第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)経営理念及び経営方針

〔経営理念〕

「国内及び国際海上輸送を通して社会に貢献します」

 

〔経営方針〕

当社グループは、以下を経営方針として掲げております。そのうえで所有船舶の安全運航を第一の課題として位置付け、船舶管理を徹底する等、効率的な運行管理に日々努めております。

1.企業は株主・取引先・従業員・地域社会がその存在基盤であるとの認識のもと、調和のとれた経営を行い、社会的に尊敬に値する企業を目指す。

2.永年培った海運技術およびノウハウの蓄積と展開により、様々なニーズに柔軟に対応することで顧客に信頼される特色ある優良企業を目指す。

3.安定的に企業価値を高め、期待される株主利益を創出していくために、外部環境の変化に即応しつつ、投下資本全体に対する効率性を追求していく。

4.法令および社会的規範を遵守し、公正かつ透明な事業活動を行う。広く社会とのコミュニケーションに努め、企業情報を公正に開示する。

5.安全運行の徹底および海洋・地球環境の保全に努める。

 

(2)経営環境

① 海運市況

主に中国の旺盛な経済発展に起因した2002年後半から2008年のリーマンショックまでの継続的な海運市況の高騰に伴いオーダーされた船舶の竣工ラッシュが2008年頃から始まり、2013年頃にようやく収束しましたが、2014年からの中国の新常態や新興国の経済停滞に伴う2015年・2016年の貿易量の縮小・停滞等の要因により、海運市況は2012年以降長期に亘り低迷状態を継続し、2016年2月にはBDI始まって以来の最低値を記録しました。

その後2017年からスクラップ量の増大と竣工量の減少による船舶供給量の減少と貿易量の増加による相乗効果により、しばらく市況は回復傾向にありましたが、2019年暮れから新型コロナウイルスの世界的感染拡大に伴う世界経済の停滞が発生したことにより、2020年前半は海運市況は急激に落ち込みました。しかし2020年後半からはコロナ禍のリバウンド、季節的な石炭と穀物輸送の増加による影響等により、海運市況は即座に回復し、その後大幅に上昇しました。今後も船舶と世界トレードの需給バランスから考察すると、市況は堅調に推移することが見込まれますが、2022年から続くロシアのウクライナ侵攻等の地政学的問題、また世界のコロナ対策としての金融引き締めによる経済悪化等に対する注意が肝要です。

 

② 環境保全に求められる対応

  当社グループの環境保全に対する取組み内容は、(4)対処すべき課題、及び2.「サステナビリティに関する考え方及び取組」に記載しております。

 

(3)経営戦略

  当社グループは、以下の戦略を実践して参ります。

 ① 事業戦略

  [外航海運業]

   ・長期契約獲得による、収益の安定化

   ・契約の中長期化による業績ボラティリティの抑制

 

今後も引き続き、長期に渡り信頼関係を構築し継続してきた顧客各社、日本軽金属株式会社・全国農業協  同組合連合会・伊藤忠商事株式会社・Lafarge Holcim Trading Ltd.・吉野石膏株式会社・その他顧客の求める短期ニーズに対してはもちろんのこと、中長期のニーズに対しても連携・協調・対応し、各社との中長期的なコア輸送事業の契約を、効率的かつ安定的に実行して参ります。更には経済的ロスを減少し、環境保護に配慮・適応しつつ事業の継続・拡大を目指し、海運市場に呼応して顧客・時代・社会の要求に適う船舶を建造して参ります。今後も当社船を効率良く配船のうえ、同時に新規カーゴの獲得に努め、またバランスの取れた短・長期用船を計画して参ります。そのうえで当社の事業規模拡大の為、将来を見据えた人材採用・育成を実践して参ります。

 

 

  [内航海運業]

   ・内航海運業の安定収益の拡大

   ・取引先との価格交渉を含めた、船舶別採算の改善

 

  今後も、定期用船している貨物船1隻は、水酸化アルミニウム等の安全輸送・効率輸送に努めて参ります。所有船2隻(第二鶴玉丸 白油 3,767G/T ・ 第二十一いづみ丸 液化ガスばら積み船 748G/T)及び子会社で裸用船しているケミカルタンカー(第七鈴鹿丸 749G/T)の定期貸船の安全運航に努め、コスト削減のうえ安定収益の確保を図って参ります。

 

上記の事業戦略を実現することにより創出されたキャッシュフローを投資戦略の原資とし、「財務戦略」を進めて参ります。

 

