第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。

 

(1)会社の経営の基本方針

当社グループは、事業の根幹である外航海運業において、国際競争力の強化を念頭に、積極的な事業展開を図り、環境問題にも留意しつつ、安全運航体制を確保し、高い船舶管理能力を併せ持った信頼される船主として、時代のニーズに合った船隊の整備、高品質なサービスの提供を続けていきます。
 また、ホテル関連事業、不動産賃貸業等を併営し、効率的な経営多角化により、当社グループ全体としての業績の安定化を図っていきます。

 

(2)中長期的な会社の経営戦略および目標とする経営指標

当社グループは、厳しい国際競争に耐えて安定的な利益を確保できる営業規模を達成するため、海運市況動向を充分に見極めながら、将来の市場ニーズに即した船型を順次投入し、また老齢船を処分し船隊整備を推進していきます。そのためにも、効率的な経営体制のもと、機動力を活かした迅速な経営判断によって、スピードが求められる厳しい国際競争への対応力を強化していきます。
 また、ホテル関連事業、不動産賃貸業等の事業の多角化分野においては、費用の適正化を計画的に継続し、より一層の事業の安定収益化を図ります。
 なお、当社グループはさまざまな経営環境に対応すべく、経営指標にとらわれない柔軟な経営判断を行うことにしています。外航海運業、ホテル関連事業、不動産賃貸業の各セグメントのリスクを把握しつつ、柔軟かつ迅速な事業展開を図ります。

 

(3)会社の対処すべき課題

2022年の世界経済の成長率は4.4%と予測されていますが、断続的な新型コロナウイルスの変異株の出現に加え、ロシアのウクライナ侵攻に伴う食糧とエネルギー価格の高騰、西側諸国の対ロシア制裁など、成長の鈍化が現実のものとなってきています。

このような経済状況のなか、当社グループの経営方針は従前と変わりなく、安全、安心、安定を根本に経営基盤の一層の充実を図っていきます。

当社グループの事業の根幹である外航海運業部門については、変化する状況に的確に対応すべく船隊の整備・充実を進め、同時に安全運航体制の確保により、中長期の傭船契約を主体に、経営基盤の維持・向上に努力を重ねていきます。

ホテル関連事業部門では、新型コロナウイルスの影響により厳しい状況は続いているものの、まん延防止等重点措置の解除により4月以降の需要は徐々に回復に向かうものと想定し、需要予測に基づく適正人員配置コントロールの徹底を継続し、費用の適正化を図り収支改善に努めていきます。

不動産賃貸業部門では、引き続き保有不動産の品質の維持・向上を図りつつ、今後とも安定的な収益確保を目指していきます。

管理面においては、変化する環境に的確に対応できるよう、優秀な人材の確保、育成を強化し、加えて、当社グループ内の種々リスクの管理体制を一層整備・強化していきます。

また、当社グループでは、内部統制およびコンプライアンス遵守についても重要課題として認識しており、その体制の維持・向上に引き続き取り組んでいきます。

 

2 【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。

 

(1)為替変動リスク
 当社グループの最重要部門である外航海運業においては、その傭船料収入が米国ドル建てとなっています。費用についても米国ドル建ての部分が大半を占めますが、一部円建てのコストも残っており、円高が進行しますと当社グループの収支に悪影響を及ぼします。当社グループとしては費用のドル建て化を進めるとともに為替予約等のヘッジ取引により、為替変動の影響を軽減するように努めています。
 また、当社および海外子会社では、米国ドル建てならびに円建てにて資産・負債を保有していますが、その個々の会社の決算通貨(米国ドル建て或いは円建て)と決算通貨以外での資産(主に現預金)・負債(主に設備資金借入金)のバランスしない部分が為替変動によって、決算時評価損益として収支に影響します。

 

(2)金利リスク
 当社グループの主たる業務は船舶保有で、新造船建造等多額の設備投資を継続して行っていますが、その必要資金の多くの部分を銀行借入等の外部負債によって賄っています。当社グループとしては、有利子負債の削減に努めると同時に、金利動向を見ながら金利スワップ取引により金利の固定化を進めていますが、一部固定化されていない変動金利での借入金は、金利変動リスクにさらされており、将来金利が上昇するような場合には利益圧迫の影響が出て参ります。

 

