文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)経営理念及び経営方針
〔経営理念〕
「国内及び国際海上輸送を通して社会に貢献します」
〔経営方針〕
当社グループは、以下を経営方針として掲げております。そのうえで所有船舶の安全運航を第一の課題として位
置付け、船舶管理を徹底する等、効率的な運行管理に日々努めております。
1.企業は株主・取引先・従業員・地域社会がその存在基盤であるとの認識のもと、調和のとれた経営を行い、社
会的に尊敬に値する企業を目指す。
2.永年培った海運技術およびノウハウの蓄積と展開により、様々なニーズに柔軟に対応することで顧客に信頼される特色ある優良企業を目指す。
3.安定的に企業価値を高め、期待される株主利益を創出していくために、外部環境の変化に即応しつつ、投下資
本全体に対する効率性を追求していく。
4.法令および社会的規範を遵守し、公正かつ透明な事業活動を行う。 広く社会とのコミュニケーションに努め、
企業情報を公正に開示する。
5.安全運行の徹底および海洋・地球環境の保全に努める。
(2)経営環境
① 海運市況
主に中国の旺盛な経済発展に起因した2002年後半から2008年のリーマンショックまでの継続的な海運市況の高
騰に伴い、2008年ごろに始まった船舶竣工ラッシュが2013年ごろに収束しましたが、その後もしばらく続いた世界の余剰金による船舶建造の増大と、2015年の中国の新常態や新興国の経済停滞、2016年の貿易量の縮小・停滞等の要因により、市場はここ数年低迷を継続し、2016年2月にはBDI始まって以来の最低値を記録しました。
その後2017年からスクラップ量の増大と竣工量の減少により漸く回復傾向にあり、予想される将来の需給バラ
ンスから推定される市場は正常化の道をたどり、2020年は更なる改善の兆しが見えてきたところでした。
しかし、新型コロナウイルス感染症等の影響から海運市況は落ち込み、世界経済はマイナス成長となり、ベースは回復基調にあるものの、同感染症の世界的な拡大は2020年7月現在も続いており、依然先行きが不透明な状況にあります。そのような状況の中、中長期的な展望を見通すことは非常に困難ではありますが、主要事業である外航海運業、また内航海運業においても、物流の停滞及び消費鈍化に起因する海運市況の低迷や貨物輸送量の減少等により、当社グループにとって非常に厳しい経営環境となることが予想されます。
② 環境保全の為に求められる対応
IMOにより2017年に発効されたバラスト水管理条約に続き、海洋汚染防止条約(MARPOL条約)による大気汚染防
止の為2020年1月1日発効のSOX排出規制により、船舶燃料の硫黄分含有量が3.5%以下から0.5%以下に制限されることとなりました。また、GHG(地球温暖化ガス)排出削減対策への対応も進行中であり、更にNOX3次規制への対応も近づいております。当社グループはこの様々な国際規制に対して、外航船へのバラスト水処理装置の搭載、またSOX排出規制は適合燃料油を使用することで対応を進めております。お客様の要求を尊重し、経済的且つ社会的に適合し、環境と人に優しい海上輸送の形態を追及・創造・提供して参ります。
(3)経営戦略
① 外航海運業
現在までと同様、長期に渡り信頼関係を構築し継続してきた顧客各社、日本軽金属株式会社・全国農業協同組
合連合会・伊藤忠 商事株式会社・Lafarge Holcim Trading Ltd.・吉野石膏株式会社・その他顧客の求める短期ニーズに対してはもちろんのこと、中長期のニーズに対しても連携・協調・対応し、各社との中長期的なコア輸送事業の契約を、効率的かつ安定的に実行して参ります。更には経済的ロスを減少し、環境保護に配慮・適応しつつ事業を継続・拡大を目指し、海運市場に呼応して顧客・時代・社会の要求に適う船舶を建造して参ります。一つでも多くの貨物輸送契約を締結し、今まで以上に当社船を効率良く配船のうえ、同時に新規カーゴの獲得に努め、また将来を見据え、当社の事業規模拡大の為、バランスの取れた人材採用・育成を計画して参ります。
② 内航海運業
今後も、定期用船している貨物船2隻は、水酸化アルミニウム等の安全輸送・効率輸送に努めて参ります。所
有船(第二鶴玉丸 白油3,767G/T)1隻及び子会社で裸用船しているケミカルタンカー(第七鈴鹿丸 749G/T)の定期貸船の安全運航に努め、安定収益の確保を図って参ります。また、2021年2月に竣工の自社船(液化ガスばら積船 749G/T)の定期貸船も予定しており、前年よりも更なる収益の増加を見込んでおります。
