当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりです。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。
(1) 経営の基本方針
当社グループは、グループの使命・存在意義である経営理念として「安心と信頼を基礎に、世界をつなぐ心の翼で夢にあふれる未来に貢献します」を掲げています。
経営の基盤である安全を堅持しつつ、「世界中のグループ社員がイキイキと挑戦を続け、お客様や社会に寄り添いながら新たな価値を提供し、世界を期待や喜びで満たしたい」という想いを込め、2023年2月15日にグループ経営ビジョンを「ワクワクで満たされる世界を」に刷新しました。
(2) 経営環境及び中長期的な会社の経営戦略
今後の経済見通しにつきましては、行動制限緩和と社会経済活動の正常化を背景に、日本経済は緩やかに持ち直していくことが期待されています。一方、世界的なエネルギー価格の高騰や欧米各国の金融引き締め等、不安定な国際情勢による経済への影響が想定されます。
航空業界を取り巻く環境は、国内線ではレジャーを中心に需要が回復し、国際線では訪日需要やビジネス需要の回復傾向が続くと見込まれますが、ウクライナ情勢等の地政学リスクの動向に注視が必要です。
このような状況下で、当社グループは2023年2月15日に策定した「2023~2025年度 ANAグループ中期経営戦略」に基づき、新しい経営ビジョンである「ワクワクで満たされる世界を」の実現に向け、取り組んでまいります。そのために市場の動向を見極めながら、航空事業を中核事業として非航空事業でも事業領域を拡げ、収益の拡大を追求するとともに、環境や人権などの社会問題にも取り組み、持続的な企業価値の向上を目指します。
(3) 対処すべき課題
「2023~2025年度 ANAグループ中期経営戦略」の期間を「2030年に目指す姿の実現に向けた変革」を進める3年間と位置付けており、コロナ禍からの回復を果たし、持続的な価値成長に向けたビジネスモデルの変革を加速して成長軌道への転換を図ります。
本戦略では、経営テーマとして事業戦略の3本柱を掲げています。航空事業を中心に収益を拡大しつつ非航空事業を強化し、航空事業と非航空事業間におけるお客様の回遊を促進します。これにより、コロナ前を上回る利益の創出と強靭な財務基盤の構築を目指します。
① エアライン事業の利益最大化
ANA、Peach、AirJapanの3つのブランドで最適なポートフォリオを追求します。運賃や品揃え、運航距離等の違いに応じて役割を分担し、航空需要の変化に合わせて収益性を高めていきます。併せて、ブランド間におけるマーケティング連携・ブランド間の回遊性向上、協業・機能集約を進めることで、市場シェアと収益の拡大を目指します。
国際線旅客事業においては、中長期的な成長軌道に乗せるため、ネットワークを再編・強化しながら生産量を回復し、需要を幅広くカバーしていきます。
国内線旅客事業においては、安定した事業基盤を構築するため、グループ全体で連携しながら最適な運航スケジュールの策定を継続します。
貨物事業においては、旅客機とフレイターのネットワークバランスを最適化し、需要動向に応じた柔軟な供給量の調整で収益を拡大します。成長するアジア・欧米間の輸送需要を取り込むとともに、フレイターで大型貨物等をカバーし、貨物事業の収益を最大化します。
また当社グループは、日本郵船株式会社との間で、日本郵船株式会社が保有する日本貨物航空株式会社の株式全てを取得することにより、子会社化することに関し、2023年3月7日に基本合意書を締結しました。貨物事業の拡大を持続的成長の重要な手段として位置付け、中核事業であるエアライン事業の利益最大化に向けて取り組んでまいります。
② 航空非連動収益ドメインの拡大
社会の変化に応じた新たな事業の創出と更なる安定した経営に繋げるため、非航空事業における事業分類に応じた適切な経営資源配分により、収益拡大を目指します。航空事業とは一線を画した運営体制の導入、人財育成など、事業拡大を支える仕組みを整備します。
③ ANA経済圏の拡大による持続的な成長
「マイルで生活できる世界」を実現し、ANA経済圏の早期拡大を目指します。ANAマイレージクラブアプリを中核に置き、「ANA Mall」や「ANA Pay」等のコンテンツ・決済手段を拡充させるとともに、データ活用を進めることで顧客の回遊を促し、ANA経済圏内のサービス・商品の利用を促進します。
(1)サステナビリティ全般
当社グループは、航空事業を中核として「ヒトとモノの移動」で社会に貢献し、将来にわたり社会から必要とされる企業として価値を生み出し続けていくために、グループの垣根を越えたグローバルかつ長期的な視点で「環境」「社会」「ガバナンス」に配慮したサステナビリティ経営を推進しています。
航空事業をはじめとするグループが営む事業活動を通じて、経済的価値を生み出すことに加え、社会課題の解決に寄与し、社会から必要とされる価値を同時に生み出すことにより、持続的な企業価値向上を目指していきます。そのために取り組むべき重要課題(マテリアリティ)は、「環境」「人(人財・DEI・人権)」「地域創生」であると考えています。
① ガバナンス
サステナビリティに関する様々な課題への対応については、ANAホールディングス㈱代表取締役社長を総括、ESG経営推進の最高責任者であるチーフESGプロモーションオフィサー:CEPO(グループリスク&コンプライアンス担当役員)を議長とし、当社およびグループ会社の取締役・執行役員、ならびに当社常勤監査役を委員とする「グループESG経営推進会議」にて、重要方針や施策について議論するとともに、目標に対する進捗のモニタリング等を年4回行っています。また、経営戦略に関わる重要な課題は、「グループ経営戦略会議」にて議論、審議し、「取締役会」に上程しています。取締役会は、サステナビリティに関する課題への対応を含むグループ全体の経営方針や目標を定めつつ、グループ各社の経営および業務執行を監督する役割を担っています。詳細は4-4「コーポレート・ガバナンスの状況等」を参照ください。
ANAグループでは、社外有識者の皆様との定期的な対話から、最新の社会要請や関心の変容等をタイムリーに把握するとともに、事業や社会におけるインパクトを評価し、経営戦略に取り入れた上で取り組みに反映しています。
グループ各社にESG経営推進の責任者およびグループESG経営推進会議のメンバーとしてESGプロモーションオフィサー(EPO)、組織のESG経営推進の牽引役としてグループ各社・各部署にESGプロモーションリーダー(EPL)を配置し、取締役会、グループ経営戦略会議、グループESG経営推進会議で議論・決議・報告された事項は、EPOならびにEPLとの密接な連携のもとにグループ全体で共有、実践されます。EPLに対しても、年2回のEPL会議を通じて、包括的に情報を共有するとともにグループ各社・各部署における取り組みの促進につなげています。
また、会社の持続的な成長と中長期的な企業価値の向上を実現するために、ESG経営の推進状況を客観的かつ多面的に把握する目的で「CO2排出量」や「ESG外部評価指標」等の評価指標を設定し、役員報酬にも反映させています。
② リスク管理
リスクマネジメント体制
取締役会で決定された基本方針のもと、当社グループにおけるリスクマネジメントに関する基本事項を規定した「ANAグループ・トータルリスクマネジメント規程」に基づき、グループESG経営推進会議にて基本政策の立案・発議、進捗のモニタリングを行っています。
グループ各社においては、ESGプロモーションオフィサー(EPO)を推進責任者、ESGプロモーションリーダー(EPL)を推進実行者として、リスクマネジメント体制を構築しています。サステナビリティに関するリスクについても、トータルリスクマネジメントの仕組みの中で取り扱っています。
トータルリスクマネジメントの仕組み
グループ各社において、リスクの極小化を目的としてリスクマネジメントサイクル(リスクの洗い出し→分析→評価→管理・対策の検討・実施→モニタリング)の仕組みを構築しています。
グループ各社で、毎年事業ごとにリスクアセスメントを実施することにより洗い出された重要なリスクについては、対策の検討、進捗・効果、達成レベルを確認・評価するとともに、グループ全体で取り組むべきと判断されたサステナビリティに関するリスクを含む課題については、グループ総務部等が中心となって対策を講じ、その進捗をグループESG経営推進会議で報告しています。また、グループ全体の方針や戦略に反映させる必要があるものは、取締役会に対して上程しています。
(2)重要課題1 環境
当社グループでは「ANAグループ環境方針」を掲げ環境負荷低減に取り組んでいます。
具体的には、「2050年長期環境目標」を設定し、2050年度までのカーボンニュートラル(実質CO2排出量ゼロ)を宣言するとともに、その道筋として「2030年中期環境目標」を設定しています。
