第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 当社グループの経営方針、経営環境および対処すべき課題等は、以下のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

 当社グループでは、グループの存在意義である企業理念として「地域とともに生き、広く社会の発展に貢献する」を掲げております。常に新しい領域への進出の可能性を求めるとともに、進出した地域の人々や社会と融和し、地域文化の発展に尽力しております。当社グループは、お客さまの物流部門の一翼を担う企業として、お客さまに喜んでいただけるサービスを提供し続け、事業を通じて地域の社会や経済の発展に貢献してまいります。

 

 今後のわが国経済は、旺盛な設備投資やインバウンド需要が下支えとなり、非製造業を中心に堅調な回復が見込まれる一方、原材料価格の高止まりや地政学的リスクの懸念、更には米国政府動向の不確実さなど、先行き不透明な状況が続くと予想されます。

 物流業界におきましては、国内では緩やかな景気回復が期待されるものの、人手不足や運行制約といった構造的課題は依然として顕在であり、輸出入貨物についても為替変動や地政学的リスクの影響により不確実性が残るなど、物流を取り巻く環境につきましては、引き続き変化への対応を求められる状況が続くと思われます。

 このような状況のもと、当社グループでは、「中期経営計画」に掲げる、スローガン『Grow with the Next Value』の下、基本方針1.収益基盤の拡充によるトップライン向上 2.TRANCYグループ経営基盤の強化 3.ESG経営/サステナビリティの取組み推進 に基づき、新たな組織体制により、様々な施策を実施してまいります。

 1.収益基盤の拡充によるトップライン向上といたしまして、

・新事業部における自動車部品関連の取扱拡大に向けた戦略的活動を実施してまいります。

・本年2月に開設した関東エリアにおける自動車部品取扱専用センターを安定稼働してまいります。

・昨年12月に稼働した医療・介護用食品専用センターの安定稼働および更なる取扱拡大に向けて積極的に営業活動を実施してまいります。

・新規投資として、北海道石狩市の新物流センターおよび三重県木曽岬の危険品複合センター稼働に向けた準備を実施してまいります。

・半導体関連商材の取扱拡大に向けて更なる拠点整備を検討するとともに、積極的な営業活動を実施してまいります。

・取引先とのパートナーシップ強化による業容拡大に取り組んでまいります。

2.TRANCYグループ経営基盤の強化といたしまして、

・新事業部におけるフォワーディング競争力の強化およびグローバル事業拡大に向けて戦略的な営業活動を実施してまいります。

・昨年12月に竣工したタイ現地法人の新倉庫を安定稼働し、当該施設を活用してグローバル物流業務を拡大してまいります。

・グローバル物流の最適化を図るためフォワーディングシステムを順次展開し、業務の効率化および安定性の向上を図ってまいります。

・海外代理店ネットワークの拡充によりグローバル物流ネットワークを強化してまいります。

・海外拠点における物流機能を強化するため、新拠点の調査検討を実施してまいります。

・四日市港におけるコンテナ用耐震岸壁の拡張に向けて、行政と連携した取組みを推進してまいります。

・四日市港の利用促進活動として、コンテナ船定期航路誘致活動を実施してまいります。

・環境対応輸送スキームの構築として、モーダルシフト、モーダルコンビネーションの取組みを推進してまいります。

・新センターおよび現有専用センターにおいて、自動化など最新技術の導入により生産性向上を図ってまいります。

・倉庫管理システムの機能を向上し、事務・倉庫作業におけるBPR(Business Process Re-engineering)を推進してまいります。

・資本政策を推進するため、各目標への取組みを強化してまいります。

3.ESG経営/サステナビリティの取組み推進といたしまして、

・GHG排出量削減に向け、既存施設へ太陽光発電設備を導入してまいります。

・四日市港のカーボンニュートラルポート実現に向け、新エネルギー取扱いについて研究調査し、検討してまいります。

・人的資本を意識した経営を実現するために、施策を実施してまいります。

・職場の心理的安全性および従業員のエンゲージメントを高め、一人ひとりの能力を最大限に発揮するため、風通しが良く意思疎通が図れる職場環境を整備してまいります。

・新設された職群制度を活用し、多様な人財が能力を最大限に発揮できる環境整備および制度運用を確立してまいります。

・社会の一員として、地域社会と共生し、様々な活動を通して地域社会に貢献してまいります。

・社会インフラである物流サービスを安定的に提供するため、防災およびBCPの充実に取り組んでまいります。

 

[経営指標目標]

項目

指標

現中計最終年度(2025年度)目標

中長期目標

業績目標

売上高

1,300億円以上

-

経常利益

(経常利益率)

80億円以上

(6.0%以上の維持)

