第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

(1)経営方針

  当社グループは、お客様とともに歩み、総合物流企業として文化の向上と豊かな生活の創造及び地域経済の発展に貢献すべく、たゆまぬ創意と工夫で物流フロンティアを先駆し続けることを経営理念としております。そしていま、大きく変化する産業や経済の発展、ライフスタイルの多様化に伴って的確に対応すべくネットワークの構築はもちろんのこと、常に次代の物流を創造し提案し続けることでより豊かで快適な社会づくりを牽引したいと願っております。また、地球環境保護、輸送の安全重視及び地域との共生に加え、開かれた組織として積極的に情報開示に努めるとともに、健全な企業として社会的責任を全うしてまいります。

 

(2)経営戦略等

  当社グループは、経営理念に基づき、会社の持続可能な発展のため、良き企業市民としての社会的責任を積極的に果たし、企業価値を高め持続可能な成長を実現することを目指しております。当社グループにおける企業価値の源泉は、1.質の高い安全・安心な物流サービスの提供、2.従業員の確保・育成のための環境整備、3.積極的な事業展開とコンプライアンスの徹底、4.社会貢献並びに従業員との信頼関係に基づく労使協調など創業以来の当社の企業文化にあると考えております。当社グループは企業価値の向上と持続可能な成長を実現するためには、これらの企業価値の源泉を今後とも最大限に活用していく必要があると考えております。

  また、当社グループは、これまでの5次にわたる中期経営計画の実績を踏まえたうえで、安全・安心な物流サービスを安定かつ継続して提供し続けていく“決意”を新たに、2024年度を初年度とする第6次中期経営計画「 Change & Growth 2026 」を策定しております。

 第6次中期経営計画において、運送事業につきましては、運賃の適正化、顧客業種の拡大や重厚長大荷物の取扱強化による輸送量増加、他社との共同輸送等の外部連携強化などによる輸送バランスの改善及び全ての荷物を同一品質で輸送できる体制の確立、車両及び拠点の有効活用を事業方針とし、持続的事業成長を目指してまいります。

 なお、2024年度より貸切事業を新たな収益の柱として位置づけ、貸切事業部を創設いたしました。運送事業の全国ネットワークやアセット、ノウハウを有効活用しつつ、パートナー企業との連携強化を推進し、事業成長を目指してまいります。

 流通加工事業につきましては、新たに倉庫機能を有する施設を建設するなど事業拠点数及び事業面積の拡大を図るとともに、積極的にM&Aも行い事業成長を目指してまいります。

 国際事業につきましては、営業力を強化すべく既存組織体制を見直し、営業人材の確保・育成を行い、ASEAN地域での営業を強化し事業成長を目指してまいります。

 また、デジタル化による業務プロセスの最適化やビッグデータとAIを活用した業務効率化、DX人材の育成と組織改革等、DXを積極的に推進し今まで以上に持続可能な成長を目指して、環境(Environment)、社会(Social)、企業統治(Governance)のESGに従業員満足(Employee Satisfaction)に対する取り組みを加えた“ESG+ES”を基本方針として企業価値の更なる向上に努めてまいります。また、2030年までに世界が達成すべき持続可能な開発目標であるSDGs(Sustainable Development Goals)につきましても、当社グループの基本方針である“ESG+ES”に基づき達成に貢献してまいります。

 

中期経営計画のセグメント別目標                                                   (単位:百万円)

事業別

2024年度実績

2026年度計画

売上高

営業利益

売上高

営業利益

  運送事業

234,538

4,928

254,000

12,800

  貸切事業

26,249

2,209

36,000

3,200

  流通加工事業

22,359

3,295

29,000

4,500

  国際事業

11,861

282

13,000

700

  その他事業

15,388

1,225

15,000

1,000

  消去又は全社

△7,902

△4,578

△7,000

△4,200

  合計

302,495

7,363

340,000

18,000

 

 

(3)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

  当社グループは、売上高営業利益率及びROEを重要な経営指標として位置付けており、ROE8.0%以上を中長期的な目標としております。事業成長・資本効率向上に取り組み、2024年5月15日に発表しました第6次中期経営計画「 Change & Growth 2026 」最終年度となる2026年度においては経過目標として営業利益率5.3%、ROE6.5%の達成を目指します。

 

(4)経営環境

  今後の見通しにつきましては、物価高、燃料費の高止まり、米国関税政策の影響などにより経済活動の不確実性がさらに高まり、国内景気回復への前向きな動きは鈍化し、先の見通せない状況が続くものと予想されます。

当社を取り巻く経営環境は、原油価格など高いコスト水準のなか、企業間物流の貨物輸送量の低迷による事業者間の過当競争は継続し、運賃への価格転嫁の遅れに繋がっております。また、慢性的なドライバー不足は、2024年問題を背景により一層深刻化しております。

 

(5)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

  貨物自動車運送業界におきましては、引き続き物流の2024問題に伴う深刻な輸送力不足、国内のカーボンニュートラルの実現に向けた対応、継続的な物価・人件費等のコスト上昇など、対応すべき課題は多岐にわたり、依然として厳しい経営環境が続くものと予想されます。

 こうしたなか当社グループは、持続可能な輸送サービスの提供に向けた「物流の効率化」「輸送力の確保」「賃金水準向上に向けた適正運賃の収受」に取り組むとともに、専用ブロックトレインやダブル連結トラックの活用、環境に配慮した車両や設備の導入を進め、第6次中期経営計画のもと運送事業はもとより各事業基盤の強化に取り組んでまいります。

 