目標達成のため、SAFの活用を中核とする4つの戦略的アプローチ(運航上の改善・航空機等の技術革新、SAFの活用等航空燃料の低炭素化、排出権取引制度の活用、ネガティブエミッション技術の活用)を組み合わせ、経済合理性との両立も追求しながら、2050年カーボンニュートラルを実現していくためのトランジション戦略を設定しています。
・TCFD提言に基づく情報開示
当社グループは、2019年3月に日本のエアライングループとして初めて「気候関連財務情報開示タスクフォース(Task Force on Climate-related Financial Disclosures、以下TCFD」による提言に賛同を表明しました。以下、TCFDのフレームワークに即した開示の充実に努めています。
1)ガバナンス
上記
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これまで取締役会で上程・報告された気候変動問題に関する事案(例) ・中長期目標の策定、年度実績 ・TCFD提言に沿った情報開示 ・2050年カーボンニュートラル実現に向けたトランジション戦略の策定 ・中期経営戦略への気候変動への対応の組み込み ・気候変動問題への取り組みに関する進捗
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2)リスク管理
取締役会で決定された基本方針に則って定められた「ANAグループ・トータルリスクマネジメント規程」に基づき、「グループESG経営推進会議」にて基本方針の立案・発議、進捗のモニタリングを行っています。
※ リスクマネジメント体制については、上記
3)戦略
国連気候変動に関する政府間パネル(IPCC)および国際エネルギー機関(IEA)による4℃と1.5℃のシナリオに基づき、シナリオ分析※を実施しました。気候変動が当社グループに与えるリスクと機会を特定して収入および費用へのインパクトを評価し、対応策を検討しています。
※ 詳細は
4)指標と目標
CO2排出にかかわる「ANAグループ中長期環境目標」
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2030年度目標 |
2050年度目標 |
2019年度 CO2排出量 |
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CO2排出量の削減 |
航空機 |
実質10%以上削減(2019年度比) 消費燃料の10%以上をSAFに置き換え |
実質ゼロ |
1,233万トン |
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航空機以外 |
33%以上削減(2019年度比) |
実質ゼロ |
10.5万トン |
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(3)重要課題2 人(人財・DEI・人権)
当社グループは創業の精神を受け継いだグループ行動指針「ANA’sWay」に基づき、努力と挑戦をし続ける「人の力」と、組織の壁を越えて連携し協力する「グループ総合力(組織の力)」が強みであり、価値創造の源泉であると考えています。
航空事業において、安全性・定時性・快適性などで高い品質・サービスを提供し競争優位を確立するには、高度の専門性を備えた多様な職種の従業員が、個々のスキルとチームワークを発揮することが極めて重要です。ANAでは、高品質なサービス提供やグローバルカスタマーのニーズを踏まえた継続的なサービス改善が高く評価され、英国のSKYTRAX社から10年連続で「5スター」のエアラインに認定されました。
今後も人的資本への投資をより一層強化しながら、「人の力」と「組織の力」の最大化を図ることを通じて、持続的な企業価値向上を目指します。
① 人財
1)人財戦略の全体像
人財戦略の最終目標は、持続的な企業価値の向上(経済的価値・社会的価値)と、社員とその家族、当社グループに関わる人たちの豊かな人生の実現です。経営戦略を実現するための「人財・組織のありたい姿」として、①航空と非航空の2軸の経営戦略に合致した人財ポートフォリオの構築、②変革を生み出しやすい組織文化の醸成、③多様なグループ社員がいきいきと働いて個々の強みを発揮する「全員活躍」を目指すとともに、従業員エンゲージメントの向上を追求します。具体的な対応として、社内環境整備や人財育成に関する6つの重点施策に取り組んでいます。
2)指標及び目標(ANAグループ社員意識調査「ANA’s Way Survey」)
当社グループでは、「人財・組織のありたい姿」の達成度を測るため「社員意識調査」を毎年実施しています。この調査は「ANA’s Way」に掲げる「安全」、「お客様視点」、「社会への責任」、「チームスピリット」、「努力と挑戦」の5項目や「エンゲージメント」に関わる設問を含む64問で構成されています。2022年度はグループ従業員35,337名が回答(回答率96.1%)し、全設問の平均スコアは3.96(5点満点)と高い水準を維持しました。「私はANAグループで働いていることを誇りに思っている」のスコアが4.05となるなど、従業員が会社に対して高い愛着心を持ちながら働いていることも当社グループの経営基盤となっています。
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2019年度実績 |
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2022年度実績 |
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2025年度目標 (KPI) |
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(a)全体指標 |
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全設問平均スコア |
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3.80 |
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3.96 |
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4.03 |
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(b)エンゲージメント関連指標 |
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「私はANAグループで働いて いることを誇りに思っている」 |
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4.09 |
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4.05 |
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4.09 |
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「私は今の仕事にやりがい ・達成感を感じている」 |
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3.74 |
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3.75 |
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3.88 |
3)重点施策
<社内環境整備>
働く基盤の整備
・従業員がいきいきと働き、持続的な成長を図っていくためには、まず従業員が心身ともに健康であることが必要です。「2023-2029年度中期健康経営計画」に基づきグループ全体で従業員の心身の健康に向けた取り組み、「健康経営」を推進します。
[KPI]BMI適正者率 男女とも70%以上
喫煙率 男性20%未満 女性3%未満
メタボ該当率 男性12%未満 女性1.3%未満
身体愁訴該当率 男性20%未満 女性30%未満 ※いずれも2030年3月の目標値
・当社はグループで推進している健康経営が評価され、経済産業省と東京証券取引所が共同で認定する「健康経営銘柄2023」に選定されました。
・なお、従業員個々のライフプランに応じた柔軟な働き方を推進するため、短時間勤務、短日数勤務、ワークプレイス選択制度、サバティカル休暇制度等、様々な制度を導入しています。
組織文化、マネジメントづくり
・ダイバーシティ、エクイティ、インクルージョン(DEI)への取り組みを推進しています。(23ページ参照)
・グループ従業員の一体感をより強固なものとするため、公募による社内兼業制度の運用や、ミドルマネジメントの活躍推進に向けた施策等を実施します。
雇用・人事制度の見直し
・専門性の発揮を重視した評価・登用や年齢・年次を問わない人財登用など、ジョブ型の要素や考え方を取り入れながら、高度専門人財の確保と定着を図ります。