-

資本収益性

ROE

6.0%以上

8.0%以上

株主還元

配当性向

DOE

配当性向40%もしくはDOE2.0%の
いずれか高い金額を目安に配当実施

業容拡大、収益性改善とともに
更なる株主還元の拡充を目指す

自己株式取得

金額上限20億円
発行済株式総数5%を目途

B/S

コントロール

自己資本比率

中長期的に自己資本比率50%台を目安としてB/Sのコントロール

 

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

 当社グループのサステナビリティに関する考え方および取組みは、次のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

(1)ガバナンス

 当社グループはより長期的な視野で当社グループのサステナビリティ経営をけん引するため、2021年12月1日付で従来の企業価値向上委員会から改編し、サステナビリティ委員会を設置しております。サステナビリティ委員会は、サステナビリティ方針の策定やマテリアリティの特定ならびにその見直しなど、重要な事項を審議・議論し、取締役会への付議・報告を行う体制となっております。また、サステナビリティ委員会の下部組織には、全社的にサステナビリティ活動を推進していくために、サステナビリティ推進委員会を設置しており、マテリアリティの評価、当社グループのサステナビリティ課題・計画を検討・立案し、サステナビリティ委員会に上程するとともに、計画を実行し、その進捗管理を担っております。

 さらに、サステナビリティ推進委員会の下部組織には、サステナビリティ推進委員会の役割を実働的に実行する三分科会を設置しております。具体的には、CO2排出量の削減や廃棄物削減、生物多様性への対応等の環境課題に取り組む「環境分科会」、働き方改革、安全な職場づくり、地域社会との関係性、人権問題、ダイバーシティ等の社会課題に取り組む「社会分科会」、企業倫理、経営の透明性、監査体制、株主との対話、リスクマネジメント等のガバナンス課題に取り組む「ガバナンス分科会」を設置しており、各分科会は課題解決に向けて実動的な活動を行うとともに、課題・計画の原案・進捗等を取りまとめ、推進委員会に上程する役割を担っております。

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(2)戦略

 当社グループは、持続可能な社会の実現と企業価値の向上に向け、短期、中期および長期にわたり当社グループの経営方針・経営戦略等に影響を与える可能性があるサステナビリティ関連のリスクおよび機会に対処するための取組みとして、経営に影響を与える可能性および影響度を考慮のうえ、マテリアリティ(重要課題)を次のとおり特定しております。

①環境に配慮した事業推進

 事業活動を行ううえで、地球環境や貴重な資源を守ることは企業としての使命です。当社グループは、地球環境の保全を図るため、これまで同様に温室効果ガス削減や省資源活動などに取り組むとともに、環境に優しい物流サービスや物流施設の充実に取り組んでまいります。

②人財の尊重

 当社グループの事業基盤は人であり、社員は当社グループの財産です。その人財を尊重することが、一人ひとりが能力を最大限に発揮することに繋がり、更にはグループ全体の成長に繋がることから、働き方改革や健康経営を推進するとともに、人財育成制度の更なる充実に取り組んでまいります。

③安全で高品質なサービスの提供

 事業活動を行ううえで、パートナー会社を含めた社員の安全を守ることは企業としての使命です。当社グループでは、安全を最優先に考え、高品質な物流を持続的かつ安定的に提供するための最新技術を活用しながら、安心で安全な職場環境の構築に取り組んでまいります。

④地域への貢献

 地域への貢献は、地域の社会的、経済的活動の活性化、発展に寄与するものであり、また将来を担う子供たちを地域社会と一緒に育てるとともに、地域で暮らす人達の幸せに繋がるものであります。当社グループは、地域に根付いた事業活動を営む中で、これら地域貢献に積極的に取り組んでまいります。

 これらの重要課題は、中期経営計画に基づき、取組みを進めております。

 <中期経営計画のホームページサイト:https://www.trancy.co.jp/about/plan/ >

<人材の多様性の確保を含む人材の育成に関する方針および社内環境整備に関する方針>

 当社グループは、当社のグループ企業倫理要綱の行動規範に「様々な人材育成手段や公正で適切な処遇方法の構築により、一人ひとりが持つ能力を最大限に発揮できるよう相互に理解し合い、その多様な資質を尊重する」こと、「一人ひとりが、働きがい・やりがいを持って働くことのできる職場作りに努めていくとともに、各自のワークライフバランスを支援する」こと、ならびに「「安全は全てに優先する」の理念に基づき、すべての関係者の安全衛生レベルの維持向上に努めること、また共に働く人達の心身の健康維持に充分留意する」ことを定めております。様々な視点や価値観を有した従業員が能力を最大限発揮し、企業理念を実現していけるよう、人材育成体制を整備し、充実させていくことが重要であると考えております。そのため、多様性に応じた雇用形態の導入、従業員の自立と能力開発を促進するキャリアアップ支援、働きがい・やりがいを持って働くことのできる職場等の構築を基本として、環境を整備してまいります。また、健康宣言とその推進体制、さらには安全・品質方針のもと、いきいきと、働きやすい職場環境の整備、健康増進支援政策の充実、安全技能の向上、現場力の向上に取り組んでまいります。これらの取組みは、中期経営計画の基本方針「ESG経営・サステナビリティの取組み推進」の重点施策「会社の財産である“ヒト”の確保・育成」における、“人財のグランドデザインを策定し、個と組織を活かす人事制度の確立”、“社員のエンゲージメントを高める諸施策を実施し、魅力ある職場づくりの推進”に基づき、取組みを進めております。