③ 安全運航と環境保全に対応する設備に関して
当社の全船舶は、SOX排出規制適合燃料油への切替を無事終了し、バラスト水管理条約に適合させるための設備
の設置は、外航船2隻が未完工となっておりますが、今年度中に完了する予定です。今後も諸規則に対応し、環境及び安全を考慮した諸設備の設置に加え燃料費削減のための設備等を装備し、また減速航海等により運航効率の推進を図り総合的に経費の節減を行って参ります。
当社グループは、外航海運業・内航海運業・不動産賃貸業業及び全ての業務において、無駄を省いた組織の構築
化を進めており、全体としての行動を迅速・正確に進め、効率化を図り、安全と経済性への意識をより一層充実することを心掛けたうえで、企業価値向上に努めて参ります。
(4)対処すべき課題
① 新型コロナウイルス感染症の影響に対する対応
上記(2)経営環境 ①海運市況に記載した状況の中、当社グループは、役職員及び乗組員の安全を第一に考え
常時同感染症の関連情報の収集を行いつつ、外航海運業・内航海運業共に、今後の経済回復に向けての輸送需要がどのように推移するかを注視しながら、以下の施策を実行して参ります。
また、運航船舶に関しては、日本船主協会等が作成した同感染症の対応ガイダンスを基に船内の安全確保と安
全運航維持のための措置を講じております。また乗組員についても、ガイダンスに従い船内感染予防対策の徹底、必要物資の供給、乗組員の安全確保を確認したうえでの交代を行っております。陸上社員に関しては、緊急事態宣言中は在宅勤務及び交代勤務・時差通勤・出張の原則禁止等の対策を実施いたしました。現在は時差出勤の対応をとっており、同感染症の予防・回避に努めております。
② 外航海運業
1.当社支配船(長期用船)の隻数に見合う、中長期安定的な輸送契約の獲得に努め、市場の上下に拘らず安定的
な収益をあげて参ります。
2.上記の結果、顧客のニーズにより、年間輸送量よりも貨物量増となりバランスが取れなくなった場合には、当初は市場からの短期用船の輸送契約として対応し、更なる輸送の拡大と長期化を図る為、その市場に応じた長期用船、または買船・新造船計画を立案し、安定収益の拡大を図って参ります。
3.長期的な視野に立ち、社員のOJTを充実させ、国際的な人材を育成し、新規カーゴの国際間輸送契約の獲得を目指して参ります。
4.可能な限り、顧客との交流を図り、相互の信頼関係の構築し、新規カーゴの獲得に努めて参ります。
5. 世界の日々の変化に対応すべく、あらゆる情報網を駆使して情報収集し、中長期視点で海運市況を分析・勘案し、業務を遂行することで、安定的な収益の向上に繋げて参ります。
上記を念頭に置き、今年度の営業施策として、主要設備である5隻の外航船舶を中心に、スラグ等の往航貨物の獲得に努力することによって、営業収益の多くの部分を占める、復航貨物である南米から日本向けの水酸化アルミニウム輸送や主に北米から日本向けの穀物輸送の採算向上を図る為、最善と思慮される輸送契約(COA 数量積輸送契約)の長期的・安定的な確保と、タイムリーなスポット貨物の獲得に注力いたします。
③ 内航海運業
船員派遣業に関して、現在船員の高齢化及び急激な船員不足に陥ってる内航海運業界において、平均年齢32.5
歳の有望な船員を保有する当社子会社の優位性を最大限に活かしつつ、更に国土交通省認定の「日本船舶・船員
確保計画」に基づいて若年船員を計画的に採用し安定雇用、教育訓練を重ね積極的に船員派遣を行い、安定収益
の確保に繋げて参ります。
④ 公的規制への対応
当社グループの主要業務である海運業では、設備の安全性や安全運航のために、国際機関及び各国政府の法
令、船級協会の規則等の公的規制を受けております。当社グループでは、これらの規制が変更された場合に遵守するための費用、設備費・船員教育費等が増加する可能性があります。遵守出来なかった場合には事業活動が制限される可能性があります。
⑤ コスト削減
各船舶ごとの損益管理を徹底し、船舶の維持管理に必要な経費の支出の見直しを行う他、乗組員の効率的な配乗等によるコスト削減を図って参ります。また、グループ全社的な経費削減策として、経営責任を明確にする為、更なる役員報酬の削減を行います。その他の経費においては、一般管理費をはじめとして、金額の多寡にかかわらず不要な経費の削減を行います。
⑥ 財務上の課題(資金繰りの改善)
当連結会計年度末現在において、手元流動性が低下している為、その対応策として上記営業施策及びコスト削
