(1)連結業績全般
当連結会計年度(平成28年4月1日~平成29年3月31日)におけるわが国経済は、雇用・所得環境が改善し、緩やかな回復傾向が続いていますが、個人消費や設備投資の伸びは力強さを欠きました。一方、海外景気については、中国における景気の減速をはじめとしてアジア新興国や資源国等において弱さがみられました。
当社の燃料調達コスト、国際線旅客収入ならびに国際線貨物収入に影響を与える原油価格については、前年と比較して低水準で推移しているものの、12月以降OPEC総会での原油減産合意などにより上昇しました。一方、米ドルの為替レートについては、前年と比較して円高傾向で推移しているものの、12月以降米国FOMCによる利上げ期待が高まったことなどにより円安が進みました。
当社はこのような経済状況のもと、平成28年月2月18日に発表しました「JALグループ中期経営計画ローリングプラン2016」で掲げた目標を達成するべく、安全運航の堅持を基盤としたうえで、JALフィロソフィと部門別採算制度によって採算意識を高め、経営の効率化を図り、お客さまに最高のサービスを提供できるよう努めました。
以上の結果、当連結会計年度における営業収益は1兆2,889億円(前年同期比3.6%減少)、営業費用は1兆1,186億円(前年同期比0.8%減少)となり、営業利益は1,703億円(前年同期比18.6%減少)、経常利益は1,650億円(前年同期比21.1%減少)、親会社株主に帰属する当期純利益は1,641億円(前年同期比5.9%減少)となりました。
(2)セグメントの業績
(セグメント間売上高・損益を含んでおります。)
<航空運送事業>
当連結会計年度における航空運送事業の実績については、営業収益は1兆1,593億円(前年同期比3.8%減少)、営業利益は1,531億円(前年同期比19.7%減少)となりました。(営業収益及び営業利益はセグメント間連結消去前数値です。)
(国際線)
路線運営面では、旺盛な需要に対応するために一部期間において成田=ホノルル線、関西=ホノルル線、および成田
=バンコク線を増便しました。また、他社提携では日本=欧州線の共同事業にイベリア航空を加え、イベリア航空が運航
する成田=マドリード線でのコードシェアを実施、チャイナ・エアラインが運航する日本=台湾間の全便へのコードシェ
アの拡大、およびS7航空が運航するモスクワ=ノボシビルスク、チュメニ、カリニングラード、オムスク線でのコード
シェアを開始し、ネットワークの充実を図りました。
商品面では、ビジネスクラスにはフルフラットシートを、エコノミークラスには「新・間隔エコノミー」を、それぞ
れ装着した「SKY SUITE」機材の投入路線拡大を進めております。
営業・サービス面では、FlightStats社より、平成28年1月~12月の国内線・国際線を合わせた定時到着率について、
アジア・パシフィック主要航空会社メインライン部門、ならびにネットワーク部門で第1位に認定されました。
以上の結果、当連結会計年度の国際線供給は有効座席キロベースで前年同期比0.1%の増加、国際旅客収入は燃油サー
チャージ収入の減少および円高などにより4,152億円(前年同期比7.5%減少)となりました。
(国内線)
路線運営面では、リージョナルジェット機では初めて「クラスJ」を設定したエンブラエル190型機を導入しました。
伊丹=鹿児島線に続き、伊丹=仙台・福岡・長崎線にも拡大し、伊丹発着路線のさらなる快適性の向上に努めました。
商品面では、新仕様機材「JAL SKY NEXT」について、対象機材全77機への導入が完了しました。「機内Wi-Fiサービ
ス」については、対象機材で運航するすべての便において「『ずっとつながる』無料キャンペーン」を展開し、快適性の
向上に努めました。
営業・サービス面では、新サービス「どこかにマイル」を開始し、地方誘客に向けた新たな需要創出を図り、航空利用
による国内旅行のさらなる活性化に取り組みました。また、新千歳・那覇・福岡・広島の各空港にてサクララウンジの全
面リニューアルを行うとともに、国内線最上級ラウンジとなるダイヤモンド・プレミアラウンジを、新千歳・伊丹・福岡
の各空港にて新設しました。
以上の結果、当連結会計年度の国内線供給は有効座席キロベースで前年同期比1.2%の減少、国内旅客収入は4,986億円
(前年同期比0.5%減少)となりました。
部門別売上高は、次のとおりです。
|
科目 |
前連結会計年度 (自平成27年4月1日 至平成28年3月31日) |
構成比 (%) |
