(1) 業績
当連結会計年度におけるわが国経済は、企業収益や個人消費に堅調さがみられ、景気は緩やかな回復基調となっているものの、欧米の政治情勢への不安感もあり先行き不透明な状況が続きました。
このような経済情勢にあって、物流業界では国内貨物、輸出入貨物の荷動きはともに堅調に推移しました。また、不動産業界では都市部におけるオフィスビルの空室率は低下傾向にあるものの、賃料相場は上昇には至らず、引き続き厳しい状況で推移しました。
このような事業環境のもと、当社グループは、中期経営計画「Step Up 2016」の事業戦略を着実に進めてまいりました。物流事業においては、消費財を中心とした物流一括受託業務や流通加工業務の拡販のほか、国内外の拠点における新規営業活動に努めてまいりました。また、不動産事業においては、既存施設の計画的な保守および改良工事を実施し、現有資産の付加価値向上に努めました。
この結果、当連結会計年度の営業収益は、不動産事業での賃貸収入減や、物流施設賃貸での一時収入(約6億9千万円)の解消という減収要因はあったものの、物流事業において日用品や飲料など消費財の取扱いが増加したことにより、前期比13億1千8百万円(2.3%)増の580億8千1百万円となりました。営業利益は、物流事業における大型拠点の採算性向上や取扱量の増加による稼働率の上昇、前期に取引を開始した物流施設賃貸の通期寄与などにより、同6億3千5百万円(22.9%)増の34億6百万円となり、経常利益も同6億9千9百万円(25.8%)増の34億1千3百万円となりました。また、親会社株主に帰属する当期純利益については、一部資産の減損損失を計上したものの同7千1百万円(4.3%)増の17億5千3百万円となりました。
当社グループのセグメントの概況は、次のとおりでございます。
① 物流事業
倉庫業務は、日用品の取扱いや昨年稼働した拠点の本格稼働に伴う飲料の取扱いが増加したことにより、営業収益は前期比17億5百万円(15.9%)増の124億5千5百万円となりました。
港湾運送業務は、船内荷役の取扱いは低調であったものの、消費財関連の輸出入貨物取扱いが堅調に推移し、営業収益は前期並みの55億3千2百万円となりました。
陸上運送業務は、日用品などの輸配送業務が伸長し、営業収益は前期比3億2百万円(1.1%)増の289億3千1百万円となりました。
国際輸送業務は、航空貨物の取扱いは輸入を中心に増加したものの、国際一貫輸送業務が低調に推移し、営業収益は前期比5千6百万円(1.6%)減の35億7千4百万円となりました。
その他の物流業務は、物流施設賃貸の新規取引開始はあったものの、前期にあったテナント仕様への追加工事に伴う付加賃料の一括収受がなくなったことにより、営業収益は前期比5億5千万円(21.7%)減の19億9千1百万円となりました。
この結果、物流事業全体の営業収益は前期比14億1百万円(2.7%)増の524億8千5百万円となりました。営業費用は、前期にあったテナント仕様への追加工事費や新倉庫の竣工に伴う不動産取得税等の一時費用は解消したものの、業務の増加に伴う費用増や、新設物流拠点の賃借料増加などにより、前期比7億3千1百万円(1.5%)増の501億1千7百万円となりました。以上により、営業利益は前期比6億6千9百万円(39.4%)増の23億6千7百万円となりました。
② 不動産事業
施設のフル稼働に伴い空調使用料などの不動産付帯収入は増加したものの、一部施設の賃料改定により不動産賃貸収入が減少し、営業収益は前期比8千2百万円(1.4%)減の56億7千7百万円となりました。営業費用は、ビル管理に係る作業費や、減価償却費、光熱動力費などが減少し、前期比1億8千万円(5.9%)減の28億8千4百万円となりました。以上により、営業利益は前期比9千8百万円(3.6%)増の27億9千2百万円となりました。
(注) 消費税等の会計処理は、税抜き方式によっているため、上記営業収益等に消費税等は含まれておりません。
以下の記載事項においても同様であります。
(2) キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度の連結キャッシュ・フローは、投資活動によるキャッシュ・フローおよび財務活動によるキャッシュ・フローの減少がありましたが、営業活動によるキャッシュ・フローの増加により、全体で26億9千1百万円の増加となり、現金及び現金同等物の期末残高は99億8千1百万円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度の営業活動によるキャッシュ・フローは、法人税等の支払いがあったものの、税金等調整前当期純利益および減価償却費の計上による資金留保等により、57億2千9百万円の増加となりました。
