(1)業績
当連結会計年度におけるわが国経済は、雇用情勢が堅調に推移するなか、昨年11月以降の円安・株高の動きを背景に、消費者マインドや企業の景況感が持ち直すなど、緩やかな回復傾向がみられました。海外では、雇用の改善や個人消費の底堅さを背景に、米国経済が緩やかに回復するとともに、中国でもインフラ投資の拡大を受けて、景気減速に持ち直しの動きがみられたものの、欧米の政治情勢を中心に景気動向には依然として先行き不透明感が残る状況です。
当連結会計年度における海運市況は、大型原油船(VLCC)につきましては、第1四半期は原油安の持続が中国の備蓄需要を喚起したことなどにより、例年各国製油所が定期修理に入るため市況が低迷する時期であったにもかかわらず、WS60~70で安定的に推移した一方、第2四半期に入り、極東での揚荷役待ちの滞船の解消などにより船腹需給が緩み、新造船の供給圧力の増加も加わり市況はWS30~40に下落しました。第3四半期に入ると、冬場の石油需要や、軍事リスクの低下によるナイジェリアの原油出荷の再開で極東向け長距離の輸送需要が回復したことなどにより、市況は右肩上がりで推移し12月にはWS90台まで上昇しました。しかしながら第4四半期に入り、OPECの減産や極東の製油所の定期修理の影響により原油の輸送需要が減退したことに加え、新造船の竣工量が増加し船腹需給が緩み、WS40台まで下落しました。
石油製品船につきましては、新造船供給圧力と解撤が進まなかったことなどにより、一年を通して市況は回復せず、大型LPG船(VLGC)も、中国やインドのLPG需要の増加や、米国のLPG輸出の拡大など需給の伸びはあるものの、強い新造船供給圧力により低調に推移しました。
ばら積船につきましては、前年度に引き続き当年度前半は歴史的な低迷を続けておりましたが、後半になり各船型において船腹の増加が弱まり、中国を中心とした堅調な輸送需要のもと船腹需給が改善し、徐々に市況が底上げしてまいりました。
こうした経済環境の中、当社グループはVLCCを中心とする長期貸船契約を主体に安定した経営を目指すべく、本年2月にVLCC1隻の取得契約を締結(平成31年6~8月竣工予定)するなど、船隊構成の整備・拡充に取り組んでまいりました。なお、次年度以降につきましては、本年4月にVLGC1隻が竣工しているほか、平成30年度第1四半期にVLCC1隻が竣工する予定です。
また、各船の運航効率の向上と諸経費の節減にも全社を挙げて努めてまいりましたが、当期に予定されていたVLCC
“TAIZAN”の譲渡が平成29年度に変更となったことに加え、当社グループが保有する一部の船舶の帳簿価額を回収可能額まで減額したことから、当期の経営成績は以下のとおりとなりました。
海運業収益は昨年1月に竣工したVLGCおよびばら積船がフル稼働したことなどにより130億9千9百万円(前期比5億9千2百万円増)となりました。海運業費用は前年度にばら積船の期限前解約を実施したことなどにより減少があったものの、船費が昨年1月に上記2隻が竣工したことなどにより増加し、前期比2億2千6百万円増の100億4千3百万円となりました。これにより営業利益は22億6千万円(前期比3億6千9百万円増)、経常利益は13億3千1百万円(前期比4億9千6百万円増)となりました。親会社株主に帰属する当期純利益は特別損失に「固定資産の減損に係る会計基準」に基づき当社グループの保有する固定資産(船舶)の減損損失7億9千3百万円を計上したことなどにより1億5千9百万円(前期比10億3千2百万円減)となりました。
(2)キャッシュ・フロー
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動による資金収支は、税金等調整前当期純利益の計上などにより、74億6百万円の収入となりました。(前期は37億9千7百万円の収入)
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動による資金収支は、主として船舶の建造代金の支払いにより42億1千1百万円の支出となりました。(前期は60億1千9百万円の支出)
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動による資金収支は、主として船舶の建造に伴う長期借入による収入はありましたが、長期借入金の返済による支出により10億3千3百万円の支出となりました。(前期は20億9千3百万円の収入)