 

<マテリアリティ>

重 要 課 題

環境に配慮した

事業推進

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 0102010_004.png0102010_005.png

人財の尊重

 

 0102010_006.png0102010_007.png

 

 0102010_008.png

 

安全で高品質な

サービスの提供

 0102010_009.png0102010_010.png

 

 0102010_011.png

 

地域への貢献

 

 0102010_012.png0102010_013.png

 

 0102010_014.png0102010_015.png

 

当社グル|プにとって

・利用エネルギーの削減

・輸送の高効率化

・将来のエネルギー転換への準備

・生物多様性への対応

・ダイバーシティの推進と雇用の安定

・風通しのよい、活力ある職場環境の実現

・社員満足度の向上

・ゼロ災害の実現

・労働環境の改善

・社員の意識向上

・企業と地域のつながり

・持続可能な地域社会づくり

社会にとって

・環境負荷の低減

・共生社会の実現

・災害のない職場環境の実現

・高品質で持続可能な物流サービスの提供

・地域の経済と文化の発展

 

 

(3)リスク管理

 当社グループは、事業活動に影響を及ぼすリスクを適切に識別・評価のうえ効果的に管理・除去し、可能な限り被害を極小化することが重要であると認識し、リスク管理委員会を設置しております。委員会の下にはリスクの種類に応じた委員会を設置のもと、全社的・体系的なリスク管理体制の整備・強化を図っています。

 サステナビリティに関するリスクや機会については、サステナビリティ委員会の下部組織であるサステナビリティ推進委員会において、マテリアリティをもとにモニタリング・評価をしており、その内容については、リスクに応じてリスク管理委員会の各委員会にも共有され、審議されております。併せて、サステナビリティ推進委員会での評価はサステナビリティ委員会での議論を経て取締役会に報告が行われることとなっております。

 サステナビリティに関するリスクや機会として、マテリアリティの各項目のうち、環境リスクは当社グループの事業に与える影響が大きいと判断し、環境に配慮した事業推進としてCO2排出量の削減に関するKPIを設定しております。また、当社グループの事業基盤は人であることから、人財の尊重や安全で高品質なサービスの提供に関してもKPIを設定しております。地域への貢献については、KPIは設定しておりませんが、環境や人財への取組みを含め様々な取組みを複合的に行うことで、当社グループの機会に繋がるものであることから積極的に取り組んでおります。なお、気候変動に関連するリスクは、中長期で当社グループの事業における各リスクを発生または増幅させる要因となるリスクであることから、TCFD(気候変動関連財務情報開示タスクフォース)への賛同や気候変動に伴う外部および内部環境の変化のモニタリング、具体的な気候変動リスク・機会の特定を行うとともに、全社的なリスク管理体制の再構築にも取り組んでおります。

TCFD提言に基づく情報はホームページに掲載しておりますので、ご参照ください。

<ホームページサイト:https://www.trancy.co.jp/csr/environment/ >

 

(4)指標及び目標

 「(3)リスク管理」に記載のとおり、指標および目標としてKPIを設定しております。

 

マテリアリティ

KPI

取組み

当連結会計年度末実績

環境に配慮した事業推進

①GHG削減 2020年度比25%

 (2030年度まで)

※省エネ法をベースとした数値

・太陽光発電設備の設置

・LED照明への切替え

・環境負荷低減機器の導入

①GHG排出量 15,038tCO2

※2020年度比

△1,211tCO2(△7.5%)

人財の尊重

女性管理職比率5

 (2027年3月末まで)

障がい者雇用3

 (2027年3月末まで)

年間有給取得日数 全職種12以上 (毎年度)

健康診断受診率100

喫煙率16(2025年3月末まで)

・人事制度見直しの推進

・障がい者の新たな役割の創出

・職場環境整備の推進

・社員の健康支援体制の強化

②女性管理職比率 2.3

 

③障がい者雇用 1.6

 

④年間有給取得日数 15.8

 

⑤健康診断受診率 100

⑥喫煙率 21.1

安全で高品質なサービスの提供

⑦労働災害 0件(四半期ごと)

・ヒヤリハット・気がかり報告収集

・KYT実践研修の実施

・強化月間の取組み

⑦労働災害 1件

地域への貢献

 

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※①は省エネ法

※海外を含め連結グループ全体での目標設定には時間を要するため、②は単体の管理職数、③~⑦は単体の社員数

 としております。

 