 ② 投資戦略

  [外航海運業]

   船舶と貨物、バランスを保つ投資判断。

   ・リプレイスを含めた船舶への継続投資への検討

   ・新規取引先(貨物)開拓に向けたマーケティング活動

 

  [内航海運業]

   船員・船舶・貨物のバランスを保つ投資判断

   ・持続的な船員確保体制の構築

   ・新規貨物・船舶新造船機会獲得の為の営業活動強化

 

 ◆中期経営計画

当社グループは、2021年12月に、2022年3月期-2024年3月期における中期経営計画を策定しました。

上記①②の戦略等は、中期経営計画から抜粋した内容です。

 

2022年3月期-2024年3月期の中期経営計画の詳細につきましては、当社HPをご参照ください。

http://www.tamaiship.co.jp

 

 

当社グループは、主力である外航海運業・内航海運業、また不動産賃貸業含めた全ての業務において、無駄を省いた組織の構築化を進めており、全体としての行動を迅速・正確に進め、効率化を図り、安全と経済性への意識をより一層充実することを心掛けたうえで企業価値向上に努めて参ります。

 

(4)対処すべき課題

① 外航海運業

1.当社支配船(長期用船)の隻数に見合う、中長期安定的な輸送契約の獲得に努め、市場の上下に拘らず安定的な収益をあげられる様努力します。

2.上記の結果、顧客のニーズにより、年間輸送量よりも貨物量増となりバランスが取れなくなった場合には、当初は市場からの短期用船の輸送契約として対応し、更なる輸送の拡大と長期化を図る為、その市場に応じた長期用船、または買船・新造船計画を立案し、安定収益の拡大を図って参ります。

3.長期的な視野に立ち、社員のOJTを充実させ、国際的な人材を育成し、新規カーゴの国際間輸送契約の獲得を目指して参ります。

4.可能な限り、顧客との交流を図り、相互の信頼関係を構築し、新規カーゴの獲得に努めて参ります。

5.世界の日々の変化に対応すべく、あらゆる情報網を駆使して情報収集し、中長期視点で海運市況を分析・勘案し、業務を遂行することで、安定的な収益の向上に繋げて参ります。

 

 当社グループは、外航海運業の営業施策として、コスト競争力のある船舶を市場に投入することにより、収益

基盤を確立する必要があると考えております。

2023年6月現在、外航海運部門における新型コロナウイルス感染症の影響はほぼ解消されつつあり、今後も引き続き、主要設備である4隻の外航船舶を中心とした、営業収益の多くの部分を占めている南米から日本向けの水酸化アルミニウム輸送と、主に北米から日本向けの穀物輸送による採算性向上を図り、また往復貨物であるスラグ等の獲得に鋭意努力して参ります。

1航海当たりのCO2排出量の減少を図る為、最善と思慮される輸送契約(COA数量積輸送契約)の長期的・安定的な確保と、タイムリーなスポット貨物の獲得に注力いたします。

 

② 内航海運業

現在船員の高齢化及び急激な船員不足となり、縮小化が進む内航海運業界において、平均年齢34歳の有望な船員を保有する子会社大四マリンの優位性を最大限に生かしつつ、更に国土交通省認定の「日本船舶・船員確保計画」に基づいて若年船員を計画的に雇用、教育訓練を重ね積極的に船員派遣を行い、安定収益の確保に繋げて参ります。

また、2022年4月施行の海事産業基盤強化法における「船員の働き方改革」を着実に実現し、労働環境の改善を図り、若年船員の定着率上昇に繋げて参ります。

内航海運業の業績に関して、当連結会計年度では、定期用船している貨物船等に関しては以前に比べ収益性が向上しました。今後は、保有するタンカー2隻及び子会社大四マリン株式会社の収益性を改善するため、上記のとおり船員の定着率を維持しつつも、人件費・船費・一般管理費等のかかるコストに対して抜本的な見直しを行い、コスト削減を実行するとともに適正な用船料・運賃等の交渉を進め、運航採算性の向上を図って参ります。

 

③ 資本コスト・株価を意識した経営計画の策定

現在当社グループは、資本収益性や成長性に重点を置いた、「資本コスト・株価を意識した経営計画」を策定中です。ROE・PBR・株主資本コスト等を基とした分析を改めて行い、外航海運業・内航海運業の経営課題と、進行中である財務戦略・投資戦略等を盛り込んだ取組み計画内容とする予定です。2023年中の開示を目指しております。

