(1) 業績
当連結会計年度(平成28年4月1日~平成29年3月31日、以下「当期」という)のわが国経済は、企業収益及び雇用環境の改善が続く中、個人消費は総じてみれば持ち直しの動きが続く等、景気は緩やかな回復基調が続いた。航空業界を取り巻く環境は、国内・海外経済の緩やかな回復が続く中で、訪日外国人の増加等により、需要は概ね堅調に推移した。
このような経済情勢の下、「2016~2020年度ANAグループ中期経営戦略」で掲げた、「エアライン事業領域の拡大」、「新規事業の創造と既存事業の成長加速」を柱とし、新規投資やイノベーションの創出、戦略的投資等をシンプルかつタイムリーに判断する「攻めのスピード経営」を遂行した。
以上の結果、当期における連結業績は、為替等の影響により航空事業が減収となったこと等から、売上高は1兆7,652億円(前期比1.4%減)と前期を下回ったが、営業費用では、費用の抑制に努めたこと等から、営業利益は1,455億円(前期比6.7%増)、経常利益は1,403億円(前期比7.4%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は988億円(前期比26.4%増)と前期を上回った。また、当社は、女性活躍推進に優れた企業として経済産業省と東京証券取引所から「なでしこ銘柄」に2年連続で選定された。
セグメント別の概況は以下のとおりである。
◎航空事業
当期の航空事業における売上高は、事業規模を拡大した国際線において、旅客数が好調に推移したが、燃油市況の下落に伴う燃油特別付加運賃収入が減少した他、円高に伴う外貨建て収入の円換算額の減少があったこと等により、1兆5,363億円(前期比1.1%減)となった。また、円高の影響や燃油価格の下落によって費用が減少したことに加え、着実にコストマネジメント等を通じて費用抑制に努めたものの、事業規模拡大に伴う生産連動費用が増加したこと等により、営業利益は1,395億円(前期比0.2%減)となった。概要は以下のとおりである。
なお、当社グループの中核会社である全日本空輸株式会社は、英国スカイトラックス社(航空業界の格付会社)から、顧客満足度で最高評価となる「5STAR」に5年連続で認定された。
<国内線旅客>
国内線旅客は、4月に発生した熊本地震、7月以降に発生した台風や12月の降雪の影響等を受ける中でも、需要動向に応じた各種割引運賃を設定したこと等により、旅客数は前期を上回ったが、他社との競争激化の影響等から単価が前期を下回ったことにより、収入は前期を下回った。
路線ネットワークでは、サマーダイヤから羽田=宮古線を新規開設、関西=宮古線を再開したことに加え、夏季の一部期間において羽田=沖縄線の深夜便(「ギャラクシーフライト」)を運航した他、一部の路線において期間増便を継続する等、需要の取り込みを図った。また、11月からのエアバスA321ceo型機の運航開始を契機として、予約状況に応じてきめ細かく機材の入れ替えを行う「ピタッとフリート」の運用を更に進め、座席利用率の向上を図った。
営業面では、「旅割タイムセール」を実施したことに加え、10月からは一部の路線に対して、予約状況に応じて価格を機動的に変動させる運賃を設定する等、販売の強化を図った。
サービス面では、4月に羽田空港国内線第2旅客ターミナルの出発カウンターをリニューアルした他、9月にウェブサイト(ANA SKY WEB)及びモバイル用サイト(ANA SKY MOBILE)の国内線予約機能をリニューアルし、視認性・操作性を向上させた。また、12月より国内線「ANA Wi-Fiサービス」において、ANAマイルでの決済を可能にした他、「ANA SKY LIVE TVサービス」で視聴できるチャンネルを増やし、機内エンターテイメントの充実を図った。
また、4月に発生した熊本地震に対する災害支援への取り組みとして合計175便の不定期便及び臨時便を運航した他、九州における観光産業の早期復興に向けた「でかけよう九州」プロジェクトを実施した。加えて、8月後半から連続して台風の被害に見舞われた北海道や、10月に発生した地震の被害に見舞われた鳥取県においても応援プロジェクトを実施した。
以上の結果、当期の国内線旅客数は4,296万人(前期比0.7%増)となり、収入は6,783億円(同1.1%減)となった。
<国際線旅客>
国際線旅客は、当期の前半は日本発欧州方面のプレジャー需要においてテロの影響が残ったものの、日本発ビジネス需要が期を通じて好調に推移したことに加え、旺盛な訪日需要を取り込んだこと等により、旅客数・収入ともに前期を上回った。
路線ネットワークでは、4月より成田=武漢線、9月より日本から唯一の直行便となる成田=プノンペン線を新規開設し、アジアのネットワークを強化した。ウィンターダイヤより羽田=ニューヨーク・シカゴ・クアラルンプール線を新規開設し、羽田空港の利便性を活用したビジネス需要の取り込みを図った他、本年2月より成田=メキシコシティ線を新規開設し、日系企業の進出が著しいメキシコへのビジネス需要等の獲得に努めた。また、成田=ホーチミンシティ線を増便するとともに、ベトナム航空と締結した業務・資本提携契約に基づき、コードシェア便の運航を開始する等、北米=アジア間における乗り継ぎ利便性の向上や、旺盛な訪日需要の取り込みを図った。
営業面では、中国線を中心として、訪日需要を喚起するために海外発割引運賃を設定した他、中国のアリババグループが運営する旅行サイトにおいてANAの航空券の購入を可能とすることで、中国人のお客様の更なる利便性の向上に取り組み、需要喚起に努めた。
サービス面では、東南アジア路線を中心とする中距離国際線のビジネスクラスに、フルフラット・シートの「ANAビジネス・スタッガード」を導入した他、6月より成田空港の国際線ANAラウンジ内にて、シェフが握り寿司等をお客様に直接サービスする「シェフサービス」を本格的に開始した。また、11月より一部の機材において、国際線エンターテイメントプログラムに目や耳が不自由なお客様に対応したコンテンツを日本の航空会社として初めて導入した。
以上の結果、当期の国際線旅客数は911万人(前期比11.6%増)となり、収入は5,167億円(同0.2%増)となった。
<貨物>
国内線貨物は、単価の改善を図った他、沖縄からの花卉(かき)需要が高まる期間に沖縄=羽田線の貨物臨時便を設定する等、増収に努めたが、航空貨物需要全体が期を通じて低調に推移したことや、天候不順により、北海道発の生鮮貨物の取扱いが減少したこと等から、輸送重量、収入ともに前期を下回った。
