当連結会計年度における世界経済は、前連結会計年度同様に全体として穏やかな経済成長が継続しました。先進国については、欧州圏の選挙に対する不安や頻繁に発生するテロ事件、米国経済ではトランプ新政権の政策実施に対する期待と不安がありますが、新興国については、中国の経済発展がニューノーマル(新常態)に入っており、政策による後押しが堅調に続くと期待され、また経済の上昇率が上方修正されかつ安定してきたこと等により更に改善してきております。ブラジルやアルゼンチンも漸く経済状態が底を打ち、さらにインド、ロシアの成長も力強さを増しつつあり改善してきているところもありますが、国によっては状況が異なるところもあります。また、シリア、北朝鮮、中東などの地政学的リスクもありますが、全体としては穏やかな拡大基調を維持しており、今後更なる成長が期待されます。一方わが国の経済は、米国の景気回復への期待感が高まった状態が維持され、以前より改善傾向にありますが、国内の少子高齢化等の将来と世界経済悪化に対する不安も依然として残っています。
外航ドライバルク船の海運市況は、漸く底から徐々に脱出する傾向にありますが、本格的な回復には未だ至っておらず、今後の市況の更なる改善の為には、世界経済の拡大と、老朽化した不経済船舶のスクラップが継続的に実行に移される事等による海上輸送量と船腹量の受給バランスの改善が求められています。
この様な状況下、当社グループの外航海運部門では、安全と顧客のサービスを第一に市況リスクと運航リスクの軽減に傾注すると共に、太平洋と大西洋を結ぶトランスオーシャン輸送に当社所有の船舶を集中的に配船し、安全かつ経済的、効率的な輸送に努め、さらに新規カーゴの獲得に努力しましたが、未だ継続する新興国の不況の長期化によるカーゴの減少に伴うバラスト航海の増加、全体的な海運市況の停滞による運賃の低迷、その他運航リスク等により、前連結会計年度に比べ大幅な業績の悪化となりました。
この結果、当連結会計年度の営業収益は、4,557百万円(対前連結会計年度比△1,548百万円、25.4%減)と前連結会計年度に比べ、大幅な減収となりました。
利益面では、航海数の減少や燃料油価格の下落による運航費の減少に加え、前連結会計年度及び当連結会計年度中に行った減損による船費の減少など営業費用が大幅に減少したものの、営業収益の減少の方が大きく営業損失360百万円(前連結会計年度332百万円の営業利益)と大幅な減益となりました。
営業外収益85百万円、営業外費用176百万円を加減し、経常損失は451百万円(前連結会計年度78百万円の経常利益)、特別損失として減損損失404百万円を計上した結果、税金等調整前当期純損失は855百万円となり、法人税等、非支配株主に帰属する当期純利益を減算して、親会社株主に帰属する当期純損失は822百万円(前連結会計年度953百万円の親会社株主に帰属する当期純損失)となりました。
セグメント別の業績は次のとおりであります。
①外航海運業
支配船舶による北米からの輸入穀物や南米からの水酸化アルミや海外へのスラグ、セメントクリンカーなどの輸送を行い、運航採算の向上に努めるとともに、一部支配船舶の短期貸船により安定収益の確保を図りました。
営業収益は、前連結会計年度に比べ、短期貸船が増加した影響で航海数の減少、市況の低迷、円高とマイナス要因が大きく、3,500百万円(対前連結会計年度比△1,564百万円、30.9%減)となりました。営業利益は、航海数の減少や燃料油価格の下落による運航費の減少に加え、前連結会計年度及び当連結会計年度中に行った減損による船費の減少など営業費用が大幅に減少したものの、営業収益の減少の方が大きく、28百万円の営業損失(前連結会計年度741百万円の営業利益)となりました。
②内航海運業
定期用船2隻による水酸化アルミなどの輸送を行い、安全輸送と効率配船に努めるとともに、所有船2隻の定期貸船により安定収益の確保を図りました。また、船員を他社へ融通し派遣業収入を得ました。
営業収益は、前連結会計年度に比べ、ドライ貨物の輸送量の減少により運賃の減少や貸船料の減少はあったものの、派遣業収入の増加によるその他海運業収入の増加が大きく、911百万円(対前連結会計年度比16百万円、1.9%増)となりました。営業利益面は、前連結会計年度に実施した減損による減価償却費(船費)の減少が大きく、73百万円の営業利益(同54百万円、286.5%増)となりました。
③不動産賃貸業
不動産賃貸業においては、営業収益は、145百万円(対前連結会計年度比△0百万円、0.5%減)、営業利益は、32百万円(同△1百万円、4.2%減)となりました。