 

④ 環境保全に求められる対応

 環境への対策として、当社グループは事業による海洋環境及び生態系への影響を認識し、海洋環境への影響を

 最小化するために最大限の取組みを行います。内外航船における船舶の安全運航を徹底し海難事故を防止し、環

 境規制遵守を行い、海洋環境の保護に努めて参ります。国際海事機関(IMO)では、大気汚染防止措置としてSox

 低減規制を発行しており、燃料油の硫黄分濃度の上限を順次引き下げております。欧州、アメリカ、カナダの指

 定海域(ECA:Emission Control Area)で使用する燃料油の硫黄分濃度上限は、2015年1月から1.0%から0.1%に

 引き下げられており、地中海においても2025年5月1日より同規制が開始されます。一般海域で使用する燃料油

 の硫黄分上限は、2020年からは、0.5%となりました。当社グループでは規制適合油を使用し、規制に対応して

  おります。また燃料油を燃焼させると大気汚染の原因となるNOxが生成されますのでNOxを低減させるための規制も発行されており、2011年以降の建造船は2次規制に対応しています。また、今後の建造船については3次規制に対応して参ります。

 

  ⑤ 安全運航と環境保全に対応する設備に関して

 温室効果ガス(GHG)排出の抑制対策は IMO にて規制され、(1) 2030年までCO2排出量40%以上削減(輸送量あたり、2008年比)、(2) 2050年までにGHG排出量50%以上削減(2008年比)、(3) 今世紀中なるべく早期の排出ゼロ、という目標が設定されております。2013年にEEDI(エネルギー効率設計指標:Energy Efficiency Designed Ship Index新造船に対する指標)が施行され、また2023年より「EEXI(既存船燃費規制: Energy Efficiency Existing Ship Index)・燃費実績(CII: Carbon Intensity Indicator)格付け制度」が施行されます。EEXI規則に適合させるために機関出力制限(Engine Power Limitation、EPL)を設置し規則に対応して参ります。また、CO2排出量の削減について、保有船舶に対して下記の対策を行い環境保護の推進に努めております。減速による燃料消費の削減、PBCF(Propeller Boss Cap Fin: プロペラハブ渦により失われるエネルギーを回収しプロペラ効率を向上させる設備)の設置、燃費の低減を図り環境に優しい船体塗料を使用、電子機関の設置等順次CO2の排出削減を行っております。

 2025年の竣工船にはEEDI(Phase3)を先取り適用し環境対策を行っております。新燃料に対する長期的な船体整備計画においては、次世代燃料である水素・アンモニア・LNG/LPG・メタノール・エタノール燃料等の開発状況を視野に置き慎重に検討を行っております。

 

 その他、当社グループの環境規制に対する取組み内容は、2.「サステナビリティに関する考え方及び取組」に記載しております。

 

 

2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】

 

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

当社グループは、「国内及び国際海上輸送を通して社会に貢献する」を経営理念として掲げており、この理念を実現するために、グループ全体で「Environment(環境)」「Social(社会)」「Governance(ガバナンス)」を基軸とするESG経営に対して真摯に取り組みます。

ESG経営を全うする為には、船舶の安全運航を第一に、当社の株主様・顧客の皆様・当社の役員と従業員を含めたステークホルダー全体で、「地域社会への貢献」がその存在基盤となることを認識し、「効率的な運行管理」「船舶安全管理の徹底」「コンプライアンスと社会秩序の維持」、これら全ての調和がとれた経営を行い、持続的な成長と中長期的な企業価値の向上を目指して参ります。

 

◎ 当社のESG経営において掲げる方針

 

[海上輸送]

 地球上に遍在する資源・物資・製品を必要とされる場所に、気候変動と海洋環境を留意して輸送することにより、人類の生活向上に貢献します。

 

[安全運航]

 内・外航乗組員に対する徹底した安全教育指導・安全管理技術の継続的改善と海技の伝承をして参ります。

 

[環境保全]

 以下を4点を行って参ります。

 1.海陸一丸となった、環境対策の強化(乗組員の環境汚染対策教育、廃棄物処理の徹底管理)

 2.温室効果ガスの排出対策と低GHG排出機関への対応準備

     ① 低炭素燃料を使用する等、新技術機関搭載船舶の検討

     ② 減速航海の深度化

 3.シップリサイクル条約・規則に則った準備、安全対策と教育

 4.今後の新規則・規制に対する対応

 