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において当社グループが判断したものであります。

(1) サステナビリティに対する基本的な考え方

  当社グループでは、「物流」が社会インフラのひとつであり、安定した輸送サービスを継続して提供することが、物流事業者としての社会的責任であると認識し、事業活動を推進しております。また、サステナビリティを巡る課題への対応については、リスクの減少のみならず収益機会にも繋がる重要な経営課題であると認識し、中長期的な企業価値向上の観点から、これらの課題に積極的・能動的に取組むため、多様なステークホルダーの視点及び当社グループにとっての経営課題や重要性から優先順位付を行っています。環境(Environment)、社会(Social)、企業統治(Governance)の各種施策に取り組むことで持続可能な成長を実現し、企業価値の向上に努めています。サステナビリティへの取組は、アクションプランを設定した上で推進状況を管理しております。取締役会では、毎年、中期経営計画の達成状況を振り返る中で、これらの重要課題の実施状況を監督しております。

 

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(2) ガバナンス

  2023年5月、サステナビリティ課題への取組をより一層推進するため、サステナビリティ委員会を設置いたしました。サステナビリティ委員会は、代表取締役社長がサステナビリティ委員会の委員長を務め、取締役または執行役員である委員3名以上で構成しております。気候変動を含む社会・環境に係るリスク及び機会への対応方針・取組状況に関して、取締役会の諮問機関であるサステナビリティ委員会で審議し、取締役会による検討を支援してまいります。

 取締役会の議長である代表取締役社長は、本業や経営戦略との一体化を図りながらサステナビリティへの取り組みを推進するとともに、気候変動に関する課題について責任を持つ取締役として、サステナビリティ委員長を兼務し、取締役会における監督責任を担っております。

  また、当社グループは気候変動に関するリスクを最も注意すべきリスクのひとつとして認識しております。定期的にモニタリングを行うとともに、企業経営リスクを明確化し、経営に及ぼす影響の大きさを審議・評価し、サステナビリティ課題への取組と経営戦略との一体化を図りながら推進しております。

 

(3) 戦略

①気候変動に対する取組

  気候変動問題等の地球環境問題は、世界規模でサステナビリティに関する重要課題として認識されており、脱炭素社会へ向けた取組等が進められております。当社グループにおきましても、このような経営環境下であることを踏まえ、気候変動に起因する社会・環境問題は喫緊の課題として捉え、気候変動関連リスク及び機会が当社グループの事業活動や収益等に与える影響を分析し、対応を検討しました。

 

 

 

 

 

<シナリオ分析の前提条件>

・実施対象範囲:グループ売上高の9割以上を占める運送事業、貸切事業及び流通加工事業を対象

 

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・参照した気候関連シナリオ

  最悪の状況を想定し、それに備えることが重要であると考え、影響が最大になる「1.5℃」と「4℃」のシナリオを採用

 

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IEA(International Energy Agency):国際エネルギー機関

IPCC(Intergovernmental Panel on Climate Change):国連:気候変動に関する政府間パネル

 

・時間軸

  グループ中期経営計画実行年度及び日本の温室効果ガス排出削減目標の時間軸に合わせ、中期2030年、長期2050年に設定

 

・影響度

  リスクアセスメント基準を基に、影響度「小」「中」「大」の3つに分類。

その他、事業インパクトの定量評価に参照したデータ及びパラメータは以下の通りです。

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WEO(World Energy Outlook ):世界エネルギー見通し

 

 

<リスクと機会の特定及び事業インパクトの定性評価>

 当社グループは、気候変動が事業環境に与える影響を重大なものと認識し、シナリオ分析に基づいて、気候変動に起因する重要なリスクおよび機会の特定と、それに伴う事業インパクトの評価を実施しました。

 

 

 1.5℃シナリオにおいては、脱炭素社会の実現に向けて再生可能エネルギーの普及が進み、炭素税の導入や車両の脱炭素化が加速すると予想されます。これらの変化に対応するため、当社グループでは、行動計画に基づき環境対応車両の導入や太陽光発電の活用を進め、脱炭素社会への適応を図ってまいります。

 4℃シナリオでは、異常気象の頻発による物理的リスクに加え、平均気温の上昇に伴う労働生産性の低下や人材確保の困難化といったリスクが懸念されます。これに対しては、職場環境の整備による人材確保や、DX(デジタルトランスフォーメーション)の推進による業務効率化を進めてまいります。

 また、「2024年問題」に伴う深刻な輸送力不足や環境問題への対応など、物流業界を取り巻く事業環境の変化については、いずれのシナリオにおいても重要な課題であると認識しております。当社グループでは、ダブル連結トラックの導入やモーダルシフトの推進に加え、他社との共同配送などの協業を通じて、輸送効率の向上を図るとともに、持続可能な社会の発展に貢献してまいります。

 

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※時間軸は、グループ中期経営計画実行年度および日本の温室効果ガス排出削減目標の時間軸にあわせ、中期2030年、長期2050年に設定しました。影響度は、リスク管理委員会のリスクアセスメント基準を基に、影響度「小」「中」「大」の3つに分類しています。

 

 

<事業インパクトの定量評価>

 特定したリスクのうち、事業インパクトが大きいと判断した3項目については、インパクトの定量的な評価を実施しました。今後につきましても、事業インパクトの定量的評価の実施範囲を広め、対応策の検討を深めてまいります。なお、今回の評価は、気候関連シナリオにおける各種データやパラメータに基づく試算であり、市況等の外部環境変化により変動する可能性があります。

 

・炭素税導入による影響予測について

  「炭素税」とは、CO2排出量を抑えることを目的とした政策手段であり、企業などが燃料や電気を使用して排出したCO2の量に応じて課せられる税金です。現在、EU諸国等の先進国を中心に炭素税を導入する動きが広がっており、将来的には我が国においても導入される可能性があると考えております。

