第2【事業の状況】

1【業績等の概要】

(1) 業績

 ① 全般の概況

 当期におけるわが国経済は、緩やかな回復基調が続いているものの、下半期において鉱工業生産が前年同月比で減少に転じたほか、輸出の伸び悩みに加え輸入も弱含み傾向にあるなど弱さも見られます。また中国・新興国経済の減速が懸念される中、米国での再利上げが想定されるなど、外部環境も不透明さを増しております。

 物流業界におきましても、保管残高が前年同月比減少傾向に転じ、また荷動きを示す回転率も依然回復には至らない状況が続いております。

 こうした経済環境の中、当期の当社グループの業績は、物流事業は、複数の物流企業を新たに連結対象会社としたことに伴い前期に比べ大きく増収となったものの、世界経済の低迷を背景とした海外事業の収益が悪化したこと、北米スローワーク特需の収束に伴い航空貨物輸送関連業務が前年を下回ったことに加え、港湾運送業務において顧客船社の取扱が減少したことなどから減益となりました。また、不動産事業は減収減益となりました。

 これらの結果、連結営業収益は前期比424億85百万円増2,129億71百万円、連結営業利益は同28億24百万円減32億87百万円となりました。東南アジア通貨の為替相場下落に伴う為替差損もあり、連結経常利益は33億95百万円減9億12百万円となりました。また、特別利益として負ののれん発生益や固定資産売却益等を計上した一方、特別損失として減損損失を計上したことにより、親会社株主に帰属する当期純利益は同10億円減2億11百万円となりました。

 なお、当連結会計年度より、報告セグメントの区分を変更しており、以下の前年同期比較については、前年同期の数値を変更後のセグメント区分に組み替えた数値で比較しております。(以下、「2 生産、受注及び販売の状況」及び「7 財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」においても同じ。)

 

 ② セグメントの概況

(イ)物流事業

 国内において一般事業者を対象に倉庫保管、流通加工などのさまざまな物流サービスを提供する倉庫業務においては、保管残高が堅調に推移したものの、新規倉庫稼動に伴う償却費増加などにより増収減益となりました。

 船会社を主な顧客とした港湾事業・運送サービスを提供する港湾運送業務においては、基幹業務であるコンテナターミナルでの取扱においてアジア航路は堅調に推移したものの、日中航路の航路再編に伴う取扱減少の影響を大きく受けた結果、減収減益となりました。

 海外における物流サービス、複合一貫輸送業務においては、企業買収に伴い事業規模が大きく拡大し大幅な増収となりましたが、既存業務では、中国・新興国における景気減速の影響を受けた荷動きの落込み等の影響により、営業利益は減少いたしました。

 航空貨物の混載輸送業務においては、前期に発生した北米スローワーク特需の収束に伴い減収減益となりました。

 3PLによる流通物流業務支援サービス業務においては、消費増税の反動減のあった前期からの回復に伴い増収となり、営業利益については業務の効率化等の採算改善施策の効果もあり前期に比べ大幅な増益となりました。

 当期より連結対象となった三井倉庫サプライチェーンソリューション株式会社を中心に、製造から販売までのサプライチェーン全般をサポートするサプライチェーンマネジメント業務においては、上期において顧客工場の生産高減少に伴う取扱高の落込みが生じたもののその後は回復しました。

 当期新たに設立した三井倉庫トランスポート株式会社を事業会社とする、陸上貨物輸送業務においては、当期より連結対象となった丸協運輸グループの取扱が堅調に推移しました。

 これらの結果、物流事業全体としての連結営業収益は前期比433億7百万円増の2,038億72百万円となり、営業利益は14億58百万円減の21億30百万円となりました。

(ロ)不動産事業

 不動産賃貸事業は、大規模修繕に伴う賃料収入の減少もあり、営業収益は前期比8億63百万円減の96億14百万円、営業利益は同9億55百万円減の49億16百万円となりました。

 

 なお、当連結会計年度より、「企業結合に関する会計基準」(企業会計基準第21号 平成25年9月13日)等を適用し、「当期純利益」を「親会社株主に帰属する当期純利益」としております。

 

