文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。
(1) 会社の経営の基本方針
当社グループの主な事業である東京諸島と本土間を結ぶ旅客定期航路は、公共的性格を有する離島・生活航路としての側面と快適性を提供するリゾート航路としての側面を有しており、また、貨物航路も、離島の生活物資を安全、確実に輸送する責務を有し、当社グループは、これらの使命を果たすことを通して社会に貢献することを経営の基本方針といたしております。
さらに、当社グループは海運関連事業を基軸として、商事料飲事業、ホテル事業および旅客自動車運送事業を展開しておりますが、今後ともグループ間の連携をより一層強め、「安全運航」と「良質のサービスの提供」を行う総合力の高い社会貢献企業を目指してまいります。
(2) 中長期的なグループ経営戦略及び目標とする経営指標
当社グループは、長期的な戦略として、「コストの弾力化、固定費の圧縮等により、収入の変動に左右されないローコストの経営体質を作る」との方針のもとに、収入増加策として、閑散期対策に取り組み、船舶の定期的な代替や燃料油価格の上昇などをカバーできるような収益確保に努めてまいります。創立131周年を迎えた当社は、2020年夏に、国内では1995年以来の建造となる新造高速ジェット船「セブンアイランド結(ゆい)」と新造貨客船「さるびあ丸」を東京諸島に就航させました。当社ホームページの新造船特設サイトで建造開始から就航まで情報発信を行うほか、就航記念ツアーの企画商品も造成するなどして集客に繋げていきます。
なお、2020年4月に経営の機動性向上のため、執行役員制度を導入いたしました。
中期的な事業の活性化策としては、2013年より施策の方向性をスローガンとして掲げ取り組んでおり、2021年は「RE・BRAND 東海汽船 2021」を掲げ、長い歴史の中で培ってきたDNA=「安心・安全な船旅を提供すること」を軸としてぶれることなく、そこに付加価値をつけるべく、新しい時代に適した新たな価値創造に積極的に取り組み、この困難な状況を全社一丸となって乗り越えてまいります。
当社グループの各航路は、公共的性格を有する離島・生活航路としての側面があり、また、それらの航路の中には、不採算航路でありながら公共性の観点から航路維持を図らざるを得ない航路(離島航路整備法の対象航路)もあります。
したがって、一般的な経営指標の向上のみに専念するのは妥当ではないと考えておりますが、収益確保に努めてまいります。
(3) 会社の対処すべき課題
当社グループは、基本理念である「安全運航」の徹底と「良質のサービスの提供」のもと、コロナ禍で観光客の激減等により大きな影響を受けた営業の立て直しが喫緊の課題となっています。
旅客部門は、安心・安全な「東京宝島」への旅行の提案に注力してまいります。また、東京湾納涼船は、幅広い年齢層のお客様にお楽しみいただける船内空間を創出し、ブランドの強化を図ります。
貨物部門は、工事品目輸送の積極的な受注を図り、あわせて貨物事故防止を徹底し、またコンテナ管理を強化してまいります。
商事料飲事業は、今年再開する東京湾納涼船における船内販売の強化、竹芝客船ターミナル内レストランの収支改善、ECサイトの構築を中心とした様々な島しょ向け商品販売など新規事業に取り組んでまいります。
ホテル事業は、改修工事を計画的に進め、集客に努めて稼働率の向上を図ると共に、客単価のアップとコストの低減を図ります。
旅客自動車運送事業は、貸切バス安全性評価制度三ッ星認定の期限が到来することから更新に注力し、引き続き安全運行と収支改善に努めてまいります。
以上のとおり、各部門に亘って業績向上を図るため、一層の努力をいたす所存であります。
(4) 新型コロナウイルス感染症への対応
当社では、新型コロナウイルス感染症の影響については、今後の広がり方や収束時期等に関して不確実性が高い事象であると考えており、2021年以降の一定期間においても当該影響が継続すると考えております。対応策として、消毒の徹底、マスクの着用、三密の回避、船内抗菌コーティング、空調抗菌フィルターの取付け、乗船時の検温実施などにより感染拡大防止に取り組むことでお客様と従業員の安全確保を図っておりますが、これらの取り組みを今後も継続して実施する他、刻一刻と変化する状況を注視し、お客様と従業員の感染を予防する対策を今後も実行してまいります。
事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。なお、文中における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(2021年3月26日)現在において判断したものであります。
