第2 【事業の状況】

 

1 【業績等の概要】

(1) 業績

当期における世界経済は、米国では原油価格下落を受けた設備投資減少などが認められるものの、引き続き堅調な個人消費により景気が下支えされ、欧州も緩やかながらも景気の回復基調が継続しました。一方、中国・アジア新興国の一部においては成長率が鈍化しました。 日本では、原油安等による企業収益の回復がみられましたが、昨秋以降、輸出および内需の回復に力強さを欠き、景気の足踏み状態が続きました。

 

このような状況下、当社グループは国内関係会社および海外25ヶ国に及ぶグローバルネットワークとIT対応力を活かし、第5次中期経営計画の重点分野である自動車関連部品を中心に、アジア、中国、北米で事業の拡大を図るとともに、国内では物流品質の改善と利益率の向上に注力しました。

 

当期は、物流事業において、海外では米国、タイ、インドで倉庫を新規開設、欧州ではオランダ・ティルブルグ支店を新設するなど、拠点整備を進めました。

国内では、当社独自のICT(情報通信技術)を活用したサプライチェーンマネジメントシステム「Nissin Logi-System Park」が新規顧客の開拓に繋がりました。また、一部の自動車メーカーの国内回帰により、部品および完成車の取り扱い数量が復調し収益に寄与しました。しかしながら、中国の景気減速の影響もあり、全般的に輸出入貨物の取扱物量が減少し、売上は伸び悩みました。

旅行事業では、業務渡航が堅調に推移したほか、ビジネスイベントおよび訪日外国人向け旅行事業の伸びが収益を支えました。

 

これらの結果、当期における売上高は、前期比1.3%減201,705百万円となりました。利益につきましては、営業利益は前期比19.8%増5,587百万円、経常利益は前期比14.7%増5,887百万円となり、特別損失(火災損失)の計上などがあったものの、親会社株主に帰属する当期純利益は前期比30.6%増3,196百万円となりました。

 

セグメントの業績を示すと、次のとおりであります。

①  物流事業

日本では、輸出海上貨物は北米・アジア向けを中心に、機械設備、自動車部品および完成車が堅調に推移したほか、タンクコンテナを含む危険品・化学品の取り扱いが好調に推移しました。
  輸入海上貨物は、家電関連の取り扱いが低迷し、また、製材・合板関係は一部在庫調整等の影響を受け伸び悩みましたが、一般雑貨や乳製品等の食品関連および自動車関連貨物の取り扱いは順調に推移しました。
  輸出航空貨物は、アジア・北米向け機械装置や自動車部品および中国向け工具や電子部材等が回復基調で推移しました。
  輸入航空貨物は、食品関連が順調に推移したことに加え、自動車関連貨物の取り扱いも堅調に推移しましたが、暖冬の影響を受けアパレル関連は伸び悩みました。
  国内倉庫では、関東地区で一般雑貨の在庫減少が見られましたが、関西地区は全般的に堅調を維持しました。コンテナ船ターミナル事業では、下期より中国景気減速の影響で、取扱コンテナ本数が減少傾向で推移しました。

 

 

海外では、米州においては米国中西部および西海岸地区において、新規顧客向け大型倉庫開設など、今後の展開を睨んだ施設の拡充を図り、カナダでは新規に受注した自動車部品組立業務が好調でした。また、メキシコでは量産部品保管業務が順調だったことに加え、完成車および自動車部品の航空・海上輸出が大幅に増加し、収益に寄与しました。
  欧州では、自動車イベント関連部品が堅調に推移したほか、ポーランドにおいて家具、日用雑貨、電気製品の取り扱いが大幅に増加し収益に貢献しました。
  アジアでは、期初の北米西岸港湾混乱による航空代替輸送が貢献したほか、混乱収束後においても、自動車関連部品の取扱いを中心に航空・海上輸出入ともに順調に推移しました。
  中国では、上海での倉庫保管業務が順調に伸長し収益に貢献しました。また、自動車関連部品の輸出業務も堅調に推移しました。

この結果、売上高は前期比1.3%減146,204百万円、セグメント利益(営業利益)は前期比21.9%増4,354百万円となりました。

 

②  旅行事業

中国、アジア、北米向け業務渡航が堅調に推移したほか、教育関連事業や企業の海外研修旅行、文化事業団体の海外公演など目的別団体旅行が大幅に増加し、収益に貢献しました。
  また、中国および台湾からの訪日外国人向け旅行事業も好調に推移しました。
  他方、感染症やテロ事件の多発などが個人の海外旅行に影響を与え、ホールセール事業の売上は減少しました。