3【事業等のリスク】

 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状況、経営成績およびキャッシュ・フローの状況に重要な影響を及ぼす可能性があると認識しているリスクは、以下のとおりです。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)経営環境の変化によるリスク

 当社グループでは、倉庫業、港湾運送業、陸上運送業、国際複合輸送業、その他の5つの事業を中心とした総合物流事業を主たる事業としていることから、国内外景気の動向には、少なからず影響を受けることとなります。国内外の景気が低迷する場面においては、顧客企業による在庫調整や一般消費の落ち込みが発生することから、倉庫業では、保管貨物および取扱量が減少いたします。港湾運送業では、輸出入の落ち込みに伴い、コンテナ貨物や原料貨物等の取扱量が減少いたします。陸上運送業、国際複合輸送業においては、荷動きの停滞や輸出入の低迷に伴い全般的に貨物輸送量が減少いたします。また、荷主からの物流合理化要請や同業他社間の競争の激化により収支が悪化することが予想されるなど、当社グループの経営成績および財務状況等に大きな影響を及ぼす可能性があります。しかしながら、当社の取扱貨物は非常に多岐に及んでいることから、特定の業界や特定の国、地域において景況の落ち込みが発生した場合において、その影響が限定的に留まったケースも過去にはございます。

 

(2)規制・法令違反リスク

 当社グループでは、「企業理念」、「行動指針」および「行動規範」を定めた「日本トランスシティグループ企業倫理要綱」を役員および従業員に周知することで、法令・社会倫理の遵守を企業活動の基盤としております。また、行動規範では、「企業の事業活動に適用される日本および他の国の法令等を遵守し、また、企業活動に関わる国・地域の社会と共存していくために、その文化・慣習を尊重します。」と定めており、法令遵守の強化に努めております。しかしながら、コンプライアンス上のリスクを完全には把握できない可能性があり、当社の主たる事業である総合物流事業では、各種業法をはじめとして様々な法規制を受けていることから、法令違反等により営業停止などの処分が課せられれば、当社グループの社会的信用の失墜、企業イメージの低下ならびに発生した被害等への損害賠償の発生等が想定され、当社グループの経営成績や財務状況等に多大な影響を及ぼすこととなります。当社では、コンプライアンスを確実に実施することを支援・指導する組織として、コンプライアンス委員会を設置し、同委員会の下、コンプライアンス相談窓口の設置や社員への啓蒙活動など、コンプライアンス体制・施策等の充実を図っております。また、全国で5弁護士事務所と顧問契約を締結し法令違反リスクに対応しております。

 

(3)安全衛生に関するリスク

 当社グループでは物流事業の遂行上で重大な労働災害が発生した場合、従業員への補償の発生はもちろんのこと、当社グループの社会的な信用を失墜することになるため、当社グループの経営成績や財務状況に多大な影響を及ぼす可能性があります。当社グループは、重大な労働災害の発生を未然に防止するため、安全品質管理部を設置し、日常的な安全教育等の啓蒙活動を実施するほか、定期的なパトロールの実施や労働災害の原因究明、再発防止策の徹底、職場環境の改善を図っております。また、当社グループで伝染病の流行などにより従業員が罹患し、稼働等が困難となった場合は、経営成績、財政状態、キャッシュ・フローに影響を及ぼすことが想定されます。当社グループでは定期的に安全衛生委員会を開催するとともに従業員への安全衛生管理活動の推進および教育・啓発活動を実施し、衛生管理を徹底しております。

 

(4)大規模災害等リスク

 当社グループでは、倉庫業、港湾運送業、陸上運送業、国際複合輸送業、その他の5つの事業を中心とした総合物流事業を主たる事業としており、倉庫等の物流施設のいずれかが地震や火災、伝染病の流行などの大規模災害により罹災し、稼働等が困難となった場合は、経営成績、財政状態、キャッシュ・フローに影響を及ぼすことが想定されます。特に、地震等の自然災害に対しては、当社グループの倉庫等の物流施設をはじめとする経営資源が中部地区、関東地区、関西地区に集中していることから、これらの地域において発生した場合には、会社経営に多大な影響が生じる事態が想定されます。当社グループにおいては、近い将来、東海地震、東南海地震、首都直下地震、中部圏・近畿圏直下地震等の大規模地震の発生が懸念されていることも鑑み、災害発生時初動マニュアルを定め、倉庫施設や建物の耐震化、非常用電源設備の導入、災害発生時の被害報告体制の強化、防災訓練を通じて社員の意識高揚や被害の軽減を図るとともに、物流施設のスクラップ・アンド・ビルドを計画的に実施しております。

 

(5)財務・会計リスク

 当社グループの通常の取引においては、売掛債権への担保の設定や信用保証といった債権の保全はなされていないことから、万が一、顧客に対する多額の売掛債権の回収が困難となった場合には、経営成績、財政状態、キャッシュ・フローに多大な影響を及ぼすことが想定されます。当社グループにおきましては、債権の保全を図り、与信管理を強化するため、与信管理委員会を組織し、与信管理規程の定めに従い、取引先の信用情報に基づき与信ランク・与信額を設定・管理することで、不良債権の発生の防止に努めております。また、平素より売掛債権の回収サイトの短縮や立替金の早期回収に注力しており、営業債権が不良債権化しないよう管理を徹底しております。

