第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 文中における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(2023年6月23日)現在において当社グループが判断したものであります。

 当社グループは、事業環境が急速に変化する状況下において更なる飛躍を遂げ、持続的な成長を果たしていくためには、企業グループとしての存在意義を見つめ直す必要があるとの認識から、2022年5月に新たに『グループ理念(Purpose、Vision、Values)』を制定するとともに、2023年3月期を初年度とし、2027年3月期を最終年度とする5ヵ年計画『中期経営計画2022』を策定しております。

 

<グループ理念>

グループ理念を経営の最上位概念として位置付けた上で、本グループ理念のもとで策定した中期経営計画を推進することで、中長期的な企業価値向上を図るとともに持続可能な社会を築き、ステークホルダーの皆様と社会の期待に応えてまいります。

 

    Purpose(存在意義)

「社会を止めない。進化をつなぐ。」

 

    Vision(中長期的に目指す姿)

「いつもも、いざも、これからも。共創する物流ソリューションパートナー」

 

    Values(価値観・行動指針)

PRIDE   社会を止めないことの責任と誇り

CHALLENGE 顧客視点と社会視点の、提案力と実行力で挑む

GEMBA   現場は原点であり、進化の起点であり続ける

RESPECT  多様な個を受け入れ、新たな価値を生み出す

 

<中期経営計画2022>

2022年3月期を最終年度とした5ヵ年の前中期経営計画では、前半3年間を反転期と位置付け事業収益力の強化と財務基盤の再建に注力し、後半2年間では持続的成長に向け、圧倒的現場力の構築、一気通貫の統合ソリューションサービスの構築、ESG経営の3点に重点的に取り組んでまいりました。その結果数値目標を全て達成、反転を成し遂げ、今後の持続的成長の礎を築くに至りました。

今期を初年度とする新たな『中期経営計画2022』はこれまでの取組みを「深化」させることで、更なる成長を実現する計画になります。本中期経営計画の5年間では、お客様から信頼されるファーストコールカンパニーとして、「グループ総合力結集によるトップライン成長」、「オペレーションの競争力強化」、「深化を支える経営基盤の構築」の3つを成長戦略の柱とし、積極的な投資とともに攻勢に転じてまいります。

 

成長戦略

① グループ総合力結集によるトップライン成長

当社独自のビジネスモデルである統合ソリューションサービスの深化、競争優位性のある提案力と実行力を備えたサステナビリティ対応ビジネスの拡大、グループの幅広い顧客基盤と各物流機能を最大限に活用した業際業務の深掘を推進します。

 

② オペレーションの競争力強化

徹底した標準化への取組みを深化させることで、人の力とテクノロジーの力を融合した「圧倒的な現場力」を実現します。業務品質の向上による競争優位性を確保し、更にはオペレーションのローコスト化による収益性向上を目指します。

 

③ 深化を支える経営基盤の構築

以下の4つの側面から経営基盤の強化を図ります。

 DX      ビジネスモデルの変革や企業風土の改革

 共創     イノベーションを生み出す仕組みづくりや各種プラットフォーマーとの提携強化

 事業アセット オフィスビル/物流施設の新規開発、既存施設の資産価値向上、職場環境の改善

 ESG      脱炭素社会実現への取組み強化、人的資本への投資拡充、ガバナンスの強化

 

財務戦略

 『中期経営計画2017』では財務基盤の再建を図るべく、投資を抑制し、有利子負債の圧縮に取り組んでまいりましたが、『中期経営計画2022』においては前中期経営計画で確立した財務基盤と収益性を軸に積極的な投資と株主還元強化の両立を目指します。

 

    ・総額1,300億円の投資を実施

-DX投資、新規設備投資(物流/不動産)、M&Aなど成長領域への戦略投資に1,000億円

-通常投資(既存施設の維持/更新投資)に300億円

・配当性向30%を基準とした株主還元の強化

・最適D/Eレシオ1.0倍を基準とした調達と運用

・高水準な資本効率の継続を目指し、ROE12%超を目標に設定

 

数値目標(2027年3月末)

営業収益

3,500億円

営業利益

230億円

営業キャッシュ・フロー

300億円

 

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

<考え方>

 当社グループは、「物流」という重要な社会インフラを支える企業集団として新たな価値を創出することで、持続可能な社会の実現、企業価値の向上を目指しております。

 

1. 事業活動を通じて、人権、安全衛生、ダイバーシティ、環境負荷低減等の社会課題解決に取り組みます。

2. 社会から信頼される企業グループとしてあり続けるために透明性の高い経営を行います。

3. すべてのステークホルダーとの対話を通じ、健全な関係の維持、発展に努め信頼関係を構築します。

 

(1)ガバナンス

 サステナビリティに関する推進体制強化を目的として、2021年10月に、グループCEOを委員長とし業務執行取締役及び中核事業会社5社の代表取締役またはこれに相当する地位にある者のうち社長が指名した者を委員とするサステナビリティ委員会を設置しました。当委員会は、サステナビリティに関する戦略・方針の検討やリスクマネジメント、各取り組みの実行管理を行い、取締役会への報告を通じて、取締役会の意見や助言を取り組みに反映し、監督する体制としています。

 委員会のもとには、マテリアリティに向けた重要テーマ別に戦略立案から目標KPI達成に向けた施策の検討・進捗管理等を行っているグループ横断的な常設部会の他、サステナビリティ委員会の議論・決定内容をグループ全体に共有するサステナビリティ連絡会、サステナビリティにおけるリスク及び機会分析により、新たに対応が必要なテーマの検討を行う新規検討会を設置しています。

