第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。

 

(1) 経営の基本方針

当社グループは、「信用を重んじ」「確実を旨とし」「浮利にはしらず」という「住友の事業精神」のもと、「物流という万人が必要とする社会インフラを、時代をこえて真摯に下支えするとともに、お客様と社会が求める新たなサービスの創造に努める」を企業理念としております。

この企業理念が表す精神は、1899年(明治32年)の当社の創業以来、倉庫業を核に、港湾運送業、国際輸送業、陸上運送業を含む総合的な物流事業及びオフィスビル賃貸業を中心とする不動産事業等へ業容を拡大した現在に至るまで、一世紀以上にわたり一貫して受け継がれております。当社グループは、今後もこの企業理念のもと、事業を通じて社会に貢献しつつ、持続的な成長を目指してまいります。

 

(2) 当社の事業環境及び中長期的な会社の経営戦略

当社グループを取り巻く環境は、国内においては物価高の影響で個人消費は力強さを欠きましたが、設備投資が持ち直すなど、緩やかな景気回復が続いております。海外においては、米国では個人消費や雇用は総じて拡大傾向を示し、景気は概ね堅調に推移しております。中国では不動産不況の出口が見えない中、内需の低迷が長引き景気は減速傾向を示しております。

また、環境・社会・ガバナンス(ESG)の重要性に対する意識の高まりやデジタルトランスフォーメーション(DX)の推進といった近年の様々な変化は、今後より一層加速していくものと考えられます。

このような状況下、当社グループは、長期ビジョン“Moving Forward to 2030”のもと、グローバル化の進展に伴い増大する各種リスクにも適切に対処し、社会に不可欠な物流サービスを幅広いステークホルダーの皆様に対して安定的に提供してまいります。

 

「長期ビジョン“Moving Forward to 2030”」

① モノをつなぐ

物流の結節点である倉庫と港湾を主軸に更に信頼性の高い物流サービスを提供します。また、物流業以外の業種との連携を深め、デジタル技術等を積極的に導入・活用することにより、各種の変化に迅速に対応しながら、物流における新たな価値を創造します。

② 世界をつなぐ

日本、アジア、欧州、米州の四極を中心に国際物流ネットワークの更なる拡充を図り、お客様の強固で安定的なグローバル・サプライチェーン構築を支えます。

③ ヒトをつなぐ

貴重な経営資源である人材の育成を更に強化するとともに、少子高齢化等の社会の変化に対応し、柔軟で多様な働き方を導入し、ヒトを惹きつける会社であり続けます。

④ 時代をつなぐ

120年を超える伝統をもつ企業グループとして、先人から受け継いだ有形無形の資産を後の世代に継承しつつ、お客様と社会の発展に貢献していきます。

 

「第五次中期経営計画」

2023年3月に策定しました2023年度から2025年度までの3か年の第五次中期経営計画では、物流・不動産の両事業に経営資源を集中することとし、物流事業では、国内外の拠点の拡充を進め、海外における物流事業も拡大を図ってまいります。また、DXを推進し、業務の効率化・自動化に取り組むとともに、顧客にとって、より一層付加価値の高い物流サービスの提供を進めてまいります。

不動産事業では、これまで培ってきた賃貸事業のノウハウを活かし、積極的な事業投資のほか、事業領域の拡大を進め、収益力の向上を図ってまいります。

あわせて、気候変動という人類共通の課題に対しては、温室効果ガス排出量の削減目標を設定のうえ、その達成に向けた取組みを進めるとともに、当社グループの事業の発展を支える「人」への投資を充実させ、持続的な成長を目指してまいります。

なお、第五次中期経営計画では、業績目標として2025年度(計画最終年度)の連結営業収益2,300億円、連結営業利益180億円、また、設備投資額(3か年累計)として850億円をそれぞれ計画しております。財務指標については、財務基盤の健全性を維持したうえで、ROEは7%を目標としております。また、政策保有株式については、2028年3月末までに約100億円(2022年3月末簿価の約10%相当)の縮減を目標としておりました。2025年5月、これを2年前倒しすることとし、2026年3月末までに残りの約60億円を売却しこれを完了することとしております。

 

(3) 対処すべき課題

今後の経済環境は、国内においては雇用・所得環境が改善する中で緩やかな景気回復が続くと予想されますが、米国の高関税政策がもたらす景気の下振れや物価高による消費回復の鈍化が懸念されます。海外においては米国の政策動向により、米国では物価上昇に伴う個人消費の減速、中国では米国向け輸出の減少等が危惧されるなど、景気の先行き不透明感が一層強まっております。

物流業界では、輸出入貨物の荷動きは回復傾向が続くと期待されますが、米国の高関税政策を巡る不確実性が高まっており、貿易摩擦等による荷動き低迷のおそれもあります。不動産業界では、賃貸用オフィスビルの堅調な需要を背景に賃料水準は上昇傾向が続くものと予想されます。

