第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。

 

(1)会社の経営の基本方針

当社グループは、事業の根幹である外航海運業において、国際競争力の強化を念頭に、積極的な事業展開を図り、環境問題にも留意しつつ、安全運航体制を確保し、高い船舶管理能力を併せ持った信頼される船主として、時代のニーズに合った船隊の整備、高品質なサービスの提供を続けていきます。
 また、ホテル関連事業、不動産賃貸業等を併営し、効率的な経営多角化により、当社グループ全体としての業績の安定化を図っていきます。

 

(2)中長期的な会社の経営戦略および目標とする経営指標

当社グループは、厳しい国際競争に耐えて安定的な利益を確保できる営業規模を達成するため、海運市況動向を充分に見極めながら、将来の市場ニーズに即した船型を順次投入し、また老齢船を処分し船隊整備を推進していきます。そのためにも、効率的な経営体制のもと、機動力を活かした迅速な経営判断によって、スピードが求められる厳しい国際競争への対応力を強化していきます。
 また、ホテル関連事業、不動産賃貸業等の事業の多角化分野においては、費用の適正化を計画的に継続し、より一層の事業の安定収益化を図ります。
 なお、当社グループはさまざまな経営環境に対応すべく、経営指標にとらわれない柔軟な経営判断を行うことにしています。外航海運業、ホテル関連事業、不動産賃貸業の各セグメントのリスクを把握しつつ、柔軟かつ迅速な事業展開を図ります。

 

(3)会社の対処すべき課題

今後の世界経済は、緩やかな回復が続くものと見込まれますが、先進国、新興国とも幾つかの下振れリスクを抱えていて、警戒が必要な状況が続くものと思われます。米国経済は、良好な雇用・所得環境と消費主導の成長により景気拡大は継続すると思われますが、米中貿易摩擦が長期化する可能性や財政刺激策の終了に伴う減速等、不確実性も続くおそれもあります。ユーロ圏経済は、英国のEU離脱交渉の行方や政治問題等のリスクに警戒が必要ですが、輸出の回復により緩やかな成長が続くものと思われます。中国経済は、米制裁強化による輸出の下振れが強まる可能性があり、貿易摩擦の影響により成長率の減速が続くものと思われます。

我が国経済は、消費税増税の影響は懸念されるものの、雇用の改善により個人消費も堅調に推移し拡大傾向が続く見込みです。世界経済の減速リスクの増加や、外的要因による急速な円高の動きも懸念され、引き続き留意する必要が増しています。

このような経済状況のなか、当社グループの経営方針は従前と変わりなく、安全、安心、安定を根本に経営基盤の一層の充実を図っていきます。

外航海運業部門が、当社グループの事業の根幹であることを認識し、船隊の整備・充実と安全運航体制の確保により裏付けされる中長期主体の傭船契約により、経営基盤の維持・向上に努力を重ねていきます。特に安全運航については、良質な船員の確保が重要との認識のもと、船員教育の強化のための施策として船員採用・育成拠点の一つであるフィリピンにおいて、2018年4月に船員トレーニングセンターの運営を開始しました。トレーニングセンターでは最新鋭のブリッジ・シミュレーター、エンジン・シミュレーターなどを備え、現場に根差した訓練プログラムを策定・運営し、優秀な船員の育成を図り、船舶管理の品質を強化します。

ホテル関連事業部門では、人材の雇用確保の環境がより厳しくなるなかで、業務の効率化や改善への取り組みを図りつつ、ホテルグループ全体での活発な人材交流を継続的に努めていきます。

不動産賃貸業部門では、保有不動産の品質の維持・向上を図りつつ、今後とも安定的な収益確保を目指していきます。

管理面においては、変化する環境に的確に対応できるよう、優秀な人材の確保、育成を強化し、加えて、当社グループ内の種々リスクの管理体制を一層整備・強化していきます。

また、当社グループでは、内部統制およびコンプライアンス遵守についても重要課題として認識しており、その体制の維持・向上に引き続き取り組んでいきます。

 

2 【事業等のリスク】

当連結会計年度末現在における当社グループの事業活動に影響を及ぼす可能性がある、主要なリスクとしては以下のものがあげられます。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。

 

(1)為替変動リスク
 当社グループの最重要部門である外航海運業においては、その傭船料収入が米国ドル建てとなっています。費用についても米国ドル建ての部分が大半を占めますが、一部円建てのコストも残っており、当社グループとしても費用のドル建て化を進めている一方、円高が進行しますと当社グループの収支に悪影響を及ぼします。
 また、当社および海外子会社では、米国ドル建てならびに円建てにて資産・負債を保有していますが、その個々の会社の決算通貨(米国ドル建て或いは円建て)と決算通貨以外での資産(主に現預金)・負債(主に設備資金借入金)のバランスしない部分が為替変動によって、決算時評価損益として収支に影響します。