(3)船舶運航上の事故、海洋汚染リスク
 当社グループは、安全運航と海洋の環境汚染防止とを業務上の最重要課題の一つに掲げ、船員教育や訓練システムに最大限の注力をして、事故防止、海洋汚染防止に取り組んでいます。また、かかる事態に備えて十分な船舶保険等の付保もしています。しかしながら、万一の不慮の事故・海洋汚染等が発生し、特に油濁による大規模な海洋汚染が生じた場合には、当社グループの事業に影響を及ぼす可能性もあります。

 

(4)自然災害、感染症、海外情勢のリスク
 当社グループの建物およびレジャー施設では、地震、台風等の自然災害、感染症、また国際紛争、テロ等による海外情勢により、影響を受ける可能性があります。

 2020年の年明け以降に顕在化した新型コロナウイルスの感染拡大については、従業員の安全確保や衛生管理の徹底に努めながら事業継続の体制を整えていますが、長期間にわたり継続した場合には、旅行客、顧客等の施設利用者が減少し、当社グループの事業に影響を及ぼす可能性があります。

 

(5)食品の安全性及び表示
 当社グループでは飲食の提供および食品の販売を行っています。食品の安全性、消費期限、賞味期限、産地、原材料等の表示については日頃より十分に注意を払っていますが、万一当社グループの衛生管理に起因する食中毒が発生した場合、あるいは表示に誤りがあった場合等は、社会的信用の失墜につながり当社グループの事業に影響を及ぼす可能性があります。

 

(6)顧客情報の管理
 当社グループのホテル関連事業において、顧客に関する個人情報を保有しており、管理は厳重に行っていますが、それらの情報の漏洩が発生した場合は、社会的信用の失墜につながり当社グループの事業に影響を及ぼす可能性があります。 

 

 (7)繰延税金資産の回収可能性

 当社グループは、将来の課税所得見積額に基づいて、繰延税金資産の回収可能性を評価しています。経済環境の変化等により、当該見積額が減少し、将来の税金負担額を軽減する効果を有しないと判断した場合には、繰延税金資産を取り崩し、税金費用を計上することとなり、当社グループの財政状態、経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

 (8)固定資産の減損損失

 当社グループは、固定資産の減損に係る会計基準を適用しています。所有する固定資産について、事業計画の変更や市況の変化等により収益性が著しく低下し、減損損失を計上することとなった場合には、当社グループの財政状態、経営成績に影響を与える可能性があります。

 

3 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりです。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものです。

 

(1) 経営成績

 <経済環境>

当連結会計年度における世界経済は、国や地域によるばらつきを伴いつつも、総じてコロナ危機による落ち込みから持ち直し、世界経済の成長率は6.1%となりました。

米国・欧州・中国経済は、夏場以降の新型コロナウイルスの再拡大による下押し圧力はあったものの、ワクチン接種の効果、財政出動や金融緩和の継続により回復の道をたどりました。

我が国経済は、マイナス成長から脱却はしたものの、度重なる緊急事態宣言の発令によるサービス消費の低迷、円安・資源高も加わり、成長率は1.6%にとどまりました。

当連結会計年度の為替は、110円台で始まり、その後9月下旬までは安定した動きが続きましたが、10月以降は米国の利上げ観測の高まりを背景に円が売られ、11月には4年ぶりに115円台、年明け3月には米国ゼロ金利政策が解除され122円台と円安が進行しました。

 <外航海運業>

大型タンカー市況は、コロナ禍による世界的な原油需要の減少による荷動きの減少に加え、解撤の停滞による船腹過剰の状態が市況の低迷に拍車をかけ、年間を通じて一般的な損益分岐点を大きく下回るレベルで推移しました。石油製品船もジェット燃料など石油製品需要が大きく減少したことにより製油所の稼働率の低下が大きく影響し、大型船同様に低水準で推移しました。一方でLPG/LNG船市況については需要の増大や貨物価格の地域差の拡大などを要因として荷動きが活発化し、期中を通じておおむね堅調に推移しました。また、本年3月に入りこれらタンカーおよびLPG/LNG船市況は、ロシアによるウクライナ侵攻による原油高などの影響を受けて急伸しました。