このような情勢の中、2025年度は現行の中期経営計画の最終年度でありますが、当社グループを取り巻く事業環境は同計画策定時から大きく変化しており、当初の目標達成が厳しい状況にあります。これを踏まえ、本年度は中長期的な企業価値向上を図るべく、次期の中期経営計画の策定を見据えて、物流事業の持続的な成長と不動産事業の収益規模拡大等のための施策に取り組んでまいります。

当社グループは、社会に不可欠な物流サービスを安定的に提供すべく、2030年を見据えた長期ビジョンに基づくミッションを遂行し、持続可能な社会の実現に貢献してまいります。

 

 

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において合理的であると判断する一定の前提に基づいており、実際の結果とは大きく異なる可能性があります。

 

(1)サステナビリティ全般

当社は「住友倉庫グループ企業行動指針」を取締役会決議により策定しており、同指針では、従業員が環境保全、人権・人格の尊重、顧客・取引先との健全な関係の確立及び地域社会への貢献などに取り組む旨を定め、従業員はサステナビリティに関する課題に積極的・能動的に取り組むこととしております。また、2020年5月策定の当社グループの長期ビジョン「Moving Forward to 2030」の策定に際しては、2030年までの10年間に当社グループが果たすべき役割として「人材育成の強化」、「持続的な成長の確保」を挙げて取締役会で検討を行いました。

2023年3月策定の当社グループの第五次中期経営計画(計画期間:2023年度~2025年度)においては、ESG経営を推進することとし、「環境負荷の軽減及び気候変動問題への取組み」並びに「「人」への投資強化」等を掲げております。

「環境負荷の軽減及び気候変動問題への取組み」については、2030年度までに当社単体のスコープ1・2において、温室効果ガス排出量を2018年度比で50%削減することを目標としております。「「人」への投資強化」については、女性活躍のための施策及びダイバーシティを推進するほか、教育・研修プログラムの拡充等により従業員一人ひとりの成長の実現を促し、当社グループの持続的な成長につなげていくこととしております。

①ガバナンス

当社は、社長を委員長とするCSR委員会を設置して、当社グループにおけるコンプライアンス、リスク管理、財務報告に係る内部統制、情報セキュリティ、人権、労働安全衛生、当社グループが提供するサービスの品質改善及び環境保全等に関する事項を審議のうえ、諸施策を推進しております。CSR委員会に内部統制部会、CSIRT部会、人権部会、安全・品質部会及び環境部会を置いて、上記の事項に関する諸施策を検討しております。

取締役会は、これらのうち重要な事項についてCSR委員会から、また、人的資本に関する重要な事項については総務部をはじめとする担当部門から、それぞれ報告を受けることによって、当社グループにおけるサステナビリティ全般への取組みについて、適切な監督が図られるよう体制を整えております。なお、特に重要な事項については、取締役会において意思決定を行っております。

また、当社は、主要な子会社を対象とした内部統制連絡会を設置しており、同連絡会において環境保全、コンプライアンスをはじめとするサステナビリティ全般に関する事項の情報共有及び意見交換等を行うとともに、当社グループにおける適正な業務遂行に関する指導を行っております。

 

体制図

0102010_001.png

 

CSR委員会の構成

委員長

社長

副委員長

各役付執行役員

委員

総務部長、経理部長、事業推進部長、業務部長、海上業務部長、海外事業部長、関連事業部長、開発事業部長、情報システム部長、監査部長

 

②リスク管理

当社は、リスク管理規則において定められた基本方針等に基づき、サステナビリティに関する事項を含め、当社グループの事業活動上のリスクに関する管理体制を整備しております。当社グループの事業活動における重大なリスクが顕在化した場合には、可能な限り損失を回避するよう努めているほか、当社グループにおいて不測の事態や危機が発生した場合の報告体制、対応要領等を整備しております。

組織全体のリスク管理については、CSR委員会の内部統制部会において、当社グループ全体のリスクマネジメントを行っております。同委員会では、リスク管理上重要な事項についてはその都度、環境関連の法規制遵守状況については年1回の報告が行われております。

コンプライアンス、リスク管理、財務報告に係る内部統制、情報セキュリティ、人権、労働安全衛生、当社グループが提供するサービスの品質改善及び環境保全等のCSR委員会が取り扱う事項については、同委員会において検討・モニタリングを実施しております。

なお、リスク管理の詳細は、「3 事業等のリスク」に記載しております。

 

 

(2)人的資本・多様性

①戦略

人的資本に関する取組みとしては、長期ビジョンにおいて当社グループが2030年までに果たすべきミッションの一つとして「ヒトをつなぐ」を定めており、貴重な経営資源である人材の育成を更に強化するとともに、少子高齢化等の社会の変化に対応した柔軟で多様な働き方を導入し、ヒトを惹きつける会社であり続けるよう努めております。また、人材育成の観点から、従業員全員を対象とした複数度の階層別研修をはじめ、新任管理職研修、課所長研修及び海外派遣研修、特定のスキル醸成を目的とした語学研修及び経理研修など、多様な研修を通じた人的資本への投資を積極的に行っております。

