堅調で宿泊部門は各ホテルとも好調に推移しました。また、ザ・ウィンザーホテル洞爺リゾート&スパが期初から通年稼働していることにより、当連結会計年度においてホテル関連事業の売上高は12,556百万円(前年同期比18.1%増)となり、ホテル関連事業利益は1,285百万円(前年同期比7.1%増)を計上しました。
〈不動産賃貸業〉
不動産賃貸業部門では、売上高は473百万円(前年同期比0.2%増)、不動産賃貸業利益は277百万円(前年同期比2.0%増)となりました。
以上の結果、当連結会計年度において売上高は35,469百万円(前年同期比11.0%増)、営業利益は4,438百万円(前年同期比59.0%増)、前連結会計年度において為替差益3,034百万円を計上しましたが、当連結会計年度では為替差損196百万円に転じた影響もあり、経常利益は4,237百万円(前年同期比24.3%減)となり、特別利益には前述の船舶売却益873百万円、特別損失には前述の減損損失3,753百万円をそれぞれ計上しました。また、第1四半期連結会計期間より平成27年度税制改正に伴う繰延税金資産・繰延税金負債の調整および、当社の在外子会社(連結子会社)の2社が、当期から外国子会社合算税制の適用除外基準を充足したと判断し、前期までに計上していた繰延税金負債を取り崩すこととしました。その結果、これらを含めた法人税等調整額△2,887百万円を計上し、親会社株主に帰属する当期純利益は1,063百万円(前年同期比56.5%減)になりました。
連結会計年度末における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べて2,885百万円増加し、13,297百万円となりました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況は以下のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度末において営業活動によって得られた資金は、12,533百万円(前年同期比2,573百万円増)となりました。これは主に税金等調整前当期純利益1,357百万円に、減価償却費9,330百万円等を加減算した結果です。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において投資活動に使用した資金は、11,941百万円(前年同期比6,878百万円増)となりました。これは主に新造船建造費等の支払い15,475百万円、船舶等の売却による収入3,070百万円によるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において財務活動によって得られた資金は、2,479百万円(前年同期比7,147百万円増)となりました。主な要因は、長期借入金および社債の発行による収入の合計19,178百万円と、長期借入金の返済および社債償還による支出の合計16,352百万円との差額2,825百万円によるものです。
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。
セグメントの名称 | 金額(千円) | 前年同期比(%) |
外航海運業 | 22,438,707 | +7.7 |
ホテル関連事業 | 12,556,997 | +18.1 |
不動産賃貸業 | 473,578 | +0.2 |
合計 | 35,469,283 | +11.0 |
(注) 1 主な相手先別の販売実績および総販売実績に対する割合は、次のとおりです。
相手先 | 前連結会計年度 (自 平成26年4月1日 至 平成27年3月31日) | 当連結会計年度 (自 平成27年4月1日 至 平成28年3月31日) | ||
金額(千円) | 割合(%) | 金額(千円) | 割合(%) | |
日本郵船株式会社 | 3,895,383 | 12.2 | 4,276,122 | 12.1 |
BERGERSEN WORLDWIDE GAS ASA | 2,207,900 | 6.9 | 2,555,401 | 7.2 |
株式会社商船三井 | 2,311,101 | 7.2 | 2,230,133 | 6.3 |
2 本表の金額には、消費税等は含まれていません。
今後の世界経済を展望しますと、2016年も引き続き米国と中国が主役になるものと思われます。米国経済は引き続き個人消費の増加をけん引力に緩やかなペースでの成長が見込まれます。2016年に予定されている追加利上げは世界経済に対する影響度合いが大きいと考えられます。
EU圏では、英国のEU離脱国民選挙、またフランス・ドイツでの極右政党の台頭が、経済回復に影を落としかねない状況にあり、また中国経済への依存度が大きいため、さらなる中国経済減速も経済の下振れリスクとして大きいものと思われます。中国経済は中庸な成長率を目標に運営される予定ですが、その政治体制から内包されている問題も多く、輸入量の減少等の実質的経済減速もあり得る状況にあり、世界経済はますます不透明感を増しています。
日本ではマイナス金利の導入、消費税率の再引き上げの延期といった政策が、経済活動の段階的な回復を支えることが見込まれます。しかしながら、米国の利上げ、世界経済の減速等の要因により、株式の下落、円高の進行等の下振れリスクも大きいものと予見されます。
このような経済状況のなか、当社グループの経営方針は従前と変わりなく、安全、安心、安定を根本に経営基盤の一層の充実を図っていきます。
外航海運業部門が当社グループの事業の根幹であることを認識し、船隊の整備・充実と安全運航体制の確保により裏付けされる中長期主体の傭船契約により、経営基盤の維持・向上に努力を重ねていきます。特に安全運航については、良質な船員の確保が重要と認識しており、船員教育の強化のための施策を今後も拡充していきます。
ホテル関連事業部門では、為替環境の変化や中国経済の減速による海外客の増加傾向の鈍化も視野に入れて、国内需要の更なる掘り起こしに努め業績の拡大に努めます。また昨年から継続する食材の価格高騰への対処、人手不足への対応を強化するべく、ホテルグループ全体での人材交流の活発化に努めます。