当社グループは、当社、子会社11社および関連会社2社で構成され、東京諸島と本土を結ぶ旅客・貨物の定期航路を主な事業内容としております。
旅客部門では、乗船客が夏場の多客期に集中するため、利益が下半期に偏る傾向にあります。
当社グループの各航路は、公共的性格を有する離島・生活航路としての側面があり、また、それらの航路の中には、不採算航路でありながら公共性の観点から航路維持を図らざるを得ない航路もあります。
船舶燃料油価格の上昇は、当社グループにとって大きな負担となります。このため、燃料油価格の大幅な上昇による損失を軽減すべく、旅客および貨物運賃とは別にそれぞれ燃料油価格変動調整金を設定し、2004年12月より実施しております。また、2020年1月から全世界的に大気環境改善のため船舶燃料油の硫黄分濃度規制(SOx規制)が実施されたため、同年2月より燃料油価格変動調整金を環境規制に対応したものに見直しました。
台風や低気圧の影響により、船舶の就航率が大きく悪化した場合、乗船客数が減少し、当社グループの業績及び財政状態等が多大な影響を受ける可能性があります。
当社グループの就航航路および使用港湾は地震・噴火の多発地帯にあります。大規模災害の発生時には定期航路を維持できず、乗船客数が減少し、当社グループの業績及び財政状態等が多大な影響を受ける可能性があります。
(6) 新型コロナウイルス感染症の影響
新型コロナウイルス感染症のような大規模な感染症が広く流行し、それに伴う移動の制限や外出の自粛要請等がなされた場合、旅行の取りやめなどにより乗船客数が減少し、当社グループの業績及び財政状態等が多大な影響を受ける可能性があります。
なお、新型コロナウイルス感染症の影響については、当社及びグループ会社の責任者、監査役などにより、原則3ヶ月に1回開催されるグループ経営会議等において影響の見積り、報告等を定期的に行っております。
当連結会計年度における当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
(a) 経営成績
当連結会計年度におけるわが国の経済は、新型コロナウイルス感染症の影響により、景気は依然として厳しい状況にありますが、持ち直しの動きがみられます。先行きについては、感染拡大の防止策を講じる中で、各種政策の効果等もあって持ち直しの動きが続くことが期待されます。ただし、国内外の感染症再拡大による下振れリスクの高まりに十分留意する必要があり、当面不透明な状況が続くものと見込まれております。
当社グループを取り巻く環境も厳しく、新型コロナウイルス感染症拡大の影響により、旅客数が激減したことに加え、関連する大島島内でのホテルやバスなどの利用実績も大幅に減少しました。一方で、公共工事等の増加に伴い貨物輸送量は順調に推移しました。
このような状況の下、当社グループでは、4月以降、金融機関からの借入等で流動性資金を確保し、利用客の需要に合わせた船の減便や諸費用や設備投資の抑制等のコスト削減、港湾施設使用料等の支払い猶予に加えて、雇用調整助成金や各種補助金、協力金等の活用に努めました。また、消毒の徹底、マスクの着用、三密の回避、船内抗菌コーティング、空調抗菌フィルターの取付け、乗船時の検温実施など感染拡大防止に取り組み、お客様と従業員の安全確保を図りました。
また、今後とも安全・安心・快適な船旅を提供するとの基本方針に沿い、6月に三代目となる新造貨客船「さるびあ丸」を、7月に新造高速ジェット船「セブンアイランド結(ゆい)」を就航させました。
この結果、当連結会計年度の業績は、当社グループの営業基盤である東京諸島において来島者数が大幅に減少したことや、レストランシップ業(当社の連結子会社である東京ヴァンテアンクルーズ株式会社が運営、同社を期中に解散・清算)の事業撤退などにより、売上高は89億7千万円(前期111億1千4百万円)、営業損失は4億1千5百万円(前期営業損失7千3百万円)、経常損失は3億2千2百万円(前期経常利益3百万円)、これに特別損益と税金費用などを計上した後の親会社株主に帰属する当期純損失は3億2千8百万円(前期純利益2千4百万円)となりました。
また、個別業績につきましては、売上高は83億7百万円(前期91億7千5百万円)、費用面で原油価格の下落に伴う船舶燃料費の大幅な減少があり、営業利益は8百万円(前期6百万円)、子会社に対する貸倒引当金繰入額を営業外費用に計上したことなどにより、経常損失は6千万円(前期経常利益7百万円)、これにレストランシップ業の子会社に対する関係会社債権放棄損などの特別損益と税金費用を計上した後の当期純損失は2億4千7百万円(前期純利益5百万円)となりました。