<人財育成方針>
従業員の自律成長支援
・キャリアデザイン研修を20~60代までの幅広い層へ展開します。そこで各自が設定した目標を支援するため、従業員講師による「学びのコミュニティ」、オープンセミナー、通信教育等を強化します。
・グループ内異動・転籍等の公募制度を充実させることで、従業員のキャリア自律を支援します。
・新規事業を提案するためのプログラム「Da Vinch Camp」や、サービス提案制度「がっつり広場」等、従業員が直接的に経営に参画する場を提供し、手挙げ文化の浸透を図ります。
・シニア人財の活躍を支援するため、50代のキャリア研修やリスキリング研修を実施します。
タレントマネジメントの強化
・航空事業と非航空事業の2軸の経営の推進に向け、人財育成プランやキャリアパスの考え方、目指すべき人財ポートフォリオを明確化してAs is-To beギャップの解消に取り組みます。
・社員のグローバル対応力を強化するため、海外雇用社員の日本での就業機会の提供や、日本と海外拠点とのオンラインによる交流プログラム等を実施しています。
・DXを推進するため、デジタル教育の実施やキャリア採用の強化によりデジタル人財を増強します。
[KPI]2025年度にデジタル人財を2022年度比1.6倍とする
・グループ企業の自律的経営を進めるべく、グループ各社における役員・部長のプロパー比率を向上します。
[KPI]2025年度のグループ会社プロパー比率 役員級40%/部長級70%
人的生産性の向上
・DXなどによる空港サービスのセルフ化・リモート化を進めるなど、「ANA Smart Travel」を推進し省人化を図るとともに、人は人でしかできないサービスに特化することでサービス品質の向上を追求します。
[KPI]2025年度のANAブランド稼働人員数 約29,000名
② DEI(多様性、公正性、受容・共生)
大きく変化するグローバル環境において、当社グループが持続的な成長と価値創造を実現し、よりよい社会と豊かな生活に貢献していくため、「多様化推進」(ジェンダー・障がいの有無・外国人従業員・キャリア人財・世代など)と「エクイティ・インクルージョン浸透」を進めています。その進捗状況を可視化し、指標に基づいた課題抽出と対応策を実施していきます。
ジェンダー平等
人事サポート制度の見直しや能力開発・意識醸成を進め、女性役員・女性管理職の比率を向上させ、意思決定の場における多様性を確保していきます。
[KPI]2020年代の可能な限り早い時期に当社グループの女性役員・女性管理職比率を30%以上とする
LGBTQ+
2022年度に「多様な性に関する基本ポリシー」を策定し、従業員がその性的指向や性自認に関わらず、いきいきと働くことが出来る環境整備と職場の理解促進に取り組んでいます。
多様な働き方(両立支援)の推進
従業員の育児や介護等と仕事との両立、一人一人の多様な働き方を支援する制度の整備と職場の意識醸成を進めています。2023年度から男性社員の「3日間の育児休暇制度」をグループ全体で整備し、男性の育児参画を促進することにより、従業員や家族の生活・人生の充実のサポートに取り組んでいます。
[KPI]「育児休暇制度」対象男性社員の休暇取得率100%
障がい者雇用の推進
障がい者雇用に関わる行動規範「3万6千人のスタート」を策定し、グループ全体で障がい者雇用に関わる理解促進を図っています。
[KPI]2025年のグループ全体の障がい者雇用率2.80%(2022年6月 2.75%)
③ 人権尊重
空港ハンドリングにかかわる当社グループの協力会社では、多数の外国人が就労しています。これらの人たちの雇用環境に問題がないかどうかを正確に把握するため、定期的に労働状況調査や本人への直接インタビュー等を実施しています。
また、国際線航空機を利用した違法な人身取引の防止を徹底するため、全客室乗務員に対して人身取引防止に関わる教育を行っています。
これらの人権尊重に関わる当社グループの活動を取りまとめた「人権報告書」を、2018年に企業としては日本で初めて発行しました。
(4)重要課題3 地域創生
地域創生は、地域の人口減少や少子高齢化、経済の縮小などの課題を克服し、将来にわたって地域が成長することを目指していく取り組みです。
当社グループでは地域課題を解決しながら、ヒト・モノ・コトの新たな出会いや繋がりを創出し、地域のファンを増やすことにより交流人口や関係人口の拡大に繋げることを目的としています。
課題解決に向けては地域との連携が重要であるため、グループの地域代表機能を有する各支店を通じた地域事業者との密な関係構築や全国各地の地方自治体との連携協定締結などにより、地域との繋がりを深めています。
これまでに航空事業や旅行事業で築いた地域との信頼関係をもとに、産農振興・観光振興を軸としながら、当社グループが持つ強み、アセットを活用した地域創生に挑戦します。
<推進体制>
当社グループで地域創生事業を担うANAあきんど㈱が主管となる「グループ地域創生会議」を設置。全国33か所のANAの支店をはじめグループ各社と連携し、地域の課題解決に向けた活動を推進しています。
当社グループは、航空輸送事業を中核とする企業グループとして、安全の確保を最も重要な社会的使命と位置付け、それが毀損・阻害されることを「最重要リスク」と考えていますが、それ以外にも、近年は新型コロナウイルス感染症によって甚大な影響を受けた他、その重要性や緊急性が増している気候変動問題に関するリスク、不透明感を増している国際情勢に関するリスクなど、様々なリスクが存在します。
当社グループが、当期末時点において、投資家の判断に重要な影響を及ぼし得ると考えているリスクの概要は以下の通りです。なお、以下の内容には将来に関する予測も含まれており、それらの事項は現実とは合致しない可能性がある他、以下に記載されていない他のリスクが当社グループに影響を及ぼす可能性もあります。
(1) 最も重要なリスク
「安全」が毀損・阻害されることは当社グループにとって最も重要なリスクです。
<要旨>
当社グループは、安全は経営の基盤であり、社会への責務であると考えていますが、安全が毀損・阻害されるような事象が発生した場合、当社グループに大きな影響を与えます。特に、人的損害が生じた場合には、当社グループへの社会的な信用・信頼を根本から揺るがす可能性があります。
航空事故等によって、人的・物的損害が発生した場合、その損害賠償責任が生ずる可能性がありますが、安全が毀損・阻害された場合の影響はそれに留まらず、顧客が航空機利用を手控えることで当社グループの収入が減少したり、あるいは航空機利用に際して当社グループ以外の便を選択するといった形で、その影響は広範かつ中期に及ぶ可能性があります。
なお、安全の確保に向けて、航空機に製造上の不具合等が発生・発覚した場合には、予防的に当該航空機の運航を中止することがありますが、その場合、航空機不足に起因して欠航や減便等が発生し、当社グループの事業運営に影響を及ぼす可能性があります。
<変化・展望>
当リスクは、引き続き、当社グループにとって最も重要なリスクであると考えています。
<対応>
当社グループは、安全の推進や安全の品質監査を行う専門組織を設置すると共に、安全を堅持するための持続的な「仕組み」を構築し、事後対応型の安全リスクマネジメントに留まらず、未然防止型・未来予測型の安全リスクマネジメントを取り入れ、3H(初めて、変更、久しぶり)を対象としたリスクマネジメント、運航乗務員や客室乗務員を対象とした疲労リスクマネジメント、SPI(Safety Performance Indicator)による安全の「見える化」など、更なる安全性の向上を追求しています。
同時に、運航乗務員や客室乗務員をはじめ、航空機運航に直接従事する社員に対する継続的、反復的な教育・訓練の実施や、当社グループ社員全体を対象とした安全に関する恒常的な啓発活動も行い、研修施設である「ANAグループ安全教育センター」の活用等を通じて安全を守り抜く企業グループ文化の醸成・強化に努めています。また、航空機メーカー等との間でも密接な情報交換や意見交換を行いながら、安全性をはじめとする高品質なオペレーションの実現に取り組んでいます。
(2) 主要なリスク
①気候変動問題への対応は重要性や緊急性が増しています。
<要旨>
航空機運航に際しては、二酸化炭素等の温室効果ガスを排出しますが、これらの削減が急務となっています。当社グループは、燃料効率に優れた航空機への置換えを進めるとともに、SAF(Sustainable Aviation Fuel:原材料の生産・収集から燃焼までのライフサイクルで二酸化炭素排出量を従来燃料よりも大幅に削減した航空燃料)の活用等によって2050年までに二酸化炭素の排出を実質ゼロとする目標を設定していますが、現時点で、SAFが安定的に合理的な価格で十分に供給されるという技術的な目途が立ったものではありません。
SAFが安定的かつ十分に供給されない場合、当社グループは二酸化炭素排出枠を社外の二酸化炭素削減プロジェクト等から購入する必要に迫られ、営業費用の増加をもたらす可能性があるとともに、SAFの価格が高額に留まった場合には航空機の運航コストが増加して当社グループの収益性に影響を及ぼしたり、そのコストを運賃に転嫁することで鉄道や海運など他の交通手段に対する当社グループの競争力が低下する可能性があります。