 なお、マテリアリティの経済に関しては、営業施策やDX推進施策との関連性に鑑み、業務執行取締役及び中核事業会社5社の代表取締役またはこれに相当する地位にある者のうち社長が指名した者を委員とする経営会議にて議論しております。

 また、持株会社に専門部署を設けて、物流を脅かす様々なリスクの可視化・改善により物流課題を解決してサプライチェーンの最適化を行う「SustainaLink」という独自のサービスを展開することにより、サステナビリティにおける機会を創出し、物流インフラ企業として、社会課題解決と事業拡大による利益成長の両立を目指して取り組んでおります。

 

 

 

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 当社は国際連合が提唱する「国連グローバル・コンパクト(United Nations Global Compact」に署名しており、人権・労働・環境・腐敗防止の4分野から成る「国連グローバル・コンパクト10原則」に 連結子会社を含むグループ全体で賛同し、グループCEO自らのコミットメントのもと、その実現に向けた努力を継続してまいります。

 

(2)戦略

 「社会を止めない。進化をつなぐ。」というPurposeのもと、事業活動を通じて新しい価値を創出し、当社グループと社会の持続的成長を実現することを目的に、以下の3つをマテリアリティ(重要課題)として特定しています。

 

経済 : 共創を通じた持続可能で強靭な物流サービスの提供

社会 : 安全、多様性、働きがいのある労働環境の実現

環境 : 積極的な環境負荷低減による脱炭素社会・循環型社会への貢献

 

 中期経営計画の策定にあたっては、各マテリアリティの活動との連動を強く意識しており、経営との一体化を図りながら取り組みを進めております。

 

(3)リスク管理

 当社グループの事業活動におけるリスクの認識とその管理については「リスク管理規程」に定め、リスクの種類ごとに体制を整備し、リスク管理を実施しています。サステナビリティに関するリスクについては、サステナビリティ委員会主導のもと、リスクへの対応と最小化を目指し、リスク・機会の特定や分析・評価、グループ内での情報共有や、関係部署への対応指示、取締役会への報告が行われます。

 

(4)指標及び目標

 マテリアリティに対し主要な取り組みを評価するための経営指標として、以下の通りマテリアリティKPIと目標を設定しています。

 

経済:社会課題を起点としたビジネスの拡大

DX推進・イノベーションを通じた高い経済生産性・効率性の達成

持続可能な物流へのパートナーシップ拡大

社会:従業員エンゲージメント向上

労働災害件数 0件

有給休暇取得率 70%達成

欠勤率 前年度水準改善

健康診断受診率 100%達成

男性育児休業取得率 30%達成

女性管理職比率 15%達成

環境:CO2排出量(Scope1+2)2014年3月期比 2031年3月期 50%削減、2051年3月期 ネットゼロ

廃棄物排出量 前年度水準改善

 

 なお、各KPIの経年実績につきましては、グループサイトのサステナビリティページや、統合報告書等にて公開しております。

 

<個別テーマ>

(1) 気候変動対応

 当社グループは気候変動を重要な経営課題の一つと認識し、当社グループ自身の温室効果ガス(GHG)排出量削減への取り組み(Scope1+2)と同時にお客様をはじめとするバリューチェーン全体での脱炭素化へ貢献することが、グループの企業価値向上につながるという考えのもと、「積極的な環境負荷低減による脱炭素社会・循環型社会への貢献」をマテリアリティのひとつとして特定しております。

 また、当社は2021年9月にTCFD提言への賛同を表明し、従来の取り組みに加え、気候関連リスクや機会の特定、各体制を含めた情報開示の強化・拡充に取り組んでおります。

 

①ガバナンス

 気候変動においては関連するリスク・機会の特定や分析・評価を主導、気候変動が当社グループの事業ヘ与える影響の把握や、その対応策に関する議論を行っております。その他気候変動・環境に関連する取り組みや、詳細な議論についてはサステナビリティ委員会のグループ横断的な下部組織である環境部会において具体的な取り組みや管理指標の検討、実行管理を行い、責任者である取締役がサステナビリティ委員会に進捗状況の報告、提言を行う体制となっております。

 

 

②戦略

 当社グループの事業に気候変動が与える影響について、複数の気候シナリオ(「1.5℃シナリオ」、「4℃シナリオ」)を用い、シナリオ分析を実施しております。バリューチェーン上で発生する気候変動の影響に関する想定をふまえ、リスク・機会の特定や分析・評価、対応策の検討をすることで、短期・中長期的な事業戦略に反映し、施策の推進をより効果的なものにしてまいります。

 

気候関連のリスク・機会と財務影響

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[凡例]

大・中・小: 財務影響試算の結果をもとに定量及び定性評価

-    : 潜在リスクはあるが、現在の情報では2030年時点で顕在化可能性が高くないもの

短期   : 3-5年程度

中期   : 10年程度(2030年)

長期   : 30年超(2050年以降)

[1.5℃シナリオ]

2050年カーボンニュートラル実現のための政策・規制が強化され炭素税等が導入される。また、消費者が脱炭素の動きを企業に対してより求めるようになり、B to B企業においてもCO2排出量削減等の気候変動への対応がより一層迫られる。

[4℃シナリオ]

炭素税等の導入はされず、自然災害が激甚化することで、より防災・BCPの対応が重視される。消費者の動向は現状と大きく変化せず、企業における気候変動対応についても現状の水準にとどまる。

 

