文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものです。
(1)会社の経営の基本方針
当社グループは、「JALグループ企業理念」を次のとおり定めています。
(JALグループ企業理念)
JALグループは、全社員の物心両面の幸福を追求し、
一、お客さまに最高のサービスを提供します。
一、企業価値を高め、社会の進歩発展に貢献します。
(2)目標とする経営指標
「2017~2020年度JALグループ中期経営計画」において、次の3項目を経営目標としております。
①安全
安全運航はJALグループの存立基盤であり社会的責務であることを認識し輸送分野における安全のリーディングカンパニーとして安全の層を厚くし、安全運航を堅持する。
航空事故ゼロ、重大インシデントゼロを実現。
②顧客満足
すべてのお客さまが常に新鮮な感動を得られるような最高のサービスを提供し、2020年度までに世界トップレベルのお客さま満足を実現する。
③財務
これまで築き上げた高い収益性と強固な財務安定性を兼ね備えつつ、成長に向けた積極的な投資および経営資源の有効活用により常に成長し続けるために、「営業利益率10%以上、投資利益率(ROIC)9%以上」を目指す。
(3)経営環境ならびに対処すべき課題
当社グループは、2017年4月に私たちの目指す将来の姿として「世界のJAL」「一歩先を行く価値」「常に成長」をキーワードとする「JAL Vision」を掲げ、2018年2月に「JAL Vision」をより具体的・定量的に表した、10年レンジで実現する「グランドデザイン」を発表しております。
この目指す将来の姿の実現に向け、外部環境の変化や進捗状況に応じて「2017~2020年度 JALグループ中期経営計画」の見直しを毎年行っており、2019年2月に「JALグループ中期経営計画ローリングプラン2019」を策定いたしました。
ローリングプラン2019では、2018年12月に受けた飲酒事案等による事業改善命令の反省をもとに「安全・安心の再構築」に向けて早急に取り組みます。また、お客さま、地域・社会などすべての皆さまのご期待にお応えするため、サービスの向上と社会への貢献をこれまで以上に果たしていくことで「信頼回復と企業価値の向上」を図ってまいります。
ネットワークを磨き上げる
2020年に予定される首都圏空港の機能強化に向けた確実な対応と、世界のパートナーとの提携拡大により、2020年度中にグランドデザイン「世界主要500都市へ乗り入れ」の達成を目指します。また、2020年度上期には日本において未開拓市場となる国際線中長距離LCC事業に参入し、多様なニーズにお応えできる旅客事業のポートフォリオを構築します。
商品・サービスを磨き上げる
2019年度に国内線に本邦初となる先進的な技術が織り込まれたエアバスA350-900型機を導入し、国際線は長距離全路線ビジネスクラスのフルフラット化を完了します。また、2020年度から自動チェックイン機の刷新・増設、セルフバゲージドロップの導入、顔認証の活用により、お客さまをお待たせしない「スマート空港」を国内主要空港で実現します。
事業領域を拡げる
航空運送事業のノウハウを活かした既存事業(グランドハンドリング、整備等の受託)の拡大や、航空需要を喚起する新たな事業・サービスを創造します。訪日外国人増加と地域活性化に向けた取り組みの推進や、JALグループの強みである「ノウハウ」と「顧客基盤」を軸とする外部パートナーとの協業により、新たな価値創造を図ります。
人財×テクノロジー
多様化する世界で活躍できるプロフェッショナル人財の育成を図るとともに、航空業界の発展に向けた次世代の航空人財の養成に取り組みます。また、部門に応じたワークスタイル変革や、外部パートナーとの連携促進によりイノベーションを創出し、新しい技術やノウハウを積極的に活用します。
また、今中期経営計画期間においては、ESG経営の視点から重点課題を特定し、2030年のSDGs達成に向け、事業を通じて社会の課題解決に取り組みます。
以上の取り組みにより、安定的な収益性と強固な財務体質を堅持し、すべてのステークホルダーへの還元を積極的に実施するとともに、地域と社会に貢献いたします。
投資者の投資判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、次のようなものがあります。ただし、これらは当社グループに関する全てのリスクを網羅したものではなく、記載された事項以外の予見しがたいリスクも存在します。また、本項においては、将来に関する事項が含まれておりますが、当該事項は2019年3月31日現在において判断したものです。定期航空運送事業および不定期航空運送事業を中心とする当社グループの事業の内容に鑑み、当社グループにおいては次のようなリスクが存在しております。
(1)国際情勢や経済動向等の外部経営環境に関わるリスク
①外部経営環境に関わるリスク
当社グループは、日本および世界各地に航空運送事業を展開しており、航空需要は、世界の経済動向、天災または悪天候、テロ攻撃や地域紛争、戦争、疫病の発生・蔓延等により大幅に減少する可能性があります。
また、当社グループの業務は、整備業者、空港職員、航空保安官、燃油取扱業者、手荷物取扱者、警備会社等の第三者の提供するサービスに一定程度依存しており、第三者が、当社グループの事業運営に影響を及ぼす可能性があります。
②競争環境に関わるリスク
当社グループは、国内および海外において、路線、サービスおよび料金に関して激しい競争に直面しています。国内線では、既存の航空会社との競争に加え、LCCを含む低コストキャリアや新幹線との競争、国際線では、海外および日本の主要航空会社との競争が激化しており、それに加えて海外および日本の航空会社によって形成されるアライアンス、コードシェアおよびマイレージ提携が、国際線における競争を激化させています。上述のように、現在の当社グループの競争環境や事業環境が大幅に変化した場合、当社グループの経営に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、a)共同事業、b)複数の航空会社によるアライアンスへの加盟、c)コードシェア提携、d)マイレージ提携等、様々な形式で世界中の航空会社との提携を展開しております。これらの提携パートナーの経営状況や、提携関係に大きな変化が生じた場合には、当社グループの提携戦略に影響を及ぼす可能性があります。
(2)航空機導入に関わるリスク
当社グループは、航空運送事業において、燃費効率に優れた新型機への更新や機種統合による効率化を目指し、ボーイング社、エアバス社、ATR社、三菱航空機株式会社に対して航空機を発注しておりますが、これらの航空機メーカーの技術上・財務上・その他の理由により納期が遅延した場合、当社グループの機材計画は変更を余儀なくされ、当社グループの中長期的な事業に影響を及ぼす可能性があります。
(3)市況変動に関わるリスク
①燃油価格の変動に関わるリスク