減の施策を実行すると共に、高水準状態にある有利子負債の縮小を図る為、一部船舶を含めた資産売却を行い、その売却代金で一部の船舶建造の為の借入金の残額を繰り上げ返済をすることで、その後の返済額を縮小し、併せて担保資産を解除することで手元流動性の適正化を図ります。また、金融機関から、大部分の借入金の返済猶予の承諾を得ておりますが、猶予期間後の一部バルーン返済については、返済の原資に充てる為、返却された担保資産(有価証券・不動産)を含め、更なる資産の売却を考慮いたします。
当社グループの経営成績、財務状況及び株価等に重要な影響を与える可能性があると認識しているリスクは、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
当社グループの考える主要リスク要因を挙げる前に、「対処すべき課題」においても同様の記載をしております
が、当連結会計年度末の当社グループの状況について説明させていただきます。
当社グループは、一部の借入金における財務制限条項(以下(6)資金調達リスク参照)に抵触しました。また、当
社グループの事業に重要な影響を与える海運市況の低迷(以下(1)海運市況の変動リスク参照)により手元流動性が低下し、有利子負債が手元資金及び営業キャッシュ・フローに比して高水準な状況が存在しています。当社グループは、この状況を解消しまたは改善すべく、財務制限条項につきましては、金融機関から、一部の借入金の元本返済の猶予及び新たな運転資金の借入の承諾を得ています。手元流動性の低下については、借入金に係る有利子負債縮小を計画しています。この中では、一部の資産を売却し、有利子負債の返済を行い、併せて担保提供資産を解除し手元流動性を高めることを計画しています。しかし、上述の対応によっても今後の事業の状況や金融機関との協議の状況によっては今後の手元流動性に重要な影響を及ぼす可能性があることから、現時点では継続企業の前提に関する重要な不確実性が認められます。当社グループは、こうした状況を解消する為、以下のとおり対応して参ります。
① 営業施策
主要設備である5隻の外航船舶を中心に、スラグ等の往航貨物の獲得に努力することによって、営業収益の
多くの部分を占める、復航貨物である南米から日本向けの水酸化アルミニウム輸送や主に北米から日本向けの
穀物輸送の採算向上を図る為、最善と思慮される輸送契約(COA 数量積輸送契約)の長期的・安定的な確保
と、タイムリーなスポット貨物の獲得に努力いたします。
② コスト削減策
各船舶ごとの損益管理を徹底し、船舶の維持管理に必要な経費の支出の見直しを行う他、乗組員の効率的な
配乗等によるコスト削減を図って参ります。また、グループ全社的な経費削減策として、経営責任を明確にする為、更なる役員報酬の削減を行います。その他の経費においては、一般管理費をはじめとして、金額の多寡にかかわらず不要な経費の削減を行います。
③ 資金繰りの改善
手元流動性が低下していることの対応策として、①及び②の施策を実行すると共に、高水準状態にある有
利子負債の縮小を図る為、一部船舶を含めた資産売却を行い、その売却代金で一部の船舶建造の為の借入金の残額を繰り上げ返済をすることで、その後の返済額を縮小し、併せて担保資産を解除することで手元流動性の適正化を図ります。また、金融機関から、大部分の借入金の返済猶予の承諾を得ておりますが、猶予期間後の一部バルーン返済については、返済の原資に充てる為、返却された担保資産(有価証券・不動産)を含め、更なる資産の売却を考慮いたします。
当連結会計年度末の当社グループの状況についての説明は以上となります。
当社グループの業績は、今後起こり得る様々な要因により影響を受ける可能性があり、以下には当社グループの
事業展開上、リスク要因となる可能性があると考えられる主な事項を記載しております。
(1) 海運市況の変動リスク
当社グループは、経営方針に「安定的に企業価値を高め、期待される株主利益を創出していくために、外部環
境の変化即応しつつ、投下資本全体に対する効率性を追求していく」旨を掲げており、海運市況や不動産市況の一時的な変動に左右されないよう、中長期の契約を主体として安定的な収益確保に努めておりますが、外航海運部門においては、長期契約とスポット契約の契約更改時点の海運市況(海上輸送量の増減、競争の激化、船舶需給のバランス等の影響)により、運賃収入及び用船料の収入等が大きく変動する場合があり、当社グループの業績及び財務状況に影響する可能性があります。その為、運航船舶の中で所有船と用船とのバランス、引受け貨物のうちの長期契約とスポット契約のバランスをとることで市況変動リスクを低減しております。