 それぞれのシナリオにおいてバリューチェーン上で発生する気候変動の影響を「消費者」「顧客」「当社グループ」「当社グループのサプライヤーである委託先企業」のそれぞれについて検討し、リスク・機会の発現時期と定量・定性的な影響の試算を実施いたしました。

 今回行った定量的な試算において、当社グループにとって最も影響が大きいのは1.5℃シナリオにおけるカーボンプライシング(炭素税の導入)ですが、総じて、気候変動による当社グループの財務影響は小さく、気候変動に対しレジリエントであると考えます。

 なお、カーボンプライシング(炭素税の導入)の影響が顕在化することへの対応策としては自社での排出量削減施策に加え、顧客やパートナー企業と協働した排出量削減施策が有効であるため、今後はこれらの施策を推進してまいります。また、定量分析項目だけでなく、定性分析項目についても、情報のアップデート・モニタリングを実施し、事業への影響を確認してまいります。

 

③リスク管理

 気候変動に関連するリスクや機会については、サステナビリティ委員会の主導のもと、リスクへの対応とその最小化を目指し、リスク・機会の特定や分析・評価、グループ内での情報共有や、関係部署への対応指示、取締役会への報告が行われます。KPIの管理やデータの分析については、サステナビリティ委員会のグループ横断的な下部組織である「環境部会」で実施しております。

 

④指標と目標

 マテリアリティである「積極的な環境負荷低減による脱炭素社会・循環型社会への貢献」を実現するために、当社グループでは気候変動を含む環境分野のKPIを定め、進捗を管理しています。温室効果ガス(GHG)排出量については、当社グループの事業活動から発生するCO2排出量(Scope1+2)の削減を目指します。

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 なお、CO2排出量データに関する経年の実績や、他の環境に関連するKPIにつきましては、グループサイトのサステナビリティページや、統合報告書等にて公開しております。また、2023年3月期の実績につきましては2023年9月に公開を予定しております。

 

(2) 人的資本

<考え方>

 三井倉庫グループは、自らも進化しながら成長し、心豊かで持続可能な社会の実現を支える存在でありたいと考えています。そのための原動力となるのが人材であり、価値創造の源泉です。グループの多様な従業員が、それぞれ自らの強みと役割を認識し、組織や企業の成長を支えています。従業員一人ひとりが、誇りと責任を持って生き生きと働き続けられる環境づくり、企業風土を醸成し、会社とともに成長し続ける環境を構築していきます。

 

<求める人材像>

「未来を描き、動き動かし続ける人」

 私たちが考える「未来」とは、お客様の未来であり、当社グループの未来であり、私たちが生きている世界の未来までをイメージしています。「動き動かし続ける人」という言葉には、自ら主体的に動くことはもちろんのこと、他を巻き込んで動かし続けるという強い想いを込めています。仲間を動かし、お客様を動かし、物流を動かし、社会を動かす。そして、お客様の期待を超え、お客様の心までを動かす存在でありたいと考えています。不確実な時代だからこそ、物流のスペシャリストとしてお客様に向き合い、課題を見つけ、最適解を導き出す。お客様のビジネスの未来までも描ける人材を私たちは求めています。私たちが動かしているのは、目に見えるものだけではありません。お預かりした商品に込められた想いやビジネスの種を世界中に繋いでいくこと。それが私たちの存在意義であり、価値であると考えています。すべてのステークホルダーから選ばれる真のパートナーとして、私たちはこのような人材を目指し、個の力を磨き続けていきます。三井倉庫グループは1909年創業より100年以上歩んでまいりました。これからの100年もまた、常に社会の深化の起源に三井倉庫グループがあってほしいと願い、その中心を担える人材を「求める人材像」として表現しました。

 

①ガバナンス

 人事領域における課題やリスク対応について、サステナビリティ委員会主導のもと、人的リスクが当社グループの事業ヘ与える影響の把握や、その対応策に関する議論を行っております。その他人的資本に関連する取り組みや、詳細な議論についてはサステナビリティ委員会のグループ横断的な下部組織である人事部会において具体的な取り組みや管理指標の検討、実行管理を行い、責任者である取締役がサステナビリティ委員会に進捗状況の報告、提言を行う体制となっております。

 

人材戦略の3つの柱

1.採用:求める人材の積極採用

・採用ブランディング展開

・採用基準の明確化

・ジョブ型雇用の導入

・雇用の多様化(正社員、契約社員、パート、アルバイト、派遣社員等)

・適正な人員計画の遂行

 

2.育成:活躍人材の育成強化

・職種、職階別育成プログラム

・人材ポートフォリオの最適化

・マネジメント、リーダーシップ、専門性の向上支援

・計画的人事ローテーション実施

 

3.定着:働きやすく、働き甲斐のある環境構築

・D&I推進強化

・1on1ミーティング実施

・業務効率化と生産性向上(DX推進)

・働き方改革

 

②戦略

 中期的な人材戦略の重要テーマとして、「1.採用:求める人材の積極採用」「2.育成:活躍人材の育成強化」「3.定着:働きやすく、働きがいのある環境構築」を掲げています。

 採用においては、当社グループで求められる人材要件を明確にし、私たちの企業価値や目指す方向性、ありたい姿に共感してもらえる人材を採用したいと考えています。また、職階や職種ごとの役割を明確にすることでジョブ型雇用も積極的に進め、専門性の高い人材を採用していきます。

 育成においては、中核事業における活躍人材を定義し、それぞれの育成プログラムを通して様々なフィールドで活躍する人材を育てていきます。また、グループ横断的に計画的な人事ローテーションを実施し、経験・スキル・知識の幅を広げ個の力を向上させ、組織力強化につなげていきます。