以上の結果、当期の国内線貨物輸送重量は45万1千トン(前期比3.4%減)となり、収入は308億円(同2.8%減)となった。国内郵便輸送重量は3万3千トン(同3.7%減)となり、収入は34億円(同6.8%減)となった。
国際線貨物は、上期は円高による為替影響や燃油市況の下落に伴う燃油特別付加運賃収入の減少があったものの、下期からは単価水準が改善した他、日本発アジア・中国向けの電子部品や半導体関連並びに自動車関連需要、中国発北米向けにおいては衣料品や電子部品需要等を取り込んだ。貨物専用機においては、下期より路線ネットワークの見直しによる需給適合を図りながら、堅調な三国間輸送貨物を取り込んだ。また、需要に応じた臨時便やチャーター便の設定による増収に努め、収益性の改善を図った。
以上の結果、当期の国際線貨物輸送重量は95万4千トン(前期比17.7%増)となったが、収入は為替影響による海外発貨物収入の減少や代理店向けの「国際貨物販売手数料」を廃止して収入と費用を相殺したこと等により、933億円(同17.7%減)となった。国際郵便輸送重量は2万8千トン(同13.8%減)となり、収入は48億円(同27.0%減)となった。
<その他>
航空事業におけるその他の収入は2,087億円(前期比6.2%増)となった。なお、航空事業におけるその他には、マイレージ附帯収入、バニラ・エア株式会社の収入、機内販売収入、整備受託収入等が含まれている。
バニラ・エア株式会社では、機材を前期より4機増機して12機での運航体制とし、国際線では4月より関西=台北(桃園)線、9月より台北(桃園)=ホーチミンシティ線、沖縄=台北(桃園)線、12月より成田=セブ線を新規開設した。国内線では本年2月より成田=函館線、成田=関西線、本年3月より関西=函館線、関西=奄美大島線を新規開設した。また、需要動向に応じてキャンペーン運賃を設定すること等によって需要の取り込みを図った他、11月よりLCCアライアンス「バリューアライアンス」のメンバーであるスクート社への乗り継ぎ予約が、バニラ・エア株式会社のホームページから可能となった。
当期におけるバニラ・エア株式会社の輸送実績は、旅客数は2,129千人(前期比25.9%増)、座キロは4,221,180千席キロ(同24.4%増)、旅客キロは3,622,218千人キロ(同25.2%増)、利用率は85.8%(前期差0.6%増)となった。
◎航空関連事業
羽田空港や関西空港における旅客の搭乗受付や手荷物搭載の空港地上支援業務の受託が増加したこと等により、売上高は2,644億円(前期比14.0%増)となり、営業利益は83億円(前期 営業損失42億円)となった。
また、マイレージプログラム等を通じて、お客様一人ひとりのニーズにお応えする「One to Oneマーケティング」の推進を担う「ANA X(エーエヌエーエックス)株式会社」を設立し、12月から営業を開始した。
◎旅行事業
国内旅行は、ダイナミックパッケージ商品「旅作」において、プロモーション強化による需要の早期取り込みや、「九州ふっこう割クーポン」の実施等により取扱高は前期を上回ったが、主力商品の「ANAスカイホリデー」は、熊本地震の影響による九州方面の落ち込みに加え、主要方面の北海道、関東、沖縄方面等の集客が伸び悩んだことにより、売上高は前期を下回った。
海外旅行は、主力商品の「ANAハローツアー」において、重点的に販売強化に取り組んだハワイとオセアニア方面の取扱高は堅調に推移したものの、テロの影響が残る欧州方面の取扱高の落ち込みが大きく、売上高は前期を下回った。
また、訪日旅行は、他社との競争激化の影響により売上高は前期を下回った。
以上の結果、当期の旅行事業における売上高は1,606億円(前期比4.0%減)、営業利益は37億円(前期比12.8%減)となった。
◎商社事業
リテール部門では、円高や中国の関税引き上げ等により訪日旅客の購買行動が変化する中、国際線旅客数の増加や訪日旅客の嗜好変化にあわせた商品を充実させたこと等により、空港免税店「ANA DUTY FREE SHOP」や空港物販店「ANA FESTA」の販売が堅調に推移したものの、わずかに前期の水準には届かず、売上高は減少した。
食品部門では、バナナ等の生鮮食品の売上高は堅調に推移したものの、ナッツ・ドライフルーツ等の加工食品の取扱量が減少し、売上高は減少した。
航空・電子部門では、半導体関連で受注減や円高の影響により売上高が減少した。
以上の結果、当期の商社事業における売上高は1,367億円(前期比2.5%減)、営業利益は43億円(前期比17.5%減)となった。
◎その他
不動産関連事業が堅調に推移したこと等の結果、当期のその他の売上高は、347億円(前期比3.0%増)となり、営業利益は13億円(前期比17.5%減)となった。
(2) 連結貸借対照表
資産の部は、資金調達による現預金の増加や、航空機の新規導入を進めたこと等により、総資産は前期末に比べて856億円増加し、2兆3,144億円となった。
負債の部は、社債の発行及び新規借入による資金調達を実施した一方で、デリバティブ負債の減少等により、前期末に比べて436億円減少し、1兆3,902億円となった。なお、有利子負債は、前期末に比べて259億円増加し、7,298億円となった。
純資産の部は、親会社株主に帰属する当期純利益の計上による利益剰余金や、繰延ヘッジ損益が増加したこと等により、純資産合計は前期末に比べて1,292億円増加し、9,241億円となった。この結果、自己資本比率は39.7%となった。
(3) 連結キャッシュ・フロー計算書
税金等調整前当期純利益1,394億円に減価償却費等の非資金項目、営業活動に係る債権・債務の加減算を行った結果、営業活動によるキャッシュ・フローは2,370億円の収入となった。
投資活動においては、資産の売却による収入があった一方で、航空機・部品等の取得及び導入予定機材の前払いによる支出があったことから、投資活動によるキャッシュ・フローは1,946億円の支出となった。これらの結果、フリー・キャッシュ・フローは424億円の収入となった。
財務活動においては、借入金の返済や配当金の支払いを行う一方で、社債の発行、新規借入による資金調達を行ったことから、財務活動によるキャッシュ・フローは33億円の収入となった。
以上の結果、現金及び現金同等物の期末残高は、前期末に比べて439億円増加し、3,090億円となった。
(1) セグメント別売上高
最近2連結会計年度のセグメント別売上高は次のとおりである。
|
セグメントの名称 |