なお、当連結会計年度のキャッシュ・フローが前連結会計年度に比べ32億8千8百万円上回りましたのは、法人税等の支払の減少等によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度の投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産の取得による支出、無形固定資産の取得による支出および投資有価証券の取得による支出等があったため、21億9千2百万円の減少となりました。
なお、当連結会計年度のキャッシュ・フローが前連結会計年度に比べ26億7千3百万円上回りましたのは、投資有価証券の取得による支出が増加したものの、有形固定資産の取得による支出が減少したこと等によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度の財務活動によるキャッシュ・フローは、長期借入れによる収入があったものの、長期借入金の約定返済や配当金の支払いがあったため、8億3千1百万円の減少となりました。
なお、当連結会計年度のキャッシュ・フローが前連結会計年度に比べ20億1百万円上回りましたのは、長期借入金の返済による支出が増加したものの、長期借入れによる収入が増加したこと等によるものであります。
(1) 物流事業
倉庫業の保管能力を示す倉庫面積のほかに、営業能力を表す適当な指標をもたないので、所管倉庫の明細を次に示します。
|
平成29年3月31日現在 |
|
地区 |
所管面積 |
貸庫面積 (㎡) |
保管面積 (㎡) |
||
|
所有庫(㎡) |
借庫(㎡) |
計(㎡) |
|||
|
東京 |
9,816 |
20,318 |
30,135 |
- |
30,135 |
|
神奈川 |
33,950 |
23,112 |
57,063 |
- |
57,063 |
|
千葉 |
19,983 |
21,596 |
41,579 |
- |
41,579 |
|
名古屋 |
25,011 |
- |
25,011 |
- |
25,011 |
|
大阪 |
34,278 |
- |
34,278 |
- |
34,278 |
|
神戸 |
85,550 |
3,043 |
88,594 |
- |
88,594 |
|
九州 |
3,219 |
- |
3,219 |
- |
3,219 |
|
北海道 |
9,233 |
2,391 |
11,625 |
- |
11,625 |
|
その他 |
23,535 |
30,973 |
54,508 |
- |
54,508 |
|
計 |
244,580 |
101,435 |
346,015 |
- |
346,015 |
|
所管面積に占める割合(%) |
70.7 |
29.3 |
100.0 |
- |
100.0 |
|
前年同期比(㎡) |
△147 |
3,043 |
2,896 |
- |
2,896 |
(注)1.保管面積は倉庫業法に基づく保管用面積(野積面積を除く)であります。
2.上表のほか、保管施設として上屋(港湾運送事業)16,743㎡があります。
(2) 不動産事業
当連結会計年度末における賃貸ビル等の面積は次のとおりであります。
|
項目 |
面積(㎡) |
前年同期比 |
|||
|
前連結会計年度 (平成28年3月31日現在) |
当連結会計年度 (平成29年3月31日現在) |
面積 (㎡) |
比率 (%) |
||
|
賃貸ビル面積 |
99,880 |
99,880 |
- |
100.0 |
|
3【営業実績】
(1) 事業別営業収入の状況
当連結会計年度の営業収益をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
営業収益(百万円) |
前年同期比 |
|||
|
前連結会計年度 (自 平成27年4月1日 至 平成28年3月31日) |
当連結会計年度 (自 平成28年4月1日 至 平成29年3月31日) |
金額 (百万円) |
比率 (%) |
||
|
物流事業 |
51,084 |
52,485 |
1,401 |
102.7 |
|
|
不動産事業 |
5,759 |
5,677 |
△82 |
98.6 |
|
|
報告セグメント計 |
56,843 |
58,162 |
1,318 |
102.3 |
|
|
セグメント間の内部営業収益又は 振替高 |
△80 |
△81 |
△0 |
- |
|
|
合計 |
56,762 |
58,081 |
1,318 |
102.3 |
|
(注)最近2連結会計年度の主な相手先の営業収益および当該営業収益の連結営業収益合計に対する割合は次のとおりであります。
|
相手先 |
前連結会計年度 (自 平成27年4月1日 至 平成28年3月31日) |
当連結会計年度 (自 平成28年4月1日 至 平成29年3月31日) |
|||
|
金額(百万円) |
割合(%) |
金額(百万円) |
割合(%) |
||
|
プロクター・アンド・ギャンブル・ジャパン㈱ |
5,876 |
10.3 |
6,567 |
11.3 |
|
(2) 業務別営業実績
(イ) 倉庫の入出庫高および保管残高
当連結会計年度における貨物の入出庫高の期中合計および月末保管残高年間合計、月末保管残高年間平均は次のとおりであります。