 国際エネルギー機関(IEA WEO2022)は、2030年時点での先進国におけるCO2排出量1tあたりの炭素税額について、1.5℃シナリオの場合は140ドル、4.0℃シナリオの場合は90ドルと予測しています。2030年に我が国に炭素税制度が導入されると仮定し、当社グループが2030年度の目標達成に向けてCO2排出量を2013年度比35%削減した場合と2022年度から削減しなかった場合の炭素税額を試算し比較すると、1.5℃シナリオでは、約20.7億円(=約67.3億円*1 -約46.6億円*2)のコスト増が想定されます。なお、CO2排出量の削減政策が比較的進まないと仮定した4℃シナリオであっても、削減した場合と削減しなかった場合の炭素税額を試算し比較すると、約13.3億円(=約43.2億円*3-約29.9億円*4)のコスト増が想定されます。

 運送事業を中心として活動する当社グループでは、運送に伴う車両燃料によるCO2排出量削減に向け、専用ブロックトレイン等へのモーダルシフト、水素燃料電池トラックや電気小型トラックなど環境対応車両の導入、1人のドライバーで大型トラック2台分の荷物を輸送できるダブル連結トラックの導入拡大等に取り組んでおります。今後におきましても、CO2排出量のモニタリングを続けるとともに、さらなる排出量削減に向けた取り組みを加速してまいります

 

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・EV/FCEV車両の導入による影響予測について

  当社グループは、従来のディーゼル車等の一般車両と比べて、CO2や大気汚染物質等の排出量が少なく、環境への負荷が小さい環境対応車両の導入を進めております。

 国際エネルギー機関(IEA WEO2021)は、トラック販売台数におけるEV/FCEV車両の割合について、2030年時点のEV/FCEV車両の販売割合は、1.5℃シナリオの場合は30%、4℃シナリオの場合は4%と予測しております。また、将来的にEV/FCEV車両の価格は、既存車両と比較して2倍になると予測しています。これらを踏まえて、当社グループは、所有するトラックが代替時期を迎えた際に、市場での販売状況に合わせてEV/FCEV車両に代替すると仮定し、EV/FCEV車両の導入に伴う財務影響額を試算しました。

 当社グループにおける2030年のEV/FCEV車両の導入に関する財務影響については、1.5℃シナリオの場合は、2022年度において所有する小型トラックの30%をEV/FCEV車両に代替すると仮定し試算すると、約87億円*1の導入コスト増となり、4℃シナリオの場合は、4%をEV/FCEV車両に代替すると仮定し試算すると、約12億円*2の導入コスト増となります。

 

 

 なお財務影響額は、 EV/FCEV車両とエンジン車両との車体取得価格の差額で算出しており、また、現時点で中型・大型トラックのEVなどの技術は確立されておらず、取得可能な車両は存在していないため、小型トラックのみをEV化して導入することを想定しております。

 今後、EV/FCEV車両については、関連情報(価格、性能、補助金など)を収集し、社会情勢や販売市場の変動に伴う購入の容易さ、財務上の影響を考慮しながら、計画的に導入していく予定です。

 

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・熱ストレスによる労働生産性の変化予測について

 当社グループは、屋外での作業や移動、快適な温度及び湿度環境が確保しづらい施設内での作業を行うドライバーにおいて、平均気温上昇は、熱ストレスの増加を招き、労働生産性の低下につながると考えております。熱ストレスとは、身体が生理的な障害なしに耐え得る限度を上回る暑熱を指し、熱ストレスの増加は、熱中症等による人間の身体機能や身体能力の低下に伴う労働生産性の低下を意味しております。

 Climate Analyticsが提供するClimate impact explorerでは、2030年時点で日本における熱ストレスに伴う労働生産性は、1.5℃シナリオ(RCP2.6)の場合は、▲0.9%、4℃シナリオ(RCP8.5)の場合は、▲1.1%と予測されています。これを踏まえて、当社における財務的影響を試算すると、2022年度の売上高を基準にした場合、1.5℃シナリオでは生産性が0.9%減少することで約23億円*1の売上高の減少、4℃シナリオでは生産性が1.1%減少することで約28億円*2の売上高の減少が予想されます。

 当社グループでは、熱ストレスの増加に備え、ドライバーの安全と健康の確保に取り組むとともに、暑熱対策に関する職場環境改善に努めてまいります。

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②人的資本・多様性に対する取組

  当社グループは、「すべての多様な人々と協働し、安全・安心な物流サービスを通じて、心豊かで活力ある社会を実現する」ことを経営理念としています。持続的な成長と企業価値向上のためには、多様な視点や価値観を尊重し、さまざまなバックグラウンドを持つ人材が活躍できる環境づくりが不可欠と考えています。そのため、性別、経験、技能、キャリアの異なる人材を積極的に採用し、多様な人材が能力を発揮できる労働環境の整備を進めています。

 

<人材育成方針>

  当社グループは持続的な企業価値向上のために、人材の確保と育成が重要であると考えております。人材採用については、主力事業の運転者の確保に向けて、従来から行っているリファラル採用に加え、アルムナイ採用を導入・推進しています。さらに、車両整備士や運転者の人手不足に対応するため、外国人技能実習生や特定技能人材の採用も積極的に進めており、多様な人材が戦力として活躍できる環境づくりに取り組んでいます。また、多様な人材の活用および適正な配置に努めるとともに、各事業の強化に向けたキャリア人材の採用・育成にも注力しています。管理者や事務職の能力開発と成長を支援するため、eラーニングシステムを導入し、継続的な学習機会や明確なキャリアパスも提供しています。

具体的な施策:

・リファラル採用・アルムナイ採用の推進

・次世代幹部・管理職育成 eラーニングプログラムの実施

・新任管理職(店長)向け研修の実施

・専門キャリア人材の採用強化

・外国人技能実習生及び特定技能人材の計画的受け入れと支援体制の整備

 