 なお、当社グループにおいては、多数の物流施設等を資産として保有しており、その中には特定の大口顧客専用の物流センターも存在します。当該物流センターの顧客との契約は有期契約となることもあり、万が一、契約更新がなされない場合には、収益の悪化に加え、固定資産の減損損失が発生するリスクがあります。このようなリスクに対しては、契約期間満了後の物流センターの汎用的な活用方法を含め検討してまいります。

 

(6)海外リスク

 当社グループでは、中国、東南アジア、北中米、ヨーロッパにおいて海外拠点を有しております。物流事業をグローバルに展開していく上では、言語、地勢的要因、法・税制度を含む各種規制、自主規制期間を含む当局による監督、経済的・政治的不安、インフラ・通信環境や商慣習の違い等、様々な潜在的リスクが存在し、また、伝染病の流行、テロ行為、戦争・紛争の発生といった予測困難な事態の発生するリスクも存在します。これらのリスクに対しては、国際本部を中心にグループ内の情報収集を行い、顧問弁護士や外部コンサルタントの起用等を通じ、その予防、回避に努めておりますが、これらのリスクが顕在化した場合には、当社グループの経営成績や財務状況に多大な影響を及ぼす可能性があります。

 

(7)オペレーショナル・リスク

 総合物流事業を主たる事業とする当社グループは、同時に得意先のサプライチェーンの一端を担う社会的に重要な役割を果たしております。当社グループにおける物流事業の遂行上で貨物事故、交通事故、労働災害事故などの重大な事故が発生する、あるいは、事故の発生が度重なるようなことがあれば、得意先への損害賠償の発生はもちろんのこと、当社グループの社会的な信用を失墜することになるため、当社グループの経営成績や財務状況に多大な影響を及ぼす可能性があります。当社グループでは物流業務全般の品質に関するリスク(オペレーショナル・リスク)を把握、分析し、適切な品質管理体制、品質管理プロセスを保持するため、品質管理委員会を常設機関として設置し、物流品質の強化に努めております。

 

(8)情報リスク

 当社グループでは、総合物流事業を遂行する上で必要な各種物流システムの構築・運用を行っております。また関係先企業とのデータ連携や管理系システムの運用等も企業活動上不可欠となっており、情報システムの安定的な運営は当社グループの企業活動の基盤となります。当社グループにおいて、自然災害の影響やコンピュータウイルス、外部からの侵入等により、各種システムが長時間にわたり使用出来ない事態が発生した場合、企業活動の継続に大きな支障が生じるおそれがあり、当社の経営成績や財務状況に多大な影響を及ぼす可能性があります。当社グループにおきましては、これらのリスクに対応するため、重要な情報資産に関してはセキュリティの確保と安全性を兼備した外部データセンターに設置し、運用しています。また情報セキュリティの維持・向上や安全性確保のため、複数段階でのウィルス対策、外部からの侵入対策を施している他、社内ネットワークの二重化や、重要データのバックアップなど、データ保全を行っております。さらに情報セキュリティ管理規程等、各種ルールを定めるとともに、情報セキュリティ委員会を設置し、当社グループ内の情報セキュリティ体制の維持・向上や社員教育等を実施しております。

 

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

経営成績等の状況の概要

 当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績およびキャッシュ・フローの状況の概要は次のとおりであります。

(1)経営成績の状況

当連結会計年度の決算の概要は次のとおりであります。

 

 

(単位:百万円)

 

前期

当期

前年同期比

増減額

増減率(%)

売上高

122,555

124,765

2,210

1.8

営業利益

6,241

7,805

1,564

25.1

経常利益

7,352

8,806

1,454

19.8

親会社株主に帰属する当期純利益

4,633

6,041

1,408

30.4

(経済環境)

当連結会計年度におけるわが国経済は、物価上昇の影響による個人消費の停滞感が見られたものの、年度半ば以降は堅調な設備投資を背景に非製造業を中心に緩やかな回復傾向となりました。一方で、エネルギーコストの高止まりや地政学的リスクの継続、更には米国政府の動向が不確実なこともあり、先行き不透明な状況が続きました。

 

(事業環境)

自動車関連の荷動きが年度後半より輸出入ともに鈍化に転じたものの、消費財の荷動きは回復傾向にあるなど国際貨物の輸送取扱いは堅調に推移し、物流業界全般としては堅調を維持しました。

 

(業績状況)

 当社グループは中期経営計画に基づき、収益基盤の拡充によるトップラインの向上、TRANCYグループの経営基盤の強化、ESG経営/サステナビリティの取組み推進を図ることで、業績の確保に努めてまいりました。