また、当社グループの二酸化炭素排出削減に向けた計画が目標通りに進まない場合、顧客の間に、二酸化炭素の排出が相対的に少ない、鉄道など他の交通手段を選好する動きが出てくる可能性があると共に、日本国内において十分なSAF供給体制が構築されない場合、厳しい環境基準を設定する一部の国・地域等において、当社グループ航空機の乗り入れに対して制約や制限が課される可能性があります。
<変化・展望>
気候変動に関する問題は全世界的に喫緊の課題であり、当リスクへの対処は、重要性や優先度が極めて高位であると考えています。また、当リスクについては、将来、航空業界全般および当社グループに対して、より厳格で、より高度な対応を、より速やかに求められる可能性もあると考えています。
<対応>
燃料効率に優れた新型機材への置換えといった主体的な対応を進めると共に、SAFの開発・供給体制構築に向けては、同業他社やSAFメーカー、あるいは政府等も含めて官民連携のもとに横断的協力関係を構築しながら、解決を進めていきます。
なお、TCFD(Task Force on Climate-related Financial Disclosures)提言に沿った情報については、当社グループホームページにて開示しています。(https://www.ana.co.jp/group/csr/environment/goal/)
②国際情勢の不安定化によるリスクが高まっています。
<要旨>
当社グループは、更なる成長機会を求めて国際線事業を拡大してきましたが、米中対立やロシア・ウクライナ情勢、あるいは第三極勢力の台頭など、国際情勢は不透明さを増しており、将来に向けて不確実性が存在します。
国際航空輸送は、これまで経済活動のグローバル化を背景に拡大してきましたが、その流れが停滞・逆行、あるいは戦争・紛争等によって平和な環境が毀損された場合、業務渡航需要の低迷や観光旅行需要の減少等を通じて、当社グループの収入に影響を及ぼす可能性があります。
なお、国際情勢の不安定化は、国際線事業のみならず、インバウンド(訪日外国人観光客)需要の減少等を通じて国内線事業にも影響を及ぼし得る他、航空機が戦争・紛争地域上空の飛行を取り止めて迂回せざるを得ないケース等、その影響が広範に及ぶ可能性があります。
<変化・展望>
国際情勢および経済活動グローバル化の行方については不確実性が増しており、リスクとして管理・対処する必要性が高まっていると考えています。
<対応>
当社グループは、国際線事業の展開に際し、航空ネットワーク構築等において、短期的な収益性のみで判断せず、国際情勢リスクにも配慮した展開を進めており、今後も当対応を継続します。また、海外における顧客獲得に際しても、特定国・地域に過度に偏ることがないよう、バランスを考慮して展開しています。
なお、国際情勢の悪化等によって緊急対応の必要が生じた場合には、航空便の運航計画や運航ルートを柔軟かつ迅速に変更させることで、その影響低減を図っています。
③大規模な感染症の発生は当社グループに甚大な影響を及ぼします。
<要旨>
当社グループは、新型コロナウイルス感染症によって甚大な影響を受けましたが、将来、大規模な感染症が再び発生した場合、人的移動の制限・禁止等によって需要が激減し、当社グループに再度大きな影響を及ぼす可能性があります。航空事業は、航空機に関する費用や、それを運航するための人件費といった固定費が大きな割合を占めるため、短期で事業支出を抑制することは容易ではありません。また、そのような事業支出の抑制策を講じた場合、事業体制の再構築には一定の時間を要するため、需要回復期においても、当社グループの事業に影響を及ぼす可能性があります。
<変化・展望>
一般的に気候変動(地球温暖化)は感染症リスクを高めると言われており、当リスクへの対処は重要性が高まっていると考えています。
<対応>
当社グループは、旅客機に加えて貨物専用機も保有することで、人的移動が減少した状況下でも物的移動に対しては積極的に対応できる体制を構築すると共に、人的移動についても3種の航空ブランド(ANA、Peach、Air Japan)を保有することで、限定された航空需要に対して、最も適切に対応できるようにしています。
また、事業構造の多角化を進めており、航空事業非連動の収益ドメイン拡大や、グループの持続的成長に向けたANA経済圏の拡大を進めています。
④システム障害が発生した場合の影響が大きくなっています。
<要旨>
当社グループは、航空輸送サービスを、より高品質で、より効率的に提供すべく、事業運営のシステム化を積極的に推進しており、これらのシステムに障害が発生した場合、その理由が社内要因(自社要因)、あるいはサイバー攻撃等の社外要因であるかの如何を問わず、事業に与える影響が高まっています。航空機運航関連システムに障害が発生した場合には、航空機の運航が困難になる可能性がある他、予約・決済・搭乗管理といった関連システムで障害が発生した場合にも、予約の受付や決済、空港における搭乗管理などが不可能となり、実質的に航空輸送サービスを提供することが困難となる可能性があります。
<変化・展望>
システムの高度化、各システム相互間の接続や連関性増加、あるいは社会一般的にサイバー攻撃が増加・巧妙化していることを踏まえれば、システム障害に関するリスクは高まっていると考えています。また、当リスクを予防・低減させることに関する社会的要請も高まっていると考えています。
<対応>
当社グループ全体のシステム運営・管理を担う専門組織として、グループIT部を設置してシステム障害発生を防止すると共に、障害発生時にはその影響を低減しつつ早期に復旧させられるように、包括的・多面的なシステム運用体制を構築しています。また、社員教育の強化やシステム障害発生対応訓練の実施など、ソフト面での対応強化も行っています。
⑤情報漏洩リスクへの対処が重要性を増しています。
<要旨>
当社グループは、顧客組織「ANAマイレージクラブ」会員の個人情報をはじめ、多くの情報を保持していますが、これらの情報が不正に流出した場合、損害賠償請求を受けたり、各国政府等から制裁金や課徴金の支払いを命じられたり、あるいは顧客や社会からの信用・信頼が失墜して競争力が低下したりする可能性があります。
<変化・展望>
情報全般の取り扱いに関する社会的な意識・規範の高まりや、各国政府等によって定められる関連法規の強化などを踏まえれば、当リスクに適切に対処する必要性は一層高まっていると考えています。
<対応>
各国法令等に沿って適切な情報管理を行うと共に、コンピュータウィルス対策やメールのセキュリティチェック、不正操作の監視、情報にアクセスできる社員の制限、全社員を対象とした情報管理に関する教育・啓発活動等を行っています。また、グループ全体のシステムを対象に継続的な点検を行い、システムの老朽化、脆弱性を早期に検出して対応する等、サイバー攻撃や情報漏洩を未然に防ぐ対応を実施しています。
⑥人権リスクについて対処すべき領域が広がっています。
<要旨>
当社グループ内のみならず、委託先や取引先、調達先等を含めて、当社グループ事業に関わる事業領域全体で人権に反する行為が発生した場合、当社グループが社会的非難を浴びたり、不買運動の対象となったりする可能性があります。
<変化・展望>
日本国内における労働力人口減少への対応、あるいは海外事業の拡大を進める中で当社グループの事業に関わる人的リソースは多様化しており、当リスクに対しては、より多面的に対処する必要性があると考えています。
<対応>
当社グループは、国連の「ビジネスと人権に関する指導原則」において詳述されている手順に沿い、「ANAグループ人権方針」のもと、人権デューディリジェンスの仕組みを構築しています。サプライチェーン上の人権リスク評価を実施し、必要に応じて、社外関係先に対しても直接確認・調査を行う等、当リスクの適切な管理に努めています。また、社内においても人権に関する社員教育や経営レベルの会議体における定期的なモニター等を実施しています。
⑦激甚化する自然災害のリスクが高まっています。
<要旨>
航空輸送は、点と点を空路で結ぶという特性上、運輸・運送システムの中では相対的に自然災害への耐性が強く、一部空港が機能不全に陥った場合でも近隣空港を活用した代替輸送が可能といった利点がありますが、当社グループの事業基盤は首都圏に集中しているため、羽田空港や成田空港が自然災害によって大きな影響を受けた場合、当社グループの事業運営に関して制約や障害が発生する可能性があります。
<変化・展望>
気候変動(地球温暖化)が自然災害の激甚化をもたらすと言われていることを含めて、当リスクへの対処は重要性が高まっていると考えています。
<対応>
首都圏直下型地震をはじめ、大規模自然災害が発生した場合でも、早急に運航機能を回復させて公共交通機関としての使命を果たせるよう、事業継続計画(Business Continuity Plan)を策定し、定期的な見直しを行っています。また、事業運営に不可欠な各種中核機能についてはバックアップ系統を整備し、衛星電話や備蓄品、従業員安否確認システム等を用意するとともに、関係者(空港会社等)とも連携しながら、定期的な防災訓練を実施する等の対応をしています。