 

<社内環境整備方針>

  従業員の満足度を高めるために、当社は仕事と私生活の両立を支援する柔軟な労働環境の整備に取り組んでいます。柔軟な労働時間制度やワークライフバランス支援制度の導入により、従業員の健康と幸福を重視した職場づくりを進めています。また、労働環境改善の一環として、定期的に従業員エンゲージメントサーベイを実施することで職場の課題を「見える化」し、その結果をもとに制度・業務改革を行い、帰属意識と生産性の向上を目指しています。

具体的な施策:

・休日の確保、有給休暇取得の促進

・時間外労働の削減

・両立支援制度の拡充

・従業員エンゲージメントサーベイの導入による職場環境の可視化

・人事・給与制度改革、業務プロセスの改善による生産性向上

 

<多様性への取組>

  当社はダイバーシティ(多様性)&インクルージョン(受容性)を推進するため、すべての従業員がその能力を最大限に発揮できる職場環境づくりに取り組んでいます。性別や年齢、国籍、入社時期などに関係なく、平等な機会と公正な評価を提供し、多様な人材の活躍を支援しています。特に、女性やシニア人材の活躍推進を重視し、管理職への登用を積極的に進めています。また、車両整備士および運転者の人手不足に対応するため、外国人技能実習制度および特定技能制度を活用し、海外人材の受け入れを積極的に進めています。日本語教育や生活支援、業務研修体制を整えることで、外国人材が長期的に安心して働ける環境の構築に努めています。今後も整備・輸送の中核人材として、技能実習・特定技能の外国人材を計画的に受け入れ、多様な人材による安定的な事業運営体制の強化を図ってまいります。

具体的な施策:

・女性社員の管理者への登用

・シニア人材が活躍できる場の提供

・D&I(ダイバーシティ&インクルージョン)体制の構築

 

(4) リスク管理

  当社グループでは、グループ全体のリスク管理・危機管理を推進するため、リスク管理委員会を設置し、リスクマネジメントを強化しています。リスク管理委員会では、気候変動リスクを含む、リスクと対応状況をモニタリングし、長期的な視点で当社グループ事業への影響を確認しています。現在の対応は以下の通りですが、今後については、シナリオ分析を高度化し、リスクを定量化していくことで、より精緻にリスクをモニタリングできる体制を構築してまいります。

・取締役会で決議されたリスクマネジメント方針・実行計画をもとに、リスク管理委員会がリードしてリスクマネジメントシステムを構築しています。

・全社的なリスク管理プロセスをとっており、評価頻度は年に1回以上、対象となる時間軸は短期、中期、長期です。

・事業のリスクマネジメント活動は、「リスクの識別(特定)、分析、評価」、リスク管理プロセスにおいては、「リスクへの対策、リスクのモニタリング、リスクの検証」の3ステップを実施しています。

・気候変動を含むサステナビリティ課題に関しては、サステナビリティ委員会と定期的に情報共有、連携を図っています。

・リスクマネジメント実行計画に落とし込んだリスク対策を推進するとともに、リスク管理指標により実施進捗を評価し、顕在化の未然防止に努めています。リスクが顕在化または顕在化する恐れがある状況を確認した場合、直ちに取締役会へ報告するとともに、リスクを最小限に抑える初動対応と、再発防止策を速やかに実施しています。

・今後は、リスク低減のみならずサステナビリティ関連の事業機会獲得を推進すべく、機会管理のマネジメント強化についても検討してまいります。

 

 

 

(5) 指標と目標

①気候変動に対する取組

<CO2排出量削減目標>

 当社グループでは、2030年度を期限としてCO2排出量を2013年度比35%削減することを目標としています。CO2排出量のScope1,Scope2を公表しており、削減に向けた取り組みを進めています。この度、新たにScope3カテゴリ6:出張、カテゴリ7:雇用者の通勤の算定を行いました。算定結果につきましては、関連データをご参照ください。

 今後はカーボンニュートラルに挑戦すべく、2050年度目標の設定およびその道筋について検討し、対応策を講じていくことが重要であると認識しています。

 

指標

目標(2030年度)

実績(当連結会計年度)

CO2排出量削減量

(Scope 1,2)

132.7CO2(千t)

35%(2013年度対比)

21.6CO2(千t)

5.7%(2013年度対比)

 

<その他の目標の設定>

指標

目標(2030年度)

実績(当連結会計年度)

太陽光発電施設数(累計)

6店所

5店所

環境配慮額車両導入割合*1

100%

-

ダブル連結トラック保有台数(累計)

439台

225台

*1 環境配慮型車両とは、従来のディーゼル車等の一般車両と比べて、CO2や大気汚染物質等の排出量が少なく、

  環境への負荷が小さい車のことを指します。

  なお、当連結会計年度の実績につきましては、提出日現在で算定中であります。

*2 ダブル連結トラック保有台数は、前方のトラックと連結する後方のトレーラーをそれぞれ1台としてカウントしております。

 

 

<関連データ>

 なお、当社グループ各社の業容や規模は様々であり、連結全体での記載が困難であることから、集計対象範囲を当社及び国内子会社としております。

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*1 エネルギー使用量の集計範囲は福山通運単体であります。

*2 2023年4月の「改正省エネ法」施行に伴い、2023年度以降は改正後省エネ法の換算係数に基づき算出しております。

*3 CO2排出量の算定方法見直しにより、前年度までの開示数値と異なっております。

*4 従業員が出張等、業務における従業員の移動の際に使用する交通機関から排出される排出量であります。

*5 従業員の工場・事業所への通勤時に使用する交通機関から排出される排出量であります。

*6 CNGトラックから環境対応車両や共同配送等への切替を順次行っているため、保有台数が減少しております。

*7 東京・埼玉・名古屋・大阪・広島・福岡

 

