文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものです。
(1)会社の経営の基本方針
当社グループは、「JALグループ企業理念」を次のとおり定めています。
(JALグループ企業理念)
JALグループは、全社員の物心両面の幸福を追求し、
一、お客さまに最高のサービスを提供します。
一、企業価値を高め、社会の進歩発展に貢献します。
(2)目標とする経営指標
「2021~2025年度 JALグループ中期経営計画」において、次の3項目を経営目標としております。
①安全・安心
安全:航空事故・重大インシデント0件
安心:航空利用に加え、日常・ライフステージでも世界トップレベルの顧客体験を実現(NPS +4.0pt)
②財務
EBITマージン:2023年度に10%以上を達成(以降向上)
ROIC :2023年度に9%を達成(以降維持・向上)
EPS :2023年度に260円(コロナ禍以前の水準)、2025年度に約290円レベル
③サステナビリティ
環境 :CO2削減(総排出量 909万トン未満)
使い捨てプラスチック削減(客室・ラウンジ:新規石油由来全廃、空港・貨物:環境配慮素材へ100%変更)
地域社会:国内の旅客・貨物輸送量を2019年度対比+10%
人 :D&I推進(グループ内女性管理職比率 30%)
(3)経営環境ならびに対処すべき課題
JALグループは、足許のコロナ禍における厳しい状況を全社一丸となって耐え抜き、再び日本と世界の交流と、日本国内における地域間ネットワークの維持・発展に貢献できるよう、また、今後のあるべき姿を示した「JAL Vision 2030」の実現に向けて、新たな中期経営計画を策定いたしました。新型コロナウイルス感染症は、航空を含む多くの業界に甚大な影響を与え、社会・経済の前提を覆す未曽有の変化をもたらしました。一方で、SDGsをはじめ社会全体で持続可能性(サステナビリティ)を追求し、真の豊かさ、幸福を実現しようとする機運が高まっています。大きく時代が動き価値観が変わるなか、「安全・安心」と「サステナビリティ」を未来への成長のエンジンとして、「確かな安全といつも心地よい安心を感じられる社会」と「誰もが豊かさと希望を感じられる未来」という「JAL Vision 2030」の実現に向け、全社員で目指す将来像を思い描き、一丸となって進んでまいります。本中期期間においては、喫緊の課題である財務基盤の再構築を前提に、事業構造改革を進めるとともに、事業活動を通じて持続可能な社会の実現に向けた取り組みを加速し、早期に利益水準を回復のうえ再び成長を実現します。そして、本中期経営計画を経て「JAL Vision 2030」を実現し、多くの人々やさまざまな物が自由に行き交う、心はずむ社会・未来において世界で一番選ばれ、愛されるエアライングループを目指してまいります。
投資者の投資判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、定期航空運送事業および不定期航空運送事業を中心とする当社グループの事業の内容に鑑み、当社グループにおいては次のようなリスクが存在しております。ただし、これらは当社グループに関する全てのリスクを網羅したものではなく、記載された事項以外の予見しがたいリスクも存在します。また、本項においては、将来に関する事項が含まれておりますが、当該事項は2021年3月31日現在において判断したものです。
(1)世界的な疫病の蔓延拡大に関わるリスク
①短期的な業績に与える影響に関わるリスク
当社グループは、日本および世界各地に航空運送事業を展開しております。2020年初頭から全世界規模で感染が拡大している新型コロナウイルス(COVID-19)の感染拡大のように、未知の疫病の世界的な拡大が発生した場合には、各国政府による入境制限や移動の制限・自粛要請といった人の移動に関する規制の発動や、企業や利用者の感染防止を目的とした自発的な航空機利用の回避により、航空旅客需要は大幅に減少する可能性があります。当社グループが営む航空運送事業は、航空機や人件費等の固定費比率が高いことから、短期的な需要の急減は、当社グループを含む航空運送事業者の業績に重大な影響を及ぼす可能性があります。
②中長期的な事業環境の変化に関わるリスク
新型コロナウイルス(COVID-19)の感染拡大により、一時的に人の移動が大きく制限を受けたことにより、ITを活用し、移動を伴わず非対面での働き方が社会に広く浸透しております。こうした社会・行動様式の変化により、航空機を使った業務渡航の需要に変化が生じることで、当社グループが営む航空運送事業の事業戦略に影響を及ぼす可能性があります。
(2)自然災害や気候変動に関わるリスク
①自然災害等に関わるリスク
当社グループの航空機の利用者の過半数は羽田空港および成田空港を発着する航空機を利用しており、当社グループの事業における羽田・成田両空港の位置付けは極めて重要です。また、当社グループの運航管理・予約管理等、航空機の運航に重要な情報システムセンター、ならびに全世界の航空機の運航管理やスケジュール統制等を実施する「IOC(Integrated Operations Control)」は東京地区に設置しています。
そのため、東京地区を含む首都圏において、大規模な震災や火山の噴火、大型台風等による被害が発生した場合、もしくは当該重要施設において火災やテロ攻撃等の災害が発生し、羽田・成田両空港の長期間閉鎖や、当社グループの情報システムやIOCの機能が長期間停止した場合、当社グループの経営に重大な影響を及ぼす可能性があります。
IOCの機能停止への対応策として、大阪国際空港内にオペレーションコントロールの一部機能を移管し24時間稼働させておりますが、その機能は東京地区のIOCの機能の全てを代替できるものではありません。
②気候変動に関わるリスク
世界では、地球温暖化等に起因する気候変動が大きな課題となっており、地球温暖化に起因し、日本国内において大規模な自然災害の発生頻度が多くなるような場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。また、当社グループが属する航空業界は、気候変動の要因となる化石燃料を大量に消費する業界であることから、CO2排出量の削減が社会的な要請であり、当社グループにおいても極めて重要な経営課題となっております。そのため、当社グループでは、2050年までにCO2排出量実質ゼロを目指しております。その実現に向け、省燃費機材への更新促進、代替航空燃料の調達、カーボンプライシングへの対応など、様々な取り組みを行う必要があり、当社の事業運営に影響を及ぼす可能性があります。また、上記の目標が未達成となった場合には、当社グループの社会的な評価を低下させ、当社グループの事業運営に影響を与える可能性があります。
(3)国際情勢や経済動向等の外部経営環境に関わるリスク
①外部経営環境に関わるリスク
当社グループは、日本および世界各地に航空運送事業を展開しており、航空需要は、世界の経済動向、テロ攻撃や地域紛争、戦争等により大幅に減少し、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。また、当社グループの業務は、整備業者、空港職員、航空保安官、燃油取扱業者、手荷物取扱者、警備会社等の第三者の提供するサービスに一定程度依存しており、第三者が、当社グループの事業運営に影響を及ぼす可能性があります。
②競争環境に関わるリスク
当社グループは、国内および海外において、路線、サービスおよび料金に関して激しい競争に直面しています。
国内線では、既存の航空会社との競争に加え、LCCを含む低コストキャリアや新幹線との競争、国際線では、海外および日本の主要航空会社との競争が激化しており、それに加えて海外および日本の航空会社によって形成されるアライアンス、コードシェアおよびマイレージ提携が競争を激化させています。
上述のように、現在の当社グループの競争環境や事業環境が大幅に変化した場合、当社グループの経営に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、航空運送事業においては、a)共同事業、b)複数の航空会社によるアライアンスへの加盟、c)コードシェア提携、d)マイレージ提携等、様々な形式で世界中の航空会社との提携を展開しております。また、マイル事業等の非航空事業分野においても、他業種との広範な提携関係を構築することで顧客基盤の強化を図っておりますが、これらの提携パートナーの経営状況や、提携関係に大きな変化が生じた場合には、当社グループの提携戦略に影響を及ぼす可能性があります。
(4)航空機導入に関わるリスク
当社グループは、航空運送事業において、燃費効率に優れた新型機への更新や機種統合による効率化を目指し、ボーイング社、エアバス社、ATR社、三菱航空機株式会社に対して航空機を発注しておりますが、これらの航空機メーカーやエンジン等の重要な部品のサプライヤーにおける技術上・財務上・その他の理由により納期が遅延した場合、当社グループの機材計画は変更を余儀なくされ、当社グループの中長期的な事業に影響を及ぼす可能性があります。
(5)市況変動に関わるリスク
①燃油価格の変動に関わるリスク
当社グループの業績は、燃油価格の変動により影響を受けます。当社グループは、燃油価格の上昇分を一部燃油特別付加運賃として顧客に転嫁しておりますが、これは燃油価格の変動を直ちに反映することができず、また、顧客に全てを転嫁することは困難です。また、当社グループは、燃油価格の変動リスクを軽減するため、原油のヘッジ取引を行っておりますが、原油価格が短期間で急落した場合、ヘッジポジションの状況等によっては市況下落の効果を直ちに業績に反映することができず、短期的な当社グループの業績の改善に寄与しない可能性があります。
②為替変動に関わるリスク
当社グループは、日本国外においても事業を展開しており、外貨建により、収益の一部を受領し費用の一部を支払っています。特に当社グループにおける主要な費用である航空機燃料の価格の大半は米ドルに連動した金額となることから、当社グループにおいては米ドルの為替変動による影響は収益よりも費用が大きくなっております。これら為替変動による収支変動を軽減する目的で、収入で得た外貨は外貨建の支出に充当することを基本とし、加えてヘッジ取引を行っております。また航空機価格の大半は米ドルに連動した金額となることから、資産計上額および減価償却費が為替変動により増減するリスクがあります。これら為替変動によるリスクを軽減する目的で為替取得機会の分散を図るべくヘッジ取引を行っております。
