文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。
(1) 会社の経営の基本方針
創立132周年を迎えた当社グループの主な事業である東京諸島と本土間を結ぶ旅客定期航路は、公共的性格を有する離島・生活航路としての側面と快適性を提供するリゾート航路としての側面を有しており、また、貨物航路も、離島の生活物資を安全、確実に輸送する責務を有し、当社グループは、これらの使命を果たすことを通して社会に貢献することを経営の基本方針といたしております。
さらに、当社グループは海運関連事業を基軸として、商事料飲事業、ホテル事業および旅客自動車運送事業を展開しておりますが、今後ともグループ間の連携をより一層強め、「安全運航」と「良質のサービスの提供」を行う総合力の高い社会貢献企業を目指してまいります。
(2) 中長期的なグループ経営戦略及び目標とする経営指標
当社グループは、長期的な戦略として、「コストの弾力化、固定費の圧縮等により、収入の変動に左右されないローコストの経営体質を作る」との方針のもとに、収入増加策として、閑散期対策に取り組み、船舶の定期的な代替や燃料油価格の上昇などをカバーできるような収益確保に努めてまいります。
この先、完全に元の日常が戻ることは無い「ニューノーマル」を前提に、環境の変化にしなやかに対応すべく、高速ジェット船を使った新たな東京湾クルーズ等の新たな商品開発、島と全国を繋ぐ物流・商流の活性化と振興、島への誘客を展望したECサイト事業の本格展開など、既存の営業方法に捉われない柔軟な発想で営業活動を強化してまいります。
なお、2020年に執行役員制度を導入し、経営の機動性の向上、効率化を図っています。
中期的な事業の活性化策としては、2013年より施策の方向性をスローガンとして掲げ取り組んでおり、2022年は「Move On 東海汽船 2022」を掲げ、コロナ後のニューノーマルの時代に、輝かしい未来に向けて動き出す、そのスタートの年となることを願い、全社一丸となって業績回復への道筋をつけてまいります。
当社グループの各航路は、公共的性格を有する離島・生活航路としての側面があり、また、それらの航路の中には、不採算航路でありながら公共性の観点から航路維持を図らざるを得ない航路(離島航路整備法の対象航路)もあります。従って、一般的な経営指標の向上のみに専念するのは妥当ではないと考えております。
(3) 会社の対処すべき課題
当社グループは、基本理念である「安全運航」の徹底と「良質のサービスの提供」のもと、コロナ禍で観光客の大幅減少等、大きな影響を受けた営業の立て直しが喫緊の課題となっています。
旅客部門は、東京諸島の観光資源の魅力と集客力を強化し、安心・安全な「東京宝島」への旅行の提案に注力してまいります。また、再開を目指す東京湾納涼船は、幅広い年齢層のお客様にお楽しみいただける船内空間を創出し、ブランドの再構築を図ります。
貨物部門は、工事関連の積極的な受注を図り、あわせて貨物事故防止を徹底し、またコンテナ管理を強化してまいります。
商事料飲事業は、再開を目指す東京湾納涼船における船内販売の強化、ECサイト事業では取扱商品の充実と知名度の向上などに取り組んでまいります。
ホテル事業は、バリアフリー対応を含めたサービス向上に取り組み、営業力強化により稼働率の向上を図ると共に、客単価のアップとコストの低減を図ります。
旅客自動車運送事業は、貸切バス安全性評価制度三ッ星認定の更新が決まり(2026年まで)、コロナ禍による観光客のニーズの変化を踏まえ、引き続き安全運行と収支改善に努めてまいります。
以上のとおり、各部門に亘って業績向上を図るため、一層の努力をいたす所存であります。
(4) 新型コロナウイルス感染症への対応
当社では、新型コロナウイルス感染症の影響については、今後の広がり方や収束時期等に関して不確実性が高い事象であると考えており、2022年以降の一定期間においても当該影響が継続すると考えております。対応策として、消毒の徹底、マスクの着用、三密の回避、船内抗菌コーティング、空調抗菌フィルターの取付け、乗船時の検温実施などにより感染拡大防止に取り組むことでお客様と従業員の安全確保を図っておりますが、これらの取り組みを今後も継続して実施する他、刻一刻と変化する状況を注視し、お客様と従業員の感染を予防する対策を今後も実行してまいります。