(注)営業利益は配賦不能営業費用(439百万円)控除前のものです。
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)の期末残高は、営業活動の結果得られた資金555百万円、投資活動の結果得られた資金116百万円、財務活動の結果使用した資金1,132百万円などを加減した結果、前連結会計年度末に比べ478百万円減少し、566百万円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において営業活動の結果得られた資金は、555百万円(前連結会計年度比455百万円の収入減)です。これは、税金等調整前当期純損失855百万円が計上されているうえに、減価償却費950百万円、減損損失404百万円などの非資金費用の調整などがあり、前受金の増加額205百万円などの増加項目に、その他の資産の増加額108百万円などの減少項目を加減した結果によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において投資活動の結果得られた資金は、116百万円(前連結会計年度比918百万円の収入増)です。これは、主に定期預金の払戻による収入361百万円、定期預金の預入による支出220百万円などによるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において財務活動の結果使用した資金は、1,132百万円(前連結会計年度比61百万円の支出増)です。これは、主に長期借入金の返済による支出1,065百万円、配当金の支払額57百万円などによるものです。
|
区分 |
(前事業年度) 平成28年3月31日現在 |
(当事業年度) 平成29年3月31日現在 |
|||
|
|
隻数 |
重量トン数(K/T) |
隻数 |
重量トン数(K/T) |
|
|
自営 |
外航 |
5 |
262,882 |
5 |
262,882 |
|
内航 |
2 |
2,330 |
2 |
2,330 |
|
|
計 |
7 |
265,212 |
7 |
265,212 |
|
|
貸船 |
内航 |
2 |
8,599 |
2 |
8,599 |
|
計 |
2 |
8,599 |
2 |
8,599 |
|
|
計 |
9 |
273,811 |
9 |
273,811 |
|
(注) 短期用船船舶は除いております。
|
区分 |
船名 |
主要就航航路 |
主要輸送貨物 |
航海数 |
|
|
(前事業年度) |
(当事業年度) |
||||
|
外航 |
NIKKEI DRAGON |
日本/ペルー |
高炉スラグ |
2 |
― |
|
日本/ペルー |
セメントクリンカー |
1 |
1 |
||
|
メキシコ/日本 |
石膏 |
― |
1 |
||
|
米国/日本 |
穀物 |
3 |
1 |
||
|
ブラジル/日本 |
水酸化アルミ |
― |
2 |
||
|
NIKKEI VERDE |
日本/ペルー |
高炉スラグ |
1 |
― |
|
|
日本/ブラジル |
1 |
― |
|||
|
ブラジル/日本 |
水酸化アルミ |
3 |
2 |
||
|
NIKKEI SIRIUS |
日本/ペルー |
高炉スラグ |
1 |
― |
|
|
日本/UAE |
― |
1 |
|||
|
米国/日本 |
穀物 |
2 |
1 |
||
|
ブラジル/日本 |
水酸化アルミ |
2 |
1 |
||
|
NIKKEI PROGRESSO |
日本/ペルー |
高炉スラグ |
1 |
― |
|
|
日本/コロンビア |
1 |
― |
|||
|
日本/ペルー |
セメントクリンカー |
― |
1 |
||
|
米国/日本 |
穀物 |
2 |
2 |
||
|
ブラジル/日本 |
水酸化アルミ |
2 |
1 |
||
|
ZEN-NOH GRAIN |
日本/ペルー |
高炉スラグ |
― |
1 |
|
|
米国/日本 |
穀物 |
4 |
4 |
||
|
短期用船船舶 |
日本/米国 |
高炉スラグ |
― |
1 |
|
|
米国/日本 |
穀物 |
― |
1 |
||
|
ブラジル/日本 |
水酸化アルミ |
1 |
― |
||
|
計 |
27 |
21 |
|||
|
内航 |
第35千代丸 |
沿海区域 |
水酸化アルミ他 |
68 |
63 |
|
第5稲宝山丸 |
沿海区域 |
水酸化アルミ他 |
74 |
85 |
|
|
計 |
142 |
148 |
|||