当社グループの業績は、燃油価格の変動により多大な影響を受けます。当社グループは、燃油価格の上昇分を一部燃油特別付加運賃として顧客に転嫁しておりますが、これは燃油価格の変動を直ちに反映することができず、また、顧客に全てを転嫁することは困難です。また、当社グループは、燃油価格の変動リスクを軽減するため、原油のヘッジ取引を行っておりますが、原油価格が短期間で急落した場合、ヘッジポジションの状況等によっては市況下落の効果を直ちに業績に反映することができず、当社グループの業績の改善に寄与しない可能性があります。
②為替変動に関わるリスク
当社グループは、日本国外においても事業を展開しており、外貨建により、収益の一部を受領し費用の一部を支払っています。特に当社グループにおける主要な費用である航空機燃料の価格の大半は米ドルに連動した金額となることから、当社グループにおいては米ドルの為替変動による影響は収益よりも費用が大きくなっております。これら為替変動による収支変動を軽減する目的で、収入で得た外貨は外貨建の支出に充当することを基本とし、加えてヘッジ取引を行っております。また航空機価格の大半は米ドルに連動した金額となることから、資産計上額および減価償却費が為替変動により増減するリスクがあります。これら為替変動によるリスクを軽減する目的で為替取得機会の分散を図るべくヘッジ取引を行っております。
③資金・金融市場に関わるリスク
当社グループは、航空機の購入等の多額の設備投資を必要としており、その資金需要に応じる為に金融機関や市場からの資金調達を行う可能性があります。当社グループの資金調達能力や資金調達コストについては、資金・金融市場の動向や当社グループの信用力の変動等により、資金調達の制約や資金調達コストの上昇を招く可能性があります。
(4)災害に関わるリスク
当社グループの航空機の利用者の過半数は羽田空港および成田空港を発着する航空機をご利用になっており、当社グループの航空運送事業における羽田・成田両空港の位置付けは極めて重要です。また、当社グループの運航管理・予約管理等、航空機の運航に重要な情報システムセンター、ならびに全世界の航空機の運航管理やスケジュール統制等を実施する「IOC(Integrated Operations Control)」は東京地区に設置しています。
そのため、東京地区において大規模な震災や火山の噴火等が発生した場合もしくは当該重要施設において火災やテロ攻撃等の災害が発生し、羽田・成田両空港の長期間閉鎖や、当社グループの情報システムやIOCの機能が長期間停止した場合、当社グループの経営に重大な影響を及ぼす可能性があります。IOCの機能停止への対応策として、2018年4月より大阪国際空港内にオペレーションコントロールの一部機能を移管し24時間稼働させました。
※組織改正に伴い、2019年4月1日付で、「オペレーションコントロールセンター」から「IOC」へと名称変更しております。
(5)航空安全に関わるリスク
当社グループでは、航空機の運航の安全性の確保のため、日々様々な取組みを実施しておりますが、ひとたび死亡事故を発生させてしまった場合、当社グループの運航の安全性に対する顧客の信頼および社会的評価が失墜するだけでなく、死傷した旅客等への補償等に対応しなければならないことから、当社グループの業績に極めて深刻な影響を与える可能性があります。さらに、当社グループや、当社グループが運航する型式の航空機や当社のコードシェア便において安全問題が発生した場合、当社グループの運航の安全性に対する顧客の信頼および社会的評価が低下し、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。なお、航空事故に伴う各種損害の軽減、ならびに被災者への確実な賠償を行う目的で、現在業界水準と同程度の補償額・補償範囲の損害賠償保険に加入しております。
(6)法的規制・訴訟に関わるリスク
当社グループの事業は、様々な側面において、国際的な規制ならびに政府および地方自治体レベルの法令および規則に基づく規制に服しています。これらの規制の変化等により、当社グループの事業がさらに規制され、また、大幅な費用の増加が必要となる可能性があります。
①法的規制に関わるリスク
当社グループは、航空法をはじめとする航空事業関連法令、二国間航空協定を含む条約その他の国際的取り極め、独占禁止法その他諸外国の類似の法令、ならびに着陸料等の公租公課等の定めに基づき事業を行っておりますが、これらに変更が生じた場合や、法令に基づき耐空性改善通報等が発出された場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。また、今後、羽田空港・成田空港の発着枠の割当てや運航開始時期等が、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
また、近年、温暖化防止を始めとした地球環境に係わる企業の社会的責任が高まるなか、CO2排出量、騒音、有害物質等に関する環境規制が強化されています。今後、2020年度以降における温室効果ガス排出量取引制度等、温室効果ガス排出への課金等費用負担を伴う環境規制のさらなる強化等が行われた場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
②訴訟に関わるリスク
当社グループは事業活動に関して各種の訴訟に巻き込まれるおそれがあり、これらが当社グループの事業または業績に影響を及ぼす可能性があります。また、当社グループは訴訟の提起等を受けており、事態の進展によっては、追加的な支出や引当金の計上により当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(7)IT(情報システム)、顧客情報の取り扱いに関わるリスク
当社グループは、業務の多くを情報システムに依存しています。コンピュータ・プログラムの不具合やコンピュータ・ウィルス等のサイバー攻撃によって情報システムに様々な障害が生じた場合には、重要なデータの喪失に加えて、航空機の運航に支障が生じる等、当社グループの経営に影響を及ぼす可能性があります。また、情報システムを支える電力、通信回線等のインフラに大規模な障害が発生した場合、当社グループの業務に重大な支障をきたす可能性があります。
また、当社グループが保有する顧客の個人情報が取り扱い不備または不正アクセス等により漏洩した場合には、当社グループの事業、システムまたはブランドに対する社会的評価が傷つけられ、顧客および市場の信頼が低下して、当社グループの事業、財政状態および業績に影響を及ぼす可能性があります。
(8)人材・労務に関わるリスク
当社グループの事業運営には、航空機の運航に関連して法律上要求される国家資格を始めとする各種の資格や技能を有する人材の確保が必要ですが、当社グループの従業員がその業務に必要なこれらの資格や技能を取得するまでには相応の期間を要することから、当社グループが想定する人員体制を必要な時期に確保できない場合には、当社グループの事業運営が影響を受ける可能性があります。
また、当社グループの従業員の多くは労働組合に所属しておりますが、当社グループの従業員による集団的なストライキ等の労働争議が発生した場合には、当社グループの航空機の運航が影響を受ける可能性があります。