 定着においては、すべての従業員がモチベーション高く、個々の強みを活かして組織に貢献できる環境を整えていきます。多様な人材を受け入れる企業風土、時間の制約に縛られない柔軟な働き方、成果に見合った公正な評価制度など、多様性を活かした組織づくりを積極的に進め、誰もが働きやすく働きがいのある環境構築を目指します。

③リスク管理

 人的資本に関連するリスクや機会については、サステナビリティ委員会主導のもと、リスクへの対応と最小化を目指し、リスク・機会の特定や分析・評価、グループ内での情報共有や、関係部署への対応指示、取締役会への報告が行われます。KPI管理やデータの分析については、サステナビリティ委員会のグループ横断的な下部組織である「人事部会」で実施しております。

 

④指標と目標

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※1 提出会社及び中核事業会社5社(三井倉庫㈱、三井倉庫エクスプレス㈱、三井倉庫ロジスティクス㈱、三井倉庫サプライチェーンソリューション㈱、三井倉庫トランスポート㈱)を対象範囲としております。

※2 2023年度入社となる新卒採用数を基にしたものであります。

※3 2023年3月31日時点によるものであります。

※4 2022年度の年間の外部委託研修費から算出しております。

※5 2020年4月1日新卒入社社員のうち2023年3月31日までの離職者数から2020年4月1日新卒入社社員総数を除す方法により算出しております。

※6 2022年度の年間の自己都合離職者数から2022年4月1日時点の総従業員数を除す方法により算出しております。

※7 2023年2月に調査を行い集計を行ったものによるものです。エンゲージメント測定ツールを利用し、中央値(スコア56)をベースにスコアの改善を目指しております。

3【事業等のリスク】

 当社グループは、日本、北米、欧州、北東アジア、東南アジアを中心に物流事業を行い、また日本において不動産事業を行っておりますが、これらの事業活動に影響を及ぼす可能性があると考えられる主なリスクには、以下のようなものがあります。

 なお、下記は当社グループの事業その他に関し、有価証券報告書提出日(2023年6月23日)現在において予想される主なリスクを具体的に例示したものであり、ここに記載されたものが当社グループの全てのリスクではありません。

 

(1) 経済環境の変化

 当社グループの主たる事業である物流事業において、荷動きは、世界各国の景気動向の影響を受け、また社会情勢の不安定化によって影響を被る可能性があります。特に、主要な輸出入国である北米、欧州、日本、中国及び東南アジアの景気後退及びそれに伴う需要の縮小は、在庫の減少、域内運送の減少、国際間輸送の減少や価格競争の激しいマーケットにおける収受料金の下落を招く可能性があります。

 また、不動産事業においては、主な物件が首都圏に位置しており、特に首都圏の賃貸オフィス市場の需給バランスや市況動向の影響を受ける可能性があります。

(2) 公的規制の変化

 当社グループは、事業を展開しております各国において、事業・投資の許可を始め、保管、作業、運送、通商、独占禁止、租税、為替管理、気候変動、環境、各種安全管理等の法的規制の適用を受けております。これらの規制を遵守するためコスト増加となる可能性があります。また、遵守できなかった場合は、当社グループの活動が制限され、事業及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

(3) 業界構造の変化

 国内における少子高齢化に伴う労働人口の減少等に起因し、産業界全体においてサプライチェーンを維持するために必要な人的リソースの不足が深刻化しており、これを背景にIoT、AI、ロボティクスといった次世代テクノロジーの利用が拡大しております。労働集約型である我々物流業においては、デジタル化・装置産業化が進展する中で、業種間の垣根が低くなり、異業種の参入を招くリスクがあると認識しておりますが、その一方で、機械と人の融合による「現場力」、お客様のサプライチェーンの高度化に資する「ソリューション提案力」、さらには、それを支える「人材」の重要性についても強く認識しております。

 当社グループでは、圧倒的な現場力の構築をすべく、業務プロセスの見える化、標準化を進めることで物流品質の改善、底上げを図り、その上でIoT、AI、ロボティクスといった次世代テクノロジーを利用した省力化、省人化にも積極的に取り組んでおります。また、グループ連携を強化し、フルスペックの物流サービスによりお客様のサプライチェーンにおける課題解決に向けたソリューション提案を通じて他社との差別化を図っております。それらを下支えする人材については、継続的かつ積極的な採用活動や、教育研修による育成を行うだけでなく、「安全、多様性、働きがいのある労働環境の実現」をESG経営の重要課題の1つに定め、従業員のモチベーション向上にも取り組んでおります。それにもかかわらず、一連の取り組みが計画通り進捗しないことで、他社に対する優位性が低下した場合には、当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

(4) 為替レートの変動

 当社グループの物流事業の売上のうち、国際間輸送では、US$建ての海上運賃、航空運賃が多くを占めております。従いまして、円建ての連結損益計算書では、円高は売上高の減少となります。

 また、海外の連結子会社の売上高、費用、資産を含む現地通貨建ての項目は、連結財務諸表作成のために円貨換算されております。換算時の為替レートにより、これらの項目は元の現地通貨による価値が変わらなかったとしても、計上する円貨換算額が変動する可能性があります。

(5) 金利の変動

 当社グループは、物流という社会インフラを支える企業の使命として、安定的に事業を継続するために、必要な設備の新規投資や更新を行っております。有利子負債の適正水準維持に努めるとともに、必要な設備資金及び運転資金は主として外部借入により調達しております。