(a) 入出庫高および保管残高(数量)
|
項目 |
数量(トン) |
前年同期比 |
|||
|
前連結会計年度 (自 平成27年4月1日 至 平成28年3月31日) |
当連結会計年度 (自 平成28年4月1日 至 平成29年3月31日) |
数量 (トン) |
比率 (%) |
||
|
入庫高 |
1,826,748 |
1,973,163 |
146,415 |
108.0 |
|
|
出庫高 |
1,782,371 |
2,007,592 |
225,221 |
112.6 |
|
|
合計 |
3,609,119 |
3,980,755 |
371,636 |
110.3 |
|
|
月末保管残高 |
年間合計 |
2,189,326 |
2,277,000 |
87,674 |
104.0 |
|
年間平均 |
182,444 |
189,750 |
7,306 |
104.0 |
|
(b) 入出庫高および保管残高(金額)
|
項目 |
金額(百万円) |
前年同期比 |
|||
|
前連結会計年度 (自 平成27年4月1日 至 平成28年3月31日) |
当連結会計年度 (自 平成28年4月1日 至 平成29年3月31日) |
金額 (百万円) |
比率 (%) |
||
|
入庫高 |
799,122 |
791,277 |
△7,844 |
99.0 |
|
|
出庫高 |
805,231 |
789,466 |
△15,765 |
98.0 |
|
|
合計 |
1,604,354 |
1,580,744 |
△23,610 |
98.5 |
|
|
月末保管残高 |
年間合計 |
868,592 |
898,056 |
29,464 |
103.4 |
|
年間平均 |
72,382 |
74,838 |
2,455 |
103.4 |
|
(ロ) 倉庫の品目別保管残高
当連結会計年度末における品目別保管残高は次のとおりであります。
(a) 品目別保管残高(数量)
|
品目 |
数量(トン) |
前年同期比 |
構成比 (%) |
||
|
前連結会計年度 (平成28年3月31日現在) |
当連結会計年度 (平成29年3月31日現在) |
数量 (トン) |
比率 (%) |
||
|
農水産品 |
19,482 |
16,249 |
△3,233 |
83.4 |
8.8 |
|
金属 |
1,246 |
818 |
△428 |
65.7 |
0.5 |
|
金属製品機械 |
6,628 |
5,407 |
△1,221 |
81.6 |
2.9 |
|
窯業品 |
419 |
233 |
△186 |
55.6 |
0.1 |
|
その他の化学工業品 |
31,240 |
33,533 |
2,293 |
107.3 |
18.2 |
|
紙・パルプ |
996 |
827 |
△169 |
83.0 |
0.5 |
|
繊維工業品 |
42,837 |
4,126 |
△38,711 |
9.6 |
2.3 |
|
食料工業品 |
40,006 |
50,300 |
10,294 |
125.7 |
27.3 |
|
雑工業品 |
21,644 |
18,954 |
△2,690 |
87.6 |
10.3 |
|
雑品 |
53,957 |
53,579 |
△378 |
99.3 |
29.1 |
|
合計 |
218,455 |
184,026 |
△34,429 |
84.2 |
100.0 |
(b) 品目別保管残高(金額)
|
品目 |
金額(百万円) |
前年同期比 |
構成比 (%) |
||
|
前連結会計年度 (平成28年3月31日現在) |
当連結会計年度 (平成29年3月31日現在) |
金額 (百万円) |
比率 (%) |
||
|
農水産品 |
3,978 |
3,309 |
△669 |
83.2 |
4.7 |
|
金属 |
1,309 |
414 |
△895 |
31.6 |
0.6 |
|
金属製品機械 |
6,142 |
6,403 |
260 |
104.2 |
9.1 |
|
窯業品 |
288 |
170 |
△118 |
59.1 |
0.2 |
|
その他の化学工業品 |
11,915 |
10,770 |
△1,144 |
90.4 |
15.4 |
|
紙・パルプ |
214 |
185 |
△28 |
86.6 |
0.3 |
|
繊維工業品 |
3,924 |
3,750 |
△173 |
95.6 |
5.3 |
|
食料工業品 |
16,562 |
20,839 |
4,276 |
125.8 |
29.7 |
|
雑工業品 |
9,311 |
8,116 |
△1,195 |
87.2 |
11.6 |
|
雑品 |
14,686 |
16,184 |
1,497 |
110.2 |
23.1 |
|
合計 |
68,332 |
70,143 |
1,810 |
102.6 |
100.0 |
(ハ) 倉庫の貨物回転率および利用率