③資金・金融市場・財務に関わるリスク
当社グループは、航空機の購入等の多額の設備投資を必要としており、その資金需要に応じる為に金融機関や市場からの資金調達を行う可能性があります。当社グループの資金調達能力や資金調達コストについては、資金・金融市場の動向や当社グループの信用力の変動等により、資金調達の制約や資金調達コストの上昇を招く可能性があります。
また、当社グループは繰延税金資産を計上しておりますが、当社グループの将来の課税所得の見込み額が低下した場合、もしくは税制改正等により、過去に計上した繰延税金資産の取り崩しが発生し、当社グループの財務状況に一時的に影響を及ぼす可能性があります。
(6)航空安全に関わるリスク
当社グループでは、航空機の運航の安全性の確保のため、日々様々な取り組みを実施しておりますが、ひとたび死亡事故を発生させてしまった場合、当社グループの運航の安全性に対する顧客の信頼および社会的評価が失墜するだけでなく、死傷した旅客等への補償等に対応しなければならないことから、当社グループの業績に極めて深刻な影響を与える可能性があります。さらに、当社グループや、当社グループが運航する型式の航空機、また当社のコードシェア便において安全問題が発生した場合、当社グループの運航の安全性に対する顧客の信頼および社会的評価が低下し、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。なお、航空事故に伴う各種損害の軽減、ならびに被災者への確実な賠償を行う目的で、現在業界水準と同程度の補償額・補償範囲の損害賠償保険に加入しております。
(7)法的規制・環境規制、訴訟に関わるリスク
当社グループの事業は、様々な側面において、国際的な規制ならびに政府および地方自治体レベルの法令および規則に基づく規制に服しています。これらの規制の変化等により、当社グループの事業がさらに規制され、また、大幅な費用の増加が必要となる可能性があります。
①法的規制に関わるリスク
当社グループは、航空法をはじめとする航空事業関連法令、二国間航空協定を含む条約その他の国際的取り極め、独占禁止法その他諸外国の類似の法令、ならびに着陸料等の公租公課等の定めに基づき事業を行っておりますが、これらに変更が生じた場合や、法令に基づき耐空性改善通報等が発出された場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。また、羽田空港等、当社グループの航空運送事業において重要な位置付けをもつ空港における発着枠の割当て等が、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
②環境規制に関わるリスク
近年、温暖化防止を始めとした地球環境に係わる企業の社会的責任が高まるなか、CO2排出量、騒音、有害物質等に関する環境規制が強化されています。今後、2021年度以降における温室効果ガス排出量取引制度等、温室効果ガス排出への課金等費用負担を伴う環境規制のさらなる強化等が行われた場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
③訴訟に関わるリスク
当社グループは事業活動に関して各種の訴訟に巻き込まれるおそれがあり、これらが当社グループの事業または業績に影響を及ぼす可能性があります。また、当社グループは訴訟の提起等を受けており、事態の進展によっては、追加的な支出や引当金の計上により当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(8)IT(情報システム)、顧客情報の取り扱いに関わるリスク
当社グループは、業務の多くを情報システムに依存しています。コンピュータ・プログラムの不具合やコンピュータ・ウィルス等のサイバー攻撃によって情報システムに様々な障害が生じた場合には、重要なデータの喪失に加えて、航空機の運航に支障が生じる等、当社グループの経営に影響を及ぼす可能性があります。また、情報システムを支える電力、通信回線等のインフラや、メールコミュニケーション等の当社が利用するクラウドサービスに大規模な障害が発生した場合、当社グループの業務に重大な支障をきたす可能性があります。
また、当社グループが保有する顧客の個人情報が取り扱い不備または不正アクセス等により漏洩した場合には、当社グループの事業、システムまたはブランドに対する社会的評価が傷つけられ、顧客および市場の信頼が低下して、当社グループの事業運営や業績に影響を及ぼす可能性があります。
(9)人材・労務に関わるリスク
当社グループの事業運営には、航空機の運航に関連して法律上要求される国家資格を始めとする各種の資格や技能を有する人材の確保が必要ですが、当社グループの従業員がその業務に必要なこれらの資格や技能を取得するまでには相応の期間を要することから、当社グループが想定する人員体制を必要な時期に確保できない場合には、当社グループの事業運営が影響を受ける可能性があります。
また、当社グループの従業員の多くは労働組合に所属しておりますが、当社グループの従業員による集団的なストライキ等の労働争議が発生した場合には、当社グループの航空機の運航が影響を受ける可能性があります。
当連結会計年度(2020年4月1日~2021年3月31日)は、新型コロナウイルス感染拡大により、当社グループ(当社及び子会社)が属する航空業界は極めて厳しい状況に置かれました。当社グループでは、感染拡大の影響が長期化する中、清潔性・非接触性の強化による「安全・安心」の確保に努めつつ、日本国内および日本と海外を結ぶ航空輸送ネットワークの維持に努めてまいりました。収入の著しい減少に対して、抜本的なコスト削減策と投資抑制を遅滞なく実施することで業績への影響を緩和することに努め、加えて、着陸料や航空機燃料税等の公租公課の支払い猶予といった航空業界を対象とした支援策や、雇用調整助成金制度の特例措置拡充等、日本政府による公的なご支援も活用しつつ、この未曽有の危機への対応に全力を尽くしました。
新型コロナウイルス感染拡大の影響が長期化する中で、当社グループは引き続きこうした努力を継続し、公共交通機関としての社会的使命を果たし、お客さまに安心してご利用いただけるよう全力を尽くし、来るべき航空需要の回復に備えてまいります。
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりです。
なお、当社グループは、当連結会計年度から従来の日本基準に替えて国際財務報告基準(以下「IFRS」という。)を適用しており、前連結会計年度の数値もIFRSに組み替えて比較分析を行っております。
①財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度における当社グループを取り巻く経営環境を概括すると、新型コロナウイルス感染拡大により、世界および日本経済は大きな打撃を受けました。下期に入り、感染拡大が収まりつつある一部の国・地域では経済回復局面に入り、また、一部産業においては業況の著しい改善が見られました。しかしながら、航空旅客需要は、各国の厳しい出入国制限や検疫体制強化、移動自粛の動きにより回復の目途は立っておらず、年度を通じて極めて厳しい状況となりました。
また、燃油費、国際旅客収入ならびに国際貨物収入に影響を与える原油価格については、新型コロナウイルス感染拡大による世界経済への影響が深刻化するに伴い急落しましたが、今後のワクチン普及等に伴う経済活動の正常化期待により上昇基調に転じました。
以下、当連結会計年度における当社グループの経営状況につき概括します。
当社グループは、このような経営環境の中でも、グループ存立の大前提である「安全」を守り、お客さまと社員の感染防止に努めつつ、国内外の航空ネットワークの維持に努めております。
安全に関する取り組みについて、2020年12月4日にJL904便(那覇空港発羽田空港行)にて左エンジンの損傷により那覇空港へ引き返す事例が発生し、国土交通省より「重大インシデント」と認定されました。この事象を重く受け止め、同型エンジンを装備する稼働中のボーイング777型航空機全機のエンジン18台の緊急一斉検査を実施し、あわせて視認できない細微な損傷がないかを確認する非破壊検査の頻度を高める等、再発防止に取り組んでまいりました。加えて、エンジンカバーの脱落を防止するための設計変更についてボーイング社と連携を図るなど、落下物・部品脱落防止に向けた対策も講じてまいりました。
安心に関する取り組みについて、お客さまと社員の感染防止、航空機利用による感染拡大防止を強化すべく、空港での手続等における非接触・清潔性を高めた「JAL SMART AIRPORT」の導入を進めており、その取り組みの一環としてチェックイン時のタッチパネルの非接触化を開始しました。また、顔認証技術を活用した搭乗手続き「Face Express」の実証実験へ参画するほか、マスクを着用したままの「顔認証技術を活用したおもてなしサービスの実証実験」を鹿児島空港・霧島市内で実施しております。加えて、お客さまに安心して国内旅行や出張をしていただけるよう「JAL国内線 PCR検査サービス」や、海外渡航先で新型コロナウイルスに感染した際に補償やサポートを受けられる「コロナカバー」サービスの提供を始めました。こうした取り組みが評価され、SKYTRAX社の「Covid-19 Safety Rating」およびAPEX社の「Health Safety Powered by SimpliFlying Audit」で最高評価を獲得しました。今後も安心してご利用いただけるようさらに取り組みを推進してまいります。
「顧客満足」の向上に向けての取り組みについて、2020年4月に国内外のWEBサイトのデザインを一新することで、国内線・国際線を問わずよりスムーズな航空券の検索・予約を実現しました。
感染拡大の影響が長期化する中、需要の減少に対しては、機動的に供給調整を行うことで運航費用など変動費の抑制に努めるとともに、委託業務の内製化やITに関わる経費の抑制、役員報酬の減額、社員の賞与減による人件費の削減を含め、当初想定対比で約1,350億円の固定費の削減を実施し、業績への影響を緩和することに努めました。その他にも、ソーシャルディスタンスに配慮したツアー、周遊チャーターの運航、ワーケーションに活用可能なツアーを販売するなど需要喚起および収支改善に努めてまいりました。運航に直接携わる業務量が減少する中での人財活用も積極的に推進し、社員教育の充実や、空港における検疫支援業務の受託、グループ外の企業や自治体等へ1日あたり約1,000人規模での出向・派遣を行い、新型コロナウイルス感染拡大収束後の再飛躍に備え、社員一人ひとりの能力向上を図る取り組みを行っております。