 

(2)金利リスク
 当社グループの主たる業務は船舶保有で、新造船建造等多額の設備投資を継続して行っていますが、その必要資金の多くの部分を銀行借入等の外部負債によって賄っています。当社グループとしては、有利子負債の削減に努めると同時に、金利動向を見ながら金利スワップ取引により金利の固定化を進めていますが、一部固定化されていない変動金利での借入金は、金利変動リスクにさらされており、将来金利が上昇するような場合には利益圧迫の影響が出て参ります。

 

(3)船舶運航上の事故、海洋汚染リスク
 当社グループは、安全運航と海洋の環境汚染防止とを業務上の最重要課題の一つに掲げ、船員教育や訓練システムに最大限の注力をして、事故防止、海洋汚染防止に取り組んでいます。また、かかる事態に備えて十分な船舶保険等の付保もしています。しかしながら、万一の不慮の事故・海洋汚染等が発生し、特に油濁による大規模な海洋汚染が生じた場合には、当社グループの事業に影響を及ぼす可能性もあります。

 

(4)自然災害、海外情勢等のリスク
 当社グループの建物およびレジャー施設では、地震、台風等の自然災害、また国際紛争、テロ、流行疾患等によるコントロールが不可能な事由により、旅行客や顧客が減少し、企業業績に影響を与える可能性があります。

 

(5)食品の安全性及び表示
 当社グループでは飲食の提供および食品の販売を行っています。食品の安全性、消費期限、賞味期限、産地、原材料等の表示については日頃より十分に注意を払っていますが、万一当社グループの衛生管理に起因する食中毒が発生した場合、あるいは表示に誤りがあった場合等は、当社グループの社会的信用の失墜につながり企業業績に影響を与える可能性があります。

 

(6)顧客情報の管理
 当社グループのホテル関連事業において、顧客に関する個人情報を保有しており、管理は厳重に行っていますが、それらの情報の漏洩が発生した場合は、当社グループの信用失墜につながり当社グループの企業業績に影響を与える可能性があります。
 

 

3 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりです。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものです。

 

(1) 経営成績

 <経済環境>

 当連結会計年度における世界経済は、年後半には米中貿易摩擦が激化するなど不透明感が強まりましたが、米国を中心とした先進国の拡大基調が継続し、世界経済の成長率は3.7%程度となりました。

 米国経済は、財政支出の拡大や減税効果もあって個人消費や設備投資とも堅調に推移し3%前後の成長が続きました。ユーロ圏経済は、潜在成長率を上回る成長となり緩やかな拡大が続いています。中国経済は、債務削減の影響による設備投資の減速等から鈍化傾向が続いています。

 我が国経済は、震災や豪雨など自然災害が相次いで発生し下押し要因はあったものの、米国を中心とした世界経済の回復が続いたこと、良好な雇用環境が続き個人消費も底堅く、堅調に推移しました。

当連結会計年度の為替は、110円を割り込む水準にて始まりましたが、その後、円安傾向に転じ、対ドル円レートで概ね110円台~113円台のレンジにて推移しました。米国景気が底堅く推移し、米連邦準備制度理事会(FRB)の利上げが米ドル高要因となる一方、米長期金利の落ち着きがドルの上値を抑制する展開となりました。 

 <外航海運業>

 大型タンカー市況は、昨年に引き続き年初から弱含みで推移し、5月頃には記録的な水準まで落ち込みましたが、上期に高齢船のスクラップが進んだことに加え、季節的な需要の増大により、冬場には急速な回復を見せました。石油製品船は依然として船腹供給過多の状態にありますが、今後は途上国を含む石油製品需要の増加を背景として徐々に上昇基調となるものと思われます。

バルカー市況は、船型によって異なる動きとなりました。大型船は、年初の10,000ドルを割り込む水準から、夏場にかけて20,000ドルを大きく上回る水準まで急速な回復を見せましたが、2019年2月以降は再び10,000ドルを割り込む水準で推移しました。一方、中小型船については、需給環境の改善により大型船に比して安定的な上昇がみられました。

自動車船市況は、米国、欧州向けおよびアジア地域への堅調な輸送需要を背景に、4月頃の一時的な下落を除いて例年並みの水準で推移しましたが、依然として需給バランスの不均衡の影響により低位な水準にとどまっています。

コンテナ船市況は、世界的に荷動きが堅調に推移し、概ね安定している一方で、大型船の市場への投入が続いていることにより、船腹需給の先行きや、米中経済摩擦の影響による荷動き鈍化懸念も増大しています。