前連結会計年度 (自 平成27年4月1日 至 平成28年3月31日) |
当連結会計年度 (自 平成28年4月1日 至 平成29年3月31日) |
||
|
金額(百万円) |
構成比(%) |
金額(百万円) |
構成比(%) |
|
|
航空事業 |
|
|
|
|
|
国内線 |
|
|
|
|
|
旅客収入 |
685,638 |
32.2 |
678,326 |
31.8 |
|
貨物収入 |
31,740 |
1.5 |
30,860 |
1.5 |
|
郵便収入 |
3,665 |
0.2 |
3,417 |
0.2 |
|
小計 |
721,043 |
33.9 |
712,603 |
33.5 |
|
国際線 |
|
|
|
|
|
旅客収入 |
515,696 |
24.3 |
516,789 |
24.2 |
|
貨物収入 |
113,309 |
5.3 |
93,301 |
4.4 |
|
郵便収入 |
6,665 |
0.3 |
4,863 |
0.2 |
|
小計 |
635,670 |
29.9 |
614,953 |
28.8 |
|
航空事業収入合計 |
1,356,713 |
63.8 |
1,327,556 |
62.3 |
|
その他の収入 |
196,520 |
9.2 |
208,793 |
9.8 |
|
航空事業小計 |
1,553,233 |
73.0 |
1,536,349 |
72.1 |
|
航空関連事業 |
|
|
|
|
|
航空関連収入 |
231,903 |
10.9 |
264,457 |
12.4 |
|
航空関連事業小計 |
231,903 |
10.9 |
264,457 |
12.4 |
|
旅行事業 |
|
|
|
|
|
パッケージ商品収入(国内) |
136,293 |
6.4 |
130,818 |
6.1 |
|
パッケージ商品収入(国際) |
20,589 |
1.0 |
19,170 |
0.9 |
|
その他の収入 |
10,467 |
0.5 |
10,621 |
0.5 |
|
旅行事業小計 |
167,349 |
7.9 |
160,609 |
7.5 |
|
商社事業 |
|
|
|
|
|
商社事業収入 |
140,289 |
6.6 |
136,761 |
6.4 |
|
商社事業小計 |
140,289 |
6.6 |
136,761 |
6.4 |
|
報告セグメント計 |
2,092,774 |
98.4 |
2,098,176 |
98.4 |
|
その他 |
|
|
|
|
|
その他の収入 |
33,754 |
1.6 |
34,776 |
1.6 |
|
その他小計 |
33,754 |
1.6 |
34,776 |
1.6 |
|
営業収入合計 |
2,126,528 |
100.0 |
2,132,952 |
100.0 |
|
セグメント間取引 |
△335,341 |
- |
△367,693 |
- |
|
営業収入(連結) |
1,791,187 |
- |
1,765,259 |
- |
(注)1.セグメント内の内訳は内部管理上採用している区分によっている。
2.各セグメントの営業収入はセグメント間の売上高を含んでいる。
3.バニラ・エア株式会社による旅客収入は、航空事業のその他の収入に含まれている。
4.上記の金額には、消費税等は含まない。
(2) セグメント別取扱実績
① 航空事業
イ.輸送実績
最近2連結会計年度の輸送実績は次のとおりである。
|
項目 |
前連結会計年度 (自 平成27年4月1日 至 平成28年3月31日) |
当連結会計年度 (自 平成28年4月1日 至 平成29年3月31日) |
|
|
国内線 |
|
|
|
|
旅客数 |
(人) |
42,664,899 |
42,967,749 |
|
座席キロ |
(千席キロ) |
59,421,784 |
59,080,903 |
|
旅客キロ |
(千人キロ) |
38,470,539 |
38,990,836 |
|
利用率 |
(%) |
64.7 |
66.0 |
|
有効貨物トンキロ |
(千トンキロ) |
1,850,640 |
1,783,539 |
|
貨物輸送重量 |
(トン) |
466,979 |
451,266 |
|
貨物トンキロ |
(千トンキロ) |
472,482 |
459,583 |
|
郵便輸送重量 |
(トン) |
35,034 |
33,745 |
|
郵便トンキロ |
(千トンキロ) |
33,721 |
32,968 |
|
貨物重量利用率 |
(%) |
27.4 |
27.6 |
|
国際線 |
|
|
|
|
旅客数 |
(人) |
8,167,951 |
9,119,400 |
|
座席キロ |
(千席キロ) |
54,710,537 |
60,148,066 |
|
旅客キロ |
(千人キロ) |
40,635,173 |
45,602,900 |
|
利用率 |
(%) |
74.3 |
75.8 |
|
有効貨物トンキロ |
(千トンキロ) |
6,040,069 |
6,583,338 |
|
貨物輸送重量 |
(トン) |
810,628 |
954,027 |
|
貨物トンキロ |
(千トンキロ) |
3,532,452 |
4,150,427 |
|
郵便輸送重量 |
(トン) |
33,593 |
28,957 |
|
郵便トンキロ |
(千トンキロ) |
143,751 |
130,126 |
|
貨物重量利用率 |
(%) |
60.9 |
65.0 |
ロ.運航実績
最近2連結会計年度の運航実績は次のとおりである。
|
項目 |
前連結会計年度 (自 平成27年4月1日 至 平成28年3月31日) |
当連結会計年度 (自 平成28年4月1日 至 平成29年3月31日) |
||
|
国内線 |
国際線 |
国内線 |
国際線 |
|
|
運航回数(回) |
383,669 |
62,671 |
382,885 |
67,503 |
|
飛行距離(km) |
320,473,753 |
273,331,853 |
322,533,420 |
292,627,502 |
|
飛行時間(時間) |
559,139 |
374,909 |
561,431 |
400,767 |
(注)1.国内線旅客実績には、アイベックスエアラインズ株式会社、株式会社AIRDO、株式会社ソラシドエア(平成27年12月1日付でスカイネットアジア航空株式会社から商号変更)及び株式会社スターフライヤーとのコードシェア便実績を含む。