(1) ガバナンス 

 当社グループは、気候変動への対応と人材育成を経営上の重要課題と認識し、2023年6月より、当社に内部統制委員会内にサステナビリティ委員会を新たに設置し、ガバナンス体制を構築するとともに取締役会によるグループ全体の監督を行って参ります。

 

[取締役会による監督体制]

 取締役会は、気候変動に対するリスク・機会にかかる課題について適宜内部統制委員会(サステナビリティ委員会)より報告を受け、モニタリングします。

 

 

(2) 戦略

サステナビリティ委員会において、短期・中期に渡って経営方針・経営戦略等に影響を与える可能性があるサステナビリティ関連のリスク及び機会に対処する為の取組内容を現在整備中です。

現在のところ把握できているリスクは、(3)リスク管理に記載しております。

 

 

◎ 人材の育成及び社内環境整備に関する方針、戦略 

当社グループにおける会社経営の持続的成長及びESG経営に欠かせない重要な要素の一つとして、「人材育成」があると考えております。

その「人材」である従業員の採用に当たっては、当社グループの会社規模等を勘案しながらも、多様性の確保に向けた施策を推進しております。

 

人材の育成としては、多種多様な顧客の需要に応じてサービスを提供し、また働きやすい職場環境を作り、当社グループに何が必要であるべきかを提案する発想力等を併せ持った社員に成長を促していくことが肝要であると考えております。その為、適宜必要な研修・講習の機会を与え、責任ある業務を課し、個人の持つ資質を研鑽して参ります。将来的には、企業の繁栄と顧客の立場に立って考えられることができる、当社グループ経営を背負える人材に育成して参ります。

また、乗組員につきましては、上記に加えて、当社グループが現在までの間に築いてきた安全運航と知識に関する海技の伝承を大切にして参ります。

 

(3) リスク管理 

 サステナビリティ委員会は、気候変動及び環境関連規則の変更により当社グループ事業へ与える影響について、内部統制委員会へ評価を報告し、内部統制委員会では、当該影響について再評価のうえ取締役会に報告し、取締役会では評価報告の都度、その内容の審議を行い、識別したリスクの最小化機会の獲得に向けた方針を示し、最終的な対応策の検討及び目標の設定を行います。

 

 現在、当社におけるGHG/CO2の対策としては、各船舶主機の減速をメインとしており、また、付属物PBCF等は当社グループ保有の船舶に適応できるものは積極的に採用し、外板にも環境に優しい塗料を使用し海洋環境の保全に努め持続的な社会の実現、企業価値の向上を目指し、顧客の皆様の利益と顧客の拡大に繋げて参ります。

 今後規則の改正により、新燃料への対応が必須となった時、例えば水素・アンモニア燃料等を使用する船舶の場合は船価がかなり高額となることが予想されます。

 

(4) 指標及び目標

 上記(3)リスク管理に記載いたしました、新燃料への対応につきましては、基本的に規則を遵守し、また規則の先取り可能な点については積極的に取り入れる考えでおりますが、新燃料に関しては未だ開発段階にあり、インフラ整備が十分でない為、インフラ整備の進捗状況に応じて戦略及び指標を報告いたします。

 

◎ 人材の育成及び社内環境整備に関する方針に関する指標の内容並びに当該指標を用いた目標及び実績、指標及び目標

本件に関しては、上記「人材の育成及び社内環境整備に関する方針、戦略」に記載のとおり、当社グループの会社規模等を勘案しながらも、多様性の確保に向けた施策を推進しておりますが、現在のところ具体的な実績を示すに至っていない状況にあります。

しかし、女性従業員に関しては少数ながらも、一般職から準総合職へと昇格を行っており、また総合職の採用も積極的に行っております。子会社においては、女性の取締役が就任しております。

なお、将来的には、現在当社グループの船舶に船員派遣会社より配乗していただいている外国人乗組員を対象として、船舶の海務監督・工務監督として陸上勤務採用すること等を視野に入れております。

 

 

3 【事業等のリスク】

当社グループの経営成績、財務状況及び株価等に重要な影響を与える可能性があると認識しているリスクは、以下のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

前事業年度の有価証券報告書に記載した「事業等のリスク」からの重要な変更があった事項は以下のとおりであります。

 

また、当社グループの業績は、今後起こり得る様々な要因により影響を受ける可能性があり、以下には当社グループの事業展開上、リスク要因となる可能性があると考えられる主な事項を記載しております。

 

