(1)業績
当連結会計年度におけるわが国経済は、政府・日銀による経済対策・金融政策の効果により企業収益や雇用・所得環境の改善が見られるなど、景気は緩やかな回復基調が続いたものの、中国をはじめとする新興国経済の景気減速による影響や年明け以降の急速な円高などにより先行き不透明な状況で推移いたしました。一方、海外経済は、米国では雇用や個人消費の改善が見られるなど景気は底堅く推移し、欧州においても緩やかな回復が続きましたが、中国経済の減速や新興国経済の停滞などの影響もあり、全体として景気回復は力強さに欠ける展開となりました。
当連結会計年度における海運市況は、大型原油船(VLCC)につきましては、原油価格の下落により中国やインドなどを中心に需要が伸びていることに加え、西アフリカや中南米から極東向けの輸送需要が増し、トンマイルが伸びていること、また、新造船の竣工が少なかったことなどが要因となり、船腹需給が引き締まり、期首から好調な市況展開となりました。8月に入り成約が減少し、一転してWS30台まで下落しましたが、その後、冬場の需要期になると、再び上昇基調となり、12月にはWS90台まで上昇しました。年明け後も堅調に推移し、3月に中国港湾で悪天候による滞船が発生したことなどから船腹需給が引き締まり、WS100近辺まで上昇しました。石油製品船につきましても、中東やインドからの輸送需要が増し、また、米国の好景気や原油安に伴う製油所のマージン向上とガソリンの割安感が石油製品トレードを活発化させており、全般的には堅調な市況展開で推移しました。一方ばら積船の市況につきましては、中国の景気減速を背景とする荷動きの停滞に加え、引き続き新造船の供給圧力も強いことから、バルカーの運賃・用船料指数BDI(バルチック・ドライ・インデックス)は史上最安値を更新し、厳しい市況展開となりました。
こうした経済環境の中、当社グループはVLCCを中心とする長期貸船契約を主体に安定した経営を目指し、安全運航を第一とした船舶管理の高度化や諸経費の節減に全社を挙げて努めております。
当連結会計年度においては、1月に大型LPG船(VLGC)“LEGEND PROSPERITY”ならびにばら積船“新石洋”が竣工稼働し、2月には平成30年度第1四半期竣工予定のVLCC1隻の取得契約を締結いたしました。一方で、今後の損益改善を図るため、市況に比べ割高となっていたばら積船“KT CONDOR”の定期用船契約の期限前解約を昨年9月に行い、また3月には高齢のVLGC船“BENNY PRINCESS”を売船し、船隊構成の整備・拡充にも取り組んでまいりました。その結果、当期の経営成績は以下のとおりとなりました。
海運業収益は、当第4四半期にVLGC船“LEGEND PROSPERITY”及びばら積船“新石洋”が竣工・稼働したことにより貸船料は増加したものの、前期にVLCC“KOU-EI”を売船したことにより運賃収入が無くなった為、前期比2億2百万円減の125億6百万円となりました。海運業費用は前期及び当期に夫々1隻ばら積船を期限前解約したため、借船料が6億4千1百万円減少したこと等により、前期比4億4百万円減少し、98億1千7百万円を計上いたしました。これにより営業利益は18億9千万円(前期比8千8百万円増)となり、経常利益は前期の為替差益から為替差損に転じたため8億3千5百万円(前期比2億2千8百万円減)となりました。また特別利益として、VLGC船“BENNY PRINCESS”の売船に伴う売却益23億5百万円を計上いたしました。一方特別損失として、当社が定期用船するばら積船1隻を期限前解約したことに伴う違約金19億9千4百万円を計上いたしました。親会社株主に帰属する当期純利益は11億9千2百万円(前期比1億2千9百万円増)となりました。
なお、当連結会計年度より、「企業結合に関する会計基準」(企業会計基準第21号 平成25年9月13日)等を適用し、「当期純利益」を「親会社株主に帰属する当期純利益」としております。
(2)キャッシュ・フロー
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動による資金収支は、税金等調整前当期純利益の計上などにより、37億9千7百万円の収入となりました。(前期は49億4千9百万円の収入)
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動による資金収支は、有形固定資産の売却による収入がありましたが、船舶の建造代金の支払い等があり60億1千9百万円の支出となりました。(前期は36億6千4百万円の支出)
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動による資金収支は、主として船舶の建造に伴う借入と長期借入金の返済により20億9千3百万円の収入となりました。(前期は4億6千1百万円の支出)