2.国内線、国際線ともに不定期便実績を除く。
3.国内線貨物及び郵便実績には、株式会社AIRDO、株式会社ソラシドエア(平成27年12月1日付でスカイネットアジア航空株式会社から商号変更)、オリエンタルエアブリッジ株式会社及び株式会社スターフライヤーとのコードシェア便実績、エアラインチャーター便実績及び地上輸送実績を含む。なお、郵便の地上輸送実績は平成29年3月期第1四半期より加算することとしたため、前年同期の実績にも郵便の地上輸送実績を加算している。
4.国際線貨物及び郵便輸送実績には、コードシェア便実績、エアラインチャーター便実績、ブロック・スペース契約締結便実績及び地上輸送実績を含む。
5.座席キロは、各路線各区間の有効座席数(席)に各区間距離(㎞)を乗じた数値の合計。
6.旅客キロは、各路線各区間の旅客数(人)に各区間距離(㎞)を乗じた数値の合計。
7.有効貨物トンキロは、各路線各区間の有効貨物重量(トン)に各区間距離(km)を乗じた数値の合計。なお、旅客便については、床下貨物室(ベリー)の有効貨物重量に各区間距離を乗じている。また、床下貨物室の有効貨物重量には、貨物・郵便の他、搭乗旅客から預かる手荷物搭載の有効搭載重量も含まれている。
8.貨物トンキロ及び郵便トンキロは、各路線各区間の輸送重量(トン)に各区間距離(㎞)を乗じた数値の合計。
9.貨物重量利用率は、貨物トンキロと郵便トンキロの合計を有効貨物トンキロで除した数値。
10.バニラ・エア株式会社の実績は含まない。
11.バニラ・エア株式会社は貨物・郵便の取り扱いをしていない。
② 航空関連事業
航空関連事業に含まれる連結子会社の取扱状況等については、構成する各種事業が多岐にわたり、かつ重要性の観点から開示していない。
③ 旅行事業
旅行事業に含まれる連結子会社の取扱状況等については、構成する各種事業が多岐にわたり、かつ重要性の観点から開示していない。
④ 商社事業
商社事業に含まれる連結子会社の取扱状況等については、構成する各種事業が多岐にわたり、かつ重要性の観点から開示していない。
⑤ その他
その他に含まれる連結子会社の取扱状況等については、構成する各種事業が多岐にわたり、かつ重要性の観点から開示していない。
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものである。
(1) 経営の基本方針
当社グループは、グループの使命・存在意義である経営理念として「安心と信頼を基礎に 世界をつなぐ心の翼で 夢にあふれる未来に貢献します」を掲げている。数あるエアライングループの中で、お客様に選ばれ、世界の航空業界をリードする確固たる地位を築くことを目指し、グループ経営ビジョンとして「ANAグループは、お客様満足と価値創造で世界のリーディングエアライングループを目指します」と定めている。
(2) 経営環境及び中長期的な会社の経営戦略
航空業界は、日本経済の緩やかな回復基調や訪日外国人の増加、米国の景気回復基調並びにアジアの経済成長等を背景とした航空需要の拡大が見込まれる一方で、為替や原油市況の急激な変動、英国のEUからの離脱、米国における保護主義の台頭、地政学リスク、エアライン間や他交通機関との競争激化等、対処すべき課題の多い環境下におかれている。
成長戦略を更に加速させるステージに進むため、東京オリンピック・パラリンピック競技大会が開催される2020年までを視野に入れた5年間の成長戦略として、2016年1月に「2016~2020年度ANAグループ中期経営戦略」を策定し、その後の環境変化や各事業の状況を踏まえて、本年4月に「ローリング版2017」を策定した。首都圏空港の発着枠拡大や訪日外国人の増加を契機として、世界中のすべてのお客様をダントツの品質でおもてなしをし、グローバルでの知名度を向上させるとともに、CO2排出量の削減を始めとした環境問題への対応や観光立国・地方創生等の社会発展に貢献することによって企業価値を高め、お客様満足と価値創造で世界のリーディングエアライングループとしての地位を確立する。
① 戦略の全体像
「2016~2020年度ANAグループ中期経営戦略」では、安全の堅持を大前提に、「エアライン事業領域の拡大」、「新規事業の創造と既存事業の成長加速(ノンエア事業)」を戦略の柱とし、新規投資やイノベーションの創出、戦略投資等をシンプルかつタイムリーに判断する「攻めのスピード経営」の実践により、グローバルな事業環境の変化に対応できる強靭な体質を構築していく。
② 戦略の骨子
1)エアライン事業領域の拡大
あらゆる需要層をターゲットにFSC(フルサービスキャリア)事業及びLCC事業のブランドの訴求力を高め、エアライン事業領域の拡大と安定した収益基盤を確立する。また、海外マーケティングを強化し、グローバルでの知名度を高めていくことにより、海外における外国人向け販売の更なる拡大を図る。FSC事業及びLCC事業のマルチブランドにおいて成長を確かなものとし、エアライン事業ポートフォリオの最適化を図る。
(ⅰ)FSC(フルサービスキャリア)事業
・ANA国際線旅客事業は、首都圏空港の発着枠拡大を背景に、首都圏デュアルハブの完成型を目指して、“世界をつなぐ”ための積極的な路線展開を行い、日本発着及び日本経由三国間の旅客需要を確実に取り込み、国内線旅客事業に替わる収益源としてグループ収益の拡大を牽引する。また、これまでカバーできていないエリアへの路線展開や海外販売の拡大を図るとともに、リゾート路線を強化して、プレジャー需要の取り込みも推進する。
・ANA国内線旅客事業は、市場シェアを堅持するとともに、徹底した効率化により収益性の維持・向上を図る。高需要便の機材大型化と低需要便の機材小型化を同時に実現する「ピタッとフリート」モデルを推進し、需給適合を更に進める。またミレニアル世代や訪日外国人による国内線利用を更に促進することにより、需要の底上げを図る。
・貨物事業は、貨物専用機を活用したフレイター事業を担うANA Cargo株式会社と、物流事業を担う株式会社OCSの一体的な運営を加速させ、成長の基盤となるアジアを中心に、顧客ニーズに合致した物流サービスを展開し、総合航空物流会社としての発展を目指す。
(ⅱ)LCC事業
Peach・Aviation株式会社を連結化したことによりバニラ・エア株式会社とともに、ANAグループでの本邦LCCのトップシェアを獲得し、日本マーケットにおける新たな需要の創造と、旺盛な訪日需要の獲得により、グループ「第4のコア」事業への成長を目指す。ANAブランド未就航路線の開設等により、日本発のプレジャー需要を喚起するとともに、更なる訪日需要の取り込みを図る。