当連結会計年度 (自平成28年4月1日 至平成29年3月31日) |
構成比 (%) |
対前年 同期比 (%) |
|
国際線 |
|
|
|
|
|
|
旅客収入 (百万円) |
448,780 |
37.2 |
415,218 |
35.8 |
92.5 |
|
貨物収入 (百万円) |
54,273 |
4.5 |
43,334 |
3.7 |
79.8 |
|
郵便収入 (百万円) |
10,337 |
0.9 |
8,699 |
0.8 |
84.2 |
|
手荷物収入 (百万円) |
845 |
0.1 |
764 |
0.1 |
90.4 |
|
小計 (百万円) |
514,237 |
42.7 |
468,017 |
40.4 |
91.0 |
|
国内線 |
|
|
|
|
|
|
旅客収入 (百万円) |
501,274 |
41.6 |
498,628 |
43.0 |
99.5 |
|
貨物収入 (百万円) |
23,363 |
1.9 |
22,260 |
1.9 |
95.3 |
|
郵便収入 (百万円) |
3,575 |
0.3 |
3,959 |
0.3 |
110.7 |
|
手荷物収入 (百万円) |
297 |
0.0 |
301 |
0.0 |
101.2 |
|
小計 (百万円) |
528,511 |
43.9 |
525,150 |
45.3 |
99.4 |
|
国際線・国内線合計 (百万円) |
1,042,749 |
86.5 |
993,168 |
85.7 |
95.2 |
|
その他の収入 (百万円) |
162,453 |
13.5 |
166,224 |
14.3 |
102.3 |
|
合計 (百万円) |
1,205,202 |
100.0 |
1,159,392 |
100.0 |
96.2 |
(注)金額については切捨処理、各比率については四捨五入処理しております。
連結輸送実績は、次のとおりです。
|
項目 |
前連結会計年度 (自平成27年4月1日 至平成28年3月31日) |
当連結会計年度 (自平成28年4月1日 至平成29年3月31日) |
対前年同期比 (利用率は ポイント差) |
|
|
国際線 |
|
|
|
|
|
有償旅客数 |
(人) |
8,460,068 |
8,394,777 |
99.2% |
|
有償旅客キロ |
(千人・キロ) |
40,305,498 |
40,633,050 |
100.8% |
|
有効座席キロ |
(千席・キロ) |
50,563,638 |
50,621,656 |
100.1% |
|
有償座席利用率 |
(%) |
79.7 |
80.3 |
0.6 |
|
有償貨物トン・キロ |
(千トン・キロ) |
1,724,590 |
1,887,856 |
109.5% |
|
郵便トン・キロ |
(千トン・キロ) |
230,146 |
239,127 |
103.9% |
|
国内線 |
|
|
|
|
|
有償旅客数 |
(人) |
32,114,322 |
32,570,397 |
101.4% |
|
有償旅客キロ |
(千人・キロ) |
24,341,972 |
24,550,154 |
100.9% |
|
有効座席キロ |
(千席・キロ) |
35,869,126 |
35,423,513 |
98.8% |
|
有償座席利用率 |
(%) |
67.9 |
69.3 |
1.4 |
|
有償貨物トン・キロ |
(千トン・キロ) |
363,200 |
357,803 |
98.5% |
|
郵便トン・キロ |
(千トン・キロ) |
25,668 |
26,104 |
101.7% |
|
合計 |
|
|
|
|
|
有償旅客数 |
(人) |
40,574,390 |
40,965,174 |
101.0% |
|
有償旅客キロ |
(千人・キロ) |
64,647,471 |
65,183,205 |
100.8% |
|
有効座席キロ |
(千席・キロ) |
86,432,764 |
86,045,169 |
99.6% |
|
有償座席利用率 |
(%) |
74.8 |
75.8 |
1.0 |
|
有償貨物トン・キロ |
(千トン・キロ) |
2,087,791 |
2,245,659 |
107.6% |
|
郵便トン・キロ |
(千トン・キロ) |
255,814 |
265,231 |
103.7% |
(注)1.国際線の「有償旅客数」、「有償旅客キロ」、「有効座席キロ」、「有償座席利用率」の各数値は、