バラ積船市況は、中長期的な需給改善トレンドに加え、コロナ禍に起因した船隊稼働率の低下および世界の粗鋼生産回復などドライバルク荷動きの全般的な増加といった複数のプラス要因が重なり、2021年央よりマーケットが大きく改善しました。しかし大型船型については、2022年初より季節的要因と見られる下落により標準的な損益分岐点を大きく下回るレベルとなりましたが、再び回復基調に転じています。中小船型については、コンテナ船市況高騰の影響を受けるなど、大型船ほどの市況の乱高下は見られませんでしたが、2021年央より上昇後概ね堅調に推移しました。

自動車船市況については、2021年は新型コロナウイルス感染拡大の影響による自動車の販売・生産停止を受けた荷動きの減少からの回復が見込まれたものの、半導体不足による部品供給問題や東南アジアにおける感染拡大が自動車メーカーの減産の要因となり、荷動き増加の傾向に若干水を差しました。しかしながら、コロナ禍以降に日本と欧州のオペレーターにて行われた解撤の促進など、船腹供給量が絞り込まれていたため、影響は軽微にとどまりました。

コンテナ船市況は、2020年央からの急回復が依然継続中で、港湾の混雑や一部地域におけるコンテナ不足などを背景に引き続き高水準で推移しました。

また、ロシアによるウクライナ侵攻の市況に与える影響については前記のとおりタンカーと LPG/LNG船において顕著なものが見られますが、今後の動向が注視されます。

このような状況のもと、当連結会計年度の外航海運業部門は、前連結会計年度に竣工・取得した船舶の稼働増に加えて、タンカー1隻、LNG運搬船2隻、チップ船2隻の新規稼働もあり、売上高は41,924百万円(前年同期比21.5%増)となり、前年と比べて入渠隻数の減少もあり、外航海運業利益は6,178百万円(前年同期比74.5%増)となりました。また、特別利益として、当社の連結子会社が所有する船舶3隻の船舶売却益2,616百万円を計上しています。

 <ホテル関連事業>

ホテル関連事業部門では、新型コロナウイルス感染拡大の影響が長期化し、夏には一旦増加傾向に向かい始めていた国内宿泊客の動きも10月に入って減少傾向に転じ、1年を通して大変厳しい状況が続きました。この結果、ホテル関連事業部門の売上高は3,382百万円(前年同期比34.2%減)となり、ホテル関連事業損失は2,068百万円(前年同期はホテル関連事業損失1,753百万円)となりました。なお、営業外収益に雇用調整助成金1,129百万円(前年同期は778百万円)を計上しています。

 <不動産賃貸業>

不動産賃貸業部門では、売上高は508百万円(前年同期比0.6%増)となり、不動産賃貸業利益は292百万円(前年同期比0.7%減)となりました。

以上の結果、当連結会計年度において売上高は45,815百万円(前年同期比14.1%増)、営業利益は4,401百万円(前年同期比111.4%増)、経常利益は、主に前述の雇用調整助成金および営業外費用にデリバティブ評価損479百万円の計上があり、4,346百万円(前年同期比65.7%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は、前述の特別利益および税金等調整前当期純利益の変動に応じ法人税等調整額458百万円の計上があり、3,277百万円(前年同期比163.0%増)になりました。

 

(2) 財政状態

当連結会計年度における資産の部は、前連結会計年度末より32,469百万円増加し、237,569百万円となりました。これは主に中古取得や新造船竣工に伴う船舶の増加によるものです。
 負債の部は、前連結会計年度末より23,827百万円増加し、190,186百万円になりました。これは主に船舶取得に伴う借入金の増加によるものです。また、純資産の部は、前連結会計年度末より8,642百万円増加し、47,382百万円となりました。これは主に、利益剰余金および非支配株主持分の増加によるものです。

 

(3) キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べて2,108百万円増加し、23,137百万円と
なりました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況は以下のとおりです。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度において営業活動によって得られた資金は、19,896百万円(前年同期比6,752百万円増)となりました。これは主に税金等調整前当期純利益7,132百万円に、減価償却費15,066百万円等を加減算した結果です。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度において投資活動に使用した資金は、31,478百万円(前年同期比9,090百万円減)となりました。これは主に新造船建造費等の支払い37,769百万円と、有形固定資産の売却による収入6,937百万円によるものです。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度において財務活動によって得られた資金は、12,028百万円(前年同期比17,446百万円減)となりました。これは主に長期借入れによる収入の38,490百万円と、長期借入金の返済26,412百万円によるものです。