不動産賃貸業部門については、保有不動産の品質の維持・向上を図りつつ、今後とも安定的な収益確保を目指していきます。
管理面においては、変化する環境に的確に対応できるよう、優秀な人材の確保・育成を強化し、加えて、当社グループ内の種々リスクの管理体制を一層整備・強化していきます。
また、当社グループでは、内部統制およびコンプライアンス遵守についても重要課題として認識しており、その体制の維持・向上に引き続き取り組んでいきます。
当連結会計年度末現在における当社グループの事業活動に影響を及ぼす可能性がある、主要なリスクとしては以下のものがあげられます。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。
(1)為替変動リスク
当社グループの最重要部門である外航海運業においては、その傭船料収入が米国ドル建てとなっています。費用についても米国ドル建ての部分が大半を占めますが、一部円建てのコストも残っており、当社グループとしても費用のドル建て化を進めている一方、円高が進行しますと当社グループの収支に悪影響を及ぼします。
また、当社および海外子会社では、米国ドル建てならびに円建てにて資産・負債を保有していますが、その個々の会社の決算通貨(米国ドル建て或いは円建て)と決算通貨以外での資産(主に現預金)・負債(主に設備資金借入金)のバランスしない部分が為替変動によって、決算時評価損益として収支に影響します。
(2)金利リスク
当社グループの主たる業務は船舶保有で、新造船建造等多額の設備投資を継続して行っていますが、その必要資金の多くの部分を銀行借入等の外部負債によって賄っています。当社グループとしては、有利子負債の削減に努めると同時に、金利動向を見ながら金利スワップ取引により金利の固定化を進めていますが、一部固定化されていない変動金利での借入金は、金利変動リスクにさらされており、将来金利が上昇するような場合には利益圧迫の影響が出て参ります。
(3)船舶運航上の事故、海洋汚染リスク
当社グループは、安全運航と海洋の環境汚染防止とを業務上の最重要課題の一つに掲げ、船員教育や訓練システムに最大限の注力をして、事故防止、海洋汚染防止に取り組んでいます。また、かかる事態に備えて十分な船舶保険等の付保もしています。しかしながら、万一の不慮の事故・海洋汚染等が発生し、特に油濁による大規模な海洋汚染が生じた場合には、当社グループの事業に影響を及ぼす可能性もあります。
(4)自然災害、海外情勢等のリスク
当社グループの建物およびレジャー施設では、地震、台風等の自然災害、また国際紛争、テロ、流行疾患等によるコントロールが不可能な事由により、旅行客や顧客が減少し、企業業績に影響を与える可能性があります。
(5)食品の安全性及び表示
当社グループでは飲食の提供および食品の販売を行っています。食品の安全性、消費期限、賞味期限、産地、原材料等の表示については日頃より十分に注意を払っていますが、万一当社グループの衛生管理に起因する食中毒が発生した場合、あるいは表示に誤りがあった場合等は、当社グループの社会的信用の失墜につながり企業業績に影響を与える可能性があります。
(6)顧客情報の管理
当社グループのホテル関連事業において、顧客に関する個人情報を保有しており、管理は厳重に行っていますが、それらの情報の漏洩が発生した場合は、当社グループの信用失墜につながり当社グループの企業業績に影響を与える可能性があります。
該当事項はありません。
該当事項はありません。
当連結会計年度の売上高は、前連結会計年度に比べ11.0%増収の35,469百万円を計上しました。セグメント別では、外航海運業部門において、前連結会計年度に売却した船舶の稼働減の影響はあったものの、ドル建て傭船料の円安基調による増加に加え、当連結会計年度に投入した新造船の稼働により、売上高は22,438百万円(前年同期比7.7%増)を計上しました。ホテル関連事業部門においては、国内外からの観光客の動きも堅調で、宿泊部門においては各ホテルともに好調に推移しました。また、ザ・ウィンザーホテル洞爺リゾート&スパが期初から通年稼働していることにより、当連結会計年度においてホテル関連事業の売上高は12,556百万円(前年同期比18.1%増)となりました。不動産賃貸業部門では、売上高は473百万円(前年同期比0.2%増)となりました。
営業利益は、前連結会計年度に比べ59.0%増益の4,438百万円となりました。外航海運業部門においては、円安による影響と船舶コストの減少により、外航海運業利益は2,874百万円(前年同期比117.9%増)となりました。ホテル関連事業利益では、新しいホテルが加わったことにより1,285百万円(前年同期比7.1%増)となりました。不動産賃貸業利益につきましては、277百万円(前年同期比2.0%増)となりました。
経常利益については、期末為替評価換えによる為替差損196百万円を計上し、経常利益は4,237百万円(前年同期比24.3%減)となりました。
親会社株主に帰属する当期純利益については、船舶売却益873百万円を特別利益に、船舶の減損損失3,753百万円を特別損失に計上し、また第1四半期連結会計期間より平成27年度税制改正に伴う繰延税金資産・繰延税金負債の調整および、当社の在外子会社の2社が、当期から外国子会社合算税制の適用除外基準を充足したと判断し、前期までに計上していた繰延税金負債を取り崩すこととしました。その結果、これらを含めた法人税等調整額△2,887百万円を計上し、親会社株主に帰属する当期純利益は1,063百万円(前年同期比56.5%減)になりました。
当連結会計年度における資産の部は、前連結会計年度末より3,543百万円増加し、147,112百万円となりました。これは主に新造船投入による資産の増加および現金・預金の増加によるものです。負債の部は、前連結会計年度末より1,450百万円増加し、115,027百万円になりました。これは主に借入金の増加および繰延税金負債の減少によるものです。また、純資産の部は、前連結会計年度末より2,092百万円増加し、32,084百万円となりました。これは主に、利益余剰金等の増加によるものです。
キャッシュ・フローにつきましては、「第2 事業の状況 1.業績等の概要 (2)キャッシュ・フローの状況」をご覧下さい。