(2) キャッシュ・フローの状況

 当期の営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益の減少はあったものの、現金支出を伴わない減価償却費・のれん償却額の増加や、売掛債権流動化の取扱拡大により、前期に比べ30億54百万円増加の111億1百万円の収入となりました。
 投資活動によるキャッシュ・フローは、複数の物流企業の株式取得、賃貸ビルの修繕および国内外における倉庫施設の取得による支出などから360億19百万円の支出となり、前期に比べ212億10百万円の支出の増加となりました。
 財務活動によるキャッシュ・フローは、社債の償還や配当金の支払による支出があったものの、投資資金の調達のため長短借入金が純増となったことから前期に比べ159億90百万円増の288億26百万円の収入となりました。
 以上の結果、現金及び現金同等物の期末残高は、前期末より22億83百万円増の250億円となりました。

2【生産、受注及び販売の状況】

 当社グループは、倉庫保管・荷役、港湾作業、国内運送及び国際輸送等の物流の各機能を有機的・効率的に顧客に提供する物流事業部門並びにビル賃貸業を中心とする不動産事業部門で構成されており、以下の2つを報告セグメントとしております。

・「物流事業」…倉庫保管・荷役、港湾作業・運送、海外における物流サービス・複合一貫輸送、航空貨物輸送、3PL、アウトソーシング業務、サプライチェーンマネジメント支援業務、陸上貨物運送等、様々な物流サービスを提供しております。

・「不動産事業」…ビル賃貸業を中心としたサービスを提供しております。

 役務の提供を主体とする事業の性格上、生産、受注及び販売の実績を区分して把握することは困難でありますので、これに代えて、セグメント毎の主要業務の営業収益及び取扱高等を示すと、次のとおりであります。

(1)セグメント毎の主要業務の営業収益

セグメントの名称

主要業務

営業収益(百万円)

前連結会計期間

(自 平成26年4月1日

至 平成27年3月31日)

当連結会計期間

(自 平成27年4月1日

至 平成28年3月31日)

物流事業

 

倉庫

倉庫保管

10,806

9,821

 

倉庫荷役

5,333

4,936

 

国内運送

16,171

14,774

 

その他

12,600

16,232

港湾運送

コンテナターミナル作業

10,950

10,769

 

その他

3,864

3,415

海外における

倉庫保管

4,704

8,055

物流サービス、

倉庫荷役

5,551

8,909

複合一貫輸送

国内運送

6,686

10,780

 

NVO業務

6,549

6,893

 

3PL業務

3,815

3,949

 

その他

4,777

10,979

航空貨物輸送

航空輸送

29,154

22,727

3PL

3PL業務

32,817

33,284

アウトソーシング

BPO業務

6,471

7,422

サプライチェーン

マネジメント支援

3PL業務

24,174

陸上貨物運送

国内運送

6,413

 

その他

その他

309

332

物流事業小計

 

160,564

203,872

不動産事業

 

不動産賃貸業務

10,477

9,614

合計

171,042

213,487

 (注)1 セグメント間の内部振替前の数値によっております。

2 上記金額には、消費税等は含まれておりません。

(2)セグメント毎の主要業務の取扱高等

セグメントの名称

主要業務

取扱高等

区分

前連結会計期間

(自 平成26年4月1日

至 平成27年3月31日)

当連結会計期間

(自 平成27年4月1日

至 平成28年3月31日)

物流事業

倉庫

倉庫保管

保管残高(千トン)

(数量・月末平均)

472

501

貨物回転率(%)

33.0

29.5

倉庫荷役

入庫高(千トン)

1,858

1,769

出庫高(千トン)

1,825

1,771

国内運送

取扱高(千トン)

10,080

9,926

港湾運送

 

コンテナ

ターミナル作業

取扱高(千トン)

33,154

31,714

海外における

物流サービス、

複合一貫輸送

倉庫保管

保管残高(千トン)

(数量・月末平均)

364

380

貨物回転率(%)

58.9

52.7

倉庫荷役

入庫高(千トン)

2,612

2,381

出庫高(千トン)

2,458

2,464

NVO業務

日本発着NVO

(千トン)

1,130

1,308

海外発着NVO

(千トン)

492

437

航空貨物輸送

航空輸送

取扱高(千トン)

56

50

3PL

3PL業務

取扱高(千トン)

942

941

アウトソーシング

BPO業務

保管残高(千箱)

ファイル等管理

(千件)

発送(千件)

受注等処理(千件)