⑧当社グループの事業は、為替・原油価格・金利といった市況の変動に大きな影響を受けます。
<要旨>
1)為替
当社グループが使用する航空機は海外メーカーによって製造されているため、円安が大きく進行した場合、航空機調達コストが増大します。また、営業費用において大きな割合を占める航空機燃料も、その原料となる原油は輸入に頼っているため、同様に円安が大きく進行した場合には、営業費用が増加します。なお、円安は当社グループが海外で得る外貨収入の円建て換算額を押し上げますが、当社グループは外貨建て収入よりも外貨建て支出の方が多いため、その効果は費用増加の全てを相殺できるものではありません。
為替変動に対しては、ヘッジ取引等を活用した影響緩和策も講じていますが、これらの対策は影響の緩和や平準化を図ることはできても、その影響を完全に排除するものではなく、費用抑制効果が常に見込まれるものでもありません。
2)原油価格
航空機燃料の価格は、基本的に原油価格に連動しており、原油価格の高騰は航空機燃料コストの増大をもたらします。当社グループは、一部事業において燃料価格に応じた燃油特別付加運賃(いわゆる「燃油サーチャージ」)を設定・徴収するといった方策も講じていますが、それらの収入は費用増加の全てを常に相殺するものではありません。
原油価格の変動に対しては、ヘッジ取引等を活用した影響緩和策も講じていますが、これらの対策は影響の緩和や平準化を図ることはできても、その影響を完全に排除するものではなく、費用抑制効果が常に見込まれるものでもありません。
3)金利
当社グループは、航空機の調達をはじめ、外部資金も活用した事業運営を行っており、金利が大きく上昇した場合、その資金調達コストの増加といった形で当社グループに影響を及ぼす可能性があります。
<変化・展望>
市況変動は常に起こり得るものですが、昨今、国際情勢や経済情勢に関する不確実性も増しており、当リスクへの対処は重要性を増していると考えています。
<対応>
ヘッジ取引の活用等によってリスクの低減・緩和・平準化を図るとともに、より根本的な対策として、外貨建て収入を増やして為替影響に強い収支構造を構築する、燃料効率に優れた新型機への置換えを推進する、事業ポートフォリオの多角化によって市況変動の影響を受けにくい事業を育成する、適切な財務規律の下で資金調達を実施する等、グループ全体として市況変動に対する耐性を高めていきます。
⑨競争力の強化や新たな成長に向けた投資は、リスクも伴っています。
<要旨>
当社グループは、将来に向けて持続的な成長を実現するための投資を検討・実行していますが、これらの投資はリスクも伴っています。
航空事業では、他社に対する競争力の維持・向上や温室効果ガスの排出削減に向けて、新型機材の導入等を行っていきますが、新型コロナウイルス感染症に関する影響の長期化や多様化、各種テクノロジーの急速・急激な発達、それに伴った社会の行動様式変化、あるいは政治情勢等に起因したグローバルな経済活動の分断等が生じた場合、これらの投資が期待したような効果を発揮しない可能性があります。
また、グループ全体としてのリスク耐性を高めるべく、航空事業との相乗効果が期待できる事業、あるいは航空事業のノウハウを活用できる事業、即ち、地域創生事業、各種エアモビリティ事業、メタバース・アバター事業、ANA経済圏事業等への投資を検討・実行していますが、これらの投資は想定した成果を発揮した場合の効果が大きいと期待される一方で、想定した成果を得られない可能性もあります。
<変化・展望>
投資に関するリスク管理は、引き続き、重要であると考えています。
<対応>
投資の検討・実行に際しては、取締役会や各種経営レベル会議体での議論・審議のみならず、グループ全社を対象とした投資管理委員会を設置して管理体制の重層化・複層化を図るとともに、その評価基準や撤退基準を予め設定する等、当リスクの適切な管理に努めています。
⑩日本の人口減少により、市場が縮小したり、労働力の確保が困難となっていく可能性があります。
<要旨>
当社グループは、日本国内を最大の事業基盤としていますが、今後、日本の人口減少が進むにつれて、その市場規模は縮小する可能性があります。また、人口減少は当社グループの事業運営に必要な労働力の確保という観点でも影響を及ぼす可能性があり、その場合、人件費単価が増加したり、労働力不足に起因して事業運営に制約が生じたりする可能性があります。
<変化・展望>
当リスクは、今後、徐々に高い確率で顕在化すると考えています。
<対応>
経営戦略の立案等において、人口減少等の各種社会的変化の想定を加味・反映させるとともに、LCCブランドを活用した市場全体の活性化にも取り組んでいます。また、中長期にわたって市場の成長が期待できる国際線事業の拡充を進めています。
労働力の確保に関しては、適切な分配や教育・研修機会の拡充等、「人」に対する積極的な投資によって採用競争力を維持・向上させるとともに、他社との競争において差別化の源泉とならない業務については、機械化、省力化、無人化等を進めていきます。
⑪更なる高速鉄道網の延伸によって、陸上交通機関との競争が激化する可能性があります。
<要旨>
日本国内では、今後、更なる高速鉄道網の延伸が予定されており、新幹線等との競争が、より激しくなる可能性があります。整備新幹線の延伸や既存新幹線の高速化は、当社グループの国内線事業に関して、市場シェアの低下や価格競争の発生・激化による単価下落といった影響をもたらす可能性があります。
<変化・展望>
当リスクは、中長期的に顕在化する可能性が高いと考えています。
<対応>
経営戦略の立案等において、高速鉄道網の延伸や競争環境の変化を加味・反映させるとともに、LCCブランドを活用した市場全体の活性化にも取り組んでいます。また、中長期にわたって市場の成長が期待できる国際線事業の拡充を進めています。
(3) その他のリスク
①交通政策や航空政策に関するリスク
羽田空港等の基幹空港では、その発着可能枠が既に上限に達しているものもありますが、その処理能力向上については基本的に国策に委ねられており、当社グループの今後の事業展開において制約となる可能性があります。また、現時点で当社グループが使用しているこれらの空港における発着枠についても、今後の政策によって縮小・回収といった調整が行われる可能性があります。
②税制や公租公課に関するリスク
航空事業に関しては、航空機燃料税等の税制に加えて、空港着陸料や駐機場使用料、航行援助施設利用料といった公租公課が存在します。これらの税制や公租公課に変更、新設等があった場合、当社グループに影響を及ぼす可能性があります。
③景気変動に関するリスク
航空輸送が担う中長距離輸送は、日常的な短距離輸送に比べて、景気変動の影響をより受けやすいという特性があります。
④損益構造・財務構造・資金調達に関するリスク
航空事業は、高額である航空機を使用するとともに、貨客量に関わらず運航に連動して発生する費用(燃油費や整備費等)も多いため、需要が大きく減少した場合には、その収益性が大きく低下する可能性があります。
また、当社グループは繰延税金資産を計上していますが、将来の課税所得見込みが減少した場合等には、この資産が取り崩される可能性があります。
なお、当社グループは設備投資等の必要資金を金融機関や市場から調達する可能性がありますが、当社グループの信用力変動や市場の混乱等によって資金調達に制約を受ける場合は、当社グループに影響を及ぼす可能性があります。
⑤事業ポートフォリオに関するリスク
当社グループはその収入・収益において航空事業が大きな割合を占めている他、それ以外の航空関連事業、旅行事業、商社事業についても航空輸送に関連した事業が多く、航空事業に大きな影響が生じた場合、これらの事業においても連動的に大きな影響が生じる可能性があります。
⑥訴訟に関するリスク
国内外において、当社グループの事業活動に関する各種訴訟等が発生した場合、当社グループに影響を及ぼす可能性があります。
(1) 経営成績等の状況の概要
当連結会計年度(2022年4月1日~2023年3月31日、以下「当期」という)における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という)の状況の概要は次のとおりです。
①財政状態及び経営成績の状況
当期のわが国経済は、個人消費や設備投資が緩やかに持ち直している一方、輸出入が弱含んでいる等、景気は一部に弱さがみられるものの緩やかに回復しています。
航空業界を取り巻く環境は、国内線では行動制限が緩和され、国際線においても各国の入国制限緩和が進んだことにより、急速に改善しています。
経営成績では、このような経済情勢の下、人の移動の回復を背景に売上高は前期から大幅に増加しました。コストに関しては、運航規模を拡大した一方で、コストマネジメントを引き続き徹底した結果、営業費用の増加を抑制し3期ぶりに通期で黒字化を達成しました。
財政状態では、売上高の増加等により利益剰余金が増加しています。