また、新型コロナウイルス感染拡大の影響の長期化を受け、2021年度および2022年度入社新卒採用については、一部の職種を除き、中止することとしました。
事業領域の拡大に向けては、当社グループの強みである人財と、先進的なテクノロジーを融合させることでイノベーションを実現し、常に新しい商品・サービスやビジネスを創造すべく努めました。2020年11月には、地域事業本部を新設し、地域活性化のお手伝いをする「アンバサダー制度」に加え、客室乗務員が乗務しつつ地域活性化の活動へも参加する「ふるさと応援隊制度」を導入し、地域活性化の取り組みを深化させ、地域発の新規事業の創造への取り組みを強化しました。さらに、マイルがたまる「JALふるさと納税」サイトを開設し、地域の持続的な発展により一層貢献すべく努めております。また、「JALオンライントリップ」Webサイトを新設し、「JALデジタルフライト」と現地オンライントリップを組み合わせた商品を販売するほか、旅行先で仕事をする「ワーケーション」という新たな働き方を提案・サポートするなど、需要が低迷する中においてもニューノーマルに対応した新しい旅のカタチの提案に努めております。また、今後ドローン等の無人航空機の活用場面増加が想定される中で、無人航空機のオペレーター人財育成に向けて、当社グループのパイロット訓練ノウハウに基づく座学プログラムの提供を開始したほか、ヒト・モノ・コトの新たな移動・物資輸送サービス提供に向け、エアモビリティ分野での取り組みも進めております。その他の分野においても、本邦航空会社初となる手荷物搬送用の自動運転トーイングトラクターを導入するなど、先端技術を積極的に取り入れており、今後もお客さまにより快適にご利用いただけるよう努めてまいります。
SDGsの達成に向けては、2050年までにCO2排出量実質ゼロを目指し、CO2排出量の少ない省燃費機材であるエアバスA350型航空機の導入を積極的に進め、2021年3月より大阪国際空港(伊丹)への乗り入れを開始しました。あわせて、経年機材であるP&W社製エンジンを装備した国内線仕様のボーイング777-200型機および777-300型機については、当初2022年3月末までに全機退役を予定しておりましたが、退役時期を1年前倒しし、2021年3月末をもって全13機の退役を完了しました。なお、同型機材の退役後も、当社グループでは運輸安全委員会による調査や原因究明に全面的に協力してまいります。さらに、国産バイオジェット燃料の実用化に向けた取り組み強化の一つとして、衣料品の綿から製造した国産バイオジェット燃料を搭載したフライトを実施するなど、環境負担の低減に力を注いでまいりました。また、健康経営やD&Iの推進にも積極的に取り組んだ結果、「健康経営優良法人2021(大規模法人部門)」に認定されたほか、「2021 J-Winダイバーシティ・アワード」において、企業賞として「アドバンス部門 準大賞」、個人賞として「経営者アワード」を同時受賞しました。
財務戦略においては、当社グループでは、これまで培ってきた強固な財務体質を活かした資金調達を実施し、当連結会計年度において2,623億円の借入れを実施すると同時に、3,000億円の未使用のコミットメントラインを確保し、充分な手元流動性の確保に努めました。
加えて、新型コロナウイルス感染拡大により影響を受けた財務体質をいち早く改善し、ポストコロナにおいて速やかに成長戦略を遂行すべく、2020年11月に公募増資を実施し、1,829億円の資本増強を行いました。その結果、2021年3月末時点においても、自己資本比率は45.0%、D/Eレシオは0.5倍と、航空業界においては世界最高レベルの強固な財務基盤を維持できております。
新型コロナウイルス感染拡大が顕在化して1年が経ち今もなお先を見通すことが難しい状況が続いておりますが、感染拡大の影響が長期化したとしても、当社グループは、それに十分耐え得る財務健全性を維持しております。手元流動性については、2021年3月末時点で、未使用のコミットメントライン3,000億円を含む7,083億円となっており、十分な水準の手元流動性を確保しております。今後も、コスト削減の徹底と投資の厳格な管理により毎月の資金支出の抑制に努めるとともに、これまで培ってきた強固な財務体質に裏付けられた資金調達力を最大限活かし、手元流動性の確保に万全を期してまいります。
新型コロナウイルス感染拡大収束による航空旅客需要の回復には、もう暫く時間を要するものと思われます。これまで当社グループは、いたずらに規模を追わず効率性を最重視し、リスク耐性を備えた経営体制の構築に向け全社一丸となって努力してまいりました。厳しい状況が長く続く今こそ、その真価が問われる時と認識しております。
新型コロナウイルス感染拡大の影響による航空需要の減少はあくまでも一時的なものであり、中長期的には日本を発着する航空総需要は大きく成長していくという見通しに変わりはありません。新型コロナウイルス感染拡大は、航空業界のみならず社会全体の在り方を大きく変える可能性があります。しかしながら、グローバルな人と人との交流、物流ネットワークの重要性が低下することはないと確信しております。2021年度は、航空業界にとって、ポストコロナのニューノーマルに向けた第一歩を踏み出す年度となると期待されます。この夏には、東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会が安全に開催され、日本および世界各国でワクチン接種が順調に進み、各国の渡航制限が徐々に緩和に向かうことになり、人と人とが気軽に往来できる社会を取り戻すことができる時が再び到来することが期待されます。JALグループは、その時が来るまで、コスト管理の徹底と効率化を推進し、状況に適した旅客増収施策の着実な実施と航空貨物事業の増収に最大限努力することで、この危機を耐え抜く所存です。2021年度に入っても旅客需要の回復見通しについては不透明な状況が続きますが、日本政府にも航空業界支援策として、着陸料や航空機燃料税等の公租公課の支払い減免措置を講じていただいております。ご関係の皆さまのご愛顧とご支援を賜り、心より感謝を申し上げます。
a.財政状態
当連結会計年度末における資産については、前連結会計年度末に比べ1,250億円増加し、2兆1,072億円となりました。負債については、前連結会計年度末に比べ1,931億円増加の1兆1,257億円となりました。資本については、前連結会計年度末に比べ680億円減少の9,815億円となりました。
b.経営成績
当連結会計年度における売上収益は4,812億円(前年同期比65.3%減少)、営業費用は8,850億円(前年同期比32.4%減少)となり、財務・法人所得税前利益(△は損失)(当社は、当期利益から法人所得税費用、利息およびその他の財務収益・費用を除いた「財務・法人所得税前利益」をEBITと定義しております。以下「EBIT」という。)は△3,983億円(前年同期は888億円)、親会社の所有者に帰属する当期利益(△は損失)は△2,866億円(前年同期は480億円)となりました。
セグメントの業績は、次のとおりです。
<航空運送事業セグメント>
当連結会計年度における航空運送事業セグメントの経営成績については、売上収益は4,318億円(前年同期比65.8%減少)、投資・財務・法人所得税前利益(△は損失)(以下「セグメント利益(△は損失)」という。)は、△4,033億円(前年同期は747億円)となりました。(売上収益及びセグメント利益(△は損失)はセグメント間連結消去前数値です。)国際旅客収入(フルサービスキャリア)は279億円(前年同期比94.3%減少)、国内旅客収入は1,740億円(前年 同期比67.2%減少)、貨物郵便収入は1,288億円(前年同期比40.6%増加)となりました。なお、LCC事業を営む株式会社ZIPAIR Tokyo(以下「ZIPAIR」という。)の国際旅客収入は51百万円でした。
部門別売上高は次のとおりです。
|
科目 |
前連結会計年度 (自 2019年4月1日 至 2020年3月31日) |
構成比 (%) |
当連結会計年度 (自 2020年4月1日 至 2021年3月31日) |
構成比 (%) |
対前年 同期比 (%) |
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国際線 (フルサービスキャリア) |
|
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|
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旅客収入 (百万円) |
486,217 |
38.5 |
27,917 |
6.5 |
5.7 |
|
貨物収入 (百万円) |
59,744 |
4.7 |
96,553 |
22.4 |
161.6 |
|
郵便収入 (百万円) |
7,562 |
0.6 |
7,344 |
1.7 |
97.1 |
|
手荷物収入 (百万円) |
842 |
0.1 |
333 |
0.1 |
39.6 |
|
小計 (百万円) |
554,366 |
43.9 |
132,149 |
30.6 |
23.8 |
|
国内線 |
|
|
|
|
|
|
旅客収入 (百万円) |
529,707 |
42.0 |
174,006 |
40.3 |
32.8 |
|
貨物収入 (百万円) |
20,724 |
1.6 |
21,735 |
5.0 |
104.9 |
|
郵便収入 (百万円) |
3,627 |
0.3 |
3,192 |
0.7 |
88.0 |
|
手荷物収入 (百万円) |
320 |
0.0 |
219 |
0.1 |
68.5 |
|
小計 (百万円) |
554,380 |
43.9 |
199,154 |
46.1 |
35.9 |
|
国際線・国内線合計 (百万円) |
1,108,746 |
87.9 |
331,304 |
76.7 |
29.9 |
|
その他の収入 (ZIPAIRの国際旅客収入を含む) (百万円) |
153,136 |
12.1 |
100,517 |
23.3 |
65.6 |
|
合計 (百万円) |
1,261,883 |
100.0 |
431,821 |
100.0 |
34.2 |
(注)金額については切捨処理、各比率については四捨五入処理しております。
連結輸送実績(フルサービスキャリア)は次のとおりです。