 主な取組みは以下のとおりとなります。

・特殊化学品の取扱拡大に向けた積極的な営業展開ならびに拠点整備に向けた設計の推進。

・省人省力化を実現し、高い専門性と品質管理機能を有する「医療・介護用食品専用センター」の本稼働。

・関東エリアにおける自動車部品取扱専用センターの開設ならびに本年5月の本稼働に向けた準備の実施。

・アセアン地域における更なる機能拡充に向け、タイ現地法人において倉庫増設。

・グローバル物流の最適化を図るフォワーディングシステムの導入および運用開始。

・収益性向上、経営基盤の強化に向けた組織機構の設計。

・GHG排出量削減に向けた四日市港におけるカーボンニュートラルポート実現のためのバイオディーゼル燃料実証実験への参画。

・多様な人財が活躍するために新たに制定した職群制度の確立および運用開始。

・社会インフラである物流サービスの持続的・安定的な提供のための初動・BCP体制の全社的再整備。

 

 こうした施策のもと、当連結会計年度における業績は以下のとおりとなりました。

・売上高は、第2四半期まで海外における海上運賃の正常化の影響を受けたものの、国際複合輸送業の順調な取扱い推移ならびに三重朝日物流センターの年間を通じた安定稼働、医療・介護用食品専用センターやタイ現地法人の新倉庫の稼働、半導体関連材料を中心とする取扱量の増加が寄与し、前年同期比増収。

・経常利益は、三重朝日物流センター稼働に伴う準備費用、資金調達関連費用および退職給付費用の減少、料金適正化の継続的な取組み、効率的なオペレーションによる生産性向上とコスト最適化などにより、前年同期比増益。

・親会社株主に帰属する当期純利益は、上記の要因に伴い前年同期比増益。

 

セグメント・主要部門ごとの経営成績は、次のとおりであります。

 

 

(単位:百万円)

 

売上高

前年同期比

前期

当期

増減額

増減率 (%)

総合物流事業

倉庫業

港湾運送業

陸上運送業

国際複合輸送業

その他

120,539

48,445

21,245

18,366

30,810

1,670

122,710

51,893

20,882

19,789

28,511

1,633

2,171

3,447

△363

1,423

△2,298

△37

1.8

7.1

△1.7

7.7

△7.5

△2.3

その他の事業

2,016

2,055

39

1.9

合 計

122,555

124,765

2,210

1.8

※2023年8月より港湾運送業の業務の一部を倉庫業へ区分変更した影響額:908百万円

 

セグメント・主要部門ごとの取扱等の状況は、次のとおりであります。

 

(総合物流事業)

・倉庫業は、前年同期に比べ、期中平均保管残高は4.4%減少(54万6千トン)、貨物取扱数量は3.5%増加(894万4千トン)、保管貨物回転率は67.7%と上昇。

・港湾運送業は、前年同期に比べ、四日市港における海上コンテナの取扱量は2.4%減少(20万6千本(20フィート換算))、完成自動車の取扱量は増加、石炭・オイルコークスの取扱量は減少。

・陸上運送業は、前年同期に比べ、主力のトラック輸送の取扱量は3.5%減少(607万4千トン)、鉄道輸送の取扱量は4.6%減少(14万3千トン)、バルクコンテナ輸送の取扱量は3.7%増加(22万トン)。

・国際複合輸送業は、前年同期に比べ、海上輸送の取扱量は10.7%増加(202万トン)、海外現地法人における取扱量も増加、航空輸送の取扱量は14.7%減少(1,311トン)。

・その他は、前年同期に比べ、場内における附帯作業の取扱量が減少。

 

(その他の事業)

・自動車整備業は、前年同期と比べ、車検取扱台数は1.8%増加。

・ゴルフ場は、前年同期と比べ、入場者数は6.7%減少。

・建設事業は、前年同期と比べ、完成工事件数は4.7%減少。

 

(2)財政状態の状況

当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末に比べ50億8千8百万円増加し、1,654億1千1百万円となりました。流動資産は、現金及び預金の増加50億3千9百万円を主な要因として28億1千9百万円増加し、固定資産は、投資有価証券の増加等を主な要因として22億6千9百万円増加しました。

負債は、短期借入金および長期借入金の減少を主な要因として12億8千万円減少し、698億3千7百万円となりました。

また、純資産は前連結会計年度末に比べ63億6千8百万円増加し、955億7千4百万円となりました。この結果、自己資本比率は前連結会計年度末の53.3%から55.1%となりました。

 