(2) 為替変動リスク
当社グループ主要事業である外航海運業の運賃・用船料等の収入は、大部分が米ドル建取ての慣行となってお
り、米ドル建て収入と支出の差額については為替の変動による影響を受けることとなり、保有する米ドル建て費
用増加等によりなるべく為替レートの変動の影響を受けぬよう努めておりますが、為替相場の状況によっては当
社グループの業績及び財務状況に影響する可能性があります。
(3) 情報システムリスク
当社グループの基幹業務システムには、外部からの不正なアクセスやコンピューターウイルスの感染対策の為
ウイルス対策ソフトの導入及びファイヤーウォールシステムを使用し、また自然災害に対する安全策としてバックアップをとる等の対応をしておりますが、万一情報の漏洩やデータ喪失等の事態が生じた場合、当社グループの業績及び財務状況に影響する可能性があります。
(4) 金利変動リスク
当社グループは、船舶の設備投資や事業活動に係る運転資金に対して内部資金を充当している為、船舶建造の
資金は外部より借入を行っておりますが、変動金利で調達する部分があり、金利情勢を勘案のうえ5年間の金利固定化等により、金利変動による影響を軽減するように努めておりますが、将来の金利変動によっては当社グループの業績及び財務状況に影響する可能性があります。
(5) 燃料油価格変動リスク
外航海運業の運航船舶燃料油の価格が上昇する場合は、価格上昇分を荷主から運賃保証される契約の締結等に
より、価格変動の影響を抑えるよう努めておりますが、十分に補填されない場合は運航費が増加することとなり、当社グループの業績及び財務状況に影響する可能性があります。また、内航海運業の運航船舶燃料油に関しては、販売各社から明示された最も競争力のある燃料油価格を判断したうえで購入するよう努めておりますが、価格が急騰する局面では業績に影響する可能性があります。
(6) 資金調達リスク
当社グループ保有の外航船舶は、建造資金借入の為にシンジケートローン契約を締結しており、契約には財務
制限条項が付されております。これらの条項に抵触し、当該負債の一括返済を求められた場合、当社グループの財務状況に影響する可能性があります。当連結会計年度末において一部の借入金における財務制限条項に抵触しましたが、上記のとおり対応策を講じております。
(7) 固定資産の減損損失計上のリスク
当社グループは、「固定資産の減損に係る会計基準」を適用しており、保有する船舶等の固定資産の時価が著
しく下落した場合や収益性が悪化した場合には減損損失を計上することとなり、当社グループの業績及び財務状況に影響する可能性があります。
(8) 海難事故リスク
当社グループは、経営方針に「安全運航の徹底及び海洋・地球環境の保全に努める」こと定め、「事故ゼロ・
漏油ゼロ」を目指しておりますが、海難事故が発生してしまった場合は、人命・貨物・船舶等の損失・損傷のリ
スクや、燃料等の流失による海洋汚染のリスクがあります。その為、当社グループでは国際安全管理コード(ISM CODE)に基づく「船舶安全管理システム」を構築し、乗組員の定期的な教育・研修、海難事故を想定した緊急対応訓練を実施する等、万全の体制をとっております。しかし万一海難事故が発生した場合に備え、各種保険による損失補填対策を図っておりますが、事故の規模によっては業績及び財務状況に影響する可能性があります。
(9) 資産価値変動リスク
当社グループの保有する資産(船舶・不動産・投資有価証券等)について、経済状況や海運市況の変動等の影
響により資産価値が下落した場合は、当該資産の売却に伴う損失や減損損失が発生し、業績及び財務状況に影響する可能性があります。
(10)公的規制等のリスク
当社グループは、経営方針に「法令及び社会的規範を遵守し、公正かつ透明な事業活動を行う」旨を掲げてお
ります。当社の主要事業である海運業は、船舶の設備の安全性及び安全運航の為、各国・地域や国際機関の法令や規則等、様々な公的規制による影響を受けております。これらの法令・規制を遵守する為、コスト増加若しくは事業展開が制限されること等により、当社グループの業績及び財政状況に影響する可能性があります。
(11)世界各地の政治・経済情勢によるリスク
当社グループの事業活動は、日本を含む世界各地に及び、各地域における政治・経済状況等の影響を受ける可
能性があり、以下のようなリスクが挙げられます。
・不利な政治的または経済的要因
・事業及び投資許可、租税、為替管理、独占禁止、通商制限などの公的規制の影響