倉庫業の成績を示すものに、上記の貨物保管残高のほかに、貨物の荷動き状況を示す貨物回転率と倉庫施設の利用状況を示す利用率の指標があります。当連結会計年度の実数を示すと次のとおりであります。
(a) 貨物回転率
|
項目 |
貨物回転率(%) |
前年同期比 (ポイント) |
||
|
前連結会計年度 (自 平成27年4月1日 至 平成28年3月31日) |
当連結会計年度 (自 平成28年4月1日 至 平成29年3月31日) |
|||
|
数量 |
82.4 |
87.4 |
+5.0 |
|
|
金額 |
92.4 |
88.0 |
△4.4 |
|
|
(注)算定方式 |
貨物回転率 = |
(年間入庫高+年間出庫高)×1/2 |
× 100 |
|
月末保管残高年間合計 |
(b) 利用率
|
倉庫の種類 |
前連結会計年度 (自 平成27年4月1日 至 平成28年3月31日) |
当連結会計年度 (自 平成28年4月1日 至 平成29年3月31日) |
前年同期比 (ポイント) |
||||
|
保管面積 (㎡) |
在貨面積 (㎡) |
利用率 (%) |
保管面積 (㎡) |
在貨面積 (㎡) |
利用率 (%) |
||
|
一~三類倉庫 |
347,656 |
251,867 |
72.4 |
345,632 |
253,749 |
73.4 |
+1.0 |
|
野積倉庫 |
1,868 |
600 |
32.1 |
1,868 |
610 |
32.7 |
+0.6 |
(注)上記は月末平均であります。
|
算定方式 |
利用率 = |
在貨面積 |
× 100 |
|
保管面積 |
(ニ) 港湾運送業の取扱数量の状況
当連結会計年度における船内荷役、はしけ運送および沿岸荷役取扱量は次のとおりであります。
|
項目 |
取扱数量(トン) |
前年同期比 |
|||
|
前連結会計年度 (自 平成27年4月1日 至 平成28年3月31日) |
当連結会計年度 (自 平成28年4月1日 至 平成29年3月31日) |
取扱数量 (トン) |
比率 (%) |
||
|
船内荷役 |
1,404,117 |
1,358,052 |
△46,065 |
96.7 |
|
|
はしけ運送 |
- |
2,329 |
2,329 |
- |
|
|
沿岸荷役 |
517,847 |
514,000 |
△3,847 |
99.3 |
|
|
合計 |
1,921,964 |
1,874,381 |
△47,583 |
97.5 |
|
(ホ) 陸上運送業の営業収入の状況
当連結会計年度における陸上運送およびこれに付帯する業務による収入は次のとおりであります。
|
項目 |
金額(百万円) |
前年同期比 |
|||
|
前連結会計年度 (自 平成27年4月1日 至 平成28年3月31日) |
当連結会計年度 (自 平成28年4月1日 至 平成29年3月31日) |
金額 (百万円) |
比率 (%) |
||
|
陸上運送収入 |
25,356 |
25,534 |
178 |
100.7 |
|
|
陸送付帯収入 |
3,272 |
3,396 |
124 |
103.8 |
|
|
合計 |
28,628 |
28,931 |
302 |
101.1 |
|
(注) 上記の営業収入は、「セグメント間の内部営業収益又は振替高」を含んでおります。
(ヘ) 物流事業の業務別営業収入状況
当連結会計年度における物流事業の業務別営業収入は次のとおりであります。
|
業務別 |
金額(百万円) |
前年同期比 |
|||
|
前連結会計年度 (自 平成27年4月1日 至 平成28年3月31日) |
当連結会計年度 (自 平成28年4月1日 至 平成29年3月31日) |
金額 (百万円) |
比率 (%) |
||
|
倉庫業務 |
保管料 |
5,521 |
6,551 |
1,030 |
118.7 |
|
荷役料 |
5,228 |
5,904 |
675 |
112.9 |
|
|
港湾運送業務 |
5,532 |
5,532 |
0 |
100.0 |
|
|
陸上運送業務 |
28,628 |
28,931 |
302 |
101.1 |
|
|
国際輸送業務 |
3,631 |
3,574 |
△56 |
98.4 |
|
|
その他 |
2,541 |
1,991 |
△550 |
78.3 |
|
|
合計 |
51,084 |
52,485 |
1,401 |
102.7 |
|
(注)上記の営業収入は、「セグメント間の内部営業収益又は振替高」を含んでおります。
今後のわが国経済は、企業活動や個人消費が底堅く推移すると予測されるものの、海外の政治や経済動向による下振れ要因があり、先行き不透明な状況が続くものと思われます。
今後の対処すべき経営課題は、「物流事業の収益力強化」と「保有資産の付加価値増大」であり、具体的な対策方針・計画は「8 財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 ③ 経営者の問題認識と今後の方針について」に記述しています。