(3)キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度末における連結ベースの現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、有形及び無形固定資産の取得による支出37億2千万円などがあったものの、税金等調整前当期純利益89億8千万円、減価償却費52億7千7百万円の資金留保等による増加により、前連結会計年度末に比べ53億3千3百万円増加し、当連結会計年度末には268億4千1百万円となりました。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 当連結会計年度において、営業活動の結果増加した資金は、151億3千6百万円(前年同期比78億5千4百万円の収入増)となりました。これは主に、法人税等の支払額10億7千3百万円などがあったものの、税金等調整前当期純利益89億8千万円、減価償却費52億7千7百万円の資金留保等による増加の結果であります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 当連結会計年度において、投資活動の結果減少した資金は、31億1千3百万円(前年同期比149億2千1百万円の支出減)となりました。これは主に、有形及び無形固定資産の取得による支出37億2千万円等による減少の結果であります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 当連結会計年度において、財務活動の結果減少した資金は、74億2千9百万円(前年同期比196億3千3百万円の収入減)となりました。これは主に、短期借入金の返済による支出22億7千万円および長期借入金の返済による支出22億5千1百万円による減少の結果であります。

 

(4)生産、受注および販売の実績

セグメント別営業概況

① 総合物流事業

 最近における倉庫保管貨物入出庫高ならびに期末保管残高を示せば次のとおりであります。

期間

入庫高

出庫高

期末保管残高

屯数(屯)

金額

(百万円)

屯数(屯)

金額

(百万円)

屯数(屯)

金額

(百万円)

2024年4月1日から

2025年3月31日まで

4,403,280

1,172,879

4,479,580

1,174,624

526,042

186,547

前年同期比増減(%)

2.4

3.8

3.1

4.9

△3.1

△1.1

 

 保管貨物残高を品目別に示せば次のとおりであります。

品目

2025年3月31日現在

屯数(屯)

前年同期比増減

(%)

金額(百万円)

前年同期比増減

(%)

農水産品

28,275

32.4

5,744

△17.7

金属

4,737

△19.0

2,044

△24.0

金属製品・機械

110,595

△12.3

46,173

△1.1

窯業品

136

19.3

9

△47.1

化学工業品

202,212

△3.0

74,932

△4.3

紙・パルプ

10,212

△9.6

3,845

△7.3

繊維工業品

282

△45.3

134

△19.0

食料工業品

28,263

12.0

8,154

△3.9

雑工業品

65,415

12.5

29,151

28.5

雑品

75,915

△11.5

16,358

△11.0

合計

526,042

△3.1

186,547

△1.1

 

 港湾運送業の最近の貨物取扱高を示せば次のとおりであります。

期間

船内荷役(屯)

前年同期比増減

(%)

沿岸荷役

(内 輸出貨物)

(屯)

前年同期比増減

(%)

2024年4月1日から

2025年3月31日まで

12,547,358

0.9

4,456,743

(1,028,576)

6.8

(△0.6)

 

 貨物自動車運送業および鉄道利用運送業の最近の貨物取扱高を示せば次のとおりであります。

期間

貨物自動車運送業

(屯)

前年同期比増減

(%)

鉄道利用運送業

(屯)

前年同期比増減

(%)

2024年4月1日から

2025年3月31日まで

6,074,621

△3.5

143,909

△4.6

 

② その他の事業

 保険代理店の契約実績を示せば次のとおりであります。

期間

契約件数(件)

前年同期比増減

(%)

契約保険金額

(千円)

前年同期比増減

(%)

2024年4月1日から

2025年3月31日まで

3,473

△1.0

508,077

1.3

 

 ゴルフ場の入場者数を示せば次のとおりであります。

期間

メンバー(人)

前年同期比増減

(%)

ビジター(人)

前年同期比増減

(%)

2024年4月1日から

2025年3月31日まで

6,339

△6.8

28,437

△6.6

 

 自動車整備台数を示せば次のとおりであります。

期間

車検台数(件)

前年同期比増減

(%)

2024年4月1日から

2025年3月31日まで

1,311

1.8

 

③ 販売実績

 当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示せば次のとおりであります。

セグメントの名称

売上高(百万円)

前年同期比増減(%)

総合物流事業

倉庫業

51,893

7.1

港湾運送業

20,882

△1.7

陸上運送業

19,789

7.7

国際複合輸送業

28,511

△7.5

その他

1,633

△2.3

その他の事業

2,055

1.9

合計

124,765

1.8

(注)1 セグメント間取引については、相殺消去しております。

2 主な相手先別の販売実績および当該販売実績の総販売実績に対する割合

相手先

前連結会計年度

当連結会計年度

売上高

(百万円)

割合(%)

売上高

(百万円)

割合(%)

住友電装株式会社

13,501

11.0

14,316

11.5

 

 

経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識および分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

(1)今期の経営成績の分析

 (営業収益)

 当期の事業全体およびセグメント別の分析につきましては、「経営成績等の状況の概要(1)経営成績の状況」に記載のとおりです。

 

 (売上原価)

 売上高が増加したことなどから、1,096億8千6百万円(前年同期比0.6%増)となりました。

 

 (販売費及び一般管理費)

