第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。

なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

今後のわが国経済は、ウクライナ情勢の長期化、原材料価格の高騰や物価上昇、各国の金融引締めによる世界的な景気の下振れリスク、米国による対中半導体輸出規制等が懸念され、景気の見通しは先行き不透明な状況が続くものと思われます。

このような事業環境のもと、当社グループは、澁澤倉庫グループミッション「物流を越えた、新たな価値創造により、持続可能で豊かな社会の実現を支えること」のもと、「Shibusawa 2030 ビジョン」にて「お客さまの事業活動に新たな価値を生み出す Value Partner」の実現を目指してまいります。

事業の競争力強化とサービス領域の拡大とともに、持続的な価値向上のためのESG経営の確立に取り組み、当社グループが共有する価値観である、創業者の精神「正しい道理で追求した利益だけが永続し、社会を豊かにできる」を体現する企業であり続けてまいります。

「Shibusawa 2030 ビジョン」の実現に向けては、以下の諸施策に取り組んでまいります。

(1) 強みを深化させたカテゴリーNO.1の物流サービスを確立します。

(2) 物流の枠を超えたアウトソーシングサービスを事業の柱に育てます。

(3) スマートで強靭な不動産ポートフォリオを確立します。

(4) ステークホルダーとの共存共栄の関係を進化させます。

(5) 多様な人材が働き甲斐を感じる労働環境、企業風土を確立します。

(6) 実効性のあるコーポレートガバナンスの確立に取り組みます。

併せて、2021年度を初年度とする3ヵ年の中期経営計画「澁澤倉庫グループ中期経営計画 2023」で掲げた事業戦略に基づき、以下の課題に取り組んでまいります。

(1) 強みの明確化と競争力強化

(2) 採算性の向上

(3) 業域の拡大、アウトソーシングサービスの布石を打つ

(4) 不動産事業ポートフォリオの充実

(5) ESGへの取組みの進化

当社グループでは、事業の成長は堅固な経営基盤の上に成り立つとの認識から、財務体質の改善、事業インフラの整備に取り組むとともに、コンプライアンスの徹底、コーポレート・ガバナンスの強化により経営品質を向上させてまいります。

また、澁澤倉庫グループミッションを踏まえて、サステナビリティ推進基本方針を策定し、以下の六つをマテリアリティ(重要課題)として特定しました。

(1) 地球温暖化の防止

(2) 循環経済への転換

(3) 安全・安心の実現

(4) イノベーションの活用

(5) 人権の尊重

(6) 共存共栄の追求

当社グループは、こうした社会課題の解決に事業活動を通じて取り組むことにより、企業価値を向上させてまいります。

 

 

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

当社グループのサステナビリティに関する考え方およびサステナビリティ関連のリスク・機会に対処するための取組みは、次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)ガバナンスおよびリスク管理体制

当社グループでは、「物流を越えた、新たな価値創造により、持続的で豊かな社会の実現を支えること」をグループミッション、果たすべき社会的使命と規定しております。また、サステナビリティ推進基本方針において①地球温暖化の防止 ②循環経済への転換 ③安全・安心の実現 ④イノベーションの活用 ⑤人権の尊重 ⑥共存共栄の追求 の六つをマテリアリティ(重要課題)として特定し、事業活動を通じてその解決に貢献することとしております。

当社は、サステナビリティを巡る課題の解決に取り組むため、次のとおりのガバナンス体制・リスク管理体制を構築しております。

取締役会は、年1回または必要に応じて、サステナビリティを巡る課題に対する取組みについて議論し、サステナビリティ推進基本方針や、マテリアリティ(重要課題)に関する数値目標などの重要事項を決議し、その執行を監督します。

サステナビリティ推進委員会は、取締役社長を委員長として、サステナビリティ推進基本方針や、マテリアリティ(重要課題)に関する目標の設定と重要事項の立案を行うとともに、サステナビリティに関する全社的な取組みを指導・監督しつつ、サステナビリティに係るリスクを識別・評価し、これらを取締役会に報告します。