この結果、当連結会計年度における現金及び現金同等物の期末残高は、期首に比べて2億1千2百万円減少し、23億3千1百万円(前連結会計年度比8.4%減)となりました。
当社グループは、外航海運業の単一セグメントであるため、生産、受注及び販売の状況につきましては、当社
グループの区分別に記載しております。
(1)運航船腹
|
区分 |
平成27年3月末 |
平成28年3月末 |
|||
|
隻数 |
載貨重量屯数(K/T) |
隻数 |
載貨重量屯数(K/T) |
||
|
所有船 |
油槽船 当社持分 |
10 |
1,698,039 |
10 |
1,703,871 |
|
(他社持分) |
(179,999) |
(179,999) |
|||
|
ばら積船 |
5
|
363,956 |
6
|
454,737 |
|
|
用 船 |
ばら積船 |
1 |
58,110 |
- |
- |
|
合計 |
16 |
2,120,105 |
16 |
2,158,608 |
|
(2)海運業収益実績
|
区分
|
第85期 |
自 平成26年4月1日 至 平成27年3月31日 |
第86期 |
自 平成27年4月1日 至 平成28年3月31日 |
||
|
千円 |
% |
千円 |
% |
|||
|
運賃 |
410,354 |
3.2 |
- |
- |
||
|
貸船料 |
12,282,001 |
96.7 |
12,488,444 |
99.9 |
||
|
その他海運業収益 |
16,377 |
0.1 |
18,116 |
0.1 |
||
|
合計 |
12,708,733 |
100.0 |
12,506,561 |
100.0 |
||
(注) 記載金額に消費税等は含まれておりません。
(3)主要な相手先に対する海運業収益
|
相手先
|
第85期 |
自 平成26年4月1日 至 平成27年3月31日 |
第86期 |
自 平成27年4月1日 至 平成28年3月31日 |
||
|
千円 |
% |
千円 |
% |
|||
|
日本郵船㈱ |
5,120,968 |
40.3 |
5,644,372 |
45.1 |
||
|
日本グローバルタンカー㈱ |
3,524,480 |
27.7 |
2,600,377 |
20.8 |
||
|
NYK BULKSHIP (ASIA) PTE.LTD. |
1,208,971 |
9.5 |
1,291,799 |
10.3 |
||
(注) 記載金額に消費税等は含まれておりません。
当社グループは、船舶の安全運航と海洋・地球環境保全を最大の課題と位置付け、安全かつ効率的な船舶の運航管理に努めております。海運市況の低迷、船費の高騰、新造船の供給圧力など、引き続き厳しい経営環境にありますが、船員をはじめとする人材の育成と社業全般に亘る諸費用の節減に努めつつ国際競争力の維持・強化を図り、安定した利益を確保し財務基盤の強化に取り組んでまいります。
当社グループにとってはVLCCの長期契約が経営の大きな柱であることは不変ではありますが、石油製品船、LPG船及びばら積船の船隊の拡充により社業の裾野を広げ、安定収益基盤の強化・拡大にも努めております。
海運市況が低迷している中、市況の影響を直接受け割高となっているばら積船2隻につきましては、前連結会計年度と当連結会計年度にそれぞれ用船契約を解約して今後の収支改善を図りました。
また、益々厳しさの増す社内外の環境に対応するため、グループを挙げてコンプライアンスの徹底を図ると共に内部統制の運用により透明性の高い経営に努めてまいる所存です。
当社グループの業績は長期用船主体の安定した収益を基盤としておりますが、外航海運業における事業リスクとして下記7点が挙げられます。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末において当社グループが判断したものであります。
(1)海運市況変動リスク
海運業において運賃・用船料・売買船の市況は、国内のみならず世界の政治・経済・社会の動向によって商品あるいは船舶そのものの需給により大きく変動いたします。当社グループは、長期用船契約を主体に安定した収益の確保を経営の基本としておりますが、各々の船舶の用船契約や売船の時期によっては、市況下落によるリスクが業績に悪影響を与える恐れがあります。
(2)為替変動リスク
当社グループの収入は、外貨建てのものもあり、外貨建て収入と支出の差額については外国為替の変動による影響を受けることになります。当社グループは短期及び長期の為替予約取引を行うことにより、為替変動リスクを低減するように努力しておりますが、完全に回避することはできず為替相場の状況によっては業績に影響を受けることがあります。
