第2【事業の状況】

1【事業等のリスク】

 当第1四半期連結累計期間において、新たに発生した事業等のリスクはありません。また、前事業年度の有価証券報告書に記載した事業等のリスクについて重要な変更はありません。

 

2【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績の分析

 当第1四半期連結累計期間の世界経済は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19。以下、「感染症」という。)の全世界的な拡大により、一段と弱さが増す展開となりました。中国や欧州諸国等では、一部外出規制が解除され経済活動が徐々に再開したものの、感染第二波への懸念もあり経済は低水準で推移しました。また、米国では感染症収束の兆しが見えず、景気は顕著に悪化しました。わが国では2020年5月末に緊急事態宣言が解除となりましたが、国内経済は総じて落ち込み厳しい状況にあります。

 

当社グループの海運業を取り巻く市況は、当社主力のケミカルタンカーでは好況に転じましたが、大型原油タンカーや大型ガス船では市況が軟化しており、感染症も収束の兆しが見えていないことから、全体としては予断を許さない状況が続く見込みです。このような状況の下、当社グループでは、既存契約の有利更改への取り組みをはじめとして、効率配船及び運航採算の向上を図りました。不動産業においては商業テナントの営業やイイノホール&カンファレンスセンター等で感染症の影響を受けておりますが、事務所テナントは順調な稼働を継続していることから全体としては安定した収益を確保しました。

 

 以上の結果、当第1四半期連結累計期間においては売上高は218億75百万円(前年同期比4.9%減)となりましたが、ケミカルタンカーや大型ガス船の市況が一時的に高騰したことにより外航海運業において大幅な増益となったため、営業利益は26億30百万円(前年同期比723.0%増)、経常利益は27億85百万円(前年同期は経常損失17百万円)、親会社株主に帰属する四半期純利益は30億21百万円(前年同期は親会社株主に帰属する四半期純損失3億2百万円)となりました。

 

 各セグメント別の状況は次の通りです。

 

①外航海運業

当第1四半期連結累計期間の外航海運市況は以下の通りです。

大型原油タンカー市況は、原油価格の急落や感染症の影響による原油需要の減少に伴い、陸上の貯蔵タンクが不足した影響から船腹の洋上備蓄需要が高まり一時高騰しました。しかしながら、OPECプラスによる過去最大の協調減産の決定に伴い、5月以降市況は反転し大幅に急落しました。その後、6月末にかけて減産の影響と洋上備蓄船の減少、加えて夏場の不需要期入りにより低水準で推移しました。

ケミカルタンカー市況は、当初感染症等の影響により荷動きが減少し市況は弱含みで推移しておりました。しかしながら、石油タンカーの洋上備蓄等の需要増によりケミカルタンカー市場からプロダクトタンカーが退出し、ケミカルタンカーの需給バランスが改善した影響等で5月以降好況に転じました。

大型ガス船のうち、LPG船市況は、当初アジア圏での需要に支えられ概ね好調に推移しましたが、その後原油生産減少に伴うLPG供給量減少と長距離航路となる米国からアジア向けの裁定取引の縮小により輸送需要が減少したこと等から、市況は軟調に転じました。LNG船市況は、LNG需要の急激な減少により米国を中心にカーゴキャンセルが相次ぎ、軟調に推移しました。

ドライバルク船市況は、感染症が北アメリカや南アメリカにも拡大したこと等により、資源及び穀物の海上荷動き量が鈍化し、総じて軟調なスタートとなりました。一方、いち早く経済活動を再開させた中国では徐々に生産活動が再開、輸入量も回復に転じ、また多数の国々で相次いで打ち出された景気刺激策もあり、市況は最悪期を脱し回復基調の中で第1四半期末を迎えました。

なお、当第1四半期連結累計期間における当社グループの平均為替レートは¥107.74/US$(前年同期は¥110.73/US$)、船舶燃料油価格についてはC重油380cStの平均価格はUS$207/MT(前年同期はUS$429/MT)、適合燃料油の平均価格はUS$328/MT(前年同期は使用せず)となりました。

 

このような事業環境の下、当社グループの外航海運業の概況は以下の通りとなりました。

大型原油タンカーにおいては、支配船腹を長期契約に継続投入することで、安定収益を確保しました。

ケミカルタンカーにおいては、当社の基幹航路である中東域から欧州向け及びアジア向けの数量輸送契約に加え、北アフリカからの燐酸液や好採算のスポット貨物を積極的に取り込むことにより運航採算は大きく改善しました。当社と米国オペレーターとの合弁事業においても、数量輸送契約やスポット貨物の集荷により効率的な配船に努め採算は改善しました。

大型ガス船においては、LPG船及びLNG船共に、既存の中長期契約を中心に安定収益を確保しました。また、新たに締結した定期用船契約向けに、サステナビリティへの取り組みの一環として、従来の重油のみならずLPGを推進燃料とすることができる当社初のLPG2元燃料主機関を搭載する大型LPG船を発注しました。

ドライバルク船においては、市況が軟調に推移する中、契約貨物への投入を中心に効率的な配船と運航に努めましたが、感染症の世界的な拡大によるスポット市況軟化の影響を避けることはできませんでした。尚、当第1四半期において、新造船2隻を含む計3隻が新たに運航船隊に加わりました。

 