当連結会計年度より「JAL運航便のうちコードシェアによる他社販売分」を含めて算定しております。
これに伴い、前連結会計年度の同項目については、当該変更反映後の数値を記載しております。
2.旅客キロは、各区間有償旅客数(人)に当該区間距離(キロ)を乗じたものであり、座席キロは、
各区間有効座席数(席)に当該区間距離(キロ)を乗じたものです。
輸送量(トン・キロ)は、各区間輸送量(トン)に当該区間距離(キロ)を乗じたものです。
3.区間距離は、IATA(国際航空運送協会)、ICAO(国際民間航空機構)の統計資料に準じた算出基準の
大圏距離方式で算出しております。
4.国際線:日本航空(株)、日本トランスオーシャン航空(株)
国内線:日本航空(株)、日本トランスオーシャン航空(株)、日本エアコミューター(株)、
(株)ジェイエア、琉球エアーコミューター(株)、(株)北海道エアシステム
ただし、前年同期は、
国際線:日本航空(株)、(株)北海道エアシステム
国内線:日本航空(株)、日本トランスオーシャン航空(株)、日本エアコミューター(株)、
(株)ジェイエア、琉球エアーコミューター(株)、(株)北海道エアシステム
5.数字については切捨処理、比率については四捨五入処理しております。
(その他)
その他の事業における主要2社の概況は次のとおりです。
株式会社ジャルパック
|
項目 |
前連結会計年度 (自平成27年4月1日 至平成28年3月31日) |
当連結会計年度 (自平成28年4月1日 至平成29年3月31日) |
対前年 同期比 (%) |
|
海外旅行取扱人数(万人) |
24.3 |
24.1 |
99.4% |
|
国内旅行取扱人数(万人) |
242.9 |
251.0 |
103.3% |
|
営業収益 (億円)(連結消去前) |
1,722 |
1,725 |
100.2% |
株式会社ジャルカード
|
項目 |
前連結会計年度 (自平成27年4月1日 至平成28年3月31日) |
当連結会計年度 (自平成28年4月1日 至平成29年3月31日) |
対前年 同期比 (%) |
|
カード会員数 (万人) |
312.9 |
327.2 |
104.5% |
|
営業収益 (億円)(連結消去前) |
204 |
204 |
100.1% |
(3)キャッシュ・フロー
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
税金等調整前当期純利益1,627億円に減価償却費等の非資金項目、営業活動に係る債権・債務の加減算等を行った結果、営業活動によるキャッシュ・フロー(インフロー)は2,531億円(前年同期比592億円の減少)となりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
固定資産の取得による支出を主因として、投資活動によるキャッシュ・フロー(アウトフロー)は△1,680億円(前年同期比1,208億円の減少)となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
配当金の支払いや自己株式の取得を行ったことから、財務活動によるキャッシュ・フロー(アウトフロー)は△535億円(前年同期比38億円の増加)となりました。
以上の結果、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は、前連結会計年度末に比べ313億円増加して1,242億円となりました。
当社グループの生産、受注及び販売に該当する業種・業態がほとんどないため、「業績等の概要」に含めて記載しております。
文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものです。
(1)会社の経営の基本方針
当社グループは、「JALグループ企業理念」を次のとおり定めています。
(JALグループ企業理念)
JALグループは、全社員の物心両面の幸福を追求し、
一、お客さまに最高のサービスを提供します。
一、企業価値を高め、社会の進歩発展に貢献します。
(2)目標とする経営指標
「2017~2020年度JALグループ中期経営計画」において、次の3項目を経営目標としております。
①安全
安全運航はJALグループの存立基盤であり社会的責務であることを認識し輸送分野における安全のリーディングカンパニーとして安全の層を厚くし、安全運航を堅持する。
航空事故ゼロ、重大インシデントゼロを実現。
②顧客満足