2)新規事業の創造と既存事業の成長加速(ノンエア事業)
(ⅰ)新規事業の創造
当社グループが長年にわたり積み上げてきたブランドや顧客基盤等の有形・無形資産を最大限有効活用することに加え、他社のノウハウや情報通信技術等も併せて活用することによって、新たなビジネスの創造を推進し、グループの収益ドメインを拡大・多様化する。
(ⅱ)既存事業の成長加速
低収益事業については見直しや外注化を進める。一方で、今後も増加が見込まれる旺盛な訪日外国人の需要を当社グループの収益源として最大限に取り込むため、商社事業においては、嗜好の変化を踏まえた免税品販売や国境を越えたインターネット通販の拡大等に取り組む。また、旅行事業における高付加価値のツアー商品開発やウェブサイトを活用したダイレクト販売強化等を中心として、各事業の領域拡大を進め、既存事業の成長を加速させる。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがある。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものである。
(1) 景気が低迷するリスク
航空産業は、景気動向の影響を受けやすい業界であり、国内外の景気が低迷すると、個人消費の落ち込みや企業収益の悪化による航空需要の低下を引き起こす可能性がある。なお、国際線(旅客・貨物)事業については、中国やその他アジア・北米を中心とした海外市場への依存度が高いため、当該地域の経済状況により、輸送人数・輸送重量の減少及び輸送単価の下落といった影響を受ける可能性がある。
(2) 経営戦略に関わるリスク
①フリート戦略に関わるリスク
当社グループは、航空事業において、経済性の高い機材の導入、機種の統合、並びに需給適合の深化を軸としたフリート戦略に則ってボーイング社、エアバス社、ボンバルディア社、三菱航空機株式会社から航空機の導入を進めているが、納期が財務上その他の理由により遅延した場合、当社グループの事業に支障を及ぼす可能性がある。
更に、かかる戦略は以下の要因により奏功せず、また、その所期する効果が減殺される可能性がある。
1)ボーイング社への依存
当社は、上記のフリート戦略に従って導入を計画している機材の多くをボーイング社に対して発注している。従って、ボーイング社が財政上その他の理由により当社又は同社製品の保守管理等を行う会社との間の契約を履行できない場合には、当社グループのフリート戦略に沿った機材の調達又は保守管理等ができず、当社グループの事業に影響を及ぼす可能性がある。
2)三菱航空機株式会社による機材開発計画の進行遅延等
当社は、三菱航空機株式会社が開発中の「MRJ(三菱リージョナルジェット)」の導入を決定しており、引き渡し時期は平成32年度半ばが予定されているが、引き渡し時期の遅延が発生した場合には、当社グループの事業に支障をきたす可能性がある。
②発着枠に関わるリスク
当社グループは、羽田空港・成田空港の発着枠拡大を最大のビジネスチャンスと捉え、各種投資や事業運営体制の整備を図っている。平成32年度(2020年度)を目途として、羽田空港の年間発着枠については、44.7万回から48.6万回へ、成田空港の年間発着枠については、30万回から34万回へ増加する見通しとなっているが、今後の首都圏における両空港(羽田・成田)の発着枠の割当て数や、時期等が当社グループの想定と異なった場合においては、当社グループの経営計画の達成に影響を及ぼす可能性がある。
③LCC事業に関わるリスク
LCC事業については、当該事業進出の目的である新規航空需要の創出に至らないことや、国内外の他のLCCとの競争激化により、所期する効果が得られない可能性がある。また、運航乗務員数の不足や他社流出により、策定した事業計画が遂行できなくなる可能性がある。更には、海外を含めたLCCによる事故や不安全事象の発生により、LCCに対する顧客離れが起こる可能性もある。
④投資に関するリスク
当社グループは、更なる成長領域の拡大のために、新たな事業への進出あるいは他企業等への出資又は企業買収を行うことがあるが、これら出資等が所期する効果を得られない可能性、各出資会社等の利害が一致せず、当社が適切と考える方法による合弁会社の運営ができない可能性、合弁会社の経営が悪化した場合に当社が経済的負担を負う可能性及び当社以外の出資会社等の経営悪化や同事業からの離脱の可能性がある。また、海外諸国や航空事業との関連性が低い事業への進出については、所期する効果を得ることが困難になる可能性がある。
(3) 原油価格変動によるリスク
航空機燃料は原油精製による製品のため、その価格は原油価格に連動する傾向がある。産油国での政情不安、新興国の急激な経済成長に伴う原油需要の増加、石油備蓄量又は埋蔵量の低下、原油への投機的な投資行動、自然災害等の要因により原油価格が当社グループの予測を超えて変動した場合には、当社グループの経営に以下のような影響を及ぼす可能性がある。
①原油価格が上昇した場合のリスク
原油価格が上昇すると、航空機燃料の価格も上昇するため、当社グループにとって大きな負担となる。このため、航空機燃料の価格変動リスクを抑制し、営業利益の安定化を図ることを目的として原油並びにジェット燃料のコモディティ・デリバティブを利用して一定期間のうちに計画的、継続的にヘッジ取引を実施しているが、原油価格が短期間で高騰した場合、自助努力によるコスト削減や運賃及び料金等への転嫁には限界があるため、ヘッジポジションの状況等によっては価格高騰の影響を完全には回避できない可能性がある。
②原油価格が急落した場合のリスク
当社グループは原油価格の変動に対してヘッジを実施しているため、原油価格が短期間で急落した場合、燃油サーチャージ収入が減少あるいは消滅する一方で、ヘッジポジションの状況等によっては燃油費が即座には減少せず、価格下落の効果を享受できない可能性がある。
(4) 新型インフルエンザ等の感染症に関わるリスク
新型インフルエンザをはじめ重大な感染症が発生・蔓延した場合の被害増大は、国際線のみならず全事業の需要減退リスクになり得る。風評による顧客の航空利用の意欲の低下を含め、感染拡大や被害増大により、国内線及び国際線の利用客数が激減し、当社グループの経営に影響を及ぼす可能性がある。
また、感染力が強い新型インフルエンザ等が流行し、予想を超える社員・委託先での罹患者の大量発生や毒性の変化が生じ強毒化した場合等は、事業継続面で影響を及ぼす可能性がある。