当社グループは、2018年10月以降、定期航空運送事業者として社会の皆さまからの信頼を著しく損なう事態を招いたことについてきわめて重大に受け止めており、今後、全社一丸となって再発防止に努めるとともに、信頼の回復と安全・安心の追及に向け全力を尽くす所存でおります。
2018年12月21日、日本航空は運航乗務員の飲酒に関わる問題や乗員編成の変更判断等、航空の安全に影響を及ぼす重大な違反行為が認められたとして、国土交通省から「航空輸送の安全の確保に関する事業改善命令」を受け、同日、日本エアコミューターは運航乗務員の飲酒事案により「運航乗務員の不適切な行為及び不十分な安全管理体制について(厳重注意)」を受けました。
また、2019年1月11日には、日本航空は客室乗務員の飲酒事例により「航空輸送の安全の確保に関する業務改善勧告」を受けました。
これら行政処分及び行政指導に対しては、2019年1月18日に国土交通省に対し報告書を提出しましたが、その後も、アルコール検査の実施に際して、決められた手順が守られなかった事案を発生させております。
行政処分および行政指導を受けた後、当社ではこれらの事案を安全にかかわる重大な問題と認識し、社長直轄の社内検証委員会を立ち上げ、社外有識者である安全アドバイザリーグループからの助言を受けつつ、一連の不安全行為の背景にある安全・安心阻害行為発生の根本的な問題解決に向け検討を進め、2019年3月27日に同委員会が提言を取りまとめました。同提言を踏まえ、既存の枠組みにとらわれることなく抜本的な安全体制の再構築に取り組み、お客さまをはじめ広く社会からの信頼を回復できるよう全力で取り組んでまいります。
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりです。
①財政状態及び経営成績の状況
2018年4月1日に赤坂祐二が社長に就任し、新経営体制が発足しました。安全と安心を徹底的に追求し、「挑戦、そして成長へ」をテーマに、2021年3月期までの中期経営計画の実現に向けた取り組みを進めております。
安全に関しては、2018年5月に熊本空港を離陸した航空機のエンジン部品の一部が落下した事案について、国土交通省より重大インシデント(※1)と認定されたこと、そして2018年6月に巡航中に客室乗務員が骨折した事案について、航空事故(※2)に認定されました。これらの事案について原因の究明と再発防止に努めてまいります。
また、西日本を中心に大きな被害をもたらした平成30年7月豪雨、台風21号をはじめとする複数の台風の襲来、北海道胆振東部地震の発生など、全国各地で自然災害が多く発生しました。迅速な復旧に向けた関係各所の皆さまのご協力に感謝申し上げるとともに、当社グループとしても、救援物資の緊急輸送や復興支援の割引運賃の設定を行うなど、公共交通機関として社会的使命を果たしてまいりました。今後も被災地復興のために継続して取り組みます。
当連結会計年度における経営環境を概括すると、日本および米国を始めとする世界主要国経済は、米中貿易摩擦や欧州の政局の不安定さがあったものの、緩やかな成長が持続しました。こうした経済情勢を踏まえ、国際線および国際貨物の航空需要は、上期は好調に推移し、下期以降、やや伸びが鈍化したものの、概ね順調に推移しました。国内線の航空需要については引き続き堅調に推移しました。燃油費ならびに国際線旅客収入および国際線貨物収入に影響を与える原油価格については、上期では対前年同期比で大幅に上昇し、下期に入り、中国経済の減速等により下落に転じておりましたが、2019年1月以降OPEC総会での原油減産合意や米中貿易協議の進展期待などにより再び上昇に転じ、不透明な状況となっております。当社グループでは、燃油サーチャージの収受や適切なヘッジの実施により、業績変動の抑制に努めるとともに、引き続き、景気動向に与える影響や当社グループの業績への影響について注視してまいります。
当社グループは、「2017~2020年度JALグループ中期経営計画」において、東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会の成功、訪日外国人4,000万人目標の達成、そして、地方創生・観光立国に貢献し、さらなる成長を実現してまいります。
「フルサービスキャリア事業を磨き上げる」ため、新路線の開設、需要に合った航空機の仕様変更、新しい航空機の導入等に加え、他航空会社との提携を積極的に展開し、利便性の向上に向け、着実に施策を進めております。
商品・サービス・定時性の向上への取り組みが評価され、当連結会計年度において、SKYTRAX社の「ワールド・エアライン・アワード」において「5スター」の評価を獲得したことに加え、エコノミークラスシートは、2年連続3回目となる「ベスト・エコノミークラス・エアラインシート」賞も受賞しました。さらに、「Centre for Aviation(CAPA)」からは「Asia Pacific Airline of the Year 2018」を、FlightGlobal社からは「Most Consistent Winner」を受賞、また、FlightStats社からはアジア・パシフィック主要航空会社メインライン部門で、7年連続、9回目の第1位に認定されました。また、お客さま、地域、社会に新たな価値を提供するため、「事業領域を拡げる」べく、当社グループが蓄積してきたノウハウや顧客基盤を活用した成長事業の開拓・育成にも努めております。
事業領域の拡大においては、当社グループの強みである人財と先進的なテクノロジーの融合によりイノベーションを実現し、常に新しい商品・サービスやビジネスを創造していきます。国際線中長距離ローコストキャリアビジネス展開を見据え、2018年7月に準備会社を設立、2019年3月に、社名を株式会社ZIPAIR Tokyoに変更するとともに、エアラインブランド名をZIPAIRに決定し、国土交通省に対し航空運送事業許可申請を行いました。2020年夏ダイヤから、ボーイング787-8型航空機2機により、成田=バンコク線、成田=ソウル線の就航を目指し準備を進めております。また、社内外の知見を活かして新しい付加価値やビジネスを創出する“オープンイノベーション”を活用した様々なプロジェクトも進めております。さらに、「一歩先を行く価値の創造」に向けた取り組みを加速させるため、国内外スタートアップ企業に対して投資を行うコーポレート・ベンチャーキャピタルファンド「Japan Airlines Innovation Fund」を、最先端のデジタルマーケティング技術を駆使した新サービスを展開するため、「JALデジタルエクスペリエンス株式会社」を、日本のビジネスジェットの需要拡大に応えるべく、「JALビジネスアビエーション株式会社」をそれぞれ設立しました。
SDGsを始めとする社会の課題解決への貢献の実現に向けては、CO2削減に向けたバイオジェット燃料の利用を促進するために、米国のバイオジェット燃料製造会社(Fulcrum BioEnergy,Inc.)への出資を2018年9月に実施しました。現在、同社は第1号プラントを建設中で、2020年の運転開始を予定しております。また、2019年1月にはサンフランシスコ=羽田線でバイオジェット燃料を搭載した航空機の運航を実施しました。今後もCO2削減をはじめとした環境課題の解決に積極的に取り組んでまいります。