なお、株式会社の支配に関する基本方針につきましては、以下のとおりに定めております。
① 基本方針の内容
当社は、当社の財務および事業の方針の決定を支配する者は、当社の財務および事業の内容ならびに企業価値の源泉を理解し、当社の企業価値・株主共同の利益を継続的かつ持続的に確保し、向上させていくことを可能とする者である必要があると考えております。
当社は、株式の大量買付であっても、当社の企業価値・株主共同の利益に資するものであれば、これを一概に否定するものではありません。また、株式会社の支配権の移転を伴う買収提案についての判断は、最終的には株主の皆様の全体の意思に基づいて行われるべきものと考えております。
しかしながら、株式の大量買付の中には、その目的等から見て企業価値・株主共同の利益に対する明白な侵害をもたらすもの、株主の皆様に株式の売却を事実上強要するおそれのあるもの、対象会社の取締役会や株主の皆様が株式の大量買付の内容等を検討し、あるいは対象会社の取締役会が代替案を提案するための十分な時間や情報を提供しないもの、対象会社が買収者の提示した条件よりも有利な条件をもたらすために買収者との交渉を必要とするもの等、対象会社の企業価値・株主共同の利益に資さないものも少なくありません。
そもそも、当社がニーズの多様化に対応した高品質なサービスを提供し、企業価値・株主共同の利益を確保・向上させていくためには、(ⅰ)物流事業と不動産事業を両輪とするビジネスモデル、(ⅱ)物流事業における効率化ソリューションと不動産事業における資産有効活用のノウハウ、(ⅲ)健全な財務体質、(ⅳ)専門性を有する人材の育成と確保、(ⅴ)取引先との信頼関係、および(ⅵ)創業以来の企業文化等が不可欠であり、物流事業と不動産事業の均衡がとれた発展が保障されなければなりません。
これらが当社の株式の大量買付を行う者により中長期的に確保され、向上させられるのでなければ、当社の企業価値・株主共同の利益は毀損されることになります。また、買収者からの大量買付の提案を受けた際には、上記事項のほか、当社の有形無形の経営資源、将来を見据えた施策の潜在的効果その他当社の企業価値を構成する事項等、さまざまな事項を適切に把握したうえ、当該買付が当社の企業価値・株主共同の利益に及ぼす影響を判断する必要があり、かかる情報が明らかにされないまま大量買付が強行される場合には、当社の企業価値・株主共同の利益が毀損される可能性があります。
そこで、このような当社の企業価値・株主共同の利益に資さない大量買付を行う者は、当社の財務および事業の方針の決定を支配する者として不適切であり、このような者による大量買付に対しては、当社は必要かつ相当な対抗措置を採ることにより、当社の企業価値ひいては株主共同の利益の確保をはかる必要があると考えております。
② 基本方針実現のための取組の具体的な内容の概要
(a) 基本方針の実現に資する特別な取組の概要
当社は、上記基本方針を実現するため、創業120周年の節目の年を越え、次なる10年へのスタートにあたり、当社の企業理念である「チャレンジ・クリエイト・コオペレイト」の原点に今一度立ち返り、将来の飛躍に向けた新しい取組への挑戦を通じて、収益力向上と成長力強化を果たし、特色ある物流企業としての地位を確固たるものにすることを目指し、3ヵ年の中期経営計画「Step Up 2019」を2017年度からスタートさせております。
事業戦略としては、(ⅰ)国内物流事業における消費財物流の拡充と高付加価値業務の拡大、(ⅱ)海外物流事業における中長期の成長に向けた事業基盤の強化、(ⅲ)不動産事業における資産価値向上と収益基盤の強化、(ⅳ)経営基盤の強化促進を、それぞれ掲げて、これらの実現に取り組んでおります。
また、当社は、当社事業の公共性をも踏まえ、当社事業の持続的成長を実現することを旨としており、その社会的使命と責任を果たすため、平成27年11月「コーポレートガバナンス方針」を策定し、(ⅰ)政策保有株式に関する方針、(ⅱ)取締役の指名・報酬に関する基準、(ⅲ)社外役員の独立性の基準、(ⅳ)株主との対話の方針、(ⅴ)資本政策の方針等を定めております。また、複数の社外取締役および複数の社外監査役による経営の監視機能を充実させるとともに、取締役会の諮問機関として社外取締役2名を含むガバナンス委員会を設置することにより、コーポレート・ガバナンスの強化をはかっております。
(b) 基本方針に照らして不適切な者が支配を獲得することを防止するための取組の概要
当社は、平成28年5月24日開催の取締役会および平成28年6月29日開催の当社第169期定時株主総会の決議に基づき、当社株式の大量取得行為に関する対応策(買収防衛策)の内容を一部変更したうえで、これを更新いたしました(以下、変更後の対応策を「本プラン」といいます。)。