人材育成については、「社員の成長は企業の成長、そして企業ひいては社会に貢献できる人材を育成し社会の発展に尽くしたい」という思いのもと、従業員のキャリアアップを考慮した多彩な研修制度を設けております。特にグローバル人材の育成を目的として、海外派遣研修等を実施し、海外で活躍するために必要となる異文化に対する理解や海外物流知識の習得等を促しております。また、女性の活躍は重要な課題の一つと考えており、採用時におきましては職場や仕事のイメージを明確にしてもらうため、就職希望者と若手従業員との懇談の場である「キャリアライブ」を開催しております。入社後においても他社と共同で開催している女性総合職研修や管理職候補の女性総合職を対象とする外部研修への参加など、女性総合職の中長期的なキャリア形成を支援しております。

社内環境整備については、働きやすい環境を整備することで従業員の能力が十分に発揮できるよう、時間外労働の削減や年次有給休暇の取得を促進しているほか、男性従業員の育児参加の促進に向けた行動計画を策定しております。また、社内において総合職及び事務職(一般職)を横断できる職種転換制度を設けており、柔軟な働き方が可能な制度設計としております。

さらに、労働環境整備の一環として、従業員の安全・健康に関しては、階層別研修等においてメンタルヘルスやハラスメントに関する研修を実施しております。

また、性別にかかわらず従業員が長く働き続けられる会社であり続けられるよう、育児休業制度を法定以上に充実させるなど、多様性の確保に向けた取組みを推進しております。

②指標及び目標

当社では、上記「①戦略」において記載した、人材の多様性の確保を含む人材の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針について、次の指標を用いております。

なお、人材の多様性の確保を含む人材の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針に係る指標について、当社においては、関連する指標のデータ管理とともに、具体的な取組みが行われているものの、連結グループに属するすべての会社では行われていないため、連結グループに係る記載が困難であります。このため、次の指標に関する目標及び実績は、当社のものを記載しております。

指標

目標

実績(2025年3月末)

男女の平均継続勤務年数の差異

1未満

1.6

 

 

(3)気候変動

当社グループは、気候変動対策は事業上の重要課題の一つであるという認識のもと、持続可能な社会の実現に貢献するため、企業活動による環境負荷を軽減するなど、環境保全に着実かつ継続的に取り組んでおります。

その一環として、当社は気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)が定めた情報開示フレームワークに基づき、気候変動によってもたらされる当社事業へのリスクと機会を分析し、リスクの低減と事業機会の拡大を目指すとともに、温室効果ガス排出量の削減目標を定めております。

①ガバナンス

当社は、気候変動を重要な経営課題の一つとして認識しております。取締役会による監督のもと、CSR委員会において、気候変動に関する課題の特定、経営判断、業務執行を行う体制を構築しております。当該体制の概要は、上記(1)サステナビリティ全般に記載のとおりであります。

気候変動に関する課題については、CSR委員会の環境部会において、環境保全を担当する事業推進部の参画の下、リスクの特定、戦略への反映を行い、課題の解決に向けて全社に展開しております。また、環境関連の課題や取組目標に対して、年1回CSR委員会及び取締役会に報告することとしております。

②戦略

分析の時点を2030年とし、分析対象は当社の物流事業及び不動産事業並びに遠州トラック株式会社の物流事業としました。分析は、リスクと機会の整理、社会変化と事業への影響の整理、対応策の検討という手順で実施しました。

シナリオについては、脱炭素社会の実現を目指す1.5℃未満シナリオと、気候変動対策がされず物理的リスクが顕在化する4℃シナリオを想定し、各外部機関によって整理されたシナリオを適宜参照しながら、社会変化を整理のうえ、財務影響の分析に活用しております。

 

分析の方法

①リスクと機会の整理

②社会変化と事業への影響の整理

③対応策の検討

気候変動に伴い当社・遠州トラック株式会社の事業に対してリスク及び機会となりうる項目を検討し、影響度が大きい項目を整理

2030年における社会変化を想定し、それが事業にどのような影響を与えうるかを整理

社会変化による事業への影響を踏まえ、対応策を検討

 

シナリオの想定

シナリオ

概要

主な参照シナリオ

1.5℃未満シナリオ

2050年にGHG排出ネットゼロを目指す等、世界の平均気温上昇を産業革命以前に比べて1.5℃未満に抑制するため、2℃シナリオ以上に各国における政策・規制が強化されるとともに、社会における環境や気候変動への意識も現状に比べて大きく高まる