すべてのお客さまが常に新鮮な感動を得られるような最高のサービスを提供し、2020年度までに世界トップレベルのお客さま満足を実現する。
③財務
これまで築き上げた高い収益性と強固な財務安定性を兼ね備えつつ、成長に向けた積極的な投資および経営資源の有効活用により常に成長し続けるために、「営業利益率10%以上、FY20までに投資利益率(ROIC)9%以上」を目指す。
(3)経営環境ならびに対処すべき課題
当社グループは東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会開催、首都圏空港の発着枠拡大が見込まれる平成32年を一つの節目として、新たに「2017~2020年度 JALグループ中期経営計画」を策定し、平成29年4月28日に発表いたしました。
今回の中期経営計画の策定にあたっては、「世界のお客さま、そして地域と社会」のために、私たちの目指す将来の姿として「世界のJAL」「一歩先を行く価値」「常に成長」をキーワードに、「JAL Vision」を掲げました。その実現に向けて、この4年間は「挑戦、そして成長へ」をテーマに、一歩ずつ着実に進み、将来の持続的かつ安定した成長に繋げてまいります。具体的には、引き続き「フルサービスキャリア事業を磨き上げる」ことと、新たな収益源の創造・育成といった「事業領域を拡げる」ことに挑戦します。そのために以下の「具体的な5つの取り組み」を進め実行いたします。
① 安全
引き続き安全目標(数値目標)に「航空事故ゼロ・重大インシデントゼロの実現」を掲げ、新中期経営計画の4年間では新たなアプローチを加えることによって安定的なゼロの実現を目指します。
何層もの対策で事故を未然に防ぐ安全管理システムの進化、テロの脅威からお客さまをお守りする保安管理システムの進化、事故の教訓を確実に継承し安全最優先で行動し続ける文化の醸成などに取り組みます。
② ネットワーク&商品・サービス
国際線では、お客さまに選ばれるネットワーク、商品・サービスを提供し続けるとともに、海外のお客さまに向けた活動を推進し成長を図ります。ビジネスクラスのフルフラット化や足元スペースの広い「新・間隔エコノミー」装着機材を拡大します。
国内線では、「価値の高いサービスの提供」と「新たな航空需要の創造」を通じて、安定的な成長を実現します。最新鋭のエアバスA350-900型機の国内幹線への導入やエンブラエル190、ATR42-600型機などの新機材の地方路線への導入、機内インターネットや高品質な座席を装着する機材の拡大などを実施します。また、離島や北海道などの地域に寄り添うネットワークの運営等に取り組みます。
③ 部門別採算
適切な「コスト管理」の実践や「固定費の抑制・変動費化の推進」などにより、「売上の最大化、経費の最小化」を実現するとともに、現有資源を効率的に活用してキャッシュを生み出す力を伸ばす「筋肉質経営」を推進します。
また、スピード感あるPDCAの実践や、全社員の創意工夫といった「全員参加型の経営」により社員一人一人の力を結集し、目標達成に向けた実行力を高めていきます。
④ 人財
「生産性を高める環境」を今後も整備しながら「多様な人財」が一人一人の個性を発揮し、グローバル人財の育成やダイバーシティの推進に引き続き取り組みます。
常に挑戦し変革を推進するリーダーを育成するとともに、社員一人一人がプロフェッショナル集団となることで、JALグループ全体が価値創造の機運に満ち、アイディアの実現に向けて取り組む人財で溢れているような会社を目指します。
⑤ イノベーション
地域と社会への貢献、人とテクノロジーを活用した既存事業の改善・革新、新たな収益源の確立など、イノベーションに挑戦します。
「訪日旅客・地域活性化」の観点では、交通インフラとして訪日旅客増加への対応、地方への送客を進めるとともに、「新・JAPAN PROJECT」などで地域と一体になって取り組み、地域経済の発展や定住人口増加などに貢献します。
以上の取り組みにより、安定的な収益性と強固な財務体質を堅持し、すべてのステークホルダーへの還元を積極的に実施するとともに、地域と社会に貢献いたします。
投資者の投資判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、次のようなものがあります。ただし、これらは当社グループに関する全てのリスクを網羅したものではなく、記載された事項以外の予見しがたいリスクも存在します。また、本項においては、将来に関する事項が含まれておりますが、当該事項は平成29年3月31日現在において判断したものです。定期航空運送事業および不定期航空運送事業を中心とする当社グループの事業の内容に鑑み、当社グループにおいては次のようなリスクが存在しております。