セグメントの業績は、次のとおりであります。
《海運関連事業》
主力の海運関連事業の旅客部門は、第1四半期は東京諸島の島や海などの豊かな自然と、よりお客様のニーズに合った「東京の島」ならではの企画商品並びに会社創立130周年記念プランを継続して造成し、営業活動と宣伝活動に取り組み順調でしたが、第2四半期は新型コロナウイルス感染症拡大の影響で、緊急事態宣言以降、観光需要・ビジネス需要等は激減しました。最多客期の第3四半期は、感染症再拡大により東京諸島各島の来島自粛が続き、旅客数は低水準にとどまり、第4四半期は、GoToトラベルキャンペーン等により旅客数は回復しましたが、感染症再拡大による12月中旬以降のキャンペーン等の一時停止により旅客数は再び落ち込み、挽回には至りませんでした。また、東京湾の夏の風物詩である東京湾納涼船は、感染防止の観点から本年は運休としました。この結果、全航路の旅客数は過去に例を見ない大幅な減少となり、37万8千人(前期83万1千人)となりました。
一方、貨物部門は、生活関連品目輸送の品質向上など、お客様の利便性と集荷効率の引き上げを引き続き図りました。また各島の公共工事等の動向を注視し、集荷に遺漏がないように取り組んだ結果、工事関連品目などの輸送量が伸び、貨物取扱量は全島で29万1千トン(前期27万5千トン)となりました。
この結果、当事業の売上高は、75億3千7百万円(前期83億4千万円)、営業利益は2億1千3百万円(前期3億2千万円)となりました。
《商事料飲事業》
商事部門は、貨物部門並びに島内外の取引先と連携を密にし工事の情報を積極的に収集したことにより、島嶼向けセメント販売は堅調に推移しました。一方、料飲部門においては東京湾納涼船の運休により売上が大幅に減少しました。この結果、当事業の売上高は11億6百万円(前期14億5千7百万円)、営業利益は9千8百万円(前期1億2千7百万円)となりました。
《レストラン事業》
東京湾周遊のレストランシップ事業は、近年売上が伸び悩んでいましたが、新型コロナウイルス感染症拡大の影響によりさらに売上は大きく落ち込みました。4月の緊急事態宣言後は休業による損失が膨らみ、老朽化した船舶の維持費用を考慮すると今後の事業の継続は困難と判断し6月末をもって事業を撤退し、30年間の営業に幕を下ろしました。この結果、当事業の売上高は6千7百万円(前期9億6百万円)、営業損失は1億9千1百万円(前期営業損失3千9百万円)となりました。なお、東京ヴァンテアンクルーズ株式会社は、2020年6月30日に解散、12月17日に清算結了しております。
《ホテル事業》
大島温泉ホテル事業は、大島の豊富な海の幸の料理・高品質の源泉掛け流し温泉・露天風呂からの三原山の眺望やホテル屋上に星空を観望できる「三原山テラス」の施設など、「島の魅力」を前面に押し出した営業活動を行いました。しかしながら、新型コロナウイルス感染症拡大の影響により宿泊客が大幅に減少したため4月中旬以降断続的に休館としコスト削減に努めました。10月以降はGoToトラベルキャンペーン等により稼働率が大きく上昇しましたが、挽回には至りませんでした。この結果、当事業の売上高は2億4百万円(前期3億7千2百万円)、営業損失は4千5百万円(前期営業利益1千7百万円)となりました。
《旅客自動車運送事業》
当事業の中心となる大島島内におけるバス部門は、貸切バス安全性評価制度三ッ星認定のもと、安全運行に努めてまいりました。「椿まつり」においては、季節の人気定番商品の「国際優秀つばき園」を巡るコースのほか、フォトスポット「地層大切断面」へ案内するバスツアーを加えて企画商品の充実を図り、利用客の獲得に注力しました。しかしながら、新型コロナウイルス感染症拡大の影響により、来島客が大幅に減少したため路線バス及び定期観光バスを一部運休・減便としコスト削減に努めました。10月以降はGoToトラベルキャンペーン等で乗客数は伸びましたが、挽回には至りませんでした。この結果、当事業の売上高は2億4千5百万円(前期3億1千1百万円)、営業損失は4千7百万円(前期営業損失1千4百万円)となりました。なお、定期路線バスにおいては大島町から継続的な支援を受けております。
(b) 財政状態
当連結会計年度末の総資産は214億3千1百万円となり、前連結会計年度末に比べ13億3千5百万円増加しました。その主な要因は、主に新造貨客船「さるびあ丸」及び新造高速ジェット船「セブンアイランド結(ゆい)」の取得に伴う未収消費税等の増加8億4百万円、現金及び預金の増加4億9千6百万円、受取手形及び営業未収金の増加4億1千4百万円、その他流動資産の増加2億7千3百万円が有形固定資産の減少6億7千6百万円を上回ったことによるものです。