また、現金及び預金に有価証券を加えた手元流動性資金は1兆1,837億円となりました。
以上の結果、当期の財政状態及び経営成績等は以下のとおりとなりました。
1)財政状態
当期末の資産合計は、前期末に比べ1,482億円増加し、3兆3,667億円となりました。
当期末の負債合計は、前期末に比べ813億円増加し、2兆4,963億円となりました。
当期末の純資産合計は、前期末に比べ669億円増加し、8,703億円となりました。
2)経営成績
当期における売上高は1兆7,074億円(前期比67.3%増)、営業費用は1兆5,874億円(前期比33.0%増)
となり、営業利益は1,200億円(前期 営業損失1,731億円)、経常利益は1,118億円(前期 経常損失
1,849億円)、親会社株主に帰属する当期純利益は894億円(前期 親会社株主に帰属する当期純損失
1,436億円)となりました。
②キャッシュ・フローの状況
営業活動によるキャッシュ・フローは4,498億円の収入となりました。
投資活動によるキャッシュ・フローは2,040億円の支出となりました。
財務活動によるキャッシュ・フローは1,429億円の支出となりました。
以上の結果、現金及び現金同等物の期末残高は、前期末に比べて1,054億円増加し、7,264億円となりまし
た。
③生産及び販売の実績
1)セグメント別売上高
最近2連結会計年度のセグメント別売上高は次のとおりです。
|
|
前連結会計年度 (自 2021年4月1日 至 2022年3月31日) |
当連結会計年度 (自 2022年4月1日 至 2023年3月31日) |
||
|
セグメントの名称 |
金額(百万円) |
構成比(%) |
金額(百万円) |
構成比(%) |
|
航空事業 |
|
|
|
|
|
国際線 |
|
|
|
|
|
旅客収入 |
70,151 |
5.6 |
433,470 |
21.7 |
|
貨物収入 |
328,750 |
26.1 |
308,088 |
15.4 |
|
郵便収入 |
5,448 |
0.4 |
6,268 |
0.3 |
|
小計 |
404,349 |
32.1 |
747,826 |
37.4 |
|
国内線 |
|
|
|
|
|
旅客収入 |
279,877 |
22.3 |
529,593 |
26.5 |
|
貨物収入 |
24,932 |
2.0 |
24,119 |
1.2 |
|
郵便収入 |
2,666 |
0.2 |
2,898 |
0.1 |
|
小計 |
307,475 |
24.5 |
556,610 |
27.8 |
|
航空事業収入合計 |
711,824 |
56.6 |
1,304,436 |
65.2 |
|
LCC収入 |
37,813 |
3.0 |
90,265 |
4.5 |
|
その他の収入 |
135,459 |
10.8 |
144,742 |
7.2 |
|
航空事業小計 |
885,096 |
70.4 |
1,539,443 |
76.9 |
|
航空関連事業 |
|
|
|
|
|
航空関連収入 |
206,806 |
16.4 |
247,129 |
12.3 |
|
航空関連事業小計 |
206,806 |
16.4 |
247,129 |
12.3 |
|
旅行事業 |
|
|
|
|
|
パッケージ商品収入(国内) |
26,243 |
2.1 |
45,954 |
2.3 |
|
パッケージ商品収入(国際) |
171 |
0.0 |
1,512 |
0.1 |
|
その他の収入 |
19,868 |
1.6 |
26,349 |
1.3 |
|
旅行事業小計 |
46,282 |
3.7 |
73,815 |
3.7 |
|
商社事業 |
|
|
|
|
|
商社収入 |
81,694 |
6.5 |
103,252 |
5.2 |
|
商社事業小計 |
81,694 |
6.5 |
103,252 |
5.2 |
|
報告セグメント計 |
1,219,878 |
97.0 |
1,963,639 |
98.1 |
|
その他 |
|
|
|
|
|
その他の収入 |
38,130 |
3.0 |
38,066 |
1.9 |
|
その他小計 |
38,130 |
3.0 |
38,066 |
1.9 |
|
売上高合計 |
1,258,008 |
100.0 |
2,001,705 |
100.0 |
|
セグメント間取引 |
△237,684 |
- |
△294,221 |
- |
|
売上高(連結) |
1,020,324 |
- |
1,707,484 |
- |
(注)1.セグメント内の内訳は内部管理上採用している区分によっています。
2.各セグメントの営業収入はセグメント間の売上高を含みます。
3.LCC収入は、Peach Aviation㈱の収入です。
2)セグメント別取扱実績
(a) 航空事業
(ア) ANAブランド輸送実績
最近2連結会計年度の輸送実績は次のとおりです。
|
項目 |
前連結会計年度 (自 2021年4月1日 至 2022年3月31日) |
当連結会計年度 (自 2022年4月1日 至 2023年3月31日) |
|
|
国際線 |
|
|
|
|
旅客数 |
(人) |
825,524 |
4,212,581 |
|
座席キロ |
(千席キロ) |
20,524,342 |
35,875,939 |
|
旅客キロ |
(千人キロ) |
5,550,477 |
26,408,990 |
|
利用率 |
(%) |
27.0 |
73.6 |
|
有効貨物トンキロ |
(千トンキロ) |
6,966,178 |
6,605,184 |
|
貨物輸送重量 |
(トン) |
976,644 |
805,799 |
|
貨物トンキロ |
(千トンキロ) |
5,186,055 |
4,147,026 |
|
郵便輸送重量 |
(トン) |
18,737 |
15,999 |
|
郵便トンキロ |
(千トンキロ) |
87,665 |
78,114 |
|
貨物重量利用率 |
(%) |
75.7 |
64.0 |
|
国内線 |
|
|
|
|
旅客数 |
(人) |
17,959,225 |
34,534,798 |
|
座席キロ |
(千席キロ) |
34,288,864 |
49,901,650 |
|
旅客キロ |
(千人キロ) |
16,382,448 |
32,201,978 |
|
利用率 |
(%) |
47.8 |
64.5 |
|
有効貨物トンキロ |
(千トンキロ) |
957,661 |
1,413,437 |
|
貨物輸送重量 |
(トン) |
251,332 |
253,661 |
|
貨物トンキロ |
(千トンキロ) |
281,992 |
281,531 |
|
郵便輸送重量 |
(トン) |
24,663 |
25,086 |
|
郵便トンキロ |
(千トンキロ) |
24,180 |
24,795 |
|
貨物重量利用率 |
(%) |
32.0 |
21.7 |
(イ) ANAブランド運航実績
最近2連結会計年度の運航実績は次のとおりです。
|
項目 |
前連結会計年度 (自 2021年4月1日 至 2022年3月31日) |
当連結会計年度 (自 2022年4月1日 至 2023年3月31日) |
||
|
国際線 |
国内線 |
国際線 |
国内線 |
|
|
運航回数(回) |
38,527 |
276,732 |
41,521 |
365,967 |
|
飛行距離(km) |
224,573,623 |
239,638,839 |
229,546,353 |
310,896,747 |
|
飛行時間(時間) |
291,833 |
413,559 |
306,327 |
544,243 |
(注) 1.国内線旅客実績には、アイベックスエアラインズ㈱、㈱AIRDO、㈱ソラシドエア及び㈱スターフライヤーとのコードシェア便実績及びオリエンタルエアブリッジ㈱との一部のコードシェア便実績を含みます。また、2021年8月27日から2022年10月29日のPeach Aviation㈱とのコードシェア便実績を含み、2022年10月30日から天草エアライン㈱及び日本エアコミューター㈱との一部のコードシェア便実績を含みます。
2.国際線、国内線ともに不定期便実績を除きます。
3.国際線貨物及び郵便実績には、コードシェア便実績、エアラインチャーター便実績、ブロック・スペース契約締結便実績及び地上輸送実績を含みます。
4.国内線貨物及び郵便実績には、Peach Aviation㈱、㈱AIRDO、㈱ソラシドエア、オリエンタルエアブリッジ㈱及び㈱スターフライヤーとのコードシェア便実績、エアラインチャーター便実績及び地上輸送実績を含みます。
5.座席キロは、各路線各区間の有効座席数(席)に各区間距離(km)を乗じた数値の合計です。
6.旅客キロは、各路線各区間の旅客数(人)に各区間距離(km)を乗じた数値の合計です。
7.有効貨物トンキロは、各路線各区間の有効貨物重量(トン)に各区間距離(km)を乗じた数値の合計です。なお、旅客便については、床下貨物室(ベリー)の有効貨物重量に各区間距離を乗じています。また、床下貨物室の有効貨物重量には、貨物・郵便の他、搭乗旅客から預かる手荷物搭載の有効搭載重量も含まれています。