 

当社グループの資本の財源及び資金の流動性については、以下のとおりです。

(資金需要)

当社グループの運転資金需要の主なものとして、外航海運業においては海運業費用で、船員費・船舶修繕費等の船費、船舶管理業務に係る労務費やシステム関連費用が含まれます。ホテル関連事業においては原材料仕入や労務費等のホテル運営費、不動産賃貸業においては保有不動産の維持管理費です。その他、各事業における人件費、物件費等の一般管理費があります。

また設備資金需要の主なものとして、外航海運業においては船舶投資、ホテル関連事業や不動産賃貸業においては設備の拡充・更新投資があります。当連結会計年度中に総額37,463百万円の設備投資を実施しました。

 

 

(財務政策)

当社グループの事業維持拡大には、低コストで、安定的な資金確保が重要と認識しています。

設備資金需要に対しては、金融機関からの長期借入を中心に調達し、一部の船舶についてはリースの活用も行っています。また運転資金需要に対しては、営業活動から得た資金や内部留保資金、金融機関からの借入および社債発行により賄っています。

流動性確保の観点から、金融機関との当座貸越契約による借入枠を有しているほか、国内外の関係会社の余剰資金について、グループ内金融による資本効率の向上を図っています。

 

 (4) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されています。資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いていますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。

連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは以下のとおりです。

 

(繰延税金資産の回収可能性)

繰延税金資産の回収可能性の判断にあたっては、「繰延税金資産の回収可能性に関する適用指針(企業会計基準適用指針第26号)」に基づいて企業の分類を行い、将来の課税所得見込額やタックス・プランニングを考慮して、将来の税金負担額を軽減する効果を有すると考えられる範囲で繰延税金資産を計上しています。将来の課税所得見込額については、過去の業績や将来の業績予測、市況等を勘案して見積もっています。また、新型コロナウイルス感染症の影響については、今後の広がり方や収束時期等を正確に予測することは困難ですが、当連結会計年度末で入手可能な情報等を踏まえ、2022年4月より徐々に回復すると仮定して見積りを行っています。

当該見積りや仮定について、その時の業績や将来の経済環境の変化等により課税所得の見積りの見直しが生じた場合、繰延税金資産や法人税等調整額の金額に重要な影響を与える可能性があります。

 

 (固定資産の減損)

固定資産の減損に係る回収可能性の評価にあたって、主に各セグメントの個別物件ごとに資産のグルーピングを行い、収益性が著しく低下している資産について帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失として計上することとしています。なお、回収可能価額は、正味売却価額と使用価値のいずれか高い方としています。減損損失を認識するかどうかの判定及び使用価値の算定において用いられる将来キャッシュ・フローは、期末現在の使用状況や事業計画、市況等を勘案して見積もっています。また、新型コロナウイルス感染症の影響については、今後の広がり方や収束時期等を正確に予測することは困難ですが、当連結会計年度末で入手可能な情報等を踏まえ、2022年4月より徐々に回復すると仮定して見積りを行っています。

当該見積りや仮定について、事業計画の変更や市況の変化等により変更が生じた場合、減損損失が発生する可能性があります。

 

 

(生産、受注及び販売の状況)

(1) 販売実績

当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。

 

セグメントの名称

金額(千円)

前年同期比(%)

外航海運業

41,924,072

+21.5

ホテル関連事業

3,382,656

△34.2

不動産賃貸業

508,438

+0.6

合計

45,815,168

+14.1

 

(注) 1 主な相手先別の販売実績および総販売実績に対する割合は、次のとおりです。

 

相手先

前連結会計年度

(2020年4月1日

2021年3月31日)

当連結会計年度

(2021年4月1日

2022年3月31日)

金額(千円)

割合(%)

金額(千円)

割合(%)

日本郵船株式会社

8,509,738

21.2

7,414,572

16.2

SEARIVER MARITIME LLC

3,029,253

7.5

5,877,192

12.8

MAERSK LINE A/S

2,591,502

6.5

3,109,250

6.8

 

 

4 【経営上の重要な契約等】

該当事項はありません。

 

5 【研究開発活動】

該当事項はありません。