〈経済環境〉
当連結会計年度における世界経済は、年前半の米国経済の足踏みや英国のEU離脱決定による金融市場の混乱等を背景に減速したものの、年後半はトランプ新政権が掲げた大型減税、インフラ投資等の政策への期待により米国経済は持ち直し、英国のEU離脱への主要国中央銀行による迅速な対応によって緩やかに回復が進みました。しかしながら、通年では2015年を若干下回る2%台前半の成長に鈍化しました。
中国経済はリーマンショック直後以来の低水準ながら6%台後半の成長率で下げ止まっています。ロシア・ブラジル等の資源国家は景気後退が続きましたが、資源価格の緩やかな回復に伴い状況は好転し、復調の兆しが見られました。
一方、我が国経済は、雇用・所得環境の改善がみられ緩やかな回復基調が続きましたが、企業の設備投資や個人消費といった支出面への波及は不十分であり、踊り場から脱することはできていません。
<外航海運業>
このような状況のもと、為替は対ドル円レート110円前後で始まりましたが、その後円高基調をたどり、年半ばには100円前後まで円高が進行しました。米国大統領選挙後は円安基調となり、年末にかけて115円前後で推移しましたが、2017年3月には110円に戻る動きとなりました。またバンカー価格は原油価格の上昇とともに、トン当たり170ドルから年末には320ドルに上昇しました。
大型タンカー市況は、年初から日建て傭船料50,000ドル前後で推移しましたが、夏場に下落し、秋以降は再び回復という昨年に似た推移をたどりました。新造船の流入圧力はあったものの、12月にOPECで減産が合意されるまで中東各国が増産を続けた結果、荷動きは堅調に推移しました。
バルカー市況は、2016年2月に全船型で記録的な安値を更新し、運賃傭船料指標(BDI)も1986年7月以来およそ30年ぶりに過去最低を記録しました。その後も船腹過剰は解消されていない状況であるものの、春以降は荷動きが少しずつ増加し、老齢船のスクラップも活発に推移し、市況は緩やかに上昇しています。いまだ健全な状況には届きませんが、2017年3月に入りそのペースを上げており、好ましい方向に進んでいます。
自動車船市況は、中近東、南米、アフリカ等資源国向けの自動車販売が伸びず日本出しは減少傾向となり、資源安と新興国の景気減速の影響で荷動きが低迷しています。韓国ではストライキの影響を受けて韓国出し荷動きが激減、世界的に欧州、北米から極東向けの荷動きなどが影響を受けました。そのため既存の4,000-5,000台積の中型船の需要が減り、ピーク時には待機船が20隻にのぼるなど、余剰感が出ています。
この様な状況のもと、当連結会計年度の外航海運業部門は、平均為替レートが前年比約8.5円の円高となりましたが、新規参入のコンテナ船2隻をはじめ、バルカー、自動車船が各1隻と計4隻の新規稼働により、売上高は24,048百万円(前年同期比7.2%増)となり、船舶コストの減少もあり、外航海運業利益は4,043百万円(前年同期比40.7%増)となりました。また、当期第3四半期に発生した船舶売却に伴う減損損失に加えて、一部船舶の収益性低下による減損損失を計上し合計1,564百万円を特別損失に計上しています。
〈ホテル関連事業〉
ホテル関連事業部門では、国内外からの観光客の動きも殆ど落ち込むこともなく、宿泊部門は各ホテルとも堅調に推移しました。宴会部門は、昨年度末から持ち直しの兆しが見え始め、婚礼・一般宴会共に好調に実績を伸ばしました。その結果、ホテル関連事業部門の売上高は12,835百万円(前年同期比2.2%増)となり、ホテル関連事業利益は1,510百万円(前年同期比17.4%増)を計上しました。
〈不動産賃貸業〉
不動産賃貸業部門では、売上高は519百万円(前年同期比9.8%増)、不動産賃貸業利益は311百万円(前年同期比12.2%増)となりました。
以上の結果、当連結会計年度において売上高は37,404百万円(前年同期比5.5%増)、営業利益は5,865百万円(前年同期比32.1%増)、経常利益は4,551百万円(前年同期比7.4%増)となり、特別損失には前述の減損損失1,564百万円を計上し、親会社株主に帰属する当期純利益は1,159百万円(前年同期比9.0%増)になりました。
当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べて1,155百万円増加し、14,452百万円となりました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況は以下のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度末において営業活動によって得られた資金は、12,098百万円(前年同期比434百万円減)となりました。これは主に税金等調整前当期純利益2,986百万円に、減価償却費9,199百万円等を加減算した結果です。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において投資活動に使用した資金は、2,000百万円(前年同期比9,941百万円減)となりました。これは主に新造船建造費等の支払い1,403百万円によるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において財務活動によって使用した資金は、8,904百万円(前年同期比11,383百万円増)となりました。主な要因は、長期借入金および社債の発行による収入の合計7,603百万円と、長期借入金の返済および社債償還による支出の合計15,220百万円との差額7,616百万円によるものです。
