第2【事業の状況】

1【業績等の概要】

(1)業績

当連結会計年度の世界経済環境としては、米国では所得や個人消費を取り巻く環境の改善を背景に景気は堅調に推移し、欧州では英国のEU離脱による混乱は落ち着き、景気は緩やかに回復しました。中国では公共投資により景気が下支えられ、減速感は一服しました。日本経済におきましては個人消費や設備投資の回復は依然弱いものの、雇用情勢は底堅く、景気は緩やかに持ち直しつつあります。

このような状況下、当連結会計年度における当社グループの業績に起きましては、売上高は17,889百万円、営業損益は2,179百万円の損失、経常損益は2,346百万円の損失、親会社株主に帰属する当期純損益は880百万円の損失となりました。

 

当社グループのセグメント別の業績は、次のとおりであります。

外航海運事業(ロジスティクス)

外航海運事業におけるドライバルク船市況は、歴史的な市況低迷期から徐々に回復してまいりましたが、依然として船腹供給過多の状況が継続しており、本格的な回復には至らず採算を大幅に割り込む水準となりました。11月以降、大西洋において市況が急回復する局面がありましたが、当社船隊は太平洋を主要水域としており、影響は限定的でした。

このような状況下、当社グループの外航海運事業におきましては、売上高は前年同期比2,610百万円減収(△22.7%)の8,897百万円となりましたが、セグメント損益は前連結会計年度における減損損失計上に伴う減価償却費の減少等により、前年同期比1,218百万円改善し、3,484百万円の損失となりました。

② 倉庫・運送事業ロジスティクス)

国内の物流業界におきましては、貨物保管残高は前年同期を下回る水準で推移し、貨物取扱量は前年同期と概ね同水準で推移いたしました。

このような状況下、当社グループの倉庫・運送事業におきましては、前第2四半期連結会計期間より連結子会社となったイヌイ運送株式会社の収益寄与により、売上高は前年同期比326百万円増収(+7.8%)の4,504百万円となりました。セグメント損益は売却による施設の減少等により、前年同期比6百万円減益の11百万円の損失となりました。

③ 不動産事業

都心部の賃貸オフィスビル市況は空室率の改善傾向が見られ、賃料水準も小幅な上昇が続いております。また、東京23区の賃貸マンション市況は昨年の年明け以降、軟化傾向にあり前年同期を若干下回る水準で推移いたしました。

このような状況下、当社グループの不動産事業におきましては、既存賃貸物件の稼働率が上昇したものの、持分法適用会社の株式譲渡に伴う施設の減少等により、売上高は前年同期比491百万円減収(△9.9%)の4,487百万円となりました。セグメント利益は既存賃貸物件の稼働率上昇による収益寄与に伴い、前年同期比44百万円増益(+2.0%)の2,220百万円となりました。

(2)キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末と比較して2,855百万円増加し、13,121百万円となりました。

① 営業活動によるキャッシュ・フロー

当連結会計年度における営業活動の結果として得られた資金は、384百万円となりました。これは主として、税金等調整前当期純損失1,116百万円、投資有価証券売却益1,224百万円、非資金損益項目である減価償却費2,792百万円等によるものです。

② 投資活動によるキャッシュ・フロー

当連結会計年度における投資活動の結果として得られた資金は、3,660百万円となりました。これは主として、投資有価証券売却による収入によるものです。

③ 財務活動によるキャッシュ・フロー

当連結会計年度における財務活動の結果として使用した資金は、1,176百万円となりました。これは主として、長期借入金の返済及び調達等によるものです。

 

2【生産、受注及び販売の状況】

売上高

当連結会計年度における売上高をセグメントごとに示すと次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 平成28年4月1日

至 平成29年3月31日)

外航海運事業(百万円)

8,897

倉庫・運送事業(百万円)

4,504

不動産事業(百万円)

4,487

合計(百万円)

17,889

(注)1.セグメント間の取引については、相殺消去しております。

2.最近2連結会計年度の主な相手先別の売上高及び当該売上高の総売上高に対する割合は次のとおりであります。

相手先

前連結会計年度

(自 平成27年4月1日

至 平成28年3月31日)

当連結会計年度

(自 平成28年4月1日

至 平成29年3月31日)

金額(百万円)

割合(%)

金額(百万円)

割合(%)

 東急住宅リース㈱

2,253

10.9

2,236

12.5

3.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

(1)船舶の稼動状況

船名

第96期(平成27年4月1日~平成28年3月31日)

第97期(平成28年4月1日~平成29年3月31日)

総日数(日)

稼働日数(日)

稼働率(%)