 固定金利による長期の安定的な資金調達を行っておりますが、金利の変動により、将来の資金調達コストが影響を受ける可能性があります。

(6) ESGの重要性の高まり

 ESGに対する世の中の関心は年々高まっており、SDGsへの取り組みなど環境、社会、ガバナンスの3つの課題への対応は今後益々重要となります。当社グループは、「物流」という重要な社会インフラを支える企業として、新たな価値を創出することが事業を運営していく上で重要であると考え、「共創を通じた持続可能で強靭な物流サービスの提供」、「安全、多様性、働きがいのある労働環境の実現」、「積極的な環境負荷低減による脱炭素社会・循環型社会への貢献」の3つを当社グループのマテリアリティ(重要課題)として特定しております。

 「共創を通じた持続可能で強靭な物流サービスの提供」については、お客様の物流を止めないこと、ソリューションを提供しお客様の課題を解決していくことが社会課題解決と企業価値向上につながると考えております。「安全、多様性、働きがいのある労働環境の実現」については、働く人からも選ばれる会社を目指し、働き方の多様化への対応や、社員やその家族を大切にする制度・環境の整備、安全確保等への取り組みの他、自社のみならずサプライチェーンも含めた人権尊重の取り組みについても積極的に推進しております。「積極的な環境負荷低減による脱炭素社会・循環型社会への貢献」については、運送等環境負荷が大きい業務を行っている我々物流事業者の取り組みは欠かせないと認識しており、CO2排出量削減など環境負荷の軽減に関する具体的取り組みや、TCFDの枠組みに沿った情報開示の充実に取り組んでおります。

 このように重要課題の解決に向けグループ全体で取り組みを実施しておりますが、これらの取り組みが遅れた場合や対応を誤った場合には、レピュテーションの低下や投資対象からの除外など、当社グループの持続的成長に悪影響を及ぼす可能性があります。

(7) 災害や社会インフラの障害等の発生

 当社グループでは、災害、テロ、感染症、その他の要因による社会的混乱の発生等に備えて損害を最小限に留めるために、日常点検・整備の実施、発生時の対応マニュアルの作成・更新、事前の訓練等必要な措置を講じておりますが、地震、風水害等の災害の発生、あるいは停電、通信回線の不通等の障害の発生による被害を完全に防止できる保証はありません。これらの被害が発生した場合、業績及び財務状況に悪影響を与える可能性があります。

 また、当社グループは、情報システム技術を利用して、顧客に物流情報等を提供しておりますが、災害、障害、あるいは事故、犯罪等の発生により、これらの情報提供サービスに支障が発生する可能性があります。

(8) 国際的活動及び海外進出に潜在するリスク

 当社グループは、北米、欧州、中国を始めとする北東アジア及び東南アジア、南アフリカ、南米で事業活動を行っておりますが、これらの地域への進出には以下に掲げるようなリスクが内在しております。

① 予期できない法律または規制の変更

② 事業活動に不利な政治または経済要因の発生

③ 未整備な社会インフラによる影響

④ 税制等の変更

⑤ 戦争、テロ、感染症、その他の要因による社会的混乱

(9) システムに関するリスク

 当社グループは、物流サービスを、より高品質で、より効率的に提供すべく、事業運営のシステム化を積極的に推進しておりますが、システムの高度化、各システム相互間の接続や通関性増加、あるいは社会一般的にサイバー攻撃が増加・巧妙化している中で、システム障害に関するリスクは年々高まっており、当該リスクを防止・低減させることも益々重要になっております。

 このような状況に対して当社グループとして、持株会社にグループ全体のシステム運営・管理を担う専門組織である情報システム部を設置して、システム障害発生を防止するとともに、障害発生時にはその影響を低減しつつ早期に復旧させられるように、包括的・多面的なシステム運用体制を構築しています。また、社員教育の強化やシステム障害発生対応訓練の実施等、ソフト面での対応強化も行っております。

 それにもかかわらず、社内要因(自社要因)、あるいはサイバー攻撃等の社外要因によりシステム障害が発生した場合には、物流サービスを提供することが困難となる可能性があります。

(10) 情報漏洩に関するリスク

 当社グループは、事業活動を通じて取引先の機密情報やお客様の個人情報を保持しておりますが、情報全般の取り扱いに関する社会的な意識の高まりや、各国政府等によって定められる関連法規の強化等を踏まえれば、当リスクに適切に対処する必要性は一層高まっております。

当社グループでは、情報資産の保護、管理に関して、情報セキュリティ委員会を設置して情報漏洩防止、外部ネットワークからの不正侵入の防止等に関わる全社的対応策を実施しております。また、グループ全体のシステムを対象に継続的な点検を行い、システムの脆弱性を早期に検出して対応する等、情報漏洩を未然に防ぐ対応を実施しております。

 しかしながら、情報が不正に外部流出した場合には、損害賠償請求を受けたり、各国政府から制裁金や課徴金の支払いを命じられたり、あるいは顧客や社会からの信用・信頼が失墜して競争力が低下するといった可能性があります。

 

 

(11) 特定の取引先への依存

 当社グループの不動産事業においては、特定の賃貸ビルにおけるテナントからの収入が事業全体の大きな割合を占めております。当社グループは賃貸ビルへのバリューアップ投資を継続的に行うなど、高付加価値なオフィスビルとしての機能を維持するための施策を実施しておりますが、それにもかかわらず当該テナントとの賃貸借契約期間が満了し、再度更新されなかった場合、代替テナントによる補完等の可能性は十分あるものの、当社グループの業績及び財務状況に一時的な悪影響を及ぼす可能性があります。