8.貨物トンキロ及び郵便トンキロは、各路線各区間の輸送重量(トン)に各区間距離(km)を乗じた数値の合計です。
9.貨物重量利用率は、貨物トンキロと郵便トンキロの合計を有効貨物トンキロで除した数値です。
(ウ)LCC輸送実績
最近2連結会計年度の輸送実績は次のとおりです。
|
項目 |
前連結会計年度 (自 2021年4月1日 至 2022年3月31日) |
当連結会計年度 (自 2022年4月1日 至 2023年3月31日) |
|
|
旅客数 |
(人) |
4,267,002 |
7,775,072 |
|
座席キロ |
(千席キロ) |
7,863,780 |
12,232,702 |
|
旅客キロ |
(千人キロ) |
4,846,740 |
8,991,276 |
|
利用率 |
(%) |
61.6 |
73.5 |
(注)1.座席キロは、各路線各区間の有効座席数(席)に各区間距離(km)を乗じた数値の合計です。
2.旅客キロは、各路線各区間の旅客数(人)に各区間距離(km)を乗じた数値の合計です。
3.LCC実績は、Peach Aviation㈱の実績です。
(b) 航空関連事業
航空関連事業に含まれる連結子会社の取扱状況等については、構成する各種事業が多岐にわたり、かつ重要性の観点から開示しておりません。
(c) 旅行事業
旅行事業に含まれる連結子会社の取扱状況等については、構成する各種事業が多岐にわたり、かつ重要性の観点から開示しておりません。
(d) 商社事業
商社事業に含まれる連結子会社の取扱状況等については、構成する各種事業が多岐にわたり、かつ重要性の観点から開示しておりません。
(e) その他
その他に含まれる連結子会社の取扱状況等については、構成する各種事業が多岐にわたり、かつ重要性の観点から開示しておりません。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりです。なお、文中の将来に関する事項は、当期末時点において判断したものです。
①財政状態
<資産の部>
流動資産は、現金及び預金等が増加したことから、前期末に比べて2,568億円増加し、1兆5,508億円となり
ました。
固定資産は、売却に伴い航空機が減少したこと等により、前期末に比べ1,079億円減少し、1兆8,149億円と
なりました。
以上により、当期末における総資産は前期末に比べて1,482億円増加し、3兆3,667億円となりました。
<負債の部>
負債の部は、転換社債型新株予約権付社債の償還及び借入金の返済等があったことから、有利子負債(無利
子のユーロ円建転換社債型新株予約権付社債を含む)が前期末に比べて1,421億円減少し、1兆6,079億円とな
る一方、航空券の予約発券数の拡大に伴う契約負債の増加等により、前期末に比べて813億円増加し、
2兆4,963億円となりました。
<純資産の部>
株主資本は、当期純利益の計上により利益剰余金が増加したことから、前期末に比べて920億円増加し、
7,944億円となりました。
その他の包括利益累計額は繰延ヘッジ損益の減少等により、前期末に比べて269億円減少し、679億円とな
りました。
これらの結果、純資産合計は前期末に比べて669億円増加し、8,703億円となりました。
なお、自己資本比率は25.6%(前期末24.8%)となり、有利子負債と自己資本の比率を示すD/Eレシオは
1.9倍(前期末2.2倍)となりました。
②経営成績
航空業界を取り巻く環境は、国内線では行動制限が緩和され、国際線においても各国の入国制限緩和が進んだ
ことにより、急速に改善しています。
このような経済情勢の下、売上高は前期から増加し1兆7,074億円(前期比67.3%増)となりました。
営業利益は1,200億円(前期 営業損失1,731億円)、経常利益は1,118億円(前期 経常損失1,849億円)、親会社
株主に帰属する当期純利益は894億円(前期 親会社株主に帰属する当期純損失1,436億円)となりました。
なお、当社は世界の代表的な社会的責任投資の指標である「Dow Jones Sustainability World Index」の構成
銘柄に6年連続で選定された他、国際的な環境評価を手掛ける非営利団体であるCDPより、最高評価の「Aリス
ト企業」に選定されました。今後も事業を通じて環境問題等の社会課題解決に取り組み、持続的な成長と企業価
値の向上を目指してまいります。
以下、当期におけるセグメント別の概況をお知らせいたします。
(なお、各事業における売上高はセグメント間内部売上高を含み、営業利益はセグメント利益に該当します。)
◎航空事業
日本国内の移動自粛等の行動制限緩和や各国の入国に関する規制緩和を受けて、回復する旅客需要の取り込みに
努めた他、貨物については需要が弱含む中でも高水準の単価を維持した結果、売上高は前期を大幅に上回り
1兆5,394億円(前期比73.9%増)となりました。費用面では、事業規模拡大に伴う運航関連費用が増加したもの
の、コストマネジメント等を通じた費用抑制に努めたことで、営業利益は1,241億円(前期 営業損失1,629億円)
となりました。なお、ウクライナ情勢の影響を受けて、欧州路線はロシア上空を迂回した運航を余儀なくされまし
たが、一方で好調な北米路線を中心に運航規模を拡大したこと等により、収入への影響は限定的なものとなりまし
た。
当社グループは、英国SKYTRAX社による「World Airline Awards 2022」において「機内客室の清潔さ」をはじめ
3部門で最も優秀な航空会社に選ばれた他、世界の航空データを分析・評価するCIRIUMの「The On-Time
Performance Awards」の「ネットワーク部門」にて、2022年の定時到着率が世界1位に認定されました。
<国際線旅客(ANAブランド)>
国際線旅客では、各国の入国制限が緩和され、先行して回復していた北米=アジア間の接続需要を積極的に取り込みました。9月以降は日本においても入国制限が順次緩和され、回復傾向を辿った日本発ビジネス需要及び訪日需要の取り込みに努めた結果、旅客数・収入ともに前期を大幅に上回り、国際線の旅客数はコロナ前の4割の水準まで回復しました。
路線ネットワークでは、上期に北米=アジア間の接続需要を取り込むため、成田空港発着の北米、アジア路線を増便した他、回復する日本発の需要や訪日需要に対応し、本年1月から羽田=デリー線、シドニー線を増便する等、羽田空港発着路線を中心に運航規模を拡大しました。
営業・サービス面では、ANA創立70周年記念として本年3月に「ANAで思いっきりん 海外に行こうセール」を実施し、アジア・欧米行きの特別運賃を販売し、レジャー需要の喚起や創出を図りました。また本年3月31日ご搭乗便からは国際線機内食の事前予約サービスに「Quick & Light Meal(軽めの機内食サービス)」と「No Thank you Option(機内食不要)」の選択肢を新たに追加しました。本取り組みにより、機内での時間をより自由に快適におくつろぎいただくとともに、提供されずに廃棄される機内食を減らすことに繋げてまいります。
以上の結果、当期の国際線旅客数は421万人(前期比410.3%増)となり、収入は4,334億円(同517.9%増)と
なりました。
<国内線旅客(ANAブランド)>
国内線旅客では、感染拡大防止と社会経済活動の両立に向けた動きが進み、下期から全国旅行支援の後押し等でレジャー需要が大きく回復しました。感染拡大第8波の影響を受けつつも、ANA創立70周年記念企画「国内線どこでも片道7,000円」セールを実施し、新規顧客の取り込みや需要喚起に努めた結果、旅客数・収入ともに前期を上回り、国内線の旅客数はコロナ前の7割の水準まで回復しました。
路線ネットワークでは、エンジン改修を終えたボーイング777型機を第3四半期以降、全面的に活用し、週末・年末年始・春休みを中心に機材の大型化及び臨時便の設定を積極的に行い、回復する需要の取り込みに努めました。
営業・サービス面では、本年1月ご予約分より特定区間の乗り継ぎ運賃である「ANA VALUE TRANSIT」をリニューアルし、乗り継ぎ便の選択肢を最大3便まで拡充することでお客様の利便性向上を図りました。また12月より、国内線プレミアムクラスの機内食の新たなコンセプト「The Premium Kitchen」をスタートさせ、メニュー構成をお客様のご要望に基づいてリニューアルすると同時に、機内食で使用している使い捨てプラスチック容器を紙製の容器等に変更し、更なるESGの取り組みを推進しました。
以上の結果、当期の国内線旅客数は3,453万人(前期比92.3%増)となり、収入は5,295億円(同89.2%増)と
なりました。
<国際線貨物(ANAブランド)>
国際線貨物では、自動車関連部品の需要が減退した影響等に加え、旅客需要の取り込みを強化するために、旅客機による貨物専用便の運航を減少させた結果、輸送重量は前期を下回りましたが、大型特殊商材等の高単価貨物を積極的に取り込み、高い単価水準の維持に努めました。