また、サステナビリティ推進室は、サステナビリティ推進委員会の監督・指導のもと、当社グループのサステナビリティ推進に関わる事項について、適切な対策を遂行し、関係会社を含む各事業部門に指示・指導を行うとともに、目標の達成状況のモニタリングと、必要な改善策の策定と実行を行い、重要事項や行動計画をサステナビリティ推進委員会に報告します。

 

当社のグループのサステナビリティ推進に関するガバナンス体制・リスク管理体制は以下に示すとおりです。

 

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(2)サステナビリティ全般に関する戦略および指標・目標

マテリアリティ(重要課題)に対処するための取組みと指標は次のとおりです。

マテリアリティ

地球温暖化の防止

優先する取組み

物流事業における温室効果ガスの削減

環境配慮型施設へのバリューアップ

目指す姿(KGI)

環境負荷低減に貢献する企業

2030年度の売上あたりCO2排出量 2019年度比30%削減

評価項目

倉庫業務におけるCO2排出量削減

陸運業務におけるCO2排出量削減

不動産事業における再生可能エネルギー導入

2022年度の評価指標

営業面積あたりCO2排出量 前年度比3%削減(注1)

環境規制対応車両導入率 前年度比3%増加

再生可能エネルギー導入率 30%(注2)

(注)1.自社所有営業倉庫における電力消費によって排出されるCO2排出量を対象としています。

2.賃貸オフィスビル(茅場町・永代・蛎殻町地区)を対象としています。

なお、当社ではTCFD提言に基づくシナリオ分析を実施して、その結果を当社コーポレートサイトにて開示しております。

https://www.shibusawa.co.jp/db/wp-content/uploads/2022/07/20220629-01.pdf

また、事業活動から排出されるCO2排出量をESGデータとして集計して、当社コーポレートサイトにて開示しております。

https://www.shibusawa.co.jp/csr/e/environment/

3.記載URLは変更になる場合があります。その場合には、当社コーポレートサイトのトップページより該当ページにお進みください。

 

マテリアリティ

循環経済への転換

優先する取組み

循環経済(サーキュラーエコノミー)転換への貢献

目指す姿(KGI)

循環経済転換に貢献する企業

評価項目

循環経済転換に対する貢献

2022年度の評価指標

セキュリティボックス設置台数 前年度比増加

(機密文書の回収・溶解・リサイクル)

 

マテリアリティ

安全・安心の実現

優先する取組み

安全安心な物流事業の運営

レジリエントな事業運営体制の構築

目指す姿(KGI)

安全な事業運営による安心な社会の実現

評価項目

社会に対する安全安心向上

事業内における安全安心向上

2022年度の評価指標

営業収益あたりの物流事業における事故件数 前年度比10%削減

労働災害度数率 前年度比3%削減

 

マテリアリティ

イノベーションの活用

優先する取組み

物流事業の生産性向上と業域の拡大

目指す姿(KGI)

事業の競争力強化と持続可能な社会の実現

評価項目

技術導入による業務効率化

2022年度の評価指標

技術導入による業務効率化推進の新規案件数 10件

 

 

 

マテリアリティ

人権の尊重

優先する取組み

ダイバーシティの推進

労働環境の改善

目指す姿(KGI)

多様な人材が集い活躍する環境の創出

評価項目

ダイバーシティの推進

人財への積極投資

2022年度の評価指標

管理職員に占める女性の割合 前年度比増加

有給休暇取得率 前年度比増加

階層別研修ののべ受講者数 前年度比増加

業務研修ののべ受講者数 前年度比増加

 

マテリアリティ

共存共栄の追求

優先する取組み

パートナーシップ強化によるサプライチェーンの進化

地域コミュニティ発展への貢献

災害支援

目指す姿(KGI)

パートナー企業や地域社会との共存共栄

評価項目

事業パートナー・地域コミュニティとの連携強化

2022年度の評価指標

パートナーミーティングの開催 3回

社会活動への協働 5件

 

 

(3)人的資本に関する戦略および指標・目標

① 人材の育成に関する方針

お客さまや社会の変化に伴い、わたしたちのビジネスは日々変化しています。コーポレートスローガン「永続する使命。」を果たし続けるためには、わたしたち一人ひとりと組織とがともに成長しあう好循環を継続し、挑戦を続けていく必要があります。