この結果、売上高は前期比1.3%減54,495百万円、セグメント利益(営業利益)は前期比10.1%増575百万円となりました。

 

③  不動産事業

京浜地区などで展開する商業ビル、商業用地の不動産賃貸事業は引き続き安定した収益を確保しました。

この結果、売上高は前期比8.6%減1,005百万円、セグメント利益(営業利益)は前期比16.3%増650百万円となりました。

 

(2) キャッシュ・フローの状況

①  営業活動によるキャッシュ・フロー

営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益5,278百万円、減価償却費による資金留保2,724百万円等の資金の増加と、法人税等の支払額1,835百万円等の資金の減少により、6,342百万円の収入(前連結会計年度は3,934百万円の収入)となりました。

 

②  投資活動によるキャッシュ・フロー

投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産の取得による支出1,162百万円、無形固定資産の取得による支出169百万円等の資金の減少と、貸付金の回収による収入129百万円等の資金の増加により、1,486百万円の支出(前連結会計年度は1,118百万円の支出)となりました。

 

③  財務活動によるキャッシュ・フロー

財務活動によるキャッシュ・フローは、長期借入れによる収入4,500百万円等の資金の増加と、長期借入金の返済による支出6,283百万円、短期借入金の純増減額1,383百万円等の資金の減少により、4,189百万円の支出(前連結会計年度は1,965百万円の支出)となりました。

 

この結果、当連結会計年度の連結キャッシュ・フローは、これらに現金及び現金同等物に係る換算差額及び新規連結に伴う現金及び現金同等物の増加額を加え、前連結会計年度に比べ326百万円の資金の増加となり、現金及び現金同等物の当連結会計年度末残高は14,598百万円となりました。

 

2 【生産、受注及び販売の状況】

「第2  事業の状況  1  業績等の概要」をご参照ください。

 

 

3 【対処すべき課題】

(1) 会社の経営の基本方針

当社グループは、社名の由来である「日々新たに、また、日に新たなり」の精神を基本に、自己革新を続けながら、安全・迅速・低コストに高品質な物流・旅行サービスを提供することで、豊かな社会の実現に貢献するとともに、お客様との間に信頼を築き上げながら企業価値を高め、株主をはじめとする全てのステークホルダーのご期待に応えることを経営の基本方針としています。

この基本方針を実現するために、当社グループは、経済・社会の発展に不可欠である物流事業をはじめ旅行業などの関連事業を、企業倫理・法令遵守の徹底および地球環境保全への積極的な取組みなど企業の社会的責任(CSR)を果たしながら、グローバルに展開していくことを目指しています。

 

(2) 目標とする経営指標

2016年3月期当社業績は、第5次中期経営計画の重点分野である自動車関連部品を中心に、アジア、中国、北米で事業の拡大を図るとともに、国内では物流品質の改善と利益率の向上に注力した結果、売上高は伸び悩んだものの、利益面では計画値を一年前倒しで達成しました。これに伴い第5次中期経営計画最終年度の目標数値について、売上高は期初設定を据え置き213,000百万円とし、営業利益は6,000百万円、経常利益は6,200百万円、親会社株主に帰属する当期純利益4,000百万円にそれぞれ上方修正いたします。今年度は国内外のグループ各社の力を結集して、新たな目標の達成に向けて取り組んで参ります。

 

(3) 中長期的な会社の経営戦略

平成26年4月にスタートした第5次中期経営計画(平成26年4月~平成29年3月)では、第4次中期経営計画に引き続き、「グローバル・ロジスティクス・サービス・プロバイダー(GLSP)」への成長・発展を主テーマとして、自動車関連物流を軸に海外事業の強化・拡大および国内での事業再構築を進めるとともに、経営の効率化に取組むことで、国際競争力の向上を図ります。

 

第5次中期経営計画での主要な取り組みは以下のとおりです。

 

1.海外事業の強化・拡大 - 自動車関連物流を軸に展開加速

1)重点地域 - 米州(米国、メキシコ)、アジア(タイ、インドネシア、インド)、中国

 

2)海外現地法人の事業基盤強化

・フォワーディング、ロジスティクスの高度化 - グローバルSCMへの対応

・新たな業務・顧客の開拓

・リスク管理体制の強化

 