 このような状況のもと、当連結会計年度の外航海運業部門は、前連結会計年度に竣工・取得した船舶の稼働増に加え、当期はタンカー、コンテナ船および自動車船各1隻の計3隻が新規稼働したことなどから、売上高は29,932百万円(前年同期比4.0%増)となりました。一方で、入渠費用等の増加により、外航海運業利益は3,341百万円(前年同期比13.8%減)となりました。

 <ホテル関連事業>

 ホテル関連事業部門では、宿泊部門は堅調に推移していましたが、2018年9月に発生した北海道胆振東部地震の影響を受けたホテルもあり、僅かながら前年を下回りました。ホテル関連事業部門の売上高は12,144百万円(前年同期比2.6%減)となり、ホテル関連事業利益は1,315百万円(前年同期比5.3%減)となりました。

 <不動産賃貸業>

 不動産賃貸業部門では、売上高は527百万円(前年同期比0.8%減)と前年並みとなりましたが、所有ビルの修繕費用増加により不動産賃貸業利益は270百万円(前年同期比17.4%減)となりました。

 以上の結果、当連結会計年度において売上高は42,604百万円(前年同期比2.0%増)、営業利益は4,927百万円(前年同期比11.9%減)、経常利益は為替差益に416百万円を計上したこと等から4,378百万円(前年同期比2.5%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は2,049百万円(前年同期比13.2%増)になりました。

 

(2) 財政状態

 当連結会計年度における資産の部は、前連結会計年度末より13,117百万円増加し、166,629百万円となりました。これは主に新造船投入による船舶の増加および投資有価証券の増加によるものです。

 負債の部は、前連結会計年度末より10,231百万円増加し、127,540百万円になりました。これは主に船舶購入に伴う借入金の増加によるものです。また、純資産の部は、前連結会計年度末より2,885百万円増加し、39,089百万円となりました。これは主に、利益剰余金および非支配株主持分の増加によるものです。

 

(3) キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べて2,519百万円減少し、16,223百万円となりました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況は以下のとおりです。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度末において営業活動によって得られた資金は、13,975百万円(前年同期比465百万円減)となりました。これは主に税金等調整前当期純利益4,434百万円に、減価償却費10,515百万円等を加減算した結果です。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度において投資活動に使用した資金は、25,894百万円(前年同期比9,302百万円増)となりました。これは主に新造船建造費等の支払い22,802百万円によるものです。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度において財務活動によって得られた資金は、9,653百万円(前年同期比2,976百万円増)となりました。これは主に長期借入金および社債の発行による収入の合計31,829百万円と、長期借入金の返済および社債償還による支出の合計17,773百万円との差額14,055百万円によるものです。

 

当社グループの資本の財源及び資金の流動性については、以下のとおりです。

(資金需要)

当社グループの運転資金需要の主なものとして、外航海運業においては海運業費用で、船員費・船舶修繕費等の船費、船舶管理業務に係る労務費やシステム関連費用が含まれます。ホテル関連事業においては原材料仕入や労務費等のホテル運営費、不動産賃貸業においては保有不動産の維持管理費です。その他、各事業における人件費、物件費等の一般管理費があります。

また設備資金需要の主なものとして、外航海運業においては船舶投資、ホテル関連事業や不動産賃貸業においては設備の拡充・更新投資があります。当連結会計年度中に総額22,932百万円の設備投資を実施しました。

 

(財務政策)

当社グループの事業維持拡大には、低コストで、安定的な資金確保が重要と認識しています。

設備資金需要に対しては、金融機関からの長期借入を中心に調達し、一部の船舶についてはリースの活用も行っています。また運転資金需要に対しては、営業活動から得た資金や内部留保資金、金融機関からの借入および社債発行により賄っています。

流動性確保の観点から、金融機関との当座貸越契約による借入枠を有しているほか、国内外の関係会社の余剰資金について、グループ内金融による資本効率の向上を図っています。

 

 

 

(生産、受注及び販売の状況)

(1) 販売実績

当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。

 

セグメントの名称

金額(千円)

前年同期比(%)

外航海運業

29,932,337

+4.0

ホテル関連事業

12,144,277

△2.6

不動産賃貸業

527,490

△0.8

合計

42,604,106

+2.0

 

(注) 1 主な相手先別の販売実績および総販売実績に対する割合は、次のとおりです。

 

相手先

前連結会計年度

(2017年4月1日

2018年3月31日)

当連結会計年度

(2018年4月1日

2019年3月31日)

金額(千円)

割合(%)

金額(千円)

割合(%)

日本郵船株式会社

5,439,423

13.0

7,395,259

17.4

株式会社商船三井

2,595,477

6.2

2,773,169

6.5

MAERSK LINE A/S

2,664,002

6.4

2,613,360

6.1

 

2 本表の金額には、消費税等は含まれていません。

 

4 【経営上の重要な契約等】

該当事項はありません。

 

5 【研究開発活動】

該当事項はありません。