(5) 為替変動によるリスク
当社グループは、外貨収入よりも外貨支出の方が多く、円安になった場合には収支に与える影響は少なくない。為替相場変動による収支への影響を緩和するため、同種通貨間においては収入で得た外貨を可能な限り外貨建て支出に充当しつつ、航空機及び航空機燃料の調達に必要な外貨の一部については、円貨換算ベースでの支払額の平準化並びに抑制を図ることを目的として先物為替予約及び通貨オプション取引を活用している。しかし、為替相場が短期間で急激に円安になった場合、自助努力によるコスト削減や運賃及び料金等への転嫁には限界があるため、ヘッジポジションの状況等によっては当社グループの収支に影響を及ぼす可能性がある一方、為替相場が短期間で急激に円高になった場合、ヘッジポジションの状況等によっては燃油費が即座には減少せず、円高の効果を享受できない可能性がある。
(6) 国際情勢等の影響によるリスク
現在、当社グループは北米・欧州・中国・アジア方面を中心に国際線を展開している。今後、当社グループ就航地域や事務所等の拠点が所在する地域で政情不安、国際紛争、大規模なテロ事件が発生した場合や、就航国との外交関係が悪化した場合等、当該地域路線の需要の減少等により当社グループの経営に影響を及ぼす可能性がある。
(7) 法的規制に関わるリスク
当社グループは、航空運送事業者として航空事業関連法規の定めに基づき事業運営を行っている。また、旅客・貨物を含めた国際線事業においては、条約、二国間協定、IATA(国際航空運送協会)及びICAO(国際民間航空機関)の決定事項その他の国際的取決めに従った事業運営が求められている。これらの規制により、当社グループの事業における運賃、飛行空域、運航スケジュール、安全管理等について様々な制約を受ける。更に、当社グループの事業は、運賃及び料金の設定につき独占禁止法その他諸外国の類似の法令の制約を受けることがある。
(8) 訴訟に関わるリスク
当社グループは事業活動に関して各種の訴訟に巻き込まれるおそれがあり、これらが当社グループの経営に影響を及ぼす可能性がある。また、当社グループは以下の事象について、今後訴訟の提起等を受ける可能性があり、あわせて他の国及び地域においても同様の調査が開始される可能性がある。
米国司法省から提起されていた国際航空貨物・旅客輸送に関わる価格調整等の容疑については、諸般の事情を総合的に勘案した結果、司法取引に合意しているが、提起されている旅客輸送に関する集団民事訴訟については、現時点では具体的な請求額の明示はなく、詳細の把握及び分析は困難な状況である。
(9) 公租公課等に関わるリスク
航空事業に関する公租公課等として航空機燃料税や着陸料、航行援助施設利用料等があげられるが、航空機燃料税、着陸料及び航行援助施設利用料については現在、国の時限的な軽減措置を受けており、今後、軽減措置の縮小・廃止が行われた場合、当社グループの経営に影響を及ぼす可能性がある。
(10) 環境規制に関わるリスク
近年、地球環境保全の一環として、航空機による騒音、温室効果ガス(CO2等)の排出量、環境汚染物質の使用並びに処理、主な事業所におけるエネルギー使用等に関わる数多くの国内・海外法規制が導入、又は強化されつつある。当社グループは、これらの法規制を遵守するため多額のコストを負担しているが、2021年に向けて導入が決定されている国際的な温室効果ガスに関わる排出権取引スキーム、世界共通の環境税等の新たな規制が導入された際には、事業活動が制限され、又は多額の追加的費用を負担しなければならない可能性がある。
(11) 航空業界を取り巻く環境のリスク
日本国内における航空政策あるいは地域政策の方針転換や、経営破綻等に起因する合併や資本提携による競合他社の状況変化等、今後、現在の競争環境や事業環境が大幅に変化した場合、当社グループの経営に影響を及ぼす可能性がある。
(12) 競合リスク
今後、燃油費、資金調達コスト、環境規制への対応その他の要因により、当社グループの事業にかかるコストが上昇する可能性がある。かかる場合、当社グループが利益を確保するためには、間接固定費の削減等のコスト削減を実施するとともに、かかるコストを運賃・料金等に転嫁する必要がある。しかしながら、当社は国内外の同業他社やLCCの他、一部の路線については新幹線等の代替交通機関と競合関係にあるため、かかるコストの転嫁により価格競争力が低下し、又は競合相手との価格競争上かかるコスト転嫁が大きく制約を受ける結果、当社グループの経営に影響を及ぼす可能性がある。
(13) 提携戦略が奏功しないリスク
当社グループは、スターアライアンスに加盟している。また、ATI(独占禁止法適用除外)認可に基づき、アジア米州間ネットワークにおいてはユナイテッド航空と、日欧間ネットワークにおいてはルフトハンザドイツ航空、ルフトハンザグループであるスイスインターナショナル エアラインズ、オーストリア航空、ルフトハンザカーゴAGとの共同事業を実施している。加えて、アジアを中心に、アライアンスの枠を超えた個別提携を推進している。しかしながら、各国の独占禁止法の制約によりアライアンスの解体を余儀なくされた場合、他のアライアンスパートナーが、スターアライアンスを脱退し、もしくは事業方針を変更した場合、他のアライアンス・グループが競争力を強化した場合、又は2社間提携の解消や経営悪化・再編、提携先の信用力の低下等が発生した場合、もしくは外的要因で提携活動に対する規制が強化されるようなことがあった場合等には、提携効果が低下し、当社グループの経営に影響を及ぼす可能性がある。
(14) 運航リスク
①航空機事故等
当社グループ運航便及びコードシェア便で航空機事故が発生した場合、当社グループに対するお客様の信頼や社会的評価が失墜し、事故直後から中長期的に需要が低下して当社グループの経営に大きな影響を及ぼす可能性がある。なお、平成29年1月19日に新千歳空港で発生した、ANAウイングス株式会社が運航するANA1831便のオーバーランの件については、現在国土交通省運輸安全委員会により原因の究明が続けられているが、今後、最終的な調査結果が発表される予定である。
また、他社において大規模な航空機事故が発生した場合においても、同様に航空需要が低下して当社グループの経営に影響を及ぼす可能性がある。なお、航空機事故が発生した場合、損害賠償や運航機材の修復・買換え等に多額の費用が発生するが、これらの直接的費用のすべてが航空保険にて填補されるわけではない。
②耐空性改善通報等
