第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

当社グループは、大型タンカーの長期貸船契約を大きな柱とした安定収益の確保並びに安全運航と海洋・地球環境保全に努めてまいりました。

今後のわが国経済は、個人消費など底堅い内需が景気を下支えするものの、海外経済の弱含みを背景とした輸出の伸び悩みなどから、横ばい圏での推移が予想されます。海運業界においては、市況の回復傾向は継続しているものの、硫黄酸化物(SOx)排出規制といった環境規制の本格化や為替相場の不透明感から、引き続き厳しい経営環境が続くものと思われます。

このような経営環境のなか、安定収益の確保に努め、財務基盤の強化に取り組んでまいります。既存の取引先には、安定的かつ質の高いサービス及び技術提供を継続し、更なる関係深耕を図るとともに、優良な国内外の新規取引先とのビジネスの可能性を模索し、事業基盤の拡充に資する新規用船契約の開拓・獲得を目指します。

また、安全運航に欠かせない高度な船舶管理業務を実現し継続するため、当社グループの主力である大型タンカーを管理するうえで必須となる、オイルメジャーによる船舶評価システムおよびタンカー管理会社の評価制度への対応を強化してまいります。このほか、優秀な船員の確保・育成のため、採用による人材の拡充と国内外での船員教育を充実させてまいります。

さらに、社業全般に亘る諸費用の節減に努めるとともに、グループを挙げたコンプライアンスの徹底と内部統制の運用により透明性の高い経営に努めてまいる所存です。

 

 

2【事業等のリスク】

   当社グループの業績は長期用船主体の安定した収益を基盤としておりますが、外航海運業における事業リスクとして下記7点が挙げられます。

   なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末において当社グループが判断したものであります。

 

(1)海運市況変動リスク

   海運業において運賃・用船料・売買船の市況は、国内のみならず世界の政治・経済・社会の動向によって商品あるいは船舶そのものの需給により大きく変動いたします。当社グループは、長期用船契約を主体に安定した収益の確保を経営の基本としておりますが、各々の船舶の用船契約や売船の時期によっては、市況下落によるリスクが業績に悪影響を与える恐れがあります。

 

(2)為替変動リスク

 当社グループの収入は、外貨建てのものもあり、外貨建て収入と支出の差額については外国為替の変動による影響を受けることになります。当社グループは短期及び長期の為替予約取引を行うことにより、為替変動リスクを低減するように努力しておりますが、完全に回避することはできず為替相場の状況によっては業績に影響を受けることがあります。

 

(3)金利変動リスク

 当社グループは、船舶の建造資金調達のために外部借入を行っておりますが、固定金利での借入れや金利スワップ取引による金利の固定化により金利変動リスクを回避しております。ただし、今後の金利の動向により、将来の資金調達コストが影響を受ける可能性があります。

 

(4)資金調達リスク

 当社グループは、設備資金借入れの一部についてシンジケートローン契約を締結しております。当該契約には財務制限条項が付されており、これらの条項に抵触し、当該債務の一括返済を求められた場合、当社グループの財政状態に悪影響を与える可能性があります。

 

(5)固定資産の減損損失リスク

 当社グループは、「固定資産の減損に係る会計基準」を適用しており、保有する船舶等の固定資産の時価が著しく下落した場合や収益性が悪化した場合には減損損失が発生し、当社グループの業績に悪影響を与える可能性があります。

 

 

(6)海難事故リスク

 当社グループは、大型原油船(VLCC)を主体に運航しており、「船舶の安全輸送と環境保全」を理念に、船舶の安全管理システムの充実に努めておりますが、不慮の事故が発生した場合、人命・貨物・船舶等の損失・損傷のリスクや、燃料油・原油の流出による海洋汚染のリスクがあります。当社グループでは、海難事故防止のため、「船舶安全管理システム」を構築すると共に、「品質および環境管理マニュアル」を策定し、海陸全社員に対し定期的な教育・研修ならびに海難事故を想定した緊急対応訓練を実施するなど、安全運航と環境保全に努めております。万一海難事故が発生した場合は、保険による損失の補填対策を講じておりますが、事故によっては業績に悪影響を与える可能性があります。