以上の結果、当期の国際線貨物輸送重量は805千トン(前期比17.5%減)となり、収入は3,080億円(同6.3%減)となりました。
また、貨物事業の拡大を見据えて、本年3月に日本郵船㈱との間で日本貨物航空㈱の株式取得に向けた基本合意書を締結しました。
<LCC>
LCCでは、国内の行動制限や各国の水際対策が緩和されたことを受けて、国内線の運航規模を拡大し、また国際線についてはこれまで休止していた運航便を再開させ、レジャーや訪日需要の取り込みに努めました。その結果、旅客数・収入ともに前期を上回りました。
路線ネットワークでは、国内線については増加する需要に対応し、成田=新千歳線、成田=福岡線で増便を実施する等、運航規模を拡大しました。国際線については、8月からの関西=ソウル線を皮切りに、関西=台北線、関西=香港線等を再開した他、本年3月に中部=台北線の新規開設を行う等、ネットワークを拡充し、需要の取り込みを図りました。
営業・サービス面では、前期に販売開始した行き先を選べない旅を提案する「旅くじ」に続き、本年2月からパッケージ商品として「宿付き旅くじ」を新たに販売しました。本取り組みにより、目的地を運に任せる旅の体験を提供し、需要の創出に取り組みました。
以上の結果、当期のLCC旅客数は777万人(前期比82.2%増)となり、収入は902億円(同138.7%増)となりました。
<その他>
航空事業におけるその他の収入は1,447億円(前期比6.9%増)となりました。なお、航空事業におけるその他に
は、マイレージ附帯収入、機内販売収入、整備受託収入等が含まれています。
◎航空関連事業
日本の水際対策緩和や旅客需要の回復に伴い、搭乗受付や手荷物搭載等の空港地上支援業務の受託や機内食関連
業務が増加したこと等により、売上高は2,471億円(前期比19.5%増)となり、営業利益は23億円(前期 営業損失
6億円)となりました。
◎旅行事業
国内旅行については、旅客需要が着実に回復し、下期から開始された全国旅行支援の影響を受けて、ダイナミッ
クパッケージ商品の取扱いが増加した他、支払いにマイルを利用できる「ANAトラベラーズホテル」商品も好調に
推移しました。加えて、9月にはゴルフ場のWEB予約サービス「ANAトラベラーズゴルフ」を開始する等、新たなサ
ービスの拡充に努めました。また海外旅行については4月にハワイ方面のツアー催行を約2年ぶりに再開し、順次
方面を拡大しました。
以上の結果、当期の旅行事業における売上高は738億円(前期比59.5%増)、営業損失は2億円(前期 営業損失
21億円)となりました。
当社グループは、10月にANAマイレージクラブアプリを日常生活における当社グループの各種サービスへの
入り口となるゲートアプリへリニューアルした他、本年1月にはマイルが貯まる・使える新たなECモールとして
「ANA Mall」を開店しました。今後もお客様の更なる利便性向上に努め、「マイルで生活できる世界」の具現化を
推進してまいります。
◎商社事業
航空需要の回復に伴い、空港物販店「ANA FESTA」や免税店「ANA DUTY FREE SHOP」等で増収となった他、
半導体市場の好調な需要を受けて、電子事業の取扱高が増加したこと等により、売上高は前期を上回りました。
以上の結果、当期の商社事業における売上高は1,032億円(前期比26.4%増)、営業利益は35億円(同539.5%
増)となりました。
◎その他
ラウンジ業務や検疫関連審査業務等の受託が増加した一方で、前期に大型物件の売却があった反動等により不動
産関連事業の取扱高が減少したこと等から、売上高は前期を下回りました。
以上の結果、当期のその他の売上高は380億円(前期比0.2%減)、営業利益5億円(同56.8%減)となりまし
た。
③キャッシュ・フローの状況
<営業活動によるキャッシュ・フロー>
当期の税金等調整前当期純利益1,143億円に、減価償却費等の非資金項目、営業活動に係る債権・債務の加減
算を行った結果、営業活動によるキャッシュ・フローは4,498億円の収入となりました。
<投資活動によるキャッシュ・フロー>
設備投資や定期預金の預入による支出があったこと等から、2,040億円の支出となりました。
以上の結果、フリー・キャッシュ・フローは2,457億円の収入となりました。
<財務活動によるキャッシュ・フロー>
転換社債型新株予約権付社債の償還及び借入金の返済等があったことから、財務活動によるキャッシュ・フ
ローは1,429億円の支出となりました。
④資本の財源及び資金の流動性
当社グループは、運転資金及び設備投資資金(主に航空機等)につきましては、自己資金または金融機関から
の借入、及び社債発行等により資金調達することとしており、事業運営上必要な流動性と資金の源泉を安定的に
確保することを基本方針としています。
当期においては、設備投資資金等の手当てのため民間金融機関から920億円の借り換えを実施しました。
当期末における借入金及びリース債務を含む有利子負債の残高は、1兆6,079億円となっています。また、現
金及び預金に有価証券を加えた手元流動性資金は1兆1,837億円となりました。
なお、2023年3月31日現在、複数の金融機関との間で合計1,000億円のコミットメントライン契約を締結して
います。
⑤経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等の達成・進捗状況
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指標 |
2020年度 |
2021年度 |
2022年度 |
|
売上高 (百万円) |
728,683 |
1,020,324 |
1,707,484 |
|
営業利益又は営業損失(△) (百万円) |
△464,774 |
△173,127 |
120,030 |
|
売上高営業利益率 (%) |
△63.8 |
△17.0 |
7.0 |
|
株主資本利益率(ROE) (%) |
△39.1 |
△15.9 |
10.8 |
|
総資本利益率(ROA)(%) |
△16.0 |
△5.3 |
3.7 |
|
自己資本比率 (%) |
31.4 |
24.8 |
25.6 |
当社グループは、「2023~2025年度 ANAグループ中期経営戦略」(2023年2月15日開示)のもと、ビジネ
スチャンスを確実に捉え、各事業において価値創造を実現し、安定的経営基盤の構築に取り組んでまいります。
⑥重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
連結財務諸表を作成するにあたり重要となる会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定につきましては、
「第5 経理の状況 1連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項 (連結財務諸表作成のための基本とな
る重要な事項)」及び「(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりです。
(1) 営業に関する重要な契約
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契約会社名 |
契約の種類 |
契約先 |
対象区間 |
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全日本空輸㈱ |
スターアライアンスへの加盟 |
スターアライアンス |
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Joint Venture契約 |
旅客分野 |
ルフトハンザグループ |
日本~欧州 |
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ユナイテッド航空 |
アジア~米州 |
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シンガポール航空 |
日本~シンガポール・オーストラリア・インド・インドネシア・マレーシア |
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貨物分野 |
ルフトハンザカーゴAG. |
日本~欧州 |
||
|
ユナイテッド航空 |
アジア~米州 |
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(2) 航空機のリース契約
航空機のリース契約については「第3 設備の状況 2 主要な設備の状況 (2) 航空機」に記載しております。
航空事業セグメントにおいては、より安全で快適かつ効率的な航空事業を提供するための多様な改良・改善活動を推進しています。
また、航空事業をはじめ各セグメントにおける事業活動が及ぼす環境負荷の逓減活動も推進しています。
なお、上記活動に関して「研究開発費等に係る会計基準」に定義する研究開発費に該当するものはありません。