航空機の安全性を著しく損なう問題が発生した場合、法令に基づき国土交通大臣から耐空性改善通報等が発出され、機体や装備品に対し指示された改善策を施すまで同型式機材の運航が認められない場合がある。また、法令に基づく耐空性改善通報等が発出されない場合であっても、技術的見地から安全性が確認できない場合、自主的に同型式機材の運航を見合わせ、点検等の整備を行うことがある。このような事態が発生した場合、当社グループの航空機の安全性に関する信用及び経営に影響を及ぼす可能性がある。特に、当社グループは、ボーイング787型機等、新型機種への集約を進めているが、当社グループが依存する新型機種について設計上の欠陥又は技術的な問題が発生した場合には、当社グループの経営により深刻な影響を及ぼす可能性がある。
(15) 顧客情報等漏洩リスク
当社グループは、ANAマイレージクラブの会員数約3,101万人(平成29年3月末日現在)に関わる会員情報をはじめ、膨大な顧客等に関する情報を保持しており、個人情報保護法やその他諸外国の類似法令により、これらの個人情報を適切に管理することが求められている。当社グループでは、プライバシーポリシーを定め、個人情報の取扱いに関する当社グループの姿勢・考え方を広くお客様に告知するとともに、システム対策を含め情報セキュリティについては想定しうる対策を講じている。また、セキュリティホールをなくすべく、業務手順の改定やシステム改修を継続的に実施しているが、不正アクセスや業務上の過失等、何らかの原因により大規模な個人情報漏洩事故が発生した場合、多額の損害賠償費用が発生し、また、信用失墜により、当社グループの経営に影響を及ぼす可能性がある。
(16) 災害等リスク
地震、津波、洪水、台風、積雪、火山噴火、感染症、ストライキ、暴動等により空港が長期間閉鎖又は運用制限がかかる場合、飛行経路が制限を受ける場合には、その間当該空港又は当該経路を利用する運航便に影響が生じ、又は航空需要が大幅に減退することにより、当社グループの経営に影響を及ぼす可能性がある。
特に、当社グループがデータセンターを首都圏に設置していること、国内線・国際線全便の運航管理を羽田空港にて実施していること及び当社グループの旅客の大半が首都圏空港を利用していること等により、地震、台風等の大規模災害が発生した場合、当該施設において火災等の災害が発生した場合、又はストライキ等により空港もしくはそのアクセスが閉鎖された場合、当社グループのシステムもしくは運航管理機能又は運航そのものが長期間停止し、当社グループの経営に重大な影響を及ぼす可能性がある。
(17) 損益構造に関わるリスク
当社グループは、航空機材費等の固定費、並びに主として機種によって定まる燃料費及び空港使用料等、搭乗率の影響を受けない費用が全体のコストに占める割合が高く、経済状況に即応した事業規模調整の自由度が低位なため、旅客数あるいは貨物輸送量が減少した場合、損益に与える影響が大きくなる可能性がある。
また、当社グループの航空旅客事業は夏場に売上が増加する傾向があるため、かかる時期において需要が大きく減少した場合には、その連結会計年度における当社グループの業績に影響を及ぼす可能性がある。
(18) IT(システム)リスク
当社グループは、お客様へのサービス及び運航に必要な業務等、システム依存度が高い業種といえる。自然災害、事故、コンピュータ・ウィルス、不正アクセス、電力供給の制約や大規模停電、故障や不具合等によりかかるシステムあるいは通信ネットワークに重大な障害が発生した場合、お客様へのサービス及び運航の維持が困難になるとともに、信用失墜により当社グループの経営に影響を及ぼす可能性がある。また、当社グループのシステムは他提携航空会社においても使用されており、その影響範囲は自社グループ内にとどまらなくなる可能性がある。
(19) 人事・労務に関わるリスク
当社グループの従業員の多くは労働組合に所属しており、当社グループの従業員が集団的にストライキ等を行った場合、当社グループの航空機の運航が影響を受ける可能性がある。
(20) 人材確保に関わるリスク
LCCの運航開始等により運航乗務員等に対する需要が高まっている一方、運航乗務員等の育成には一定期間の教育訓練等が必要であり、当社グループが適時に適切な員数の適正能力を有する運航乗務員等を確保できない場合には、当社グループの経営が影響を受ける可能性がある。また、労働市場における需給バランスの変化によって、空港ハンドリング等の人材不足、あるいは賃金水準の高騰が発生する可能性がある。
(21) 財務に関わるリスク
①資金調達コストの増加
当社グループは、機材調達等のため銀行借入・社債発行等により資金調達を行っている。しかしながら、今後、航空業界の事業環境が悪化した場合、金融市場が混乱した場合、税制、政府の金利政策や政府系金融機関の保証制度等が変更された場合、もしくは当社の信用格付けが格下げされた場合等においては、当社にとって有利な条件による資金調達が困難又は不可能となる結果、資金調達コストが増加し、当社グループの経営に影響を及ぼす可能性がある。
②資産減損等のリスク
当社グループは、その事業の性質上多くの固定資産を保有しているが、今後各種事業収支が悪化した場合、あるいは資産売却を決定した場合等には、固定資産の減損損失又は売却損の計上が必要となる可能性がある。
(1) 営業に関する重要な契約
|
契約会社名 |
契約の種類 |
契約先 |
対象区間 |
|
|
全日本空輸㈱ |
スターアライアンスへの加盟 |
スターアライアンス |
|
|
|
Joint Venture契約 |
旅客分野 |
ルフトハンザグループ |
日本~欧州 |
|
|
ユナイテッド航空 |
アジア~米州 (北米・カリブ・南米諸国) |
|||
|
貨物分野 |
ルフトハンザカーゴAG. |
日本~欧州 |
||
|
ユナイテッド航空 |
アジア・日本~北中南米 |
|||
(2) 航空機のリース契約
航空機のリース契約については「第3 設備の状況 2 主要な設備の状況 (2) 航空機」に記載している。
航空事業セグメントにおいては、より安全で快適かつ効率的な航空事業を提供するための多様な改良・改善活動を推進している。
また、航空事業をはじめ各セグメントにおける事業活動が及ぼす環境負荷の逓減活動も推進している。
なお、上記活動に関して「研究開発費等に係る会計基準」に定義する研究開発費に該当するものはない。