本プランは、当社の企業価値ひいては株主共同の利益に反する大量買付を抑止するとともに大量買付が行われる際に、当社取締役会が株主の皆様に代替案を提案したり、あるいは株主の皆様がかかる大量買付に応じるべきか否かを判断するために必要な情報や時間を確保すること、株主の皆様のために交渉を行うこと等を可能にすることを目的としています。
本プランは、当社株券等の20%以上を買収しようとする者が現れた際に、買収者に事前の情報提供を求める等、上記の目的を実現するために必要な手続を定めております。
買収者は、本プランに係る手続に従い、当社取締役会において本プランを発動しない旨が決定された場合に当該決定時以降に限り当社株券等の大量買付を行うことができるものとされています。買収者が本プランに定められた手続に従わない場合や当社株券等の大量買付が当社の企業価値ひいては株主共同の利益を毀損するおそれがある場合等で、本プラン所定の発動要件を充たす場合には、当社は、買収者等による権利行使は原則として認められないとの行使条件および当社が買収者等以外の者から当社株式と引換えに新株予約権を取得できる旨の取得条項が付された新株予約権を、その時点の当社を除くすべての株主の皆様に対して新株予約権無償割当ての方法により割当てます。本プランに従って、新株予約権の無償割当てがなされ、その行使または当社による取得に伴って買収者以外の株主の皆様に当社株式が交付された場合には、買収者の有する当社の議決権割合は、最大約50%まで希釈化される可能性があります。
当社は、本プランに従った新株予約権の無償割当ての実施、不実施または取得等の判断については、取締役会の恣意的判断を排するため、当社経営陣から独立した社外取締役および社外監査役のみから構成される独立委員会を設置し、その客観的な判断を経るものとしております。また、当社取締役会は、これに加えて、本プラン所定の場合には、株主総会を招集し、株主の皆様の意思を確認することがあります。こうした手続の過程については、適宜株主の皆様に対して情報開示がなされ、その透明性を確保することにしております。
③ 具体的取組に対する当社取締役会の判断およびその理由
当社の事業活動方針およびコーポレート・ガバナンスの強化等の各施策は、当社グループの企業価値・株主共同の利益を継続的かつ持続的に向上させるための具体的方策として策定されたものであり、まさに当社の基本方針に沿うものです。
また、本プランは、企業価値ひいては株主共同の利益を確保・向上させる目的をもって更新されたものであり、当社の基本方針に沿うものです。特に、本プランは、株主総会において株主の皆様の承認を得たうえで更新されたものであること、当社取締役会は一定の場合に、本プランの発動の是非等について株主の皆様の意思を確認するとされていること、本プランの有効期間は約3年と定められたうえ、株主総会の決議によりいつでも廃止できるとされていることなどから株主の皆様の意思を重視していること、独立性を有する社外取締役等のみから構成される独立委員会が設置されており、本プランの発動に際しては独立委員会の勧告を必ず経ることが必要とされていること、その内容として合理的な客観的要件が設定されていることなどにより、その公正性・客観性が担保されており、企業価値ひいては株主共同の利益に資するものであって、当社の役員の地位の維持を目的とするものではありません。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。
なお、文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において当社グループが判断したものであります。
① 事業環境の変化
当社グループは、倉庫業ならびに陸・海・空にわたる運輸業を主体とした物流事業と不動産賃貸業を中心とする不動産事業を主たる事業としておりますが、物流事業においては、国内外の経済環境や社会情勢の変動および天候等による景気動向の変化が、当社グループの業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。
また、不動産事業においても施設の改善と機能拡充を推進しておりますが、首都圏における賃貸オフィス市場の需給バランスの変化や市況動向等の影響を受ける可能性があります。
② 特有の法的規制等に係るもの
当社グループの物流事業は、国内外において法的許認可を事業基盤としており、施設、設備の安全性や車両等の安全運行のために、国際機関および各国政府の法令、規制等様々な公的規制を受けております。また、事業推進に当たっては通商、租税、為替管理、環境、公正取引等に関する法規制の適用を受けております。今後、これらの法的規制の改廃や新たな法的規制が設けられる場合には、当社グループの事業および業績に影響を与える可能性があります。
③ 自然災害の発生
当社グループは、物流事業と不動産事業を展開するにあたり多くの施設を有しております。そのため、地震や台風等の自然災害が発生し、当社グループの施設が被災した場合、当社グループの業績および財務状況に多大な影響を及ぼす可能性があります。
