当第3四半期連結累計期間において、新たに発生した事業等のリスクはありません。
また、前事業年度の有価証券報告書に記載した事業等のリスクについて重要な変更はありません。
文中における将来に関する事項は、当四半期報告書提出日現在において判断したものであります。
(1)経営成績の分析
当第3四半期連結累計期間の世界経済は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19。以下、「感染症」という。)の全世界的な拡大によって減速基調が継続しました。年末には一部の国においてワクチンの接種が始まりましたが、北半球の多くの国々を中心に感染症が再流行し再びロックダウンが実施される等、感染症拡大防止策が優先されました。一方、積極的な経済対策を背景に中国経済が先駆けて回復したことや米国の個人消費需要増加等の影響を受け、コンテナ船を中心に海上荷動きについては当期初に比べて改善しました。我が国においてはGoToキャンペーン等の行政支援もあり、経済は一時回復傾向となりましたが、年末に向けて大都市圏を中心に感染者が急増し、経済の先行きは不透明な状況が継続しました。
当社グループの海運業を取り巻く市況は、大型ガス船では急騰し、ドライバルク船では堅調に推移しました。しかしながら、ケミカルタンカーや大型原油タンカーでは当期初において市況は一時急騰したものの、その後下落し、低調に推移しました。また、感染症の影響による輸送需要の鈍化や感染症拡大防止に伴う船員交代の制限等、運航上のリスクが顕在化しました。今後も感染症の収束の目途が立っていないことから全体としては予断を許さない状況が続く見込みです。このような状況の下、当社グループでは、既存契約の有利更改や効率配船への取り組みをはじめとして、運航採算の向上を図りました。不動産業においては商業テナントの営業やイイノホール&カンファレンスセンター等で感染症の影響を受けておりますが、事務所テナントは順調な稼働を継続していることから全体としては安定した収益を確保しました。
以上の結果、当第3四半期連結累計期間においては、売上高は659億25百万円(前年同期比1.2%減)となりましたが、ケミカルタンカーや大型ガス船の市況が一時的に高騰したことや、前年同期に飯野ビルディングで発生していた空室には既に新規テナントが入居し満室稼働となっている影響等から、営業利益は55億73百万円(前年同期比88.1%増)、経常利益は53億98百万円(前年同期比113.3%増)、親会社株主に帰属する四半期純利益は53億77百万円(前年同期比161.9%増)となりました。
各セグメント別の状況は次の通りです。
①外航海運業
当第3四半期連結累計期間の外航海運市況は以下の通りです。
大型原油タンカー市況は、感染症の拡大を受け原油需要が減少したことで、陸上の貯蔵タンクが不足し滞船が増えたことや原油価格の急落により裁定取引が活発化した影響等から、船腹の洋上備蓄需要が高まり一時高騰しました。しかしながら、OPECプラスによる過去最大の協調減産の決定に伴い、5月に市況は急落し、低水準で推移しました。その後、冬場の需要期に入っても、協調減産及び船腹供給圧力が強く影響し、本格的な市況回復には至りませんでした。
ケミカルタンカー市況は、石油タンカーの洋上備蓄の需要増によりケミカルタンカー市場からプロダクトタンカーが退出した影響等で5月以降市況は一時的に高騰しました。その後、欧米やインドを中心とした世界的な景気低迷により輸送需要が夏場以降弱含んだことや、洋上備蓄需要の減少によりプロダクトタンカーがケミカルタンカー市場に再流入していることも重なり、市況は下落しました。
大型ガス船のうち、LPG船市況は、感染症の影響による世界経済の低迷により当初軟化しましたが、アジアでの堅調な民生用需要や中国向け石油化学原料需要、入渠船や主要航路である米国とアジアを繋ぐパナマ運河の混雑等による船腹需給引き締め要因に支えられ、12月には2015年以来の水準まで高騰しました。LNG船市況も、感染症による需要減の影響から低水準で推移したものの、11月以降、メキシコ湾からのシェールガス輸送を中心としたプロジェクトの稼働率上昇や厳冬による極東アジアの需要回復に伴い、北米から極東アジア向け輸送が活発化し船腹需要が増加したため、当第3四半期末にかけて市況は上昇しました。