・IEO World Energy Outlook 2021. Sustainable Development Scenario / Net Zero Emissions by 2050 Scenario

・IPCC SSP1-1.9

4℃シナリオ

既に実施済みの政策に加え、公表済みの政策が実現されることを想定したシナリオであり、政策・規制は1.5℃、2℃シナリオよりも弱い想定。GHG排出量も当面は増加する可能性があり、社会的にも環境や気候変動への意識は現状の延長線上で推移する

・IEO World Energy Outlook 2021. Stated policies Scenario

・IPCC SSP5-8.5

 

 

社会変化と対応策の検討結果・1.5℃未満シナリオ

脱炭素社会への移行が進む1.5℃未満シナリオでは、GHG排出への課税や規制の強化、エネルギーコストの急増などの移行リスクの影響が大きいと考えられます。

財務影響としては、GHG排出コストの増加や光熱費の増加、建築資材価格の上昇に伴う建築コストの増加、GHG報告義務に対応するための人件費の増加などが考えられます。

定量化が可能な項目について財務インパクトを算出した結果、GHG排出コストの増加による影響が大きく、遠州トラック株式会社ではその傾向が顕著であることが分かりました。

このような状況での対応策として想定されるのは、省エネの推進をはじめ、太陽光発電装置の新設やGHG排出量の報告に係る作業の効率化、不動産事業においては環境認証等の取得を進めることでコスト削減をすることなどです。また遠州トラック株式会社では、上記の取組みに加えて、低燃費車両の導入やエコドライブの推進に取り組むことが考えられます。

これらの対応策を講ずることで事業への影響を軽微なものに緩和することができますが、今後の環境変化を継続的にモニタリングしながら、定量分析の拡充を適宜進めることで、気候変動に対するレジリエンスを高めるとともに、環境変化に対応した価値創造を実現してまいります。

 

1.5℃未満シナリオ

0102010_002.png

 

社会変化と対応策の検討結果・4℃シナリオ

気候変動対策がされず、物理的リスクが顕在化する4℃シナリオでは、台風や洪水などの極端な気象事象が増すほか、気温上昇による労働環境の悪化が生じます。

財務影響としては、物流事業では燃料コストの増加のほか、自然災害の激甚化に伴う事業停止による売上高の減少、労働環境の悪化に伴う人手不足に起因するコストの増加のほか、不動産事業では工期の長期化による建築コストの増加、BCPに対する意識の浸透に伴う沿岸部や河川に近い不動産の相対的な競争力低下による収益の減少、また共通の影響として、自然災害の激甚化に伴う修繕コスト及び支払保険料の増加などが考えられます。

定量化が可能な項目について財務インパクトを算出した結果、物流事業では労働力不足による売上高の減少が相対的に大きく影響することが分かりました。また、遠州トラック株式会社では業務停止による売上高の減少のほか、燃料価格の高騰によるコスト増加の影響が大きいことが分かりました。

このような状況での対応策として、省エネの推進のほか、物流事業では労働環境の改善、不動産事業ではレジリエントな不動産施設開発・運営を通じた競争力の強化などを図ることが考えられます。また遠州トラック株式会社では、上記の取組みに加えて低燃費車両の導入やエコドライブの推進のほか、災害時にも業務の継続を可能とするための代替ルート・代替輸送手段の確保等を進めることが考えられます。

これらの対応策を講ずることで事業への影響を軽微なものに緩和することができますが、今後の環境変化を継続的にモニタリングしながら、定量分析の拡充を適宜進めることで、気候変動に対するレジリエンスを高めるとともに、環境変化に対応した価値創造を実現してまいります。

 

4℃シナリオ

0102010_003.png

 

 

③リスク管理

当社が留意すべき気候関連のリスクに関しては、定期的に行う社内外調査結果を基に、CSR委員会の環境部会において、特定・評価を実施し、特定・評価されたリスクに関しては、全社で共有するとともに、戦略に関してはCSR委員会の環境部会を通じて反映させます。

当社では、気候変動に関する施策の検討を行う環境部会とリスク管理に関する施策を検討している内部統制部会との連携体制を、CSR委員会を通じて構築することで、全社におけるリスクマネジメント体制と気候変動に関するリスクマネジメント体制を統合しております。

CSR委員会では、環境関連の法規制遵守状況について年1回の報告が行われております。

④指標及び目標

今回のシナリオ分析の結果に基づき、次のとおり、戦略とリスク管理に即して用いる指標と目標を設定し、達成に向けた取組みを行います。また、目標に対する実績の開示を進めます。

指標

具体的な目標

対象範囲

温室効果ガス排出量

2030年度までに当社単体のスコープ1・2において、温室効果ガス排出量を2018年度比で50%削減

株式会社住友倉庫

 

 

3【事業等のリスク】

当社グループの財政状態及び経営成績等に影響を及ぼす可能性のある主なリスクには、以下のようなものがあります。なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