負債は165億9千3百万円となり、前連結会計年度末に比べ17億9千1百万円増加しました。その主な要因は、借入金が33億8千6百万円増加したのに対し、固定資産圧縮未決算勘定が15億2千9百万円減少したことによるものです。
純資産は48億3千7百万円となり、前連結会計年度末に比べ4億5千6百万円減少しました。その主な要因は、利益剰余金が3億7千2百万円減少したこと、また、その他有価証券評価差額金が6千9百万円減少したことによるものです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは、7億2千6百万円のキャッシュ・アウト(前期6億3千3百万円のキャッシュ・イン)となりました。その主な要因は、資金減少項目である税金等調整前当期純損失4億8百万円、主に船舶取得に起因する未払又は未収消費税等の純増加額7億9千7百万円、売上債権の増加額4億1千4百万円が資金増加項目である減価償却費8億9千8百万円を上回ったことによるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは、21億1千8百万円のキャッシュ・アウト(前期41億2千9百万円のキャッシュ・アウト)となりました。その主な要因は、有形固定資産の取得による支出41億5千9百万円が補助金の受入による収入17億3千万円、有形固定資産の売却による収入2億9千4百万円を上回ったことによるものです。
当期の設備投資は、大島温泉ホテルの改修工事などで、5億2千1百万円実施しました。なお、資金調達に関しては、自己資金および借入金等によって充当しております。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは、33億4千1百万円のキャッシュ・イン(前期30億8千8百万円のキャッシュ・イン)となりました。その主な要因は、借入れによる純収入33億8千6百万円です。
以上の結果、当連結会計年度末における現金及び現金同等物残高は、前連結会計年度末に比べ4億9千6百万円増加し、17億5千8百万円となりました。
当社グループは、海運関連事業を主な内容としており、商事料飲事業、レストラン事業、ホテル事業、旅客自動車運送事業を展開しております。従って、生産、受注を行っておらず、セグメントごとに生産規模及び受注規模を金額で示すことはしておりません。
(注) 上記金額には消費税等は含まれておりません。
提出会社の部門別営業実績は、下記のとおりであります。
(注) 1 海運業収益は運賃収益(旅客・貨物)、その他海運業収益の合計であります。
2 上記金額には消費税等は含まれておりません。
提出会社の航路および就航船舶・就航状況は、下記のとおりであります。
(注)就航船舶「ジェットフォイル」はセブンアイランド「愛」「友」「大漁」「結」の4隻であります。
※ ゴールデンウィーク・夏期は、復路のみ大島寄港
・「さるびあ丸」は6月下旬より新造船「さるびあ丸」
・ セブンアイランド「結」は7月より、1月~6月はセブンアイランド「虹」
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。
連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは以下のとおりであります。
繰延税金資産の回収可能性
繰延税金資産は、将来の課税所得を合理的に見積り、回収可能性を十分に検討し、回収可能見込額を計上しております。繰延税金資産の回収可能性は、将来の課税所得に依存するため、その見積りの前提とした条件や仮定に変更が生じ、課税所得が減少した場合、繰延税金資産が取り崩され、税金費用を計上する可能性があります。
「(1)経営成績等の状況の概要 ① 財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりであります。
当社グループの資金需要のうち主なものは、運転資金および設備投資であり、資金需要を満たすための資金は、原則として、営業活動によるキャッシュ・フローを財源としますが、巨額の資金需要に対応する場合等は、円滑な事業活動に必要なレベルの流動性の確保及び財務の健全性・安定性を維持するため、銀行等から借入等を行う方針です。資金調達を行う際は、期間や国内外の市場金利動向等、また自己資本比率、DEレシオ(負債資本倍率)やROEといった財務指標への影響度等を総合的に勘案しながら、最適な調達を実施します。
該当事項はありません。
該当事項はありません。