補足

総日数(日)

稼働日数(日)

稼働率(%)

補足

KEN SAN

366

364

99

 

365

365

100

 

KEN TEN

366

366

100

 

365

365

100

 

KEN GOH

366

348

95

 10月 定期検査

365

365

100

 

KEN YU

366

344

94

 9月 中間検査

365

358

98

 

KEN REI

366

357

98

 9月 定期検査

365

364

100

 

KEN MEI

366

356

97

 10月 中間検査

365

365

100

 

KEN HOU

366

365

99

 

365

343

94

 2月 中間検査

KEN SEI

366

366

100

 

365

365

100

 

KEN TOKU

366

336

92

 8月 定期検査

365

365

100

 

KEN KON

366

350

96

 10月 中間検査

365

365

100

 

KEN EI

366

366

100

 

365

355

97

 9月 中間検査

KEN SHIN

366

366

100

 

365

365

100

 

KEN HOPE

127

112

86

 11月 買船

365

351

96

 

ISS SPIRIT

366

366

100

 

365

356

98

 12月 定期検査

ISS BREEZE

366

356

97

 5月 定期検査

365

365

100

 

ISS CANTATA

366

316

86

 

365

270

74

 2月 定期検査、燃料油流出事故による不稼働

ULTRA LASCAR

147

141

96

 11月 竣工

365

363

99

 

他社定期用船

4,824

4,756

99

 

4,118

4,096

99

 

合計又は平均

10,588

10,331

98

 

10,323

10,141

98

 

 

(2)主要品目別輸送量

船名

第96期

(自 平成27年4月1日 至 平成28年3月31日)

木材

(キロトン)

穀物

(キロトン)

石炭

(キロトン)

コークス

(キロトン)

セメント

(キロトン)

その他

(キロトン)

合計

(キロトン)

 KEN SAN

78,538

21,435

99,973

 KEN TEN

104,370

113,670

218,040

 KEN GOH

30,400

30,400

 KEN YU

96,090

89,220

11,015

196,325

 KEN REI

31,134

26,212

27,500

84,846

 KEN MEI

47,182

5,297

28,100

63,234

27,500

26,940

198,254

 KEN HOU

27,249

55,300

43,560

27,300

153,409

 KEN SEI

26,845

23,514

50,359

 KEN TOKU

50,961

69,650

20,506

141,117

 KEN KON

34,917

31,900

29,464

27,500

123,781

 KEN EI

79,849

27,500

107,349

 KEN SHIN

99,098

99,098

 KEN HOPE

83,325

83,325

 他社定期用船

1,738

731,070

495,895

452,436

267,500

253,250

2,201,888

 合計

80,054

1,111,898

987,344

609,200

546,825

452,844

3,788,165

  (注)上記は、当社の自社運航による輸送量のみを記載し、他社への貸船による輸送量は除外しております。

 

 

船名

第97期

(自 平成28年4月1日 至 平成29年3月31日)

木材

(キロトン)

穀物

(キロトン)

石炭

(キロトン)

コークス

(キロトン)

セメント

(キロトン)

その他

(キロトン)

合計

(キロトン)

 KEN SAN

112,216

91,912

23,000

227,128

 KEN TEN

63,079

21,998

70,390

11,000

166,468

 KEN YU

119,580

127,088

20,000

266,668

 KEN REI

85,590

29,720

54,200

169,511

 KEN MEI

63,056

28,100

49,500

140,656

 KEN HOU

26,806

27,500

22,000

66,431

142,737

 KEN SEI

95,780

17,998

113,778

 KEN TOKU

21,342

44,292

82,880

148,515

 KEN KON

108,338

37,423

56,549

202,310

 KEN EI

46,759

28,600

22,000

97,359

 KEN SHIN

97,921

97,921

 KEN HOPE

30,579

41,164

71,744

 ISS CANTATA

29,000

22,000

27,500

78,500

 他社定期用船

335,952

406,341

93,622

78,092

251,837

1,165,845

 合計

145,169

825,678

870,874

219,044

367,483

660,895

3,089,146

(注)上記は、当社の自社運航による輸送量のみを記載し、他社への貸船による輸送量は除外しております。

 

3【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 当社は、2017年2月に中期経営計画「はじめての中期経営計画~今を生きる、明日を生きる~」(計画期間:2017年4月~2020年3月)を策定しました。計画の概要は下記の通りです。当社ウェブサイト(IR(投資家情報)-中期経営計画)の補足説明資料も併せてご参照ください(http://www.inui.co.jp/ir/library/managementplan.html)。