(12) 保有資産の時価の変動

 保有資産の時価が大幅に下落し、かつ当該資産から十分なキャッシュ・フローが見込めない場合には、減損が発生する可能性があります。

 また、投資有価証券に関しましても、市場価格のない株式等以外のものにつきましては時価が30%以上下落した場合に減損計上し、市場価格のない株式等につきましては当該会社の実質価額が50%以上下落し、かつ回復可能性が見込めない場合に減損処理しておりますので、将来の株式市場の変化または投資先の財務状況の悪化により減損が発生する可能性があります。

(13) 退職給付債務

 当社グループの従業員退職給付費用及び債務は、割引率等数理計算上で設定される前提条件や年金資産の長期期待運用収益率に基づいて算出されております。実際の結果が前提条件と異なる場合、または前提条件が変更された場合、その影響は退職給付債務については即時に認識され、退職給付費用は将来にわたって規則的に認識されるため、将来の費用に影響を及ぼします。

 また、当社は、退職給付会計が導入された2001年3月期に退職給付信託の設定を行っており、毎期末の信託している株式の時価の変動により発生する数理計算上の差異につきましても、退職給付債務は即時に認識され、退職給付費用は将来にわたって規則的に認識されております。

 従いまして、割引率の低下、運用利回りの悪化、あるいは信託株式の時価の低下は、当社グループの業績と財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

(14) 固定資産の減損

 当社グループは、有形・無形の固定資産を所有しております。

 これらの資産については、その価値が下落した場合や期待通りの将来キャッシュ・フローが見込めない状況となった場合、減損処理が必要となり、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

(15)借入金の財務制限条項

 当社グループの借入金の一部については、シンジケートローン契約を締結しております。当該契約には、融資契約上の債務について期限の利益を喪失する財務制限条項が定められており、これに抵触した場合には、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

文中における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(2023年6月23日)現在において判断したものであります。

 ① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

(単位:百万円)

連結合計

2022年3月期

2023年3月期

前期比

増減率

営業収益

301,022

300,836

△185

△0.1%

営業利益

25,939

25,961

22

0.1%

経常利益

25,553

26,533

980

3.8%

親会社株主に帰属する当期純利益

14,503

15,617

1,113

7.7%

 

・営業利益、経常利益、当期純利益はいずれも前期比増益となり、3期連続で過去最高益を更新しました。

・世界的なサプライチェーン混乱の影響が収束に向かうなか、経済社会活動の再開の動きが継続しております。このような環境のなかで、当社は急速に変化する顧客のニーズを的確に捉え、代替輸送ルートや物流の効率化提案を行いました。この結果、新規顧客を獲得したほか、既存顧客の受託範囲が拡大し、フォワーディング業務の取扱が増加しました。

 

 セグメントごとの経営成績は次のとおりであります。

(イ)物流事業

(単位:百万円)

物流事業

2022年3月期

2023年3月期

前期比

増減率

営業収益

292,213

292,022

△190

△0.1%

営業利益

23,734

23,923

188

0.8%

 

事業環境:当社を取り巻く事業環境は次のとおりであります。

・ウクライナ情勢の長期化、及び世界的な労働需給逼迫とエネルギー調達コストの高止まり、物価の上昇に対する世界的な金融引き締め等が、企業の素原材料・部品の調達や、設備投資の制約となっております。

・一方で、経済社会活動の再開に伴い、企業の生産活動は一進一退ながら緩やかな持ち直しの動きが続いております。

・コンテナ船の運航遅延等による海運市況の混乱や、航空旅客便の減便に伴う貨物スペースの供給制約は解消に向かいつつあります。海上・航空輸送スペースの供給不足、及び運賃の高騰は足元で収束に向かっております。

 

営業の状況:当社の営業活動の状況は次のとおりであります。

・サプライチェーン混乱の影響を受けて急速に変化する顧客のニーズを的確に捉え、機動的なスペースの確保を行いフォワーディング業務の取扱が増加しました。

・顧客に対し以下の提案活動を行った結果、新規顧客を獲得したほか、既存顧客の受託範囲が拡大し、海外物流及びフォワーディング業務の取扱が増加しました。

-顧客のBCP対応に資する代替輸送ルート提案

-環境負荷低減のための物流ソリューション提案

-海外現地の物流から国際輸送、国内における輸配送までを一気通貫で提供する物流の効率化提案

・前期に立ち上げたヘルスケア物流専用の新設倉庫や、同じく前期に立ち上げた家電量販店・EC向けの新設物流センターの通期寄与による業務拡大がありました。

 

(ロ)不動産事業

(単位:百万円)

不動産事業

2022年3月期

2023年3月期

前期比

増減率

営業収益

9,574

9,629

54

0.6%

営業利益

5,798

5,908

110

1.9%

 

事業環境:当社を取り巻く事業環境は次のとおりであります。

・東京ビジネス地区のオフィス物件の平均空室率、及び平均賃料は概ね横ばいで推移しました。

 

営業の状況:当社の営業活動の状況は次のとおりであります。

・当社所有のオフィス物件の空室率及び賃料水準に大きな変動はなく、営業収益、営業利益ともに横ばいとなりました。

 

 当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「3 事業等のリスク」に記載の通りです。

(単位:百万円)

連結合計

2022年3月期

2023年3月期

前期末比

増減率

自己資本

79,458

93,285

13,827

17.4%

総資産

258,297

258,679

382

0.1%

自己資本比率

30.8%

36.1%

+5.3ポイント

17.2%

有利子負債

99,394

92,621

△6,773

△6.8%

D/Eレシオ

1.25

0.99

△0.26

△20.6%

 