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。
|
セグメントの名称 |
金額(千円) |
前年同期比(%) |
|
外航海運業 |
24,048,776 |
+7.2 |
|
ホテル関連事業 |
12,835,584 |
+2.2 |
|
不動産賃貸業 |
519,904 |
+9.8 |
|
合計 |
37,404,264 |
+5.5 |
(注) 1 主な相手先別の販売実績および総販売実績に対する割合は、次のとおりです。
|
相手先 |
前連結会計年度 (自 平成27年4月1日 至 平成28年3月31日) |
当連結会計年度 (自 平成28年4月1日 至 平成29年3月31日) |
||
|
金額(千円) |
割合(%) |
金額(千円) |
割合(%) |
|
|
日本郵船株式会社 |
4,276,122 |
12.1 |
3,749,834 |
10.0 |
|
BW GAS LPG CHARTERING LIMITED |
2,555,401 |
7.2 |
2,393,024 |
6.4 |
|
株式会社商船三井 |
2,230,133 |
6.3 |
2,330,029 |
6.2 |
2 本表の金額には、消費税等は含まれていません。
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。
当社グループは、事業の根幹である外航海運業において、国際競争力の強化を念頭に、積極的な事業展開を図り、環境問題にも留意しつつ、安全運航体制を確保し、高い船舶管理能力を併せ持った信頼される船主として、時代のニーズに合った船隊の整備、高品質なサービスの提供を続けていきます。
また、ホテル関連事業、不動産賃貸業等を併営し、効率的な経営多角化により、当社グループ全体としての業績の安定化を図っていきます。
当社グループは、厳しい国際競争に耐えて安定的な利益を確保できる営業規模を達成するため、海運市況動向を充分に見極めながら、将来の市場ニーズに即した船型を順次投入し、また老齢船を処分し船隊整備を推進していきます。そのためにも、効率的な経営体制のもと、機動力を活かした迅速な経営判断によって、スピードが求められる厳しい国際競争への対応力を強化していきます。
また、ホテル関連事業、不動産賃貸業等の事業の多角化分野においては、費用の適正化を計画的に継続し、より一層の事業の安定収益化を図ります。
なお、当社グループはさまざまな経営環境に対応すべく、経営指標にとらわれない柔軟な経営判断を行うことにしています。外航海運業、ホテル関連事業、不動産賃貸業の各セグメントのリスクを把握しつつ、柔軟かつ迅速な事業展開を図ります。
今後の世界経済を展望しますと、2017年も持ち直しは続くものの成長は緩やかになると見込まれます。米国経済は雇用・賃金の底堅い増加や新政権の掲げる減税等にも支えられれば、個人消費主導で堅調に推移するものと思われますが、トランプ大統領の保護主義的な公約がどこまで実行されるのかがカギとなります。欧州では、ポピュリズムが台頭するなかでの主要国で相次ぐ総選挙に加え、英国のEU離脱交渉の政治的混乱等も予想され経済が減速する可能性があると思われます。中国経済は、過剰な生産能力の調整に苦しむ状況に変化はなく成長率は緩やかに鈍化するものと思われます。新興国・途上国の金融環境は不安定のままであり、世界経済はますます不透明感を増しています。
我が国経済は、米国の株価や金利上昇等の影響はありますが、緩やかな拡大傾向が続く見込みと思われます。個人消費は堅調な雇用所得情勢を受けて、緩やかながらも回復することが見込まれます。また、世界経済の先行き不透明感や急速な円高の動きにも引き続き警戒する必要が増しています。
このような経済状況のなか、当社グループの経営方針は従前と変わりなく、安全、安心、安定を根本に経営基盤の一層の充実を図っていきます。
外航海運業部門が、当社グループの事業の根幹であることを認識し、船隊の整備・充実と安全運航体制の確保により裏付けされる中長期主体の傭船契約により、経営基盤の維持・向上に努力を重ねていきます。特に安全運航については、良質な船員の確保が重要と認識しており、船員教育の強化のための施策を今後も拡充していきます。具体的には、船員採用・育成拠点の一つであるフィリピンにおいて、2018年1月に船員トレーニングセンターの運営を開始する予定です。トレーニングセンターでは最新鋭のブリッジ・シミュレーター、エンジン・シミュレーターなどを備え、現場に根差した訓練プログラムを策定・運営し、優秀な船員の育成を図り、船舶管理の品質を強化します。
ホテル関連事業部門では、人材の雇用確保の環境がより厳しくなりつつあるなかで、業務の効率化や改善への取り組みを図りつつ、ホテルグループ全体での活発な人材交流に継続的に努めていきます。
不動産賃貸業部門では、保有不動産の品質の維持・向上を図りつつ、今後とも安定的な収益確保を目指していきます。
