(1)会社の経営の基本方針
当社は港湾運送事業・国際コンテナー輸送・NVOCC・通関及び倉庫業を基本に国際複合一環輸送を主業務としております。また、国内輸送部門では海上フェリーを利用した隔地間輸送を行ない、倉庫部門では賃貸倉庫を経営しております。
経営理念は「常に豊かな総合物流の未来を拓く」を基本に、今日まで培った経験と実績を礎に顧客のニーズにいち早くお応えしながら「創造するロジスティクス」を追求することによって社会に貢献できる企業を目指しております。
併せて、当社事業の発展と経営の安定を実現することによって株主の皆様をはじめ、当社協力会社など信頼をお寄せいただいている方々のご期待に応えてまいります。
(2)目標とする経営指標
安定した収益の確保を目指す観点から、収入・粗利益・経費の中期計画を完全実施してまいります。あらゆる部店の利益確保を思考し、安定的に営業利益の確保を目指してまいります。
(3)中長期的な会社の経営戦略
当社は引き続き、多様化する荷主及び市場の変化に応え得る企業体質を確立して、如何なる経営環境の変化にも対応できるよう、営業力の強化と中長期的視点に立った施設・設備の充実、新たな輸送方法の研究・開発とそれを担う人材の育成を目指しております。
そのような状況下において、特に下記を重点項目と致しております。
1.重点対象荷主・貨種の選定
荷主の選別と集中を図り、それぞれの対応方針を明確にする。
2.海外拠点の強化
中国事務所の営業機能強化及び海外パートナーの拡大。
3.営業力の強化
営業担当者の質的向上、営業人員の増加、販売促進強化、営業推進体制の再構築。
4.物流機能の強化
港湾運送事業を基礎に3PL(サード・パーティ・ロジスティクス)を視野に入れながらパートナーのネット
ワークを強化拡大する。
5.ローコストオペレーションによる生産性の向上を図る。
港湾荷役事業・倉庫業・国内海上コンテナ・営業業務のコスト対応力を強化する。
(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当社は、厳しい国際・国内物流業界において、如何なる経済環境にあっても当社の営業基盤を確立できるよう、荷主に直結した作業・輸送システムを更に発展させてまいります。
毎期安定した収益、配当を確保すべく取り組んでおります。
営業上の立替金が増加し、資金負担、回収リスクが増加しており、立替金の管理及び早期回収を強化いたします。
経営姿勢として安全第一、コンプライアンスの徹底、地球環境に配慮したグリーン経営をより充実させ、経営資源を有効活用しながら中長期に亘って収益機会を創造いたします。今後は引き続き財務体質の尚一層の改善を図るべく、徹底した経営の効率化と安定化を目指してまいります。
なお、文中における将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。
当社のサステナビリティに関する考え方及び取り組みは次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。
当社は、持続可能性の観点から企業価値を向上させるため、サステナビリティ推進体制を強化しており、代表取締役社長岩崎雅信がサステナビリティ課題に関する経営判断の最終責任を有しております。
取締役会はサステナビリティ全般に関するリスク及び機会の監督に対する責任と権限を有しております。
代表取締役社長岩崎雅信が議長を務める経営会議においては、サステナビリティに関する重要課題に関するリスク及び機会に対応するための実行計画の立案、目標の進捗管理を行い、その内容を、毎月取締役会へ報告しております。
当社は、国土交通省港湾局が創設した「みなとSDGsパートナー」に申請し、2023年3月29日付で登録されました。みなとをフィールドとした企業として港湾の持続可能な発展を目指して取り組んでまいります。
当社における、人材の多様性の確保を含む人材の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針は、以下のとおりであります。
当社は、多様性確保のためには、従来の固定観念に縛られない多様な価値観を有する人材を集めることが必要であると考えており、性別や国籍に捉われない採用活動及び他業種等での経験を有する中途採用を積極的に行うとともに、働きやすい職場環境の整備や、これからの当社の担い手となる管理職層の育成に努めています。
当社では、様々なバックグラウンド・価値観を有する人々にとって働きやすい職場とすべく、育児や介護に関して社内規定を設け育児介護休業の取得について容易に行える環境を整えています。また育児介護休業が終了し復職の場合の取り扱いは原則として休業直前の職場及び職務とし、本人の申請により育児介護短時間勤務制度の適用を可能としています。また、ライフワークバランス推進の観点から、就業時間管理の徹底、会議の時間短縮・効率化等にも努めております。
当社は、環境保全行動計画を策定し、環境保全への取り組みを推進しています。
環境保全のための仕組み・体制の整備として、環境保全責任者及び推進体制を定め、従業員への環境関連法制の内容の説明等環境問題の理解と環境意識の向上を図り継続的に従業員教育等を実施しています。
エネルギー効率の向上として、営業所における電気使用原単位・燃料使用原単位の削減や老朽設備の代替による省エネ化の推進を行っています。
廃棄物の適正処理・リサイクルの推進として、廃棄物の発生量の削減やリサイクル率の向上を図っています。
事業所における環境保全として、環境教育の継続実施や事務の合理化・廃棄物品別処理の徹底に努めています。また、2009年3月と9月にトラック運送事業、2010年7月に港湾運送事業のグリーン経営認証を取得しております。
当社は、サステナビリティの指標としましてSDGs(サステナブル・デベロップメント・ゴールズ)をその指標としております。