3)海外地域別の取り組み

米州

・自動車関連物流の拡大 - メキシコ中西部、米国中西部での基盤強化

・食品物流の強化 - 東南アジア・中国向けの増大

・米系顧客への展開 - M&Aによる顧客基盤拡大

欧州

・事業体制の再編及び新たな拠点展開

アジア

・自動車関連物流の拡大 - SCM対応倉庫、クロスボーダー輸送の拡充

・大メコン圏・マレー半島広域物流網の整備

・ラオス、ミャンマー、カンボジアでの事業展開推進

中国

・自動車関連物流の強化 - SCM対応倉庫の整備、東北地区への事業展開

・フォワーディング体制の拡充 - アライアンス先との連携強化

 

 

2.国内事業の再構築

1)収益力向上

・陸運・ドレイ事業の再構築

・ターミナル事業の再編、効率化

 

2)新規事業展開、既存業務の拡大

・成長分野(食品・医薬医療・危険品物流)への展開強化

・高収益施設への建替え - 関東・九州地区での施設再構築

・ITサービス提供の事業化推進

 

3)効率的組織への再編

 

3.経営基盤の強化

1)資産の効率化 - 管財機能の強化、不動産の活用

 

2)グローバルリスク管理体制の強化、BCP(事業継続計画)の整備

 

(4) 会社の対処すべき課題

海外事業では、経済成長が見込まれるアジア・中国・メキシコへのリソースの重点投入をはじめ、グローバル人材の育成、海外拠点の営業・管理体制の整備、グローバルIT対応力の向上などにより、海外事業基盤の強化を進め、海外現地法人の売上高増大を目指します。

国内事業においては、新たな事業への展開を加速させるとともに、業務や組織体制を見直すことで、業務の効率化、組織のスリム化を進め、収益力の向上を図ります。

また、昨年マレーシアで発生した倉庫火災を教訓とし、再発防止に向けグローバル安全基準ガイドラインを策定しました。今後、これをベースに各国の法律、規則に即した安全基準ガイドラインを策定し、且つ従業員に対する定期的な教育と訓練を遂行します。

 

 

4 【事業等のリスク】

当社グループの経営成績等に重要な影響を及ぼす可能性のあるリスクには以下のようなものを想定しています。

本項には、将来に関する事項が含まれておりますが、当該事項は有価証券報告書提出日(平成28年6月24日)現在において、当社グループが判断したものです。

 

(1) 経済環境によるリスク

当社グループの主要事業である物流事業は、特に当社グループが得意とする自動車、電機・電子関連の取扱いにおいて、世界各国の経済状況の影響を受けやすく、各国の景気が停滞・低迷した場合、貨物取扱いが減少するなど、当社グループの業績と財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

(2) 海外事業に関するリスク

当社グループの海外事業展開は、米州、欧州、アジア、中国など世界各国にわたっておりますが、これらの海外事業に関しては、政治変動やテロ・暴動、新型インフルエンザなど伝染性の高い疾病の発生等、不測の事態が生じた場合、当社グループの業績と財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

(3) 為替レート変動によるリスク

当社グループは、米州、欧州、アジア、中国などで海外事業を展開しておりますが、為替レートが変動した場合、貨物取扱いの減少や、連結財務諸表の作成にあたり海外グループ会社の財務諸表等を円換算していることから、当社グループの業績と財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

(4) 自然災害によるリスク

当社グループは、港湾部を中心に、倉庫、サイロ、埠頭施設などの物流基盤を有しております。地震、台風等自然災害の発生を想定し耐性を十分考慮の上建設しておりますが、万一、想定を超えるような自然災害が生じた場合、これら施設になんらかの損害が生じ、当社グループの業績と財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

(5) 事故によるリスク

当社グループは、火災等の不測の事故の発生に備えて、倉庫などの保有施設等に対し保険を付しております。しかしながら、予測不可能な事故に起因する損害をすべて保険により填補できるとは限らないため、これらの被害の発生により当社グループの業績と財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

(6) 法令遵守にかかるリスク

国内においては、通関業法をはじめ港湾運送事業法、貨物自動車運送事業法等の物流及び流通に関係するあらゆる法令、規則の対象となっていると同時に、国外においては進出先・輸出先国の法律・規則の対象にもなっております。常日頃より社員教育を通じ、法令遵守を徹底しておりますが、万一法令違反が生じた場合、制裁等により日常業務が制限されたり、課徴金が課せられることも想定され、当社グループの業績と財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