OJTとジョブローテーション、各種指名研修による人材教育とともに、自身のキャリアを見据えて学ぶ意欲のある人に公平で持続的な能力開発の機会を提供し続けます。また、成長に向けた努力や挑戦が正当に評価され、更なる成長を後押しする評価制度を整備します。そして、自律的な人材が互いの成長をサポートし協力し合う企業風土の醸成に取り組んでまいります。

 

② 社内環境整備に関する方針

多様な価値観を尊重し、ワークライフバランスの推進、健康経営などに取り組むことで、性別、年齢、国籍、障がいの有無などにとらわれず、誰もが心身ともに健康で、安全かつ安心して活き活きと働ける社内環境を整備してまいります。

 

<具体的な取組み>

・人的資本経営の基盤構築

タウンミーティング、従業員対話集会を全国で実施中です。従業員の意見を聞き取り、人事諸施策の改善につなげる活動を推進しています。一方、HRテクノロジーを活用し人的資本情報に関するデータを蓄積分析できる様にクラウド情報基盤の整備を開始しています。また、エンゲージメントサーベイを開始しました。対象を順次拡大し、継続してスコアの推移を分析していきます。

・教育育成プログラムの充実

従業員の自律的な成長をサポートする教育育成プログラムとして、業務経験年数や職位に応じた階層別研修や担当業務のスキルアップを目的とした業務研修の他に、イノベーション活用検討に関する組織横断ミーティングへの参加機会の提供、公的資格取得支援等を順次拡充しています。

・ダイバーシティの推進

多様な価値観や経験を有する人材が活躍できる社内環境を整備し、新たな価値の創造を目指します。特に女性の活躍は、組織の活性化につながると考え、組織上のライン管理職に限らず、組織横断の具体的なプロジェクトや取組みのリーダーとなる「管理職員」の増加に取り組んでいます。また、育児との両立支援制度を整備するとともに、男性の育児休業取得を促進し、育児について理解し、育児を応援する意識の浸透をはかっています。

・健康経営の推進

一人ひとりが心身ともに健康であることが挑戦を続けるエネルギーの源泉であると考え、澁澤健康保険組合とのコラボヘルスにより、データヘルス計画に基づき従業員とその家族の健康増進に努めています。その一環として、定期健康診断における婦人科検診項目の拡充を行いました。また、外部機関による、24時間健康相談サービス、メンタルヘルスのカウンセリングサービスを導入しています。

 

<指標及び目標>

指標

2022年度実績

目標

管理職員(注)に占める女性の割合(%)

10.6

前年度比増加

有給休暇取得率(%)

55.4

前年度比増加

階層別研修のべ年間受講者数(人)

165

前年度比増加

業務研修のべ年間受講者数(人)

350

前年度比増加

(注)管理職員は管理職に任用できる資格者を表しています。

 

 

3【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績およびキャッシュ・フローの状況に重大な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において当社グループが判断したものであります。

① 事業環境の変化

当社グループは、倉庫業ならびに陸・海・空にわたる運輸業を主体とした物流事業と不動産賃貸業を中心とする不動産事業を主たる事業としておりますが、物流事業においては、国内外の経済環境や社会情勢の変動および天候等による景気動向の変化が、当社グループの業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。

また、不動産事業においても施設の改善と機能拡充を推進しておりますが、首都圏における賃貸オフィス市場の需給バランスの変化や市況動向等の影響を受ける可能性があります。

② 特有の法的規制等に係るもの

当社グループの物流事業は、国内外において法的許認可を事業基盤としており、施設、設備の安全性や車両等の安全運行のために、国際機関および各国政府の法令、規制等様々な公的規制を受けております。また、事業推進にあたっては通商、租税、為替管理、環境、公正取引等に関する法規制の適用を受けております。今後、これらの法的規制の改廃や新たな法的規制が設けられる場合には、当社グループの事業および業績に影響を与える可能性があります。

③ 自然災害の発生

当社グループは、物流事業と不動産事業を展開するにあたり多くの施設を有しております。そのため、地震や台風等の自然災害が発生し、当社グループの施設が被災した場合、当社グループの業績および財務状況に多大な影響を及ぼす可能性があります。