以上の結果、外航海運業の売上高は172億40百万円(前年同期比0.5%減)、営業利益は16億69百万円(前年同期は営業損失3億6百万円)となりました。

 

②内航・近海海運業

当第1四半期連結累計期間の内航・近海海運市況は以下の通りです。

内航ガス輸送の市況は、感染症拡大の影響に伴う移動制限や国内工場の稼働鈍化によりLPG需要が下がる中、家庭用LPG需要及び製油所間転送需要は底堅く、堅調に推移しました。石油化学ガスもプラントの定期修繕及び設備検査等に伴い出荷は低調に推移しましたが、業界全体としては底堅いプラント間転送需要及び船員不足に伴う稼働隻数の減少も影響し、船腹需給は均衡して推移しました。

近海ガス輸送の市況は、主要貨物であるプロピレン、塩化ビニルモノマーの国内生産量がプラントの定期修繕等に伴い低調であったことや感染症の拡大により中国及び東南アジアのプラントの稼働が鈍化したこと等から、軟調に推移しました。また、同じく感染症の影響による輸送需要の鈍化に伴い、当社が主力とする3,500㎥型高圧ガス船の市況も軟化しました。

 

このような事業環境の下、当社グループの内航・近海海運業の概況は以下の通りとなりました。

内航ガス輸送においては、感染症の拡大に伴うLPG需要の低下と石油化学ガス出荷プラントの定期修繕並びに設備検査等による出荷量減少の影響を受けましたが、中長期契約に基づく安定的な売上確保と効率配船に取り組みました。

近海ガス輸送においては、プラントの定期修繕等によって稼働が減少した影響を完全に避けることはできませんでしたが、当社の安定運航への評価を得た結果、定期用船契約更改時において市況下落の影響を軽減化し、安定した貸船料収入を維持することができました。

 

以上の結果、内航・近海海運業の売上高は20億67百万円(前年同期比10.3%減)、営業利益は59百万円(前年同期比37.1%減)となりました。

 

③不動産業

当第1四半期連結累計期間の不動産市況は以下の通りです。

都心のオフィスビル賃貸市況は、感染症拡大の影響がオフィス市場にも徐々に現れ始めたことから上昇基調の鈍化が見られました。国内企業はリモートワークを拡充し、これまでの増員計画をベースにした増床移転の延期や固定費削減のための事業所縮小等を行いました。加えて、景気の急速な悪化にも連動しオフィス需要が減少したことから空室率も上昇に転じました。

貸ホール・貸会議室においては、顧客獲得競争が続く中、感染症拡大によりイベントが実施されず非常に厳しい状況となりました。

不動産関連事業のフォトスタジオ事業においては、感染症拡大による緊急事態宣言を受け広告需要が大幅に減少しました。

英国ロンドンの不動産市況は、事務所テナントでは大きな影響はないものの、商業テナントでは感染症の拡大に伴って2020年3月末から7月初旬まで行われたロックダウン等の影響を受け厳しい状況となりました。

 

このような事業環境の下、当社グループの不動産業の概況は以下の通りとなりました。

当社所有ビルにおいては、商業テナントの営業に感染症の影響は出ましたが、事務所テナントは順調な稼働を継続し、安定した収益を維持することができました。

また、新橋田村町地区市街地再開発事業では、施工会社による工事の中断が一時ありましたが、既に新築建物の鉄骨建方工事を再開しており、現在のところ2021年6月末の竣工を予定しています。

当社グループのイイノホール&カンファレンスセンターにおいては、感染症拡大による緊急事態宣言発令及びイベントの自粛要請を受け臨時休館したことにより、収益に大きな影響を受けました。

フォトスタジオ事業を運営する㈱イイノ・メディアプロにおいては、広告需要の減少と感染症拡大防止を目的とした営業自粛の影響により、収益が大きく減少しました。

英国ロンドンの不動産事業においては、本年3月に同地で都市封鎖が開始され商業テナントは休業となりましたが、本物件の保有子会社は12月31日を決算日としており都市封鎖以前の損益が合算されたため、当第1四半期連結会計期間は収益増加に寄与しました。

 

以上の結果、不動産業の売上高は25億99百万円(前年同期比23.7%減)、営業利益は9億2百万円(前年同期比69.7%増)となりました。これは、前年同期に飯野ビルディングにおいて一部テナントの退去があった影響で、原状回復工事による売上高の計上及び空室期間が生じたことによる賃料収入の減少等があったためです。

 

(2)財政状態の分析

当第1四半期連結会計期間末の総資産残高は前連結会計年度末に比べ20億71百万円増加し、2,331億58百万円となりました。これは主に船舶の竣工及び取得によるものです。負債残高は前連結会計年度末に比べ2億30百万円増加し、1,578億90百万円となりました。これは主に運転資金の借入の増加によるものです。純資産残高は前連結会計年度末に比べ18億40百万円増加し、752億68百万円となりました。これは主に利益剰余金の増加によるものです。

 

(3)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

 当第1四半期連結累計期間において、当社グループが優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題について重要な変更はありません。

 

(4)当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針

 当第1四半期連結累計期間において、当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針に重要な変更はありません。

 

(5)研究開発活動

 記載すべき事項はありません。

 

 

3【経営上の重要な契約等】

  記載すべき事項はありません。