4,688

1,076,946

5,283

3,725

5,597

1,161,131

5,637

3,381

サプライチェーン

マネジメント支援

3PL業務

販売物流入出庫高

(千㎥)

403.5

陸上貨物運送

国内運送

貸切輸送(トンキロ)

取扱数量(千個)

303,449

4,501

不動産事業

 

不動産賃貸業務

賃貸面積(千㎡)

239

238

 (注)1 倉庫、港湾運送、海外における物流サービス、複合一貫輸送、航空貨物輸送、3PL、アウトソーシング、サプライチェーンマネジメント支援、陸上貨物運送業務のその他の取扱高については、各業務の作業形態に応じトン数建て、個数建て等によっているため、その記載を省略しております。

2 貨物回転率=

(年間入庫高+年間出庫高)×1/2

× 100

月末保管残高年間合計

 

3【対処すべき課題】

(1) 対処すべき課題の内容

 当社グループは、質の高い持続的な収益力を構築すべく、以下の事業方針に基づき、2016年3月期を初年度とし、2018年3月期を最終年度とする中期経営計画「MOVE2015」を策定し、グローバル・ロジスティクスカンパニーへの新たなステージへ向けて更なる成長の実現に取り組んでおります。

 

<事業方針>

グローバル・ロジスティクスカンパニーへの新たなステージ

 ①アジアパシフィックにおける成長領域への集中投資
 ②グループシナジー創出と生産性向上
 ③資産ポートフォリオの最適化

 

<数値目標(2018年3月期)>

売上高

2,800億円

営業利益

110億円

営業キャッシュフロー

200億円

ROE

8%超

 

 施策の一つであるM&Aにつきましては、成長を一層加速するための組織基盤である持株会社制のもと、2015年4月に三井倉庫サプライチェーンソリューション株式会社を、2015年12月に三井倉庫トランスポート株式会社を新たな事業会社としてグループに加えました。これにより、他のグループ事業会社とのシナジーを活かしたプラットフォーム型サービスの機能がより一層強化され、着実に新規拡大に寄与し始めている状況にあります。

 中期経営計画の初年度となる2016年3月期につきましては、当初の目標数値に対して売上高は堅調に推移いたしましたが、一方で、営業利益は目標を下回る結果となりました。2016年3月期は不動産事業の賃料改定が通年に及んだことや北米スローワーク特需の収束等により、当初から厳しい事業環境を想定しておりましたが、個別の要因としては、M&A案件のクロージング時期の遅れや新規倉庫の稼動開始の遅れ、一時コストの発生などの一時的要因が大きく影響しております。

 次年度以降につきましては、中国経済の減速や米国利上げに起因する新興国経済の減速など外部環境が悪化し世界経済全般の不透明感が増す中、厳しい環境が継続することを想定しております。今後の具体的な取り組みといたしましては、従来の取り組みである「グループシナジー創出の強化によるトップライン成長」と「業務改善・標準化による生産性向上」の同時追求に加えて、もう一歩踏み込んだ「ベース業務の利益構造と事業ポートフォリオの見直し」に早急に取り組むことで、収益向上によるキャッシュ・フロー拡大を図り、計画最終年度である2018年3月期の数値目標の達成を目指してまいります。

 

(2) 株式会社の支配に関する基本方針について

 会社の経営方針の決定を支配することが可能な量の株式を保有する株主についての基本的な対処方針に関して、当社は、そのような量の株式を保有しようとする者を許容するか否かは最終的には株主の皆様の判断に委ねられるべきと考えております。従って、新株予約権をあらかじめ発行する防衛策等のいわゆる買収防衛策の導入は現時点では予定しておりません。

 当社の企業価値・株主共同の利益の確保または向上にとって不適切な者による当社の買収が試みられようとした場合には、多くの株主または投資家の皆様にとって好ましくない結果がもたらされることを防止する必要があるため、株主の皆様から負託された者の責務として、当社取締役会はこれを防止するための適切な措置をとります。その場合には、当該買付者の事業内容および将来の事業計画並びに過去の投資行動等から、社内に設置する「企業価値向上委員会」(当社社外取締役・社外監査役で構成)が、当該買付行為または買収提案の当社企業価値・株主共同の利益への影響等を、独立した立場で慎重に調査・検討します。この結果を踏まえ、取締役会は、十分な審議を行い、企業価値・株主共同の利益の観点から、株主の皆様にとっての最善策について結論を出すことといたします。