この結果、当連結会計年度における現金及び現金同等物の期末残高は、期首に比べて19億9千5百万円増加し、43億2千7百万円(前連結会計年度比85.6%増)となりました。
当社グループは、外航海運業の単一セグメントであるため、生産、受注及び販売の状況につきましては、当社
グループの区分別に記載しております。
(1)運航船腹
|
区分 |
平成28年3月末 |
平成29年3月末 |
|||
|
隻数 |
載貨重量屯数(K/T) |
隻数 |
載貨重量屯数(K/T) |
||
|
所有船 |
油槽船 当社持分 |
10 |
1,703,871 |
10 |
1,703,871 |
|
(他社持分) |
(179,999) |
(179,999) |
|||
|
ばら積船 |
6
|
454,737 |
6
|
454,737 |
|
|
合計 |
16 |
2,158,608 |
16 |
2,158,608 |
|
(2)海運業収益実績
|
区分
|
第86期 |
自 平成27年4月1日 至 平成28年3月31日 |
第87期 |
自 平成28年4月1日 至 平成29年3月31日 |
||
|
千円 |
% |
千円 |
% |
|||
|
貸船料 |
12,488,444 |
99.9 |
13,098,678 |
100.0 |
||
|
その他海運業収益 |
18,116 |
0.1 |
366 |
0.0 |
||
|
合計 |
12,506,561 |
100.0 |
13,099,045 |
100.0 |
||
(注) 記載金額に消費税等は含まれておりません。
(3)主要な相手先に対する海運業収益
|
相手先
|
第86期 |
自 平成27年4月1日 至 平成28年3月31日 |
第87期 |
自 平成28年4月1日 至 平成29年3月31日 |
||
|
千円 |
% |
千円 |
% |
|||
|
日本郵船㈱ |
5,644,372 |
45.1 |
6,771,893 |
51.7 |
||
|
日本グローバルタンカー㈱ |
2,600,377 |
20.8 |
- |
- |
||
|
コスモ石油㈱ |
503,466 |
4.0 |
3,081,864 |
23.5 |
||
|
NYK BULKSHIP (ASIA) PTE.LTD. |
1,291,799 |
10.3 |
1,346,463 |
10.3 |
||
(注) 記載金額に消費税等は含まれておりません。
当社グループは、大型原油船(VLCC)の長期契約を大きな柱とした安定的な収益の確保ならびに安全運航と海洋・地球環境保全に努めてまいりました。
今後は、船隊の拡充に努めつつ高品質な船舶管理を実現し、社業全般に亘る諸経費の節減により国際競争力の維持・強化を図り、安定した収益を確保し財務基盤の強化に取り組んでまいります。
海運市況の低迷、新造船の供給圧力、先行き不透明な金融市場など、当社をとりまく環境は依然厳しいものがありますが、事業の中心であるVLCCをはじめとするタンカー事業について取引先との更なる深耕、新規用船契約の獲得に全力を挙げるとともに、タンカー以外の船種についても事業基盤の拡充に資する用船契約を積極的に開拓・獲得することを目指します。また、高品質な船舶管理実現のため船員確保に加え、新たにスタートした教育拡充策をもとに優秀な人材の育成を図ってまいります。
益々厳しさの増す社内外の環境に対応するため、グループを挙げてコンプライアンスの徹底を図ると共に内部統制の運用により透明性の高い経営に努めてまいる所存です。
当社グループの業績は長期用船主体の安定した収益を基盤としておりますが、外航海運業における事業リスクとして下記7点が挙げられます。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末において当社グループが判断したものであります。
(1)海運市況変動リスク
海運業において運賃・用船料・売買船の市況は、国内のみならず世界の政治・経済・社会の動向によって商品あるいは船舶そのものの需給により大きく変動いたします。当社グループは、長期用船契約を主体に安定した収益の確保を経営の基本としておりますが、各々の船舶の用船契約や売船の時期によっては、市況下落によるリスクが業績に悪影響を与える恐れがあります。