財務戦略においては、資本効率の向上に向け、2018年5月に4,687,100株(2018年3月取得2,354,000株、2018年4月取得 2,333,100株)の自己株式の消却を実施し、また、規律ある負債活用の一環として、2018年9月および2019年3月に、総額300億円の普通社債(年限5年、10年、20年)を発行するなど、強固な財務体質と資本効率の向上の両立に努めるとともに、安定的な株主還元の実現に向けた具体的な対応を実行しました。また、2018年10月には、日本証券アナリスト協会より、2018年度ディスクロージャー優良企業として運輸部門で第1位を獲得しました。今後も、市場・投資家の皆さまとのより良い対話の実現に向けて、さらなる情報開示の充実と質の向上に向けて取り組んでまいります。
※1 航空事故には至らないものの、その恐れがあったと認められる事態。滑走路からの逸脱、非常脱出等。
※2 航空機の運航によって発生した人の死傷(重傷以上)、航空機の墜落、衝突または火災、航行中の航空機の損傷(大修理)等。
a.財政状態
当連結会計年度末における資産については、前連結会計年度末に比べ1,763億円増加し、2兆303億円となりました。負債については、前連結会計年度末に比べ703億円増加の8,301億円となりました。純資産については、前連結会計年度末に比べ1,060億円増加の1兆2,001億円となりました。
b.経営成績
当連結会計年度における営業収益は1兆4,872億円(前年同期比7.5%増加)、営業費用は1兆3,111億円(前年同期比8.5%増加)となり、営業利益は1,761億円(前年同期比0.9%増加)、経常利益は1,653億円(前年同期比1.3%増加)、親会社株主に帰属する当期純利益は、前期の法人税等調整額の影響もあり1,508億円(前年同期比11.4%増加)となりました。
セグメントの業績は、次のとおりです。
<航空運送事業セグメント>
当連結会計年度における航空運送事業の実績については、営業収益は1兆3,576億円(前年同期比8.0%増加)、営業利益は1,623億円(前年同期比0.7%増加)となりました。(営業収益及び営業利益はセグメント間連結消去前数値です。)
部門別売上高は次のとおりです。
|
科目 |
前連結会計年度 (自 2017年4月1日 至 2018年3月31日) |
構成比 (%) |
当連結会計年度 (自 2018年4月1日 至 2019年3月31日) |
構成比 (%) |
対前年 同期比 (%) |
|
国際線 |
|
|
|
|
|
|
旅客収入 (百万円) |
462,919 |
36.8 |
530,679 |
39.1 |
114.6 |
|
貨物収入 (百万円) |
56,036 |
4.5 |
65,496 |
4.8 |
116.9 |
|
郵便収入 (百万円) |
9,858 |
0.8 |
9,123 |
0.7 |
92.5 |
|
手荷物収入 (百万円) |
749 |
0.1 |
795 |
0.1 |
106.2 |
|
小計 (百万円) |
529,563 |
42.1 |
606,095 |
44.6 |
114.5 |
|
国内線 |
|
|
|
|
|
|
旅客収入 (百万円) |
518,239 |
41.2 |
528,098 |
38.9 |
101.9 |
|
貨物収入 (百万円) |
22,444 |
1.8 |
21,853 |
1.6 |
97.4 |
|
郵便収入 (百万円) |
3,718 |
0.3 |
3,547 |
0.3 |
95.4 |
|
手荷物収入 (百万円) |
304 |
0.0 |
301 |
0.0 |
98.8 |
|
小計 (百万円) |
544,706 |
43.3 |
553,799 |
40.8 |
101.7 |
|
国際線・国内線合計 (百万円) |
1,074,269 |
85.4 |
1,159,895 |
85.4 |
108.0 |
|
その他の収入 (百万円) |
182,995 |
14.6 |
197,708 |
14.6 |
108.0 |
|
合計 (百万円) |
1,257,265 |
100.0 |
1,357,603 |
100.0 |
108.0 |
(注)金額については切捨処理、各比率については四捨五入処理しております。
連結輸送実績は次のとおりです。
|
項目 |
前連結会計年度 (自 2017年4月1日 至 2018年3月31日) |
当連結会計年度 (自 2018年4月1日 至 2019年3月31日) |
対前年同期比 (利用率は ポイント差) |
|
|
国際線 |
|
|
|
|
|
有償旅客数 |
(人) |
8,585,399 |
9,128,236 |
106.3% |
|
有償旅客キロ |
(千人・キロ) |
42,013,111 |
44,659,463 |
106.3% |
|
有効座席キロ |
(千席・キロ) |
51,836,491 |
54,925,904 |
106.0% |
|
有償座席利用率 |
(%) |
81.0 |
81.3 |
0.3 |
|
有償貨物トン・キロ |
(千トン・キロ) |
2,233,387 |
2,429,268 |
108.8% |
|
郵便トン・キロ |
(千トン・キロ) |
254,679 |
228,093 |
89.6% |
|
国内線 |
|
|
|
|
|
有償旅客数 |
(人) |
34,033,475 |
34,859,576 |
102.4% |
|
有償旅客キロ |
(千人・キロ) |
25,643,092 |
26,195,658 |
102.2% |
|
有効座席キロ |
(千席・キロ) |
35,714,021 |
36,116,930 |
101.1% |
|
有償座席利用率 |
(%) |
71.8 |
72.5 |
0.7 |
|
有償貨物トン・キロ |
(千トン・キロ) |
364,089 |
343,529 |
94.4% |
|
郵便トン・キロ |
(千トン・キロ) |
24,697 |
25,527 |
103.4% |
|
合計 |
|
|
|
|
|
有償旅客数 |
(人) |
42,618,874 |
43,987,812 |
103.2% |
|
有償旅客キロ |
(千人・キロ) |
67,656,203 |
70,855,121 |
104.7% |
|
有効座席キロ |
(千席・キロ) |
87,550,512 |
91,042,834 |
104.0% |
|
有償座席利用率 |
(%) |
77.3 |
77.8 |
0.5 |
|
有償貨物トン・キロ |
(千トン・キロ) |
2,597,477 |
2,772,797 |
106.7% |
|
郵便トン・キロ |
(千トン・キロ) |
279,377 |
253,621 |
90.8% |
(注)1.旅客キロは、各区間有償旅客数(人)に当該区間距離(キロ)を乗じたものであり、座席キロは、各区間有効座席数(席)に当該区間距離(キロ)を乗じたものです。