1.経済環境に関連するリスク

(1) 事業環境の変化

当社グループは、倉庫業、港湾運送業、国際輸送業及び陸上運送業等を総合的に組み合わせた物流事業、首都圏及び関西地区等における保有資産の有効活用を中心とした不動産事業を展開しております。物流事業においては、国内外の景気変動や社会情勢の変化が荷動きの悪化、競争激化を通じて、また、不動産事業においてはオフィスビルの供給過剰等による市況の変化、需給バランスの変動により、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(2) 為替変動

当社グループは、連結財務諸表の作成に当たっては、海外連結子会社の財務諸表を円換算しております。また、当社及び一部の国内連結子会社においては、外貨建取引を行っており、外貨建債権・債務を有しております。当社グループでは、外貨建債権・債務のバランスを考慮した為替変動の影響を緩和する措置を講じておりますが、為替変動が当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(3) 投資有価証券の時価下落

当社グループは、取引先との関係の維持・強化を目的とした投資有価証券を保有しております。投資有価証券については株式相場の下落や投資先の財政状態の悪化により、投資額の回収が見込めなくなった場合、減損損失を計上します。これにより、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(4) 退職給付会計

当社グループは、割引率等の前提条件に基づき計算された退職給付債務と時価評価された年金資産により退職給付に係る負債を計上しております。割引率の低下や年金資産の時価下落により、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

 

2.事業活動に関連するリスク

(1) 公的規制の変化

当社グループは、事業を展開する各国において、事業・投資の許可をはじめ、保管、荷役、運送、通商、独占禁止、租税、為替規制、環境、各種安全管理等の法規制の適用を受けております。これらの規制が変更された場合又は新たな規制が導入された場合、これを遵守するためのコストが発生する可能性があるほか、事業戦略の変更を余儀なくされたときは、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(2) グローバルな事業展開におけるリスク

当社は、北米、欧州、中国、東南アジア及び中近東等において、関係会社を通じて事業を展開しております。海外での事業展開には、上記(1)の現地の法律や規制の変更リスクに加え、不確実性の高い政治・経済環境、テロ・紛争・その他の要因による社会的混乱などのリスクが内在しております。これらのリスクに対しては、現地情勢の調査研究の実施、グループ内外からの情報収集等により、どこに不確実性があるかを特定し、どのようなシナリオがあるかを検討し、その予防・回避に努めておりますが、リスクが顕在化した場合、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(3) 燃料油価格の変動

当社グループの物流事業における港湾運送業及び陸上運送業においては、燃料油の調達が不可欠となっております。燃料油価格は、原油の需給バランス、産油国の政情、投機資金の流入その他の要因により変動します。燃料油価格が変動した場合、当社グループは顧客の理解を得ながら運賃等に反映しておりますが、高騰した場合には費用の増加分を運賃等に全て転嫁することができず、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(4) 事業用資産の減損

当社グループは、事業用資産(土地、建物等)を保有しております。事業用資産は、物流事業資産については管理会計上の区分に基づき、不動産事業資産及び遊休資産については個別物件ごとにグルーピングを行っており、時価下落や収益性の低下により投資額の回収が見込めなくなった場合は、資産グループごとに帳簿価額を回収可能額まで減額し、減損損失を計上します。これにより、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(5) 情報の漏洩

当社は、企業の文書・磁気テープ・フィルム等情報記録媒体の保管等を行っており、最新鋭のセキュリティシステムの導入及び関係部署における情報セキュリティマネジメントの国際規格ISO27001の認証取得など、情報記録媒体の管理・保護には万全を期す体制を整備しております。さらに、ISO27001については外部審査機関による継続審査を通じて体制の維持・改善を図っております。しかし、万一情報の外部漏洩等が発生した場合には、社会的信用の低下のほか、当社グループの事業活動に影響を及ぼす可能性があります。

 

 

3.自然環境等に関連するリスク

(1) 自然災害と事故

当社グループは、自然災害や不測の事故の発生に備えて、倉庫や賃貸ビルなどの保有施設及び受託貨物等に対し保険を付しております。しかし、予測不可能な自然災害や事故に起因する被害を全て保険により填補できるとは限らないため、これらの被害の発生により当社グループの事業活動に影響を及ぼす可能性があります。

 

(2) 感染症

当社グループは、急速かつ世界的な感染症の流行に備え、対策マニュアルや体制の整備などを行っております。しかし、国際的な人の往来が活発化するなかで、新たな感染症の発現に伴う人的被害の発生や社会インフラの機能不全などにより、当社グループの事業活動に影響を及ぼす可能性があります。

 