4【事業等のリスク】

 当社グループは、日本、北米、欧州、北東アジア、東南アジアを中心に物流事業を行い、また日本において不動産事業を行っておりますが、これらの事業活動に影響を及ぼす可能性があると考えられる主なリスクには、以下のようなものがあります。

 なお、下記は当社グループの事業その他に関し、有価証券報告書提出日(平成28年6月24日)現在において予想される主なリスクを具体的に例示したものであり、ここに記載されたものが当社グループの全てのリスクではありません。

(1) 経済環境の変化

 当社グループの主たる事業である物流事業において、荷動きは、世界各国の景気動向の影響を受けますし、また社会情勢の不安定化によって影響を被る可能性があります。特に、北米、欧州、日本、中国及び東南アジアの景気後退及びそれに伴う需要の縮小は、在庫の減少、域内運送の減少、国際間輸送の減少や価格競争の激しいマーケットにおける収受料金の下落を招く可能性があります。

 また、不動産事業においては、主な物件が首都圏に位置しており、特に首都圏の賃貸オフィス市場の需給バランスや市況動向の影響を受ける可能性があります。

(2) 公的規制の変化

 当社グループは、事業を展開しております各国において、事業・投資の許可を始め、保管、作業、運送、通商、独占禁止、租税、為替管理、環境、各種安全管理等の法的規制の適用を受けております。これらの規制を遵守するためコスト増加となる可能性があります。また、遵守できなかった場合は、当社グループの活動が制限され、事業及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

(3) 為替レートの変動

 当社グループの物流事業の売上のうち、国際間輸送ではUS$建ての海上運賃、航空運賃が多くを占めるなど、各社が財務諸表作成に用いる現地通貨と異なる通貨建ての取引を行っている場合があります。これら現地通貨以外で計上された収益、費用、資産及び負債については、各社個別財務諸表作成にあたり現地通貨に換算されております。換算時の為替レートにより、これらの項目は計上通貨による価値が変わらなかったとしても現地通貨での計上額が変動し、結果として連結財務諸表に影響を与える可能性があります。

 また、海外の連結子会社の収益、費用、資産及び負債の現地通貨建ての項目は、連結財務諸表作成のために円貨換算されております。換算時の為替レートにより、これらの項目は現地通貨による価値が変わらなかったとしても、計上する円貨換算額が変動する可能性があります。

(4) 国際的活動及び海外進出に潜在するリスク

 当社グループは、北米、欧州、中国を始めとする北東アジア及び東南アジア、南アフリカ、南米で事業活動を行っておりますが、これらの地域への進出には以下に掲げるようなリスクが内在しております。

① 予期できない法律または規制の変更

② 事業活動に不利な政治または経済要因の発生

③ 未整備な社会インフラによる影響

④ 税制等の変更

⑤ 戦争、テロ、伝染病、その他の要因による社会的混乱

(5) 災害や社会インフラの障害等の発生

 当社グループでは、災害の発生等に備えて損害を最小限に留めるために、日常点検・整備の実施、発生時の対応マニュアルの作成・更新、事前の訓練等必要な措置を講じておりますが、地震、風水害等の災害の発生、あるいは停電、通信回線の不通等の障害の発生による被害を完全に防止できる保証はありません。これらの被害が発生した場合、業績及び財務状況に悪影響を与える可能性があります。

 また、当社グループは、情報システム技術を利用して、顧客に物流情報等を提供しておりますが、災害、障害、あるいは事故、犯罪等の発生により、これらの情報提供サービスに支障が発生する可能性があります。

(6) 顧客等の情報管理

 当社グループは、物流業務あるいはBPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)業務において、顧客等の情報を取扱っております。

 当社グループ会社では、情報管理が適切に行われている事業者として、一般財団法人日本品質保証機構よりISO/IEC27001に基づく「情報セキュリティマネジメントシステム(ISMS)」の認証登録を受けたほか、一般財団法人日本情報経済社会推進協会より「プライバシーマーク」の使用許可証の交付を受けるなど、情報セキュリティ管理体制の維持・向上、コンプライアンスの強化、社員教育の徹底を図り、リスク発生を予防する一方で、リスク発生時の影響を軽減する対応策を講じております。