なお、当社グループの保有施設につきましては、適切な補償範囲にて企業財産包括保険を付保するとともに、建物の耐震対策として、1981年建築基準法改正以前の耐震基準の設計による建物について、必要に応じ耐震診断を行い、耐震性能が不充分な建物については現行基準並みの耐震補強工事を順次実施しております。

また、新型コロナウイルス感染症のような大規模な感染症拡大による社会的混乱が発生した場合には、当社グループの業績および財務状態に影響を及ぼす可能性があります。

④ 車両燃料油価格の変動

当社グループの物流事業では、車両運行のための燃料の調達が不可欠なものとなっております。燃料費については、調達コストの平準化・削減に努めておりますが、燃料油の市場価格は概ね原油価格に連動しており、世界の景気動向、産油地域の情勢、米国を中心とする在庫水準、投機資金の流入等により影響を受ける可能性があり、燃料油価格の上昇は、当社グループの業績に重要な影響を及ぼす可能性があります。

⑤ 金利の変動

当社グループは、賃貸不動産や倉庫施設等の新設や更新のため、継続的な設備投資を行っております。有利子負債の削減に努めておりますが、運転資金および設備資金は主として外部借入れにて調達しております。固定金利での借入れや金利スワップ取引により金利の固定化を進めておりますが、変動金利で調達している資金については、金利変動の影響を受けます。また、金利の変動により、将来の資金調達コストが影響を受ける可能性があります。

⑥ システムトラブルによる影響

当社グループは、各種物流情報システムを構築し、インターネットを介して顧客との情報交換を行っておりますが、外部からの不正なアクセスによるシステム内部への侵入や、コンピュータウイルスの感染等の障害が発生する可能性があります。これにより、ウイルス対策ソフト等を導入し、安全対策には万全を期しております。また、大地震、大規模停電への対策として、遠隔地でのデータ・バックアップ・センターの配備をしております。万が一システムのトラブルが発生した場合には、顧客との情報交換のための代替手段を準備しておりますが、復旧までの間、作業効率の低下を来たす可能性があります。

⑦ 個人情報漏洩等の発生

当社グループは、物流事業におけるトランクルーム、引越業務等において、個人情報を取り扱っております。当社グループでは情報保護方針を定め、当方針に基づき策定した「情報保護規程」をすべての役職員が遵守することにより、個人情報漏洩等の予防に努めております。しかしながら、予期せぬ不正アクセスやコンピュータウイルス等の不法行為による個人情報漏洩が発生した場合には、損害賠償請求等により、当社グループの事業および業績に重大な影響を及ぼす可能性があります。

なお、このようなリスクに備えるため、賠償責任保険を付保しております。

また、当社グループは、「情報セキュリティマネジメントシステム(ISMS)」の認証を2005年12月16日に取得し、2014年12月16日に「ISO/IEC 27001:2013」へ移行しております。

⑧ 保有資産の時価変動

当社グループは、減損会計基準およびその適用指針に基づき、2006年3月期より固定資産の減損会計を適用しております。今後、保有資産の時価の下落あるいは当該資産の収益性悪化等により、減損処理の手順に従い減損損失を認識した場合には、当社グループの業績および財務状態に影響を及ぼす可能性があります。

また、当期末における当社グループの投資有価証券残高は212億7千6百万円であります。将来において投資先の業績不振や証券市場における市況の悪化等により時価あるいは実質価額が下落し、かつ回復の可能性があると認められない場合には、当社グループの業績および財務状態に影響を及ぼす可能性があります。

⑨ 海外への事業展開

当社グループは、海外においては、現地子会社等や代理店との連携により、事業活動を行っておりますが、現地の法令規制の改廃や税制等の変更、為替相場の変動あるいは事業活動に不利な政治または経済要因の発生、戦争・テロ・伝染病などの社会的混乱により、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

⑩ 退職給付債務

当社グループでは、従業員の退職給付費用および債務は、割引率や年金資産の期待運用収益率等の数理計算上で設定される前提条件に基づいて算出されております。これらの数値は将来に対する予測に基づくものであり、今後の退職給付債務の割引率低下や年金資産の運用実績の悪化等が生じた場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。当社は、これらのリスクを緩和するため、2006年4月より確定拠出年金制度を一部導入しております。