 

②人的資本・多様性に対する取組

 各取組に対して課題を認識し、各数値目標を設定しております。

 なお、当社グループ各社の業容や規模は様々であり、連結全体での記載が困難であることから、当社及び国内子会社における実績と目標を記載しております。

<課題と各数値目標>

課題

指標

2025年3月期(実績)

2027年3月期(目標)

人材の確保・育成

運転者採用人数

14,200

15,000

離職率(集配者/運行者)

8.9/8.5%

4.0%/4.0%

eラーニング参加時間

1,772時間

27,000時間

管理職研修受講者数

300

1,000

キャリア採用人数

2

20

社内環境整備

運転者年間休日取得率

56.0

100.0

運転者の平均月間残業時間

55時間

50時間

従業員エンゲージメント調査回数

6回実施

多様性の取組

女性管理職比率

5.6(211人)

11.0%(400人)

女性ドライバー数

247

400

シルバー人材活用数

142

300

外国人特定技能人材の採用人数

27

65

*1 「シルバー人材」は65歳以上の正社員及び契約社員であります。

*2 「キャリア採用」は即戦力の中途採用(専門職・管理職)であります。

*3 「エンゲージメント調査」は社内システムを用いた満足度・意識調査であります。

*4 「外国人特定技能人材」を採用する職種は車両整備士と運転者を対象としています。

 

 

3【事業等のリスク】

  有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。

  なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

(1)  営業上競合し収益に影響を及ぼす可能性の高いものについて

  当社グループが主として営む貨物自動車運送業界は、規制緩和により事業者数は増加し、激しい過当競争に晒されております。特に当社グループが主力とする商業荷物の輸送につきましては、同業者も多く、景気動向にも左右され最も厳しい業界であります。このため、輸送品質のさらなる向上やお客様ニーズへの対応、生産性の向上や省力化への対応と内外に向けた設備投資が必要不可欠であると言えます。なお、労働力不足への対応として採用活動を有利にするための賃金改善や労働環境の改善への投資も必要なものであると認識しております。これらはコストの増加要因でもあり、業績に影響を及ぼすこととなります。

(2)  法的規制等について

  当社グループは、主として貨物自動車運送事業法及び貨物利用運送事業法に基づき事業を営んでおり、法令遵守につきましては、最優先課題として全力で取り組んでおります。しかしながら、重大な車両事故等により一部業務に法的規制等が課される可能性があります。また、道路交通法等が改正され、輸送コスト高要因となることも予想されます。さらに、排気ガス規制等環境条例の強化による車両等の設備によりコスト負担となり、業績に影響を及ぼすこととなります。

(3)  重要な訴訟事件等の発生に係るものについて

  当社グループが主として営む貨物自動車運送事業におきましては、重大な車両・荷物に係る事故が発生し訴訟事件となる可能性があります。その場合、損害賠償額によっては業績に影響を及ぼすこととなります。なお、2025年3月31日現在、業績に影響を及ぼす訴訟事件はありません。

(4)  金利の変動及び資金調達について

  当社グループの2025年3月31日現在の有利子負債残高は1,104億34百万円となりますが、借換時の金融環境変化による影響を抑えつつ、低廉な調達コストを実現できるよう、固定金利借入れ割合、借入期間等の諸条件を借入先候補と交渉し、比較の上決定しております。今後、金利の情勢により業績に影響を及ぼすこととなります。

(5)  情報及びデータの管理について

  当社グループは、貨物自動車運送事業等の事業を営むことにより、お客様の荷物等に係る多種多様な情報を扱っております。万一、情報機器の故障、情報の漏洩等が発生した場合、会社の信用問題となり、損害賠償等により業績に影響を及ぼすこととなります。

(6)  燃料費の変動について

  当社グループは、主として貨物自動車運送事業を営んでおります。原油価格の変動により、業績に影響を及ぼすこととなります。

(7)  労働力不足について

  当社グループは、主として貨物自動車運送事業を営んでおります。将来にわたる労働力(ドライバー)不足は、業績に影響を及ぼすこととなります。

(8)  新たな感染症の発生について

  当社グループは、主として貨物自動車運送事業を営んでおります。新たな感染症が発生した場合、お客様と従業員の安全と健康を確保するため、感染防止を徹底した営業活動を行います。感染症が長期化・拡大した場合、経済活動の停滞や営業活動の制限に伴う売上高の減少など、業績に影響を及ぼすことになります。

(9)  半導体不足について

  当社グループは、主として貨物自動車運送事業を営んでおります。半導体不足による車両の生産遅れは、業績に影響を及ぼすこととなります。

 

 

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

  当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

①財政状態及び経営成績の状況

  当連結会計年度におけるわが国経済は、雇用環境や実質所得の改善、インバウンド需要の増加などにより景気は緩やかな回復基調にあります。一方で資源高や円安等を背景とした物価上昇をはじめ、米国の政策動向や金融市場の変動などにより、世界経済は緩やかな減速が見込まれ、先行き不透明な状況で推移しております。

 貨物自動車運送業界におきましては、物流の2024年問題や環境問題などの対応に加え、人件費や燃料費をはじめとするコストアップ要因もあり、厳しい経営状況が続いております。

 このような状況のもと当社グループにおきましては、輸送コストの上昇が継続するなか、契約運賃の見直しによる収益性の改善に努めるとともに、中核事業である運送事業の継続的な輸送サービスの向上に加え、貸切輸送やロジスティクスサービスの提供、コールドチェーンの全国展開を目指す企業との資本業務提携、フォワーディング事業の拡大など、その他の事業のサービス強化にも取り組み、お客様のサプライチェーン構築を担える輸送体制の構築に努めてまいりました。