・戦争、暴動、テロ、海賊、伝染病、ストライキ、その他の要因による社会的混乱
・地震、津波、台風等の自然災害 等
(12)新型コロナウイルス感染症によるリスク
当社グループは、新型コロナウイルス感染症の拡大リスク対し、常時関連情報の収集を行い、運航船舶に関し
ては、日本船主協会等が作成した同感染症の対応ガイダンスを基に船内の安全確保と安全運航維持のための措置を講じております。また乗組員についても、ガイダンスに従い船内感染予防対策の徹底、必要物資の供給、乗組員の安全確保を確認したうえでの交代を行っております。陸上社員に関しては、緊急事態宣言中は在宅勤務及び交代勤務・時差通勤・出張の原則禁止等の対策を実施いたしました。現在は時差出勤の対応をとっており、同感染症の予防・回避に努めております。しかし、同感染症の拡大により、世界的な物流の停滞及び消費低迷に起因する貨物輸送の減少等が進むこととなると、当社グループの業績及び財務状況に影響する可能性があります。
当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
当連結会計年度における世界経済は、新型コロナウイルス感染症のパンデミックにより大幅に悪化し、現在もその有効的な対策を世界中で模索中であり、その影響の大きさと継続期間は未だに計り知れません。現在のところの各国政府の懸命な対応が、5月、6月頃までに実を結び、感染者数がマイナスに転じ、ワクチンと治療薬の開発・発見等により収束に向かえば、世界経済は、今年の後半には立ち直るものと思われますが、さらに遅れることも考えられ予断を許しません。現在の世界経済については、先進国ではGDP前年比成長率が前期まで順調にプラスであった米国経済でも大幅にマイナスに転じ、その他すべての英国を含むEU圏諸国も大幅に悪化しています。更には新興国のBRIS、東南アジア等すべての国でマイナスに転じました。もちろん日本経済も大幅に悪化し、今後の対応・進展次第では、現状の予測よりさらに悪化したり、長期化したりするリスクも残っています。その中で中国に関しては、昨年の暮れから感染が始まったこともあり、5~6%のプラスから大幅にマイナスに転じる事と成りましたが、漸く終息に向かい、経済も回復に向かいつつあるようです。
このような世界経済情勢の下、外航ドライバルクの海運市況は、2016年初頭に経験したボルチックインデックス史上始まって以来、最悪の状態から依然として回復途上にありましたが、此の世界経済の停滞に伴う資源輸送の停滞、また例年の中国の旧正月に伴う季節的な停滞も相俟って、今回に関しては感染症によりその後のマーケットのリカバリーも弱く停滞が長期化しており、中国の経済の今後の復旧に伴った鉄鉱石を始めとした資源輸入の早期回復が期待されます。
以上のような状況下、安全と顧客へのサービスを第一に、市況リスク並びに運航リスク、更には環境負荷の軽減に全社で努力を傾注すると共に、太平洋と大西洋を結ぶトランスオーシャン輸送に当社所有の船舶を可能な限り配船し、安全且つ経済的、効率的な輸送と配船に勤め、新規カーゴの獲得に鋭意努力しておりますが、今四半期も継続する海運市況の停滞及び新型コロナウィルス感染症に伴う海運市況の減速、異常気象その他の運航リスク等の影響、燃料油の原油価格下落に伴う適合油の価格急落による収益の減少等により収支は悪化しました。
この結果、当連結会計年度の営業収益は、5,156百万円(対前連結会計年度比△331百万円、6.0%減)、営業損失243百万円(前連結会計年度304百万円の営業利益)となりました。営業外収益36百万円、営業外費用111百万円を加減し、経常損失は319百万円(前連結会計年度201百万円の経常利益)、特別利益として固定資産売却益96百万円、特別損失として減損損失598百万円などを計上しました結果、税金等調整前当期純損失は825百万円となり、法人税等、非支配株主に帰属する当期純利益を加減して、親会社株主に帰属する当期純損失は707百万円(前連結会計年度888百万円の親会社株主に帰属する当期純利益)となりました。
セグメント別の経営成績は次のとおりであります。
・外航海運業
支配船舶による北米・南米からの輸入穀物、南米からの水酸化アルミや海外へのスラグ、中東からの石膏の輸送を行い、運航採算の向上に努めるとともに、一部支配船舶の短期貸船により安定収益の確保を図りました。