(1)国際情勢や経済動向等の外部経営環境に関わるリスク
①外部経営環境に関わるリスク
当社グループは、日本および世界各地に航空運送事業を展開しており、航空需要は、世界の経済動向、天災または悪天候、テロ攻撃や地域紛争、戦争、疫病の発生・蔓延等により大幅に減少する可能性があります。
また、当社グループの業務は、整備業者、空港職員、航空保安官、燃油取扱業者、手荷物取扱者、警備会社等の第三者の提供するサービスに一定程度依存しており、第三者が、当社グループの事業運営に影響を及ぼす可能性があります。
②競争環境に関わるリスク
当社グループは、国内および海外において、路線、サービスおよび料金に関して激しい競争に直面しています。国内線では、他の日本の大手航空会社、低コストの新規航空会社および新幹線との競争、国際線では、海外および日本の主要航空会社との競争が激化しており、それに加えて海外および日本の航空会社によって形成されるアライアンス、コードシェアおよびマイレージ提携が、国際線における競争を激化させています。上述のように、現在の当社グループの競争環境や事業環境が大幅に変化した場合、当社グループの経営に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、ワンワールドという複数の航空会社によるアライアンスへの加盟、ならびに、提携相手と独占禁止法適用除外(ATI)の認可を受けた国境を越えての共同事業を展開しておりますが、ワンワールドのメンバー企業や共同事業の相手企業の経営状況に変化が生じる場合、ワンワールドメンバーの加盟状況に変化が生じた場合、あるいは当社グループとの提携関係に大きな変化が生じた場合には、当社の提携戦略に影響を及ぼす可能性があります。
(2)航空機導入に関わるリスク
当社グループは、航空運送事業において、燃費効率に優れた新型機への更新や機種統合による効率化を目指し、ボーイング社、エアバス社、エンブラエル社、ボンバルディア社、ATR社、三菱航空機株式会社に対して航空機を発注しておりますが、これらの航空機メーカーの技術上・財務上・その他の理由により納期が遅延した場合、当社グループの機材計画は変更を余儀なくされ、当社グループの中長期的な事業に影響を及ぼす可能性があります。
(3)市況変動に関わるリスク
①燃油価格の変動に関わるリスク
当社グループの業績は、燃油価格の変動により多大な影響を受けます。当社は、燃油価格の上昇分を一部燃油特別付加運賃として顧客に転嫁しておりますが、これは燃油価格の変動を直ちに反映することができず、また、顧客に全てを転嫁することは困難です。また、当社グループは、燃油価格の変動リスクを軽減するため、原油のヘッジ取引を行っておりますが、原油価格が短期間で急落した場合、ヘッジポジションの状況等によっては市況下落の効果を直ちに業績に反映することができず、当社グループの業績の改善に寄与しない可能性があります。
②為替変動に関わるリスク
当社グループは、日本国外においても事業を展開しており、外貨建により、収益の一部を受領し費用の一部を支払っています。特に当社グループにおける主要な費用である航空機燃料の価格の大半は米ドルに連動した金額となることから、当社グループにおいては米ドルの為替変動による影響は収益よりも費用が大きくなっております。これら為替変動による収支変動を軽減する目的で、収入で得た外貨は外貨建の支出に充当することを基本とし、加えてヘッジ取引を行っております。また航空機価格の大半は米ドルに連動した金額となることから、資産計上額および減価償却費が為替変動により増減するリスクがあります。これら為替変動によるリスクを軽減する目的で為替取得機会の分散を図るべくヘッジ取引を行っております。
③資金・金融市場に関わるリスク
当社グループは、航空機の購入等の多額の設備投資を必要としており、その資金需要に応じる為に金融機関や市場からの資金調達を行う可能性があります。当社グループの資金調達能力や資金調達コストについては、資金・金融市場の動向や当社グループの信用力の変動等により、資金調達の制約や資金調達コストの上昇を招く可能性があります。
(4)災害に関わるリスク