輸送量(トン・キロ)は、各区間輸送量(トン)に当該区間距離(キロ)を乗じたものです。
2.区間距離は、IATA(国際航空運送協会)、ICAO(国際民間航空機構)の統計資料に準じた算出基準の大圏距離方式で算出しております。
3.国際線:日本航空(株)
国内線:日本航空(株)、日本トランスオーシャン航空(株)、日本エアコミューター(株)、
(株)ジェイエア、琉球エアーコミューター(株)、(株)北海道エアシステム
4.数字については切捨処理、比率については四捨五入処理しております。
<その他>
その他の事業においては、2020年に向けて増加が予想される日本を訪問する外国人のアクティビティの一つを担う目的として、成田空港近郊で観光農園の運営を行うJAL Agriport株式会社を2018年4月に設立いたしました。また、2018年11月からJALペイメント・ポート株式会社がトラベルプリペイドカード「JAL Global WALLET」の受付けを開始し、海外渡航時の外貨両替等を始めとした金融分野での新たなサービス提供を目指しております。
なお、株式会社ジャルパックと株式会社ジャルカードの概況は、次のとおりです。
株式会社ジャルパック
|
項目 |
前連結会計年度 (自 2017年4月1日 至 2018年3月31日) |
当連結会計年度 (自 2018年4月1日 至 2019年3月31日) |
対前年 同期比 (%) |
|
海外旅行取扱人数(万人) |
23.1 |
22.2 |
96.1 |
|
国内旅行取扱人数(万人) |
254.5 |
271.8 |
106.8 |
|
営業収益 (億円)(連結消去前) |
1,751 |
1,820 |
104.0 |
株式会社ジャルカード
|
項目 |
前連結会計年度 (自 2017年4月1日 至 2018年3月31日) |
当連結会計年度 (自 2018年4月1日 至 2019年3月31日) |
対前年 同期比 (%) |
|
カード会員数 (万人) |
342.6 |
357.9 |
104.5 |
|
営業収益 (億円)(連結消去前) |
183 |
194 |
106.1 |
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は、前連結会計年度末に比べ699億円増加し、2,527億円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
税金等調整前当期純利益1,562億円に減価償却費等の非資金項目、退職給付に係る負債及び営業活動に係る債権・債務の加減算等を行った結果、営業活動によるキャッシュ・フロー(インフロー)は2,967億円(前年同期比151億円の増加)となりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
固定資産の取得による支出を主因として、投資活動によるキャッシュ・フロー(アウトフロー)は△1,897億円(前年同期比231億円の増加)となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
配当金の支払い、自己株式の取得及び社債の発行を行ったことから、財務活動によるキャッシュ・フロー(アウトフロー)は△370億円(前年同期比188億円の減少)となりました。
③生産、受注及び販売の実績
当社グループの生産、受注及び販売に該当する業種・業態がほとんどないため、「① 財政状態及び経営成績の状況」に含めて記載しております。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりです。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものです。
①重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。連結財務諸表の作成に当たり、経営者の判断に基づく会計方針の選択と適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りが必要となりますが、その判断及び見積りに関しては連結財務諸表作成時に入手可能な情報に基づき合理的に判断しております。しかしながら、実際の結果は、見積り特有の不確実性が伴うことから、これら見積りと異なる可能性があります。
当社グループの連結財務諸表の作成にあたって採用している重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しております。
②経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
a.経営成績等
1)財政状態
(資産合計)
当連結会計年度末における資産については、航空機の購入や航空機前払金の支払いなどを主因として前連結会計年度末に比べ1,763億円増加し、2兆303億円となりました。
(負債合計)
当連結会計年度末における負債については、前受金や社債の増加などにより、前連結会計年度末に比べ703億円増加し、8,301億円となりました。
(純資産合計)
当連結会計年度末における純資産については、配当金の支払いや自己株式の取得の一方、親会社株主に帰属する当期純利益の計上やその他の包括利益累計額の増加を主因として、前連結会計年度末に比べ1,060億円増加し、1兆2,001億円となりました。
2)経営成績
当社グループの当連結会計年度の経営成績等は、収入面では、国際旅客収入はレベニューマネジメントの取り組みによる日本発、海外発のいずれも高単価需要が堅調に推移し、燃油サーチャージ収入の増加と為替影響を合わせて677億円の増収、国内旅客収入は個人旅客需要の増加等により、前年対比98億円の増収となり、営業収益は1兆4,872億円(前年同期比7.5%増加)となりました。
費用面では、燃油費は市況上昇の影響等により359億円の増加、整備費はエンジン整備の増加等により108億円増加しました。人件費は、事業規模拡大に伴う人員増や、業績に連動した賞与の増加などにより118億円増加しましたが、前連結会計年度から引き続き部門別採算制度等を通じた費用削減に取り組み、営業費用全体としては1兆3,111億円(前年同期比8.5%増加)となりました。
以上の結果、営業利益は1,761億円(前年同期比0.9%増加)となりました。
営業外損益~親会社株主に帰属する当期純利益については、前連結会計年度よりも航空機材処分損が増加する一方で、前連結会計年度に為替差損24億円を計上していたこと等により営業外費用が減少し、経常利益は1,653億円(前年同期比1.3%増加)となりました。また、法人税等調整額を321億円計上したこと等により、親会社株主に帰属する当期純利益は1,508億円(前年同期比11.4%増加)となりました。
セグメント別の分析は次のとおりです。
<航空運送事業>
(国際線)