 また物流業界における輸送力低下のリスクが高まるなか、当社グループでは持続可能な輸送サービスの提供の実現に向け、レベル4自動運転(※1)トラックによる幹線輸送の実現に向けた実証実験への参加や長距離輸送に対応するため、中継拠点で他社と自社のトラクターを交換する「トレーラー・トラクター方式」による中継輸送の開始に向けた企業間の協業に取り組むとともに、人材の確保・定着に向けて、全国のセールスドライバーに機能性及び安全性、環境負荷の低減に配慮した制服(※2)を配布するなど、人的資本における従業員満足を高めるための取り組みを推進してまいりました。

  以上の結果、当連結会計年度の売上高は3,024億95百万円(前期比5.2%増)、営業利益は73億63百万円(前期比29.5%減)、経常利益は99億17百万円(前期比23.6%減)となり、親会社株主に帰属する当期純利益は87億48百万円(前期比11.7%増)となりました。

  これらをセグメント別に見た事業の概要は、次のとおりであります。

 なお、当連結会計年度より、第6次中期経営計画「Change & Growth 2026」の方針に基づき、貸切事業を新たな収益の柱として位置づけ、当社グループの報告セグメントについて、従来の3区分(運送事業、流通加工事業、国際事業)から、4区分(運送事業、貸切事業、流通加工事業、国際事業)に変更しております。以下の前期比較については、前期の数値を変更後の報告セグメントの区分に基づき、組み替えた数値で比較しております。

[運送事業]

  運送事業におきましては、全国21店所で展開する重量・サイズ計測機能を搭載した自動仕分装置による生産性の向上と適正重量の収受に努めるとともに、お客様との関係の深化を図るため、アカウントマネジメントを強化し取扱物量の確保に努めてまいりました。

 また、2024年7月にいばらき五霞支店、2025年1月に関西空港泉佐野支店を新設し、3PL事業の施設を併設した複合一貫輸送サービスの強化と輸送効率の改善に取り組んでまいりましたが、人件費及び外注費をはじめとしたコストの増加により減益となりました。

  以上の結果、売上高は2,345億38百万円(前期比4.3%増)、営業利益は49億28百万円(前期比39.5%減)となりました。

[貸切事業]

 貸切事業におきましては、自社の輸送力である専用ブロックトレインとダブル連結トラックを活用した効率的かつ環境負荷の低減も意識した貸切輸送サービスの営業強化と自社貸切システムの機能増強等により、取扱件数が堅調に推移いたしました。

 以上の結果、売上高は262億49百万円(前期比9.5%増)、営業利益は22億9百万円(前期比6.8%増)となりました。

[流通加工事業]

  流通加工事業におきましては、拡充している倉庫機能を活用した複合一貫輸送サービスの提供を中心とした積極的な新規営業展開により売上拡大を図るとともに、高付加価値貨物(医療機器・建材関連)などのシェアを拡張するなか、人件費・光熱費等のコストに適応した単価改定に取り組み、利益確保に努めてまいりました。

  以上の結果、売上高は223億59百万円(前期比7.1%増)、営業利益は32億95百万円(前期比10.9%増)となりました。

 

 

[国際事業]

  国際事業におきましては、新設したマレーシアの倉庫への入庫貨物の獲得などによる越境輸送の取り扱いの増加と、フォワーディング・通関事業における新規連結の効果や海上運賃の上昇などにより増収となりました。

 また、運送事業、流通加工事業との共同営業を強化し、新規荷主の取り込みによる粗利の確保にも努めてまいりましたが、海上輸送の粗利率の低下や通関取扱件数の減少などにより減益となりました。

  以上の結果、売上高は118億61百万円(前期比10.8%増)、営業利益は2億82百万円(前期比8.1%減)となりました。

[その他事業]

  その他事業におきましては、大口案件の獲得による工事収入の増加や国内外の団体旅行の回復により、商品販売収入が増加いたしました。

  以上の結果、売上高は74億86百万円(前期比4.8%増)、営業利益は12億25百万円(前期比1.7%増)となりました。

 

※1 特定の走行環境条件を満たす限定された領域において、自動運行装置が運転操作の全部を代替する状態

※2 広島県福山市産のデニム生地を使用し、機能性及び安全性、環境負荷の低減に配慮し製作した制服であり、

第41回ベストジーニスト2024において「協議会選出部門 特別貢献賞」を受賞いたしました

 

 

②キャッシュ・フローの状況

  当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、前連結会計年度に比べ5億73百万円増加し296億26百万円となりました。

  (営業活動によるキャッシュ・フロー)

  主に税金等調整前当期純利益161億86百万円、減価償却費188億4百万円の計上などにより244億54百万円の資金収入(前年同期は185億3百万円の資金収入)となりました。

  (投資活動によるキャッシュ・フロー)

  主に有形固定資産の取得による支出372億40百万円、投資有価証券の売却による収入98億31百万円などにより291億9百万円の資金支出(前年同期は267億96百万円の資金支出)となりました。

  (財務活動によるキャッシュ・フロー)

  主に長期借入による純増額198億34百万円、配当金の支払額及び自己株式の取得による支出60億42百万円などにより51億81百万円の資金収入(前年同期は61億85百万円の資金支出)となりました。

 

 

③輸送及び収入の状況

  当連結会計年度における収入実績等をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

(ⅰ) 運送事業、貸切事業

貨物運送事業、貸切事業、港湾運送事業及びその他付帯事業に関する実績

(イ) 輸送実績

車両所有状況

最大積載屯数(屯)