 しかしながら、情報の外部漏洩やデータ喪失等の事態が生じた場合、当社グループの社会的信用の低下を招くだけでなく、損害賠償請求を受ける可能性があります。

(7) 金利の変動

 当社グループは、物流という社会インフラを支える企業の使命として、安定的に事業を継続するために、必要な設備の新規投資や更新を行っております。有利子負債の適正水準維持に努めるとともに、必要な設備資金及び運転資金は主として外部借入により調達しております。

 固定金利による長期の安定的な資金調達を行っておりますが、金利の変動により、将来の資金調達コストが影響を受ける可能性があります。

(8) 保有資産の時価の変動

 保有資産の時価が大幅に下落し、かつ当該資産から充分なキャッシュ・フローが見込めない場合には、減損が発生する可能性があります。

 また、投資有価証券に関しましても、時価のあるものにつきましては時価が30%以上下落した場合に減損計上し、時価のないものにつきましては当該会社の純資産価額が50%以上下落した場合に減損処理しておりますので、将来の株式市場の変化または投資先の財務状況の悪化により減損が発生する可能性があります。

(9) 退職給付債務

 当社グループの従業員退職給付費用及び債務は、割引率等数理計算上で設定される前提条件や年金資産の長期期待運用収益率に基づいて算出されております。実際の結果が前提条件と異なる場合、または前提条件が変更された場合、その影響は退職給付債務については即時に認識され、退職給付費用は将来にわたって規則的に認識されるため、将来の費用に影響を及ぼします。

 また、当社は、退職給付会計が導入された平成13年3月期に退職給付信託の設定を行っており、毎期末の信託している株式の時価の変動により発生する数理計算上の差異につきましても、退職給付債務は即時に認識され、退職給付費用は将来にわたって規則的に認識されております。

 従いまして、割引率の低下、運用利回りの悪化、あるいは信託株式の時価の低下は、当社グループの業績と財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

(10) 減損会計適用に関するリスク

 当社グループは、のれんをはじめとする有形・無形の固定資産を所有しております。

 これらの資産については、その価値が下落した場合や期待通りの将来キャッシュ・フローが見込めない状況となった場合、減損処理が必要となり、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

5【経営上の重要な契約等】

該当事項はありません。

 

6【研究開発活動】

 該当事項はありません。

7【財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 文中における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(平成28年6月24日)現在において当社グループが判断したものであります。

 なお、当連結会計年度より、「企業結合に関する会計基準」(企業会計基準第21号 平成25年9月13日)等を適用し、「当期純利益」を「親会社株主に帰属する当期純利益」として、「少数株主利益(損失)」を「非支配株主に帰属する当期純利益(損失)」として表示しております。

(1) 重要な会計方針及び見積り

 当社の連結財務諸表は日本の金融商品取引法の規定に従って作成されており、財政状態及び経営成績に関する以下の分析が行われております。

 当社経営陣は連結財務諸表の作成に際し、決算日における資産・負債の報告数値及び偶発債務の開示、並びに報告期間における収益・費用の報告数値に影響を与える見積り及び評価を行わなければなりません。経営陣は、貸倒れ、有価証券、法人税等、財務活動、退職金、偶発事象、訴訟等に関する見積り及び判断に対して、継続して評価を行っております。経営陣は、過去の実績や現在の状況に応じ、合理的と考えられる基準・要因に基づき、見積り及び判断を行い、その結果は、他の方法では判定しにくい資産・負債の簿価及び収益・費用の報告数値についての判断基礎となります。ただし、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。

 当社経営陣は、特に以下の重要な会計方針が、当社の連結財務諸表の作成において使用される当社の重要な見積りと判断に大きな影響を及ぼすと考えております。

① 貸倒引当金

当社グループは、顧客の支払不能時に発生する損失の見積額について、貸倒引当金を計上しております。顧客の財務状態が悪化し、その支払能力が低下した場合、追加引当が必要となる可能性があります。

② 有価証券の減損

 当社グループは、長期的な取引関係の維持のために、特定の顧客及び金融機関に対する少数持分を所有しております。これらの株式には価格変動性が高い上場会社の株式と、株価の決定が困難な非上場会社の株式があります。当社は、上場会社については期末の株価が取得価額より30%以上下落した場合に減損を行います。非上場会社については当該会社の純資産価額が50%以上下落した場合に減損しております。将来の株式市場の悪化または投資先の財務状態の悪化により、現在の簿価に反映されていない損失または簿価の回収不能が発生した場合、評価損の計上が必要となる可能性があります。