国際線旅客においては、日本発需要が堅調に推移したことに加え、訪日外国人数が2018年に初めて3,000万人を超え3,119万人に達するなど、海外発需要は旺盛に推移しました。拡大する需要の獲得に向け、需給適合のための客室仕様の改修による供給座席数の増加や、昨年度に開設した路線(成田=コナ線、成田=メルボルン線、羽田=ロンドン線の2便目)の通年化などにより積極的に供給を拡大した結果、有効座席キロは前年同期比6.0%増となり、旅客数は前年同期比6.3%増、有償旅客キロは前年同期比6.3%増、有償座席利用率は過去最高の81.3%となりました。
路線運営面では、新路線として、羽田=マニラ線(2019年2月1日より)、成田=シアトル線(2019年3月31日より)を開設したことに加え、2020年夏期ダイヤまでに、成田=ベンガルール線を開設することを発表しました。また、他航空会社との提携関係の強化・拡大にも努めました。S7航空(2018年4月29日より)、ガルーダ・インドネシア航空(2018年10月28日より)、ベトジェットエア(2018年10月28日より)、アエロメヒコ航空(2019年2月13日より)、フィジーエアウェイズ(2019年2月26日より)、VISTARA(2019年2月28日より)、アラスカ航空(2019年3月31日より)とのコードシェアの開始、拡充、ならびに、ブリティッシュ・エアウェイズが就航する関西=ロンドン線(2019年3月31日より)、フィンエアーが増便を行う関西=ヘルシンキ線(2019年3月31日より)での共同事業を拡充しました。さらに、フィンエアーが新規就航する札幌(新千歳)=ヘルシンキ線(2019年12月15日より)での共同事業の拡充を発表しました。また、提携航空会社との共同事業展開を推進すべく、6月にはハワイアン航空と、10月には中国東方航空とのそれぞれ共同事業に向けた独占禁止法の適用除外を申請し、2020年3月期中の共同事業開始を目指しております。
商品・サービス面では、12月からは特典航空券をさらに便利にご利用いただくため、「JAL国際線特典航空券PLUS」を導入し、これまでのJAL国際線特典航空券ではキャンセル待ちになるような場合でも、追加のマイルをいただくことで座席の確保が可能となりました。また、2019年4月からは国際線の予約受付開始日がご搭乗日の330日前から360日前となり、世界標準レベルの360日先の航空券の予約・発券が可能となりました。
ハワイ線においては、新しいハワイのコンセプトワード「Style yourself ~JAL HAWAII~」のもと、多様化するお客さまのニーズに合わせた新しいサービスを導入し、選好性をさらに高めるべくサービスの拡充に努めました。8月にはホノルル空港ラウンジをリニューアルし、10月からは提携ホテルでのアーリーチェックインサービスの提供、ハワイアン航空とマイレージプログラムの提携を開始し、2019年3月末からは空港におけるJAL専用セルフサービスチェックインを開始しました。
2017年11月に刷新した旅客基幹システムも順調に稼働しており、イールドマネジメントの精緻化や海外のWEB販売チャンネルでの増収など、着実に効果が現れております。
国際線貨物においては、上期の需要は自動車関連を中心に堅調に推移しましたが、下期以降半導体関連の需要の伸びが鈍化しました。
今後の見通し
国際線旅客においては、安定した日本発の需要に加え、G20大阪サミット2019やラグビーワールドカップ2019大会の開催もあり、引き続き海外発の需要増加が期待される一方で、世界経済の減速観測や米中貿易摩擦等の航空需要に及ぼす影響を注視する必要が生じております。また、LCCを含めた国内外の航空会社の供給拡大に伴い、他社との競争激化も想定されており、そのような事業環境の中で、事業ボラティリティを考慮し、過大な投資や固定費の増加を抑制しつつ、ネットワークの拡充を図ってまいります。
路線運営面では、新規路線開設(羽田=マニラ線、成田=シアトル線、成田=ベンガルール線)に加えて、需給適合のための客室仕様の改修による供給座席数の増加や世界のパートナーとの積極的な提携拡大により、ネットワークの強化やサービスの改善を図ってまいります。
商品・サービス面では、お客さま一人一人のニーズに沿ったサービスの提供や海外での積極的なプロモーションにより、海外地区での競争力を強化し、海外マーケットにおけるプレゼンスを高めてまいります。
国際線貨物においては、米中貿易摩擦等の影響により、特に日本発の航空貨物需要が弱含んでおりますが、日本を経由する需要を最大限取り込み、収入の最大化を図ってまいります。
(国内線)
国内線旅客においては、2018年9月に発生した台風21号に伴う関西国際空港の高潮被害や北海道胆振東部地震に伴う欠航などの影響を受けた一方で、堅調に推移する需要に対応すべく、伊丹発着路線を中心にエンブラエル190型機の運航路線をさらに拡大したことに加え、日本トランスオーシャン航空が運航する那覇発着路線には「JAL SKY NEXT」を装着したボーイング737-800型機の投入を拡大するなど、提供座席数の増加に努めた結果、有効座席キロは前年同期比1.1%増となり、旅客数は前年同期比2.4%増、有償旅客キロは前年同期比2.2%の増、有償座席利用率は過去最高の72.5%となりました。
北海道胆振東部地震からの観光需要の回復に向けては、北海道発着路線において、通常よりもさらにお得な価格でご利用いただける特別運賃「応援先得」、JALダイナミックパッケージによる「北海道応援割」、「JALで行こう北海道ふっこう割」ならびに「北海道義援金ツアー」などの旅行商品販売を展開し、被災地の復興に協力しました。
さらに、訪日外国人需要に対しては、国内線割引運賃「JAL Japan Explorer Pass」について、北海道発着路線ならびに関西圏(関西・伊丹・南紀白浜)を発着する路線における期間限定の値下げを実施し、インバウンドを含めた観光需要の活性化に努めました。
路線運営面では、2018年7月より日本エアコミューターの運航にて、アイランドホッピングルート(徳之島=沖永良部=那覇線)を新たに開設し、奄美群島エリアの更なる交流人口拡大に努めるとともに、鹿児島発着路線において、日本で初めてATR72-600型機の運航を開始しました。
商品・サービス面では、より使いやすいマイレージサービスの実現に向け、10月より特典航空券の予約申し込み期限をご搭乗日前日まで延長したことに加え、国内線特典航空券「どこかにマイル」については、四国旅客鉄道株式会社および九州旅客鉄道株式会社との協業により、鉄道のフリーきっぷをマイルで交換できるオプションサービスを開始しました。
2019年2月から3月にかけては、国内線各空港において、順次新たなチェックインシステムの導入を開始し、旅客基幹システムの刷新プロジェクトを完遂しました。国内線においても、新しい旅客基幹システムの効果により、より精緻なイールドマネジメントが可能となっております。
今後の見通し
国内線旅客においては、羽田発幹線を中心に総需要は堅調に推移していく見通しであり、幹線の総需要の伸びに合わせた供給拡大により、着実に需要を取り込むとともに、さらなる利便性および快適性の向上を図ってまいります。
路線運営面では、旺盛な需要の見込まれる大型連休や夏季期間などにおいて、羽田=新千歳線や羽田=那覇線などを増便し、季節需要に適合した運航を行います。