環境保全として、当社の事業活動における省エネ化を図り、燃料等消費に関し、2021年の軽油使用139.3klを基準として2030年までに5%の削減を図ります。
当社は、女性の新規採用や管理職への登用を積極的に行っており、女性管理職は3名で、今後現状より増加させていく予定です。
中途採用についても積極的に行っており、また、中途採用者の管理職は50%に達しており、引き続き積極的に登用を行っていきます。
外国籍社員は現状目標設定しておりませんが、今後は事業展開等を踏まえて必要に応じて採用及び管理職への登用を図っていきます。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。
(1)立替金及び営業未収入金等の回収遅延や貸倒れリスク
当業界では長年の慣例として、荷主が払うべき海上運賃・関税・消費税をサービスの一環として、一時的に立替払いを行うことが一般的となっており、営業未収入金とともに多額の立替金が計上されるのが通常となっています。
そのため営業未収入金が回収不能となった場合、併せて立替金も回収不能となる場合があり経営成績及び財政状態に重要な影響を与えるリスクがあります。
また、立替金は営業活動の拡大とともに増加していく傾向にあるとともに、関税及び消費税率の変更があった場合に一時的に立替払いが急増し資金繰りに影響を与えるリスクがあります。
債権の貸倒れの発生については、景気動向により影響を受けることはもとより、個社特有の事情にもよるため、リスクが顕在化する程度や時期を特定することは困難でありますが、業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社では新規及び既存取引先について与信管理を徹底し債権の貸倒れの発生を防ぐとともに、経理部門において全社的な債権管理を行い、滞留債権の発生が認められた場合、営業部門に報告と対応策を求めることで貸倒れのリスクを管理しております。
また資金繰り計画を適時に作成・更新するとともに、一定の余裕資金を常に確保することで急な資金需要があった場合にも対応できる体制を構築しております。
(2)外部経営環境に関わるリスク
当社は大阪港の港運を中心とした総合物流事業を展開しておりますが、輸送需要は経済動向、天災、テロや戦争、疾病の発生・蔓延等により大きく減少する可能性があります。
(3)有価証券の価値の変動に関するリスク
当社では、低金利下での余資運用等の目的で有価証券を保有しておりますが予期せぬ金融市場の混乱等により、当社が保有する有価証券の価値の変動が当社の経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
当社では、有価証券の購入、売却に係る内部統制を整備・運用するとともに保有する有価証券の時価を適時に取締役会に報告する等、保有する有価証券の価値の変動に関するリスクの把握に努めております。
当期における当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において判断したものであります。
(1)経営成績
当期のわが国の経済は、社会経済活動の正常化が一層進み、引き続き緩やかな回復が続きました。一方で世界経済はウクライナや中東情勢の長期化、円安による原材料やエネルギー価格の高騰、中国経済の減速、米国新大統領の政策による日本経済への影響懸念など、先行き不透明な状況が続いております。
このような状況の中、当社におきましては新規顧客の獲得と既存顧客のお取引深耕に取組み、国際一貫輸送のさらなる受注獲得を目指して営業活動を展開してまいりました。円安の影響下にありながら輸入貨物の堅調な受注もあり、営業収入は増収、営業利益についても増益となりました。
以上の結果、当期における営業収入は前期比+580,501千円(+7.2%)の8,672,391千円となりました。営業利益は前期比+48,987千円(+25.2%)の243,572千円となりました。経常利益は前期比+59,524千円(+22.5%)の324,229千円となりました。当期純利益は前期比△22,157千円(△7.6%)の269,543千円となりました。
セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。
1.港湾運送事業
当社の主要セグメントである当セグメントにおきましては、当社主要取引先の受注が堅調に推移したため、増収増益となりました。
この結果、営業収入(セグメント間の内部売上高又は振替高を除く)は、前期比+584,791千円(+7.4%)の8,470,551千円で、全セグメントの97.7%を占めております。
セグメント利益(営業利益)は、前期比+52,212千円(+9.8%)の584,705千円となりました。
2.自動車運送事業
当セグメントにおきましては、収益的には厳しい状況が続きました。
この結果、営業収入(セグメント間の内部売上高又は振替高を除く)は、前期比△3,895千円(△1.9%)の197,732千円で、全セグメントの2.3%を占めております。
セグメント損失(営業損失)は、13,032千円(前年同期は13,585千円のセグメント損失(営業損失))となりました。これは燃料費等諸コスト高騰の影響によるものです。
3.その他
当セグメントにおきましては、前年同期とほぼ同水準となりました。
この結果、営業収入(セグメント間の内部売上高又は振替高を除く)は、前期比△394千円(△8.8%)の4,108千円で、全セグメントの0.0%を占めております。
セグメント利益(営業利益)は、前期比△394千円(△8.8%)の4,068千円となりました。
① 生産、受注及び取扱の実績
a. 生産実績
当社は生産活動を行っておりませんので、該当事項はありません。
b. 受注実績
当社は受注から役務の提供までの期間が短期間のため記載を省略しております。
c. 取扱実績