事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。なお、文中における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(2022年3月25日)現在において判断したものであります。
当社グループは、当社、子会社12社および関連会社1社で構成され、東京諸島と本土を結ぶ旅客・貨物の定期航路を主な事業内容としております。
旅客部門では、乗船客が夏場の多客期に集中するため、利益が下半期に偏る傾向にあります。
当社グループの各航路は、公共的性格を有する離島・生活航路としての側面があり、また、それらの航路の中には、不採算航路でありながら公共性の観点から航路維持を図らざるを得ない航路もあります。
船舶燃料油価格の上昇は、当社グループにとって大きな負担となります。このため、燃料油価格の大幅な上昇による損失を軽減すべく、旅客および貨物運賃とは別にそれぞれ燃料油価格変動調整金を設定し、2004年12月より実施しております。また、2020年1月から全世界的に大気環境改善のため船舶燃料油の硫黄分濃度規制(SOx規制)が実施されたため、同年2月より燃料油価格変動調整金を環境規制に対応したものに見直しました。
台風や低気圧の影響により、就航率が悪化することがあります。
就航航路および使用港湾は、地震・噴火の多発地帯にあり、災害の発生時、定期航路を維持できないこともあります。
(6) 新型コロナウイルス感染症の影響
新型コロナウイルス感染症のような大規模な感染症が広く流行し、それに伴う移動の制限や外出の自粛要請等がなされた場合、旅行の取りやめなどにより乗船客数が減少し、当社グループの業績及び財政状態等が多大な影響を受ける可能性があります。
なお、新型コロナウイルス感染症の影響については、当社及びグループ会社の責任者、監査役などにより、原則3ヶ月に1回開催されるグループ経営会議等において影響の見積り、報告等を定期的に行っております。
当連結会計年度における当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
(a) 経営成績
当連結会計年度におけるわが国の経済は、年初より新型コロナウイルス感染症の拡大が続き、緊急事態宣言が断続的に発出されたこと等により、社会活動が制限され、景気は依然として厳しい状況が続きましたが、第4四半期は、ワクチン接種の進展や緊急事態宣言の解除等により、景気に持ち直しの動きが見られました。その後、新たな変異株による感染再拡大の懸念が強まり、先行きは不透明な状況が続くと見込まれます。
当社グループを取り巻く環境は引き続き厳しく、当連結会計年度は緊急事態宣言とまん延防止等重点措置が繰り返され、観光や移動の自粛が要請されたことに加え、夏季の台風等の影響もあり、乗船客数が減少し、また関連する大島島内でのホテルやバスなどの利用実績も減少しました。一方で、貨物輸送量はコロナ禍の巣ごもり需要を反映し、生活関連品目の宅配の増加等によりほぼ堅調に推移しました。
このような状況の下、当社グループでは、流動性資金を確保し、利用客の需要に合わせた船の減便や役員報酬の一部自主返上、諸費用等のコスト削減に加えて、雇用調整助成金や各種補助金等の活用に努めました。また、消毒の徹底、マスクの着用、三密の回避、船内換気・抗菌コーティング、乗船時の検温実施、従業員のワクチン接種促進など感染拡大防止に取り組み、お客様と従業員の安全確保を図りました。
なお、当社は、持分法適用関連会社としていた小笠原海運株式会社について、営業面等での更なるシナジーを追求するため、5月に共同出資会社である日本郵船株式会社より出資持分を追加取得し、6月末より連結子会社化いたしました。
この結果、当連結会計年度の業績は、国及び東京都からの支援や小笠原海運株式会社の連結子会社化効果等により、売上高は108億1千万円(前期89億7千万円)、営業利益は1億9千7百万円(前期営業損失4億1千5百万円)、持分法による投資損失7千4百万円を営業外費用に計上し、経常利益は2億3千4百万円(前期経常損失3億2千2百万円)、親会社株主に帰属する当期純損失は7千8百万円(前期純損失3億2千8百万円)となりました。