 なお、本項における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

1.経営の基本方針

 中期経営計画の策定にあたり、経営の基本方針として以下の3点を定めております。

 ① 資産の力を事業の力に

 勝どきの不動産施設は収益力と資金調達力に優れた資産です。中長期の視点で、景気波動の異なる船舶、倉庫の資産を組み合わせます。単一事業の変動から影響を受けにくい、可変性のある資産ポートフォリオを形成することで、事業の基盤を支え、競争力の源としていきます。

 ② カイゼンは宝

 環境変化への即応は難しいですが、PDCAサイクルを前提とした当社のカイゼンは、ムリなく、ムラをならし、ムダを取ってきた実績があり、企業文化として育ちつつあります。倉庫内から始まったカイゼンは、オフィスを経て、船の上にも広げていきます。

 ③ 「らしさ」の追求

 経営統合により混ざり合った企業文化は、内外環境の激変に晒され、多くの独自性を含む「らしさ」へと向かっています。3つの事業領域、2つの企業文化、1つの会社の「らしさ」は、差別化の源泉であり、我らの存在意義です。

2.3セグメントとコーポレートについて

 ① 外航海運事業

  ・事業方針…OWN主義への緩やかなシフト

  ・目標  …Net Cash Flow>0

  ・施策  …検討を重ねてきたファイナンス手法は、運賃市況が低位にある環境下での船舶投資を可能とします。資本の効率性に着目した船舶のアセット戦略に加え、船舶管理体制や安全運航施策等の運営戦略、機会取得の営業戦略で海運実務の質的カイゼンに取り組んでいきます。

 ② 倉庫・運送事業

  ・事業方針…「カイゼン」の継続

  ・目標  …営業利益>0

  ・施策  …手・足・倉をカイゼンで鍛え続ける努力は怠りません。しかし、それだけでは、次代に通用する倉庫業には届きません。実績と信用を重ねてきた同業者間のネットワークは、立地優位性のある既存倉庫に存在します。この経営資源を最適活用する協業モデルに取り組みます。

 ③ 不動産事業

  ・事業方針…勝どきをより良い街に

  ・目標  …長期安定利益の最大化

  ・施策  …勝どきの施設群が、資金調達力と収益力という重要な役目を長期安定的に果たすには「良い街」を目指す視点が必要です。2020年以降、隣接エリアは新しい街へと姿を変えていきますが、我らは周りを良く見ながら、余剰容積を有する施設の再開発計画を始動させます。

 ④ コーポレート

  ・テーマ …コーポレートガバナンス強化、新しい働き方(組織・人事・雇用)、ファイナンスの考え方

  ・目標  …適正な縮小

  ・施策  …コーポレート関連部署は経営と一体になったコミュニュケーション密度の高い環境を維持し、常に小さく、速く、を目指しています。複雑さを取り除き、透明性と効率性を同時に満たす施策と自主性を重んじる職務の環境整備を推進します。

3.重点指標

 ① ROE5%~8%

   市況安定時に5%超となる構造へ 好況時は8%超を臨みます。

 ② 配当

   ・基本は、従来どおり「良いときは笑い、悪いときにも泣かない」方針とします。

   ・但し、海運業の収益ボラティリティは大きく、現行の安定配当に拘ることは、経営基盤の毀損につながると判断します。

   ・業績に応じて、良いとき、悪いときの判断基準を定め、「悪いとき」には減配もあるが、無配を前提にはしません。

   ・また、「良いとき」には配当性向の累進による増配を提案して参りたいと考えます。

 

4【事業等のリスク】

当社グループの経営成績、財政状態及び株価等に影響を及ぼす可能性のあるリスクには、次のようなものがあります。なお、本項における将来に関する事項は、当社グループが当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

(1)事業環境変動のリスク

当社グループは、外航海運事業及び倉庫・運送事業並びに不動産事業を主たる事業としておりますが、外航海運事業においては、世界各国の経済動向、政治的・社会的要因が事業に影響を及ぼす可能性があります。特に主要な船舶の就航区域である、北米、豪州、欧州、アジア圏の景況による物流の拡大・縮小は運賃及び不定期船市況に大きな影響を及ぼします。倉庫・運送事業においては、景気動向の変化及び顧客企業の物流コスト抑制・事業再編等が、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。また、不動産事業においては、首都圏における賃貸市場の需給バランスの変化や市況動向等の影響を受ける可能性があります。

(2)自然災害、人災等によるリスク

当社グループは、外航海運事業、倉庫・運送事業、不動産事業を展開するにあたり、多くの船舶や施設を有しております。そのため、地震、暴風雨、洪水その他の自然災害、事故等が発生した場合には、船舶や施設の毀損等により、当社グループの事業に悪影響を及ぼし、また、所有資産の価値の低下につながる可能性があります。