管理面においては、変化する環境に的確に対応できるよう、優秀な人材の確保、育成を強化し、加えて、当社グループ内の種々リスクの管理体制を一層整備・強化していきます。
また、当社グループでは、内部統制およびコンプライアンス遵守についても重要課題として認識しており、その体制の維持・向上に引き続き取り組んでいきます。
当連結会計年度末現在における当社グループの事業活動に影響を及ぼす可能性がある、主要なリスクとしては以下のものがあげられます。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。
(1)為替変動リスク
当社グループの最重要部門である外航海運業においては、その傭船料収入が米国ドル建てとなっています。費用についても米国ドル建ての部分が大半を占めますが、一部円建てのコストも残っており、当社グループとしても費用のドル建て化を進めている一方、円高が進行しますと当社グループの収支に悪影響を及ぼします。
また、当社および海外子会社では、米国ドル建てならびに円建てにて資産・負債を保有していますが、その個々の会社の決算通貨(米国ドル建て或いは円建て)と決算通貨以外での資産(主に現預金)・負債(主に設備資金借入金)のバランスしない部分が為替変動によって、決算時評価損益として収支に影響します。
(2)金利リスク
当社グループの主たる業務は船舶保有で、新造船建造等多額の設備投資を継続して行っていますが、その必要資金の多くの部分を銀行借入等の外部負債によって賄っています。当社グループとしては、有利子負債の削減に努めると同時に、金利動向を見ながら金利スワップ取引により金利の固定化を進めていますが、一部固定化されていない変動金利での借入金は、金利変動リスクにさらされており、将来金利が上昇するような場合には利益圧迫の影響が出て参ります。
(3)船舶運航上の事故、海洋汚染リスク
当社グループは、安全運航と海洋の環境汚染防止とを業務上の最重要課題の一つに掲げ、船員教育や訓練システムに最大限の注力をして、事故防止、海洋汚染防止に取り組んでいます。また、かかる事態に備えて十分な船舶保険等の付保もしています。しかしながら、万一の不慮の事故・海洋汚染等が発生し、特に油濁による大規模な海洋汚染が生じた場合には、当社グループの事業に影響を及ぼす可能性もあります。
(4)自然災害、海外情勢等のリスク
当社グループの建物およびレジャー施設では、地震、台風等の自然災害、また国際紛争、テロ、流行疾患等によるコントロールが不可能な事由により、旅行客や顧客が減少し、企業業績に影響を与える可能性があります。
(5)食品の安全性及び表示
当社グループでは飲食の提供および食品の販売を行っています。食品の安全性、消費期限、賞味期限、産地、原材料等の表示については日頃より十分に注意を払っていますが、万一当社グループの衛生管理に起因する食中毒が発生した場合、あるいは表示に誤りがあった場合等は、当社グループの社会的信用の失墜につながり企業業績に影響を与える可能性があります。
(6)顧客情報の管理
当社グループのホテル関連事業において、顧客に関する個人情報を保有しており、管理は厳重に行っていますが、それらの情報の漏洩が発生した場合は、当社グループの信用失墜につながり当社グループの企業業績に影響を与える可能性があります。
該当事項はありません。
該当事項はありません。
当連結会計年度の売上高は、前連結会計年度に比べ5.5%増収の37,404百万円を計上しました。セグメント別では、外航海運業部門において、前連結会計年度に売却した船舶の稼働減とドル建て傭船料の円高の影響はあったものの、新規参入のコンテナ船2隻をはじめ、バルカー、自動車船が各1隻と計4隻の新規稼働により、売上高は24,048百万円(前年同期比7.2%増)を計上しました。ホテル関連事業部門においては、国内外からの観光客の動きも殆ど落ち込むことなく、宿泊部門は各ホテルとも堅調に推移したことにより、ホテル関連事業の売上高は12,835百万円(前年同期比2.2%増)となりました。不動産賃貸業部門では、売上高は519百万円(前年同期比9.8%増)となりました。
営業利益は、前連結会計年度に比べ32.1%増益の5,865百万円となりました。外航海運業部門においては、船舶コストの減少等により、外航海運業利益は4,043百万円(前年同期比40.7%増)となりました。ホテル関連事業利益では、1,510百万円(前年同期比17.4%増)となりました。不動産賃貸業利益につきましては、311百万円(前年同期比12.2%増)となりました。
経常利益は4,551百万円(前年同期比7.4%増)となり、親会社株主に帰属する当期純利益については、船舶の減損損失1,564百万円を特別損失に計上し、1,159百万円(前年同期比9.0%増)になりました。
当連結会計年度における資産の部は、前連結会計年度末より5,698百万円減少し、141,413百万円となりました。これは主に船舶の減価償却による減少によるものです。負債の部は、前連結会計年度末より6,599百万円減少し、108,427百万円になりました。これは主に借入金の減少によるものです。また、純資産の部は、前連結会計年度末より901百万円増加し、32,985百万円となりました。これは主に、利益余剰金等の増加によるものです。
キャッシュ・フローにつきましては、「第2 事業の状況 1.業績等の概要 (2)キャッシュ・フローの状況」をご覧下さい。