また、個別業績につきましては、売上高は87億2千6百万円(前期83億7百万円)、費用面で船舶修繕費や船舶燃料費の大幅な増加があり、営業損失は8千1百万円(前期営業利益8百万円)、子会社に対する貸倒引当金繰入額を営業外費用に計上したことなどにより、経常損失は1億4百万円(前期経常損失6千万円)、これに特別損益と税金費用を計上した後の当期純損失は1億6千2百万円(前期純損失2億4千7百万円)となりました。
セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。
《海運関連事業》
主力の海運関連事業の旅客部門は、さるびあ丸・セブンアイランド結の就航1周年記念ツアーや謎解きツアー、日本旅客船協会公認事業の「御船印(ごせんいん)プロジェクト」の企画商品販売、「横浜~東京」夜景クルーズのアニメキャラクター等とのコラボでの集客、高速ジェット船による臨時運航や貸切運航を行いました。しかしながら、緊急事態宣言とまん延防止等重点措置が繰り返されたことに加え、1~3月開催の大島の最大イベント「椿まつり」がオンライン開催となったことから旅客数は回復には至りませんでした。第4四半期につきましては感染の減少等により旅客数は回復しましたが、通年では減少し、旅客数は36万7千人(前期37万8千人)となりました。また、東京湾の夏の風物詩である東京湾納涼船は感染防止の観点から昨年に続き中止を余儀なくされました。この厳しい状況の下、国及び東京都からの支援により生活航路の維持を図ることができました。一方、貨物部門は、お客様の利便性と集荷効率の引き上げを引き続き図り、集荷に遺漏がないよう取り組み、またコロナ禍の巣ごもり需要を反映し、生活関連品目輸送量の伸びもあり、貨物取扱量は全島でほぼ前年並みの28万7千トン(前期29万1千トン)を確保しました。
なお、第3四半期連結会計期間より連結子会社化した小笠原海運株式会社の損益を当セグメントに加えたことに伴い売上高が15億5千万円、営業利益が4億8千6百万円増加しております。
この結果、当事業の売上高は、95億2千万円(前期75億3千7百万円)、営業利益は6億1千9百万円(前期2億1千3百万円)となりました。
《商事料飲事業》
商事部門は、貨物部門並びに島内外の取引先と連携を密にし工事情報を積極的に収集し販売強化に努めました。しかしながら、公共工事が停滞したため島嶼向けセメント販売が減少しました。また料飲部門も、緊急事態宣言発出等による船内レストランの営業休止、東京湾納涼船の中止等により売上が減少しました。なお、新たにECサイトを構築し、島の生活通販「ショップ東海」、島産品の全国向け販売「島ぽち」の営業を開始し、配送の利便性向上と物流の活性化に取り組みました。
この結果、当事業の売上高は10億7千7百万円(前期11億6百万円)となりましたが、費用削減に努め営業利益は8千9百万円(前期9千8百万円)となりました。なお、5月より竹芝客船ターミナル内のレストランをリニューアルオープンいたしました。
《ホテル事業》
大島温泉ホテル事業は、大島の豊富な海の幸の料理・高品質の源泉掛け流し温泉・露天風呂からの三原山の眺望など、「島の魅力」を前面に押し出した営業活動を行いましたが、緊急事態宣言とまん延防止等重点措置が繰り返されたことに加え、大島の最大イベント「椿まつり」がオンライン開催となったことから、宿泊客は大幅に減少しました。この結果、当事業の売上高は1億7千万円(前期2億4百万円)、営業損失は5千4百万円(前期営業損失4千5百万円)となりました。
《旅客自動車運送事業》
当事業の中心となる大島島内におけるバス部門は、お客様に安心してご乗車頂くため、感染予防対策ガイドラインを踏まえた感染防止に取り組み、また貸切バス安全性評価制度三ッ星認定の下、安全運行に努めてまいりました。緊急事態宣言とまん延防止等重点措置が繰り返されたことに加え、大島の最大イベント「椿まつり」がオンライン開催となったことから、乗客数は大幅に減少しました。この結果、当事業の売上高は2億2千3百万円(前期2億4千5百万円)となりましたが、費用削減に努め、営業損失は2千7百万円(前期営業損失4千7百万円)となりました。なお、定期路線バスにおいては大島町から継続的な支援を受けております。
(b) 財政状態