(1) 海運市況の変動リスク

 当社グループは、経営方針に「安定的に企業価値を高め、期待される株主利益を創出していくために、外部環境の変化即応しつつ、投下資本全体に対する効率性を追求していく」旨を掲げており、海運市況等の一時的な変動に左右されないよう、中長期の契約を主体として安定的な収益確保に努めておりますが、外航海運部門においては、中長期契約の更改時点やスポット輸送を行う場合の契約締結時の海運市況(海上輸送量の増減、競争の激化、船舶需給のバランス等の影響)により、運賃収入及び貸船料収入等が大きく変動する場合があり、当社グループの業績及び財務状況に影響する可能性があります。その為、運航船舶の中で所有船と用船とのバランス、引受け貨物のうちの長期契約とスポット契約のバランスをとることで市況変動リスクを低減しております。

 

(2) 為替変動リスク

 当社グループ主要事業である外航海運業の運賃・貸船料等の収入は、大部分が米ドル建てとなっております。一方、費用については、燃料費、外地港湾経費、借船料、船員費・保険料等については米ドル建てが多くを占めていますが、船舶修繕費や一般管理費等の円建て経費も多く、米ドル建て収入と費用の収支バランスについて為替変動による影響を受けることとなります。当社グループは、必要に応じて、こうした為替変動のリスクを一定程度まで低減するよう為替予約等によるヘッジ策を講じておりますが、必ずしも完全に回避できるものではありません。そのため為替相場の状況によっては当社グループの業績及び財務状況に影響する可能性があります。

 

(3) 情報システムリスク

当社グループの基幹業務システムには、外部からの不正なアクセスやコンピューターウイルスの感染対策の為ウイルス対策ソフトの導入及びファイヤーウォールシステムを使用し、また自然災害に対する安全策としてバックアップをとる等の対応をしておりますが、万一情報の漏洩やデータ喪失等の事態が生じた場合、当社グループの業績及び財務状況に影響する可能性があります。

 

(4) 金利変動リスク

 当社グループは、船舶建造資金及び長期運転資金の調達のために金融機関から借入を行っております。そのうち、変動金利で調達している外航船舶建造資金の借入金については、有利子負債の削減に努めると同時に、金利固定化などにより金利変動リスクの低減に努めておりますが、将来の金利変動によっては当社グループの業績及び財務状況に影響する可能性があります。

 

(5) 燃料油価格変動リスク

 当社グループの外航海運業で運航する船舶の燃料油価格は、原油市場の動向により変動するため、価格上昇局面では運航燃料費が増加することとなり、損益に影響を受けることがあります。

 当社グループは、価格変動の影響を低減するために一部荷主との間にバンカーサーチャージを設定しており、費用増加分を運賃へ転嫁しておりますが、全ての増加分を転嫁できない場合、当社グループの業績及び財務状況に影響する可能性があります。内航海運業で運航する船舶についても、燃料価格の大幅な上昇による費用増加に対応すべく、一部荷主との間に燃料油価格変動調整金を設定し、当事業年度より実施しております。しかし、全ての増加分に対応できない場合、当社グループの業績及び財務状況に影響する可能性があります。

 

 

(6) 資金調達リスク

当社グループ保有の外航船舶は、建造資金借入の為にシンジケートローン契約を締結しており、契約には財務制限条項が付されております。これらの条項に抵触し、当該負債の一括返済を求められた場合、当社グループの財務状況に影響する可能性があります。

 

(7) 固定資産の減損損失計上のリスク

当社グループは、「固定資産の減損に係る会計基準」を適用しており、保有する船舶等の固定資産の時価が著しく下落した場合や収益性が悪化した場合には減損損失を計上することとなり、当社グループの業績及び財務状況に影響する可能性があります。

 

(8) 海難事故リスク

当社グループは、経営方針に「安全運航の徹底及び海洋・地球環境の保全に努める」ことと定め、「事故ゼロ・漏油ゼロ」を目指しておりますが、海難事故が発生してしまった場合は、人命・貨物・船舶等の損失・損傷のリスクや、燃料等の流失による海洋汚染のリスクがあります。その為、当社グループでは国際安全管理コード(ISM CODE)に基づく「船舶安全管理システム」を構築し、乗組員の定期的な教育・研修、海難事故を想定した緊急対応訓練を実施する等、万全の体制をとっております。万一海難事故が発生した場合に備え、各種保険による損失補填対策を図っておりますが、事故の規模によっては業績及び財務状況に影響する可能性があります。

 