(注) 貸船中の船舶あるいは貸船中の航海に係るものについては、記載を省略しております。
|
積荷別 |
前事業年度 |
当事業年度 |
|||||
|
外航 |
内航 |
合計 |
外航 |
内航 |
合計 |
||
|
水酸化アルミ |
(M/T) |
353,896 |
― |
353,896 |
270,048 |
― |
270,048 |
|
高炉スラグ |
(M/T) |
290,530 |
― |
290,530 |
142,658 |
― |
142,658 |
|
石膏 |
(M/T) |
― |
― |
― |
44,615 |
― |
44,615 |
|
穀物 |
(L/T) |
524,955 |
― |
524,955 |
426,918 |
― |
426,918 |
|
セメントクリンカー |
(M/T) |
43,760 |
― |
43,760 |
86,205 |
― |
86,205 |
|
水酸化アルミ |
(K/T) |
― |
130,706 |
130,706 |
― |
129,012 |
129,012 |
|
船名 |
重量トン数 |
前事業年度 (自 平成27年4月 至 平成28年3月) |
当事業年度 (自 平成28年4月 至 平成29年3月) |
||
|
稼働率(%) |
備考 |
稼働率(%) |
備考 |
||
|
(外航長期用船) |
|
|
|
|
|
|
NIKKEI DRAGON |
52,950 |
97.3 |
入渠 |
100.0 |
|
|
ZEN-NOH GRAIN PEGASUS |
54,958 |
100.0 |
|
100.0 |
|
|
NIKKEI VERDE |
51,658 |
100.0 |
|
88.3 |
入渠等 |
|
NIKKEI SIRIUS |
51,658 |
97.3 |
入渠 |
100.0 |
|
|
NIKKEI PROGRESSO |
51,658 |
100.0 |
|
97.7 |
入渠 |
|
(内航所有船) |
|
|
|
|
|
|
こすも丸 |
2,999 |
97.4 |
入渠 |
97.8 |
入渠 |
|
第二鶴玉丸 |
5,600 |
97.8 |
入渠 |
98.4 |
入渠 |
|
(内航長期用船) |
|
|
|
|
|
|
第5稲宝山丸 |
700 |
97.5 |
入渠 |
98.9 |
入渠 |
|
第35千代丸 |
1,630 |
97.0 |
入渠 |
100.0 |
|
当連結会計年度における収益実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
金額(千円) |
前期比(%) |
|
外航海運業 |
3,500,387 |
△30.9 |
|
内航海運業 |
911,491 |
1.9 |
|
不動産賃貸業 |
145,836 |
△0.5 |
|
合計 |
4,557,716 |
△25.4 |
(注) 1 セグメント間の取引については相殺消去しております。
2 主な相手先別の収益実績及びその総営業収益に対する割合は、次のとおりであります。
|
相手先 |
前連結会計年度 |
相手先 |
当連結会計年度 |
||
|
金額(千円) |
割合(%) |
金額(千円) |
割合(%) |
||
|
全国農業協同組合 |
2,400,273 |
39.3 |
全国農業協同組合 |
1,638,626 |
36.0 |
|
日本軽金属㈱ |
2,005,496 |
32.8 |
日本軽金属㈱ |
1,481,576 |
32.5 |
|
|
|
|
鶴見サンマリン㈱ |
564,541 |
12.4 |
3 本表の金額には、消費税等は含まれておりません。
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループ(当社及び連結子会社)が判断したものであります。
当社グループは、所有する外航・内航船舶の安全運航を第一の課題と位置付け、船舶管理を徹底するなど、効率的な運航管理に日々努めております。当連結会計年度は、海運市況の低迷、新造船の供給圧力、円高等々厳しい経営環境に晒され、外航海運業部門においては、前連結会計年度に引き続き、外航船1隻の減損処理に伴う特別損失を計上いたしました。
この様な状況下、今後もコスト削減努力を怠ることなく、中・長期の輸送契約による安定収益の維持と新規カーゴの獲得に努め、業績の回復に取り組んでまいります。