|
項目 |
前連結会計年度 (自 2019年4月1日 至 2020年3月31日) |
当連結会計年度 (自 2020年4月1日 至 2021年3月31日) |
対前年同期比 (利用率は ポイント差) |
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国際線 |
|
|
|
|
|
有償旅客数 |
(人) |
8,958,631 |
357,519 |
4.0% |
|
有償旅客キロ |
(千人・キロ) |
45,551,312 |
2,196,423 |
4.8% |
|
有効座席キロ |
(千席・キロ) |
53,910,292 |
11,918,047 |
22.1% |
|
有償座席利用率 |
(%) |
84.5 |
18.4 |
△66.1 |
|
有償貨物トン・キロ |
(千トン・キロ) |
2,407,691 |
1,948,205 |
80.9% |
|
郵便トン・キロ |
(千トン・キロ) |
188,957 |
155,413 |
82.2% |
|
国内線 |
|
|
|
|
|
有償旅客数 |
(人) |
36,411,557 |
12,212,131 |
33.5% |
|
有償旅客キロ |
(千人・キロ) |
27,496,784 |
9,282,122 |
33.8% |
|
有効座席キロ |
(千席・キロ) |
36,199,539 |
19,452,985 |
53.7% |
|
有償座席利用率 |
(%) |
76.0 |
47.7 |
△28.2 |
|
有償貨物トン・キロ |
(千トン・キロ) |
328,182 |
237,874 |
72.5% |
|
郵便トン・キロ |
(千トン・キロ) |
25,291 |
20,675 |
81.7% |
|
合計 |
|
|
|
|
|
有償旅客数 |
(人) |
45,370,188 |
12,569,650 |
27.7% |
|
有償旅客キロ |
(千人・キロ) |
73,048,097 |
11,478,546 |
15.7% |
|
有効座席キロ |
(千席・キロ) |
90,109,832 |
31,371,033 |
34.8% |
|
有償座席利用率 |
(%) |
81.1 |
36.6 |
△44.5 |
|
有償貨物トン・キロ |
(千トン・キロ) |
2,735,873 |
2,186,079 |
79.9% |
|
郵便トン・キロ |
(千トン・キロ) |
214,248 |
176,088 |
82.2% |
(注)1.旅客キロは、各区間有償旅客数(人)に当該区間距離(キロ)を乗じたものであり、座席キロは、各区間有効座席数(席)に当該区間距離(キロ)を乗じたものです。
輸送量(トン・キロ)は、各区間輸送量(トン)に当該区間距離(キロ)を乗じたものです。
2.区間距離は、IATA(国際航空運送協会)、ICAO(国際民間航空機構)の統計資料に準じた算出基準の大圏距離方式で算出しております。
3.国際線:日本航空(株)
国内線:日本航空(株)、日本トランスオーシャン航空(株)、日本エアコミューター(株)、
(株)ジェイエア、琉球エアーコミューター(株)、(株)北海道エアシステム
ただし、前年同期は、
国際線:日本航空(株)、日本トランスオーシャン航空(株)
国内線:日本航空(株)、日本トランスオーシャン航空(株)、日本エアコミューター(株)、
(株)ジェイエア、琉球エアーコミューター(株)、(株)北海道エアシステム
4.数字については切捨処理、比率については四捨五入処理しております。
5.当連結会計年度よりIFRS第15号「顧客との契約から生じる収益」の適用により、特典航空券でご搭乗の
お客さまが、有償旅客に含まれます。当該変更により、有償旅客数、有償旅客キロ、ならびに
有償席利用率には、特典航空券でご搭乗のお客さまが含まれます。
前連結会計年度の数値についても、当該変更を反映しております。
6.国際線の各数値は、当連結会計年度より「他社運航便のうちコードシェアによる自社販売分」を除いて
算定しております。
前連結会計年度の数値についても、当該変更を反映しております。
7.LCC事業であるZIPAIRによる輸送実績は上記輸送実績からは除いております。
なお、当連結会計年度の同社の国際線輸送実績は、有償旅客数2,289(人)、有償旅客キロ7,228
(千人キロ)、有効座席キロ336,255(千座席キロ)、有償座席利用率は2.1%でした。
<その他>
株式会社ジャルパックと株式会社ジャルカードの概況は、次のとおりです。
株式会社ジャルパック
|
項目 |
前連結会計年度 (自 2019年4月1日 至 2020年3月31日) |
当連結会計年度 (自 2020年4月1日 至 2021年3月31日) |
対前年 同期比 (%) |
|
海外旅行取扱人数(万人) |
18.3 |
0.0 |
0.0% |
|
国内旅行取扱人数(万人) |
260.6 |
114.1 |
43.8% |
|
売上収益 (億円)(連結消去前) |
1,701 |
555 |
32.7% |
株式会社ジャルカード
|
項目 |
前連結会計年度 (自 2019年4月1日 至 2020年3月31日) |
当連結会計年度 (自 2020年4月1日 至 2021年3月31日) |
対前年 同期比 (%) |
|
カード会員数 (万人) |
372.0 |
358.0 |
96.2% |
|
売上収益 (億円)(連結消去前) |
196 |
186 |
95.1% |
(注)当連結会計年度の期首から「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)及び「収益認識に関する会計基準の適用指針」(企業会計基準適用指針第30号 2020年3月31日)を適用しており、前連結会計年度に係る売上収益については、当該会計基準を遡って適用した後の値となっております。
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は、前連結会計年度末に比べ791億円増加し、4,083億円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
税引前損失△4,040億円に減価償却費等の非資金項目、退職給付に係る負債及び営業活動に係る債権・債務の加減算等を行った結果、営業活動によるキャッシュ・フロー(アウトフロー)は△2,195億円(前年同期は808億円のキャッシュ・インフロー)となりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
固定資産の取得による支出を主因として、投資活動によるキャッシュ・フロー(アウトフロー)は△910億円(前年同期は△2,337億円のキャッシュ・アウトフロー)となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
長期借入れによる収入及び株式の発行による収入を主因として、財務活動によるキャッシュ・フロー(インフロー)は3,886億円(前年同期は△388億円のキャッシュ・アウトフロー)となりました。
③生産、受注及び販売の実績
当社グループの生産、受注及び販売に該当する業種・業態がほとんどないため、「① 財政状態及び経営成績の状況」に含めて記載しております。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりです。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものです。
①重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。連結財務諸表の作成に当たり、経営者の判断に基づく会計方針の選択と適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りが必要となりますが、その判断及び見積りに関しては連結財務諸表作成時に入手可能な情報に基づき合理的に判断しております。しかしながら、実際の結果は、見積り特有の不確実性が伴うことから、これら見積りと異なる可能性があります。
当社グループの連結財務諸表の作成にあたって採用している重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 連結財務諸表注記 3.重要な会計方針」に記載しております。
経営者が行った連結財務諸表の金額に重要な影響を与える見積りは次のとおりです。
・収益認識
航空輸送に係る収益は、航空輸送役務の完了時に認識しております。
航空輸送に使用される予定のない航空券販売(失効見込の未使用航空券)は、航空券の条件や過去の傾向に基づく金額および認識のタイミングを見積り、収益認識しております。
・航空機等の減価償却費
航空機、航空機エンジン部品および客室関連資産等の各構成要素の耐用年数決定にあたり、将来の経済的使用可能予測期間を考慮して、減価償却費を算定しております。
なお、当連結会計年度より退役を予定している一部の航空機エンジン部品および客室関連資産について、将来の経済的使用可能予測期間をより適切に反映するため、耐用年数を変更しております。
・固定資産の減損
当社グループは、期末日現在の対象資産について、減損が生じている可能性を示す事象があるかを検討し、減損の兆候が存在する場合には減損損失の計上要否の検討を行っております。当期において新型コロナウイルス感染拡大の影響により、減損の兆候があると判断し減損損失計上要否について検討を行いましたが、回収可能価額が固定資産の帳簿価額を超えると判断されたため減損損失は計上しておりません。
なお、当連結会計年度の減損損失は、売却契約を締結した、または退役が決定した航空機について、資金生成
単位を変更し、処分コスト控除後の公正価値まで減額したものです。
・繰延税金資産の認識
当社グループは、将来減算一時差異、未使用の繰越税額控除および繰越欠損金のうち、将来課税所得に対して利用できる課税所得が生じる可能性が高い範囲内で繰延税金資産を認識しております。
当社グループの連結財務諸表の作成にあたっての見積りに関しては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 連結財務諸表注記 4.重要な会計上の見積り及び判断」に記載しております。
②経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
a.経営成績等
1)財政状態
(資産合計)