⑪ 気候変動に伴うリスク

当社グループは、気候変動に伴う豪雨や台風などの異常気象により、保有する施設の被災や交通網の遮断、高温による労働生産性の低下などの影響を受ける可能性があります。

また、国内外における、企業が排出する温室効果ガスに対する規制強化や、炭素価格の導入等は、操業コストの増加原因となります。

当社グループは、サステナビリティ推進基本方針において、地球温暖化の防止と、安全・安心の実現をマテリアリティ(重要課題)として特定し、モーダルシフトの推進、物流効率化による温室効果ガスの排出削減や、保有する施設の強靭化に取り組んでおります。

 

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

① 財政状態および経営成績の状況

当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症抑制と社会経済活動の両立が進み、個人消費や企業の設備投資は緩やかに持ち直しの動きが見られたものの、ウクライナ情勢の長期化に起因した原材料価格の高騰や物価上昇のほか、為替の変動や世界的な金融引締めが景気下振れ要因として懸念されるなど、依然として先行き不透明な状況で推移しました。

このような経済情勢にあって、物流業界では、国内貨物・輸出入貨物ともに回復のペースが鈍化し、エネルギー価格の上昇や労働力不足等に起因したコストの増加があり、また、不動産業界では、都市部におけるオフィスビルの空室率は上昇し、賃料相場も下落傾向が継続するなど、いずれも厳しい状況が続きました。

こうした事業環境のもと、当社グループは、3ヵ年の中期経営計画「澁澤倉庫グループ中期経営計画 2023」で掲げた事業戦略に基づき、物流事業においては、競争力のある物流サービスの提供や業域の拡大に向けて、国内外における新規営業活動を推進して貨物取扱量を拡大したほか、業務の効率化や採算性の向上に一層努めてまいりました。また、不動産事業においては、既存施設の計画的な保守および改良工事を実施するとともに、適正料金の収受により、安定的な収益基盤の維持強化に努めました。

この結果、当連結会計年度の営業収益は、物流事業で、倉庫、港湾運送、陸上運送および国際輸送の各業務において取扱量が増加し、海上・航空運賃単価は正常化に向かっているものの、高水準で推移したことに加えて、第2四半期より連結子会社が増加したほか、不動産事業で不動産賃貸収入やビル管理業務が増加したことにより、前期比67億5千7百万円(9.4%)増の785億4百万円となりました。営業利益は、物流および不動産の両事業で増益となり、同3億7千7百万円(8.4%)増の48億9千4百万円、経常利益は、前期に発生した一時的な持分法による投資利益が解消したことにより、同10億7千7百万円(15.6%)減の58億4千7百万円、親会社株主に帰属する当期純利益は特別利益に負ののれん発生益を計上したものの、特別損失に固定資産処分損や一部資産の減損損失を計上したことにより、同14億9千8百万円(28.5%)減の37億5千9百万円となりました。

 

当社グループのセグメントの概況は、次のとおりでございます。

1.物流事業

倉庫業務は、化粧品、機械部品等の保管業務や流通加工業務が増加したことにより、営業収益は前期比4億7千万円(3.0%)増の163億8百万円となりました。

港湾運送業務は、船内荷役業務や輸出入荷捌業務が増加したことにより、営業収益は前期比1億9千7百万円(3.0%)増の68億7千9百万円となりました。

陸上運送業務は、飲料、輸入貨物、機械部品等の輸配送業務が好調に推移したことにより、営業収益は前期比19億5千万円(6.2%)増の335億3千2百万円となりました。

国際輸送業務は、輸入航空貨物の取扱い増加と為替の円安が寄与したほか、海上・航空運賃単価が高水準で推移したことにより、営業収益は前期比30億8千2百万円(32.0%)増の127億2千5百万円となりました。

その他の物流業務は、横浜地区でのR&D施設やその他の物流施設の稼働率向上に伴い、賃貸収入が増加したことにより、営業収益は前期比7億9千1百万円(34.3%)増の31億3百万円となりました。