前連結会計年度

(自 2023年4月1日

至 2024年3月31日)

当連結会計年度

(自 2024年4月1日

至 2025年3月31日)

台数(台)

延最大積載屯数(屯)

台数(台)

延最大積載屯数(屯)

大型車

 

6  ~12.5

4,133

49,411

4,240

51,231

(トラクター)

 

516

637

(トレーラー)

12.3 ~24

888

12,553

995

13,813

中型車

 

3  ~4.25

3,931

12,598

3,977

12,591

小型車

 

0.35 ~2

7,196

13,499

7,128

13,369

合計

16,664

88,063

16,977

91,005

車両稼働状況

稼働日数

253

252

延実在車両数

6,064

千台

6,139

千台

延実働車両数

4,208

千台

4,243

千台

車両稼働率

69.4

69.1

輸送屯数

11,907

千屯

12,181

千屯

総走行距離

466,513

千キロ

472,046

千キロ

 

 

 

(ロ) 営業収入の地域別状況

区分

前連結会計年度

(自 2023年4月1日

至 2024年3月31日)

当連結会計年度

(自 2024年4月1日

至 2025年3月31日)

前期比(%)

北海道・東北地区

26,373百万円

28,008百万円

106.2

関東地区

101,349百万円

105,161百万円

103.8

中部地区

47,127百万円

50,028百万円

106.2

近畿地区

76,702百万円

81,355百万円

106.1

中国・四国地区

63,727百万円

65,502百万円

102.8

九州地区

25,136百万円

24,848百万円

98.9

合計

340,416百万円

354,903百万円

104.3

(注) 金額は、発送運賃収入及びその他の付帯収入であり、状況を正確に表すため、地域間の内部売上高を含めて記載しております。

 

(ハ) 従業員1人当たりの月額営業収入

区分

前連結会計年度

(自 2023年4月1日

至 2024年3月31日)

当連結会計年度

(自 2024年4月1日

至 2025年3月31日)

前期比(%)

1か月平均営業収入

28,368百万円

29,575百万円

104.3

平均在籍従業員数

20,399人

20,732人

101.6

1人当たりの月額営業収入

1,390千円

1,426千円

102.6

 

(ニ) 燃料の購入量及び使用量

区分

前連結会計年度

(自 2023年4月1日

至 2024年3月31日)

当連結会計年度

(自 2024年4月1日

至 2025年3月31日)

期首在庫量

(kℓ)

購入量

(kℓ)

使用量

(kℓ)

期末在庫量

(kℓ)

期首在庫量

(kℓ)

購入量

(kℓ)

使用量

(kℓ)

期末在庫量

(kℓ)

軽油

2,180

114,077

114,037

2,220

2,220

120,070

119,905

2,386

 

(ホ) 燃料価格の推移

区分

2023年9月

2024年3月

2024年9月

2025年3月

軽油

127.0円

126.2円

127.8円

132.1円

(注) 市場価格は、経済産業省 資源エネルギー庁 資源・燃料部石油流通課発行の大口需要者向け軽油ローリー渡価格に基づく1ℓ当たりの半期ごとの平均値であります。

 

 

(ヘ) 一般貨物自動車運送事業運賃

a 特別積合せ貨物運送

 現行の運賃は、2023年12月15日付国土交通大臣に届出した運賃に基づき収受しております。

 この基準運賃表の一部を示せば次のとおりであります。

区分

10Kgまで

20Kgまで

30Kgまで

100Kgまで

200Kgまで

500Kgまで

1,000Kgまで

50Kmまで

2,130円

2,340円

2,580円

3,880円

5,800円

12,230円

23,320円

100Kmまで

2,180円

2,380円

2,610円

4,030円

6,230円

13,370円

25,720円

200Kmまで

2,200円

2,550円

2,740円

4,660円

7,390円

16,430円

32,370円

500Kmまで

2,290円

2,740円

3,000円

6,250円

10,390円

24,780円

49,720円

 

b 特別積合せ貨物運送以外

 現行の運賃は、2021年3月11日付各運輸支局に届出した車扱距離制運賃に基づき収受しております。

 この基準運賃表の一部(中国運輸支局届出分)を示せば次のとおりであります。

区分

小型車

(2トン車クラス)

中型車

(4トン車クラス)

大型車

(10トン車クラス)

トレーラー

(20トン車クラス)

10Kmまで

13,000円

15,060円

19,220円

23,980円

20Kmまで

14,580円

16,920円

21,730円

27,260円

100Kmまで

27,200円

31,740円

41,830円

53,420円

200Kmまで

42,950円

50,020円

66,180円

85,030円

 

(ト) 営業収入実績

区分

前連結会計年度

(自 2023年4月1日

至 2024年3月31日)

当連結会計年度

(自 2024年4月1日

至 2025年3月31日)

前期比(%)

貨物運送事業

223,883百万円

233,472百万円

104.3

貸切事業

23,971百万円

26,249百万円

109.5

港湾運送事業

113百万円

105百万円

92.9

その他付帯事業

873百万円

960百万円

110.0

合計

248,841百万円

260,787百万円

104.8

 

(ⅱ) 流通加工事業

倉庫業及び流通加工業に関する実績

(イ) 施設の状況

区分

前連結会計年度末

  (2024年3月31日)

当連結会計年度末

  (2025年3月31日)

流通加工事業場

面積

962,588㎡

1,003,200㎡

事業所数

122か所

122か所

 

 

(ロ) 営業収入実績

区分

前連結会計年度

(自 2023年4月1日

至 2024年3月31日)

当連結会計年度

(自 2024年4月1日

至 2025年3月31日)

前期比(%)

流通加工業

20,873百万円

22,359百万円

107.1

 