(9) 資産価値変動リスク

当社グループの保有する資産(船舶・不動産・投資有価証券等)について、経済状況や海運市況の変動等の影響により資産価値が下落した場合は、当該資産の売却に伴う損失や減損損失が発生し、業績及び財務状況に影響する可能性があります。

 

(10)公的規制等のリスク

当社グループは、経営方針に「法令及び社会的規範を遵守し、公正かつ透明な事業活動を行う」旨を掲げております。当社の主要事業である海運業は、船舶の設備の安全性及び安全運航の為、各国・地域や国際機関の法令や規則等、様々な公的規制による影響を受けております。これらの法令・規制を遵守する為、コスト増加若しくは事業展開が制限されること等により、当社グループの業績及び財政状況に影響する可能性があります。

 

(11)世界各地の政治・経済情勢によるリスク

当社グループの事業活動は、日本を含む世界各地に及び、各地域における政治・経済状況等の影響を受ける可能性があり、以下のようなリスクが挙げられます。

・不利な政治的または経済的要因

・事業及び投資許可、租税、為替管理、独占禁止、通商制限などの公的規制の影響

・戦争、暴動、テロ、海賊、伝染病、ストライキ、その他の要因による社会的混乱

・地震、津波、台風等の自然災害 等

 

(12)新型コロナウイルス感染症によるリスク

2023年6月現在では、新型コロナウイルス感染症は収束傾向にございますが、当社グループは、引き続き新型コロナウイルス感染症の拡大リスクに対し常時関連情報の収集を続け、運航船舶に関しては日本船主協会等が作成した同感染症の対応ガイダンスを基に船内の安全確保と安全運航維持のための措置を講じております。

 

 

4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

(1)経営成績

当連結会計年度における世界経済は未だ、新型コロナウイルスによる影響を受けた世界的な経済危機から、通常の状態への回復途上にあるものと考えられますが、昨年12月、中国政府によるゼロコロナからウイズコロナへの転換により、停滞していた中国経済が徐々に戻りつつあり、それに伴い資源輸入も増加傾向で、旧正月明け後にドライバルク船市況も全般的に穏やかな回復基調にあります。

先進国について、米国での景気は減速傾向ですが比較的良好に推移しました。今後も高インフレや政策金利の引き上げが景気を下押しする見込みですが、良好な雇用環境や個人消費の増加により徐々に持ち直す見込みです。EU圏と英国では、ロシアのウクライナ侵攻による戦争の影響が大きく、高インフレが継続しエネルギーの高騰等も加わり景気の低迷が長期化する見込みです。日本経済も資源高と円安に基づくインフレ傾向にありますが、金融緩和の姿勢は継続しつつ新型コロナ感染症法上の位置づけが5類に引き下げられることに伴うインバウンド需要の増加等により、今後も同様に良好な状態が継続する見込みです。新興国経済について、インドでは良好な状態が継続し、その他の国に関しても中国経済を筆頭に徐々に回復する見込みですが、インフレの高止まりや最近の金融部門の混乱、さらには地政学的リスクなどの全般的な経済の下押しリスクに対する注意が肝要です。

このような世界経済情勢の下、外航ドライバルク船市況はインフレ及び高金利による世界景気の後退、季節的な中国経済の旧正月に伴う停滞、滞船の減少に因る船舶稼働率の増加、さらにはロシアのウクライナ侵攻の長期化等もあり2月中旬まで下降しましたが、中国経済の回復、供給船舶の減少、新船舶環境規制の発効等に因り、穏やかに回復基調にあり、今後も中国の景気好転に伴う貿易量の増加が予想され、結果としてマーケットの好転が期待されます。しかし世界的な金融部門の混乱に伴う経済成長鈍化、さらには今後の地政学的リスクの悪化等によっては、海運マーケットに悪影響を及ぼす恐れもあり、今後の様々なリスクに対応するための準備と対策が必要とされています。

以上のような状況下、当連結会計年度も安全と顧客へのサービスを第一に、市況リスク並びに運航リスク、さらには環境負荷の軽減に全社で努力を傾注するとともに、太平洋と大西洋を結ぶトランスオーシャン輸送に当社の支配船舶を可能な限り重点的に配船し、安全且つ経済的、効率的な輸送につとめ、定期用船も含めた新規契約の獲得に鋭意努力し、将来を見据えた事業展開を図りました。

この結果、当連結会計年度の営業収益は、7,307百万円(対前連結会計年度比572百万円、8.5%増)、営業利益1,316百万円(同△226百万円、14.7%減)となりました。