営業収益は、前連結会計年度に比べ、航海数は増加したものの、運賃市況の低迷や円高基調の為替相場といった減収要因があり、また、貸船料においても貸船期間の減少や貸船単価の下落が大きく、4,210百万円(対前連結会計年度比△320百万円、7.1%減)となりました。営業利益面は、2019年5月に竣工した「TRES FELICES」に係る船費や入渠費用が増加した結果、営業費用全体が増加し、178百万円の営業利益(同△484百万円、73.1%減)となりました。
・内航海運業
定期用船2隻による水酸化アルミなどの輸送を行い、安全輸送と効率配船に努めるとともに、所有船1隻に加え他社船1隻の定期貸船により安定収益の確保を図りました。また、船員を他社へ融通し派遣業収入を得ました。
営業収益は、他社船1隻を新たに定期貸船したことにより貸船料が増加したものの、ドライバルクでの航海数減少などにより運賃が減少した結果、808百万円(対前連結会計年度比△9百万円、1.2%減)となりました。営業利益面では、他社船1隻の借船料が増加し、また所有船1隻の修繕に伴う入渠費用等が増加した結果、営業費用全体が増加し、11百万円の営業損失(前連結会計年度30百万円の営業利益)となりました。
・不動産賃貸業
不動産賃貸業においては、営業収益は、137百万円(対前連結会計年度比△1百万円、0.8%減)、営業利益は57百万円(同5百万円、10.4%増)となりました。
(営業利益は配賦不能営業費用(467百万円)控除前のものです。)
・ 流動資産
当連結会計年度末における流動資産の残高は1,141百万円で、前連結会計年度末に比べ558百万円減少いたしました。現金及び預金が603百万円、海運業未収金が53百万円減少したことが主な要因であります。
・ 固定資産
当連結会計年度末における固定資産の残高は10,589百万円で、前連結会計年度末に比べ198百万円増加いたしました。建設仮勘定が1,133百万円減少した一方、船舶が1,299百万円増加したことが主な要因であります。
・ 流動負債
当連結会計年度末における流動負債の残高は2,751百万円で、前連結会計年度末に比べ867百万円増加いたしました。一年内返済予定の長期借入金が738百万円、海運業未払金が89百万円増加したことが主な要因であります。
・ 固定負債
当連結会計年度末における固定負債の残高は4,400百万円で、前連結会計年度末に比べ379百万円減少いたしました。長期借入金が347百万円減少したことが主な要因であります。
・ 純資産
純資産は、親会社株主に帰属する当期純損失などによる株主資本の減少744百万円とその他有価証券評価差額金の減少によるその他の包括利益累計額合計の減少64百万円と非支配株主持分の減少39百万円により、前連結会計年度末に比べ848百万円減少し、4,579百万円となりました。
①キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)の期末残高は、営業活動の結果得られた資金731百万円、投資活動の結果使用した資金1,585百万円、財務活動の結果得られた資金266百万円などを加減した結果、前連結会計年度末に比べ603百万円減少し、251百万円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において営業活動の結果得られた資金は、731百万円(前連結会計年度比231百万円の収入減)です。これは、税金等調整前当期純損失825百万円が計上されているうえに、減価償却費949百万円、減損損失598百万円の非資金費用の調整があり、仕入債務の増加額104百万円、支払利息82百万円などの増加項目に、有形固定資産売却益88百万円、たな卸資産の増加額84百万円などの減少項目を加減した結果によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において投資活動の結果使用した資金は、1,585百万円(前連結会計年度において投資活動の結果得られた資金1,022百万円)です。これは、主に有形固定資産の取得による支出1,688百万円、有形固定資産の売却による収入94百万円などによるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において財務活動の結果得られた資金は、266百万円(前連結会計年度において財務活動の結果使用した資金1,737百万円)です。これは、主に長期借入れによる収入1,342百万円、長期借入金の返済による支出951百万円などによるものです。