また、内航海運業部門におきましては、所有する内航タンカー2隻の定期貸船収益と長期用船する内航貨物船2隻の運航収益を中心に、当連結会計年度により本格的に開始いたしました、国内子会社が雇用する内航船員の人材派遣業の需要増加に伴う収益拡大を目指すなど、安定収益の維持に努めてまいります。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループ(当社及び連結子会社)が判断したものであります。
1.当社の主要事業である外航海運業は、主として不定期航路事業及び船舶貸渡業であり、長期契約とスポット契約とが混在しており、ともに、その契約時点の運賃市況、用船市況などの海運市況の影響を多分に受け、また、海運市況はその時点の世界全体の船腹需給関係によって大きく変動するなど、世界経済の変化に影響を受ける事が多く、業績は比較的不安定となっております。ただし、運航船舶の中での所有船と用船とのバランス、引受け貨物のうちの長期契約とスポット契約のバランスをとることで、市況変動リスクを低減しております。
2.運賃、用船料などの収入の大部分が米ドル建ての慣行となっており、米ドル建ての費用を差し引いても収入の方が上回るため、為替が円高方向に動く局面、あるいは、円高のままで推移する局面では、その影響はデメリットとして働きます。
3.当社グループは、設備資金調達のためシンジケートローン契約を締結しております。当該契約には以下の財務制限条項が付されております。これらの条項に抵触し、当該債務の一括返済を求められた場合、当社グループの財政状態に影響を及ぼす可能性があります。なお、財務制限条項につきましては「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 追加情報」及び「第5 経理の状況 2 財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項 追加情報」に記載しております。
該当事項はありません。
該当事項はありません。
当連結会計年度の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析は、以下のとおりです。
(1) 財政状態の分析
① 流動資産
当連結会計年度末における流動資産の残高は1,555百万円で、前連結会計年度末に比べ449百万円減少いたしました。その他流動資産が85百万円、貯蔵品が78百万円増加した一方、現金及び預金が613百万円減少したことが主な要因であります。
② 固定資産
当連結会計年度末における固定資産の残高は12,429百万円で、前連結会計年度末に比べ1,133百万円減少いたしました。投資その他の資産が207百万円増加した一方、船舶が減価償却や減損損失に伴い1,330百万円減少したことが主な要因であります。
③ 流動負債
当連結会計年度末における流動負債の残高は1,793百万円で、前連結会計年度末に比べ226百万円増加いたしました。前受金が205百万円増加したことが主な要因であります。
④ 固定負債
当連結会計年度末における固定負債の残高は7,577百万円で、前連結会計年度末に比べ1,021百万円減少いたしました。長期借入金が1,065百万円減少したことが主な要因であります。
⑤ 純資産
純資産は、親会社株主に帰属する当期純損失822百万円などによる株主資本の減少880百万円とその他有価証券評価差額金の増加によるその他の包括利益累計額合計の増加90百万円と非支配株主持分の増加1百万円により、前連結会計年度末に比べ788百万円減少し、4,615百万円となりました。
(2) 経営成績の分析
① 営業収益
「1 業績等の概要 (1) 業績」に記載のとおりであります。
② 営業費用
当連結会計年度の海運業費用は、航海数の減少や燃料油価格の下落による運航費の減少や前連結会計年度及び当連結会計年度中に行った減損による船費の減少などにより、前連結会計年度に比べ830百万円減少いたしました。その他事業費用は、前連結会計年度に比べ3百万円増加しました。一般管理費は、主に従業員給与等や退職給付費用の減少などにより前連結会計年度に比べ27百万円減少しました。
③ 営業外損益
当連結会計年度における営業外損益の純額は、前連結会計年度の253百万円の損失に対し、90百万円の損失となり163百万円の損失減となりました。
④ 特別損益
当連結会計年度における特別損益の純額は、前連結会計年度の1,236百万円の損失に対し、404百万円の損失となり831百万円の損失減となりました。
(3) キャッシュ・フローの状況の分析
キャッシュ・フローの分析につきましては「第2 事業の状況 1 業績等の概要 (2) キャッシュ・フロー」に記載しております。