 

(7)公的規制等のリスク

 当社グループの事業である外航海運業においては、船舶の設備の安全性や安全運航のため、国際機関及び各国政府の法令や船級協会の規則等、様々な公的規制を受けております。これらの規制を遵守するに当たりコストの増加や当社グループの事業活動が制限される場合があり、業績に悪影響を与える可能性があります。

 

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

①財政状態及び経営成績の状況

 当連結会計年度におけるわが国経済は、自然災害の影響を受けつつも、底堅い雇用情勢や個人消費を背景に、概ね緩やかな回復基調で推移しましたが、足元では製造業を中心にやや弱含みとなっています。海外では、米国経済が、堅調な企業業績を背景に景気拡大が継続した一方、中国経済は、固定資産投資の鈍化を受けて減速基調での推移となりました。この他、米中貿易摩擦や英国のEU離脱問題など、依然として先行きの不透明感も残る状況です。

 当連結会計年度における海運市況は、大型原油船(VLCC)につきましては夏前まで市況が低迷しましたが、中国への堅調な輸送需要、米国のシェールオイル輸出増によるトンマイルの増加、環境規制による老齢船の解撤により需給ギャップが縮小しつつあることなどから、9月末にWS60程度まで回復し、更に第3四半期に入ると冬場の原油輸送需要により市況が上昇し、10月にWS100を付けました。その後、冬場の需要が減退した1月末にWS40まで下落しましたが、中国が半年ぶりに米国から原油輸入を再開したことが好感され、2月にWS70近くまで戻しました。

 石油製品船(LR2やMR)は新造船供給圧力が少しずつ弱まっているものの隻数が多く、市況は秋まで低迷しましたが、冬場の需要期による原油船市況の上昇を受け、LR2が原油輸送に切り替えられたことによる船腹の引き締まりなどが要因となり上昇しました。年明け以降は徐々に下落しましたが、定期用船市況は比較的安定に推移しました。

大型LPG船(VLGC)は、輸送量の増加や新造船竣工隻数が少ないことなどから市況が徐々に回復し、第3四半期までの市況は前年度と比べて安定的に推移しておりましたが、第4四半期に入ると中東と米国のLPG価格差が縮まり米国出しトレードが減退し、市況は下落しました。その後再び中東と米国のLPG価格差が広がり米国出しが増え、市況が上昇しました。

ばら積船につきましては、貿易量が伸びて輸送需要が増えてきていることや、新造船供給圧力が低下してきていることから、第3四半期までは改善の兆しがみえておりました。しかしながら、元々鉄鉱石トレードの閑散期である第4四半期に入るとケープ型市況が下落を始め、それに追い打ちを掛けるようにブラジル資源大手ヴァーレの鉱山ダム決壊事故が発生したのを機に市場心理が悪化しケープ型市況は更に下落、パナマックス型などの中小型ばら積船にも影響し、全船型において低迷しました。

 こうした経済環境の中、当社グループは大型タンカーを中心とする長期貸船契約を主体に安定した経営を目指しております。当期においては、昨年4月にVLCC“元栄”が竣工した一方、9月に用船契約が終了したばら積船“SAGAR JYOTI”を、11月に高齢のVLCC“KAI-EI”を売却するなど、船隊構成の整備・拡充に取り組んでまいりました。この他、本年2月には用船者による任意買取選択権の行使を受けて、ばら積船“ARCADIA SALUTE”を売却いたしました。

 また、各船の運航効率の向上と諸経費の節減にも全社を挙げて努めてまいりましたが、当社グループが保有する一部の船舶の帳簿価格を回収可能額まで減額しました。

 この結果、当連結会計年度の財政状態及び経営成績は以下のとおりとなりました。

 