営業外収益77百万円、営業外費用としてシンジケート・ローンの組成手数料等208百万円を計上し、経常利益は1,185百万円(同△404百万円、25.5%減)となり、法人税等、非支配株主に帰属する当期純利益を減算して、親会社株主に帰属する当期純利益は820百万円(同△369百万円、31.0%減)となりました。

 

 

セグメント別の経営成績は次のとおりであります。

   ・外航海運業

支配船舶による北米からの輸入穀物や南米からの水酸化アルミ、海外向けのスラグの輸送を行い、運航採算の向上に努めるとともに、一部支配船舶の短期貸船により安定収益の確保を図りました。

営業収益は、マーケットは下落したものの、貸船が減少し自社運航が増加したことに加え、円安とバンカー・サーチャージの増加により、6,250百万円(対前連結会計年度比556百万円、9.8%増)となりました。営業費用は、貸船が減少し自社運航が増加したことに加え、燃料油価格の高騰で運航費が大幅に増加し、1,766百万円の営業利益(同△171百万円、8.8%減)となりました。

 

 

   ・内航海運業

定期用船1隻による水酸化アルミなどの輸送を行い、安全輸送と効率配船に努めるとともに、所有船2隻に加え他社船1隻の定期貸船により安定収益の確保を図りました。また、船員を他社へ融通し派遣業収入を得ました。

ドライバルク部門でバンカー・サーチャージの増加はあったものの輸送量が減少し全体として減収となりました。一方、タンカー部門では貸船料の値上げによる増収により、内航海運業全体での営業収益は、946百万円(対前連結会計年度比16百万円、1.8%増)となりました。営業利益面では、船員費や船舶修繕費などの増加により営業費用が増加したため、24百万円の営業利益(同△15百万円、39.3%減)となりました。

 

 

   ・不動産賃貸業

不動産賃貸業においては、コロナ以前の水準まで回復し順調に推移した結果、営業収益は、109百万円(対前連結会計年度比△0百万円、0.5%減)、営業利益は39百万円(同△6百万円、14.1%減)となりました。

 

(営業利益は配賦不能営業費用(514百万円)控除前のものです。)

 

(2)財政状態

  ・ 流動資産

当連結会計年度末における流動資産の残高は2,506百万円で、前連結会計年度末に比べ762百万円減少いたしました。その他流動資産が228百万円増加した一方、現金及び預金が1,015百万円減少したことが主な要因であります。

 

  ・ 固定資産

当連結会計年度末における固定資産の残高は8,544百万円で、前連結会計年度末に比べ369百万円減少いたしました。建設仮勘定が528百万円増加した一方、減価償却により船舶が822百万円減少したことが主な要因であります。

 

  ・ 流動負債

当連結会計年度末における流動負債の残高は1,251百万円で、前連結会計年度末に比べ1,000百万円減少いたしました。一年内返済予定の長期借入金が665百万円、未払法人税等が408百万円減少したことが主な要因であります。

 

  ・ 固定負債

当連結会計年度末における固定負債の残高は3,166百万円で、前連結会計年度末に比べ874百万円減少いたしました。長期借入金が817百万円、繰延税金負債が52百万円減少したことが主な要因であります。

 

  ・ 純資産

純資産は、親会社株主に帰属する当期純利益などによる株主資本の増加724百万円とその他有価証券評価差額金の増加によるその他の包括利益累計額合計の増加16百万円と非支配株主持分の増加1百万円により、前連結会計年度末に比べ742百万円増加し、6,632百万円となりました。

 

(3)キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

①キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)の期末残高は、営業活動の結果得られた資金1,170百万円、投資活動の結果使用した資金524百万円、財務活動の結果使用した資金1,718百万円などを加減した結果、前連結会計年度末に比べ1,015百万円減少し、1,531百万円となりました。

 

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度において営業活動の結果得られた資金は、1,170百万円(前連結会計年度比1,707百万円の収入減)です。これは、税金等調整前当期純利益1,185百万円が計上されているうえに、減価償却費841百万円などの非資金費用の調整があり、支払手数料139百万円、仕入債務の増加額127百万円などの増加項目に、法人税等の支払額734百万円、その他の資産の増加額228百万円などの減少項目を加減した結果によるものであります。

 

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度において投資活動の結果使用した資金は、524百万円(前連結会計年度比490百万円の支出増)です。これは、主に有形固定資産の取得による支出543百万円などによるものです。