商品・サービス面では、個人画面・電源を装備したエアバスA350-900型機およびボーイング787-8型機の導入に加えて、国内主要空港では、新技術の活用により空港での待ち時間を短縮する「スマート空港」の実現に向けた取り組みを進め、2020年より国内主要空港に展開し、さらなる利便性・快適性の向上を図ってまいります。
3)キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況については、「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりです。
b.経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
当社グループが主たる事業領域としている航空市場は、経済活動のグローバル化に伴い、中長期的には拡大基調にあり、特にアジア市場は世界の航空市場のなかでも高い成長性が期待されています。また、マーケットや環境の変化はより速く、テクノロジーの著しい進歩も予見される中、将来の持続的かつ安定した成長を実現するため、「2017~2020年度JALグループ中期経営計画」の4年間は「挑戦、そして成長へ」をテーマに、着実に進んでまいります。
国際旅客事業については、東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会開催、想定される首都圏発着枠の拡大などにより、これまで以上の外国人需要の増加が期待される一方、LCCを含めた国内外の航空会社の供給拡大に伴い、競争環境は厳しさを増すと想定されます。このような環境において、太平洋・欧州路線の共同事業や他社提携を含めたネットワークの強化、競争力の優れた客室仕様の機材導入に加え、2020年度上期には日本において未開拓市場となる国際線中長距離LCC事業への参入を予定しており、多様なニーズにお応えすることで、日本だけでなく世界から評価される航空会社を目指してまいります。
国内旅客事業については、国内人口の減少や少子高齢化の進展により国内旅客総需要は大きく伸びないことが見込まれる中、鉄道を含めた競争環境は一層厳しくなることが予想されます。このような環境において、エアバスA350-900型機など新機材の導入、機内座席への個人電源の装備、スマート空港の実現による手続き時間の短縮化など、便利で快適な移動空間の提供により、競争力の向上を図るとともに、訪日需要を含む地域への送客を通じて交流人口を拡大させ、地域の活性化に貢献してまいります。
また、航空市場は自然災害、戦争やテロ、疫病の発生等のさまざまな要因によって、短期的には需要が大きく変動するリスクがあることから、航空運送事業以外の当社グループの強みが活かせる新たな収益源の創造・育成に挑戦することで、将来の安定した成長に繋げてまいります。
当社グループは、企業理念である「JALグループは、全社員の物心両面の幸福を追求し、一、お客さまに最高のサービスを提供します。一、企業価値を高め、社会の進歩発展に貢献します。」の実現に向けて、一層の事業・財務体質の強化、社会のニーズや課題への対応に社員一丸となって取り組み、企業価値の向上に努めてまいります。
c.資本の財源及び資金の流動性
1)財務戦略の基本的な考え方
当社グループは、強固な財務体質と高い資本効率を両立しつつ、企業価値向上のために戦略的に経営資源を配分することを財務戦略の基本方針としております。
強固な財務体質の維持に関しては、自己資本比率の水準を60%程度に保ち、「シングルAフラット」以上の信用格付(日本の格付機関)の取得・維持を目指し、リスク耐性の強化を図ります。
同時に、適切な情報開示・IR活動を通じて株主資本コストの低減に努めると共に、営業キャッシュ・フローによる十分な債務償還能力を前提に、厳格な財務規律のもとで負債の活用も進めることにより、資本コストの低減および資本効率の向上にも努めてまいります。
設備投資に関しては、企業価値の向上に資する成長のための投資を積極的に推進してまいります。2018年度から2020年度の3年間累計では総額7,000億円の投資を計画しており、その約2/3に相当する4,800億円をキャッシュ・フローの増加に繋がる投資を行う計画としております。なお、各年度の設備投資額は営業キャッシュ・フローの範囲内とすることを原則とし、強固な財務体質を維持し、十分な水準の手元流動性を確保してまいります。
また、既に計画している設備投資とは別に、将来の企業価値を飛躍的に向上させる投資機会に機動的に対応できるよう、500億円の「特別成長投資枠」を設定しております。
2)経営資源の配分に関する考え方
当社グループは、適正な手元現預金の水準について検証を実施しております。今中期経営計画期間においては、総資産利益率(ROA)にも着目しつつ十分なイベントリスク耐性も備えるべく、売上高の約2.6か月分を安定的な経営に必要な手元現預金水準とし、それを超える分については、「追加的に配分可能な経営資源」と認識し、企業価値向上に資する経営資源の配分に努めます。
2020年度に向け、手元現預金及び今後創出するフリーキャッシュ・フロー、そして有利子負債の活用により創出された追加的に配分可能な経営資源については、企業年金基金の財政基盤強化、飛躍的な成長のための特別成長投資枠、株主還元のさらなる充実、に活用する考えです。
3)資金需要の主な内容
当社グループの資金需要は、営業活動に係る資金支出では、航空運送事業に関わる燃油費、運航施設利用費、整備費、航空販売手数料、機材費(航空機に関わる償却費、賃借料、保険料など)、サービス費(機内・ラウンジ・貨物などのサービスに関わる費用)、人件費などがあります。
また、投資活動に係る資金支出は、航空機の安全、安定運航のために不可欠な設備や施設への投資、企業価値向上に資する効率性・快適性に優れた新しい航空機への投資、安定的・効率的な航空機の運航や、競争力強化に資する予約販売に関するIT投資などがあります。
4)資金調達
当社グループの事業活動の維持拡大に必要な資金を安定的に確保するため、内部資金および外部資金を有効に活用しております。
設備投資額は営業キャッシュ・フローの範囲内とすることを原則としておりますが、資金調達手段の多様化と資本効率の向上を企図し、主要な事業資産である航空機などの調達に当たっては、金融機関からの借入や社債の発行等の有利子負債、航空機リースを一部活用しております。
また、安定的な外部資金調達能力の維持向上は重要な経営課題と認識しており、当社グループは国内2社の格付機関から格付を取得しており、本報告書提出時点において、日本格付研究所の格付は「シングルA(安定的)」、格付投資情報センターの格付は「シングルAマイナス(ポジティブ)」となっております。また、主要な取引先金融機関とは良好な取引関係を維持しており、加えて強固な財務体質を有していることから、当社グループの事業の維持拡大、運営に必要な運転資金、投資資金の調達に関しては問題なく実施可能と認識しています。なお、国内金融機関において複数年を含む合計500億円のコミットメントラインを設定しており、緊急時の流動性を確保しております。