(7) 情報漏洩によるリスク

当社グループは、物流及び旅行業務などの受託に際し顧客などの情報を取扱っております。情報保護に関しては、その重要性を十分認識し、コンプライアンス・マニュアル等に基づき、情報管理の徹底に努めておりますが、情報の外部漏洩やデータ喪失などの事態が生じた場合、当社グループの社会的信用の低下を招くだけでなく、損害賠償請求を受ける可能性もあり、当社グループの業績と財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

(8) 事業用資産の時価下落によるリスク

土地・建物等の時価下落や収益性低下等が生じた場合、「固定資産の減損会計」に伴い、当社グループの業績と財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

(9)退職給付債務の変動リスク

当社は、確定給付型の制度として、確定給付企業年金制度及び退職一時金制度を設けておりますが退職給付債務の割引率及び年金資産の運用実績等により数理計算上の差異が変動し、当社グループの業績と財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

 

5 【経営上の重要な契約等】

該当事項はありません。

 

6 【研究開発活動】

該当事項はありません。

 

7 【財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 重要な会計方針及び見積り

当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成に当たりまして、必要と思われる見積りは、合理的な基準に基づいて実施しております。

詳細につきましては、「第5  経理の状況  1  連結財務諸表等  (1)連結財務諸表(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載のとおりであります。

 

(2) 当連結会計年度の経営成績の分析

「第2  事業の状況  1  業績等の概要」に記載のとおりであります。

 

(3) 当連結会計年度の財政状態の分析

当連結会計年度末の総資産は、数理計算上の差異発生に伴う退職給付に係る資産の減少、株式市場価額の下落に伴う投資有価証券の減少などにより、前連結会計年度末に比べ5,784百万円減少108,439百万円となりました。

負債は、短期借入金の減少、繰延税金負債の取崩などにより、前連結会計年度末に比べ4,250百万円減少57,691百万円となりました。

純資産は、親会社株主に帰属する当期純利益の計上による利益剰余金は増加しましたが、株式市場価額の下落に伴うその他有価証券評価差額金の減少、数理計算上の差異発生に伴う退職給付に係る調整累計額の減少などにより、前連結会計年度末に比べ1,534百万円減少50,747百万円となりました。

 

 

(4) 資本の財源及び資金の流動性についての分析

① キャッシュ・フローの状況

キャッシュ・フローの状況につきましては、「第2  事業の状況  1  業績等の概要  (2)キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

 

キャッシュ・フロー指標の状況

自己資本比率及び時価ベースの自己資本比率、債務償還年数、インタレスト・カバレッジ・レシオは次のとおりであります。

 

平成26年3月期

平成27年3月期

平成28年3月期

自己資本比率(%)

41.2

44.2

45.2

時価ベースの自己資本比率(%)

26.6

26.6

28.3

債務償還年数(年)

5.9

8.7

5.0

インタレスト・カバレッジ・レシオ(倍)

12.4

8.0

13.9

 

自己資本比率:自己資本/総資産

時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産

債務償還年数:有利子負債/営業キャッシュ・フロー

インタレスト・カバレッジ・レシオ:営業キャッシュ・フロー/利払い

 

(注)1.いずれも連結ベースの財務数値により計算しております。

2.株式時価総額は、期末株価終値×期末発行済株式数(自己株式控除後)により算出しております。

3.営業キャッシュ・フローは、連結キャッシュ・フロー計算書の営業活動によるキャッシュ・フローを使用しております。

4.有利子負債は、連結貸借対照表に計上されている負債のうち、利子を支払っている全ての負債を対象としております。また、利払いについては、連結キャッシュ・フロー計算書の利息の支払額を使用しております。

 

② 資金の流動性について

当社グループは、主要な連結子会社にキャッシュ・マネジメント・システム(CMS)を導入し、日本国内のグループ内資金を当社が一元管理しております。各グループ会社において創出したキャッシュ・フローを当社に集中することで資金の流動性を確保し、また、機動的かつ効率的にグループ内で配分することにより、金融負債の極小化を図っております。

 

③ 資金の調達

現在そして将来の営業活動及び債務の返済等の資金需要に備え十分な資金を確保するために、資金調達及び流動性の確保に努めております。必要な資金は、主に営業活動によって得られるキャッシュ・フローの他、金融機関等からの借り入れ及び社債発行によって調達しております。

 

(5) 経営成績に重要な影響を与える要因

「第2  事業の状況  4  事業等のリスク」に記載のとおりであります。

 

(6) 経営者の問題認識と今後の方針

「第2  事業の状況  3  対処すべき課題」に記載のとおりであります。