ドライバルク船市況は、感染症の世界的な拡大により、当期初より軟調なスタートとなりました。しかしながら、いち早く経済活動を再開させた中国で輸入量が回復に転じたことや、多数の国々で相次いで打ち出された景気刺激策の影響もあって、市況は第1四半期終盤から上昇に転じました。その後も、中国向けを中心とした穀物等の好調な輸送需要や石炭の積出港、受入港における滞船等を背景に、当第3四半期においても堅調に推移しました。
なお、当第3四半期連結累計期間における当社グループの平均為替レートは106.14円/US$(前年同期は109.05円/US$)、船舶燃料油価格についてはC重油380cStの平均価格はUS$249/MT(前年同期はUS$412/MT)、適合燃料油の平均価格はUS$324/MT(前年同期は使用せず)となりました。
このような事業環境の下、当社グループの外航海運業の概況は以下の通りとなりました。
大型原油タンカーにおいては、第2四半期末に竣工した新造VLCCを含む支配船腹を長期契約に継続投入し、安定収益の確保に努めました。しかしながら、入渠船があった影響から当第3四半期連結累計期間においては損益が悪化しました。
ケミカルタンカーにおいては、当社の基幹航路である中東域から欧州向け及びアジア向けの数量輸送契約に加え、市況高騰時に高運賃のスポット貨物を取り入れる等、安定的に輸送を行い、復航においても北アフリカからの燐酸液やアジア域からのパームオイル等の貨物を取り込むことで収益を確保しました。当社と米国オペレーターとの合弁事業においても、安定的な数量輸送契約に加え効率的なスポット貨物の集荷に取り組み、稼働を維持しました。
大型ガス船においては、LPG船及びLNG船共に、既存の中長期契約を中心に安定収益を確保したことに加え、一部船舶が高騰したLPG船市況を享受し、外航海運業の増益に大きく貢献しました。
ドライバルク船においては、感染症の世界的な拡大によるスポット市況軟化の影響は受けましたが、契約貨物への投入や市況の上昇を捉えた効率的な配船に努めた結果、総じて運航収支は改善し、採算は堅調に推移しました。
以上の結果、外航海運業の売上高は512億88百万円(前年同期比0.3%増)、営業利益は22億78百万円(前年同期比285.3%増)となりました。
②内航・近海海運業
当第3四半期連結累計期間の内航・近海海運市況は以下の通りです。
内航ガス輸送の市況は、感染症拡大の影響に伴う移動制限や国内工場の稼働鈍化に加え、季節的要因もあり特に家庭用LPG需要が下がったこと等から低調に推移しておりました。しかしながら、秋口に入り気温も低下したことから同輸送需要は当期初と比較して持ち直し、底堅い製油所間転送需要の影響も受け、当第3四半期末にかけて堅調に推移しました。石油化学ガスもプラントの定期修繕及び感染症拡大の影響による生産品需要の減少に伴い出荷は低調に推移しましたが、業界全体としては底堅いプラント間転送需要及び船員不足に伴う稼働隻数の減少も影響し、船腹需給は均衡して推移しました。
近海ガス輸送の市況は、主要貨物であるプロピレン、塩化ビニルモノマーの国内生産量が中国向け輸出関連需要に牽引され、一時堅調に推移しておりました。しかしながら、中国及び東南アジアのプラントの稼働が定期修繕やトラブルによって低下したことにより夏期以降市況は軟化しました。また、同じく感染症の影響による輸送需要の鈍化に伴い、当社が主力とする3,500㎥型高圧ガス船の市況も軟化しました。
このような事業環境の下、当社グループの内航・近海海運業の概況は以下の通りとなりました。
内航ガス輸送においては、中長期契約に基づく安定的な売上確保と効率配船に取り組みましたが、感染症拡大と季節的要因に伴うLPG需要の低下及び石油化学ガス出荷プラントの定期修繕、並びに所有船舶の配管部不具合による不稼働の影響を完全に避けることはできませんでした。