当連結会計年度末における資産については、現預金や繰延税金資産の増加などを主因として前連結会計年度末に比べ1,250億円増加し、2兆1,072億円となりました。
(負債合計)
当連結会計年度末における負債については、有利子負債の増加、契約負債の減少などにより、前連結会計年度末に比べ1,931億円増加し、1兆1,257億円となりました。
(資本合計)
当連結会計年度末における資本については、2020年11月に公募増資を実施し、資本増強を行ったものの、当期損失の計上を主因として、前連結会計年度末に比べ680億円減少の9,815億円となりました。
2)経営成績
当社グループの当連結会計年度の経営成績等は、収入面では、国際旅客収入は新型コロナウイルス感染拡大の影響の長期化により、前年対比4,582億円の減収となりました。国内旅客収入は新型コロナウイルス感染拡大に伴う度重なる緊急事態宣言の発出により、前年対比3,557億円の減収となり、売上収益は4,812億円(前年同期比65.3%減少)となりました。
費用面では、燃油費は減便による使用量の削減や燃油市況下落による燃油単価の減少等により1,466億円の減少、整備費は減便によるエンジン整備の減少等により158億円減少しました。人件費は、役員報酬の減額や業績に連動した賞与の減少などにより365億円減少しました。収入の著しい減少に対して、機動的に供給調整を行うことで運航費用など変動費の抑制に努め、抜本的なコスト削減策と投資抑制を遅滞なく実施した結果、営業費用全体としては8,850億円(前年同期比32.4%減少)となりました。
以上の結果、EBITは△3,983億円(前年同期は888億円)となりました。また、当連結会計年度の親会社の所有者に帰属する当期利益(△は損失)は、繰延税金資産の計上に伴い法人所得税費用がマイナスとなった結果、△2,866億円(前年同期は480億円)となりました。
セグメント別の分析は次のとおりです。
<航空運送事業>
(国際線 フルサービスキャリア)
国際旅客需要は、感染再拡大および変異株の感染が報告されて以降、日本を含む各国での入国制限や検疫体制がさらに強化され、国境をまたぐ移動需要はほぼ消失しております。こうした中、当社グループでは、帰国者や海外拠点への赴任者、アジア発北米行きの通過需要等の移動ニーズにお応えすべく、国際線ネットワークを維持してまいりました。当連結会計年度の有効座席キロは前年同期比77.9%減、旅客数は前年同期比96.0%減、有償旅客キロは前年同期比95.2%減、有償座席利用率は18.4%となりました。
(国内線)
国内旅客需要については、2020年4月の緊急事態宣言の発出により、第1四半期には需要が大幅に落ち込みましたが、緊急事態宣言の解除およびGo To トラベル事業の開始により、第3四半期には一時的に観光需要が急回復しました。しかしながら、感染再拡大により2020年12月にGo To トラベル事業が中止され、2021年1月に再度緊急事態宣言が発出されると、第4四半期には再び需要は低迷するなど、不安定な状況が続きました。その中にあっても、離島路線など社会インフラとして必要不可欠な航空路線の運航を維持することで、国内航空ネットワークの確保にも努めてまいりました。また、2021年2月に福島県沖を震源とした地震が発生した際には、東北地区の各空港を発着する臨時便を運航し、遮断された地上交通機関の代替としての移動手段を提供しました。当連結会計年度の有効座席キロは前年同期比46.3%減、旅客数は前年同期比66.5%減、有償旅客キロは前年同期比66.2%減、有償座席利用率は47.7%となりました。
(貨物)
国際・国内貨物事業においては、航空旅客需要の急減に伴い各社が旅客便を大幅に減便した影響により、需給が逼迫する状況となりました。当社グループでは、マスクや防護服をはじめとする医療品の輸送に協力するほか、旅客機を活用した貨物専用便を計15,299便運航するなどの取り組みにより、日本国内および日本と海外を結ぶ物流ネットワークの維持に努めました。また、2021年以降本格化することが想定される新型コロナウイルスワクチンの国内外における円滑な輸送を実現すべく、必要な体制の構築にも取り組みました。こうした状況下において、貨物収入は前年同期比47.0%増となりました。
(LCC)
LCC事業においては、国際線中長距離LCCであるZIPAIRは、2020年6月から東京=ソウルおよびバンコク線を貨物専用便として運航を開始し、10月からは旅客便としての運航を開始しました。また、軽食などの機内販売品をセルフオーダーで注文できるシステムをLCCとして初めて導入し、コンタクトレスの機内サービスを実現しました。さらに12月からは東京=ホノルル線に就航しました。LCC事業を営むZIPAIRの当連結会計年度の有効座席キロは336,255(千座席キロ)、旅客数は2,289(人)、有償旅客キロは7,228(千人キロ)となりました。
(今後の見通し)
新型コロナウイルス感染拡大は、日本のみならず世界各国においても収束の兆しが見えておらず、各国の出入国および検疫規制の緩和の時期や進展は不透明な状況となっております。そのため、特に国際旅客需要については、今後の需要動向を現時点で見通すことは極めて困難な状況であり、当社グループにおいては、現時点で今期の生産計画および収入見通しを合理的に見積もることは困難なことから、2022年3月期の業績予想の開示は現時点では未定とさせていただきます。今後、日本および世界における感染状況、ワクチン接種の進捗状況、治療薬の開発状況、それらを踏まえた各国の出入国規制の緩和状況等が明らかになり、航空旅客需要の回復度合いが一定程度見極められた段階で、速やかに業績予想をお示しすることといたします。
なお、不透明な状況下における当社の状況についての参考情報として、EBITおよびEBITDA黒字化の目安となる旅客需要の回復水準イメージを次のとおりお示しいたします。ただし、当該イメージは旅客需要回復動向が不透明な中、一定の条件の下で試算した参考情報であり、需要水準が下記となった場合でも、旅客需要以外の前提の変動により各範囲に収まらない可能性があります。

厳しい状況が続いておりますが、不透明な需要動向に柔軟かつ迅速に対応し、あらゆる手段で収益改善に努めてまいります。
3)キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況については、「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりです。
b.経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
2020年1月以降の新型コロナウイルスの感染拡大により、全世界で航空需要が急減し航空業界は未曽有の危機に瀕しており、当社も甚大な影響を受けております。2020年度においては、以下の3点を重要な課題と位置づけ、存立の大前提である安全運航を堅持し、公共交通機関としての使命と責任を果たしてまいりました。
・航空輸送ネットワークの維持と徹底したコスト削減・手元流動性の確保
・新型コロナウイルス収束後の反転攻勢に向けた準備
・企業価値の回復と持続可能な社会の実現
足許の状況にはいまだ不透明さが残るものの、ワクチンの接種をはじめとして新型コロナウイルスの収束に向けた取り組みは社会全体で着実に進捗しております。このような中、2021年度以降は、「2021~2025年度 JALグループ中期経営計画」に則り、環境変化に適応し持続的な成長・発展を実現するために、「事業戦略」「財務戦略」「ESG戦略」を経営戦略の柱と位置づけ、全社員一丸となって進んでまいります。
事業戦略においては、マーケットの変化に対応した事業構造改革を進めるとともに、安全・安心を提供する取り組みを進め、コロナ禍前の利益水準を早期に回復し、再び成長へ転じます。
財務戦略においては、リスク耐性強化と資本効率を両立し、経営資源を戦略的に配分することで、財務基盤の再構築と今後の成長投資・株主還元を着実に進めてまいります。
ESG戦略においては、事業を通じてSDGsを達成するためのESG経営を推進し、2030年のSDGs、2050年のCO2排出量実質ゼロの達成に向けた取り組みを加速させてまいります。
当社グループは、企業理念の実現に向けて、世界で一番選ばれ、愛されるエアライングループを目指してたゆまぬ努力を重ねてまいります。
c.資本の財源及び資金の流動性
1)財務戦略の基本的な考え方
当社グループは、強固な財務体質と高い資本効率を両立しつつ、企業価値向上のために戦略的に経営資源を配分することを財務戦略の基本方針としております。
強固な財務体質の維持に関しては、自己資本比率の水準を50%程度(IFRS)に保ち、「シングルAフラット」以上の信用格付(日本の格付機関)の取得・維持を目指し、リスク耐性の強化を図ります。なお、新型コロナウイルス感染拡大の長期化に備え、一時的に有利子負債が増える可能性がありますが、事態収束後には強固な財務体質の再構築を目指します。
設備投資に関しては、燃費効率や快適性に優れた新しい航空機の導入や、顧客利便性を向上させるためのIT投資等、企業価値の向上に資する成長のための投資を中心に着実に実施してまいります。2020年度は手元流動性の確保を優先すべく、設備投資を抑制しましたが、今後は財務基盤の再構築と投資効率を重視した成長投資の両立に努めます。
2)経営資源の配分に関する考え方
当社グループは、新型コロナウイルス感染拡大により甚大なる影響を受けた経験を踏まえ、適正な手元現預金の水準について検証を実施した結果、イベントリスク発生時に大きな影響を受ける旅客収入規模に応じ、航空券払戻リスクにも一定程度耐えうる水準を新たに設定いたしました。リスク体制の強化および資産効率の両立を図るべく、コミットメントラインの活用も含め、旅客収入の5.0~5.6か月分(毎月末)を安定的な経営に必要な手元現預金水準として確保してまいります。
2023年度までは財務再構築期間と位置づけ、投資の厳選により債務返済と適正な手元現預金水準の実現に努め、2024年度以降、株主還元を積極的に行い、持続的成長に向けた投資を実施することで、企業価値向上に資する経営資源の配分に取り組みます。
3)資金需要の主な内容
当社グループの資金需要は、営業活動に係る資金支出では、航空運送事業に関わる燃油費、運航施設利用費、整備費、航空販売手数料、機材費(航空機に関わる償却費、賃借料、保険料など)、サービス費(機内・ラウンジ・貨物などのサービスに関わる費用)、人件費などがあります。