翌連結会計年度のキャッシュ・フローの見通しにつきましては、営業活動で得られるキャッシュ・フローは、新型コロナウイルスの影響等による海運市況の低迷により当連結会計年度を下回るキャッシュ・フローを見込んでおります。また、投資活動においては、2021年2月に内航新造船の竣工するものの、有形固定資産の売却を予定しているため、全体でプラスのキャッシュ・フローを見込んでおります。また、財務活動においては、新造船にかかる借入はあるものの、借入金の返済条件の変更を予定しているため、全体でプラスのキャッシュ・フローを見込んでおります。
②資金需要
当社グループの事業活動における資金需要の主なものは、船舶の購入に係る設備資金、運転資金、借入金の返済、配当金の支払い等であります。
③資金調達
当社グループは、運転資金については内部資金や金融機関からの借入により充当し、設備資金については、大部分を金融機関からの長期借入金により調達しております。
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。
連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは以下のとおりであります。
なお、新型コロナウイルス感染症の拡大に伴う会計上の見積りについては、「第5 経理の状況 1.連結財務諸表等(追加情報)」に記載しております。
①固定資産の減損処理
当社グループは、固定資産の減損に係る回収可能性の評価にあたり、原則として船舶及び賃貸不動産については個別物件ごとにグルーピングを行い、収益性が著しく低下した資産グループについて、固定資産の帳簿価額を回収可能価額まで減損し、当該減少額を減損損失として特別損失に計上することとしております。回収可能価額の前提条件には、将来キャッシュ・フローや割引率等などが含まれますが、これらの前提条件は長期的な見積りに基づくため、将来の当該資産グループを取り巻く経営環境の変化による収益性の変動や市況の変動により、回収可能性を著しく低下させる変化が見込まれた場合、減損損失の計上が必要となる可能性があります。
(外航海運業)
当社の連結子会社であるT.S. Central Shipping Co.,Ltd.が保有する5隻を個別にグルーピングを行っております。今後、現下の低迷した海運及び売船市況が更に悪化した場合は、減損損失の計上の可能性があります。
(内航海運業)
当社が保有する1隻につきグルーピングを行っております。今後、収益性及び売船市況が更に悪化した場合は、減損損失の計上の可能性があります。
(不動産賃貸業)
当社及び当社の連結子会社である本山パインクレスト(株)が保有する賃貸不動産を個別物件ごとにグルーピングを行っております。当該物件は、安定収益を計上しており、また簿価に比して多くの含み益を有していることから、多額の減損損失の計上の可能性は低いものと認識しております。
②繰延税金資産
当社グループは、将来、十分な一時差異等加減算前課税所得が発生し税負担額を軽減する効果を有すると判断した場合に繰延税金資産を計上することとしております。十分な一時差異等加減算前課税所得の判断にあたっては、計算の基礎となる損益予想等の利益について、経営環境等の外部要因の変化や、予想の前提条件の変動の有無等を勘案し検証を行い判断しております。解消スケジュールを見通すことが可能な一時差異については、解消年度の回収可能と判断される額まで繰延税金資産を計上し、解消スケジュール不能な一時差異及び解消年度の回収可能額を超える一時差異については評価性引当額を計上することとしております。
当該見積りにおける、前提条件等が大幅に変動し見直しが必要となった場合、翌連結会計年度以降の連結財務諸表において認識する繰延税金資産及び法人税等調整額の金額に重要な影響を与える可能性があります。
③継続企業の前提の評価
当社は、継続企業の前提に関する重要な不確実性の有無の判断にあたり、貸借対照表日の翌日から1年間のキャッシュ・フローを見積っております。海運市況の変動等によりキャッシュ・フローが大幅に変動した場合、当該不確実性の判断に影響を及ぼす可能性があります。
a.運営船舶
(注) 短期用船船舶は除いております。
b.運航実績
(注) 貸船中の船舶あるいは貸船中の航海に係るものについては、記載を省略しております。
c.収益実績
当連結会計年度における収益実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1 セグメント間の取引については相殺消去しております。
2 主な相手先別の収益実績及びその総営業収益に対する割合は、次のとおりであります。
3 本表の金額には、消費税等は含まれておりません。
該当事項はありません。
該当事項はありません。