d.経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
「2017~2020年度JALグループ中期経営計画」において、以下を経営目標としており、引き続き、経営目標の達成に向け取り組んでまいります。
(安全)
安全運航はJALグループの存立基盤であり社会的責務であるという認識の下、輸送分野における安全のリーディングカンパニーとして安全の層を厚くして、航空事故ゼロ、重大インシデントゼロを実現します。
2018年度は航空事故1件(※1)、重大インシデント1件(※2)の発生により、目標を達成できませんでした。引き続き、安全管理システムの進化、事故の教訓を確実に継承する教育・研修の実施により、安全の層をより厚く、強固なものにしてまいります。また、テロの脅威からお客さまをお守りする保安管理システムの強化にも取り組みます。
(※1)航空事故 :2018年6月24日、JAL514便(新千歳空港発 東京国際空港行)が巡航中に突然の揺れに遭遇し、客室乗務員が転倒し、負傷しました。診断の結果、左足外果骨折が判明し、同日、国土交通省航空局より航空事故と認定されました。なお、お客さまにお怪我はございませんでした。
(※2)重大インシデント:2018年5月24日、JL632便(熊本空港発 東京国際空港行)が、離陸上昇中に左エンジンの不具合が発生したため、熊本空港に引き返しました。この際に、熊本県上益城郡益城町付近に当該エンジンの部品の一部が落下しました。到着後の検査において、エンジン後方のタービン部などに損傷があることが確認されたことから、国土交通省航空局により、重大インシデントと認定されました。
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指標 |
目標 |
2018年度 |
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航空事故(注1) |
0件 |
1件 |
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重大インシデント(注2) |
0件 |
1件 |
(注1)航空機の運航によって発生した人の死傷(重傷以上)、航空機の墜落、衝突または火災、航行中の航空機の損傷(大修理)等
(注2)航空事故には至らないものの、その恐れがあったと認められる事態。滑走路からの逸脱、非常脱出等
(顧客満足)
すべてのお客さまが常に新鮮な感動を得られるような最高のサービスを提供し、2020年度までに世界トップレベルのお客さま満足を実現します。お客さまの評価については、NPS(Net Promoter Score)を経営指標として採用しています。
2018年度はこれまでの商品・サービス品質向上が実を結び、英国SKYTRAX社の5スターエアライン認定を受けました。これにより国際線の外国人のお客さまを中心に高い評価をいただきました。
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指標 |
2020年度までの目標 (2017年度期首実績対比) |
2018年度 |
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NPS 国内線 |
+5.3ポイント |
+1.3ポイント |
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NPS 国際線 |
+4.5ポイント |
+2.2ポイント |
(財務)
これまで築き上げた高い収益性と強固な財務安定性を兼ね備えつつ、成長に向けた積極的な投資および経営資源の有効活用により常に成長し続けるために、「営業利益率10%以上、投資利益率(ROIC)9%以上」を目指します。
2018年度は満たしておりますが、引き続き、高い収益性と強固な財務安定性を目指してまいります。
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指標 |
目標 |
2018年度 |
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営業利益率 |
10%以上 |
11.8% |
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投資利益率(ROIC)(注) |
9%以上 |
9.5% |
(注)投資利益率(ROIC)=営業利益(税引後)/期首・期末固定資産平均(オフバランス未経過リース料含む)
重要な契約の内容
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会社名 |
契約の名称または種類 |
契約の内容 |
契約相手先 |
締結年月 |
契約期間 |
国名 |
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日本航空株式会社 |
航空機調達契約 (注) |
ボーイング社製787型航空機の発注に関する契約 |
ザ・ボーイング・カンパニー |
2005年 5月 |
- |
米国 |
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アライアンス |
世界的な航空連合であるワンワールドへの加盟に際し、基本的な規約事項を定めた契約 |
ワンワールドマネジメントカンパニー及び加盟各社 |
2007年 4月 |
解約しない限り継続 |
米国 |
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アメリカン航空との共同事業 |
アメリカン航空との包括的な業務提携に関する契約 |
アメリカン航空 |
2010年 2月 |
5年経過後は自動更新 |
米国 |
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航空機調達契約 (注) |
エアバス社製A350型航空機の発注に関する契約 |
エアバス |
2013年 10月 |
- |
仏国 |
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航空機調達契約 (注) |
三菱航空機社製MRJ90型航空機の発注に関する契約 |
三菱航空機株式会社 |
2015年 1月 |
- |
日本 |
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ブリティッシュ・エアウェイズ、フィンランド航空及びイベリア航空 との共同事業 |
ブリティッシュ・エアウェイズ、フィンランド航空及びイベリア航空との包括的な業務提携に関する契約 |
ブリティッシュ・エアウェイズ、フィンランド航空及びイベリア航空 |
2016年 10月 |
当初5年間は解約不可 |
英国 フィンランド スペイン |
(注)当該契約に基づく航空機の調達については、「第3 設備の状況 3 設備の新設、除却等の計画 (1)重要な設備の新設等」に記載しております。
「研究開発費等に係る会計基準」に合致する研究開発費を発生させる活動はありません。