③ 繰延税金資産

 当社グループは、繰延税金資産について、実現可能性が高いと考えられる金額へ減額するために評価性引当額を計上しております。評価性引当額の必要性を評価するにあたっては、将来の課税所得及び実現可能性の高い継続的な税務計画を検討しますが、繰延税金資産の全部又は一部を将来回収できないと判断した場合、当該判断を行った期間に法人税等調整額を費用として計上いたします。同様に、計上金額を上回る繰延税金資産を今後回収できると判断した場合、法人税等調整額の増加により当該判断を行った期間に利益を増加させることになります。

④ 退職給付費用

 従業員退職給付費用及び債務は、数理計算上で設定される前提条件に基づいて算出されております。これらの前提条件には、割引率、将来の退職金見込み額、退職率、直近の統計数値に基づいて算出される死亡率及び年金資産の期待運用収益率などが含まれます。

 割引率は、日本の国債の市場利回りを基礎に、従業員の在籍年数を勘案して算出しております。長期期待運用収益率は、年金資産が投資されている資産の種類ごとの長期期待運用収益率の加重平均に基づいて算出しております。実際の結果が前提条件と異なる場合、または前提条件が変更された場合、その影響は退職給付債務については即時に認識され、退職給付費用については将来にわたって規則的に認識されるため、一般的には将来期間において認識される費用に影響を及ぼします。

 また、当社は、退職給付会計が導入された平成13年3月期に退職給付信託の設定を行っており、毎期末の信託している株式の時価の変動により発生する数理計算上の差異につきましても、退職給付債務は即時に認識され、退職給付費用は将来にわたって規則的に認識されるため、一般的には将来期間において認識される費用に影響を及ぼします。

 当連結会計年度においては、数理計算上の差異の償却額が169百万円の利益として計上されております。

 

(2) 業績報告

① 概要

 当連結会計年度は、連結対象会社の増加に伴い営業収益は前連結会計年度に比べ24.9%増収の2,129億71百万円となりましたが、営業利益は46.2%減益の32億87百万円、経常利益は78.8%減益の9億12百万円となり、当期純利益は82.5%減益の2億11百万円となりました。

② 為替変動の影響

 当連結会計年度の外国為替平均換算レートは、主な通貨である対米ドルが前連結会計年度に比べ13円65銭円安の120円00銭となりました。この為替レートの変動により、営業収益は66億64百万円増加したと試算されます。

③ 営業収益

 営業収益は前連結会計年度に比べ、424億85百万円(24.9%)増収の2,129億71百万円となりました。

 セグメントごとでは、物流事業は前連結会計年度に比べ、433億7百万円(27.0%)増収の2,038億72百万円、不動産事業は8億63百万円(8.2%)減収の96億14百万円となりました。

④ 営業原価、販売費及び一般管理費

 営業原価は営業収益の増加に伴い、前連結会計年度より375億84百万円(25.0%)増加し、1,878億16百万円となり、営業収益に対する営業原価の比率は0.1ポイント増加し88.2%となっております。

 販売費及び一般管理費は、連結対象会社の増加の影響などにより前連結会計年度より77億26百万円増加し、218億67百万円となりました。

⑤ 営業利益

 これらの結果、営業利益は前連結会計年度に比べ、28億24百万円(46.2%)減益の32億87百万円となりました。

 セグメントごとでは、物流事業は前連結会計年度に比べ、14億58百万円(40.6%)減益の21億30百万円、不動産事業は9億55百万円(16.3%)減益の49億16百万円となりました。

⑥ 営業外収益(費用)

 営業外収益(費用)は前連結会計年度の18億4百万円の費用(純額)から、23億75百万円の費用(純額)となりました。

 受取利息・配当金から支払利息を差し引いた純額は、前連結会計年度の7億12百万円の費用に対し、当連結会計年度は5億99百万円の費用となり、1億12百万円の費用減少となりました。これは、受取配当金の増加によります。

⑦ 経常利益

 これらの結果、経常利益は前連結会計年度に比べ、33億95百万円(78.8%)減益の9億12百万円となりました。

⑧ 特別利益(損失)