この結果、物流事業全体の営業収益は前期比64億9千2百万円(9.8%)増の725億4千9百万円となりました。営業費用は、取扱い増加に伴う作業費、新設拠点等の施設賃借費用のほか、単価上昇による仕入れ運賃や光熱動力費等が増加したことにより、前期比61億1千6百万円(9.8%)増の688億4千2百万円となりました。以上により、営業利益は前期比3億7千5百万円(11.3%)増の37億6百万円となりました。

2.不動産事業

施設の稼働率向上に伴う不動産賃貸収入や、ビル管理業務が増加したことにより、営業収益は前期比3億6千万円(6.2%)増の61億9千9百万円となりました。営業費用は、ビル管理業務の増加に伴う作業費や単価上昇による光熱動力費が増加し、前期比1億3千2百万円(4.7%)増の29億4千3百万円となりました。以上により、営業利益は前期比2億2千8百万円(7.6%)増の32億5千5百万円となりました。

 

② キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度の連結キャッシュ・フローは、投資活動によるキャッシュ・フローおよび財務活動によるキャッシュ・フローの減少がありましたが、営業活動によるキャッシュ・フローの増加により、全体で21億7千8百万円の増加となり、現金及び現金同等物の期末残高は223億2千4百万円となりました。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度の営業活動によるキャッシュ・フローは、法人税等の支払いがあったものの、税金等調整前当期純利益および減価償却費の計上による資金留保等により、67億2千9百万円の増加となりました。

なお、当連結会計年度のキャッシュ・フローが前連結会計年度に比べ6億9千5百万円上回りましたのは、法人税等の支払額の増加および仕入債務の減少があったものの、売上債権が減少したこと等によるものであります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度の投資活動によるキャッシュ・フローは、定期預金の払戻による収入があったものの、定期預金の預入による支出および有形固定資産の取得による支出等があったため、27億4千2百万円の減少となりました。

なお、当連結会計年度のキャッシュ・フローが前連結会計年度に比べ18億7千3百万円下回りましたのは、投資有価証券の取得による支出が減少したものの、定期預金の預入による支出および有形固定資産の取得による支出が増加したことや、定期預金の払戻による収入が減少したこと等によるものであります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度の財務活動によるキャッシュ・フローは、長期借入れによる収入があったものの、長期借入金の返済による支出および配当金の支払い等により、20億3千5百万円の減少となりました。

なお、当連結会計年度のキャッシュ・フローが前連結会計年度に比べ16億5千万円上回りましたのは、長期借入れによる収入が減少したものの、長期借入金の返済による支出が減少したこと等によるものであります。

 

③ 生産、受注および販売の実績

(1) セグメントごとの主要業務の営業収益内訳

当連結会計年度の営業収益をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

営業収益(百万円)

前連結会計年度比増減

前連結会計年度

(自 2021年4月1日

至 2022年3月31日)

当連結会計年度

(自 2022年4月1日

至 2023年3月31日)

金額

(百万円)

比率

(%)

物流事業

66,056

72,549

6,492

9.8

(倉庫業務)

15,838

16,308

470

3.0

(港湾運送業務)

6,681

6,879

197

3.0

(陸上運送業務)

31,582

33,532

1,950

6.2

(国際輸送業務)

9,643

12,725

3,082

32.0

(その他の物流業務)

2,311

3,103

791

34.3

不動産事業

5,838

6,199

360

6.2

報告セグメント計

71,895

78,749

6,853

9.5

セグメント間の内部営業収益又は
振替高

△148

△244

△95

合計

71,746

78,504

6,757

9.4

(注)主な相手先の営業収益および当該営業収益の連結営業収益合計に対する割合は、当該割合が100分の10未満であるため、記載を省略しております。

 

(2) セグメントごとの主要業務の取扱高

1.物流事業

(イ) 倉庫業務

1) 所管倉庫明細

項目

面積(㎡)

前連結会計年度比増減

前連結会計年度

(2022年3月31日現在)

当連結会計年度

(2023年3月31日現在)

面積

(㎡)

比率

(%)

所有庫

261,223

272,940

11,717

4.5

借庫

207,706

222,101

14,395

6.9

468,929

495,041

26,112

5.6

貸庫

合計

468,929

495,041

26,112

5.6

 