 

a.財政状態

 資産の部は、前連結会計年度末に比べて50億2千2百万円減少し567億1千万円となりました。流動資産は、燃料油の売却による貯蔵品の減少等により2億5千6百万円減少し24億1千9百万円となりました。固定資産は、船舶の譲渡により船舶が減少したこと等により47億6千5百万円減少し542億9千1百万円となりました。

 負債の部は、借入金の減少等により前連結会計年度末に比べ68億9千5百万円減少し449億7千9百万円となりました。

 純資産の部は、利益剰余金が増加したことなどにより前連結会計年度末に比べ18億7千2百万円増加し117億3千万円となりました。

 なお、「『税効果会計に係る会計基準』の一部改正」(企業会計基準第28号 平成30年2月16日)等を当連結会計年度の期首から適用しており、財政状態については遡及処理後の前連結会計年度末の数値で比較を行っております。

 

b.経営成績

 海運業収益はVLCC1隻を航海用船契約に切り替えたことにより運賃収入が加算されたことなどにより134億6百万円(前期比9億5百万円増)となりました。営業利益は上述の航海用船契約により運航費が発生したことなどにより海運業費用の増加はありましたが、海運業収益の増加が上回り16億7千1百万円(前期比2億1千4百万円増)、経常利益は8億3千8百万円(前期比1億8千8百万円増)となりました。親会社株主に帰属する当期純利益は特別損失に「固定資産の減損に係る会計基準」に基づき当社グループの保有する固定資産(船舶)の減損損失9億3千7百万円を計上しましたが、土地及び建物の売却による固定資産売却益、および船舶3隻の売船益等を特別利益に計上したことなどにより11億3千7百万円(前期比3億5千7百万円増)となりました。

 

②キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況は次のとおりであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動による資金収支は、税金等調整前当期純利益の計上などにより、53億9千2百万円の収入となりました。(前期は47億2千6百万円の収入)

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動による資金収支は、船舶の建造代金の支払いはありましたが、船舶等の固定資産の売却代金の収入により2千4百万円の収入となりました。(前期は52億6千7百万円の支出)

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動による資金収支は、船舶の建造に伴う長期借入による収入はありましたが、長期借入金の返済による支出により55億2百万円の支出となりました。(前期は22億5千8百万円の支出)

 

この結果、当連結会計年度における現金及び現金同等物の期末残高は、期首に比べて8千3百万円減少し、14億3千6百万円(前連結会計年度比5.5%減)となりました。

 

③生産、受注及び販売の実績

当社グループは、外航海運業の単一セグメントであるため、生産、受注及び販売の実績につきましては、当社グループの区分別に記載しております。

a.運航船腹

区分

2018年3月末

2019年3月末

隻数

載貨重量屯数(M/T)

隻数

載貨重量屯数(M/T)

所有船

油槽船  当社持分

9

1,411,504

9

1,420,331

 (他社持分)

(179,999)

(183,780)

ばら積船

7

546,786

5

393,101

合計

16

1,958,290

14

1,813,432

 

 

b.海運業収益実績

 

区分

 

第88期

自 2017年4月1日

至 2018年3月31日

第89期

自 2018年4月1日

至 2019年3月31日

千円

千円

貸船料

12,487,932

99.9

12,250,155

91.4

その他海運業収益

13,338

0.1

1,156,730

8.6

合計

12,501,271

100.0

13,406,886

100.0

 (注) 記載金額に消費税等は含まれておりません。

 

c.主要な相手先に対する海運業収益

 

相手先

 

第88期

自 2017年4月1日

至 2018年3月31日

第89期

自 2018年4月1日

至 2019年3月31日

千円

千円

日本郵船㈱

6,531,197

52.2

6,424,839

47.9

コスモ石油㈱

3,038,562

24.3

4,544,462

33.9

 (注) 記載金額に消費税等は含まれておりません。

 