当社グループの航空機の利用者の過半数は羽田空港および成田空港を発着する航空機をご利用になっており、当社グループの航空運送事業における羽田・成田両空港の位置付けは極めて重要です。また、当社グループの運航管理・予約管理等、航空機の運航に重要な情報システムセンター、ならびに全世界の航空機の運航管理やスケジュールを統制する「オペレーションコントロールセンター」は東京地区に設置しています。そのため、東京地区において大規模な震災や火山の噴火等が発生した場合もしくは当該重要施設において火災やテロ攻撃等の災害が発生し、羽田・成田両空港の長期間閉鎖や、当社グループの情報システムやオペレーション機能が長期間停止した場合、当社グループの経営に重大な影響を及ぼす可能性があります。
(5)航空安全に関わるリスク
当社グループでは、航空機の運航の安全性の確保のため、日々様々な取組みを実施しておりますが、ひとたび死亡事故を発生させてしまった場合、当社グループの運航の安全性に対する顧客の信頼および社会的評価が失墜するだけでなく、死傷した旅客等への補償等に対応しなければならないことから、当社グループの業績に極めて深刻な影響を与える可能性があります。また、当社グループが運航する型式の航空機や当社のコードシェア便において安全問題が発生した場合、当社グループの運航の安全性に対する顧客の信頼および社会的評価が低下し、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。なお、航空事故に伴う各種損害の軽減、ならびに被災者への確実な賠償を行う目的で、現在業界水準と同程度の補償額・補償範囲の損害賠償保険に加入しております。
(6)法的規制・訴訟に関わるリスク
当社グループの事業は、様々な側面において、国際的な規制ならびに政府および地方自治体レベルの法令および規則に基づく規制に服しています。これらの規制の変化等により、当社グループの事業がさらに規制され、また、大幅な費用の増加が必要となる可能性があります。
①法的規制に関わるリスク
当社グループは、航空法をはじめとする航空事業関連法令、二国間航空協定を含む条約その他の国際的取り極め、独占禁止法その他諸外国の類似の法令、ならびに着陸料等の公租公課等の定めに基づき事業を行っておりますが、これらに変更が生じた場合や、法令に基づき耐空性改善通報等が発出された場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。また、今後、羽田空港・成田空港の発着枠の割当てや運航開始時期等が、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
また、近年、温暖化防止を始めとした地球環境に係わる企業の社会的責任が高まるなか、CO2排出量、騒音、有害物質等に関する環境規制が強化されています。今後、温室効果ガス排出への課金等費用負担を伴う環境規制のさらなる強化等が行われた場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
②訴訟に関わるリスク
当社グループは事業活動に関して各種の訴訟に巻き込まれるおそれがあり、これらが当社グループの事業または業績に影響を及ぼす可能性があります。また、当社グループは訴訟の提起等を受けており、事態の進展によっては、追加的な支出や引当金の計上により当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(7)IT(情報システム)、顧客情報の取り扱いに関わるリスク
当社グループは、業務の多くを情報システムに依存しています。コンピュータ・プログラムの不具合やコンピュータ・ウィルス等のサイバー攻撃によって情報システムに様々な障害が生じた場合には、重要なデータの喪失に加えて、航空機の運航に支障が生じる等、当社グループの経営に影響を及ぼす可能性があります。また、情報システムを支える電力、通信回線等のインフラに大規模な障害が発生した場合、当社グループの業務に重大な支障をきたす可能性があります。
また、当社グループが保有する顧客の個人情報が取り扱い不備または不正アクセス等により漏洩した場合には、当社グループの事業、システムまたはブランドに対する社会的評価が傷つけられ、顧客および市場の信頼が低下して、当社グループの事業、財政状態および業績に影響を及ぼす可能性があります。
(8)人材・労務に関わるリスク
当社グループの事業運営には、航空機の運航に関連して法律上要求される国家資格を始めとする各種の資格や技能を有する人材の確保が必要ですが、当社グループの従業員がその業務に必要なこれらの資格や技能を取得するまでには相応の期間を要することから、当社が想定する人員体制を必要な時期に確保できない場合には、当社グループの事業運営が影響を受ける可能性があります。