当事業年度における取扱実績をセグメントごとに示すと、次のとおりになります。
(注) 1 セグメント間取引については、相殺消去しております。
2 金額は、販売価格によっております。
(2)財政状態
当事業年度末における流動資産は、前事業年度末より337,266千円減少して2,738,011千円となりました。これは立替金の増加98,699千円、現金及び預金の減少462,346千円等によるものであります。
当事業年度末における固定資産は、前事業年度末より144,325千円減少して2,693,133千円となりました。これはソフトウェアの増加87,706千円、投資有価証券の減少142,525千円、のれんの減少27,931千円、ソフトウェア仮勘定の減少24,500千円等によるものであります。
当事業年度末における流動負債は、前事業年度末より33,890千円減少して1,221,960千円となりました。これは、営業未払金の増加85,807千円、1年内返済予定の長期借入金の減少115,145千円等によるものであります。
当事業年度末における固定負債は、前事業年度末より174,367千円減少して741,346千円となりました。これは、長期借入金の減少87,238千円、繰延税金負債の減少80,519千円等によるものであります。
当事業年度末における純資産は、前事業度末より273,333千円減少して3,467,838千円となりました。これは繰越利益剰余金の増加202,596千円、自己株式の取得による減少300,095千円、その他有価証券評価差額金の減少181,920千円等によるものであります。
当事業年度は新規顧客の獲得と既存顧客のお取引深耕に取組み、国際一貫輸送のさらなる受注獲得を目指して営業活動を展開した結果、円安の影響下にありながら輸入貨物の堅調な受注もあり、営業収入が増加しました。
翌事業年度は日本経済は雇用・所得環境を背景として緩やかな回復基調が続くと予想されますが、資源価格の変動や物価上昇等、経済活動に与える下押し要因も依然として懸念されます。加えて世界経済では米国の政策動向により国際貿易の不透明感や景気鈍化のおそれもあり、こうした外部環境の変化が、輸出入需要やサプライチェーン全体に影響を及ぼす可能性があり、今後の動向を慎重に注視していく必要があります。
当社といたしましては、社会情勢を的確に分析しながら、いかなる状況のもとでも固定費の削減の意識を継続しながら、高付加価値、高収益を目指したSCM(サプライチェーンマネジメント)を構築し、業績の発展を目指してまいります。
(3)キャッシュ・フロー
当期のキャッシュ・フローにつきましては、営業活動により216,070千円、投資活動により△110,480千円、財務活動により△567,936千円となりました。この結果、現金及び現金同等物の期末残高は、前期末比△462,346千円の1,317,148千円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
216,070千円(前期は348,596千円)でありました。これは、税引前当期純利益401,708千円、法人税等の支払額△141,532千円、立替金の増加△98,699千円、仕入債務の増加85,807千円の計上が主な要因となっています。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
△110,480千円(前期は167,680千円)となりました。これは、投資有価証券の売却による収入246,059千円、投資有価証券の取得による支出△279,832千円、無形固定資産の取得による支出△77,250千円等によるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
△567,936千円(前期は△218,406千円)となりました。これは、自己株式の取得による支出△300,095千円、長期借入金の返済による支出△402,383千円、長期借入による収入200,000千円、配当金の支払額△60,345千円等に起因するものです。
当期につきましては、財務内容の更なる健全化のため、立替金のリスクを抑え、有形固定資産購入、経費等の支出の見直しにも注力しました。その財源は、営業活動により獲得されたキャッシュ・フローであります。
資金需要を満たすための資金は、原則として、営業活動によるキャッシュ・フローを財源としますが、巨額の資金需要に対応する場合等は、円滑な事業活動に必要なレベルの流動性の確保及び財務の健全性・安定性を維持するため、銀行等から借入等を行う方針です。資金調達を行う際は、期間や国内外の市場金利動向等、また自己資本比率、DEレシオ(負債資本倍率)やROEといった財務指標への影響度等を総合的に勘案しながら、最適な調達を実施します。
(4)重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。
当社経営陣は、財務諸表の作成に際し、決算日における資産・負債の報告数値及び偶発債務・後発事象の開示、ならびに報告期間における収入・費用の報告数値に影響を与える見積り及び仮定設定を行わねばなりません。経営陣は、債権の回収、投資、固定資産の減損、法人税等、退職金、偶発事象に関わる見積り及び判断に対して、継続して評価を行っております。経営陣は、過去の実績や状況に応じ合理的であると考えられる様々な要因に基づき、見積り及び判断を行い、その結果は、他の方法では判断しにくい資産・負債の簿価及び収入・費用の報告数字についての判断の基礎となります。財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び仮定は合理的な基準に基づき実施しております。
会計上の見積りにより当事業年度に係る財務諸表にその額を計上した項目であって、翌事業年度に係る財務諸表に重要な影響を及ぼす可能性があるものはありません。
該当事項はありません。
該当事項はありません。