 

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度において財務活動の使用した資金は、1,718百万円(前連結会計年度比878百万円の支出増)です。これは、主に長期借入金の返済による支出1,482百万円、支払手数料139百万円、配当金の支払額95百万円などによるものです。

 

翌連結会計年度のキャッシュ・フローの見通しにつきましては、営業活動で得られるキャッシュ・フローは、当連結会計年度と同程度のキャッシュ・フローを見込んでおります。また、投資活動においても、当連結会計年度から大きな変動はないと見込んでおります。また、財務活動においては、当連結会計年度は一部の借入金の一括返済を行いましたが、翌連結会計年度は予定されていないため支出減を見込んでおります。

 

②資金需要

当社グループの事業活動における資金需要の主なものは、船舶の購入に係る設備資金、運転資金、借入金の返済、配当金の支払い等であります。

 

③資金調達

当社グループは、運転資金については内部資金や金融機関からの借入により充当し、設備資金については、大部分を金融機関からの長期借入金により調達しております。

 

(4)重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。

連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは以下のとおりであります。

 

①海運業収益

「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。

 

②繰延税金資産

当社グループは、将来、十分な一時差異等加減算前課税所得が発生し税負担額を軽減する効果を有すると判断した場合に繰延税金資産を計上することとしております。十分な一時差異等加減算前課税所得の判断にあたっては、計算の基礎となる損益予想等の利益について、経営環境等の外部要因の変化や、予想の前提条件の変動の有無等を勘案し検証を行い判断しております。解消スケジュールを見通すことが可能な一時差異については、解消年度の回収可能と判断される額まで繰延税金資産を計上し、解消スケジュール不能な一時差異及び解消年度の回収可能額を超える一時差異については評価性引当額を計上することとしております。

当該見積りにおける、前提条件等が大幅に変動し見直しが必要となった場合、翌連結会計年度以降の連結財務諸表において認識する繰延税金資産及び法人税等調整額の金額に重要な影響を与える可能性があります。

 

(5)運営船舶及び収益の実績

  a.運営船舶

区分

(前事業年度) 2022年3月31日現在

(当事業年度) 2023年3月31日現在

 

隻数

重量トン数(K/T)

隻数

重量トン数(K/T)

自営

外航

4

214,084

4

214,084

内航

1

1,630

1

1,630

5

215,714

5

215,714

貸船

内航

2

6,563

2

6,563

2

6,563

2

6,563

7

222,277

7

222,277

 

(注) 短期用船船舶は除いております。

 

  b.収益実績

当連結会計年度における収益実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

金額(千円)

前期比(%)

外航海運業

6,250,826

9.8

内航海運業

946,791

1.8

不動産賃貸業

109,574

△0.5

合計

7,307,192

8.5

 

(注) 1 セグメント間の取引については相殺消去しております。

2 主な相手先別の収益実績及びその総営業収益に対する割合は、次のとおりであります。

相手先

前連結会計年度

相手先

当連結会計年度

金額(千円)

割合(%)

金額(千円)

割合(%)

全国農業協同組合
連合会

2,279,694

33.8

日本軽金属㈱

2,416,282

33.0

日本軽金属㈱

1,336,185

19.8

全国農業協同組合
連合会

2,163,973

29.6

三菱マテリアル(株)

909,472

13.5

伊藤忠商事(株)

1,261,055

17.2

 

 

 

5 【経営上の重要な契約等】

当社の連結子会社であるT.S. Central Shipping Co.,Ltd.は、下記のとおり船舶売買契約を締結しております。

相手先

契約締結日

内容

住商マリン株式会社

2022年11月7日

2025年第1四半期竣工予定の載貨重量58,000トン型撒積運搬船1隻を株式会社大島造船所にて建造する契約

 

 

また、上記に伴い、2022年12月26日付で下記のとおり総額3,000,000千円のコミット型シンジケート・ローン契約を参加金融機関と締結しました。

(1)組成金額    3,000,000千円

    (2)借入形式    コミット型タームローン

    (3)返済期限    2035年4月27日

    (4)担保      船舶(本件新造船)

    (5)保証      玉井商船株式会社を保証人とする

    (6)アレンジャー  株式会社三井住友銀行

    (7)参加金融機関  株式会社三井住友銀行

              株式会社みずほ銀行

            株式会社三菱UFJ銀行

              株式会社みなと銀行

 

 

6 【研究開発活動】

該当事項はありません。