また、当社グループの従業員の多くは労働組合に所属しておりますが、当社グループの従業員による集団的なストライキ等の労働争議が発生した場合には、当社グループの航空機の運航が影響を受ける可能性があります。
重要な契約の内容
|
会社名 |
契約の名称または種類 |
契約の内容 |
契約相手先 |
締結年月 |
契約期間 |
国名 |
|
日本航空株式会社 |
航空機調達契約 (注) |
ボーイング社製787型航空機の発注に関する契約 |
ザ・ボーイング・カンパニー |
平成17年 5月 |
- |
米国 |
|
アライアンス |
世界的な航空連合であるワンワールドへの加盟に際し、基本的な規約事項を定めた契約 |
ワンワールドマネジメントカンパニー及び加盟各社 |
平成19年 4月 |
解約しない限り継続 |
米国 |
|
|
アメリカン航空との共同事業 |
アメリカン航空との包括的な業務提携に関する契約 |
アメリカン航空 |
平成22年 2月 |
平成29年6月(当初期間より19か月延長) |
米国 |
|
|
航空機調達契約 (注) |
エアバス社製A350型航空機の発注に関する契約 |
エアバス |
平成25年 10月 |
- |
仏国 |
|
|
ブリティッシュ・エアウェイズ及びフィンランド航空との共同事業 |
ブリティッシュ・エアウェイズ及びフィンランド航空との包括的な業務提携に関する契約 |
ブリティッシュ・エアウェイズ及びフィンランド航空 |
平成25年 12月 |
当初5年間は解約不可 |
英国 フィンランド |
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航空機調達契約 (注) |
三菱航空機社製MRJ90型航空機の発注に関する契約 |
三菱航空機株式会社 |
平成27年 1月 |
- |
日本 |
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ブリティッシュ・エアウェイズ、フィンランド航空及びイベリア航空 との共同事業 |
ブリティッシュ・エアウェイズ、フィンランド航空及びイベリア航空との包括的な業務提携に関する契約 |
ブリティッシュ・エアウェイズ、フィンランド航空及びイベリア航空 |
平成28年10月 |
当初5年間は解約不可 |
英国 フィンランド スペイン |
(注)当該契約に基づく航空機の調達については、「第3 設備の状況 3 設備の新設、除却等の計画 (1)重要な設備の新設等」に記載しております。
「研究開発費等に係る会計基準」に合致する研究開発費を発生させる活動はありません。
文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものです。
(1)重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。連結財務諸表の作成に当たり、経営者の判断に基づく会計方針の選択と適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りが必要となりますが、その判断及び見積りに関しては連結財務諸表作成時に入手可能な情報に基づき合理的に判断しております。しかしながら、実際の結果は、見積り特有の不確実性が伴うことから、これら見積りと異なる可能性があります。
当社グループの連結財務諸表の作成にあたって採用している重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しております。
(2)経営成績の分析
営業損益
当連結会計年度は、収入面では、ヨーロッパ・中国線を中心に海外発需要が好調、国内線においては個人旅客数が増加しましたが、燃油サーチャージ収入の減少や国内線における他社との価格競争による単価の下落などにより、営業収益は1兆2,889億円(前年同期比3.6%減少)となりました。費用面では、整備費や人件費等が増加となった一方、円高の影響と燃油市況の下落による燃油費の減少、また前連結会計年度から引き続き部門別採算制度等を通じた費用削減に取り組み、営業費用全体としては1兆1,186億円(前年同期比0.8%減少)となりました。以上の結果、営業利益は1,703億円(前年同期比18.6%減少)となりました。
営業外損益~親会社株主に帰属する当期純利益
航空機材売却益の減少等により営業外損益が前年よりも減少し、経常利益は1,650億円(前年同期比21.1%減少)となりました。