(ⅲ) 国際事業

国際利用運送業及び通関業に関する実績

(イ) 施設の状況

区分

前連結会計年度末

  (2024年3月31日)

当連結会計年度末

  (2025年3月31日)

保税蔵置場

面積

5,547㎡

5,547㎡

設置数

5か所

5か所

通関業

許可取得状況

15か所

15か所

 

(ロ) 営業収入実績

区分

前連結会計年度

(自 2023年4月1日

至 2024年3月31日)

当連結会計年度

(自 2024年4月1日

至 2025年3月31日)

前期比(%)

国際運送業

2,634百万円

2,883百万円

109.5

国際利用運送業

4,815百万円

5,290百万円

109.9

通関業

3,040百万円

3,233百万円

106.4

国際事業収入その他

215百万円

454百万円

210.8

合計

10,705百万円

11,861百万円

110.8

 

(ⅳ) その他事業

不動産等の賃貸業、ボウリング事業及びその他の事業に関する実績

(イ) 施設の貸付及びボウリングの状況

区分

前連結会計年度

(自 2023年4月1日

至 2024年3月31日)

当連結会計年度

(自 2024年4月1日

至 2025年3月31日)

不動産等賃貸業

 

 

 

建物

面積

1,095,532㎡

1,078,856㎡

土地

面積

1,433,671㎡

1,426,909㎡

機器

台数

1,341台

1,357台

ボウリング事業

 

 

 

ゲーム

回数

234千回

226千回

入場者

人数

72千人

70千人

 

 

(ロ) 営業収入実績

区分

前連結会計年度

(自 2023年4月1日

至 2024年3月31日)

当連結会計年度

(自 2024年4月1日

至 2025年3月31日)

前期比(%)

不動産等賃貸業

6,243百万円

6,672百万円

106.9

物品販売事業

3,464百万円

3,523百万円

101.7

コンビニエンスストア事業

1,607百万円

1,652百万円

102.8

損害保険代理業

411百万円

436百万円

105.9

ボウリング事業

132百万円

129百万円

97.9

労働者派遣業(委託業務)

523百万円

601百万円

115.0

その他事業

2,277百万円

2,372百万円

104.2

合計

14,660百万円

15,388百万円

105.0

(注) 上記金額は、状況を正確に表わすため、セグメント間の内部売上高を含めて記載しております。

 

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

  経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

  なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

(ⅰ) 財政状態の分析

  資産につきましては、主に有形固定資産が180億52百万円増加した一方で、投資その他の資産が199億69百万円減少したことにより固定資産が14億65百万円減少したことや受取手形及び売掛金が13億59百万円減少したことにより流動資産が12億50百万円減少した結果、総資産は前連結会計年度末に比べて27億16百万円減少し5,006億74百万円となりました。

  負債につきましては、主に短期借入金が82億円減少し流動負債が141億54百万円減少しましたが、長期借入金が246億40百万円増加し固定負債が200億80百万円増加した結果、負債合計は前連結会計年度末に比べて59億25百万円増加し2,129億1百万円となりました。

  純資産につきましては、主に剰余金の配当及び自己株式の取得60億42百万円を実施した一方で、親会社株主に帰属する当期純利益87億48百万円を計上したことにより株主資本は27億53百万円増加しましたが、その他有価証券評価差額金が113億90百万円減少した結果、純資産は前連結会計年度末に比べて86億42百万円減少し2,877億73百万円となりました。

 

(ⅱ) 経営成績の分析

  当連結会計年度における売上高は、貨物輸送量の回復と単価改定に加え貸切件数の増加や倉庫の取扱数量増加などにより、前連結会計年度より149億31百万円増加し3,024億95百万円となりました。

  営業利益は、売上高は増加したものの、2024年問題対応や労働環境の改善に向けた人件費・外注費の増加や減価償却費の増加などにより、前連結会計年度より30億84百万円減少し73億63百万円となりました。

  経常利益は、営業利益が減少したことにより、前連結会計年度より30億55百万円減少し99億17百万円となりました。

  親会社株主に帰属する当期純利益は、経常利益は減少しましたが、投資有価証券の売却により特別利益が増加し前連結会計年度より9億13百万円増加し87億48百万円となりました。

 

 

②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

  安定的な営業キャッシュ・フローの確保、有利子負債対自己資本比率を意識した資金調達及び保有資産の有効活用によるキャッシュインを原資とし、安定成長の下支えとなるインフラや収益性の高い事業への積極的な投資を行い、売上拡大、利益率の改善を図りつつROEの向上を目指しております。また、当社グループは、効率の良い資金運用を行うため、キャッシュ・マネジメント・システムを導入しております。各国内連結子会社の資金繰りの当社での一元管理と支払代行業務により余剰資金の圧縮に努めるとともに、グループ全体の必要資金の管理を徹底しております。

  当社グループにおける運転資金需要は、事業活動に携わる者の人件費や傭車費等の外注費及び燃料費等が主なものとなっております。また、設備資金需要の主なものは、サービスの向上や事業拡大を目的としたトラックターミナル及び流通倉庫の建設と車両の更新への投資等となっております。

  なお、長期的な資金繰りの安定性の確保のためコミットメントライン契約を従来から締結しております。

 

③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

  当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表の作成にあたって用いた当社グループの重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1. 連結財務諸表等」の「連結財務諸表 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載しております。

  連結財務諸表の作成に当たっては、会計上の見積りを行う必要があり、各引当金の計上、繰延税金資産の回収可能性の判断等については、過去の実績や他の合理的と考えられる方法により見積りを行っております。但し、見積り特有の不確実性があるため、実際の結果はこれらの見積りと異なる可能性があります。

 

5【重要な契約等】

 該当事項はありません。

 

6【研究開発活動】

 該当事項はありません。