・自己資本が増加した要因は、親会社株主に帰属する当期純利益の計上によるものです。

・総資産が増加した要因は、主に現預金の増加によるものです。

・有利子負債が減少した要因は、借入金の返済によるものです。

・引き続き、D/Eレシオが1.0倍程度となるよう運用し、将来の投資余力を確保する方針です。

 

『中期経営計画2022』における経営上の数値目標の達成状況

 

目標(2027年3月末)

実績(2023年3月末)

営業収益

3,500億円

3,008億36百万円

営業利益

230億円

259億61百万円

営業活動によるキャッシュ・フロー

300億円

323億40百万円

ROE

12%超

18.1%

 

当社グループは、2027年3月期を最終年度とする5ヵ年計画『中期経営計画2022』を策定しております。

目標達成に必要な対応につきましては、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載の通りです。

 

 ② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

(単位:百万円)

連結合計

2022年3月期

2023年3月期

前期比

現金及び現金同等物の期首残高

22,718

22,822

-

営業活動によるキャッシュ・フロー

23,123

32,340

9,217

投資活動によるキャッシュ・フロー

△7,049

△6,326

723

財務活動によるキャッシュ・フロー

△17,218

△16,053

1,164

現金及び現金同等物の期末残高

22,822

33,417

-

 

 当期のキャッシュ・フローの状況は次のとおりであります。

・営業活動によるキャッシュ・フローの主な内訳は、税金等調整前当期純利益、減価償却費の計上による資金留保、及び売上債権の減少です。

・投資活動によるキャッシュ・フローの主な内訳は、DX戦略に基づくソフトウェア投資と、物流施設の維持更新投資です。

・財務活動によるキャッシュ・フローの主な内訳は、借入金の返済、及び配当金の支払です。

 

 当社グループの資本の財源及び資金の流動性については、以下のとおりです。

 (イ)契約債務

 2023年3月31日現在の契約債務の概要は以下のとおりであります。

 

年度別要支払額(百万円)

契約債務

合計

1年以内

1年超

2年内

2年超

3年内

3年超

4年内

4年超

5年内

5年超

短期借入金

706

706

長期借入金

59,362

8,461

5,082

7,076

12,033

3,345

23,362

社債

25,000

14,000

6,000

5,000

リース債務

7,552

1,703

1,228

945

644

584

2,447

 

 当社グループの第三者に対する保証は、従業員に対する銀行の住宅ローンに関する債務保証などであります。保証した借入金の債務不履行が保証契約期間に発生した場合、当社グループが代わりに弁済する義務があります。2023年3月31日現在、当社グループの債務保証に基づく将来における潜在的な要支払額の合計額は16百万円であります。

 このほか、 一部の物流施設の調達をオペレーティング・リース取引によって行っており、解約不能のものに係る未経過リース料は387億43百万円であります。そのうち141億34百万円相当については、契約期間及び契約面積が一致する転貸リース契約を別途締結している顧客から、賃貸料として収受されます。

 

 (ロ)財務政策

 当社グループは、運転資金及び設備資金については、内部資金や社債及び借入により調達することとしております。借入による調達のうち、運転資金については期限が1年以内の短期借入金であり、当社及び一部の子会社が調達しております。これに対し、倉庫施設などの長期資金は、固定金利の社債及び長期借入金で調達しております。2023年3月31日現在、長期借入金の残高は593億62百万円であり、無担保普通社債の残高は250億円であります。また、当社グループは、グループ会社が保有する資金をグループ内で効率よく活用するため、キャッシュマネジメントシステムを構築し運用しております。

 当社グループは、営業キャッシュ・フローに加え、当座借越契約、コミットメントライン契約を締結し資金流動性を確保しており、当社グループの成長を維持するために必要な運転資金及び設備資金を調達することが可能と考えております。

 『中期経営計画2022』における財務戦略については、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載の通り、最適DEレシオ1.0倍を財務規律とし、適切な財務レバレッジのもとで積極的な投資と株主還元強化の両立を目指します。

 投資については、設備の維持更新等の通常投資に加え、DXや新規設備投資、M&Aなど成長領域への戦略投資を積極的に行ってまいります。

 

 株主還元については、「第4 提出会社の状況 3 配当政策」に記載の通り、連結配当性向30%を基準とする業績に連動した機動的な配当を実施する方針です。

 また、経営指標としてROEを設定し、目標数値を12%超とすることで、現在の高水準な資本効率の維持を目指してまいります。

 

 ③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表の作成に係る会計方針及び見積りについては、「第5 経理の状況」に記載しております。

当社経営陣は連結財務諸表の作成に際し、決算日における資産・負債の報告数値及び偶発債務の開示、並びに報告期間における収益・費用の報告数値に影響を与える見積り及び評価を行わなければなりません。経営陣は、棚卸資産、貸倒れ、有価証券、有形固定資産、のれんを含む無形固定資産、法人税等、繰延税金資産、財務活動、退職給付、偶発事象、訴訟等に関する見積り及び判断に対して、継続して評価を行っております。経営陣は、過去の実績や現在の状況に応じ、合理的と考えられる基準・要因に基づき、見積り及び判断を行い、その結果は、他の方法では判定しにくい資産・負債の簿価及び収益・費用の報告数値についての判断基礎となります。ただし、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。

なお、当期の連結財務諸表を作成するにあたり、有形固定資産、のれんを含む無形固定資産等については、会計上の見積りを行う上で将来キャッシュ・フロー、資産の回収可能性等を検討するにあたり、入手可能な外部の情報等に基づき見積りを行っております。

 