また、投資活動に係る資金支出は、航空機の安全、安定運航や非接触・清潔性の向上のために不可欠な設備や施設への投資、企業価値向上に資する効率性・快適性に優れた新しい航空機への投資、安定的・効率的な航空機の運航や、競争力強化に資する予約販売に関するIT投資などがあります。
4)資金調達
当社グループは、事業活動の維持および将来の成長のために必要な資金について、安定的かつ機動的に確保することに努めております。
設備投資は、内部資金および外部資金を有効に活用して実施してまいります。設備投資額は営業キャッシュ・フローの範囲内とすることを原則としておりますが、十分な手元流動性の確保、資金調達手段の多様化、資本効率の向上を企図し、主要な事業資産である航空機などの調達に当たっては、金融機関からの借入、社債の発行、航空機リース等の有利子負債を一部活用しております。
なお、当社グループでは、新型コロナウイルス感染拡大の影響の長期化に備え、これまで培ってきた強固な財務体質を活かした資金調達を実施し、当連結会計年度において2,623億円の借入れを実施すると同時に、3,000億円の未使用のコミットメントラインを確保し、充分な手元流動性の確保に努めました。
加えて、新型コロナウイルス感染拡大により影響を受けた財務体質をいち早く改善し、ポストコロナにおいて速やかに成長戦略を遂行すべく、2020年11月に公募増資を実施し、1,829億円の資本増強を行いました。その結果、2021年3月末時点においても、自己資本比率は45.0%、D/Eレシオは0.5倍と、航空業界においては世界最高レベルの強固な財務基盤を維持できております。
新型コロナウイルス感染拡大が顕在化して1年が経ち今もなお先を見通すことが難しい状況が続いておりますが、感染拡大の影響が長期化したとしても、当社グループは、それに十分耐え得る財務健全性を維持しております。手元流動性については、2021年3月末時点で、未使用のコミットメントライン3,000億円を含む7,083億円となっており、十分な水準の手元流動性を確保しております。今後も、コスト削減の徹底と投資の厳格な管理により毎月の資金支出の抑制に努めるとともに、これまで培ってきた強固な財務体質に裏付けられた資金調達力を最大限活かし、手元流動性の確保に万全を期してまいります。
当社は従前から、安定的な外部資金調達能力の維持向上は重要な経営課題と認識しており、国内2社の格付機関から格付を取得しております。本報告書提出時点において、日本格付研究所の格付は「シングルA(ネガティブ)」、格付投資情報センターの格付は「シングルAマイナス(ネガティブ)」となっております。また、主要な取引先金融機関とは良好な取引関係を維持しており、加えて強固な財務体質を有していることから、必要な運転資金、投資資金の調達に関しては問題ないと認識しています。
d.経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
「2021~2025年度JALグループ中期経営計画」において、以下を経営目標としており、経営目標の達成に向け取り組んでまいります。
(安全・安心)
安全とは命を守ることであり当社グループ存立の大前提であること、また、安全運航は社会的責務であるとの認識のもと、航空事故ゼロ(※1)、重大インシデントゼロ(※2)を目標としています。
デジタル技術を駆使した最先端の安全対策と安全を大前提に考え行動する人財の育成を両輪として、安全のリーディングカンパニーとして取り組みを深め、安全・安心な社会の実現を目指します。
具体的には、最先端の安全対策として、飛行中の揺れによる負傷を未然に防ぐシステムの構築、航空機の故障予測の拡充、保安機器の高度化やエアモビリティ分野での安全管理の確立を行います。人財育成としては、過去の事故の教訓を引き継ぐ三現主義教育の拡充や、安全に集中できる環境を作るために心身の健康を含むさまざまな悩みを社員が相談できるサポートプログラムの拡充などに取り組みます。
(※1)航空事故 :2020年度の航空事故はありませんでした。
(※2)重大インシデント:2020年12月4日、日本航空904便(那覇空港発 東京国際空港行)が、離陸上昇中に左エンジンの不具合が発生したため、那覇空港に引き返しました。到着後の検査において、左エンジンの一部ファンブレードやエンジンカウル(覆い)の損傷などが確認されました。本事例は、「航空法施行規則第166条の4に掲げる事態」に該当するとして、国土交通省航空局により、重大インシデントと認定されました。
|
指標 |
2025年度までの目標 |
2020年度 |
|
航空事故(注1) |
0件 |
0件 |
|
重大インシデント(注2) |
0件 |
1件 |
(注1)航空機の運航によって発生した人の死傷(重傷以上)、航空機の墜落、衝突または火災、航行中の航空機の損傷(大修理相当)等
(注2)航空事故には至らないものの、その恐れがあったと認められる事態。滑走路からの逸脱、非常脱出等
2021~2025年度JALグループ中期経営計画期間においては、航空利用に加え、日常・ライフステージでもあらゆるシーンで心地よい安心と世界トップレベルの顧客体験を実現するべく、デジタルの活用と様々な人・地域とのつながりによって、パーソナライズされた価値を提案・提供してまいります。顧客満足評価指標については、NPS(Net Promoter Score)を引き続き採用してまいります。
2020年度においては、国内線・国際線ともに新型コロナウイルスの影響を強く受けました。一方、コロナ禍においても的確できめ細やかなヒューマンサービスや、アジアで初めてSKYTRAX「Covid-19 Safety Rating」での最高評価5star、APEX「Health Safety Powered by SimpliFlying Audit」での最高評価Diamondをダブルで受賞(2021年3月)した感染症対策、安心の取り組みを中心に、顧客評価は年度を通じて高く推移し、「2017~2020年度JALグループ中期経営計画」にて2020年度までに達成するとしていた顧客満足目標を大きく上回る結果となりました。
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指標 |
2025年度までの目標 (2021年度期初対比) |
2020年度 (2017年度期初対比) |
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NPS 国内線 |
+4.0ポイント |
+23.0ポイント |
|
NPS 国際線 |
+4.0ポイント |
+30.0ポイント |
(財務)
これまで築き上げた高い収益性と強固な財務安定性を兼ね備えつつ、成長に向けた積極的な投資および経営資源の有効活用により常に成長し続けるために、「EBITマージン(売上高利益率)2023年度に10%以上を達成(以降向上)、ROIC(投資利益率)2023年度に9%を達成(以降維持・向上)、EPS(1株当たり純利益)2023年度 260円(コロナ禍以前の水準)、2025年度 約290円レベル」を目指します。
2020年度は未達成となっておりますが、高い収益性と強固な財務安定性を目指してまいります。
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指標 |
2025年度までの目標 |
|
EBITマージン(売上高利益率)(注1) |
2023年度に10%以上を達成(以降向上) |
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ROIC(投資利益率)(注2) |
2023年度に9%を達成(以降維持・向上) |
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EPS(1株当たり純利益) |
2023年度 260円(コロナ禍以前の水準) 2025年度 約290円レベル |
(注1)EBITマージン=EBIT / 売上収益
(注2)投資利益率(ROIC)=EBIT(税引後)/ 期首・期末固定資産平均
(サステナビリティ)
「環境」の目標について、「省燃費機材への更新」「運航の工夫」「持続可能な航空燃料(SAF)の活用」によりCO2排出量を削減するとともに、客室・ラウンジ、および空港・貨物において、お客さまに提供する使い捨てプラスチックを削減することにより、豊かな地球を次世代に引き継ぐための環境保全に取り組んでまいります。
「地域社会」の目標について、地域に関する取り組みの事業化を図り、航空会社としての輸送力を活かして多くの人々やさまざまな物の流動を創出し、地域活性化に取り組むことで、地域社会の発展に貢献してまいります。
「人」の目標について、女性社員の意思決定への参画をさらに促すほか、多様な人財の登用と活躍を推進し、誰もがいきいきと輝ける社会の構築に貢献してまいります。
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指標 |
2025年度までの目標 |
|
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環境 |
CO2削減 |
総排出量909万トン未満 (2019年度実績) |
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お客さまに提供する使い捨て プラスチック削減 |
客室・ラウンジ:新規石油由来全廃 空港・貨物 :環境配慮素材へ100%変更 |
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地域社会 |
国内の旅客(注1)・貨物輸送量 |
2019年度対比+10% |
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人 |
グループ内女性管理職比率 |
30% |
(注1)観光需要喚起や新規流動の創造による旅客数の増分
(3)並行開示情報
連結財務諸表規則(第7章及び第8章を除く。以下、「日本基準」)により作成した要約連結財務諸表は次のとおりです。
なお、日本基準により作成した要約連結財務諸表については、金融商品取引法第193条の2第1項の規定に基づく監査を受けておりません。
また、当要約連結財務諸表は、百万円未満切り捨てで記載しております。
①要約連結貸借対照表(日本基準)
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(単位:百万円) |