 特別利益(損失)は減損損失を計上したものの、負ののれん発生益や固定資産売却益等を計上したことに伴い、前連結会計年度の67百万円の利益(純額)から、19億1百万円の利益(純額)となり、前連結会計年度に比べ18億33百万円の利益増加となりました。

⑨ 税金等調整前当期純利益

 税金等調整前当期純利益は前連結会計年度に比べ、15億61百万円(35.7%)減益の28億14百万円となりました。

⑩ 法人税、住民税及び事業税

 税金等調整前当期純利益に対する法人税等の実効税率は、前連結会計年度の56.6%から37.6ポイント増加し、日本の法定実効税率33.1%より61.1ポイント高い94.2%となりました。

 日本の法定実効税率に比べ税負担率が高い理由は、連結調整による影響やのれんの償却、減損等によるものであります。

⑪ 非支配株主に帰属する当期純利益(損失)

 非支配株主に帰属する当期純利益(損失)は、主に三井倉庫エクスプレス(株)、三井倉庫サプライチェーンソリューション㈱、及びそれらの子会社の非支配株主に帰属する当期純利益(損失)からなり、前連結会計年度の6億88百万円の利益に対し、当連結会計年度は47百万円の損失となりました。

⑫ 親会社株主に帰属する当期純利益

 親会社株主に帰属する当期純利益は、前連結会計年度の12億12百万円に対し、10億円(82.5%)減益となり、当連結会計年度は2億11百万円となりました

 1株当たり当期純利益は、前連結会計年度の9円76銭に対し、8円5銭減少し、当連結会計年度は1円70銭となりました。

 

(3) 流動性および資金の源泉

① キャッシュ・フロー

 当期の営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益の減少はあったものの、現金支出を伴わない減価償却費・のれん償却額の増加や、売掛債権流動化の取扱拡大により、前期に比べ30億54百万円増加の111億1百万円の収入となりました。
 投資活動によるキャッシュ・フローは、複数の物流企業の株式取得、賃貸ビルの修繕および国内外における倉庫施設の取得による支出などから360億19百万円の支出となり、前期に比べ212億10百万円の支出の増加となりました。
 財務活動によるキャッシュ・フローは、社債の償還や配当金の支払による支出があったものの、投資資金の調達のため長短借入金が純増となったことから前期に比べ159億90百万円増の288億26百万円の収入となりました。
 以上の結果、現金及び現金同等物の期末残高は、前期末より22億83百万円増の250億円となりました。

 

② 契約債務

 平成28年3月31日現在の契約債務の概要は以下のとおりであります。

 

年度別要支払額(百万円)

契約債務

合計

1年以内

1年超2年内

2年超3年内

3年超4年内

4年超5年内

5年超

短期借入金

7,395

7,395

長期借入金

96,385

16,051

14,592

28,807

9,794

12,870

14,269

社債

57,000

10,000

7,000

10,000

10,000

10,000

10,000

リース債務

2,253

1,027

654

305

160

81

23

 

 当社グループの第三者に対する保証は、同業者で共同出資している流通センターの銀行借入等に対する債務保証、従業員に対する銀行の住宅ローンに関する債務保証などであります。保証した借入金の債務不履行が保証契約期間に発生した場合、当社グループが代わりに弁済する義務があります。平成28年3月31日現在、当社グループの債務保証に基づく将来における潜在的な要支払額の合計額は8億85百万円であります。

 このほか、一部の物流施設の調達をオペレーティング・リース取引によって行っており、これに関する未経過リース料は141億6百万円(1年内:34億98百万円、1年超:106億7百万円)であります。

 

③ 財務政策

 当社グループは、運転資金及び設備資金につきましては、内部資金または社債及び借入により資金調達することとしております。この内、借入による資金調達に関しましては、運転資金については期限が一年以内の短期借入金で、当社及び関係会社の一部が調達しております。これに対して、倉庫施設などの長期資金は、固定金利の社債及び長期借入金で調達しております。平成28年3月31日現在、長期借入金の残高は963億85百万円であり、無担保普通社債の残高は570億円であります。

 当社グループは、その健全な財務状態及び営業活動によりキャッシュ・フローを生み出す能力に加え、120億円の実行を確約していない未使用の借入枠もあり、当社グループの成長を維持するために将来必要な運転資金及び設備資金を調達することが可能と考えております。