当社グループは、「2016~2020年度ANAグループ中期経営戦略」で掲げた「エアライン事業領域の拡大」「新規事業の創造と既存事業の成長加速」を柱とし、「攻めのスピード経営」を遂行した。また、航空機等の必要な投資を継続した。これらの結果、当社グループの総資産は、当連結会計年度末において2兆3,144億円となった。
収入面においては、国際線の新規路線開設・増便等により事業規模を拡大した。また、営業面では各種割引運賃の設定により需要喚起に努めたが、燃油市況の下落や円高の影響により、売上高は減少した。
費用面においては、燃油価格の下落や円高の影響に加え、コストマネジメント等により費用が減少した。結果として、営業費用の減少が営業収入の減少を上回ったことにより、前連結会計年度に比べて増益となった。
財政状態及び経営成績の分析については以下のとおりである。
(1) 連結貸借対照表
①資産の部
流動資産は、資金調達により手元資金が増加した結果、前連結会計年度末に比べて355億円増加し、6,667億円となった。
固定資産は、当連結会計年度において航空機取得を進めたことにより、有形固定資産が増加したことに加え、投資有価証券の増加等により、前連結会計年度末に比べ500億円増加し、1兆6,471億円となった。
以上により、当連結会計年度末における総資産は前連結会計年度末に比べて856億円増加し、2兆3,144億円となった。
②負債の部
借入金は、新規借入による資金調達を行った一方で、約定弁済等を着実に進めた結果、前連結会計年度末に比べて121億円減少し、5,630億円となった。社債は前連結会計年度末に比べて400億円増加し、1,450億円となった。リース債務は前連結会計年度末に比べて18億円減少し、218億円となった。これらの結果、リース債務を含む有利子負債は前連結会計年度末に比べて259億円増加し、7,298億円となった。また、原油市況変動の影響を受けたデリバティブ負債の減少等から、負債合計は前連結会計年度末に比べて436億円減少し、1兆3,902億円となった。
なお、オフバランスの未経過リース料が2,618億円(前連結会計年度末に比べて149億円増加)あり、これを含めた実質的な有利子負債残高は9,917億円(前連結会計年度末に比べて409億円増加)となった。
③純資産の部
利益剰余金は親会社株主に帰属する当期純利益の計上等により、前連結会計年度末に比べて813億円増加し、3,348億円となった。
その他の包括利益累計額は繰延ヘッジ損益の増加等により、前連結会計年度末に比べて463億円増加し、△140億円となった。
これらの結果、純資産合計は前連結会計年度末に比べて1,292億円増加し、9,241億円となった。
なお、自己資本比率は前連結会計年度末に比べて4.3ポイント上昇して39.7%となり、有利子負債と自己資本の比率を示すD/Eレシオは0.8倍(前連結会計年度末は0.9倍)となった。また、当連結会計年度末の1株当たり純資産額は262.44円となり、前連結会計年度末に比べて36.57円増加した。
(2) 連結損益計算書
①営業損益
当連結会計年度の売上高は、事業規模を拡大させた国際線を中心に需要が好調に推移したが、燃油市況の下落に伴う燃油特別付加運賃収入が減少した他、円高に伴う外貨建て収入の円換算額が減少したこと等により、前連結会計年度に比べ259億円減少し、1兆7,652億円となった。詳細は「第2 事業の状況 1 業績等の概要」及び「同 2 生産及び販売の状況」に記載している。
営業費用は、事業規模の拡大に伴う生産連動費用が増加したが、燃油価格の下落や円高の影響による費用の減少に加え、コストマネジメント等を通じた費用抑制に努めたことから、売上原価は前連結会計年度に比べ126億円減少し、1兆3,248億円となった。販売費及び一般管理費は、前連結会計年度に比べ223億円減少し、2,948億円となった。結果として、営業費用全体では前連結会計年度に比べて350億円減少し、1兆6,197億円となり、営業利益は前連結会計年度に比べて90億円増加し、1,455億円となった。
②経常損益
営業外収益は、前連結会計年度に比べて9億円減少し、150億円となった。これは、受取配当金が前連結会計年度に比べて6億円減少したこと等が主な要因である。
営業外費用は、前連結会計年度に比べて14億円減少し、202億円となった。これは、前連結会計年度に比べて支払利息が減少したこと等が主な要因である。金融収支(受取利息と支払利息の純額)は△93億円となった。
以上により、経常利益は前連結会計年度と比べて96億円増加し、1,403億円となった。
③特別損益
特別利益は、前連結会計年度に比べて35億円減少し、22億円となった。これは、前連結会計年度において、特別分配金を計上したこと等が主な要因である。
特別損失は、前連結会計年度に比べて23億円減少し、31億円となった。これは、減損損失が減少したこと等が主な要因である。
以上により、親会社株主に帰属する当期純利益は前連結会計年度に比べて206億円増加し、988億円となった。
(3) 連結キャッシュ・フロー計算書
①営業活動によるキャッシュ・フロー
当連結会計年度の税金等調整前当期純利益1,394億円に、減価償却費等非資金性項目の調整を行った結果、営業活動によるキャッシュ・フローは2,370億円の収入となった。前連結会計年度に比べて267億円減少している。
②投資活動によるキャッシュ・フロー
主として航空機受領時の支払いや予備部品の購入、今後導入予定の航空機に対する前払い等の有形固定資産やソフトウェア投資等の無形固定資産の取得による支出等の結果、投資活動によるキャッシュ・フローは1,946億円の支出(前連結会計年度に比して1,202億円の支出増加)となった。
③財務活動によるキャッシュ・フロー
借入金の返済、リース債務の返済等を進める一方、新たな借入、社債発行による資金調達を行ったこと等から、財務活動によるキャッシュ・フローは33億円の収入となった。
以上の結果、営業活動によるキャッシュ・フローと投資活動によるキャッシュ・フローを合算したフリー・キャッシュ・フローは424億円の収入となった。また、現金及び現金同等物の期末残高は前連結会計年度に比べて439億円増加し、3,090億円となった。
当連結会計年度末における今後の経済見通しについては、海外景気の下振れや欧州・中東におけるテロや紛争等、景気を下押しするリスクが懸念されるものの、雇用・所得環境の改善や各種政策の効果もあって、緩やかな回復が期待されている。
このような状況の下、当社グループは、「2016~2020年度ANAグループ中期経営戦略」の遂行により、「世界のリーディングエアライングループを目指す」という経営ビジョンの達成を目指す。