④ 生産、受注及び販売の実績

 当社グループは、倉庫保管・荷役、港湾作業、国内運送及び国際輸送等の物流の各機能を有機的・効率的に顧客に提供する物流事業並びにビル賃貸業を中心とする不動産事業で構成されており、以下の2つを報告セグメントとしております。

・「物流事業」…倉庫保管・荷役、港湾作業・運送、海外における物流サービス・複合一貫輸送、航空貨物輸送、3PL、サプライチェーンマネジメント支援業務、陸上貨物運送等、様々な物流サービスを提供しております。

・「不動産事業」…ビル賃貸業を中心としたサービスを提供しております。

 役務の提供を主体とする事業の性格上、生産、受注及び販売の実績を区分して把握することは困難でありますので、これに代えて、セグメント毎の主要業務の営業収益及び取扱高等を示すと、次のとおりであります。

(イ)セグメント毎の主要業務の営業収益

セグメント

営業収益(百万円)

前連結会計年度比増減

 前連結会計年度

(自 2021年4月1日

  至 2022年3月31日)

 当連結会計年度

(自 2022年4月1日

  至 2023年3月31日)

 増減額(百万円)

 比率(%)

物流事業

 

 

 

 

(倉庫保管)

35,037

38,005

2,967

8.5

(倉庫荷役)

31,603

33,510

1,907

6.0

(港湾作業)

17,019

17,736

716

4.2

(運送)

164,367

156,156

△8,211

△5.0

(その他)

44,185

46,614

2,428

5.5

292,213

292,022

△190

△0.1

不動産事業

 

 

 

 

(不動産賃貸)

9,574

9,629

54

0.6

9,574

9,629

54

0.6

セグメント間取引消去

△765

△815

△49

合計

301,022

300,836

△185

△0.1

    (注) セグメント間の内部振替前の数値によっております。

 

(ロ)セグメント毎の主要業務の取扱高等

セグメント

の名称

業務の種類

取扱高等

区分

   前連結会計年度

 (自 2021年4月1日

  至 2022年3月31日)

   当連結会計年度

 (自 2022年4月1日

  至 2023年3月31日)

物流事業

倉庫保管

国内平均保管残高(千トン)

475

475

国内貨物回転率(%)

28.8

25.2

所管面積(千㎡)

1,238

1,230

倉庫荷役

国内入庫高(千トン)

1,646

1,423

国内出庫高(千トン)

1,628

1,451

港湾作業

CT作業取扱高(TEU)

946,724

966,467

運送

(国内運送)

 

 

  国内コンテナ運送取扱高(本数)

221,340

203,688

(国際運送NVOCC)

 

 

  取扱高(TEU)

50,087

60,266

(陸上貨物運送)

 

 

  貸切輸送(千トンキロ)

539,351

550,677

  取扱数量(千個)

33,832

33,470

(航空貨物輸送)

 

 

  取扱高(トン数)

68,693

47,047

(3PL)

 

 

  取扱個数(千個)

117,621

104,450

(サプライチェーンマネジメント支援)

 

 

  販売物流入出庫高(千㎥)

523.8

385.4

不動産事業

不動産賃貸

賃貸面積(千㎡)

160

163

 

(注) 貨物回転率=

(年間入庫高+年間出庫高)×1/2

× 100

月末保管残高年間合計

(2) 次期の見通し

ⅰ 全般の見通し

(単位:億円)

連結合計

2023年3月期

実績

2024年3月期

予想

前期比

増減率

営業収益

3,008

2,800

△208

△6.9%

営業利益

260

200

△60

△23.0%

経常利益

265

192

△73

△27.6%

親会社株主に帰属する当期純利益

156

110

△46

△29.6%

 

ⅱ セグメント別の営業利益の見通し

(単位:億円)

セグメント別営業利益

2023年3月期

実績

2024年3月期

予想

前期比

特殊要因

46

△46

実力値

214

200

△14

 

物流事業

193

198

+5

 

不動産事業

59

57

△2

 

全社費用・消去

△38

△55

△17

連結合計

260

200

△60

 

・海運市況の混乱に伴う海上輸送から航空輸送へのシフトと、航空・海上運賃高止まりによる影響(以下、「特殊要因」)は収束に向かっており、2024年3月期の営業利益には特殊要因を見込んでおりません。

・実力値の物流事業は増益を見込んでおります。事業環境としましては、物流マーケット全体の荷動きが調整局面に入ることや、人件費や燃料費等の原価高騰が見込まれます。このような事業環境の中、当社は適正料金収受、オペレーションのローコスト化による収益性向上に取り組んでまいります。加えて、物流の効率化や環境負荷低減のためのソリューション提案の推進や、九州における半導体関連業務向け物流センター、及び西日本におけるBtoBtoC分野のEC業務向け物流センターの2拠点の新設による売上の拡大により物流事業の実力値は着実に成長しており、中期経営計画の目標達成に向け堅調に推移しております。

・不動産事業は、ほぼ横ばいの業績となる見通しです。なお、当社所有物件のひとつである三井倉庫箱崎ビルのマルチテナント型オフィスビルへのリニューアルに向けたバリューアップ工事に着手する予定ですが、詳細は2023年5月10日に公表しました「当社保有のオフィスビルにおける主要テナントの継続利用とマルチテナント化の方向性について」をご覧ください。

・全社費用としてDX投資の実行に伴う先行費用等の発生もあり、これらの結果2024年3月期の連結合計の営業利益は200億円を見込んでおります。

 

 

5【経営上の重要な契約等】

 該当事項はありません。

 

6【研究開発活動】

 特記事項はありません。