(3)資産価格変動のリスク

当社グループが保有する資産(船舶、土地、建物、投資有価証券等)の収益性や時価が著しく下落した場合には、減損または評価損が発生する可能性があります。

(4)各種規制変更のリスク

当社グループは、現時点の規制及び基準等に従って事業を展開しております。将来における規制及び基準等の変更並びにそれらによって発生する事態が、当社グループの業務遂行及び業績等に影響を与える可能性があります。

(5)金利変動のリスク

当社グループの設備資金及び運転資金は、その大部分を金融機関により調達しております。調達した資金の金利リスクについては、金利スワップ取引による金利の固定化や有利子負債の削減等でヘッジするべく努めておりますが、変動金利で調達している資金については、金利変動の影響を受ける可能性があります。また、金利の変動により、将来の資金調達コストに影響を与える可能性があります。

(6)情報システムのリスク

当社グループは、基幹業務システムについて情報セキュリティや自然災害に対する安全対策をとる等、コンピューターの運用を含めた安全管理を図り不正アクセスを防止・監視する管理体制をとっておりますが、外部からの不正侵入により当社に重大な損害が発生する可能性があります。

(7)船舶の安全運航、環境問題

当社グループは、SOLAS条約(海上人命安全条約)に基づくISMコード(International Safety Management Code/国際安全管理規則)及びISPSコード(International Ship and Port Facility Security Code/国際航海船舶及び国際港湾施設の保安の確保等に関する法律)等の条約適合証書を取得し、それらをグループ内に浸透させ運用しております。また、当社は平成18年6月に環境マネジメントシステムについての国際規格である「ISO14001」の認証を取得し、安全管理に加えて環境管理の面においても強化を図っておりますが、海難事故発生時には、当社グループの主要な事業資産である船舶の破損により物理的被害が生じると同時に、人的被害及び環境破壊が発生する可能性があります。

また、油濁事故等による海洋汚染が発生した場合、当社グループの外航海運事業及び業績に多大な影響を及ぼす可能性があります。

(8)為替レートの変動

当社グループにおける外航海運事業の売上高の大部分は、米ドル建ての運賃及び定期貸船料が占めております。また、費用についても国内で発生した船舶修繕費や一般管理費等、円建て取引があるものの、運航費や用船料(借船料)、船員費・潤滑油費等、米ドル建ての割合が高くなっております。よって、為替取引時や外貨建て取引の円換算等において、為替レートの変動が損益等に影響を与える可能性があります。

(9)船舶燃料価格の変動

船舶運航に必要な船舶燃料については、燃料価格が国内に比べ安価なシンガポール、ロシア等で調達することや、先物予約によるヘッジにより、燃料費の安定化に努めておりますが、燃料価格の上昇は運航船の収支に影響を及ぼします。

(10)コーポレート・ガバナンス

当社グループは、前述の国際機関及び各国の法令、規則、規制等に対し、コンプライアンス(法令遵守)の強化を図っております。さらにリスク・マネジメントを含む内部統制システムを構築し、適切なコーポレート・ガバナンス体制を整備しておりますが、将来にわたって法令違反等が発生した場合には、事業及び業績に多大な影響を及ぼす可能性があります。

(11)借入金の財務制限条項

当社グループの借入金の一部には、財務制限条項が付されているものがあり、これに抵触した場合には、期限の利益喪失等、当社グループの財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

5【経営上の重要な契約等】

該当事項はありません。

 

6【研究開発活動】

該当事項はありません。

 

7【財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)当連結会計年度の財政状態の分析

当連結会計年度末における総資産は、減価償却による有形固定資産の減少等により前連結会計年度末比2,577百万円減の48,226百万円となりました。負債は借入金の返済及び繰延税金負債の減少等により前連結会計年度末比1,067百万円減の29,699百万円となりました。純資産は、利益剰余金の減少等により前連結会計年度末比1,509百万円減の18,527百万円となりました。この結果、自己資本比率は39.4%から38.4%になりました。

なお、キャッシュ・フローの分析については、「第2 事業の状況」の「1 業績等の概要(2)キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりです。

 

(2)当連結会計年度の経営成績の分析

経営成績の分析については、「第2 事業の状況」の「1 業績等の概要(1)業績」に記載のとおりです。

なお、売上高営業利益率は△12.2%、総資産経常利益率は△4.7%、自己資本利益率は△4.6%、1株当たり当期純利益は△35円12銭となっております。