なお、当社の保有施設につきましては、適切な補償範囲にて企業財産包括保険を付保するとともに、建物の耐震対策として、昭和56年建築基準法改正以前の耐震基準の設計による建物について、必要に応じ耐震診断を行い、耐震性能が不充分な建物については現行基準並みの耐震補強工事を順次実施しております。
④ 車両燃料油価格の変動
当社グループの物流事業では、車両運行のための燃料の調達が不可欠なものとなっております。燃料費については、調達コストの平準化・削減に努めておりますが、燃料油の市場価格は概ね原油価格に連動しており、世界の景気動向、産油地域の情勢、米国を中心とする在庫水準、投機資金の流入等により影響を受ける可能性があり、燃料油価格の上昇は、当社グループの業績に重要な影響を及ぼす可能性があります。
⑤ 金利の変動
当社グループは、賃貸不動産や倉庫施設等の新設や更新のため、継続的な設備投資を行っております。有利子負債の削減に努めておりますが、運転資金および設備資金は主として外部借入れにて調達しております。固定金利での借入れや金利スワップ取引により金利の固定化を進めておりますが、変動金利で調達している資金については、金利変動の影響を受けます。また、金利の変動により、将来の資金調達コストが影響を受ける可能性があります。
⑥ システムトラブルによる影響
当社グループは、各種物流情報システムを構築し、インターネットを介して顧客との情報交換を行っておりますが、外部からの不正なアクセスによるシステム内部への侵入や、コンピュータウイルスの感染等の障害が発生する可能性があります。このため、ウイルス対策ソフト等を導入し、安全対策には万全を期しております。また、大地震、大規模停電への対策として、遠隔地でのデータ・バックアップ・センターの配備をしております。万が一システムのトラブルが発生した場合には、顧客との情報交換のための代替手段を準備しておりますが、復旧までの間、作業効率の低下を来たす可能性があります。
⑦ 個人情報漏洩等の発生
当社グループは、物流事業におけるトランクルーム、引越業務等において、個人情報を取り扱っております。当社グループでは情報保護方針を定め、当方針に基づき策定した「情報保護規程」をすべての役職員が遵守することにより、個人情報漏洩等の予防に努めております。しかしながら、予期せぬ不正アクセスやコンピュータウイルス等の不法行為による個人情報漏洩が発生した場合には、損害賠償請求等により、当社グループの事業および業績に重大な影響を及ぼす可能性があります。
なお、このようなリスクに備えるため、賠償責任保険を付保しております。
また、当社グループは、「情報セキュリティマネジメントシステム(ISMS)」の認証を平成17年12月16日に取得し、平成26年12月16日に「ISO/IEC 27001:2013」へ移行しております。
⑧ 保有資産の時価変動
当社グループは、減損会計基準およびその適用指針に基づき、平成18年3月期より固定資産の減損会計を適用しております。今後、保有資産の時価の下落あるいは当該資産の収益性悪化等により、減損処理の手順に従い減損損失を認識した場合には、当社グループの業績および財務状態に影響を及ぼす可能性があります。
また、当期末における当社グループの投資有価証券残高は145億8千6百万円であります。将来において投資先の業績不振や証券市場における市況の悪化等により時価あるいは実質価額が下落し、かつ回復の可能性があると認められない場合には、当社グループの業績および財務状態に影響を及ぼす可能性があります。
⑨ 海外への事業展開
当社グループは、海外においては、現地子会社等や代理店との連携により、事業活動を行っておりますが、現地の法令規制の改廃や税制等の変更、為替相場の変動あるいは事業活動に不利な政治または経済要因の発生、戦争・テロ・伝染病などの社会的混乱により、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
⑩ 退職給付債務
当社グループでは、従業員の退職給付費用および債務は、割引率や年金資産の期待運用収益率等の数理計算上で設定される前提条件に基づいて算出されております。これらの数値は将来に対する予測に基づくものであり、今後の退職給付債務の割引率低下や年金資産の運用実績の悪化等が生じた場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。当社は、これらのリスクを緩和するため、平成18年4月より確定拠出年金制度を一部導入しております。
該当事項はありません。
該当事項はありません。
文中における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(平成29年6月29日)現在において当社グループが判断したものであります。
① 当連結会計年度の財政状態の分析