(3) 情報システム関係

当社は、基幹業務システム等を構成するサーバーを自然災害やセキュリティに対する安全対策の整ったデータセンターに設置する等、コンピュータの運用を含めた安全管理の徹底を図っております。また、外部からのサイバー攻撃や不正アクセスを監視・防止する管理体制、及び大規模障害時においては早期に復旧し業務を継続できる体制を構築しております。しかし、災害やサイバー攻撃等によりシステムが一定期間以上停止し、業務処理及び顧客への情報提供等が停滞した場合には、当社グループの事業活動に影響を及ぼす可能性があります。

 

(4) 地球環境保全等の取組み

当社グループは、気候変動対策をはじめとする地球環境保全が事業上の重要課題の一つであるという認識のもと、持続可能な社会の実現に貢献するため、温室効果ガス排出量の削減目標を設定のうえ、自社施設における太陽光発電システムの導入など、企業活動における環境負荷低減に向けた取組みを継続しております。また、拠点集約による物流の効率化やモーダルシフトをはじめとした、顧客のサプライチェーンにおける温室効果ガス排出量の削減に資する保管・輸送サービスの提供に努めております。しかしながら、当社グループの地球環境保全に関する取組みが消極的と評価された場合は、当社グループの事業活動に影響を及ぼす可能性があります。

 

なお、これらは当社グループの財政状態及び経営成績等に影響を及ぼす可能性のある主なリスクを例示したものであり、これらに限定されるものではありません。

 

 

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

①経営成績等の状況

当期の経済環境は、国内においては物価高の影響で個人消費は力強さを欠きましたが、設備投資が持ち直すなど、緩やかな景気回復が続きました。海外においては、米国では個人消費や雇用は総じて拡大傾向を示し、景気は概ね堅調に推移しました。中国では不動産不況の出口が見えない中、内需の低迷が長引き景気は減速傾向を示しました。

物流業界では、2024年問題に伴う輸送力不足が懸念されましたが、業界はもとよりサプライチェーン全体で事前に準備を進めた結果、国内貨物の荷動きに対する影響は限定的でした。不動産業界では、賃貸用オフィスビルの竣工が続いたものの、空室率は僅かに低下し、賃料水準は緩やかな上昇傾向が続きました。

このような情勢のもと、当期の経営成績等は以下のとおりとなりました。

 

 a. 経営成績の状況

 

前連結会計年度

(百万円)

当連結会計年度

(百万円)

前連結会計年度比増減

金額(百万円)

比率(%)

営業収益

184,661

193,398

8,737

4.7

営業利益

13,187

13,275

88

0.7

経常利益

16,880

17,497

617

3.7

親会社株主に帰属

する当期純利益

12,490

20,065

7,575

60.6

 

 

セグメント別の状況は次のとおりであります。

(ⅰ)営業収益

内訳

前連結会計年度

(百万円)

当連結会計年度

(百万円)

前連結会計年度比増減

金額(百万円)

比率(%)

物流事業

173,868

182,710

8,841

5.1

(倉庫収入)

(31,413)

(32,138)

(725)

(2.3)

(港湾運送収入)

(30,349)

(32,534)

(2,185)

(7.2)

(国際輸送収入)

(50,661)

(54,875)

(4,213)

(8.3)

(陸上運送ほか収入)

(61,444)

(63,161)

(1,717)

(2.8)

不動産事業

11,360

11,274

△85

△0.8

(不動産事業収入)

(11,360)

(11,274)

(△85)

(△0.8)

185,228

193,984

8,755

4.7

セグメント間内部営業収益

△567

△585

△18

純営業収益

184,661

193,398

8,737

4.7

 

(ⅱ)営業利益

 

前連結会計年度

(百万円)

当連結会計年度

(百万円)

前連結会計年度比増減

金額(百万円)

比率(%)

物流事業

13,345

14,069

724

5.4

不動産事業

5,324

5,413

89

1.7

18,669

19,483

814

4.4

調整額

△5,481

△6,207

△726

営業利益

13,187

13,275

88

0.7

 

 b. 財政状態の状況

 

前連結会計年度末

(百万円)

当連結会計年度末

(百万円)

前連結会計年度末比増減

金額(百万円)

比率(%)

資産合計

436,920

439,847

2,926

0.7

負債合計

172,115

165,701

△6,414

△3.7

純資産合計

264,804

274,145

9,341

3.5

 

 c. キャッシュ・フローの状況

 

前連結会計年度

(百万円)

当連結会計年度

(百万円)

営業活動による

キャッシュ・フロー

22,034

31,733

投資活動による

キャッシュ・フロー

△16,019

△10,045

財務活動による

キャッシュ・フロー

△5,015

△25,273

現金及び現金同等物

に係る換算差額

432

587

現金及び現金同等物

の増減額(△は減少)

1,432

△2,996

連結の範囲の変更に伴う現金及び現金同等物の増減額(△は減少)

△6

現金及び現金同等物

の期末残高

47,947

44,950

 