(2)経営者の視点による精鋭成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

①重要な会計方針及び見積り

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたって、必要と思われる見積りは、合理的と判断される前提に基づいて実施しておりますが、実際の結果はこれらの見積りと異なる場合があります。

なお、当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項 4.会計方針に関する事項」に記載のとおりであります。

 

②当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

(海運業収益)

当連結会計年度の海運業収益(売上高)は134億6百万円(前年同期比7.2%増)となりました。貸船料は保有船舶の減少に加え、入渠船が増加したこと等により前連結会計年度に比べ2億3千7百万円減少しましたが、VLCC1隻を2018年3月から航海用船契約に変更したことにより運賃は前連結会計年度に比べ11億4千3百万円増加しました。

(海運業費用)

当連結会計年度の海運業費用は109億2千万円(前年同期比6.6%増)となりました。船費は保有船舶が減少したこと等により前連結会計年度に比べ2億1百万円減少しましたが、上述のとおりVLCC1隻を2018年3月から航海用船契約に変更したことにより運航費は前連結会計年度に比べ6億4千1百万円増加しました。また、今期竣工しましたVLCC元栄は共有船で他者持分を新たに借り入れたこと等から借船料が前連結会計年度に比べ2億3千3百万円増加しました。

(営業利益)

当連結会計年度の営業利益は、海運業費用の増加はありましたが、海運業収益の増加が上回り16億7千1百万円(前年同期比14.7%増)となりました。

(経常利益)

当連結会計年度の経常利益は、8億3千8百万円(前年同期比29.1%増)となりました。

営業外収益は、デリバティブ評価益及び受取補償金が無くなったこと等により前連結会計年度に比べ1億2千万円減少しました。

営業外費用は、支払利息の減少等により前連結会計年度に比べ9千4百万円減少しました。

(親会社株主に帰属する当期純利益)

当連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純利益は、11億3千7百万円(前年同期比45.8%増)となりました。

特別利益は、土地及び建物の売却による固定資産売却益、及び船舶3隻の売船益等により前連結会計年度に比べ3億6千万円増加しました。

特別損失は、「固定資産の減損に係る会計基準」に基づき当社グループの保有する固定資産(船舶)の減損損失9億3千7百万円を計上しましたが、前連結会計年度に比べ2億6千4百万円減少しました。

法人税等合計は、税金等調整前当期純利益17億4千2百万円の34.7%に当たる6億5百万円となりました。

 

③資本の財源及び資金の流動性についての分析

a.キャッシュ・フロー

当連結会計年度のキャッシュ・フローの分析につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりです。

 

b.契約債務

2019年3月31日現在の契約債務の概要は以下のとおりであります。

 

年度別要支払額(千円)

契約債務

合計

1年以内

1年超3年以内

3年超5年以内

5年超

短期借入金

924,000

924,000

-

-

-

長期借入金

40,230,593

7,958,628

9,673,434

8,425,963

14,172,566

上記の表において、連結貸借対照表の短期借入金に含まれている1年以内返済予定の長期借入金は、長期借入金に含めております。

 

c.財政政策

当社グループは、運転資金及び設備資金につきましては、内部資金または借入により資金調達することとしております。

長期運転資金及び船舶などの設備投資資金につきましては、営業活動により得られたキャッシュ・フロー及び金融機関からの長期借入金による調達を基本としております。

短期資金需要につきましては、営業活動により得られたキャッシュ・フロー及び当座貸越契約の融資枠等による金融機関からの短期借入金を基本としております。

当連結会計年度末において、借入金の残高は411億5千4百万円であります。また、当連結会計年度末において、取引金融機関との間で合計30億円の当座貸越契約を締結しております。(借入実行残高0円、借入未実行残高30億円)

 

4【経営上の重要な契約等】

 該当事項はありません。

5【研究開発活動】

 特記すべき事項はありません。