近海ガス輸送においては、感染症拡大によって稼働が減少した影響を完全に避けることはできず、定期用船契約の更改時に市況下落の影響を受けました。一方で新規用船者への投入も実現する等、安定した貸船収入の維持に努めました。
以上の結果、内航・近海海運業の売上高は64億13百万円(前年同期比7.5%減)、営業利益は3億90百万円(前年同期比20.0%減)となりました。
③不動産業
当第3四半期連結累計期間の不動産市況は以下の通りです。
都心のオフィスビル賃貸市況は、感染症拡大の影響がオフィス市場にも本格的に現れ下降基調は鮮明になりました。国内企業はリモートワークを拡充し、これまでの増員計画をベースにした増床移転の延期や固定費削減のための事業所縮小等を行い、オフィス需要が減少したことから賃料は下落が続き、空室率は2016年6月以来、約4年半ぶりに4%を上回りました。
貸ホール・貸会議室においては、顧客獲得競争が続く中、感染症拡大によりイベントの自粛が続き非常に厳しい状況となりました。
不動産関連事業のフォトスタジオ事業においては、感染症拡大により広告需要が大幅に減少しました。
英国ロンドンの不動産市況は、事務所テナントでは大きな影響はないものの、商業テナントでは感染症の拡大を受け厳しい状況となりました。
このような事業環境の下、当社グループの不動産業の概況は以下の通りとなりました。
当社所有ビルにおいては、商業テナントの営業に感染症の影響はあったものの、事務所テナントは堅調な稼働を継続し、安定した収益を維持することができました。
また、当社が参画している新橋田村町地区市街地再開発事業(日比谷フォートタワー)では、新築建物の工事が順調に推移し、2020年9月に上棟しました。現在のところ2021年6月末の竣工を予定しております。
当社グループのイイノホール&カンファレンスセンターにおいては、感染症の影響で稼働と収益に大きな影響を受けておりましたが、10月以降は観客数を減らしながらも配信や収録を利用してイベントを実施する傾向が見られ、改善方向に向かいました。
フォトスタジオ事業を運営する㈱イイノ・メディアプロにおいては、感染症対策を実施し新規顧客を取り込んだものの、広告需要の減少の影響により収益が減少しました。
英国ロンドンの不動産事業においては、2020年3月に取得したロンドンの賃貸ビルで商業テナントについては感染症の影響はあったものの、事務所テナントは順調に稼働したため、収益増加に寄与しました。
以上の結果、不動産業の売上高は83億5百万円(前年同期比5.3%減)、営業利益は29億5百万円(前年同期比54.2%増)となりました。前年同期比で売上高が減少したものの営業利益が増加したことは、前年同期は飯野ビルディングにおいて一部テナントの退去により、原状回復工事を引き受けたことによる売上高の計上があった一方、空室期間が生じたことによる賃料収入の減少等があったためです。
(2)財政状態の分析
当第3四半期連結会計期間末の総資産残高は前連結会計年度末に比べ93億62百万円増加し、2,404億50百万円となりました。これは主に船舶の竣工によるものです。負債残高は前連結会計年度末に比べ55億84百万円増加し、1,632億44百万円となりました。これは主に船舶の竣工等に伴う借入金の増加によるものです。純資産残高は前連結会計年度末に比べ37億78百万円増加し、772億6百万円となりました。これは主に親会社株主に帰属する四半期純利益計上に伴う利益剰余金の増加によるものです。
(3)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当第3四半期連結累計期間において、当社グループが優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題について重要な変更はありません。
(4)当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針
当第3四半期連結累計期間において、当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針に重要な変更はありません。
(5)研究開発活動
記載すべき事項はありません。
記載すべき事項はありません。