(2)為替変動リスク
当社グループの収入は、外貨建てのものもあり、外貨建て収入と支出の差額については外国為替の変動による影響を受けることになります。当社グループは短期及び長期の為替予約取引を行うことにより、為替変動リスクを低減するように努力しておりますが、完全に回避することはできず為替相場の状況によっては業績に影響を受けることがあります。
(3)金利変動リスク
当社グループは、船舶の建造資金調達のために外部借入を行っておりますが、固定金利での借入れや金利スワップ取引による金利の固定化により金利変動リスクを回避しております。ただし、今後の金利の動向により、将来の資金調達コストが影響を受ける可能性があります。
(4)資金調達リスク
当社グループは、設備資金借入れの一部についてシンジケートローン契約を締結しております。当該契約には財務制限条項が付されており、これらの条項に抵触し、当該債務の一括返済を求められた場合、当社グループの財政状態に悪影響を与える可能性があります。
(5)固定資産の減損損失リスク
当社グループは、「固定資産の減損に係る会計基準」を適用しており、保有する船舶等の固定資産の時価が著しく下落した場合や収益性が悪化した場合には減損損失が発生し、当社グループの業績に悪影響を与える可能性があります。
(6)海難事故リスク
当社グループは、大型原油船(VLCC)を主体に運航しており、「船舶の安全輸送と環境保全」を理念に、船舶の安全管理システムの充実に努めておりますが、不慮の事故が発生した場合、人命・貨物・船舶等の損失・損傷のリスクや、燃料油・原油の流出による海洋汚染のリスクがあります。当社グループでは、海難事故防止のため、「船舶安全管理システム」を構築すると共に、「品質および環境管理マニュアル」を策定し、海陸全社員に対し定期的な教育・研修ならびに海難事故を想定した緊急対応訓練を実施するなど、安全運航と環境保全に努めております。万一海難事故が発生した場合は、保険による損失の補填対策を講じておりますが、事故によっては業績に悪影響を与える可能性があります。
(7)公的規制等のリスク
当社グループの事業である外航海運業においては、船舶の設備の安全性や安全運航のため、国際機関及び各国政府の法令や船級協会の規則等、様々な公的規制を受けております。これらの規制を遵守するに当たりコストの増加や当社グループの事業活動が制限される場合があり、業績に悪影響を与える可能性があります。
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)経営成績の分析
当連結会計年度の海運業収益は昨年1月に竣工した大型LPG船(VLGC)およびばら積船がフル稼働したことなどにより130億9千9百万円(前期比5億9千2百万円増)となりました。海運業費用は前年度に上記ばら積船の期限前返船を実施したことなどにより減少があったものの、船費が昨年1月に上記2隻が竣工したことなどにより増加し、前期比2億2千6百万円増の100億4千3百万円となりました。これにより営業利益は22億6千万円(前期比3億6千9百万円増)、経常利益は13億3千1百万円(前期比4億9千6百万円増)となりました。親会社株主に帰属する当期純利益は特別損失に「固定資産の減損に係る会計基準」に基づき当社グループの保有する固定資産(船舶)の減損損失7億9千3百万円を計上したことなどにより1億5千9百万円(前期比10億3千2百万円減)となりました。
(2)財政状態の分析
資産の部は、前連結会計年度末に比べ4億9千5百万円増加し635億4千5百万円となりました。流動資産は、為替予約の評価等によりデリバティブ流動資産が減少したものの、現金及び預金の増加などにより17億7千4百万円増加し52億1千万円となりました。固定資産は、新造船の建造により建設仮勘定が増加したものの船舶が減少したことにより12億7千9百万円減少し583億3千4百万円となりました。
負債の部は、借入金の減少などはありましたが、未払法人税等の増加などにより前連結会計年度末に比べ7億円増加し539億9千万円となりました。
純資産の部は、繰延ヘッジ損益が減少したことなどにより前連結会計年度末に比べ2億5百万円減少し95億5千4百万円となりました。
(3)キャッシュ・フローの分析
「第2 事業の状況 1.業績等の概要 (2)キャッシュ・フロー」をご参照下さい。