税効果会計の新指針適用に伴い法人税等調整額を316億円計上したこと等により、親会社株主に帰属する当期純利益は1,641億円(前年同期比5.9%減少)となりました。
(3)財政状態の分析
資産
当連結会計年度末の資産につきましては、航空機の購入や航空機前払金の支払いなどを主因として前連結会計年度末に比べ1,498億円増加し、1兆7,287億円となりました。
負債
負債につきましては、社債の発行や借入金の増加などにより、前連結会計年度末に比べ170億円増加の7,253億円となりました。
純資産
純資産につきましては、配当金の支払いや自己株式の取得の一方、親会社株主に帰属する当期純利益の計上やその他の包括利益累計額の増加を主因として、前連結会計年度末に比べ1,328億円増加の1兆33億円となりました。
(4)キャッシュ・フローの状況の分析
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
税金等調整前当期純利益1,627億円に減価償却費等の非資金項目、営業活動に係る債権・債務の加減算等を行った結果、営業活動によるキャッシュ・フロー(インフロー)は2,531億円(前年同期比592億円の減少)となりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
固定資産の取得による支出を主因として、投資活動によるキャッシュ・フロー(アウトフロー)は△1,680億円(前年同期比1,208億円の減少)となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
配当金の支払いや自己株式の取得を行ったことから、財務活動によるキャッシュ・フロー(アウトフロー)は△535億円(前年同期比38億円の増加)となりました。
以上の結果、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は、前連結会計年度末に比べ313億円増加して1,242億円となりました。
(5)経営者の問題意識と今後の方針
当社グループが主たる事業領域としている航空市場は、経済活動のグローバル化に伴い、中長期的には拡大基調にあり、特にアジア市場は世界の航空市場のなかでも高い成長性が期待されています。また、マーケットや環境の変化はより速く、テクノロジーの著しい進歩も予見される中、将来の持続的かつ安定した成長を実現するため、「2017~2020年度JALグループ中期経営計画」の4年間は「挑戦、そして成長へ」をテーマに、引き続き「フルサービスキャリア事業を磨き上げる」ことと、新たな収益源の創造・育成といった「事業領域を拡げる」ことに挑戦し、一歩ずつ着実に進んでまいります。
国際旅客事業については、2020東京オリンピック・パラリンピック競技大会開催、想定される首都圏発着枠の拡大等により、これまで以上の外国人需要の増加が期待される一方、LCCを含めた国内外の航空会社の供給拡大に伴い、競争環境は厳しさを増すと想定されます。このような環境において、太平洋・欧州路線の共同事業や他社提携を含めたネットワークの強化、競争力の優れた客室仕様の機材導入等により、日本だけでなく海外マーケットにおけるプレゼンスを高め、世界から評価される航空会社を目指してまいります。
国内旅客事業については、国内人口の減少や少子高齢化の進展により国内旅客総需要の大きく伸びないことが見込まれる中、鉄道を含めた競争環境は一層厳しくなることが予想されます。このような環境において、エアバスA350-900型機など新機材の導入、機内Wi-Fi利用可能路線の拡充、ラウンジのリニューアルなど、便利で快適な移動空間のご提供により、競争力の向上を図ってまいります。また、訪日需要を含む地域への送客を通じて交流人口を拡大させ、地域の活性化に貢献してまいります。
また、航空市場は自然災害、戦争やテロ、疫病の発生等のさまざまな要因によって、短期的には需要が大きく変動するリスクがあることから、フルサービスキャリア事業以外の当社の強みが活かせる新たな収益源の創造・育成に挑戦することで、将来の安定した成長に繋げてまいります。
当社グループは、企業理念である「JALグループは、全社員の物心両面の幸福を追求し、一、お客さまに最高のサービスを提供します。一、企業価値を高め、社会の進歩発展に貢献します。」の実現に向けて、一層の事業・財務体質の強化、社会のニーズや課題への対応に社員一丸となって取り組み、企業価値の向上に努めてまいります。