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前連結会計年度 (2020年3月31日) |
当連結会計年度 (2021年3月31日) |
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資産の部 |
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流動資産 |
506,062 |
564,913 |
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固定資産 |
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有形固定資産 |
997,807 |
913,776 |
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無形固定資産 |
95,777 |
89,620 |
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投資その他の資産 |
280,468 |
385,172 |
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固定資産合計 |
1,374,053 |
1,388,569 |
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資産合計 |
1,880,116 |
1,953,482 |
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負債の部 |
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流動負債 |
474,520 |
441,036 |
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固定負債 |
369,065 |
549,370 |
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負債合計 |
843,585 |
990,406 |
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純資産の部 |
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株主資本 |
1,068,345 |
950,057 |
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その他の包括利益累計額 |
△66,965 |
△20,909 |
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非支配株主持分 |
35,150 |
33,927 |
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純資産合計 |
1,036,530 |
963,076 |
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負債純資産合計 |
1,880,116 |
1,953,482 |
②要約連結損益及びその他の包括利益計算書(日本基準)
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(単位:百万円) |
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前連結会計年度 (自 2019年4月1日 至 2020年3月31日) |
当連結会計年度 (自 2020年4月1日 至 2021年3月31日) |
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営業収益 |
1,387,201 |
482,778 |
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事業費 |
1,092,409 |
725,572 |
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営業総利益(△は損失) |
294,791 |
△242,794 |
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販売費及び一般管理費 |
208,259 |
152,149 |
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営業利益(△は損失) |
86,532 |
△394,943 |
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営業外収益 |
10,105 |
13,870 |
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営業外費用 |
8,166 |
25,781 |
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経常利益(△は損失) |
88,471 |
△406,854 |
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特別利益 |
3,220 |
965 |
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特別損失 |
9,278 |
17,275 |
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税金等調整前当期純利益(△は損失) |
82,413 |
△423,165 |
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法人税等合計 |
34,888 |
△119,999 |
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当期純利益(△は損失) |
47,525 |
△303,165 |
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(内訳) |
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親会社株主に帰属する当期純利益(△は損失) |
43,600 |
△301,983 |
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非支配株主に帰属する当期純利益(△は損失) |
3,924 |
△1,182 |
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その他の包括利益合計 |
△45,812 |
46,015 |
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包括利益 |
1,712 |
△257,150 |
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(内訳) |
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親会社株主に係る包括利益 |
△2,076 |
△255,927 |
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非支配株主に係る包括利益 |
3,789 |
△1,223 |
③要約連結株主資本等変動計算書(日本基準)
前連結会計年度(自 2019年4月1日 至 2020年3月31日)
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(単位:百万円) |
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株主資本 |
その他の包括利益 累計額 |
非支配株主持分 |
純資産合計 |
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当期首残高 |
1,102,794 |
△21,287 |
33,238 |
1,114,745 |
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当期変動額合計 |
△34,449 |
△45,677 |
1,912 |
△78,214 |
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当期末残高 |
1,068,345 |
△66,965 |
35,150 |
1,036,530 |
当連結会計年度(自 2020年4月1日 至 2021年3月31日)
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(単位:百万円) |
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株主資本 |
その他の包括利益 累計額 |
非支配株主持分 |
純資産合計 |
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当期首残高 |
1,068,345 |
△66,965 |
35,150 |
1,036,530 |
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当期変動額合計 |
△118,287 |
46,056 |
△1,223 |
△73,454 |
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当期末残高 |
950,057 |
△20,909 |
33,927 |
963,076 |
④要約連結キャッシュ・フロー計算書(日本基準)
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(単位:百万円) |
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前連結会計年度 (自 2019年4月1日 至 2020年3月31日) |