②セグメントごとの主要業務の取扱高等

 a. 物流事業

(ⅰ)倉庫業

(イ)保管用面積

内訳

前連結会計年度

(2024年3月31日現在)

当連結会計年度

(2025年3月31日現在)

所有庫

980,156㎡

991,307㎡

借庫

337,988㎡

337,111㎡

1,318,145㎡

1,328,417㎡

貸庫

465,941㎡

482,673㎡

差引実際保管用面積

852,203㎡

845,744㎡

 

(ロ)入出庫高及び保管残高

区分

前連結会計年度

(2023年4月~2024年3月)

当連結会計年度

(2024年4月~2025年3月)

入庫高

2,174千トン

2,328千トン

出庫高

2,197千トン

2,340千トン

保管残高

期末

635千トン

624千トン

期中平均

658千トン

630千トン

 

(ハ)貨物回転率(月平均)

区分

前連結会計年度

(2023年4月~2024年3月)

当連結会計年度

(2024年4月~2025年3月)

数量

27.8%

30.9%

 

 (注) 貨物回転率 =

出庫高(月平均)

 × 100

平均保管残高

 

(ⅱ)港湾運送業

事業別取扱数量

区分

前連結会計年度

(2023年4月~2024年3月)

当連結会計年度

(2024年4月~2025年3月)

沿岸荷役

873千トン

912千トン

一般荷捌

8,552千トン

8,691千トン

コンテナ荷捌

53,747千トン

54,491千トン

船内荷役

648千トン

642千トン

 

(ⅲ)国際輸送業

取扱数量

区分

前連結会計年度

(2023年4月~2024年3月)

当連結会計年度

(2024年4月~2025年3月)

国際輸送

12,427千トン

12,195千トン

 

 b. 不動産事業

 不動産賃貸面積

区分

前連結会計年度

(2024年3月31日現在)

当連結会計年度

(2025年3月31日現在)

賃貸ビル等

293,982㎡

272,337㎡

 

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであり、実際の業績等は様々な要因により大きく異なる可能性があります。

 

①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

当社グループにおきましては、2023年度から2025年度までの中期経営計画で掲げた目標達成に向けて、物流及び不動産の各事業戦略に基づく諸施策を遂行してまいりました。

物流事業では、国内においては、福岡市で建設を進めていた新倉庫を2025年1月に竣工させたほか、食品等の定温保管需要の高まりを捉えて一部倉庫施設で定温設備を増設しました。またDX推進の取組みとして、大阪市の配送センターで進めていた自動化機器の導入工事を2025年1月に完了させたほか、倉庫業や国際輸送業において業務のデジタル化・自動化を推進しました。一方、海外においては、東南アジア・欧州を中心とした新たな拠点の拡充に向けた検討に取り組みました。

不動産事業では、埼玉県三郷市における物流施設の共同開発に参画し、2025年1月から建設工事を開始しました。また2025年2月には東京都墨田区において賃貸用不動産物件を取得するなど、収益規模の拡大を図りました。

なお、事業全般においてコスト上昇に対応する適正料金の収受に努めました。

この結果、当期の経営成績等は以下のとおりとなりました。

 

 a. 経営成績

(営業収益)

物流事業では、倉庫収入は、輸送機器用部品及び地金等の取扱いが増加したことから、321億38百万円(前期比2.3%増)となりました。港湾運送収入は、一般荷捌及びコンテナ荷捌の取扱いが堅調に推移したことから、325億34百万円(前期比7.2%増)となりました。国際輸送収入は、当社において国際一貫輸送、プロジェクト輸送及び航空貨物の取扱増加に伴い増収となり、海外子会社も取扱いは減少したものの円安効果により増収となったことから、548億75百万円(前期比8.3%増)となりました。陸上運送ほか収入は、eコマース関連に係る輸送等の取扱いが増加したことから、631億61百万円(前期比2.8%増)となりました。以上の結果、物流事業の営業収益は1,827億10百万円(前期比5.1%増)となりました。

不動産事業では、前期に取得した賃貸用オフィスビルの寄与及び海外からの訪日客数増加に伴う一部の賃貸用不動産の稼働率上昇はあったものの、移転補償金の対象となった当社建物からのテナント退去に伴う賃貸料の減少のほか、不動産販売収入が減少したことから、営業収益は112億74百万円(前期比0.8%減)となりました。

以上から、セグメント間の内部営業収益5億85百万円を控除した営業収益は、1,933億98百万円(前期比4.7%増)となりました。

 

(営業原価、販売費及び一般管理費)

営業原価は、人件費等の増加により1,702億2百万円(前期比4.8%増)となりました。販売費及び一般管理費も同様の理由により、99億20百万円(前期比9.0%増)となりました。

 

(営業利益)

物流事業では、人件費等が増加したものの増収効果により140億69百万円(前期比5.4%増)となりました。不動産事業では、不動産取得税等の減少により54億13百万円(前期比1.7%増)となりました。