当連結会計年度末の総資産は238億6千3百万円となり、前連結会計年度末に比べ24億3千1百万円増加しました。主な増加要因は、第2四半期連結会計期間において持分法適用関連会社であった小笠原海運株式会社の株式を追加取得し、連結子会社化したことに伴い、同社の総資産53億4千万円が増加したことによるものです。一方で、主な減少要因は、前連結会計年度末までの小笠原海運株式会社の持分法投資損益を反映した投資有価証券が13億1千3百万円減少したこと、同社を除く未収消費税等8億3百万円、有形固定資産が船舶の減価償却などにより5億8千5百万円、それぞれ減少したことによるものです。
負債は177億4千3百万円となり、前連結会計年度末に比べ11億5千万円増加しました。その主な要因は、連結子会社化した小笠原海運株式会社の負債が25億4千8百万円増加した一方で、同社を除く借入金が11億8千万円減少したことによるものです。
純資産は61億1千9百万円となり、前連結会計年度末に比べ12億8千1百万円増加しました。その主な要因は、連結子会社化した小笠原海運株式会社の非支配株主持分が13億6千9百万円増加した一方で、利益剰余金が7千8百万円減少したことによるものです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは、15億1千5百万円のキャッシュ・イン(前期7億2千6百万円のキャッシュ・アウト)となりました。その主な要因は、資金増加項目である税金等調整前当期純利益2億3千9百万円、主に船舶取得に起因する未収消費税等の減少額8億3百万円、減価償却費11億6千9百万円が、資金減少項目である売上債権の増加額1億8千7百万円、仕入債務の減少額2億9千5百万円を上回ったことなどによるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは、15億3千4百万円のキャッシュ・イン(前期21億1千8百万円のキャッシュ・アウト)となりました。その主な要因は、連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得による収入18億2千2百万円が有形固定資産の取得による支出4億7千万円を上回ったことによるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは、12億7千1百万円のキャッシュ・アウト(前期33億4千1百万円のキャッシュ・イン)となりました。その主な要因は、借入金の純減少額12億7千1百万円です。
以上の結果、当連結会計年度末における現金及び現金同等物残高は、前連結会計年度末に比べ17億7千8百万円増加し、35億3千7百万円となりました。
当社グループは、海運関連事業を主な内容としており、商事料飲事業、ホテル事業、旅客自動車運送事業を展開しております。従って、生産、受注を行っておらず、セグメントごとに生産規模及び受注規模を金額で示すことはしておりません。
(注) 上記金額には消費税等は含まれておりません。
提出会社の部門別営業実績は、下記のとおりであります。
(注) 1 海運業収益は運賃収益(旅客・貨物)、その他海運業収益の合計であります。
2 上記金額には消費税等は含まれておりません。
提出会社の航路および就航船舶・就航状況は、下記のとおりであります。
(注)就航船舶「ジェットフォイル」はセブンアイランド「愛」「友」「大漁」「結」の4隻であります。
※ ゴールデンウィーク・夏期の一部期間は、復路のみ大島寄港
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。
連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。
「(1)経営成績等の状況の概要 ① 財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりであります。
当社グループの資金需要のうち主なものは、運転資金および設備投資であり、資金需要を満たすための資金は、原則として、営業活動によるキャッシュ・フローを財源としますが、巨額の資金需要に対応する場合等は、円滑な事業活動に必要なレベルの流動性の確保及び財務の健全性・安定性を維持するため、銀行等から借入等を行う方針です。資金調達を行う際は、期間や国内外の市場金利動向等、また自己資本比率、DEレシオ(負債資本倍率)やROEといった財務指標への影響度等を総合的に勘案しながら、最適な調達を実施します。
該当事項はありません。
該当事項はありません。