当社グループの連結会計年度末の資産の残高は、前連結会計年度末に比べ38億2千4百万円(4.2%)増加して952億3千万円となりました。このうち流動資産は32億9千4百万円(15.2%)増加し249億8百万円となり、固定資産は5億3千9百万円(0.8%)増加し703億1千万円となりました。固定資産のうち有形固定資産は、前連結会計年度末に比べ20億8千6百万円(3.9%)減少して514億2百万円となりました。この主な要因は、減損損失の計上および減価償却費が計上されたことによるものであります。また、投資その他の資産は19億6千8百万円(13.5%)増加し165億6千8百万円となりましたが、この主な要因は、投資有価証券の時価評価差額の増加等によるものであります。
連結会計年度末の負債の残高は、前連結会計年度末に比べ16億7千4百万円(3.2%)増加して534億3千3百万円となりました。このうち流動負債は45億7千万円(24.5%)減少し141億4百万円となり、固定負債は62億4千4百万円(18.9%)増加し393億2千8百万円となりました。流動負債の減少の主な要因は、1年内返済予定の長期借入金が減少したこと等によるものであり、固定負債の増加の主な要因は、長期借入金の増加等によるものであります。
連結会計年度末の純資産の残高は、前連結会計年度末に比べ21億5千万円(5.4%)増加して417億9千7百万円となりました。この主な要因は、親会社株主に帰属する当期純利益が計上およびその他有価証券評価差額金が増加したこと等によるものであります。
上記の結果、自己資本比率は、前連結会計年度末の42.3%から42.9%となり、また、1株当たり純資産額は508円80銭から537円26銭となりました。
なお、キャッシュ・フローの分析については、「第2 事業の状況」の「1 業績等の概要(2)キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
② 当連結会計年度の経営成績の分析
当社グループの当連結会計年度の経営成績は、「第2 事業の状況」の「1 業績等の概要(1)業績」に記載しておりますとおり、物流事業においては、消費財を中心とした物流一括受託業務や流通加工業務の拡販のほか、国内外の拠点における新規営業活動に努めてまいりました。また、不動産事業においては、既存施設の計画的な保守および改良工事を実施し、現有資産の付加価値向上に努めました。
この結果、当連結会計年度の営業収益は、不動産事業での賃貸収入減や、物流施設賃貸での一時収入(約6億9千万円)の解消という減収要因はあったものの、物流事業において日用品や飲料など消費財の取扱いが増加したことにより、前期比13億1千8百万円(2.3%)増の580億8千1百万円となりました。営業利益は、物流事業における大型拠点の採算性向上や取扱量の増加による稼働率の上昇、前期に取引を開始した物流施設賃貸の通期寄与などにより、同6億3千5百万円(22.9%)増の34億6百万円となり、経常利益も同6億9千9百万円(25.8%)増の34億1千3百万円となりました。また、親会社株主に帰属する当期純利益については、一部資産の減損損失を計上したものの同7千1百万円(4.3%)増の17億5千3百万円となりました。
なお、営業収益営業利益率は5.9%、営業収益経常利益率は5.9%、総資産経常利益率は3.7%、自己資本当期純利益率は4.4%となっております。
また、主な事業セグメントでは、物流事業の営業収益は前期比14億1百万円(2.7%)増の524億8千5百万円、営業利益は前期比6億6千9百万円(39.4%)増の23億6千7百万円、営業収益営業利益率は4.5%となりました。不動産事業の営業収益は前期比8千2百万円(1.4%)減の56億7千7百万円、営業利益は前期比9千8百万円(3.6%)増の27億9千2百万円、営業収益営業利益率は49.2%となりました。
③ 経営者の問題認識と今後の方針について
当社グループの経営陣は、現在の事業環境および入手可能な情報に基づき最善の経営方針を立案するよう努めていますが、物流業界におきましては、輸出入貨物の取扱いは緩やかな増加が見込まれるものの、物流コストの増加なども懸念されます。また、不動産業界におきましては、都市部の空室率や賃料相場は小幅な改善がみられるものの、引き続き厳しい環境となるものと予測しております。
このような事業環境のもと、当社グループは、2017年度(平成29年度)を初年度とする3ヵ年の中期経営計画「Step Up 2019」を策定いたしました。当中期経営計画の目標を達成すべく、以下の課題に取り組んでまいります。
① 国内物流事業における消費財物流の拡充と高付加価値業務の拡大
② 海外物流事業における中長期の成長に向けた事業基盤の強化
③ 不動産事業における資産価値向上と収益基盤の強化
④ 経営基盤の強化促進
当社グループでは、事業の成長は堅固な経営基盤の上に成り立つとの認識から、財務体質の改善、事業インフラの整備、人材育成の強化に取り組んでまいります。また、コンプライアンスの徹底、コーポレート・ガバナンスの強化により経営品質を向上させていくほか、環境問題への取組として事業活動における環境負荷の低減に努めます。加えて、積極的なディスクロージャーを展開し、株主・投資家はもとより、広く社会の方々に当社グループの経営戦略をお伝えしてまいります。