(3)金利変動リスク
当社グループは、船舶の建造資金調達のために外部借入を行っておりますが、固定金利での借入れや金利スワップ取引による金利の固定化により金利変動リスクを回避しております。ただし、今後の金利の動向により、将来の資金調達コストが影響を受ける可能性があります。
(4)資金調達リスク
当社グループは、設備資金借入れの一部についてシンジケートローン契約を締結しております。当該契約には財務制限条項が付されており、これらの条項に抵触し、当該債務の一括返済を求められた場合、当社グループの財政状態に悪影響を与える可能性があります。
(5)固定資産の減損損失リスク
当社グループは、「固定資産の減損に係る会計基準」を適用しており、保有する船舶等の固定資産の時価が著しく下落した場合や収益性が悪化した場合には減損損失が発生し、当社グループの業績に悪影響を与える可能性があります。
(6)海難事故リスク
当社グループは、大型原油船(VLCC)を主体に運航しており、「船舶の安全輸送と環境保全」を理念に、船舶の安全管理システムの充実に努めておりますが、不慮の事故が発生した場合、人命・貨物・船舶等の損失・損傷のリスクや、燃料油・原油の流出による海洋汚染のリスクがあります。当社グループでは、海難事故防止のため、「船舶安全管理システム」を構築すると共に、「品質および環境管理マニュアル」を策定し、海陸全社員に対し定期的な教育・研修ならびに海難事故を想定した緊急対応訓練を実施するなど、安全運航と環境保全に努めております。万一海難事故が発生した場合は、保険による損失の補填対策を講じておりますが、事故によっては業績に悪影響を与える可能性があります。
(7)公的規制等のリスク
当社グループの事業である外航海運業においては、船舶の設備の安全性や安全運航のため、国際機関及び各国政府の法令や船級協会の規則等、様々な公的規制を受けております。これらの規制を遵守するに当たりコストの増加や当社グループの事業活動が制限される場合があり、業績に悪影響を与える可能性があります。
該当事項はありません。
特記すべき事項はありません。
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
なお、当連結会計年度より、「企業結合に関する会計基準」(企業会計基準第21号 平成25年9月13日)等を適用し、「当期純利益」を「親会社株主に帰属する当期純利益」としております。
(1)経営成績の分析
当連結会計年度の海運業収益は、当第4四半期にVLGC船“LEGEND PROSPERITY”及びばら積船“新石洋”が竣工・稼働したことにより貸船料は増加したものの、前期にVLCC“KOU-EI”を売船したことにより運賃収入が無くなった為、前期比2億2百万円減の125億6百万円となりました。海運業費用は前期及び当期に夫々1隻ばら積船を期限前解約したため、借船料が6億4千1百万円減少したこと等により、前期比4億4百万円減少し、98億1千7百万円を計上いたしました。これにより営業利益は18億9千万円(前期比8千8百万円増)となり、経常利益は前期の為替差益から為替差損に転じたため8億3千5百万円(前期比2億2千8百万円減)となりました。また特別利益として、VLGC船“BENNY PRINCESS”の売船に伴う売却益23億5百万円を計上いたしました。一方特別損失として、当社が定期用船するばら積船1隻を期限前解約したことに伴う違約金19億9千4百万円を計上いたしました。親会社株主に帰属する当期純利益は11億9千2百万円(前期比1億2千9百万円増)となりました。
(2)財政状態の分析
資産の部は、前連結会計年度末に比べ32億6千2百万円増加し、630億5千万円となりました。流動資産は、為替予約等の影響によりデリバティブ流動資産が増加しましたが、現金及び預金が売船による増加があったものの、ばら積船の期限前用船契約解約金の支払い及び2018年竣工予定のVLCCへの投資等により減少し、34億3千6百万円となりました。固定資産は、新造船が2隻竣工したことにより船舶が66億9百万円増加しましたが、船舶建設仮勘定が29億7千2百万円減少したこと等により、596億1千4百万円(前期比33億4千7百万円増)となりました。
負債の部は、短期借入金及び長期借入金が合計で前連結会計年度末に比べ22億4千6百万円増加し532億9千万円となりました。
純資産の部は、利益剰余金が増加したこと等により前連結会計年度末に比べ11億9千2百万円増加し、97億5千9百万円となりました。
(3)キャッシュ・フローの分析
「第2 事業の状況 1.業績等の概要 (2)キャッシュ・フロー」をご参照下さい。