(注)1.保管面積は倉庫業法に基づく保管用面積(野積面積を除く)であります。

2.上表のほか、保管施設として上屋(港湾運送事業)16,743㎡があります。

2) 入出庫高および保管残高

項目

数量(トン)

前連結会計年度比増減

前連結会計年度

(自 2021年4月1日

至 2022年3月31日)

当連結会計年度

(自 2022年4月1日

至 2023年3月31日)

数量

(トン)

比率

(%)

入庫高

2,450,453

2,499,263

48,810

2.0

出庫高

2,451,492

2,503,853

52,361

2.1

合計

4,901,945

5,003,116

101,171

2.1

月末保管残高

年間合計

2,672,639

2,712,541

39,902

1.5

年間平均

222,720

226,045

3,325

1.5

 

 

3) 貨物回転率

項目

貨物回転率(%)

前連結会計年度比増減

(ポイント)

前連結会計年度

(自 2021年4月1日

至 2022年3月31日)

当連結会計年度

(自 2022年4月1日

至 2023年3月31日)

数量

91.7

92.2

0.5

 

(注)算定方式

貨物回転率 =

(年間入庫高+年間出庫高)×1/2

× 100

月末保管残高年間合計

 

(ロ) 港湾運送業務

項目

取扱数量(トン)

前連結会計年度比増減

前連結会計年度

(自 2021年4月1日

至 2022年3月31日)

当連結会計年度

(自 2022年4月1日

至 2023年3月31日)

取扱数量

(トン)

比率

(%)

船内荷役

898,855

911,152

12,297

1.4

はしけ運送

沿岸荷役

451,954

400,999

△50,955

△11.3

合計

1,350,809

1,312,151

△38,658

△2.9

 

(ハ) 陸上運送業務

項目

数量(トン)

前連結会計年度比増減

前連結会計年度

(自 2021年4月1日

至 2022年3月31日)

当連結会計年度

(自 2022年4月1日

至 2023年3月31日)

数量

(トン)

比率

(%)

数量

7,576,096

7,675,004

98,908

1.3

 

2.不動産事業

項目

面積(㎡)

前連結会計年度比増減

前連結会計年度

(2022年3月31日現在)

当連結会計年度

(2023年3月31日現在)

面積

(㎡)

比率

(%)

賃貸ビル面積(契約面積)

93,133

94,720

1,587

1.7

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識および分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

① 当連結会計年度の財政状態の分析

当社グループの連結会計年度末の資産の残高は、前連結会計年度末に比べ68億3千9百万円(6.3%)増加して1,158億3千1百万円となりました。このうち流動資産は42億7千2百万円(11.5%)増加し413億6千6百万円となりました。この主な要因は、現金及び預金や受取手形及び取引先未収金の残高が増加したこと等によるものであります。固定資産は25億7千9百万円(3.6%)増加し744億4千8百万円となりました。固定資産のうち有形固定資産は、前連結会計年度末に比べ6億5千4百万円(1.3%)増加して502億8千9百万円となりました。この主な要因は、減価償却費が計上されたものの、物流事業および不動産事業に関する設備更新のために投資を実施したことと、新たに連結会社が増加したことによるものであります。また、投資その他の資産は20億3千7百万円(9.6%)増加し231億8千7百万円となりましたが、この主な要因は、株式相場の上昇により保有する投資有価証券の時価が増加したこと等によるものであります。

連結会計年度末の負債の残高は、前連結会計年度末に比べ26億2千2百万円(4.7%)増加して579億5千8百万円となりました。このうち流動負債は75億2千4百万円(47.8%)増加し232億6千4百万円となり、固定負債は49億1百万円(12.4%)減少し346億9千3百万円となりました。流動負債の増加の主な要因は、1年以内償還予定の社債が固定負債からの振替により増加したことや設備関係の未払金の残高が増加したこと等によるものであり、固定負債の減少の主な要因は、新規連結会社が増加したことおよび投資有価証券の時価評価増に係る繰延税金負債が増加したものの、社債の流動負債への振替があったこと等によるものであります。

連結会計年度末の純資産の残高は、前連結会計年度末に比べ42億1千7百万円(7.9%)増加して578億7千2百万円となりました。この主な要因は、配当金の支払いがあったものの、親会社株主に帰属する当期純利益が計上されたことやその他有価証券評価差額金が増加したこと等によるものであります。