以上から、各セグメントに帰属しない全社費用等62億7百万円を控除した営業利益は、132億75百万円(前期比0.7%増)となりました。

 

(経常利益)

経常利益は、受取配当金等が増加したことにより174億97百万円(前期比3.7%増)となりました。

 

(親会社株主に帰属する当期純利益)

親会社株主に帰属する当期純利益は、当社建物に係る移転補償金等を特別利益に計上したことにより、200億65百万円(前期比60.6%増)となりました。

 

次期につきましては、物流事業において倉庫、港湾運送及び陸上運送における貨物取扱量の堅調な推移が予想される一方、人件費等のコストの増加が見込まれます。不動産事業においては移転補償金の対象となった当社建物の引き渡しに伴う賃貸料の減少が見込まれる一方、収益規模の拡大を図るため販売用不動産の売却を予定しております。

この結果、当社グループの次期の営業収益は当期を1.9%上回る1,970億円、営業利益は当期を9.6%下回る120億円、経常利益は当期を6.8%下回る163億円を予想しております。親会社株主に帰属する当期純利益は政策保有株式縮減に伴う投資有価証券売却益の計上を見込み、当期を13.3%下回る174億円を予想しております。

なお、政策保有株式の縮減については2023年度を開始年度とする第五次中期経営計画において2028年3月までに約100億円縮減することとしておりましたが、これを2年前倒しのうえ2026年3月期に残りの約60億円を売却しこれを完了することとしております。

 

また、米国の高関税政策の影響については現時点では先行きが不透明であるため、今後の業績見通しには反映しておりません。

 

 b. 財政状態

資産合計は、受取補償金に係る「その他流動資産(未収入金)」の増加等により、4,398億47百万円(前期末比0.7%増)となりました。負債合計は、社債の償還等により、1,657億1百万円(前期末比3.7%減)となりました。純資産合計は、親会社株主に帰属する当期純利益の計上に伴う「利益剰余金」の増加等により、2,741億45百万円(前期末比3.5%増)となりました。

 

②キャッシュ・フローの状況・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

 a. 連結キャッシュ・フロー

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益の計上及び減価償却による資金の留保等により、317億33百万円の増加(前期は220億34百万円の増加)となりました。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動によるキャッシュ・フローは、賃貸用医療施設等の有形固定資産取得による支出等により、100億45百万円の減少(前期は160億19百万円の減少)となりました。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動によるキャッシュ・フローは、社債の償還、配当金の支払い及び自己株式の取得等により、252億73百万円の減少(前期は50億15百万円の減少)となりました。

 

当期の連結キャッシュ・フローは、以上の結果に「現金及び現金同等物に係る換算差額」(5億87百万円)を加えた合計で29億96百万円の減少となり、現金及び現金同等物の当期末残高は、449億50百万円となりました。

 

 b. 資本の財源及び資金の流動性

当社グループの資金の源泉は、主として営業キャッシュ・フローによる内部資金、社債の発行及び金融機関からの借入によっております。

営業費用等の運転資金及び設備投資資金については、主として営業キャッシュ・フローによる内部資金で賄うほか、必要に応じて社債の発行及び金融機関からの借入を行っております。調達時期及び方法については、事業計画に基づく資金需要、金利動向及び起債環境等を考慮の上、決定しております。当期末における社債、借入金等を含む有利子負債の残高は816億27百万円、現金及び現金同等物の残高は449億50百万円となっております。

次期のキャッシュ・フローの見通しについては、利益の計上、減価償却費等の資金の留保及び補償金の受取りによる収入等がありますが、埼玉県三郷市における物流施設建設等の設備投資や社債の償還による支出等が予定されるため、現金及び現金同等物の期末残高は当期末を下回ると予想しております。

なお、資金の流動性を確保するため、金融機関と当座勘定借越契約を締結しております。なお、当社は、㈱日本格付研究所から「AA-」の長期発行体格付を取得しております。

株主還元につきましては、「第4 提出会社の状況 3 配当政策」に記載のとおり、当社は2023年度を初年度とする3か年の中期経営計画を定め、中長期視点での企業価値向上のために必要な事業投資を継続したうえで、剰余金の配当については1株につき年額100円をミニマムとし、各事業年度の収益力の向上を考慮しつつ、自己資本配当率(DOE:Dividend on Equity)3.5~4.0%を目安として実施する方針としております。このような方針のもと、次期の年間配当金につきましては、1株につき103円(中間・期末ともに1株につき51円50銭)とさせていただく予定です。なお、本中期経営計画におきましても、経済情勢、市場動向並びに事業投資及び利益水準を勘案しながら、自己株式の取得を機動的に実施することとしております。

 

③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況」における「1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。

 

 

5【重要な契約等】

 該当事項はありません。

 

6【研究開発活動】

 該当事項はありません。