当連結会計年度 (自 2020年4月1日 至 2021年3月31日) |
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営業活動によるキャッシュ・フロー |
60,030 |
△244,625 |
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投資活動によるキャッシュ・フロー |
△221,573 |
△46,744 |
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財務活動によるキャッシュ・フロー |
△30,135 |
369,462 |
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現金及び現金同等物に係る換算差額 |
△1,236 |
1,094 |
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現金及び現金同等物の増減額(△は減少) |
△192,914 |
79,186 |
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現金及び現金同等物の期首残高 |
522,064 |
329,149 |
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現金及び現金同等物の期末残高 |
329,149 |
408,335 |
⑤連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項の変更(日本基準)
当連結会計年度(自 2020年4月1日 至 2021年3月31日)
(a)持分法の適用に関する事項
従来、持分法適用会社であった千歳空港給油施設株式会社、大阪空港交通株式会社および株式会社びゅうトラベルサービスについては、保有株式譲渡に伴い、当連結会計年度より、持分法適用の範囲から除外しております。
(b)会計方針の変更に関する事項
(収益認識に関する会計基準等の適用)
「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日。以下「収益認識会計基準」という。)および「収益認識に関する会計基準の適用指針」(企業会計基準適用指針第30号 2020年3月31日)を当連結会計年度から適用し、約束した財又はサービスの支配が顧客に移転した時点で、当該財又はサービスと交換に受け取ると見込まれる金額で収益を認識することといたしました。これにより、適用前においては顧客へ付与したマイレージの利用による将来の費用負担額を「販売費及び一般管理費」として認識し、未利用のマイレージについて連結貸借対照表に「営業未払金」として表示しておりましたが、マイレージプログラムを将来引き渡される物品またはサービスとして個別に認識し、マイレージと交換される特典の履行義務に配分された取引価格を「契約負債」として収益から繰り延べ、顧客のマイレージ利用に従い収益を認識しております。また、航空券発売時や有効期限到来時に認識していた一部の収益について、航空券の条件や過去の傾向を考慮して見積もった適切なタイミングに収益を認識する方法に変更しております。さらに、適用前は一時点で収益認識していた一部の取引について、役務提供の進捗に応じて一定期間にわたり収益認識しております。当該会計方針の変更は、原則として遡及適用され、前連結会計年度については遡及適用後の連結財務諸表となっております。
この結果、遡及適用を行う前と比べて、前連結会計年度における連結貸借対照表は、流動資産が19,932百万円減少、投資その他の資産が40,686百万円増加、流動負債が116,059百万円増加し、利益剰余金が93,432百万円減少、非支配持分が1,873百万円減少しております。前連結会計年度の連結損益計算書は、営業収益は24,029百万円減少し、事業費が16,260百万円増加し、販売費及び一般管理費は26,190百万円減少し、営業利益、経常利益および税金等調整前当期純利益がそれぞれ14,099百万円減少しております。
前連結会計年度の期首の純資産に累積的影響額が反映されたことにより、連結株主資本等変動計算書の利益剰余金の期首残高が83,626百万円減少しております。
(c)会計上の見積りの変更
退役を予定している一部の航空機、航空機エンジン部品および客室関連資産等について、将来の経済的使用可能予測期間の見直しを行い、当連結会計年度において耐用年数を変更しております。この変更により、当連結会計年度の営業損失、経常損失及び税金等調整前当期純損失がそれぞれ10,829百万円増加しております。
(4)経営成績等の状況の概要に係る主要な項目における差異に関する情報
IFRSにより作成した連結財務諸表における主要な項目と日本基準により作成した場合の連結財務諸表におけるこれらに相当する項目との差異に関する事項は、次のとおりです。
前連結会計年度(自 2019年4月1日 至 2020年3月31日)
「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 37.初度適用」に記載のとおりです。
当連結会計年度(自 2020年4月1日 至 2021年3月31日)
①退職給付会計
当社グループでは、日本基準では退職給付制度の数理計算上の差異等について、発生時にその他の包括利益で認識し、従業員の平均残存勤務期間以内の一定の年数により按分した額を発生の翌年度から費用処理しておりましたが、IFRSでは発生時にその他の包括利益に認識し、直ちに利益剰余金に振替えております。また、日本基準においては、退職給付債務に割引率を乗じて算定した利息費用と、年金資産に長期期待運用収益率を乗じて算定した期待運用収益を使用しておりましたが、IFRSでは確定給付制度債務の現在価値から制度資産の公正価値を控除した金額に割引率を乗じて算定した利息純額を使用し、財務費用として認識しております。これらの影響により、IFRSでは税引前損失が7,951百万円減少しております。
②金融商品会計
日本基準においては有利子負債の調達取引コストを発生時に費用処理していましたが、IFRSでは調達取引コスト発生時に有利子負債残高を減額し、当該有利子負債の返済期間にわたって財務費用として認識しております。また、資本の調達取引コストについても日本基準においては発生時に費用処理していましたが、IFRSでは調達取引コスト発生時に資本剰余金を減額しております。さらに、日本基準においては投資有価証券に係る売却等による損益を純損益に計上していましたが、IFRSでは資本性金融商品をその他の包括利益を通じて公正価値で測定する金融資産として指定することが認められており、当該指定の資本性金融商品の売却等による損益を「その他の包括利益」として認識しております。これらの影響により、IFRSでは税引前損失が8,711百万円減少しております。
③資産除去債務
返却が決定した賃借航空機(オペレーティング・リース)の返却に伴う原状回復等の契約上の義務によるキャッシュアウトの見積りについて、日本基準では見積りが可能となった時点で費用計上する一方で、IFRSでは航空機、および資産除去債務として認識し、返却時までにわたり減価償却費として費用計上しております。この影響により、IFRSでは税引前損失が2,497百万円減少しております。
④表示組替
日本基準においては、発生した費用には、売上原価・販売費及び一般管理費・営業外費用・特別損失等に分類して表示しておりましたが、IFRSでは費用性質法による表示に変更しております。
重要な契約の内容
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会社名 |
契約の名称 または種類 |
契約の内容 |
契約相手先 |
締結年月 |
契約期間 |
国名 |
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日本航空株式会社 |
航空機調達契約 (注) |
ボーイング社製787型航空機の発注に関する契約 |
ザ・ボーイング・カンパニー |
2005年 5月 |
- |
米国 |
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アライアンス |
世界的な航空連合であるワンワールドへの加盟に際し、基本的な規約事項を定めた契約 |
ワンワールドマネジメントカンパニー及び加盟各社 |
2007年 4月 |
解約しない限り継続 |
米国 |
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アメリカン航空との共同事業 |
アメリカン航空との包括的な業務提携に関する契約 |
アメリカン航空 |
2010年 2月 |
5年経過後は自動更新 |
米国 |
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航空機調達契約 (注) |
エアバス社製A350型航空機の発注に関する契約 |
エアバス |
2013年 10月 |
- |
仏国 |
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航空機調達契約 (注) |
三菱航空機社製MRJ90型航空機の発注に関する契約 |
三菱航空機株式会社 |
2015年 1月 |
- |
日本 |
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ブリティッシュ・エアウェイズ、フィンランド航空及びイベリア航空との共同事業 |
ブリティッシュ・エアウェイズ、フィンランド航空及びイベリア航空との包括的な業務提携に関する契約 |
ブリティッシュ・エアウェイズ、フィンランド航空及びイベリア航空 |
2016年 10月 |
当初5年間は解約不可 |
英国 フィンランド スペイン |
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マレーシア航空との共同事業 |
マレーシア航空との包括的な業務提携に関する契約 |
マレーシア航空 |
2020年 4月 |
5年経過後は自動更新 |
マレーシア |
(注)当該契約に基づく航空機の調達については、「第3 設備の状況 3 設備の新設、除却等の計画 (1)重要な設備の新設等」に記載しております。
「研究開発費等に係る会計基準」に合致する研究開発費を発生させる活動はありません。