上記の結果、自己資本比率は、前連結会計年度末の48.9%から49.3%となり、また、1株当たり純資産額は3,507円76銭から3,766円62銭となりました。

なお、キャッシュ・フローの分析については、「第2 事業の状況」の「4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

 

② 当連結会計年度の経営成績の分析

当社グループの当連結会計年度の経営成績は、「第2 事業の状況」の「4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ① 財政状態および経営成績の状況」に記載のとおり、物流業界では、国内貨物・輸出入貨物ともに回復のペースが鈍化し、エネルギー価格の上昇や労働力不足等に起因したコストの増加があり、また、不動産業界では、都市部におけるオフィスビルの空室率は上昇し、賃料相場も下落傾向が継続するなど、いずれも厳しい状況が続きました。

こうした事業環境のもと、当社グループは、3ヵ年の中期経営計画「澁澤倉庫グループ中期経営計画 2023」で掲げた事業戦略に基づき、物流事業においては、競争力のある物流サービスの提供や業域の拡大に向けて、国内外における新規営業活動を推進して貨物取扱量を拡大したほか、業務の効率化や採算性の向上に一層努めてまいりました。また、不動産事業においては、既存施設の計画的な保守および改良工事を実施するとともに、適正料金の収受により、安定的な収益基盤の維持強化に努めました。

この結果、当連結会計年度の営業収益は、物流事業で、倉庫、港湾運送、陸上運送および国際輸送の各業務において取扱量が増加し、海上・航空運賃単価は正常化に向かっているものの、高水準で推移したことに加えて、第2四半期より連結子会社が増加したほか、不動産事業で不動産賃貸収入やビル管理業務が増加したことにより、前期比67億5千7百万円(9.4%)増の785億4百万円となりました。営業利益は、物流および不動産の両事業で増益となり、同3億7千7百万円(8.4%)増の48億9千4百万円、経常利益は、前期に発生した一時的な持分法による投資利益が解消したことにより、同10億7千7百万円(15.6%)減の58億4千7百万円、親会社株主に帰属する当期純利益は特別利益に負ののれん発生益を計上したものの、特別損失に固定資産処分損や一部資産の減損損失を計上したことにより、同14億9千8百万円(28.5%)減の37億5千9百万円となりました。

なお、営業収益営業利益率は6.2%、営業収益経常利益率は7.4%、総資産経常利益率は5.2%、自己資本当期純利益率は6.8%となっております。

また、主な事業セグメントでは、物流事業の営業収益は前期比64億9千2百万円(9.8%)増の725億4千9百万円、営業利益は前期比3億7千5百万円(11.3%)増の37億6百万円、営業収益営業利益率は5.1%となりました。不動産事業の営業収益は前期比3億6千万円(6.2%)増の61億9千9百万円、営業利益は前期比2億2千8百万円(7.6%)増の32億5千5百万円、営業収益営業利益率は52.5%となりました。

 

③ 資本の財源および資金の流動性

ⅰ) 資金需要

当社グループの事業活動における資金需要の主なものは、物流事業に関わる倉庫荷役費、港湾荷捌費、陸上運送費および不動産事業に関わる不動産維持費、付帯費ならびに各事業についての販売費及び一般管理費があります。

また、設備資金需要としては、物流施設・機器および不動産施設への投資ならびにシステム開発等があります。

ⅱ) 財務政策

当社グループの事業活動に必要な資金を安定的に確保するため、内部資金の活用および金融機関からの借入ならびに社債の発行により資金を調達しており、運転資金および設備資金につきましては、国内・海外子会社のものを含め当社において一元管理しております。

資金調達に際しては、将来の金利上昇リスクを避けるために、一部金利スワップを利用しており、調達コストの低減に努めております。

また、運転資金の効率的な調達を行うため、金融機関と当座貸越契約およびシンジケーション方式によるコミットメントライン契約を締結しております。

 

④ 重要な会計上の見積りおよび当該見積りに用いた仮定

連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積りおよび当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。

 

5【経営上の重要な契約等】

該当事項はありません。

 

6【研究開発活動】

該当事項はありません。