 WEB会議システム等のIT技術の利用促進など、継続的な業務改善により、一般管理費の増加抑制に努めたものの、物価上昇や営業活動などの活発化等により費用が増加したことなどから、72億7千3百万円(前年同期比0.2%増)となりました。

 

 (営業利益)

 継続してコスト管理の徹底や、業務の効率化、収支改善、働き方改革へ取り組んだことなどから、78億5百万円(前年同期比25.1%増)となりました。

 

 (経常利益)

 三重朝日物流センター稼働に伴う準備費用、資金調達関連費用および退職給付費用の減少、料金適正化の継続的な取組み、効率的なオペレーションによる生産性向上とコスト最適化などにより、88億6百万円(前年同期比19.8%増)となりました。

 

 (親会社株主に帰属する当期純利益)

 上記の要因に伴い、60億4千1百万円(前年同期比30.4%増)となりました。

 

 上記のとおり、当期の当社グループの経営成績につきましては、営業収益は2期振りの増収、営業利益、経常利益および親会社株主に帰属する当期純利益は2期振りの増益となりました。

 

(2)キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容ならびに資本の財源および資金の流動性に係る情報

 当社グループの資金調達は、安定的な資金調達と調達コストの抑制を両立させ、自己資本比率や資産構成ならびに営業キャッシュ・フローの各種指標に配慮して、財務リスクを最小化することを基本方針としております。この基本方針に則り、資金調達の手段はその時々の市場環境を考慮したうえで、当社グループにとって最善の手段を選択しております。

 当社は長年にわたり、主要な取引先金融機関と良好な関係を維持しており、経常的な資金調達の他、当座貸越契約により、緊急時の流動性を確保しております。さらに、多様な調達手段を確保するため、直接金融による資金調達も見据え、格付投資情報センターの格付けを取得、維持しており、現時点において、Aマイナス(安定的)となっております。

 当連結会計年度においては、事業用資産の新規投資や維持更新には、主に営業活動で獲得した資金を充当いたしました。

 この他、流動性マネジメントの一環として、キャッシュ・マネジメント・システムを国内で導入し、グループ内の企業相互間の余剰資金を当社が集中管理することで資金の効率化を推進しております。また、海外においては、各拠点の資金需要に対応するため、当社を起点にしたグループ内金融により必要な資金を供給する一方、余剰資金を当社へ還流させる体制を構築しております。

 

(参考)キャッシュ・フロー関連指標の推移

 

2021年

3月期

2022年

3月期

2023年

3月期

2024年

3月期

2025年

3月期

自己資本比率

(%)

51.5

54.1

55.9

53.3

55.1

時価ベースの自己資本比率

(%)

28.7

30.0

28.6

26.7

33.6

キャッシュ・フロー対有利子負債比率

(年)

3.8

4.2

2.5

5.8

2.5

インタレスト・カバレッジ・レシオ

(倍)

60.8

62.2

104.6

50.2

75.8

自己資本比率:自己資本/総資産

時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産

キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/キャッシュ・フロー

インタレスト・カバレッジ・レシオ:キャッシュ・フロー/利払い

(注)1 各指標は、いずれも連結ベースの財務数値により算出しております。

2 株式時価総額は、期末株価終値×期末発行済株式数(自己株式控除後)により算出しております。

3 キャッシュ・フローは、連結キャッシュ・フロー計算書の営業活動によるキャッシュ・フローを使用しております。

4 有利子負債は、連結貸借対照表に計上されている借入金等を対象としております。また、利払いについては、連結キャッシュ・フロー計算書の利息の支払額を使用しております。

 

 当連結会計年度末の有利子負債残高は379億4千7百万円となりました。借入金の計画返済を進めておりますが、前連結会計年度末に比べて借入金が44億2千1百万円減少したこと等により、有利子負債残高は43億1千9百万円の減少となっております。

 

 

(3)重要な会計上の見積りおよび当該見積りに用いた仮定

 当社においては、従業員の退職給付に備えるため、確定給付型の退職給付制度を設けておりますが、将来の退職給付見込額は、割引率や予想される昇給及び従業員の退職率、死亡率など、さまざまな変動要因を加味して見積られております。これらのうち、昇給及び退職率や死亡率は経済情勢による大きな変動は予想されませんが、割引率については、退職給付の支払見込期間を反映した国債の利回りに基づき決定しておりますので、外部の経済環境により大きく変動する要素だと考えております。

 

割引率の変動による感応度は次のとおりです。

 

当連結会計年度末における退職給付債務への影響額

割引率が1.0%上昇した場合

716百万円の減少

割引率が1.0%下降した場合

859百万円の増加

 

5【重要な契約等】

(シンジケートローン契約)

 2024年4月1日前に締結したシンジケートローン契約については、「企業内容等の開示に関する内閣府令及び特定有価証券の内容等の開示に関する内閣府令の一部を改正する改革府令」附則第3条第4項により記載を省略しております。

 

6【研究開発活動】

 該当事項はありません。